JP5023198B2 - プラスチック成型品の打ち抜き方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、真空成形等で成型されたプラスチック成型品の打ち抜き方法及び装置に関するものである。
従来、真空成形等で成型されたプラスチック成型品の打ち抜き装置として、トムソン刃を取り付けた抜き型と、受け台とを使用し、これらを相対的に接近移動させて、これらの間に配置されたプラスチック成型品を打ち抜くようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の打ち抜き装置は、プラスチック成型品を、同一平面で切断して打ち抜いているに過ぎなかった。
なお、プラスチック成型品の切断面が同一平面上になく、高低差を有する場合、該高低差と同等の高低差を抜き型のトムソン刃と受け台とに形成して一度に打ち抜けるようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。
特開2008−44650号公報 実用新案登録第3084873号公報
前記特許文献2のものは、プラスチック成型品の切断面が同一平面上になく、水平面と垂直面のように交差している場合には、適用できなかった。
そのため、このような交差状の切断面をもつプラスチック成型品の打ち抜きは、例えば、水平面を先に打ち抜き、次に垂直面を打ち抜くというように2工程以上に分けて行う必要があった。
そこで、本発明は、切断面が同一平面上になく、交差しているようなプラスチック成型品に対しても、1工程で打ち抜き可能としたプラスチック成型品の打ち抜き方法及び装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために本発明は、平坦なブランク部と、このブランク部に対して凹部として形成された製品部と、該製品部の前記凹部側面の一部に形成された膨出部とを有するプラスチック成型品の前記凹部の上端周縁をトムソン刃によって打ち抜いて第1の切断面を形成し、かつ、前記トムソン刃によって前記膨出部を切断することによって前記第1の切断面に直交する第2の切断面を形成するプラスチック成型品の打ち抜き方法であって、前記第1の切断面の打ち抜き形状の輪郭と同一の輪郭形状とされ、かつ、前記輪郭形状全周に亘って同一高さに形成されたトムソン刃を使用し、前記第2の切断面の形成位置に対応する前記製品部の凹部側面に前記トムソン刃の輪郭形状から外側へはみ出して膨出部を形成しておき、前記トムソン刃とプラスチック成型品との相対的な接近動作中、前記膨出部を前記トムソン刃によって先行して切断させて前記第2の切断面を形成させ、続いて前記製品部とブランク部とを前記トムソン刃によって前記凹部の上端周縁で打ち抜いて前記第1の切断面を形成させるようにしたことを特徴としている。前記膨出部は、前記製品の凹部底面から凹部上端まで前記凹部と同じ深さで形成されているのが好ましい。
また、本発明は、平坦なブランク部と、このブランク部に対して凹部として形成された製品部と、該製品部の前記凹部側面の一部に形成された膨出部とを有するプラスチック成型品の前記凹部の上端周縁をトムソン刃によって前記凹部の深さ方向に打ち抜いて第1の切断面を形成し、かつ、前記トムソン刃によって前記膨出部を切断することによって前記第1の切断面に直交する第2の切断面を形成するプラスチック成型品の打ち抜き装置であって、前記第1の切断面の打ち抜き形状の輪郭と同一の輪郭形状とされ、かつ、前記輪郭形状全周に亘って同一高さに形成されたトムソン刃を取り付けた抜き型と、前記抜き型のトムソン刃に対して相対的に接近離隔動作可能に配置された受け台と、前記抜き型と受け台との間に配置されて前記プラスチック成型品のブランク部を支持し、かつ、前記製品部となる凹部の底面を前記抜き型のトムソン刃の刃先よりも浮かして支持する構成とされた中間プレートとを備えており、前記受け台は、前記トムソン刃に対向する平坦面を備えていると共に、前記膨出部に対応する位置に、前記トムソン刃の輪郭形状の内側と外側とに跨って前記平坦面から前記抜き型側へ突出する内側凸部と外側凸部とが形成されており、また、前記中間プレートには、前記トムソン刃の輪郭形状より僅かに大きい輪郭形状の刳り抜き穴が形成されていると共に、前記膨出部に対応した位置では該膨出部の膨出分だけ前記刳り抜き穴が大きく形成されており、且つ、前記中間プレートは、ガイドピンによって前記抜き型に対して前記受け台に向けて移動可能に案内支持されていると共に、スプリングによって前記抜き型から受け台側へ離隔する方向に押圧付勢されていることを特徴としている。前記中間プレートは、前記移動方向に複数枚に分割して構成されているのが好ましい。
本発明によれば、切断面が同一平面上になく、交差しているようなプラスチック成型品に対しても、1工程で打ち抜き可能としたプラスチック成型品の打ち抜き方法及び装置を提供することができる。
(A)はプラスチック成型品の一例を示す概略斜視図、(B)は第1の切断面を打ち抜き形成する抜き型と受け台の関係を示す概略縦断面図、(C)は第2の切断面を打ち抜き形成する抜き型と受け台の関係を示す概略縦断面図、(D)は打ち抜き後の製品部の一例を示す概略斜視図である。 本発明に係る打ち抜き装置の分解概略斜視図である。 本発明に係る打ち抜き装置の分解概略縦断側面図である。 本発明に係る抜き打ち装置の第2の切断面を打ち抜き形成する抜き型と受け台と中間プレートの関係を示す概略縦断面図である。 本発明に係る抜き打ち装置の第1の切断面を打ち抜き形成する抜き型と受け台と中間プレートの関係を示す概略縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明が対象とするプラスチック成型品1は、各種のプラスチックフィルム又はシートから真空成型法や圧空成型法等によって成型されるもので、図1(A)に示すように、平坦なブランク部1aと、このブランク部1aに対して凹部1bとして形成された製品部1cと、該製品部1cの前記凹部1b側面の一部に形成された膨出部1dとを有する。
本発明は、上記プラスチック成型品1の凹部1bの上端周縁1b’を、図1(B)に示すように、トムソン刃2によって打ち抜いて第1の切断面1eを形成し、かつ、前記膨出部1dを、図1(C)に示すように、前記トムソン刃2によって切断することによって前記第1の切断面1eに直交する第2の切断面1fを形成するものである。打ち抜き後の製品部1cの形状は、図1(D)に示している。
上記のような打ち抜き形状を得るために、本発明で使用するトムソン刃2は、図2、図3に示すように、板幅方向の一側に鋭利な刃先部を形成した長尺帯状の薄板を前記第1の切断面1eの打ち抜き形状の輪郭と同一の輪郭形状に形成し、かつ、前記輪郭形状全周に亘って同一高さに形成して抜き型3に取り付けられている。
そして、本発明は、前記第2の切断面1fを1工程で形成させるために、該第2の切断面1fの形成位置に対応する前記製品部1cの凹部1b側面に、図1(A)(C)及び図4に示すように、前記トムソン刃2の輪郭形状から外側へはみ出して膨出部1dを形成しておくものである。この膨出部1dは、前記製品部1cの凹部底面から凹部上端まで前記凹部1bと同じ深さで形成しておくものである。
このようにしておくことにより、前記トムソン刃2でプラスチック成型品1を打ち抜くことにより、図1(D)に示す形状の製品が得られる。この打ち抜き動作は、前記トムソン刃2とプラスチック成型品1とを相対的に接近動作させることによって行われる。具体的な打ち抜き動作は、先ず、図1(C)及び図4に示すように、前記膨出部1dを前記トムソン刃2によって先行して切断させて前記第2の切断面1fを形成させ、続いて前記製品部1cとブランク部1aとを、図1(B)及び図5に示すように、前記トムソン刃2によって前記凹部1bの上端周縁1b’で打ち抜いて前記第1の切断面1eを形成させるものである。
上記トムソン刃2は、図2、図3に示すように、刃先部を上向きにして、下端となる刃峰部を平坦な板状の抜き型3に取り付けられている。このトムソン刃2に対して、受け台4が相対的に接近離隔動作可能に配置されている。そして、これらトムソン刃2を取り付けた抜き型3と受け台4との間に前記プラスチック成型品1のブランク部1aを支持し、かつ、前記製品部1cとなる凹部1bの底面を前記抜き型3のトムソン刃2の刃先よりも浮かして支持する中間プレート5が配置されている。
前記受け台4は、図2において、上下を反対にして図示しており、この受け台4は、図3、図4にも示すように、前記トムソン刃2に対向する平坦面4aを備えていると共に、前記膨出部1dに対応する位置に、前記トムソン刃2の輪郭形状の内側と外側とに跨って前記平坦面4aから前記抜き型3側へ突出する内側凸部4bと外側凸部4cとが形成されている。この内側凸部4bと外側凸部4cとの平坦面4aに対する突出寸法は、プラスチック成型品1の凹部1bの深さとほぼ同一としてある。また、この内側凸部4bと外側凸部4cとの輪郭形状は、プラスチック成型品1の長手方向中央部の凹部1b及び膨出部1dとほぼ同一形状としてある。
また、前記中間プレート5は、2枚に分割して配置した場合を例示している。この中間プレート5は、2枚とも同じ構成からなっており、その一方について説明すると、この中間プレート5は、図2、図3に示すように、平坦な板状部5aからなり、この板状部5aには、前記トムソン刃2の輪郭形状より僅かに大きい輪郭形状の刳り抜き穴5bが形成されていると共に、前記膨出部1dに対応した位置では該膨出部1dの膨出分だけ前記刳り抜き穴5bが大きく形成された逃がし部5cが形成されている。そして、前記中間プレート5は、複数本のガイドピン6によって前記抜き型3に対して前記受け台4に向けて移動可能に案内支持されていると共に、スプリング7によって前記抜き型3から受け台4側へ離隔する方向に押圧付勢されている。ガイドピン6は、抜き型3と上側の中間プレート5とに設けた場合を例示している。このガイドピン6に対して、下側の中間プレート5には、ピン受け穴8が形成してあり、これによって、抜き型3に対する中間プレート5の位置決めが行われる。
また、プラスチック成型品1のブランク部1aと中間プレート5の平坦な板状部5aとに、複数の位置決め凸部1g(図1(A)参照)と凹部5d(図2参照)とが形成してある。これによって、中間プレート5に対するプラスチック成型品1の位置決めが行われると共に、このプラスチック成型品1を介して、受け台4の位置決めが行われる。
抜き型3と受け台4は、相対的に接近離隔動作可能な装置(図示省略)に取り付けられるものである。
本発明の装置の動作を図3〜図5を参照して説明する。
先ず、プラスチック成型品1を上側の中間プレート5に載せる。このとき、プラスチック成型品1の凹部1bを中間プレート5の刳り抜き穴5bに嵌め込み、ブランク部1aを中間プレート5の平坦面5a上に載せると共に、位置決め凸部1gを凹部5dに係合させて位置決めしておく。このとき、下側の中間プレート5は、抜き型3に対して、スプリング7によりガイドピン6を介して持ち上げられており、また、上側の中間プレート5は、下側の中間プレート5に対して、スプリング7によりガイドピン6を介して持ち上げられているため、プラスチック成型品1の凹部1bの底面は、トムソン刃2の刃先よりも上方に位置した状態(浮いた状態)で支持されている。
この状態で抜き型3と受け台4とを相対的に接近動作させると、受け台4の内側凸部4b及び外側凸部4cがプラスチック成型品1の長手方向中央部の凹部1b及び膨出部1dに嵌合し、その底面をトムソン刃2の刃先に向けて押し付ける。これにより、図4に示すように、膨出部1dの底面及びこの底面に続く側面の立ち上がり部がトムソン刃2でブランク部1aに達するまで上下方向に切り取られて第2の切断面1fを形成することになる。続いて、抜き型3と受け台4とが接近動作することにより、図5に示すように、トムソン刃2の刃先がブランク部1aに達して凹部1bの上端周縁1b’で製品部1cとブランク部1aとの切断が行われ、第1の切断面1eが形成されることになる。
以上説明したように、本発明によれば、切断面が同一平面上になく、交差しているようなプラスチック成型品1に対しても、1工程で打ち抜き可能であり、プラスチック成型品1及びトムソン刃2に高低差を設ける必要もない。
本発明の実施形態は、以上であるが、本発明は、この実施形態にのみ制約されるものではなく、種々変更して実施することができる。例えば、プラスチック成型品1の形状は、図示のものに制約されるものではなく、種々の形状のものに適用することができる。
本発明は、真空成型品、圧空成型品、その他のプラスチック成型品の打ち抜き方法及び装置に適用することができる。
1 プラスチック成型品
1a ブランク部
1b 凹部
1b’ 上端周縁
1c 製品部
1d 膨出部
1e 第1の切断面
1f 第2の切断面
1g 位置決め凸部
2 トムソン刃
3 抜き型
4 受け台
4a 平坦面
4b 内側凸部
4c 外側凸部
5 中間プレート
5a 平坦な板状部
5b 刳り抜き穴
5c 逃がし部
5d 位置決め凹部
6 ガイドピン
7 スプリング
8 ピン受け穴

Claims (4)

  1. 平坦なブランク部(1a)と、このブランク部(1a)に対して凹部(1b)として形成された製品部(1c)と、該製品部(1c)の前記凹部(1b)側面の一部に形成された膨出部(1d)とを有するプラスチック成型品(1)の前記凹部(1b)の上端周縁(1b’)をトムソン刃(2)によって打ち抜いて第1の切断面(1e)を形成し、かつ、前記トムソン刃(2)によって前記膨出部(1d)を切断することによって前記第1の切断面(1e)に直交する第2の切断面(1f)を形成するプラスチック成型品(1)の打ち抜き方法であって、
    前記第1の切断面(1e)の打ち抜き形状の輪郭と同一の輪郭形状とされ、かつ、前記輪郭形状全周に亘って同一高さに形成されたトムソン刃(2)を使用し、
    前記第2の切断面(1f)の形成位置に対応する前記製品部(1c)の凹部(1b)側面に前記トムソン刃(2)の輪郭形状から外側へはみ出して膨出部(1d)を形成しておき、
    前記トムソン刃(2)とプラスチック成型品(1)との相対的な接近動作中、前記膨出部(1d)を前記トムソン刃(2)によって先行して切断させて前記第2の切断面(1f)を形成させ、続いて前記製品部(1c)とブランク部(1a)とを前記トムソン刃(2)によって前記凹部(1b)の上端周縁(1b’)で打ち抜いて前記第1の切断面(1e)を形成させるようにしたことを特徴とするプラスチック成型品の打ち抜き方法。
  2. 前記膨出部(1d)は、前記製品部(1c)の凹部(1b)底面から凹部(1b)上端まで前記凹部(1b)と同じ深さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成型品の打ち抜き方法。
  3. 平坦なブランク部(1a)と、このブランク部(1a)に対して凹部(1b)として形成された製品部(1c)と、該製品部(1c)の前記凹部(1b)側面の一部に形成された膨出部(1d)とを有するプラスチック成型品(1)の前記凹部(1b)の上端周縁(1b’)をトムソン刃(2)によって前記凹部(1b)の深さ方向に打ち抜いて第1の切断面(1e)を形成し、かつ、前記トムソン刃(2)によって前記膨出部(1d)を切断することによって前記第1の切断面(1e)に直交する第2の切断面(1f)を形成するプラスチック成型品(1)の打ち抜き装置であって、
    前記第1の切断面(1e)の打ち抜き形状の輪郭と同一の輪郭形状とされ、かつ、前記輪郭形状全周に亘って同一高さに形成されたトムソン刃(2)を取り付けた抜き型(3)と、
    前記抜き型(3)のトムソン刃(2)に対して相対的に接近離隔動作可能に配置された受け台(4)と、
    前記抜き型(3)と受け台(4)との間に配置されて前記プラスチック成型品(1)のブランク部(1a)を支持し、かつ、前記製品部(1c)となる凹部(1b)の底面を前記抜き型(3)のトムソン刃(2)の刃先よりも浮かして支持する構成とされた中間プレート(5)とを備えており、
    前記受け台(4)は、前記トムソン刃(2)に対向する平坦面(4a)を備えていると共に、前記膨出部(1d)に対応する位置に、前記トムソン刃(2)の輪郭形状の内側と外側とに跨って前記平坦面(4a)から前記抜き型(3)側へ突出する内側凸部(4b)と外側凸部(4c)とが形成されており、
    また、前記中間プレート(5)には、前記トムソン刃(2)の輪郭形状より僅かに大きい輪郭形状の刳り抜き穴(5b)が形成されていると共に、前記膨出部(1d)に対応した位置では該膨出部(1d)の膨出分だけ前記刳り抜き穴(5b)が大きく形成された逃がし部(5c)が形成されており、且つ、前記中間プレート(5)は、ガイドピン(6)によって前記抜き型(3)に対して前記受け台(4)に向けて移動可能に案内支持されていると共に、スプリング(7)によって前記抜き型(3)から受け台(4)側へ離隔する方向に押圧付勢されていることを特徴とするプラスチック成型品の打ち抜き装置。
  4. 前記中間プレート(5)は、前記移動方向に複数枚に分割して構成されていることを特徴とする請求項3に記載のプラスチック成型品の打ち抜き装置。
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