JP5024692B2 - 基礎杭の構築方法、既製杭、杭穴掘削ロッド - Google Patents

基礎杭の構築方法、既製杭、杭穴掘削ロッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建造物等の基礎杭工事における、特に、環境に配慮して施工現場から現場外に排出される掘削土を減らすことを目的とした基礎杭の構築方法及び既製杭並びに杭穴掘削ロッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、杭穴掘削中に生じる掘削土は、杭穴内に形成される基礎杭構造にとって、その強度を悪化させる要素であった為、できるだけ杭穴内から除去する工夫がなされていた。
【0003】
また、通常は、杭穴の掘削効率を高める為には、できるだけ杭穴の掘削速度を速くする工夫がなされていた。そのため、掘削中の杭穴底、即ち掘削ヘッドの周囲の掘削土を速やかに、地上に排出するため、掘削ロッドの構造の選定や工法の選定がなされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
杭穴内から排出される掘削土を、施工現場内に置くことは現場スペースの関係からも困難であり、仮に置けたとしても現場全体の施工効率を悪化させるおそれがあった。従って、掘削土はいわゆる産業廃棄物として、速やかに構築現場から除去されていた。地球環境を考慮したならば、このような産業廃棄物はできるだけ少なくすることが望ましく、また掘削土処理に係る費用も施工コストに影響する問題点があった。
【0005】
前記従来の技術では、掘削土は、掘削中の杭穴底からできるだけ速く掘削土を除去して、杭穴の掘削効率を高めることに主眼がおかれ、排土を少なくしてかつ掘削効率を維持する工夫はなかった。
【0006】
また、杭穴内に、コンクリート製の既製杭を埋設する工法では、掘削ロッドで地盤を掘削するに際し、掘削ロッドの練付機構部で、杭穴の内周壁面を練付けして内壁地盤を強化して、既製杭の外周面との接触面の密度を上げ、既製杭の周面による摩擦支持力を向上させる工法があった。係る工法では、掘削土が杭穴壁に練り付けられる為に結果として、排土を少なくすることが可能となっていたが、排土の削減という点では、充分ではなかった。
【0007】
また、1本の杭基礎として、更に現場全体を勘案して、総体的に掘削土を削減しようとする視点から杭基礎構造及び工法が採用された施工例は殆ど見られなかった。
【0008】
また、従来、その施工現場で、より大きな支持力が得られるようにより深い地層まで杭を打設して、支持力を増加させて、基礎杭総数(掘削する杭穴の数又は既製杭の数)を減らすことはなされている。また、逆に、単に1本の杭基礎の支持力を低く設定して、1本当たりの掘削土の発生を削減させることも可能である。前者の場合、1本当たりの排出量が大きくなり、後者の場合には、掘削本数が多くなり、いずれの場合でも、結果としてその現場全体の産業排出物総量を考慮することはなされず、総排出量が明確に把握されていないのが実状である。従って、施工現場全体の視点からの産業排出物削減のための新たな取り組み・方策が求められている。
【0009】
また、従来の揺動する移動掘削刃を有する掘削ロッドでは、移動掘削刃で主に杭穴壁を削って掘進する構造であり、ロッド本体下端の固定刃については、あまり掘削土の粉砕化に関する機能を期待していなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明では、その施工地盤に応じて既製杭の断面形状を選定して、既製杭全体の体積をできるだけ少なくなるように既製杭を構成し、地盤を掘削し、更に本質的に掘削体積当たりの高支持力が得られる杭基礎を選択し、施工現場全体の杭基礎を勘案して、杭基礎の設計・施工をして、前記問題点を解決した。
【0011】
つまり、各施工現場の地盤に関して、支持力を期待でき、支持力を発揮させることができる地層いわゆる「強い層」においては、支持力をより強く発現できる杭材、施工法等を採用してより高い支持力を実現する。同時に、支持力が期待できない、支持力の発揮に影響のない地層いわゆる「弱い層」においては、支持力をより少なくする杭材、施工法等を採用してより小さい支持力とする。このような具合に、両地層を効率的に使い分け、更に、その建造物を支持する最少本数の杭基礎を造成する技術思想を採用することにより、環境により優しい「エコ工法」を実現した。
【0012】
即ち、この発明は、杭穴を掘削しながら又は掘削完了後に、該杭穴内に既製杭を埋設して基礎杭を構築する方法において、以下のように構成したことを特徴とする基礎杭の構築方法である。
(1) 建造物から要求される総支持力を満足し、かつ施工する現場の地盤状況を考慮して、所定の杭穴内に円筒杭からなる既製杭を埋設して、1つの基準基礎杭構造Aとする。
(2) 1本当たりの基礎杭を構築するに際して、掘削する杭穴の「単位掘削体積当たり発揮される支持力」を前記基準基礎杭構造Aより、大きくするように前記杭穴及び既製杭を構成すると共に、更に前記基礎杭前記建造物の総支持力を前記基準基礎杭構造より大きく形成する。
(3) 前記杭穴及び既製杭の構築は、以下のように行う。
(a) 施工地盤を、「支持力を発揮させることができる部分」の「強い層」と「高い支持力の発揮に影響が無い部分」の「弱い層」とに区分する。
(b) 前記既製杭の最大外径に対応させて前記杭穴を掘削し、前記「弱い層」でのみ、前記既製杭の断面を、基準基礎杭構造Aより小さく形成し、前記既製杭の外周と前記杭穴壁との間のスペースに、「掘削土」又は「強い層より掘削土を多く混入したソイルセメント」を充填する。
(4) 以上のように構成した前記基礎杭を、前記施工現場で、基準基礎杭構造Aで構築する杭穴本数より、少ない杭穴本数施工する。
【0013】
また、この発明は、杭穴を掘削しながら又は掘削完了後に、該杭穴内に既製杭を埋設して基礎杭を構築する方法において、以下のように構成したことを特徴とする基礎杭の構築方法である。
(1) 建造物から要求される総支持力を満足し、かつ施工する現場の地盤状況を考慮して、定の杭穴内に円筒杭からなる既製杭を埋設して、1つの基準基礎杭構造Aとする。
(2) 1本当たりの基礎杭を構築するに際し、掘削する杭穴の「単位深さ当たり発揮される支持力」を前記基準基礎杭構造Aより、大きくするように前記杭穴及び既製杭を構成すると共に、更に前記基礎杭前記建造物の総支持力を前記基準基礎杭構造より大きく形成する。
(3) 前記杭穴及び既製杭の構築は、以下のように行う。
(a) 施工地盤を、「支持力を発揮させることができる部分」の「強い層」と「高い支持力の発揮に影響が無い部分」の「弱い層」とに区分する。
(b) 前記既製杭の最大外径に対応させて前記杭穴を掘削し、前記「弱い層」でのみ、前記既製杭の断面を、基準基礎杭構造Aより小さく形成し、前記既製杭の外周と前記杭穴壁との間のスペースに、「掘削土」又は「強い層より掘削土を多く混入したソイルセメント」を充填する。
(4) 以上のように構成した前記基礎杭を、前記施工現場で、基準基礎杭構造Aで構築する杭穴本数より、少ない杭穴本数を施工する。
【0016】
また、この発明は、所定の杭穴内に埋設して基礎杭を構築する一体の杭又は継ぎ杭からなる既製杭において、以下のように構成することを特徴とする既製杭である。
(1) 埋設して基礎杭として所要の支持力を得られるように、前記既製杭は「支持力を発揮できる施工地盤に対応した部分」の断面形状を、「支持力の発揮に影響の少ない施工地盤に対応する部分」より大断面積に形成し、
(2) 前記既製杭の総体の体積をできるだけ小さくなるように形状を選定した
【0019】
また、この発明は、ロッドの下端部に掘削ヘッドを有し、中間部に排土用のスパイラルを形成した掘削ロッドにおいて、前記スパイラルは、前記掘削ヘッドの直上を含めて、外周面の略全長に渡り形成し、さらに、長さ方向の中間部で所定高さに亘り前記スパイラルの一部を除去して間隙部を形成し、該間隙部に撹拌機構を取り付けたことを特徴とする杭穴掘削ロッドである。
【0020】
更に、この発明は、ロッドの下端部に掘削ヘッドを有する掘削ロッドにおいて、前記掘削ヘッドは本体部の両側に拡開できる掘削刃を形成し、本体部の下端部に、掘削すべき杭穴底面の略全体を掘削できるように、複数の固定掘削刃を下方に向けて突出して形成し、該固定掘削刃の内、杭穴底面の中央部を掘削する固定掘削刃は、鉛直に対して傾斜して、刃先が杭穴底面の略中心に位置するように構成したことを特徴とする杭穴掘削ロッドである。
【0021】
前記における「地盤状況」とは、地盤強度、地盤の周囲の地質状況などをいう。
【0022】
また、前記における「高い支持力を発揮させる地盤」の部分とは、主にいわゆる支持地盤をさす。「高い支持力の発揮に影響が少ない地盤」とは、上記「高い支持力を発揮させる地盤」以外の地盤をいい、例えば中間部深さでN値が低めの地盤で、既製杭の周面摩擦力が少ない地盤等をいう。
【0023】
また、前記における「貯め置き」とは、掘削土を掘削土のままで、杭穴内に戻す場合、あるいは掘削土を多く混入したソイルセメントとして杭穴充填物とする場合などがある。
【0024】
また、前記における「産業排出物」とは、掘削土及びその混合物の他、地盤掘削時に駆動機のモーターやエンジンが発する騒音、排気ガス、発熱、その他機材の運搬及び施工準備中の各種騒音など、現場が周囲の環境に対して排出するものを指す。
【0025】
また、前記における「(建造物から要求される総)支持力」とは、主に鉛直支持力を指すが、水平支持力を含めて、同様の内容で考慮することもできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
一般に、施工地盤には支持地盤の上方で、「支持力を発揮させることができる部分」(強い層)と、「高い支持力の発揮に影響が無い部分」(弱い層)とが混在している。この場合、弱い層に位置する既製杭をいくら大断面(高強度)に形成しても基礎杭構造全体の強度に与える貢献は少ない。そこで、係る弱い層にあたる部分の既製杭の断面を小さく形成する。
【0027】
杭穴は、既製杭の最大外径に対応させて掘削すると、弱い層に対応した部分の既製杭では外径が小さくなっているので、既製杭の外周と杭穴壁との間のスペースがより大きくなる。このスペースは、基礎杭構造全体の支持力に与える影響が少ないので、このスペース内に掘削土を掘削土として貯め置いたり、あるいはより掘削土を多く混入したソイルセメントを充填することができる。
【0028】
このスペースの有効活用により杭穴掘削で生じる排土をできるだけ少なく環境に優しい基礎杭構造とすることが本発明の特徴である。
【0029】
この発明は、支持地盤における最も「強い層」において、根固め用の拡大部を形成した杭穴を掘削し、拡大部内には強固なセメントミルク又はソイルセメントを充填し、環状リブを形成した既製杭を埋設して、充分な垂直支持力及び引抜力を確保する。拡大部で充分な支持力を確保できれば、その上方では、同一軸径の円筒杭を使用しても全体の支持力に影響は少なく、環状リブに相当する分だけ外径が小さな体積の既製杭とすることができる。従って、排土を貯め置く為のスペースが確保できる。
【0030】
また、環状リブの有無で、既製杭全体の体積を調節したが、軸部の外径自体を変化させて対応することもできる。また、既製杭は1本の杭で、断面を変化させることも、異なる断面の既製杭を継ぎ杭として使用するも自由である。
【0031】
また、前記実施形態では、各杭基礎単独での掘削土の排出を削減する方策を示しているが、更に工事現場全体として、総合的に掘削土の排出を減らすには、その工事現場全体を勘案して所要の掘削総体積を削減させることが本質的に必要である。
【0032】
即ち、施工現場全体としての掘削体積を減らすためには、1本の杭基礎につき、体積当たり最大あるいはより大きい鉛直支持力を利用するバランスの取れた杭基礎を構成し、その現場における杭基礎使用本数を削減することにより、施工現場全体としての産業排出物を最少あるいはより小さくした杭基礎を施工する。これにより、排出する掘削土を削減し、その他騒音放出、使用エネルギー量等も削減して総合的に環境に優しいエコ工法を実現するのが、この発明の特徴でもある。
【0033】
【実施例1】
図4乃至図6に基づきこの発明の掘削ロッドの構成について説明する。
【0034】
(1)掘削ヘッドについて説明する。
【0035】
掘削ヘッド27は、上端部にロッド本体との連結部を有し、ロッド本体からの掘削刃を駆動する回転掘削トルクが伝達される。
【0036】
掘削ヘッド27の最下端に、固定掘削刃29、30が下方に向けて突設されている。掘削ヘッド27の側面に、軸の周りに揺動して、杭穴の内壁径を可変掘削する掘削アーム32、32が取り付けられ、該掘削アーム32の先端部にも移動刃33が形成されている。また、掘削アーム32には、「く」字状に屈曲した撹拌練付けバー34が取り付けてある。
【0037】
前記固定刃29、30の先端29a、30aは、掘削アーム32、32を下方に垂らしてニュートラル状態にした場合において、掘削アーム32の移動刃33の先端33aよりも更に下方に位置している(図5(a))。また、各固定刃29、30により同心円状に掘削面に当接して、もらさず掘削できるようになっている。
【0038】
また、最も内側に位置する固定刃30の先端30aは、掘削ヘッド27(掘削面)の中心線31上に位置し、かつ他の固定刃29、29の先端29aとほぼ同じ高さになるように斜め(鉛直と成す角θが10〜30度程度)に取り付けられている(図5(a))。従って、最初の掘削時に位置出しし、掘削穴底部を隙間なく掘削刃が配置してあり、かつ、掘削アーム32による掘削に先行しており、中央部の掘削土を小さく砕くことがきる。
【0039】
前記において、通常、固定刃29、30は掘削面積の少なくとも60%以上を掘削できるように、「刃の配置を調節して」及び/又は「刃数を増減して」ある。この場合でも、中央部を掘削する固定刃30は斜めに設定する。また、掘削面積にもよるが、通常は4本が適当であるが、地盤により、例えば砂質土などの分離しやすい地盤の場合は、2本でも掘削土を粉砕し、所定の掘削スピードを確保できれば、可能である。
【0040】
また、掘削ヘッド27には、掘削アーム32、32の移動刃33の位置に対応して吐出口36、36を設け、また掘削ヘッドの下端中央にも吐出口37を設けてある。両吐出口36、37は掘削ロッドの中空部内、掘削ヘッド27内のパイプを介して地上から水等を供給できるようになっている。上記吐出口36、37から所定量の水やセメントミルクを注入しながら掘削すれば、固定刃29、30、移動刃33、33に直接水等を吐出して泥土化するので、掘削土が残留しても掘削スピードに影響がない。
【0041】
また、前記掘削ヘッド27の側面で、掘削アーム32、32を設けて無い側に、掘削している部分の近傍から杭穴中間部に向けて掘削土を押し上げることができる排土翼38、38が設けてある。
【0042】
以上のようにして、掘削ヘッド27が構成される(図5)。
【0043】
また、ロッド本体40には、下端部に掘削ヘッド27との連結部を形成し、また外周面にほぼ全長に亘り、螺旋状の排土スパイラル41が断続的に形成されている。前記排土スパイラル41は長さ方向で、一部分を除去して無スパイラルとした間隙部42が形成され、間隙部42には撹拌練付けバー43、43が横方向に突設されている。
【0044】
このようにして断続的に形成した排土スパイラル41により、砕いて上方に搬送される掘削土をロッド本体40の途中の間隙部42(撹拌練付けバー43、43設置部分)に残留させることができる。従って、この間隙部42の長さと、形成箇所は、掘削土を残留させる量に見合った程度に調節する。
【0045】
以上のような構成のロッド本体40の下端部に、掘削ヘッド27を連結部28で連結して、この発明の掘削ロッド45を構成する(図4)。
【0046】
(2)他の実施例
前記掘削ヘッド27は他の従来のロッド本体、例えば練付ドラム等を備えたロッド本体(図示していない)と連結して、掘削ロッドを構成することもできる(図示していない)。
【0047】
また、前記ロッド本体40は、他の掘削ヘッドと連結して掘削ロッドを構成することもできる。例えば、上端部にロッド本体40との連結部28を有し、下端に下方に突出した固定刃48、48を取付けた掘削ヘッド47を使用することもできる(図6)。この掘削ヘッドは、排土用のスパイラル52、52を有し、下端部に縦軸51周りに拡開できる拡大刃50付き拡大翼49、49が取り付けられている。また、前記固定刃48の内、最も内周側を掘削する固定刃48と、その外側を掘削する固定刃48とは中心線31側に傾斜して取り付けられている。また、最も内周側を掘削する固定刃48の刃先48aは、中心線31付近に位置している。
【0048】
前記掘削ヘッド47では、掘削ヘッド47を回転させながら、固定刃48、48によって、杭穴の軸部を掘削する。このとき、掘削された掘削土はスパイラル52、52により揚土され、掘削ロッドによって移送され、一部は杭穴壁に練り付けられる等、杭穴内に残置される。掘削ヘッドの正回転時(軸部掘削時)には拡大翼49は縮小されて畳まれた状態になっている。また、杭穴先端部に拡大部(拡底部)を掘削する場合には、掘削ヘッドを逆回転させて、杭穴内の土圧抵抗によって、拡大翼49を拡大させて、拡大掘削を行う。
【0049】
また、拡大掘削以外では、掘削径が一定(例えば、掘削アーム機構による掘削ヘッドでは、土圧状況に左右されて、所望の杭穴径よりも小さな掘削径となってしまうことがある)の固定刃48、48で掘削をするので、一定の穴径の杭穴を掘削できる。また、掘削ヘッド47では、スパイラル52を設けたため、掘削時に妨げとなる掘削土を、固定刃48付近から除去して上方に揚土できる。
【0050】
【実施例2】
図1、2に基づきこの発明の構築方法について説明する。この実施例では、所要支持力を得るのに体積の小さい杭構成の既製杭を使用し、かつ根固め部より上部の杭を小体積(小径)とする基礎杭構造とするものである。
【0051】
(1)実施例の基礎杭構造
【0052】
(a) 既製杭の構成(図1(a))
上部杭1を円筒杭、下部杭2を節付き根固め杭の継ぎ杭の構成とする。
【0053】
Figure 0005024692
【0054】
Figure 0005024692
【0055】
(c) 基礎杭構造の構築
【0056】
前記杭穴掘削ロッドを使用して、杭穴4の軸部5を掘削し、続いて、穴底側に拡大部6を形成する(図1(b))。この際、固定刃、撹拌練付けバーにより破砕され、細かくなった掘削土の一部は、地上に排出されず、杭穴4内に貯め置かれている。
【0057】
ここで、杭穴4の拡大部6内には、固化強度30N/mm のセメントミルクが注入され、掘削土と撹拌・混合したソイルセメントが充填されている。また、杭穴4の軸部5には、固化強度20N/mm のセメントミルクが注入され、掘削土と撹拌・混合したソイルセメント(強度3N/mm 程度)がほぼ杭穴口まで充填される。
【0058】
続いて、杭穴4内に、既製杭(下部杭2、上部杭1)を下降させ、杭穴4の拡大部6内に、既製杭2の下端部を保持する。ここで、既製杭2の底面2aは、杭穴4(拡大部6)の底7より、高さHA だけ上方に位置している。また、拡大部6内に位置する最上位の環状リブ3aと拡大部6内の最上部の水平面Xとに、間隙HA (=60cm)を設ける(図1(c))。
【0059】
ソイルセメントの固化により、杭穴4内に既製杭1、2が埋設された杭構造10を構築する(図1(c))。
【0060】
このように構築した基礎杭構造10は、支持地盤の強度を7.5N/mm 程度とした場合、基礎杭構造10に、垂直荷重W を加え、最終的にW =100N/mm 程度とした際に、クラックを生じて破壊される。W =100N/mm とするまでは、基礎杭構造10は健全であった(図1(c))。
【0061】
また、同様の基礎杭構造に、引抜力W2 =1kN/mm を加えたところ、最終的に引き抜きが生ぜず、基礎杭構造は健全であった(図1(c))。
【0062】
(2)比較例の基礎杭構造
【0063】
(a) 既製杭の構成(図2(a))
コンクリート既製杭(円筒)2本の継ぎ杭の構成とする。
【0064】
上部杭11、下部杭12とも
外径dB =75cm
杭長LB 、LB =7m
【0065】
Figure 0005024692
【0066】
(c) 基礎杭構造の構築
【0067】
従来の練付ドラムをロッド本体に有する掘削ロッドを使用する(図示していない)。掘削ヘッドの先端から水を噴射しながら掘削し、撹拌した泥塊を練付ドラムで杭穴壁に練り付ける。所定の深度まで、杭穴14軸部15を掘削したなら穴底17側に拡大部16を形成する(図2(b))。
【0068】
杭穴14の拡大部16内には、固化強度30N/mm のセメントミルクが注入され、泥土と撹拌混合されソイルセメントが充填されている。
【0069】
続いて、杭穴14内に、既製杭12、11を下降させ、杭穴14の拡大部16内に、既製杭12の下端部を保持する。ここで、既製杭12の底面12aは、杭穴14(拡大部16)の底17よりHB だけ上方に位置している。
【0070】
ソイルセメントの固化により、杭穴14内に既製杭が埋設された基礎杭構造20を構築する(図2(c))。
【0071】
このように構築した基礎杭構造20は、支持地盤の強度にもよるが、支持耐力約50〜60N/mm 程度の強度を有する。
【0072】
(3)評価
【0073】
同一杭穴径で実施した前記(1)(2)の評価を下記に示す。
【0074】
(a) 前記実施例の「外径60cm環状リブ付き」の既製杭2と、比較例の「外径75cm」の既製杭11、12との杭断面積の比較を行う。
【0075】
A(60cm杭断面積):2826cm
B(75cm杭断面積):4415.6cm
従って、A/B=64%(約35%減)
【0076】
よって、既製杭が小さくなった分だけ、基礎杭構造10で、支持力に影響の少ない上層部に掘削土を残置させることが可能である。
【0077】
既製杭2の杭外径を75cmより60cmに減らす分だけ排土削減できる。
【0078】
下部杭2の環状リブ3の分だけ体積が大きくなるが、下部杭2の約5%程度程度であり、全体効果としては30%以上あり、ほとんど影響がない。
【0079】
(b) 断面積すなわち体積あたりの支持力の大きい基礎杭構造1を利用すれば、既製杭の体積を削減でき、ソイルセメントにより多くの掘削土を混入させて、掘削土を多く杭穴4内に残置できることがわかる。
【0080】
拡大部(根固め部)のみの支持強度を強化し、上部の既製杭1では強度を従来程度にして、基礎杭構造10としての総合支持力を確保し、既製杭本体の体積を小さくできている。
【0081】
拡大部(根固め部)に軸径が小さい節付き根固め杭(下部杭2)を設け、支持力を従来より強化し、上部に下部杭2の最大外径(節径)より小径の円筒杭(上部杭1)を連結することにより、小さい杭体積で所要の支持力が得られた。
【0082】
拡大部(根固め部)に配置される既製杭の外径を大きくし、上拡大部の上方に位置する既製杭の外径を小さくしており全体として既製杭の体積が節約できた。
【0083】
(c) また、基礎杭構造10は基礎杭構造20に比べ約2倍の支持力強度を発現でき、仮に基礎杭構造20に基礎杭構造10と同等な支持力強度を与える為には、既製杭の径を、
Figure 0005024692
に対し、例えば、
Figure 0005024692
として、杭断面積を大きくしなければならない。
【0084】
上記より、基礎杭構造10は基礎杭構造20に比べ、大径の杭穴を掘削しなければならず、掘削土の量が多くなる。
【0085】
このことからも、基礎杭構造10は基礎杭構造20に比べて、掘削土を軽減させることができる。
【0086】
(4)他の実施例
【0087】
前記実施例において、既製杭1、2を回転させながら下降することもでき、この場合には、既製杭1、2の表面に掘削中の泥土を付着させないので、既製杭1、2とセメントミルクの一体性が確保でき、より安定した耐力が期待できる。
【0088】
また、前記実施例では、埋設した地盤の下層が砂質土であったので、拡大部6で掘削土と撹拌してソイルセメントを形成したが、シルト等を含み地質が良くない場合には、セメントミルクを拡大部6の底7に注入し、強度上良くないシルト等を杭穴4の軸部5上層部に押し上げて、拡大部6にセメントミルクが充填されるように置換することもできる。
【0089】
前記において、既製杭1、2の中空部は、鉛直支持力に対する影響が小さいので、既製杭1、2を杭穴4内に設置した後に、既製杭1、2の中空部内に掘削土を撹拌しながら戻して既製杭1、2の中空部内には、掘削土の含有率が大きいソイルセメントとすることもできる。この場合には、杭穴4の拡大部6周辺に位置する既製杭1、2の中空部は、鉛直支持力に与える影響が大きいので、戻した掘削土が混入しないようにする。
【0090】
また、前記実施例において、この発明の掘削ロッドを使用したが、従来の他の掘削ロッドを使用することもできる。
【0091】
【実施例3】
次に、図3に基づき、支持力の良い地層と良くない地層が混在している地盤の実施例について説明する。
【0092】
(1)本願発明の実施例
【0093】
(a) 地層の探さ方向において、地盤強度の期待できる地層に節付きの既製杭を埋設し、地盤強度のあまり期待できない地層には、円筒状の既製杭を埋設する連結横成とする。このようにして、連結した既製杭全体として支持力を確保する。
【0094】
(b) 発明の基礎杭構造の構成例
地盤の地層は上からJ、・・・、Jとなっている。
【0095】
Figure 0005024692
【0096】
各既製杭は、円筒杭22の外径D と節付き杭23の軸径D が同一寸応である。
Figure 0005024692
【0097】
(c) 構築方法は、前記実施例と同様に軸部5と拡大部6を有する杭穴4を掘削し、残置した掘削土と撹拌混合したソイルセメントが杭穴4内に充填される。杭穴内に円筒杭22又は節付き杭23を埋設して、基礎杭構造25を構築する(図3)。
【0098】
支持力に影響力の少ないJ、Jの地層に対応する部分の既製杭の外径を小径としたので、該部に既製杭の外周と杭穴壁との間のスペースを多く取れる。従って、このスペースに、掘削土を多く混合したソイルセメントや掘削土その物を残置でき、排土量を削減できる。
【0099】
(2)評価
【0100】
前記実施例の基礎杭構造25では、全ての既製杭を外径D の円筒杭を使用する場合に比べて、掘削土残置可能体積は約40%増加し、排土も同様の効果が期待できる。
【0101】
また、全ての既製杭を、節部外径D 、軸部外径D の既製杭を使用した場合に比べて、掘削土の残置量が約15〜20%拡大でき、排土も同様の効果が期待できる。
【0102】
【現場試験例との比較】
従来工法の杭基礎に対し、体積当たり最大あるいはより大きい鉛直支持力を有する杭基礎を構成し、施工現場全体としての総掘削体積を削減した場合には、結果として施工現場全体としての排出掘削土を最少あるいはより小さくした杭基礎を実現しており、その他産業排出物総量に関しても削減可能であり、総合的に環境に優しいエコ工法を実現している。以下、従来工法との比較例を用いて本発明の作用効果を説明する。
【0103】
[従来例と本発明実施との比較]
(1)施工現場の地盤・地質状況
【0104】
現場における標準貫入試験での地質調査結果は以下の通りであった。
【0105】
地表より地下約40mまでは地質がほぼ砂質土系であり、次の通り深くなるにつれ、N値が増加し地盤強度が漸次良くなっている通常の地盤である。
地表からほぼ10mまでの平均N値:10
地表からほぼ20mまでの平均N値:25
地表からほぼ40mまでの平均N碇:35
地表からほぼ10mから15mまでの平均N値:40
地表からほぼ20mから26mまでの平均N値:45
地表からほぼ40mから45mまでの平均N値:50
【0106】
(2)杭基礎の杭仕様
【0107】
Figure 0005024692
尚、前記の発明の実施例2とほぼ同一仕様の杭基礎を杭基礎番号Sで略示している。
【0108】
(3)杭基礎の施工方法・仕様など
【0109】
(a) 杭基礎番号のA、B、D、E、Lの施工方法・仕様など:
【0110】
特殊オーガーヘッドを使用して、所要の杭穴(杭穴径=杭径+3cm)を掘削し、土質により適宜、水を使用しながら穴内の掘削土を泥土化すると共に、掘削ロッドの中間位置に取り付けられた練付ドラムにより杭穴の内壁にその土泥を練り付けし、杭穴を形成する。また杭穴の底部は、掘削ロッドの先端に取り付けた掘削刃の掘削径を上部(杭穴軸部)より拡大して掘削し、拡底根固め部(拡大径=杭径+20cm、拡大根固め部の高さ=約2.5×杭径)を形成し、その後、拡底根固め部へ根固め用セメントミルクを注入し、引き続き杭穴上部の杭周部にも杭周固定用セメントミルクを注入し、土泥と混合し、ソイルセメント化し、このソイルセメントを地表面の杭口近くまで満たす。
【0111】
続いて所要の杭を回転しながら杭穴の中へ沈降させていき、杭の最下端部を拡底根固め部の最下底部、または最下底部より50〜60cm程度上方に定置しソイルセメント層を固化させ、所要固化強度を発現させる。
【0112】
尚、拡底根固め部の注入セメントミルクの固化強度は約20N/mmで、杭周部のセメントミルクの固化強度は約1N/mmである。
【0113】
(b) 杭基礎番号Sの施工方法・仕様など
【0114】
前記(1)〜(3)項の施工方法・仕様において、下記の通りに一部変更されているが、内容は実施例2で記載されている通りである。
*杭穴寸法
軸部径:78cm、
拡底根固め部の拡大径:約110cm
拡底根固め部の高さ:約3m
*根固め部の注入セメントミルクの固化強度は、30N/mm
*軸部の注入セメントミルクの固化強度は、約20N/mmであり、掘削土との混合により約3N/mm が確保されている。
【0115】
(4)杭基礎施工試験結果
【0116】
上記仕様に基づいて、各杭基礎の施工した時の見込み値を、杭基礎番号Aを基準として比較して示す。各杭基礎の比較を簡略化して表示するために、本現場の建造物は、杭基礎番号Aで100本分の支持力が必要として比較表示した。
【0117】
杭基礎番号Aにおける実データは次の通りであり、これをベースとして他の杭基礎の比較値を示した。
地盤による設計支持力:約110t、
杭重量:約4.8t
各指標の中、杭長、杭径、杭穴本数は実数で、その他の指標は比較値で表示した。
【0118】
注1.掘削体積比較は、各基礎ほぼ共通の根固め部を含めないで算出した。
2.掘削時間は、実際に杭穴の掘削時の時間比較で表示した。
各指標は下記の記号で略表示する。
杭支持力比:f、掘削体積比:b、掘削時間比:t、
杭重量比:w、杭長:l、杭径:d、
単位体積当たりの支持力比:f/b、
単位深さ当たりの支持力比:f/l
【0119】
(a) 同一杭径の既製杭を複数連結して、鉛直支持力を増強する通常の施工方法での比較;
【0120】
従来の杭基礎工法(杭基礎D、L)と杭基礎Aの比較結果を下記表1、2に示す。
【0121】
【表1】
Figure 0005024692
【0122】
【表2】
Figure 0005024692
【0123】
従来は、杭基礎Aより鉛直支持力を増強する場合には、支持地盤としてより強度の高い地層にまで杭穴を掘削し、杭を埋投するのが通常であり、例えば杭基礎Dのように杭基礎Aの13m杭に、10m杭を1本連結して、N値45まで埋設して23m杭とする。あるいはN値50の支持地盤を利用して支持力を増強させる場合には、更に複数の10m杭を連結して杭基礎Lのようにする。
【0124】
杭基礎D、Lは、杭基礎Aに比べ確かに支持力は1.6〜2.8倍に増強され施工現場全体としては、杭基礎総数は減少するが、その割に掘削体積は減らず総掘削体積が逆に約10〜20%増加し、掘削土の排出量の削減は期待できず、また、工事現場での総掘削時間及び総杭重量も増加し、工事現場全体での使用電力等の用力が逆に増加している。
【0125】
従って、従来、通常採用されている杭をそのまま複数連結して杭基礎L等のように、支持力を上げても掘削体積は減らず、掘削土排出等現場全体での産業排出物削減は見込めず、逆に環境に好ましくない結果となる。
【0126】
ここで、杭深さ(杭長)当たりの支持力値を算出すると杭基礎Aに対し、杭基礎D、Lは約10%ずつ悪くなっており、本発明が妥当であることも示している。
【0127】
(b) 同一杭深さ(杭長)の杭基礎におい杭径を拡大し支持力を増加した場合;
【0128】
施工現場によっては有力で、簡便な施工方法である。
【0129】
杭基礎B、Eと杭基礎Aとの比較を下記表3、4に示す。
【0130】
【表3】
Figure 0005024692
【0131】
【表4】
Figure 0005024692
【0132】
杭基礎B、Eは、杭基礎Aに対し同一地層に杭長は同一で杭径を大きくし、1基礎での掘削体積当たりの支持強度を向上させているが、単位深さ(杭長)当たりの支持力は増加・向上していない。従って、現場全体としての総量で比較した場合は、総掘削体積、杭と杭穴の隙間の総体積はほぼ同一で、掘削土の排出節減効果を見出せていないが、施工現場全体として総掘削時間が減少しており、杭穴総数減での杭基礎準備時間減との2重の削減効果で施工日数の大幅削減(約30%)が見込まれ、排ガス、騒音なとの減少が期待でき、環境面からすれば改善されたより優しい「エコ工法」を実現させることができる。ここで例示した杭径においても同様な傾向が認められる。
【0133】
尚、ここで、杭基礎B、Eの中からEの選択が環境面から望ましいが、建造物の梁構造からの安全性から許容されなければ、杭基礎数を増やしたB杭基礎等を選択する。
【0134】
杭基礎B、Eは、単一の杭基礎での指標比較では一見して杭基礎Aに劣り、掘削土の排出は削減されていないが、杭基礎の深さ(杭長)当たりの支持力が大きくなっているため、施工現場全体としての環境面から改善されていることが確認できた。
【0135】
(c) 杭基礎の根固め部の支持力を特に強化し、体積当たりの支持力を増強した杭基礎S(実施例2)との比較
【0136】
杭基礎SとB、Eとの比較を下記表5、6に示す。
【0137】
【表5】
Figure 0005024692
【0138】
【表6】
Figure 0005024692
【0139】
杭基礎S(実施例2)における、杭穴軸部の杭径は、杭基礎Aと同一の60cmであり、杭長も13mで杭基礎B、Eと同一であるが、根固め部となる杭先端部(下端部)の約3m部分を拡底杭穴とし、更に使用するセメントミルクの質および注入方法等の工法を変更して根固め部のみ突起付き(節)杭により支持強度を大幅に強化した杭基礎である。
【0140】
杭基礎S(実施例2)は、単一杭基礎として他の基礎杭と比較した場合は、掘削体積、掘削時間共に必ずしも良い杭基礎とは言えない。しかし、体積当たりの支持力及び単位深さ(杭長)当たりの支持力は従来工法に比べ大きいため、その現場施工全体として総量を比較した場合は、他の従来の杭基礎に比べ掘削総体積を半分以下に減少させることができ、掘削土も同様に削減されている。更に加えて、支持力を主として負担させている根固め部のみを従来より拡大した拡底部とし、支持力の負担をあまり期待していない杭軸部を大径としていないために杭の上部の円筒杭は太径とせず、水平支持力も可能な範囲で小さくしており、必要によっては曲げモーメントの大きい杭材を使用する等をして、掘削土を杭穴内に埋設する隙間も確保しており掘削土の排出も60%以上での大幅な節減が可能となっている。
【0141】
また、現場全体の総掘削時間も杭基礎Aの約30%であり、杭基礎B、Eに比較しても削減されており、更に杭穴本数も1/4に減少し、現場の総稼動時間も1/2以下等大幅な短縮が可能であり、排ガス、その他有害な産業俳出物の削減も実現できる。
【0142】
以上の結果によれば、杭基礎S(実施例2)において、使用する杭径を更に大径と根固め部の支持力を増加することにより、更に、より環境に優しい工法とすることができることも言える。
【0143】
尚、ここまで杭基礎の本数を削減すると、建造物の梁構造等から必要とされる杭基礎の位置、その場所での1本当たりの必要支持強度などを適合させることによる許容される範囲すなわち杭基礎の下限所要本数等が制限されるのは勿論である。
【0144】
(d) 評価
【0145】
前記の試験結果により、施工現場において、その建造物の杭基礎に対する要求仕様を満たしながら、地盤強度に基づく支持力に関して、図7(a)及び図8(b)に示すように、掘削体積当たり最大またはより大きい鉛直支持力を有する杭基礎、あるいは、図7(b)及び図8(a)に示すように、単位深さ(杭長)当たり最大またはより大きい鉛直支持力を有する杭基礎を採用することにより、掘削土を初めとする産業排出物を施工現場全体として総合的に削減できることが確認できた。
【0146】
また、図7(a)において、例えば、杭基礎Sは本来実施例2で得られる杭基礎の試験結果とほぼ同様の値を示しており、結果としてその可能性を明示したものであり、杭基礎Aと杭基礎Sとの間の測定点が欠けている部分があるが、建造物の要求使用や地盤状況により杭基礎Sの設計一部変更し、体積当たりの支持力を低減させれば、この部分の基礎杭の施工が可能である。
【0147】
また、前記の施工地盤こ応じて既製杭の断面形状を選定して既製杭の体積をできるだけ少なくなるように既製杭を構成して地盤を掘削することも併せ実施しており、環境面からより優しい工法を実現している。
【0148】
即ち、各施工現場の地盤に関して、支持が期待できる地層いわゆる「強い層」においては支持力をより強く発現できる杭材、施工法等を採用し、また、支持力が期待できない地層いわゆる「弱い層」においては支持力をより少なくする杭材、施工法等を採用すると言う具合に両地層を効率的に使い分け、更に、その建造物を支持する杭基礎本数を低減して造成することにより、施工現場全体としての排出物を低減することができ、環境に優しい「エコ工法」を実現することができる。
【0149】
尚、実際の施工において、調達可能な資材で施工せざるを得ない場合や、あるいは、地盤の途中(杭穴の軸部に対応する深さ等)の地質が悪く安定せず、ばらついている場合など、名種の制約がある場合においても、上記のような思想でより適切な杭基礎を選択すれば、その時点で実務的に最適な「エコ工法」を採用することができる。
【0150】
また、「エコ工法」の設計に際しては、先ず、従来の手馴れた技術者の設計において、鉛直支持力を増加させ、更に上記発明に基づく技術思想をもって、設計を見直しし、杭基礎本数を削減することにより、より容易に施工現場全体としての「エコ工法」が実現できる。
【0151】
【発明の効果】
この発明では、高い支持力を発揮させる部分の施工地盤に対応する部分の外径を大径にし、高い支持力を発揮に影響の少ない部分の施工地盤に対応する部分の外径を小径に形成したので、杭穴内で、支持力を発揮に影響の少ない部分では、既製杭の外周壁と杭穴壁との間にスペースが生じ、このスペース内に掘削土を貯め置くことができ、施工現場から掘削土の排出量を減らすことができ、環境に優しい施工を実現できる効果がある。また、結果として排土の処理費用を削減でき、施工コストの削減もできる。また、高い支持力を発揮させる部分の施工地盤に対応する部分の外径を大径としているので、基礎杭構造全体の支持力を確保して、効率よい支持力負担ができる。
【0152】
また、この発明の掘削ロッドでは、掘削効率を下げることなく、排土効率を下げることができるので、杭穴内に掘削土を貯め置くことができ、杭穴からの排土を削減できることができる効果がある。
【0153】
また、この発明では、掘削体積当たりより大きい鉛直支持力を有する杭基礎とし、あるいは、杭穴単位深さ当たり、より大きい鉛直支持力を有する基礎杭を採用することにより、施工現場全体としての掘削土総量を削減することができるので、前記効果に加えて、更に他の産業排出物を総合的に削減でき、従来に無い、より環境に優しい杭基礎施工方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例2の正面図で、(a)は既製杭、(b)は杭穴、(c)は基礎杭構造を表す。
【図2】この発明の比較例の正面図で、(a)は既製杭、(b)は杭穴、(c)は基礎杭構造を表す。
【図3】この発明の実施例3の正面図である。
【図4】この発明の掘削ロッドの正面図である。
【図5】同じく掘削ロッドに使用する掘削ヘッドの正面図である。
【図6】同じく掘削ロッドに使用する他の掘削ヘッドの正面図である。
【図7】現場試験例との比較で、(a)は、f/b値と掘削体積比の関係を表すグラフ、(b)はf/l値と掘削時間比との関係を表すグラフである。
【図8】同じく、(a)は、f/l値と掘削体積比のとの関係を表すグラフ、(b)はb値と支持力比とのとの関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 上部杭
2 下部杭
4 杭穴
5 杭穴の軸部
6 杭穴の拡大部
7 杭穴の底
10 基礎杭構造
11 上部杭(比較例)
12 下部杭(比較例)
14 杭穴(比較例)
15 杭穴の軸部(比較例)
16 杭穴の拡大部(比較例)
17 杭穴の底(比較例)
20 基礎杭構造(比較例)
22 円筒杭
23 節付き杭
25 基礎杭構造
27 掘削ヘッド
29 固定刃
30 固定刃
32 掘削アーム
33 移動刃
34 撹拌練付けバー
38 排土翼
40 ロッド本体
41 排土スパイラル
42 間隙部
43 撹拌練付けバー
45 掘削ロッド
47 掘削ヘッド
48 固定刃
49 拡大翼
50 拡大刃
52 スパイラル

Claims (4)

  1. 杭穴を掘削しながら又は掘削完了後に、該杭穴内に既製杭を埋設して基礎杭を構築する方法において、以下のように構成したことを特徴とする基礎杭の構築方法。
    (1) 建造物から要求される総支持力を満足し、かつ施工する現場の地盤状況を考慮して、所定の杭穴内に円筒杭からなる既製杭を埋設して、1つの基準基礎杭構造Aとする。
    (2) 1本当たりの基礎杭を構築するに際して、掘削する杭穴の「単位掘削体積当たり発揮される支持力」を前記基準基礎杭構造Aより、大きくするように前記杭穴及び既製杭を構成すると共に、
    更に前記基礎杭前記建造物の総支持力を前記基準基礎杭構造より大きく形成する。
    (3) 前記杭穴及び既製杭の構築は、以下のように行う。
    (a) 施工地盤を、「支持力を発揮させることができる部分」の「強い層」と「高い支持力の発揮に影響が無い部分」の「弱い層」とに区分する。
    (b) 前記既製杭の最大外径に対応させて前記杭穴を掘削し、前記「弱い層」でのみ、前記既製杭の断面を、基準基礎杭構造Aより小さく形成し、前記既製杭の外周と前記杭穴壁との間のスペースに、「掘削土」又は「強い層より掘削土を多く混入したソイルセメント」を充填する。
    (4) 以上のように構成した前記基礎杭を、前記施工現場で、基準基礎杭構造Aで構築する杭穴本数より、少ない杭穴本数施工する。
  2. 杭穴を掘削しながら又は掘削完了後に、該杭穴内に既製杭を埋設して基礎杭を構築する方法において、以下のように構成したことを特徴とする基礎杭の構築方法。
    (1) 建造物から要求される総支持力を満足し、かつ施工する現場の地盤状況を考慮して、定の杭穴内に円筒杭からなる既製杭を埋設して、1つの基準基礎杭構造Aとする。
    (2) 1本当たりの基礎杭を構築するに際し、掘削する杭穴の「単位深さ当たり発揮される支持力」を前記基準基礎杭構造Aより、大きくするように前記杭穴及び既製杭を構成すると共に、更に前記基礎杭前記建造物の総支持力を前記基準基礎杭構造より大きく形成する。
    (3) 前記杭穴及び既製杭の構築は、以下のように行う。
    (a) 施工地盤を、「支持力を発揮させることができる部分」の「強い層」と「高い支持力の発揮に影響が無い部分」の「弱い層」とに区分する。
    (b) 前記既製杭の最大外径に対応させて前記杭穴を掘削し、前記「弱い層」でのみ、前記既製杭の断面を、基準基礎杭構造Aより小さく形成し、前記既製杭の外周と前記杭穴壁との間のスペースに、「掘削土」又は「強い層より掘削土を多く混入したソイルセメント」を充填する。
    (4) 以上のように構成した前記基礎杭を、前記施工現場で、基準基礎杭構造Aで構築する杭穴本数より、少ない杭穴本数を施工する。
  3. ロッドの下端部に掘削ヘッドを有し、中間部に排土用のスパイラルを形成した掘削ロッドにおいて、 前記スパイラルは、前記掘削ヘッドの直上を含めて、外周面の略全長に渡り形成し、さらに、長さ方向の中間部で所定高さに亘り前記スパイラルの一部を除去して間隙部を形成し、該間隙部に撹拌機構を取り付けたことを特徴とする杭穴掘削ロッド。
  4. ロッドの下端部に掘削ヘッドを有する掘削ロッドにおいて、前記掘削ヘッドは本体部の両側に拡開できる掘削刃を形成し、本体部の下端部に、掘削すべき杭穴底面の略全体を掘削できるように、複数の固定掘削刃を下方に向けて突出して形成し、該固定掘削刃の内、杭穴底面の中央部を掘削する固定掘削刃は、鉛直に対して傾斜して、刃先が杭穴底面の略中心に位置するように構成したことを特徴とする杭穴掘削ロッド。
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