JP5027306B2 - 飲料用容器の蓋 - Google Patents
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Description
従来は、飲料或いは流体状の飲食物は、例えば、プラスチック製の容器にアルミキャップ(アルミニウム箔と樹脂との積層体)で蓋をしている場合が多かった。そのため、ストロー等を突き刺して、内容物(流体状の飲食物)をストローで吸引することが容易であった。
プラスチックの様な合成樹脂と、アルミキャップの様な不燃ゴミとは、分別して廃棄しなければならず、流体状の飲食物を飲んだ者は、容器(例えばプラスチック製)と、蓋(例えば、アルミニウム箔と樹脂との積層体)とを分離して、別々に、廃棄しなければならない。また、容器と蓋とでは、別々の日に集積所まで運搬して、回収して貰う必要があった。
その様に、容器と蓋とを分別して、別種類のゴミとして廃棄することは、ユーザーにとって、大きな負担となっている。
ここで、出願人の実験によれば、アルミキャップをプラスチック製のストローで突き刺す場合には、8.83Nの力で貫通することが出来る。これに対して、合成樹脂製の蓋をプラスチック製のストローで突き刺す場合には、27.20Nの力が必要である。
すなわち、蓋を合成樹脂で製造した場合には、内容物(流体上の飲食物)を飲むために、容器に添付されているプラスチック製のストローを突き刺して、蓋を貫通することが、従来のアルミキャップの場合に比較して、困難になるという問題が存在している。
ここで、容器の蓋が充足するべき性質としては、多少の衝撃が作用しても破損しないことが要求される。流通過程において、当該蓋をした容器が大量に運搬される段階で、衝撃が付加される場合があり、また、一般ユーザーが内容物を充填して蓋体が外される以前の状態の容器を落としてしまう場合が想定されるからである。
しかし、この技術(特許文献1)では、ストローを突き刺す部分の合成樹脂材料を薄くしているので、外部から衝撃が付加された場合に、当該薄くした部分が破損して、内容物が漏出してしまう恐れがある。
しかし、この技術においても、切り込み部における耐衝撃性が考慮されておらず、衝撃が付加された場合に切り込み部、特にその端部に応力集中が生じ、亀裂が進展してしまい、当該亀裂から内容物が漏出してしまう恐れが存在する。
また、蓋(10)における亀裂の進展を防止するためには、ストロー突き刺し用の領域(ストロー孔部分20)の代表寸法(例えば、円形のストロー孔部分20であれば、その直径)を所定値以下に抑えると共に、上記「ハーフカット加工」を施した箇所(ハーフカット部分)の長さも一定値以下にすることが有効であることを見出した。
ここで、切り込み部分(ハーフカットHc)の深さは合成樹脂材料の厚さの1/4〜1/2(好ましくは約1/3)であり、ストロー突き刺し用の領域(20)の直径(R1×2)が8.0mm以下(好ましくは7.0mm以下)であり、切り込み部分(ハーフカットHc)の長さが3.0mm以下(好ましくは2.5mm以下)であるため、飲料用容器(12)に衝撃が作用した場合や、ストロー(14)で突き刺した場合でも、蓋(10)或いはストロー突き刺し用の領域(20)に亀裂が生じることや、切り込み部分(ハーフカットHc)から亀裂が進展してしまうことが防止される。そのため、飲料用容器(12)に衝撃が作用した場合に内容物である飲料が漏出してしまうことや、ストロー(14)で突き刺した場合にストロー(14)を突き刺した箇所以外から飲料が漏出してしまうことが防止される。
すなわち本発明によれば、衝撃が付加された場合等でも内容物が漏出することがなく、しかも、ストロー(14)により容易に突き刺すことが出来る様な合成樹脂(R)製の蓋(10)が提供されるのである。
また、前記仮想円の中心(未ハーフカット部分BCCの中心)から前記仮想円の半径方向外方へ延在する第2の直線状切り込み部分(ハーフカット部分TLC1〜TLC3)を設ければ(請求項2)、三日月状の断面形状を有するストロー先端(14E)で蓋(10)を突き刺す際に、三日月状の断面形状を有するストロー先端(14E)を押圧する力が、厚さ寸法が薄い(概略1/4〜1/2)第2の直線状切り込み部分(TLC1〜TLC3)へ確実に作用する。そのため、ストロー(14)を突き刺す力による応力が集中し、第2の直線状切り込み部分(TLC1〜TLC3)が容易且つ確実に破損する。
2・・・シール機
3・・・かしめ機構
4・・・レーザー加工装置
10・・・蓋
12・・・飲料用容器
14・・・ストロー
14E1、14E2、14E3、14EC・・・ストロー先端の断面
20・・・ストロー突き刺し用の領域/ストロー孔部分
Hc・・・切り込み部分/ハーフカット
R・・・合成樹脂材料
C1、C2、C3・・・ストロー孔部分の最外殻の円を定義する円弧状ハーフカット部分
TL1、TL2、TL3・・・ストロー孔部分に正三角形を定義する直線状ハーフカット部分
TLC1、TLC2、TLC3・・・ストロー孔部分の中心から半径方向外方へ延在する直線状ハーフカット部分
TLM1、TLM2、TLM3・・・ストロー孔部分に形成された直線状ハーフカット部分
C1B、C2B、C3B、TL1B、TL2B、TL3B、UHc1、UHc2、UHc3・・・ハーフカット部分が形成されていない領域/未ハーフカット部分
BCC・・・ストロー孔部分の中心
a、b、c、d・・・ストロー突き刺し位置
図1において、本発明の実施形態に係る蓋は全体が符号10で示されており、飲料用容器12の開口部(図1では容器12の上方端部)を覆っている。なお、蓋10は、アルミニウム箔を基材として含まない全体が合成樹脂のみで形成されている。例えば、PS(ポリスチレン)樹脂、AS(スチレン‐アクリロニトリル共重合体)樹脂、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)系樹脂、AXS樹脂(アクリロニトリルとスチレン成分を有するターポリマー)等の合成樹脂の1種又は2種以上を基材とするものが挙げられる(特開2004−74796号公報、特開2004−76009号公報、特開2004−76010号公報参照)。
図1では、ストロー14を蓋10に突き刺そうとする状態が示されており、ストロー14の先端は、蓋10中央に設けたストロー突き刺し用の領域(ストロー孔部分)20に向かって移動している。
図2から明らかなように、ハーフカットHcは、合成樹脂材料Rを、その厚さ方向寸法tの約1/4〜約1/2、好ましくは約1/3の深さDまで切り込んだ断面三角形の切欠部として、形成されている。そして、図示の実施形態では、厚さ195μmの合成樹脂材料Rに対して、ハーフカットHcの深さDは約60μm(蓋10の材料の厚さに対して約1/3)に設定されている。
図3において、飲料品容器内に所定の内容物が充填され且つ適正にシールされた製品を製造するためのラインは、全体を符号Lで示されており、飲料用容器12が搬送される搬送装置(例えば、ベルトコンベア)Cvが設けられている。
搬送装置Cvには、充填機1、シール機2、かしめ機構3、レーザー加工装置4が設けられている。
シール機2でシールされた段階では合成樹脂製の蓋材は、単に容器12の開口部を覆っているだけであるが、かしめ機構3において、蓋材の縁部10E(図1参照)が容器12の側面部の上縁部(開口側縁部)に沿う様に折り曲げられ、図1で示す様に容器12の開口部を包囲する様に被覆する。
充填機1、シール機2、かしめ機構3は、公知の機器を適用可能である。
レーザー加工装置4は、公知・市販のレーザー加工用装置(例えば、株式会社キーエンス製造、販売の3次元制御のCO2レーザーマーカー:商品名「ML−Z9500」)が使用可能である。
係るレーザー加工装置4により、飲料用容器12の開口部を包囲する様に被覆した合成樹脂製の蓋10の表面に、ハーフカットHcが形成される。
図4において、搬送装置Cv上に載置された飲料用容器12の開口部を被覆する蓋10に対して、レーザー加工装置4のレーザー照射部4LEからレーザー光線(例えばCO2レーザー光線)が照射されている。
図4において、搬送装置Cvは矢印ACで示す方向に移動し続けており、蓋10にハーフカットHcが形成される間も連続的に移動している。換言すれば、搬送装置Cvは矢印AC方向に連続移動しており、ハーフカットHcの形成時に停止している訳ではない。そして、レーザー加工装置4は、比較的高速で移動している物体(例えば、搬送装置Cv上の飲料用容器12の蓋10)に対して、所望の形状通りに正確にハーフカットHcを形成するだけの加工能力を具備している。
ここで、蓋10のストロー孔部分20において、ハーフカットHcが形成された個々の曲線部分や直線部分については、「ハーフカット部分」と表記する。そして、ハーフカットHcが形成されていない部分については、「未ハーフカット部分」と表記する。
ストロー孔部分20は、外縁部に円弧を構成する様に設けられた3箇所の曲線状ハーフカット部分C1、C2、C3(円弧状の切り込み部分)を有している。3箇所の曲線状ハーフカット部分C1、C2、C3はストロー孔部分20の最外殻の仮想円を定義する様に形成されている。
曲線状或いは円弧状のハーフカット部分C1は、ハーフカットを施されていない部分(未ハーフカット部分)C1Bにより、曲線状或いは円弧状の部分C11、C12に分離されている。同様に、円弧状のハーフカット部分C2は、未ハーフカット部分C2Bにより円弧状部分C21、C22に分離され、円弧状のハーフカット部分C3は、未ハーフカット部分C3Bにより円弧状部分C31、C32に分離されている。
換言すれば、直線状のハーフカット部分TL1、TL2、TL3は、正三角形の3つの頂点を省略した様な形状を構成する様に配置されている。そして、直線状のハーフカット部分TL1、TL2、TL3は、円弧状ハーフカット部分C1、C2、C3によって定義される仮想円の外側に頂点が位置する正三角形(仮想正三角形)を定義している。
図5では、図面が煩雑化することを防止するため、前記仮想正三角形の重心、前記仮想円の中心、或いは、未ハーフカット部分BBCの中心については、符号を付して図示することをしていない。ただし、未ハーフカット部分BBCは小さな領域であるため、本明細書においては、簡略化のために、前記仮想正三角形の重心或いは前記仮想円の中心を、符号BCCで表現する場合がある。
同様に、直線状のハーフカット部分TL2は、未ハーフカット部分TL2Bにより直線状の部分TL21、TL22に分離され、直線状のハーフカット部分TL3は、未ハーフカット部分TL3Bにより直線状の部分TL31、TL32に分離されている。
ハーフカット部分TLC1は、ハーフカット部分TL1、TL3が形成する角度の2等分線(仮想線)上に配置されている。
ハーフカット部分TLC2は、ハーフカット部分TL1、TL2が形成する角度の2等分線(仮想線)上に配置されている。
ハーフカット部分TLC3は、ハーフカット部分TL2、TL3が形成する角度の2等分線(仮想線)上に配置されている。
図5において、符号ETLC1はハーフカット部分TLC1の正三角形頂点側(C1〜C3が構成する円の中心とは反対側)の端部であり、符号ETLC2はハーフカット部分TLC2の正三角形頂点側(C1〜C3が構成する円の中心とは反対側)の端部であり、符号ETLC3はハーフカット部分TLC3の正三角形頂点側(C1〜C3が構成する円の中心とは反対側)の端部である。
そして、3本の直線状のハーフカット部分TLC1、TLC2、TLC3は、円弧状のハーフカット部分C1〜C3が構成する円の中心(或いは、ハーフカット部分TL1、TL2、TL3が構成する正三角形の重心)において、未ハーフカット部分BCCによって分離している。
換言すれば、円弧状のハーフカット部分C1〜C3が構成する円の中心は、或いは、直線状のハーフカット部分TL1〜TL3が構成する正三角形の重心は、未ハーフカット部分BCCとなっている。
より詳細には、直線状のハーフカット部分TLM1は、直線状のハーフカット部分TL1、TLC1、TLC2で構成される二等辺三角形状の領域内において、ハーフカット部分TL1と平行に形成されている。
直線状のハーフカット部分TLM2は、直線状のハーフカット部分TL2、TLC2、TLC3で構成される二等辺三角形状の領域内において、ハーフカット部分TL2と平行に形成されている。
直線状のハーフカット部分TLM3は、直線状のハーフカット部分TL3、TLC3、TLC1で構成される二等辺三角形状の領域内において、ハーフカット部分TL3と平行に形成されている。
図6において、円弧状の部分C11の曲率半径が符号R1で示されており、曲率半径R1は例えば3mmに設定されている。ここで、曲率半径R1は、円弧状のハーフカット部分C1、C2、C3で構成される円の曲率半径であり、円弧状のハーフカット部分C1、C2、C3及びその部分C11、C12、C21、C22、C31、C32で共通している。
円弧状のハーフカット部分C1〜C3で構成される円の中心、或いは、直線状のハーフカット部分TLC1〜TLC3で構成される正三角形の重心は、上述した様に、未ハーフカット部分BCCとなっているが、この未ハーフカット部分BCCの直径が符号φ1で示されており、例えば0.1mmである。換言すると、φ1(=0.1mm)は、3本のハーフカット部分TLC1〜TLC3における前記円の中心側(前記正三角形の重心側)端部を結ぶ仮想円の直径である。
ここで、中心角とは、円弧状のハーフカット部分C1〜C3で構成される円の中心(直線状のハーフカット部分TLC1〜TLC3で構成される正三角形の重心と一致する)に対して為す角度を意味している。
円弧状ハーフカット部分C3における部分C31の中心角θ1と、部分C32の中心角θ2とは同一角度であり、例えば37.5°である。部分C31と部分C32とを分離する未ハーフカット部分C3Bの中心角θCBは、例えば5°である。ここで、中心角θCBは、直線状ハーフカット部分TL3における部分TL31とTL32とを分離する未ハーフカット部分TL3Bの中心角でもある。
図6で示す中心角θCB(=5°)は、部分C11とC12とを分離する未ハーフカット部分C1B、部分C21と部分C22とを分離する未ハーフカット部分C2B、部分TL11とTL12とを分離する未ハーフカット部分TL1B、部分TL21とTL22とを分離する未ハーフカット部分TL2Bの各々における中心角と同一である。
なお、図6で示す中心角θCB(=5°)は、未ハーフカット部分TL1B〜TL3Bが少なくとも0.2mm以上となる様に設定されている。
直線状ハーフカット部分TL3の部分TL32の右端部と、直線状ハーフカット部分TL1の部分TL11の左端部とを結ぶ直線の長さ(弦の長さ)BHCとしては、例えば1mmに設定されている。
図5の円弧状のハーフカット部分C1〜C3は、ストロー孔部分20の中心BCCから一定の範囲については、同一の力でストロー14が突き刺さり、蓋10を貫通できるようにするため、当該一定の範囲を円形領域として定義するため、当該円形領域の最外殻である円周を定義するために、設けられている。
換言すれば、三角形の重心を目視するよりも、円の中心を目視することの方が容易であり、ストロー14を突き刺すべき箇所に確実にストロー14を突き刺すことが出来るようにするため、ストロー孔部分20の最外殻を定義するハーフカット部分C1、C2、C3は、ストロー孔部分20の中心BCCと同一の曲率中心を有する円弧として形成したのである。
さらに、円弧状のハーフカット部分C1〜C3を最外殻部分とすることにより、ストロー孔部分20の面積を、最外殻が三角形や四角形の場合に比較して、増加することが出来る。
ストロー14を蓋10に突き刺した部分の断面(ストロー14先端の断面)は、図7において符号14E1、14E2、14E3、14ECで示す様に、三日月状となる。図7から明らかな様に、係る三日月状の断面形状を有するストロー14先端は、ストロー孔部分20の中心から半径方向外方へ延在する直線状ハーフカット部分TLC1、TLC2、TLC3内の2個或いは3個の近傍に配置されることになる。従って、ストロー14を押圧する力が、ハーフカット部分TLC1〜TLC3へ確実に作用するので、蓋10における未ハーフカット部分に比較して厚さ寸法が薄い(概略1/4〜1/2)のハーフカット部分Hcに対して、当該押圧力による応力が集中し、ハーフカット部分TLC1〜TLC3が破損する。
特に、ストロー孔部分20の中心BCCにストロー14を突き刺した場合には、ストロー先端14Eが直線状ハーフカット部分TLC1〜TLC3を貫通するので、ストロー14を押圧する力に起因する応力が、ハーフカット部分TLC1〜TLC3に集中し易くなり、ストロー14で蓋10を突き通すことが容易になる。
すなわち、ハーフカット部分TL1〜TL3と直線状ハーフカット部分TLM1〜TLM3とを設けることによって、ハーフカット部分の数を増加してストロー孔部分20で未ハーフカット部分が占める面積を少なくでき、ストロー孔部分20の全ての領域において、蓋10をストロー14で突き刺すのに必要な力を比較的低いレベルに留めることが出来る。
そして、「蓋10による密封状態が保持される」という条件を充足した上で、ストロー14で蓋10を貫通し易いという条件が要求される。
すなわち、ハーフカットHcの深さDが、蓋10を構成する合成樹脂材料の厚さ寸法の約1/2よりも深いと、ストロー14を突き刺す以前の段階で、何らかの拍子にハーフカットHcが裂けてしまい、容器12内に密封されている飲料が漏出してしまう恐れがある。
一方、ハーフカットHcの深さDが、蓋10を構成する合成樹脂材料の厚さ寸法の約1/4よりも浅いと、ストロー14で蓋10のストロー孔部分20を突き刺して貫通するのに、大きな力が必要となってしまう。
そのため、ハーフカットHcの深さDは、蓋10を構成する合成樹脂材料の厚さ寸法の約1/4〜約1/2、好ましくは約1/3に設定されている。
係る空気孔を確保することにより、ストロー14を突き刺して飲料品を飲む際に、容器12の外部から容器12内へ空気が流れる通路が確保されるので、ストロー14周囲に係る空気通路が形成されることにより異音が生じる事態を防止することが出来る。
飲料用容器12については、複数の容器12を1パックに梱包して、梱包品を多数積層して運搬する場合がある。係る運搬に際して、積層状態の梱包品を載置する際に、容器12に対して衝撃が作用する可能性がある。また、個々のユーザーが購入後、飲料用容器12を落下してしまう場合においても、容器12に対して衝撃が作用する。
この様に容器12に衝撃が作用した場合において、ストロー孔部分20が簡単に破損して、内容物である飲料が漏出することがないように、ストロー孔部分20には、一定以上の耐衝撃性が要求される。
ハーフカット部分Hc間の距離(間隔)が少なくとも0.2mm以上となる様に設定されているのは、その様な耐衝撃性を確保するためである。すなわち、ハーフカット部分の間隔が0.2mm未満であると、衝撃が作用した際には、間隔が0.2mm未満の領域に応力が集中して、ハーフカット部分が連続し、そこから裂けてしまう恐れがある。
係る事態を防止するためにも、ハーフカット部分の間隔が、少なくとも0.2mm以上となる様に設定している。
当該現状の亀裂は、ストロー孔部分20の直径(=円弧状のハーフカット部分C1〜C3の曲率半径×2)が大きい場合にも、発生してしまうことが、発明者による実験で判明した。
そして発明者による実験では、ストロー孔部分20に形成される個々のハーフカット部分の長さが3.0mm以下(好ましくは2.5mm以下)で、且つ、ストロー孔部分20の直径が8.0mm以下(好ましくは7.0mm以下)であれば、その様な亀裂が発生しないことが分かった。
係る実験結果に基づいて、ストロー孔部分20が設定されている。換言すれば、図6で示す曲率半径や中心角は、「ストロー孔部分20に形成される個々のハーフカット部分の長さが3.0mm以下(好ましくは2.5mm以下)で、且つ、ストロー孔部分20の直径が8.0mm以下(好ましくは7.0mm以下)」と言う条件を充足するように設定されている。
一方、蓋10全体を横断しない様な亀裂の発生については、個々のハーフカット部分の長さが大きく影響することが、発明者の実験で明らかになっている。
係る未ハーフカット部分は、図8において、点線で示す領域UHc1、UHc2、UHc3として、表現されている。
未ハーフカット部分UHc1、UHc2、UHc3を設けると、ストロー孔部分20をストロー14で突き刺した際に、ハーフカット部分Hcで合成樹脂が裂けて、図9で示す様に裂けてしまったハーフカット部分Hcで囲まれた領域DPが下方に垂れ下がったとしても、未ハーフカット部分UHc1、UHc2、UHc3が残存するため、領域DPは蓋10から分離することなく、蓋10に残存する。そのため、領域DPを構成する合成樹脂の細片(或いは切片)が、蓋10の下方に存在する飲料品に混入してしまうことが防止される。
先ず、図示の実施形態に係る蓋10について、ストロー14の突き刺し位置と、蓋10を貫通するのに必要な突き刺し強さとを計測した。
図10は、係る実験におけるストロー14の突き刺し位置を示している。図10において、ストロー14の突き刺し位置は、ハッチングを付して示す位置a、b、c、dである。
位置aは、ストロー孔部分20の中心近傍位置であり、ストロー孔部分20の中心と同心の円形図形として示されている。
位置bは、図8における未ハーフカット部分UHc1〜UHc3に相当する位置であり、位置cは位置aから外れているが、ストロー孔部分20内の位置である。
位置dはストロー孔部分20から外れた位置である。より詳細には、位置dは、ストロー孔部分20の最外殻を定義する円弧状のハーフカット部分C1から1.5mm離隔している。
表1
表1で示す「ストロー突き刺し結果」を、従来のアルミキャップにおけるストロー突き刺し強さ8.83Nとを比較すれば、図示の実施形態では、ストロー孔部分20内(円弧状ハーフカット部分C1〜C3で定義される円の内部)であれば、従来のアルミキャップと同程度のストロー突き刺し強さで、ストロー14で蓋10を貫通することが出来ることが明らかである。
特に、ストロー孔部分20の中心部近傍(図10の位置a)については、従来のアルミキャップよりも弱い力で、ストロー14を突き刺すことが出来る。
しかし、位置dの「ストロー先端折れ」を参照すれば明らかな様に、図示の実施形態では、ストロー孔部分20から1.5mm離隔した箇所(位置d)にストロー14を突き刺しても、ストロー14が折れ曲がることなく、全ての試行において蓋10を突き通すことが出来た。
すなわち、図示の実施形態によれば、ストロー14を突き刺し難い箇所にストロー14を突き刺しても、ストロー14の先端が折れ曲がることなく、蓋10を突き通すことが出来ることが判明した。
係る実験では、ストロー14により蓋10を貫通する動作を50回繰り返したが、蓋10を構成する合成樹脂材料の細片が容器12内に落下することはなかった(落下回数:0/50)。
従来のアルミキャップについても同様な実験を行なったが、図示の実施形態と同様な結果であった。
このことから、図示の実施形態に係る蓋10は、十分な耐衝撃性を備えていることが分かった。
従来のアルミキャップについても同様な実験を行なったが、図示の実施形態と同様な結果であった。
Claims (4)
- 全体が合成樹脂(R)で形成され、その一部に実質的に円形のストロー突き刺し用の領域(20)が設けられており、ストロー突き刺し用の領域(20)には合成樹脂材料の厚さの1/4〜1/2の深さの切り込み部分(Hc)を複数形成し、ストロー突き刺し用の領域(20)の直径が8.0mm以下であり、切り込み部分(Hc)の長さが3.0mm以下であることを特徴とする飲料用容器の蓋。
- ストロー突き刺し用の領域(20)には、ストロー突き刺し用の領域(20)の最外殻の仮想円を定義する円弧状の切り込み部分(C1、C2、C3)と、円弧状の切り込み部分(C1、C2、C3)によって定義された仮想円の内側の領域に形成されて、頂点が前記仮想円の外側に位置し且つ重心が前記仮想円の中心と一致する様な仮想正三角形を定義する第1の直線状切り込み部分(TL1、TL2、TL3)と、前記仮想円の中心から前記仮想円の半径方向外方へ延在する第2の直線状切り込み部分(TLC1、TLC2、TLC3)と、第1の直線状切り込み部分(TL1、TL2、TL3)と第2の直線状切り込み部分(TLC1、TLC2、TLC3)との間の領域で第1の直線状切り込み部分(TL1、TL2、TL3)と平行に延在する第3の直線状切り込み部分(TLM1、TLM2、TLM3)が形成されている請求項1の飲料用容器の蓋。
- 第2の直線状切り込み部分(TLC1、TLC2、TLC3)を半径方向外方に延長した領域(UHc1、UHc2、UHc3)には、切り込み部分(Hc)が形成されていない請求項2の飲料用容器の蓋。
- 円弧状の切り込み部分(C1〜C3)及び第1の直線状切り込み部分(TL1〜TL3)は、切り込み部分が形成されていない領域(C1B、C2B、C3B、TL1B、TL2B、TL3B)によって分離されている請求項2、3の何れかの飲料用容器の蓋。
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