JP5022877B2 - トナー及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー及びこれを用いた画像形成装置に関する。
電子写真複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられる現像剤としては、トナーからなる一成分現像剤と、トナーとキャリアとから構成される二成分現像剤とがある。
このようなトナーの製造方法として、近年、溶融状態にあるトナー原料を引き伸ばして繊維状とし、これを切断ないし粉砕することによりトナーを製造する紡糸法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
紡糸法によるトナーの製造方法は、紡糸工程を経ることで粒子径の小径化や粒子径分布の狭小化を容易に実現でき、造粒に関して極めて効率的である。これは紡糸工程で作製される繊維の繊維径のばらつきを抑制することが容易なことに加え、切断・粉砕工程では繊維の長さ方向(引き伸ばし方向)に、繊維径よりやや長い幅(切断長)で容易に切断できるためである。
紡糸法により得られるトナーは、粒子径分布が狭小であり、表面性状が均一であることから、品質の高い画像が得られる。また、分級工程を必須工程としないので、生産性に優れる。
しかし、紡糸法では紡糸工程で十分にトナー原料を溶融・混練し、低粘度にさせる必要があるため、ダイ(トナー混練物を糸状に形成する流路構造手段)内でトナー混練物が高温で保持されることとなる。そのため、トナー原料である結着樹脂が分子切断されて分子量が低下したり、電荷制御剤や顔料が失活したり、ワックスが分散不良となったりするなどの問題があった。また、トナー混練物がトナー相当径までダイの先端から急速(30m/s)に引き伸ばされた後、直ちに急冷されるために、繊維の長さ方向に結着樹脂の分子が配向して内部応力が生じ、繊維の長さ方向に縮む傾向があった。さらに、顔料やワックスなどトナー原料が繊維の中心に向かって集結して(異方性の発生)、定着性や帯電性が低下することもあった。
そこで、紡糸法により得られるトナーであって、定着性や耐久性に優れたトナーが提案されている(例えば、特許文献3、4参照。)。
特許文献3では、結着樹脂の軟化点、及び結着樹脂とトナーの軟化点の差を規定することにより、透明性、定着性及び耐久性を向上させている。
特許文献4では、離型剤を高配合にし、ダイの設定温度を規定することで、小粒径化、高耐久性、及びオイルレス化を可能としている。
特開2006−106235号公報 特開2006−162934号公報 特開2006−301269号公報 特開2006−293159号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、用いる結着樹脂の軟化点から+100℃の範囲内の紡糸温度であれば、トナー混練物の粘度を十分に低く保持し、安定した紡糸を行えるが、結着樹脂が分子切断されやすく、また、結着樹脂の配向性やトナー原料の異方性の抑制が十分ではなかった。
一方、特許文献4に記載の方法では、離型剤の含有量を増やすことで、紡糸工程での離型剤の異方性が高くなり、トナーの切断面におけるワックスが占める面積(ワックスの露出量)が増加して、フィルミングが起こりやすかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、紡糸法における結着樹脂の分子切断を抑制して分子量の低下を抑え、結着樹脂の配向性及びトナー原料の異方性を低減したトナー及びこれを用いた画像形成装置の実現を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、トナー中のクロロホルム不溶分(結着樹脂のゲル成分量)を1〜10質量%に規定することで、紡糸温度で安定した繊維径が得られる程度の低粘度を保持しつつ、結着樹脂の分子が切断されるのを抑制することにより、分子量の低下を抑えて定着時の強度を得ることを見出した。
また、ゲル成分量を規定することで、結着樹脂の分子が繊維の長さ方向へ配向したり、トナー原料が繊維の中心に向かって集結したりするのを軽減することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のトナーは、結着樹脂、顔料、ワックスを含むトナー原料を溶融、紡糸し、切断した柱状のトナーであって、ゲル成分量が1〜10質量%であることを特徴とする。
また、当該トナーの切断面における前記ワックスが占める面積の割合が、周面におけるワックスが占める面積の割合の1〜3倍であることが好ましい。
さらに、当該トナーの切断面の面積が、メタノール中で1〜5倍となることが好ましい。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーを用いることを特徴とする。
本発明によれば、紡糸法における結着樹脂の分子切断を抑制して分子量の低下を抑え、結着樹脂の配向性及びトナー原料の異方性を低減したトナー及びこれを用いた画像形成装置を実現できる。
また、本発明によれば、定着性や帯電性に優れたトナーが得られる。
さらに、本発明のトナーは紡糸法により得られるので、高い画像品質の維持と、生産性の向上を両立できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[トナー]
本発明のトナーは、紡糸法を用いて製造されるものであり、溶融状態にあるトナー原料を繊維状に引き伸ばし、これを切断することにより柱状の粒子(トナー母粒子)を形成し、さらに任意に微粒子(外添剤)による外添処理を施すことにより製造される。トナー原料には、結着樹脂、顔料、ワックスが含まれる。
本発明のトナーは、ゲル成分量が当該トナー100質量%中、1〜10質量%であり、1〜5質量%が好ましい。ゲル成分量が1質量%未満であると、繊維の長さ方向(引き伸ばし方向)における結着樹脂の配向性が高くなったり、結着樹脂の分子切断が生じたり、顔料やワックスなどが繊維の中心に向かって集結したりする(異方性が発生する)。一方、ゲル成分量が10質量%を超えると、トナー原料が紡糸しにくくなる。
ここで、「ゲル成分」とは、トナーをクロロホルムに溶解させた際の、クロロホルム不溶分のことであり、トナー原料の一つである結着樹脂の架橋度合いを表すものである。従って、本発明によれば、トナーのゲル成分量が1〜10質量%となるように架橋された結着樹脂を用いることで、結着樹脂の分子切断や分子量の低下を抑制し、結着樹脂の配向性や、顔料やワックスなどのトナー原料の異方性を低減できる。
ゲル成分量は、以下のようにして測定される。
まず、トナーを容器に入れ、秤量する。次いで容器に多量のクロロホルムを入れて溶解させ、濾過する。
次いで、濾紙上の残渣(ゲル成分)をクロロホルムで洗浄した後、乾燥させて秤量する。
測定に用いたトナーの質量(g)をT、得られたゲル成分の乾燥物の質量(g)をSとし、下記式(1)よりゲル成分量(質量%)を算出する。
ゲル成分量=(S/T)×100 ・・・(1)
このようなトナーを得るためには、例えば、トナー原料として用いられる結着樹脂の種類や配合量を調整すればよい。
以下、各成分について説明する。
<トナー母粒子>
(結着樹脂)
結着樹脂としては、トナーのゲル成分量が1〜10質量%となるような結着樹脂であれば、特に制限されないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でもポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものが挙げられる。
アルコール成分としては、2価以上のアルコール成分が好ましく、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5,−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類などが挙げられる。
カルボン酸成分としては、2価以上のカルボン酸成分が好ましく、具体的には、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステル等が挙げられる。より具体的には、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸が例示される。
結着樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。但し、1種単独で用いる場合は、ゲル成分量が1〜10質量%の結着樹脂を用いるものとする。ゲル成分量は1〜5質量%が好ましい。
このような結着樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂の場合、カルボン酸成分をアルコール成分と3価以上のカルボン酸成分とで架橋した架橋体を用いるのが好ましい。カルボン酸成分を3価以上のカルボン酸成分で架橋させることにより、結着樹脂(ポリエステル系樹脂)の分子が切断されにくくなり、結果、結着樹脂の分子量の低下を抑制できる。また、このような架橋体を結着樹脂として用いれば、トナーのゲル成分量が上述した範囲内に容易に調整でき、結着樹脂の配向性や、後述する顔料やワックスなどのトナー原料の異方性を抑制したりする。
架橋体の原料となるカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。中でもテレフタル酸が好ましい。
上述のカルボン酸成分を架橋させるアルコール成分及び3価以上のカルボン酸成分としては、先に例示したアルコール成分及び3価以上のカルボン酸の中から1種以上を選択して使用できる。
3価以上のカルボン酸成分の配合量を調整することで、架橋体のゲル成分量を1〜10質量%に容易に制御できる。例えば、配合量が増えると、ゲル成分量が増加する傾向にある。
ゲル成分量が1〜10質量%の結着樹脂(架橋体)の軟化点は、100〜170℃であることが好ましく、より好ましくは120〜160℃である。軟化点が100℃未満であると、高温オフセットが発生しやすくなる。一方、軟化点が170℃を超えると、紡糸温度で安定した繊維径が得られにくくなる。
また、結着樹脂(架橋体)のガラス転移点は、50〜60℃であることが好ましく、より好ましくは55〜60℃である。
このような結着樹脂(架橋体)をトナー原料に用いれば、ダイ内にて高温に保持しても、結着樹脂の分子は切断されにくくなるので、分子量の低下を抑えることができる。
一方、結着樹脂を2種以上併用する場合は、結着樹脂全体としてのゲル成分量(すなわち、トナーとした際のゲル成分量)が1〜10質量%となるように適宜結着樹脂を組み合わせて用いればよい。結着樹脂としてのゲル成分量が1〜10質量%となれば、架橋体(すなわち、ゲル成分を含有するもの)同士の組み合わせでもよく、単なる重合体(ゲル成分量が0質量%のもの)と架橋体との組み合わせであってもよい。
なお、ゲル成分量は、結着樹脂の組み合わせ方や、その配合比率によって容易に制御できる。
このように、結着樹脂を2種以上併用する場合は、ゲル成分量が1〜10質量%になる範囲内で結着樹脂を自由に組み合わせることができる。従って、例えば分子量の異なる結着樹脂を組み合わせれば、結着樹脂全体としての分子量(質量平均分子量)を所望の範囲内に調整するのが容易になり、オフセット現象を容易に防止することも可能になる。
一方、結着樹脂を2種以上併用する場合は、結着樹脂全体としてのゲル成分量(すなわち、トナーとした際のゲル成分量)が1〜10質量%となるように適宜結着樹脂を組み合わせて用いればよい。結着樹脂としてのゲル成分量が1〜10質量%となれば、架橋体(すなわち、ゲル成分を含有するもの)同士の組み合わせでもよく、単なる重合体(ゲル成分量が0質量%のもの)と架橋体との組み合わせであってもよい。
なお、ゲル成分量は、結着樹脂の組み合わせ方や、その配合比率によって容易に制御できる。
このように、結着樹脂を適宜選択して用いることにより、トナーのゲル成分量を1〜10質量%に、容易に調整できる。従って、このような結着樹脂をトナー原料に用いれば、結着樹脂の分子切断や分子量の低下が抑制されやすくなり、また、結着樹脂の配向性や、顔料やワックスなどのトナー原料の異方性が低減されやすくなったりする。
(顔料)
顔料は無機顔料と有機顔料に大別でき、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントブルー27、C.I.ピグメントブルー15−3、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
これら顔料の配合量は、結着樹脂100質量部に対し、通常1〜50質量部であり、1〜20質量部が好ましい。
(ワックス)
ワックスとしては、特に限定はなく、例えばカルナバワックスやサトウワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスなどが挙げられる。当該ワックスがエステルを側鎖に有するかどうかは、トナーからワックスを分離し、ワックスの(ケン化価)−(酸価)よりエステル価を求めることにより確認できる。
これらワックスの配合量は、結着樹脂100質量部に対し、通常2〜6質量部であり、3〜5質量部が好ましい。
(その他)
トナー原料には、電荷制御剤が含まれていてもよい。
電荷制御剤としては、トナーの特性を低下させることなく十分に電荷を制御できるものであれば特に制限されないが、正極性電荷制御剤および負極性電荷制御剤を用いることで、トナーの極性を調整できる。
これら電荷制御剤の配合量は、結着樹脂100質量部に対し、通常0.5〜8質量部であり、1〜5質量部が好ましい。
正電荷制御剤としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロールイド等の4級アンモニウム塩;4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー;カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー;カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられる。中でも4級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
負電荷制御剤としては、有機金属錯体またはキレート化合物が挙げられ、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシヤリーブチルサリチル酸クロム等、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体または塩が好ましく用いられる。
さらに、本発明のトナーを磁性一成分現像剤として用いる場合、トナー原料に磁性粉を含有させてもよい。
磁性粉としては、例えば、フェライト、マグネタイト等の、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属または合金またはこれらの元素を含む化合物;強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金;二酸化クロム等が挙げられる。
磁性粉を含有させる場合、その配合量は、結着樹脂100質量部に対し、50〜100質量部が好ましい。
<トナー母粒子の製造>
トナー母粒子は、例えば、上述した各トナー成分(結着樹脂、顔料、ワックス、電荷制御剤等)を予備混合して得られるトナー原料を溶融混練し、得られたトナー混練物を、不織布などの製造に用いられるようなメルトブロー式の紡糸ノズルから押し出して、均一な直径の繊維状のトナー母粒子中間体を成形し、該トナー母粒子中間体を機械式粉砕機などで切断、粉砕することにより製造される。
なお、トナー母粒子中間体の直径は、トナー混練物の温度、粘度、ブローエアの流量などを調整することによって制御できる。トナー母粒子中間体の直径は、3〜8μmが好ましい。
また、トナー母粒子中間体を切断する際の切断長を調節することにより、所望の粒度分布の柱状のトナー母粒子を作製できるが、必要により、トナー母粒子中間体を切断、粉砕した後に、分級してもよい。これにより、より粒度分布の狭い柱状のトナー母粒子が得られる。
トナー母粒子は、そのままトナーとして使用してもよいが、本発明においては外添剤をトナー母粒子に添加させたものをトナーとして用いるのが好ましい。この場合、外添剤を、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の一般的な攪拌機を用いた機械的手法により、トナー粒子の表面に付着または固着させて得ることができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機酸化物、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等が挙げられる。外添剤の量は、トナー母粒子100質量部に対して、通常0.3〜4質量部である。
このようにして得られる本発明のトナーは、該トナーの切断面におけるワックスが占める面積の割合が、周面におけるワックスが占める面積の割合の1〜3倍になりやすい。この値はトナー中のワックスの偏在度を示すものであり、ワックスがトナーの中心に向かって集結するに連れてワックスの偏在度は大きくなる傾向にある。ワックスの偏在度が1〜3であれば、ワックスの異方性がより軽減されたことを意味し、その値が1に近づくのがより好ましい。
また、本発明のトナーは、該トナーの切断面の面積が、メタノール中で1〜5倍になりやすい。この値は、トナーをメタノールに分散させたり、メタノールで処理したりする際の、トナーの歪の程度を示すものであり、結着樹脂の配向性が進行しているほど、切断面の面積はメタノール中で増加する傾向にある。切断面の面積の増加の割合が1〜5倍であれば、結着樹脂の配向性がより抑制されたことを意味し、その値が1に近づくのがより好ましい。
[現像剤]
本発明のトナーを含有する現像剤は、本発明のトナーのみからなる一成分現像剤でもよく、該トナーとキャリアを含有する二成分現像剤でもよい。
<キャリア>
本発明の現像剤を二成分現像剤とする場合、キャリアを含有させる。
キャリアとしては、磁性体の粒子、または結着樹脂中に磁性体を分散させた樹脂粒子が挙げられる。
磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合物等が挙げられる。
磁性体の粒子は、焼結法、アトマイズ法等の公知の方法によって製造される。
キャリアは、その表面に、コート樹脂からなる被覆層を有していてもよい。
本発明の現像剤が二成分現像剤である場合、該現像剤におけるキャリアの含有量は特に限定されないが、摩擦帯電量の安定性の点からは、トナー100質量部に対して、700〜2500質量部が好ましく、1000〜2000質量部がより好ましい。
[画像形成装置]
本発明のトナーは、電子写真方式の一般の画像形成装置において好適に使用できる。
図1は、本発明の画像形成方法に好適に用いられる画像形成装置1の一例を示す概略構成図である。
この例の画像形成装置1は、回転するドラム状の像担持体(以下、感光体ドラムという。)11を備えており、この感光体ドラム11の周囲には、帯電手段としての帯電ロール12、露光により静電潜像を形成するための光学系13、現像装置14、転写装置15、クリーニングブレード16、及び除電手段17が配置されている。
感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン感光体ドラムが好ましい。
帯電ロール12は、導電性ロールなど公知のものを使用できる。帯電ロール12には交流電圧が印加されるようになっている。光学系13、現像装置14、転写装置15、クリーニングブレード16および除電手段17は公知のものを用いればよい。
この画像形成装置1を用いた画像形成方法を以下に説明する。
まず、帯電ロール12によって接触帯電方式で感光体ドラム11の表面を帯電させる(帯電工程)。次いで、光学系13によって感光体ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、現像装置14によって静電潜像に現像剤を付着させて静電潜像をトナー像として現像する(現像工程)。次いで、転写装置15によってトナー像を感光体ドラム11から転写紙18へ転写する(転写工程)。次いで、クリーニングブレード16を用いて感光体ドラム11の表面をクリーニングして、転写工程後に感光体ドラム11上に残存する現像剤を除去、回収する。次いで除電手段17により感光体ドラム11表面を除電する。以上の工程は、繰り返し行われる。
感光体ドラム11と転写装置15との間に、被転写体としての転写紙18が通過して、この転写紙18上に、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が転写されるようになっている。また、転写紙18の排出側経路には、定着装置19が設けられており、転写紙18上に形成されたトナー像の定着が行われるように構成されている。
また、転写工程後に感光体ドラム11上に残存する現像剤を除去、回収する手段として、公知の摺擦ロール(図示せず)を転写装置15とクリーニングブレード16の間に設けてもよい。
以上説明したように、本発明のトナーによれば、ゲル成分量を1〜10質量%となるようにすることにより、結着樹脂の分子切断を抑制して、分子量の低下を抑えて定着時の強度を得ると共に、結着樹脂の配向性、顔料やワックスなどのトナー原料の異方性を低減できる。
このようなトナーであれば、定着性や帯電性が良好なものとなる。
さらに、本発明のトナーは、紡糸法により製造されるので、高い画像品質の維持と、生産性の向上を両立できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。なお、以下において、特に断りのない限り「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を表す。
[結着樹脂]
ここで、各実施例および比較例で用いた結着樹脂(ポリエステル系樹脂)を下記に示す。なお、各結着樹脂の軟化点はフローテスター((株)島津製作所製、「CFT500D」)にて、一方、ガラス転移点は示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、「DSC−6200」)にて測定した。また、ゲル成分量は以下のようにして測定した。
サンプル5gを秤量し、クロロホルム100gに溶解させた後、濾紙(No.2)を備えた漏斗に流し込み、濾紙上の残渣(ゲル成分)をクロロホルム100gで洗浄し、乾燥させて秤量した。測定に用いたサンプルの質量(g)をT、得られたゲル成分の乾燥物の質量(g)をSとし、下記式(1)よりゲル成分量(%)を算出した。
ゲル成分量=(S/T)×100 ・・・(1)
<ポリエステル系樹脂A>
ポリエステル系樹脂Aは、軟化点が118℃、ガラス転移点が54℃、ゲル成分量が0.0%であった。
<ポリエステル系樹脂B>
ポリエステル系樹脂Bは、軟化点が143℃、ガラス転移点が57℃、ゲル成分量が18.7%であった。
<ポリエステル系樹脂C>
ポリエステル系樹脂Cは、軟化点が136℃、ガラス転移点が56℃、ゲル成分量が5.3%であった。
<ポリエステル系樹脂D>
ポリエステル系樹脂Dは、軟化点が125℃、ガラス転移点が53℃、ゲル成分量が0.0%であった。
<ポリエステル系樹脂E>
ポリエステル系樹脂Eは、軟化点が129℃、ガラス転移点が56℃、ゲル成分量が3.7%であった。
<ポリエステル系樹脂F>
ポリエステル系樹脂Fは、軟化点が134℃、ガラス転移点が56℃、ゲル成分量が0.0%であった。
[トナー母粒子の作製]
<トナー母粒子A>
結着樹脂としてポリエステル系樹脂Aを70部とポリエステル系樹脂Bを30部、顔料としてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3)6部、ワックスとしてカルナバワックス1号(加藤洋行社製)5部、電荷制御剤として4級アンモニウム塩化合物(オリエント化学工業社製、「P−51」)1部を、それぞれヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に投入し、2分間混合した後、二軸押し出し機で溶融混練してトナー混練物を調製した。得られたトナー混練物をダイ内から排出する際の温度(ダイ排出温度)を200℃に設定し、ノズル(Φ100μm)より吐出することによりトナー混練物を紡糸し、繊維状のトナー母粒子中間体を得た。次いで、繊維状のトナー母粒子中間体を機械式ミルで切断、粉砕することにより、柱状のトナー母粒子Aを得た。
ポリエステル系樹脂の配合量、ダイ排出温度などを表1に示す。
<トナー母粒子B>
ポリエステル系樹脂Bの代わりに、ポリエステル系樹脂Cを30部使用し、ダイ排出温度を195℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Bを得た。
<トナー母粒子C>
ポリエステル系樹脂Aを50部、ポリエステル系樹脂Bを50部使用し、ダイ排出温度を205℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Cを得た。
<トナー母粒子D>
ポリエステル系樹脂Aを90部、ポリエステル系樹脂Bを10部使用し、ダイ排出温度を190℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Dを得た。
<トナー母粒子E>
ポリエステル系樹脂Aの代わりに、ポリエステル系樹脂Dを70部使用し、ダイ排出温度を205℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Eを得た。
<トナー母粒子F>
ワックスとしてカルナバワックス1号粉末の代わりに、結晶性ポリエステル樹脂(軟化点(N):70℃、融解熱の最大ピーク温度(M):78℃、N/M=0.9)5部使用した以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Fを得た。
<トナー母粒子G>
結着樹脂としてポリエステル系樹脂Aの代わりに、ポリエステル系樹脂Eを100部使用し、ポリエステル系樹脂Bを使用せず、ダイ排出温度を195℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Gを得た。
<トナー母粒子H>
ポリエステル系樹脂Aの代わりに、ポリエステル系樹脂Dを70部使用し、ポリエステル系樹脂Bの代わりに、ポリエステル系樹脂Cを30部使用した以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Hを得た。
<トナー母粒子I>
ポリエステル系樹脂Aを30部、ポリエステル系樹脂Bを70部使用し、ダイ排出温度を215℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Iを得た。
<トナー母粒子J>
ポリエステル系樹脂Bの代わりに、ポリエステル系樹脂Fを30部使用し、ダイ排出温度を195℃にした以外は、トナー母粒子Aと同様にして、トナー母粒子Jを得た。
<トナー母粒子K>
トナー混練物を調製するまでは、トナー母粒子Aと同様に行った。得られたトナー混練物をドラムフレーカーで冷却してハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕し、風力分級機で分級処理して、トナー母粒子Kを得た。
[外添剤の作製]
(チタニアA)
チタニア粒子(石原産業社製「チタニアCR−EL」)をヘンシェルミキサーに投入し、130℃でイソプロピルトリイソステアロイルチタネートを添加混合してカップリング反応させた後、乾燥、解砕してチタニアAを得た。なお、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートは、チタニア粒子に対して3%となるように添加した。
<シリカA>
ジメチルポリシロキサン(信越化学工業社製)100g、及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)100gを、トルエン200gに溶解させ、10倍に希釈した希釈溶液を得た。次いで、シリカ(日本アエロジル社製「ヒュームドシリカアエロジル#90」) 200gを撹拌させながら、これに得られた希釈溶液を徐々に滴下して30分間超音波照射・撹拌して混合物とした。該混合物を150℃の高温槽で加熱した後、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを溜去し、得られた固形物を減圧乾燥機にて設定温度50℃で減量しなくなるまで乾燥した。さらに電気炉にて窒素気流下、200℃で3時間の加熱処理を行った。得られた粉体はジェットミルにより解砕してバグフィルターで捕集し、平均粒径0.020μmのシリカAを得た。
[実施例1]
<現像剤の製造>
(トナーの作製)
2kgのトナー母粒子Aに、チタニアAを30g、シリカAを50g添加し、ヘンシェルミキサーを用いて30m/sで3分間混合し、トナーを得た。
(キャリアの作製)
平均粒子径50μmのフェライト系キャリア(パウダーテック社製「F51−50」)10kgに対して、PFA微粒子(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる微粒子)0.6kgと、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、「エピコート1004」)2.4kgをトルエン40kgに溶解した混合物を、流動層コーティング装置(フロイント産業社製「SFC−5」)を用いて、80℃の熱風を送り込みながら被覆した。これを乾燥機にて230℃で1時間加熱して焼付けした後、冷却及び解砕をしてキャリアを作製した。
(二成分現像剤の作製)
トナー30gと、キャリア300gとを、ボールミルで均一に30分間撹拌混合して二成分現像剤を作製した。
<評価>
得られたトナーの特性、及び二成分現像剤について、各評価を行った。また、トナーの作製に用いたトナー母粒子について紡糸性及び切断・粉砕性の評価を併せて行った。結果を表2に示す。
(紡糸性の評価)
トナー母粒子の作製において、紡糸した後の、繊維状のトナー母粒子中間体の繊維径分布を光学顕微鏡にて測定した。繊維径の変動係数(繊維径の標準偏差を、繊維径の平均値で割った値)を算出し、以下の評価基準にて評価した。なお、○と△を合格とする。
○:変動係数の値が20%以下。
△:変動係数の値が20%超〜30%以下。
×:変動係数の値が30%超。
(切断・粉砕性の評価)
トナー母粒子の作製において、繊維状のトナー母粒子中間体を機械式ミルで切断、粉砕した後の、トナー母粒子の粒子径分布(体積及び個数基準粒子径)を、コールターマルチマイザーIII(ベックマンコールター社製)にて測定した。粒子径の変動係数(粒子径の標準偏差を、粒子径の平均値で割った値)を算出し、以下の評価基準にて評価した。なお、変動係数は、体積基準粒子径、及び個数基準粒子径について各々算出した。また、○と△を合格とする。
○:体積基準粒子径の変動係数の値が20%以下であり、個数基準粒子径の変動係数の値が25%以下である。
△:体積基準粒子径の変動係数の値が20%超〜25%以下であり、個数基準粒子径の変動係数の値が25%超〜30%以下である。
×:体積基準粒子径の変動係数の値が25%超であり、個数基準粒子径の変動係数の値が30%超である。
(ゲル成分量の測定)
トナー5gを秤量し、クロロホルム100gに溶解させた後、濾紙(No.2)を備えた漏斗に流し込み、濾紙上の残渣(ゲル成分)をクロロホルム100gで洗浄し、乾燥させて秤量した。測定に用いたトナーの質量(g)をT、得られたゲル成分の乾燥物の質量(g)をSとし、下記式(1)よりゲル成分量(%)を算出した。
ゲル成分量=(S/T)×100 ・・・(1)
(ワックス偏在度の測定)
トナーをエポキシ樹脂中に分散させて、硬化させた後、ミクロトームで100nmの厚みにカッティングした。
こうして得られたサンプルを、透過型電子顕微鏡(4万倍)で観察することにより、トナーの断面を観察し、画像解析よりワックス偏在度の測定を行った。
(切断面の面積増加度の測定)
トナー0.2gをメタノール20gに分散させ、30秒間超音波照射した。これを静置してトナーを沈降させ、上澄み液を除去してトナーを回収し、乾燥させた。走査電子顕微鏡(日本電子社製「フィールドエミションJSM−7401F」)にて、トナー(トナー粒子)の表面写真を撮影し、トナー粒子の切断面Aの面積を測定した。メタノールに分散させる前のトナーについても同様に表面写真を撮影して、切断面Bの面積を予め求めておき、下記式(2)より、その増加度を算出した。なお、増加度は、トナー粒子30個について測定して算出し、その平均値を面積増加度とした。
増加度=切断面A/切断面B ・・・(2)
(粒子径分布の測定)
トナーの平均粒子径D50(体積基準平均粒子径)を、コールターマルチマイザーIII(ベックマンコールター社製)にて測定した。
また、変動係数(平均粒子径の標準偏差を、平均粒子径D50で割った値)を算出した。
(画像濃度の評価)
二成分現像剤を、図1に示すような評価機(京セラミタ製のカラー複合機「FS−C5016N」の改造機)に搭載し、高温低湿環境(温度:32.5℃、相対湿度:20%、ISO:0.2%)において5万枚の間欠耐刷を行った。
間欠耐刷の終了時(耐久後)において、複写画像の黒ベタ部の画像濃度IDを、分光光度計(グレタグマクベス社製、「SpectroEye」)を用いて測定した。solidで1.2以上を合格とする。
(画像濃度ムラの評価)
画像濃度の評価において、5万枚の間欠耐刷を終了した後に、解像度600dpi、複写倍率25%のグレーパターンをA4サイズにて出力した。左右前後1cm毎に複写画像の画像濃度を分光光度計にて測定し、画像濃度の標準偏差を平均値で割った変動係数を導出した。変動係数が7%以下のものを合格、7%超のものを不合格とする。
(フィルミングの評価)
二成分現像剤を評価機に搭載し、高温高湿環境(温度:32.5℃、相対湿度:80%、ISO:5.0%)において5万枚の連続耐刷を行った。
連続耐刷の終了後、感光体ドラム上にフィルミングが発生したかを目視し、以下の評価基準にて評価した。なお、○と△を合格とする。
○:フィルミングが認められない。
△:わずかにフィルミングが認められるが、実使用上、問題無いレベルである。
×:フィルミングが認められた。
(帯電量の評価)
サンプル瓶に二成分現像剤33gを秤量し、ターブラー・シェーカー・ミキサーにて1分間、及び120分間撹拌した。
撹拌1分後、及び120分後の二成分現像剤の帯電量を、吸引式帯電量測定装置(トレック・ジャパン社製「q/mメーターMODEL 210HS」)にて、635メッシュ(目開き20μm)を用いて測定した。
[実施例2〜8、比較例1〜3]
表2に示すトナー母粒子を用いた以外は、実施例1と同様に各トナーを作製し、各二成分現像剤を製造し、各評価を実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 0005022877
Figure 0005022877
表1、2から明らかなように、実施例1〜6、8では結着樹脂として、ゲル成分量が0質量%のポリエステル系樹脂と、ゲル成分を有するポリエステル系樹脂を、各々適度な質量比で配合したので、ゲル成分量が1〜10質量%の範囲に収まるトナーを得ることができた。また、ゲル成分量が3.7質量%のポリエステル系樹脂のみからなる結着樹脂を用いた場合(実施例7)も、ゲル成分量が3.4質量%の(すなわち、ゲル成分量が1〜10質量%の範囲に収まる)トナーを得ることができた。
このように、ゲル成分量が1〜10質量%のトナーを用いた実施例は、画像濃度、画像濃度ムラが良好であった。また、フィルミングが発生しにくかった。さらに、実施例で用いた二成分現像剤は、帯電量が変化しにくかった。
また、実施例で用いたトナーは、ワックス偏在度が1〜3になりやすく、切断面の面積増加度が1〜5になりやすかった。これらの結果より、本発明のトナーであれば、結着樹脂の配向性、及び顔料やワックスなどのトナー原料の異方性を抑制できることが明らかとなった。
また、実施例で用いたトナー母粒子は紡糸性や切断・粉砕性が良好であった。さらに、これらのトナー母粒子を用いて作製されたトナーは、粒子径分布の変動係数が比較例に比べて小さかった。この結果より、本発明のトナーであれば、結着樹脂の分子が切断されにくく、分子量の低下を抑制できることが明らかとなった。
一方、比較例1で用いたトナーは、結着樹脂として用いたポリエステル系樹脂B(ゲル成分量:18.7質量%)の割合が多かったため、トナーのゲル成分量が10質量%を超えていた。よって、トナー母粒子の紡糸性が実施例に比べて劣っていた。また、画像濃度ムラの値が実施例に比べて高かった。さらに、二成分現像剤の帯電量の変化が著しく、帯電性が不安定であることがわかった。
比較例2で用いたトナーは、結着樹脂として用いたポリエステル系樹脂のゲル成分量が、いずれも0質量%であったため、トナーのゲル成分量も0質量%であった。よって、ワックス偏在度が5.8と大きく、ワックスが繊維(トナー)の中心に向かって集結しやすかった。このため、トナーの切断面でのワックスの露出量が多くなり、フィルミングが起こりやすかった。また、切断面の面積増加度が5.4と大きく、結着樹脂が繊維の長さ方向に配向しやすかった。さらに、二成分現像剤の帯電量の変化が著しく、帯電性が不安定であることがわかった。
比較例3で用いたトナーは、粉砕法にて作製したため、画像濃度が実施例に比べて劣っていた。また、画像濃度ムラの値が実施例に比べて高かった。
本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1…画像形成装置、11…感光体ドラム(静電荷像保持体)、12…帯電ロール、13…光学系、14…現像装置、15…転写装置、16…クリーニングベルト、17…除電手段、18…転写紙(被転写体)、19…定着装置。

Claims (4)

  1. 結着樹脂、顔料、ワックスを含むトナー原料を溶融、紡糸し、切断した柱状のトナーであって、
    ゲル成分量が1〜10質量%であることを特徴とするトナー。
  2. 当該トナーの切断面における前記ワックスが占める面積の割合が、周面におけるワックスが占める面積の割合の1〜3倍であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 当該トナーの切断面の面積が、メタノール中で1〜5倍となることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のトナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
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