JP2791361B2 - 節付きパイルおよびその施工方法 - Google Patents

節付きパイルおよびその施工方法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、地上構造物を支える節付きパイルおよびそ
の施工方法に関するものである。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 構造物を支える基礎杭として、杭本体の胴部に複数の
節部を設けた所謂節付きパイルが用いられている。この
節付きパイル(P)は、第22図〔b〕に例示するよう
に、杭の軸方向に設けられた複数の節部(2)が、全て
一定の間隔で設けられている。また、杭本体の胴部
(1)の径に対し、節部(2)の径も上下の節部(2)
で同径である。
そのため、地盤に適正な地盤の支持力性能を充分に発
揮させる基礎杭として用いることができない下記のよう
な欠点があった。
第22図〔a〕に例示するように、一般に基礎杭が打設
される地盤は、砂地盤や粘土質地盤のような種々の地盤
からなり、それぞれの地層によって地盤の硬度も異な
る。それゆえ地盤に打設された基礎杭の支持力は、硬質
地盤(N値の大きい地盤)では支持力も大きく、一方、
軟弱な地盤(N値の低い地盤)では支持力も余り期待で
きない。
従って、施工される基礎杭により、大きな支持力を得
るために、摩擦抵抗や下面抵抗(特に杭先端節部の先端
支持力)が大きい節部(2)が硬質地盤にあるように打
設しようとするが、節付きパイル(P)の節部(2)が
一定ピッチで設けられているために、例えば第22図に示
すように、節付きパイル(P)の第2節部(上から2番
目の節部)(2)が硬質地盤Z1にあるように打設すれ
ば、先端の節部(2)はZ2より下方のN値の低い地盤に
位置することとなり、支持力が低下する。また先端の節
部(2)が硬質地盤Z2位置するように打設すれば、第2
節部が硬質地盤Z1よりはずれ、上記と同様に支持力が低
下する。
そのために、基礎杭が打設される地盤、例えば図示す
るような地盤に最適なピッチ等を変えた既製の節付きパ
イル(P)を製造し、かつこれを当該地盤に打設し得た
としても、地盤が変われば、地層、層厚も変わり、従っ
て、節付きパイル(P)の杭径や節径、更にピッチも変
わることとなり、製造コストを考えれば、全ての地盤に
最適な既製の節付きパイル(P)の到底得られない。
本発明は、前記の問題を解決して、地盤に応じた最適
な節付きパイルを施工することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の節付きパイルは、上記の課題を解決するため
に、複数の節部を設けた既製の節付きパイルの任意の位
置の胴部および節部のいずれか一方もしくは双方に、既
製の環状シェルを嵌め込み装着してなることを特徴とす
る。
また本発明の施工方法は、前記の節付きパイルを所定
の地盤内に打設することを特徴とするものであり、これ
により地盤内に造築される節付きパイルに装着したシェ
ルが、地盤の支持力性能を充分に発揮できる層、深度に
位置することで、地盤に最適な基礎杭を造築できるよう
にしたものである。
さらには、節付きパイルに嵌め込み装着する環状シェ
ルの外径を、節付きパイルの節部外径よりも大きくし、
地盤の支持力性能を有効に利用できるようにしたもので
ある。
[作 用] 上記の本発明の節付きパイルおよびその施工方法によ
れば、既製の環状シェルを嵌め込み装着した節付きパイ
ルを、所定地盤内に打設することとしたので、地盤内の
地層や硬度等に応じて、各パイル毎に前記シェルの嵌め
込み装着位置を適宜定めることができ、したがって節付
きパイルを地盤内に造築したとき、これに嵌め込み装着
されたシェルを、地盤の支持力性能を充分に発揮できる
地盤層や深度に位置させることが容易に可能になる。
殊に前記のシェルを節付きパイルの先端部に装着して
おけば、杭の先端支持力が増大し、またシェルを節付き
パイルの中間位置に装着した場合には、周面摩擦力やシ
ェルの下面抵抗により鉛直支持力も大きくなる。さらに
シェルを上層地盤に位置するように装着した場合、水平
支持力も大きくなる。
また、前記の環状シェルの外径を、節付きパイルの節
部外径よりも大きくすることにより、地盤の支持力性能
を更に有効に利用できて、節付きパイルの性能、節部の
効果を更に増大させ得る。
[実施例] 次に本発明の実施態様を図面に基いて説明する。
第1図は、複数の節部(2)を設けた既製の節付きパ
イル(P)に、既製の環状シェル(S)を嵌め込み装着
した本発明に係る節付きパイルを示している。
第2図〜第7図は、節付きパイル(P)の胴部(1)
に嵌め込み装着される環状シェル(S)を示すもので、
環状を2分割した形状の半割形シェル(Sa)(Sb)より
構成される。
半割形シェル(Sa)(Sb)は、補強籠(4)を芯材と
して成形された既製のコンクリート製品からなる。補強
籠(4)は鉄筋、鉄線などで形成され、縦鉄筋(4a)、
横鉄筋(4b)で略半円編目状に形成される。
(6)は締結穴であって、コンクリート内に埋め込ん
だ締結用パイプ(7)により形成され、環状シェル
(S)を胴部(1)に嵌め込み装着するための締結ロッ
ド(10)が挿通する穴である。
締結ロッド(10)は、少なくとも端部をネジ加工した
ロッドであって、ネジ加工された両端部にナット(12)
をネジ込み締結するものからなる。この締結ロッド(1
0)の代わりに、頭部を有する締結ボルト(11)を用い
てもよい。
(5)はプレートであって補強籠(4)と一体的に装
填され、締結の際の座(8)となる。
一方、前記シェル(S)が装着される節付きパイル
(P)の胴部(1)には、第8図および第9図のよう
に、シェル(S)を嵌め込み装着するための挿通穴(3
a)が設けられている。(3)は挿通パイプでパイル本
体内に埋め込まれ挿通穴(3a)を形成する。シェル
(S)が節部(2)に装着される場合は、節部(2)に
も前記同様の挿通穴が設けられる。
第10図及び第11図は、半割形シェル(Sa)(Sb)を鋼
製のものにした例(第2の実施例)を示しており、半割
状の上下プレート(17)(17)、側板(18)、内壁板
(15)、外壁板(16)とを溶着して形成する。(7a)は
締結用パイプ、(8)は座である。
第12図及び第13図は、半割形シェル(Sa)(Sb)を締
結する締結位置を変え、半割形シェル(Sa)(Sb)の両
側部に締結穴(6)を設けた例(第3の実施例)を示し
ており、特に図は鋼製のシェル(S)の場合を示してい
る。
この実施例の場合、半割形シェル(Sa)(Sb)は2本
の締結ロッド(10)もしくは締結ボルト(11)により、
胴部(1)もしくは節部(2)に嵌め込み装着されるこ
ととなり、したがって節付きパイル(P)本体には挿通
穴(3a)を設けなくてもよいことになる。
第14図は、節付きパイル(P)の胴部(1)に嵌め込
み装着されるシェル(S)の外面部上下に、節部(2)
の形状と略同様のテーパ部(9)を設けた実施例(第4
の実施例)を示しており、この場合、該テーパ部(9)
により、杭およびシェルから地盤への荷重の伝達が良好
になる。
第15図及び第16図は、環状シェル(S)の上端部内面
に節部(2)に合わせたテーパ部(9)を設けた場合を
示し(第5の実施例)、パイル本体からシェル(S)へ
の荷重の伝達が確実となる。
前記の内面テーパ部(9)を第16図のように上下に設
ける場合には、節付きパイル(P)の節部(2)(2)
間の全長に環状シェル(S)を嵌めることになる。
第17図は、節付きパイル(P)の節部(2)の下面が
平らな場合を示し(第6の実施例)、この場合、環状シ
ェル(S)の上面が平らなものをそれぞれ前記下面に接
触させて装着すれば荷重の伝達がよくなる。
第18図は、節部(2)(2)に嵌め込み固設される環
状シェル(S)の実施例(第7の実施例)を示し、この
場合、節部(2)が更に拡大、拡径され、節部(2)の
下面の地盤抵抗、周面抵抗が増大し支持力がアップす
る。
第19図は、節付きパイル(P)の胴部(1)と複数の
節部(2)間に渡って連続する環状シェル(S)を装着
した実施例(第8の実施例)を示し、この場合、周面支
持力が著しく増大するものとなる。
環状シェル(S)が軸方向に長い場合、例えば第16
図、第17図および第18図に例示するように、杭軸方向に
複数の締結穴(6)、挿通穴(3a)を設け、複数箇所で
シェル(Sa)(Sb)を締結してもよい。
上記の各種実施例において、環状シェル(S)の外径
は、節部(2)の外径と略等しいか、それよりやや小さ
いものでも杭支持力は増大するが、前記外径が節部
(2)より大きい場合には特に杭支持力増大の効果が大
きく好ましい。
また、環状シェル(S)は、横断面形状を図のような
円形ではなく角形に形成してもよい。
本発明の節付きパイル(P)の施工方法について、以
下説明する。
節付きパイル(P)は打ち込み工法、埋め込み工法の
いずれの工法でも施工できるが、いずれにしても、施工
現場の地盤調査(土質柱状図、N値等)に基いて、節付
きパイル(P)の軸方向所定の位置に、半割形シェル
(Sa)(Sb)を嵌め込み装着する。すなわち既製の節付
きパイル(P)をそのまま打設した場合には、充分に地
盤の支持力性能を生かし得ない深度、地層に相当する位
置の節付きパイル(P)の胴部(1)もしくは節部
(2)の個所、または胴部(1)と節部(2)の両個所
に、半割形シェル(Sa)(Sb)を装着固定する(第20図
〔a〕〔b〕〔c〕)。この嵌め込み装着位置は図のよ
うにパイル(P)の深さ方向の複数の位置であってもよ
い。
この嵌め込み装着の際、シェル(S)の締結穴
(6)、パイル本体の挿通穴(3a)を位置合わせし、該
穴に締結ロッド(10)もしくは締結ボルト(11)を挿通
してナット(12)をねじ込み締結する。
この場合、半割形シェル(Sa)(Sb)の内面、嵌め込
まれる位置の節付きパイル(P)の外面等には、必要に
応じて締結後に一体となって固着されるように、硬化
材、接着剤等を充填、塗布しておく。
この硬化材としては、セメントミルク、モルタル等を
用いるが、膨張セメント等の膨張性のあるものを使えば
より強固に固着される。
そして、打ち込み杭工法においては、前記のシェル
(S)を装着した節付きパイル(P)を所定の地盤上に
建て込み、ディーゼルハンマー等どで打撃を与え地中に
打ち込む。この場合、節部(2)や環状シェル(S)の
貫入に伴い生じた杭周間隙に砂利、砕石等の補強材料
(21)を充填しながら打設する(第20図の〔b〕)。
また、埋め込み工法では、第21図に示すように、スク
リューオーガー(20)等で、節部(2)もしくはリング
状シェル(S)の外径よりやや大きい径で、所定深さま
で地盤を掘孔する。
スクリューオーガー引き上げ時に、掘孔(K)内にセ
メントミルク、モルタル等の硬化液(22)を充填する。
こうして掘孔(K)内に上記シェル(S)を装着した節
付きパイル(P)吊り下げ圧入(打設)する(第20図の
〔c〕)。
なお、上記の方法に代えて、掘孔時に掘削土砂と注入
硬化液とをミキシングしてセメントソイル柱体を造成
し、該柱体内にシェル(S)を装着した節付きパイル
(P)を圧入打設することもできる。
上記において、注入モルタルやセメントソイルの硬化
後の強度は、周囲地盤の強度と略同程度であることが望
ましく、例えば、深度方向に強度の変化が生じても、環
状シェル(S)を装着することで、安全な基礎杭を造築
できる。
上記のように施工することにより、節付きパイル
(P)に嵌み込み装着される環状シェル(S)の装着位
置を、地盤の性状に応じて設定でき、該シェル(S)
を、例えば第20図に示すように、地盤の支持力性能を充
分に発揮できる地盤層や深度、すなわちN値の高い硬質
地盤Z1およびZ2にそれぞれ位置させることができ、それ
ゆえ地盤の支持力性能を充分に発揮できる基礎杭を造成
できる。
[発明の効果] 上記したように本発明では、既製の節付きパイルの任
意の位置の胴部および節部のいずれか一方、もしくは双
方に既製のシェルを嵌め込み装着して、この節付きパイ
ルを打ち込み工法や埋め込み工法で所定地盤内に打設す
るものであるから、地盤内の地層や硬度等に応じて、各
パイル毎に前記シェルの嵌め込み装着位置を適宜定める
ことができ、したがって該節付きパイルを地盤内に造築
したとき、嵌め込み装着した環状シェルが、N値の大き
い硬質地盤や砂地盤等に位置させることで、地盤の支持
力性能を充分に発揮させる最適な基礎杭を造築すること
ができる。
殊に前記のシェルを節付きパイルの先端部に装着した
場合、杭の先端支持力が増大し、またシェルを節付きパ
イルの中間位置に装着した場合には、周面摩擦力やシェ
ルの下面抵抗により鉛直支持力も大きくなり、さらにシ
ェルを上層地盤に位置するように装着した場合、水平支
持力も大きくなので、安全な基礎杭を造築できる。
また、前記の環状シェルの外径を、節付きパイルの節
部外径よりも大きくすることにより、地盤の支持力性能
を更に有効に利用できて、節付きパイルの性能、節部の
効果を更に増大させることができ、施工地点の地盤の地
層の変化に合わせて、安定した基礎杭構造を造築できる
効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の実施例を示す環状シェルを装着した
節付きパイルの正面図、第2図は環状シェルの拡大斜視
図、第3図は同平面図、第4図は同正面図、第5図およ
び第6図はそれぞれ前図V−V線およびVI−VI線の断面
図、第7図は半割形シェルの締結状態の横断面図、第8
図は節付きパイルの一部の拡大正面図、第9図は前図IX
−IX線の断面図、第10図と第11図は環状シェルの他の実
施例を示す半割形シェル一方の平面図と縦断面図、第12
図と第13図は環状シェルのさらに他の実施例を示す半割
形シェル一方の横断面図と正面図、第14図〜第19図はそ
れぞれ環状シェルの他の実施例を示す節付きパイルに装
着した状態の縦断面図、第20図は環状シェルを装着した
節付きパイルの施工例を示するものであって、同図の
〔a〕は地盤の土質柱状図を、同図の〔b〕は打込み杭
工法により打設した場合を、同図の〔c〕は埋め込み工
法により打設した場合を示す施工状態図、第21図は埋め
込み工法での掘孔状態を示す略示図、第22図〔a〕
〔b〕は従来の節付きパイルの施工例を示す土質性状図
と施工状態図である。 (符号の説明) (P)……節付きパイル、(S)……環状シェル、 (Sa)(Sb)……半割形シェル、 (1)……胴部、(2)……節部、 (3)……挿通パイプ、(3a)……挿通穴、 (6)……締結穴、(7)……締結用パイプ、 (9)……テーパ部、(10)……締結ロッド、 (11)……締結ボルト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細川 義隆 大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目1番10 号 株式会社武智工務所内 (56)参考文献 特開 昭50−161013(JP,A) 特公 昭55−38451(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 5/48 E02D 5/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の節部を設けた既製の節付きパイルの
    任意の位置の胴部および節部のいずれか一方もしくは双
    方に、既製の環状シェルを嵌め込み装着してなることを
    特徴とする節付きパイル。
  2. 【請求項2】複数の節部を設けた既製の節付きパイルの
    任意の位置の胴部および節部のいずれか一方もしくは双
    方に、既製の環状シェルを嵌め込み装着し、このパイル
    を所定の地盤内に打設することを特徴とする節付きパイ
    ルの施工方法。
  3. 【請求項3】嵌め込み装着する環状シェルの外径が、節
    付きパイルの節部外径よりも大きい請求項2に記載の節
    付きパイルの施工方法。
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