JP2009172612A - プレス加工金型、及び加工板材の製造方法 - Google Patents

プレス加工金型、及び加工板材の製造方法 Download PDF

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信一 礪波
Koichi Saito
功一 斉藤
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賢司 松山
Kenji Aoyagi
健次 青柳
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Abstract

【課題】金属板材などの被加工板材を打ち抜いたり、潰したりするプレス加工を施す場合に肉の横方向への逃げを抑制して高い精度のプレス加工ができるようにしたプレス加工金型、及び加工板材の製造方法を提供する。
【解決手段】金属板材2に接する前記第1金型としての下金型1aの押圧面と第2金型としての上金型1bの押圧面で金属板材を加圧し、下金型の押圧面を粗面4とし、上金型1bの押圧面を前記粗面よりも滑らかな平滑面5として、下金型の押圧面の金属板材に対する摩擦力を上金型よりも高め、平滑面とした押圧面に、転写用凹部3を形成し、粗面に接する金属板材の肉の流れを粗面により抑制する一方で平滑面に接する金属板材の肉の流れを許容して前記転写用凹部内に肉が入り易くした。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属板材などの被加工板材を強い力で加圧して被加工板材を潰したり打ち抜いたり等のプレス加工を行うプレス加工金型、および加工板材の製造方法に関する。
金属板に複数の小さな孔を開設する金属板のプレス加工金型とその製造方法としては、櫛歯状のパンチを、ノズルプレートとなる薄い金属板の一方の面から押し込み、これによりノズル開口となる貫通孔を開設する方法が提案されている(例えば、特許文献1)
特開2004−98164号公報
前記した従来の加工板材の製造方法により、薄い金属板に小さな孔を複数開設すると、孔の位置がずれたり、孔の形状が変形してしまうなどの不都合が生じていた。
これは、小さな孔を狭いピッチで複数開設する場合、隣の孔との間隔が狭いことがその一因でもあるが、ポンチの金属板への押し込みにより、押し込まれたポンチの容積分の金属が横方向に押し退かれる現象(いわゆる肉の逃げ)が発生し、この移動した金属が先の孔の空部に押し寄せて、当該孔の形状を押しつぶすように変形させたり、あるいは当該孔の位置自体を狂わせるなどの不都合を生じていた。また、前記した肉の逃げに起因する影響は打ち抜き加工に限らず、潰し加工や絞り加工などでもある。
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、その目的は、金属板材などの被加工板材を打ち抜いたり、潰したりするプレス加工を施す場合に肉の横方向への逃げを抑制して高い精度のプレス加工ができるようにしたプレス加工金型、及び加工板材の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、被加工板材の一方の面を第1金型により、被加工板材の他方の面を第2金型により挟みつけ、被加工板材を加圧してプレス加工を行うプレス加工金型であって、
被加工部材に接する前記第1金型の押圧面と第2金型の押圧面とのいずれか一方の押圧面を粗面とし、他方の押圧面を前記粗面よりも滑らかな平滑面として、前記一方の押圧面の被加工板材に対する摩擦力を他方よりも高めたことを特徴とするプレス加工金型である。
上記したプレス加工金型で加工すると、被加工部材に接する前記第1金型の押圧面と第2金型の押圧面とのいずれか一方の押圧面を粗面とし、他方の押圧面を前記粗面よりも滑らかな平滑面としたので、前記一方の押圧面の被加工板材に対する摩擦力を他方よりも高めて被加工板材の一方の面側の肉の面方向への移動を他方の面側よりも少なくした状態でプレス加工を行うことができる。
そして、平滑面とした押圧面に、転写用凹部を形成し、粗面に接する被加工板材の面側の肉の流れを粗面により抑制する一方で平滑面に接する被加工板材の面側の肉の流れを許容して前記転写用凹部内に肉が入り易くすることができる。
被加工板材を金型により強い力で挟み付けると、被加工板材の裏面側は粗面に圧接しているので、強い力を受けた場合に粗面が被加工板材の裏面に食い付いて摩擦力を高めて肉の横方向(板材の面延在方向)への移動(流れ)を抑制しようとする。一方、被加工板材の表面側は平滑面に圧接されているので、強い力を受けた場合に平滑面が被加工板材の表面に食い付くことはない。したがって、被加工板材の表面側の肉が横方向に流れることを許容し、これにより金型の平滑面に形成されている凹部の内部に肉が流れ込み易くなり、金型の押圧面の形状が被加工板材の表面に高い精度で転写することができる。
前記粗面は梨地加工により処理してもよい。
前記粗面を有する一方の金型は、パンチ挿入孔を開設して該パンチ挿入孔の開口縁に切刃を形成した雌型であり、切刃を除いた領域を粗面とし、
他方の金型は、ベースと、このベースに対して移動可能な状態で設けた押圧盤と、前記ベースに基端を固定して突設したパンチとから構成し、パンチを前記押圧盤に開設した貫通ガイド孔内に挿通してもよい。
押圧盤が被加工板材に圧接すると粗面が被加工板材の裏面に食い付く。この状態となった後にベースの移動に伴ってパンチが押圧盤の貫通ガイド孔内を移動し、その先端が被加工板材の表面に圧接し、さらにパンチが移動すると、その先端の外周縁と雌型の切刃との間の剪断力により被加工板材がほぼ板厚方向に破断し、これによりパンチの先端とパンチ孔の切刃17の形状に応じた形状に打ち抜き加工を行うことができる。この打ち抜き時に、被加工板材の裏面側は雌型の粗面に食い付いて摩擦力が高められて肉の横方向(被加工板材の面方向)への移動(流れ)が阻止された状態を維持しているので、パンチが板厚方向に進入して肉を横方向へ移動しようとしても、流れが抑制される。したがって、高い精度で打ち抜き加工を行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示すプレス加工金型1は、いわゆる潰し加工(コイニング加工)を行うものであり、金属板材2の下面を第1金型としての下金型1aにより、金属板材2の上面を第2金型としての上金型1bにより挟み付け、下金型1a上の金属板材2を上方から上金型1bによって下方に押圧することにより、上金型1bの下面に形成した凹部3内に金属板材2の金属(いわゆる肉)を移動させて金属板材2の表面に凹部3の形状を転写するものである。前記した下金型1aの上面(本発明の一方の面に相当)であって、金属板材2の裏面に接する押圧面を粗面4とする。一方、上金型1bの下面(本発明の他方の面に相当)であって、金属板材2の表面に接する押圧面を平滑面5としてある。
下金型1aの粗面4は、上金型1bの平滑面5に比較して金属板材2に対する摩擦力を高めるためであり、この目的を達成することができればどのような処理を施しても良いが、本実施形態では、ショットピーニングにより微細な凹凸を付けていわゆる梨地肌としてある。一方、上金型1bの平滑面5は、下金型1aの粗面4に比較して金属板材2に対する摩擦力が小さければよいので、通常の加工、例えばフライス盤で切削した後にバフで研磨処理してある。これにより、平滑面5の粗さを下金型1aの粗面4よりも小さくしてある。
上金型1bの平滑面5に形成する凹部3は、金属板材2に転写したい所望の形状に設計することができるが、深さは、金属板材2の展性等の特性を考慮して適宜設計することができる。
次に、前記した構成からなるプレス金型を使用して潰し加工を行った場合について説明する。なお、下金型1aはプレス機(図示せず)のボルスタ等の支持基盤上に固定され、上金型1bはラム乃至スライドの下面に固定され、下金型1aと上金型1bとの相対位置や上金型1bの下死点調整などの型調整はすべて終了していることとする。
下金型1aの前記粗面4上にステンレス板などの金属板材2を所定位置に載せ、この状態で上金型1bを下降させて前記平滑面5を上方から金属板材2の表面(上面)に当接する。そして、上金型1bをさらに下降して加圧すると金属板材2が上下の金型1a,bにより強い力で挟み付けられることとなる。この時に、金属板材2の裏面(下面)側は粗面4に圧接しているので、上方から強い力を受けた場合に粗面4が金属板材2の裏面に食い付いて摩擦力を高めて肉の横方向(金属板材2の面延在方向)への移動(流れ)を抑制しようとする。一方、金属板材2の表面(上面)側は平滑面5に圧接されているので、上方から強い力を受けた場合に平滑面5が金属板材2の表面に食い付くことはない。したがって、金属板材2の表面側の肉が横方向に流れることを許容し、これにより上金型1bの平滑面5に形成されている凹部3の内部に肉が流れ込み易くなり、所定時間に亘り押圧を続けると凹部3内に肉が満たされて上金型1bの下面の形状が金属板材2の表面に高い精度で転写される。前記した所定時間が経過してから上金型1bを上昇し、両金型から金属板材2を取り外すと、上金型1bの下面形状全体が金属板材2の表面に高い精度で転写される。なお、この後は、トリミングするなどの後加工を施して加工品(製品)となる。
前記した本実施形態では、下金型1aの押圧面を粗面4とし、上金型1bの押圧面を平滑面5とするとともに凹部3を形成したが、下金型1aと上金型1bとを上下逆にして上金型1bの押圧面を粗面4とし、下金型1aの押圧面を平滑面5として凹部3を形成してもよい。また、金型1は、プレス機の構造により上下方向に昇降させてもよいし、あるいは横方向に近接離隔するように構成してもよい。要するに、第1金型と第2金型との間に被加工板材を挟み付けて加圧して塑性加工できればよい。
次に、図2に示す第2の実施形態について説明する。
このプレス加工金型10は、打ち抜き用の金型であり、第1金型としての下金型11aにはパンチ挿入孔16を開設して該パンチ挿入孔16の開口縁に切刃17を形成して雌型とし、金属板材2に接する押圧面の中で切刃17を除いた領域を粗面14としてある。なお、この粗面14は、梨地肌の凹凸よりも粗い小突起14´を押圧面の一面に複数個突設することにより構成されている。
一方、第2金型としての上金型11bは雄型として機能するもので、ラムの下面に取り付けるベース18と、このベース18の下にスプリングやエラストマ等の弾性材19を介してベース18に対して上下動可能な状態で設けた押圧盤20と、ベース18に基端を固定して下向きに設けたパンチ21とから概略構成し、パンチ21の途中から下端の部分を前記した押圧盤20に開設した貫通ガイド孔22内に挿通する。そして、上金型11bの一部である押圧盤20の下面の押圧面は平滑面15とする。
次に、前記した構成からなるプレス加工金型11を使用して打ち抜き加工を行う場合について説明する。なお、下金型11aはプレス機のボルスタ等の支持盤上に固定され、上金型11bはラムの下面に固定され、下金型11aと上金型11bとの相対位置や上金型11bの下死点調整などの型調整はすべて終了していることとする。
下金型11aの前記粗面14上にステンレス板などの金属板材2を所定位置に載せ、この状態で上金型1bを下降させて押圧盤20の前記平滑面15を上方から金属板材2の表面に当接する。そして、上金型11bをさらに下降する押圧盤20が停止した状態でステンレス板2の表面を加圧し、この加圧によりステンレス板2が上下から強い力で挟み付けられることとなる。この時に、ステンレス板2の裏面側は粗面14に圧接しているので、上方から強い力を受けた場合に粗面14の小突起14´がステンレス板2の裏面に食い付く。この状態となった後にラムを弾性材19の弾性復元力に抗してさらに下降すると、押圧盤20は弾性材19が収縮することで停止状態でステンレス板2の表面を押圧し続けることができ、ラムとベース18の下降に伴ってパンチ21が押圧盤20の貫通ガイド孔21内を移動して下降し、その下端(先端)がステンレス板2の表面に圧接し、さらに下降するとパンチ21の先端の外周縁(切刃)と雌型の切刃17との間の剪断力によりステンレス板2がほぼ板厚方向に破断し、これによりパンチ21の先端とパンチ孔16の切刃17の形状に応じた形状、すなわち本実施形態では円形に打ち抜かれる。この打ち抜き時に、ステンレス板2の裏面側は雌型の粗面14に食い付いて摩擦力が高められて肉の横方向(金属板材2の面方向)への移動(流れ)が阻止された状態を維持しているので、パンチ21がステンレス板2の板厚方向に進入して肉を横方向へ移動しようとしても、流れが抑制される。
パンチ21が下死点まで下降してステンレス板2に円形孔を打ち抜くと共に抜きかす23を雌型のパンチ挿入孔16の下方に抜き落とすと、その後は上昇に転じる。そして、ラムの上昇に伴ってベース18が上昇すると、弾性材19の復元により押圧盤20がベース18よりも少し遅れて上昇を開始し、ステンレス板2の表面から離隔して上死点まで上昇する。これで打ち抜きの一工程を終了する。
そして、次の工程のためにステンレス板2をフィーダーにより所定のピッチだけ移動する。この移動が終了したならば、前記した打ち抜き工程を再度繰り返すことによりステンレス板2に次の孔を所定のピッチで開設することができ、これらの操作を繰り返すと、ステンレス板2に孔を所定のピッチで順次開設することができる。
本実施形態では、パンチ21で打ち抜く際に、ステンレス板2の横方向への肉の流れを粗面14により抑制しているので、孔を狭いピッチで順次開設する場合に、先に開設した孔の形状を、次の孔を開設した時の肉の移動で変形させたり、孔の位置自体をずらすなどの不都合を抑制することができる。
押し潰し加工用金型の断面図である。 (a)はパンチがステンレス板に到達する前の状態における打ち抜き金型の断面図、(b)はパンチがステンレス板に当接した状態における打ち抜き金型の断面図、(c)はパンチがステンレス板を打ち抜いた状態における打ち抜き金型の断面図である。
符号の説明
1,11…プレス加工金型、2…金属板材、3…凹部、4,14…粗面、5,15…平滑面、16…パンチ挿入孔、17…切刃、18…ベース、19…弾性材、20…押圧盤、21…パンチ、22…貫通ガイド孔

Claims (5)

  1. 被加工板材の一方の面を第1金型により、被加工板材の他方の面を第2金型により挟みつけ、被加工板材を加圧してプレス加工を行うプレス加工金型であって、
    被加工部材に接する前記第1金型の押圧面と第2金型の押圧面とのいずれか一方の押圧面を粗面とし、他方の押圧面を前記粗面よりも滑らかな平滑面として、前記一方の押圧面の被加工板材に対する摩擦力を他方よりも高めたことを特徴とするプレス加工金型。
  2. 平滑面とした押圧面に、転写用凹部を形成し、粗面に接する側の被加工板材の肉の流れを粗面により抑制する一方で平滑面に接する側の被加工板材の肉の流れを許容して前記転写用凹部内に肉が入り易くしたことを特徴とする請求項1に記載のプレス加工金型。
  3. 前記粗面が梨地加工により処理されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレス加工金型。
  4. 前記粗面を有する一方の金型は、パンチ挿入孔を開設して該パンチ挿入孔の開口縁に切刃を形成した雌型であり、切刃を除いた領域を粗面とし、
    他方の金型は、ベースと、このベースに対して移動可能な状態で設けた押圧盤と、前記ベースに基端を固定して突設したパンチとから構成し、パンチを前記押圧盤に開設した貫通ガイド孔内に挿通したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプレス加工金型。
  5. 被加工板材の一方の面を第1金型により、被加工板材の他方の面を第2金型により挟みつけ、被加工板材を加圧する加工板材の製造方法であって、
    被加工部材に接する前記第1金型の押圧面と第2金型の押圧面とのいずれか一方の押圧面を粗面とし、他方の押圧面を前記粗面よりも滑らかな平滑面として、前記一方の押圧面の被加工板材に対する摩擦力を他方よりも高めて被加工板材の一方の面側の肉の面方向への移動を他方の面側よりも少なくしたことを特徴とする加工板材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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