JP2004011241A - 杭の埋設工法及びこれに使用する掘削装置 - Google Patents

杭の埋設工法及びこれに使用する掘削装置 Download PDF

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【課題】拡大径部を有する杭埋設孔の施工を能率よく行うとともに、杭の定着を強固にする。
【解決手段】プレボーリング工法において、掘削攪拌ジグの正回転時において、拡大翼の拡径、縮径が簡単に切換えられるようにした掘削装置Aを使用し、掘削孔24下端部の拡大径部25の掘削及び、その後の拡大径部25における土砂と注入した根固め液との攪拌混合を、従来のように、装置Aの逆回転によらず正回転により行えるようにした。そのため、拡大径部の施工が能率よく行えるとともに、拡大径部に注入した根固め液と掘削土砂との攪拌混合が良好に行われることになり、建込んだ杭の支持地盤への定着が強化される。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プレボーリングにより支持層に拡大根固め球根を造成して行う杭の埋設工法及びそれに使用する掘削装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製等の既製杭の埋設は、施工時の騒音や振動を防止するため、一般に、地盤をアースオーガや掘削装置と攪拌翼等を有する掘削攪拌ジグを用いて掘削孔を形成し、この孔内に既製杭を建込んで埋設するプレボーリング工法が用いられているが、近頃では、杭の支持力を増大するため、埋設孔の先端部(下端部)に拡大径部を形成し、杭の先端部を拡大径部に注入したセメントミルク中に定着させるようにした、拡大根固め工法が実施されている。
【0003】
この拡大根固め工法では、攪拌翼を設けた回転シャフトの先端に螺旋翼と拡大翼及び掘削刃を有する掘削装置を取り付けた掘削攪拌ジグを使用しており、拡大翼は掘削攪拌ジグの掘削を行う正回転時には掘削装置の螺旋翼の径内に納まった状態を保ち、掘削攪拌ジグの逆回転時には掘削ビットより外方に突出して拡大孔を掘削するようになっている。したがって、この工法では、掘削攪拌ジグを正回転させて掘削孔を形成して行き、所定の深度に達したら、掘削攪拌ジグを逆回転して拡大翼を突出(広げ)させて拡大径孔を形成し、その際、掘削ビットの先端より根固め液を注入して、拡大根固め部を造成する。その後は、掘削攪拌ジグを正回転させて拡大翼を掘削ビットの径内に納め(縮径)て掘削攪拌ジグを地上に引き上げる。そして、形成した掘削孔内に既製杭を建込むようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の工法では、拡大翼を広げて拡大径孔を形成する際は、掘削攪拌ジグを逆回転させるので、掘削能率が悪く、また、掘削装置の螺旋翼は土砂や注入した根固め液を下方に押し込むように働くことになる。そのため、掘削土砂と根固め液との攪拌混合の状態がよくなく、したがって、造成した拡大径部(根固め部)の強度が十分に得られないとともに、建込んだ既成杭の結合力も不十分になる、といった問題を有している。
【0005】
そこで、上記とは反対に、拡大翼を逆回転時に縮径し、正回転時に拡径する方法が考えられたが、それでは、掘削孔の大部分を逆回転により施工しなければならないため、地盤の中間層または支持層に硬質の粘性土や砂質土あるいは礫質土がある場合は、地盤への食い込み作用が悪いうえ、掘削性能が悪く、作業能率が悪くなることになる。
【0006】
本発明は、上記従来工法における欠点を解決するためになされたもので、掘削攪拌ジグの正回転時においては拡大翼の拡径、縮径が簡単に行い得るとともに、逆回転時には拡大翼が自動的に縮径できるようにした掘削装置を使用し、拡大径の根固部の形成時には正回転で施工が行えるようにした工法及びそれに使用する掘削攪拌ジグの掘削装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成について、添付の図面を参照して説明すると、請求項1の杭の埋設工法は、螺旋翼5と掘削刃6を有する掘削装置Aを備えた掘削攪拌ジグBにより掘削孔24を形成して既製杭Dを埋設する工法において、掘削装置Aに、その掘削を進める正回転時に拡径し、逆回転時に縮径する拡大翼10を設け、拡大翼10を縮径状態に係止させて掘削を進め、所定の深度に達したら、上記拡大翼10の係止を解除して、掘削装置Aを正回転させ、拡大翼10を拡径状態にし、正回転と上下動を行い拡大径部25を形成して根固め液の注入により根固め団塊26を造成した後、掘削攪拌ジグBを逆回転により拡大翼10を縮径状態にして地上に引き上げ、掘削孔24内に既製杭Dを建込むことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2の掘削装置は、既製杭を建て込む掘削孔を形成するための掘削攪拌ジグBの掘削装置Aにおいて、掘削攪拌ジグBの回転シャフト21への取り付け手段2を有する中空な回転軸1に、螺旋翼5と掘削刃6を突設し、上記螺旋翼5には、拡大翼10を、螺旋翼5の面内に納まる縮径状態から、螺旋翼5の外方に突出する拡径状態まで回動自在に設けるとともに、掘削攪拌ジグBの正回転時において、拡大翼10を縮径状態に係止する手段及びその係止を解除する手段8,15を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1、図2は本発明工法の一実施態様を示し、図3〜図4は本発明工法で使用する掘削装置の一実施態様を示したものである。
【0010】
まず、本発明工法において使用される掘削装置について説明すると、図3〜図4において、1は掘削装置Aにおける中空軸で、その上端(基端)には、従来公知の、多数の攪拌翼22(図1参照)を突設した中空な回転シャフト21の下端に突入して着脱可能に結合されるジョイント2が設けられており、このジョイント2と中空軸を貫通して、回転軸1の中空部と連通する縦孔3が設けられている。また、中空軸1の外周には、その上端から下端にわたり、複数の螺旋翼5が互いに当分に位相をずらせて突設され、それら螺旋翼5の下端には掘削爪6,6が下方に向け突設されている。
【0011】
そして、各螺旋翼5の適所、例えば上下中間部には、切欠部7及びそれに続いて螺旋翼5の径方向に延びる受板8が立設され、この受板には、切欠部7に臨んで突出する軸受板9が設けられている。また、この軸受板9には、基部を軸受板9に軸着11した拡大翼10が回動自在に取り付けられている。さらに、拡大翼10の基部外面と当板8との間に挿入する板状のストッパ15が別途用意されている。
【0012】
拡大翼10は横長に形成され、先端部にはビット12を備えており、基端部の外面には、拡大翼10が図4の実線及び図5に示すように、螺旋翼5の面内にある縮径状態のときに当板8と拡大翼10との間に挿入したストッパ15に面接する縮径当り面13と、図4の鎖線で示すように、拡大翼10を螺旋翼5より外方に突出した拡径状態のときに当板8に面接する拡径当り面14が形成されている。
【0013】
それにより、掘削装置Aが、その螺旋翼5が掘削のネジ込み方向である正回転時において、ストッパ15が当板8と拡大翼の間に挿入されているときに、図6(イ)に示すように、矢印のような掘削土の圧力を受けても、縮径当り面13が当板8に面接されて螺旋翼5より外方に突出するのが阻止された縮径状態が保てるようになっている。そして、上記の状態から掘削装置Aを逆回転させたときには、図6(ロ)に示すように、拡大翼10は矢印のような掘削土の圧力を受けて軸11を中心に内方に回動し、縮径当り面13がストッパ15より離反することになる。その結果、ストッパ15は当板8と拡大翼10との間に単に挿入しただけのものであるから、掘削土の流動にしたがって脱落するようになる。
【0014】
螺旋翼5と拡大翼10との間にストッパ15が介在していない状態では、掘削装置Aを正回転させれば、図6(ハ)に示すように、拡大翼10は、ストッパ15が存在しないため、矢印のような掘削土の圧力を受けて、軸11を中心に回動して螺旋翼5より外方に突出して拡径当り面14が当板8に面接し、拡径状態となるようにされている。そして、掘削装置Aを反対に逆転させれば、図6(二)に示すように、拡大翼10は、矢印のように、さきとは反対方向の土圧を受け、ストッパ15が存在しないため、軸11を中心に内方に回動し、螺旋翼5の面内に納まる縮径状態となるようにされている。
【0015】
本発明の工法は、上記の掘削装置を使用して行われる。まず、多数の攪拌翼22や螺旋翼等を突設した回転軸21の先端に上記の掘削装置を結合して掘削攪拌ジグBを形成し、図3〜図5に示すように、拡大翼10を螺旋翼5の面内に納めた縮径状態にして、当板8と拡大翼10との間にストッパ15を挿入し、縮径状態(図6(イ)参照)が保てるようにして、掘削攪拌ジグBをその先端から掘削液を吐出しながら正回転させ地中に押し込んで行き、支持地盤Cの所定の深度まで掘削孔24を形成する。
【0016】
掘削孔24が所定の深度に達したら、図1(ロ)に示すように、同図矢印b方向に掘削攪拌ジグBを一旦逆回転させる。それにより、図6(ロ)に示すように、拡大翼10と当板8との間が開き、挿入していたストッパ15が土砂の中に脱落することになる。ついで、掘削攪拌ジグBを再び正回転させれば、図6(ハ)に示すように、拡大翼10は拡径状態に突出する。その状態で掘削攪拌ジグBを正回転させながら所要の長さ(深さ)上下に移動させれば、掘削孔24の下端部には支持地盤Cの所要深さに達する拡大径部25が形成されることになる。
【0017】
拡大径部25が形成されたら、図1(ハ)に示すように、これまでの掘削液に代え、セメントミルク等の根固め液を吐出しながら、掘削攪拌ジグBを正回転aで上下に移動させてやれば、図1(二)に示すように、拡大径部25内に掘削土砂と注入された根固め液との混合された根固め団塊26が造成されることになる。その後は、掘削攪拌ジグBを逆回転させて図6(ハ)に示すように、拡大翼10を縮径状態にし、掘削攪拌ジグBを逆回転させながら地上へ引き上げ、既製杭を建込む掘削孔の造成を終えるのである。
【0018】
上記掘削孔の造成後は、図2(イ)に示すように、掘削孔24内に既製杭Dを押し込んで行き、図6(ロ)に示すように、掘削孔24が深い場合は既製杭Dを適宜継ぎ足して行き、既製杭Dの下端部を根固め団塊26の中に突入させ、根固め団塊26を介して支持地盤Cに定着させ、施工が終了する。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の工法によれば、既製杭を埋設する掘削孔の拡大径部の施工を、掘削攪拌ジグを掘削に必要な正回転させた状態で拡大翼を拡径して行うことを可能としたので、拡大径部の形成が掘削の正回転により能率よく行うことができるとともに、根固め団塊の造成にあたって、螺旋翼が拡大径部内の土砂と注入した根固め液を下方に押し込むことがなく、そのため、土砂と根固め液との攪拌混合が良好に行われることになって、高強の根固め団塊が造成でき、その結果、杭を支持地盤に一体的に強固に定着することができる。
【0020】
また、本発明掘削装置によれば、拡大翼を、掘削を行う正回転時には拡径状態となり、逆回転時に縮径状態となるように回動自在に設けるとともに、拡大翼を縮径状態での係止及びその解除ができるようにしたので、掘削孔の形成では拡大翼を縮径状態に係止し、拡大径部の施工時には拡大翼を拡径状態にして正回転で施工でき、かつ、拡大径の拡大状態への係止とその解除が、極めて簡単な操作で行うことができ、能率よくしかも既製杭を強固に定着する施工に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)〜(二)は,本発明工法における掘削施工の態様を順次示したものである。
【図2】(イ)、(ロ)は、本発明工法における杭建込み施工の態様を順次示したものである。
【図3】本発明掘削装置の一実施態様を示す正面図である。
【図4】同側面図である。
【図5】同拡大翼の配置を平面的に示した説明図である。
【図6】(イ)〜(ニ)は拡大翼の各種作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 掘削装置
B 掘削攪拌ジグ
C 支持地盤
D 既製杭
1 中空回転軸
2 ジョイント
3 縦孔
5 螺旋翼
6 掘削爪
8 受板
拡大翼
縮径当り面
拡径当り面
15 ストッパ
回転シャフト
攪拌翼
24 掘削孔
25 拡大径部
26 根固め団塊

Claims (2)

  1. 螺旋翼と掘削刃を有する掘削装置を備えた掘削攪拌ジグにより掘削孔を形成して既製杭を埋設する工法において、掘削装置に、その掘削を進める正回転時に拡径し、逆回転時に縮径する拡大翼を設け、拡大翼を縮径状態に係止させて掘削を進め、所定の深度に達したら、上記拡大翼の係止を解除して、掘削装置を正回転させ、拡大翼を拡径状態にし、正回転と上下動を行い拡大径部を形成して根固め液の注入により根固め団塊を造成した後、掘削攪拌ジグを逆回転により拡大翼を縮径状態にして地上に引き上げ、掘削孔内に既製杭を建込むことを特徴とする、杭の埋設工法。
  2. 既製杭を建込む掘削孔を形成するための掘削攪拌ジグの掘削装置において、掘削攪拌ジグの回転シャフトへの取り付け手段を有する中空な回転軸に、螺旋翼と掘削刃を突設し、上記螺旋翼には、拡大翼を、螺旋翼の面内に納まる縮径状態から、螺旋翼の外方に突出する拡径状態まで回動自在に設けるとともに、掘削攪拌ジグの正回転時において、拡大翼を縮径状態に係止する手段及びその係止を解除する手段を設けたことを特徴とする、掘削装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101072215B1 (ko) * 2008-08-29 2011-10-10 윤인병 선단부를 보강하는 말뚝 시공 방법 및 이 방법에 의해 시공된 말뚝
JP2014109097A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Chiyoda Geotech Co Ltd 回転貫入杭の根固め工法
JP2014125788A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Kajima Corp 基礎杭施工方法
KR102092514B1 (ko) * 2019-11-21 2020-03-23 황판용 기초보강을 위한 기존 기초 하부면의 확대굴착 방법

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