以下に添付図面を参照して、この発明にかかる硬貨入出金装置の一実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、硬貨投入口から投入された硬貨を搬送して硬貨選別部で金種別に選別して硬貨収納部に収納し、硬貨払出指示に応じて金種別に払い出すようにした硬貨入出金装置への適用例である。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる硬貨入出金装置1を示す外観斜視図である。図1に示すように、硬貨入出金装置1は、硬貨の入出金を行う入出金ユニット2と、この入出金ユニット2を引き出し可能に収容保持する収納ケース3と、を備えている。
図2は、入出金ユニット2を示す平面図である。入出金ユニット2は、硬貨入出金装置1の前部に位置し硬貨C(図3参照)を受け入れる硬貨受入部11と、硬貨受入部11によって受け入れた硬貨Cを硬貨入出金装置1の後部へ向けて搬送する硬貨搬送部12と、硬貨搬送部12によって搬送された硬貨Cを金種別に選別する硬貨選別部13と、硬貨選別部13によって選別された硬貨Cを金種別に収納する硬貨収納部14と、硬貨収納部14に収納された硬貨を払い出す硬貨払出部15と、を備えている。
硬貨受入部11は、上方に開口した硬貨投入口21を有している。硬貨投入口21は、複数枚の硬貨Cのまとまった投入を許容する。硬貨投入口21には、投入された硬貨Cを光電的に検出する複数組の投入センサ22が設けられている。また、硬貨投入口21の底部には、投入モータ23(図11参照)の駆動により回転し、投入された硬貨Cを硬貨入出金装置1の内部へと搬送する投入ベルト24が設けられている。投入ベルト24の途中には、投入ベルト24によって搬送される硬貨Cを1枚ずつ分離して送り出す投入プーリ25が設けられている。
図3は、硬貨搬送部12を示す平面図である。硬貨搬送部12は、硬貨Cを案内する硬貨案内面31と、この硬貨案内面31上の硬貨Cを硬貨案内面31に押し付けながら搬送する搬送体としての搬送ベルト32と、を有している。
硬貨案内面31は、投入ベルト24の硬貨搬送方向下流側において投入ベルト24によって搬送された硬貨を受ける位置に配置されている。硬貨案内面31は、案内部材としての搬送ベース33の一面である上面に形成されている。搬送ベース33には、硬貨案内面31における硬貨搬送方向の右側に搬送ガイド部材34が固定されている。搬送ベース33及び搬送ガイド部材34は、硬貨Cよりも硬い金属製である。
搬送ベルト32は、ゴム製のエンドレスベルトであり、その断面は円形状に形成されている。この搬送ベルト32は、投入ベルト24から硬貨選別に用いる後述する選別ベルト63まで延出している。搬送ベルト32は、硬貨案内面31の上方であって硬貨案内面31に硬貨Cを押し付ける位置に配置されている。搬送ベルト32は、プーリ35,36に掛け渡されている。この搬送ベルト32の終端部は、上下一対のプーリ37(下側のプーリは図示せず)によって略直角に屈曲されており、これにより、搬送ベルト32は、上面視略L字状を成している。上下一対のプーリ37は相互に逆回転可能に連結されている。また、搬送ベルト32における硬貨案内面31と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ38によって支持されている。プーリ36は、選別ベルト63を介して連結された搬送モータ70(図11参照)の駆動によって等速回転し、プーリ36の等速回転により搬送ベルト32も等速回転する。投入ベルト24から搬送された硬貨Cは、プーリ35の下流側で搬送ベルト32と硬貨案内面31とにより挟まれ、搬送ベルト32の回転に伴って硬貨案内面31上に押し付けられながら搬送され、硬貨選別部13へ到る。
搬送ガイド部材34は、投入ベルト24上を搬送された硬貨Cの搬送経路に干渉するように設けられている。搬送ガイド部材34は、搬送ベルト32に対して角度αの第1斜面Xと、搬送ベルト32に対して角度βの第2斜面Yと、を備えている。なお、第1斜面Xの角度αと第2斜面Yの角度βとの関係は、角度α>角度βである。第2斜面Yは、第1斜面Xの硬貨搬送方向下流側に位置している。この搬送ガイド部材34によって、投入ベルト24上を搬送された硬貨Cの搬送経路の幅が徐々に狭くなる。
硬貨案内面31における硬貨Cが通過する位置には、硬貨Cを識別する硬貨識別部41が設けられている。硬貨識別部41は、複数の識別センサとして第1識別センサである材質センサ42と、第2識別センサである直径センサ43と、第3識別センサ44と、を有している。これらの3つの識別センサ42,43,44のうち材質センサ42が硬貨搬送方向で最も上流側に配置されており、直径センサ43が最も下流側に配置されている。そして、第3識別センサ44は、硬貨搬送方向で材質センサ42と直径センサ43との間に配置されている。これら3つの識別センサ42,43,44は、搬送機構ユニット73による硬貨の搬送経路である硬貨搬送経路に沿って設けられている。
材質センサ42は、硬貨Cの材質を検知するものであり、直径センサ43は、硬貨Cの直径を検知するものである。第3識別センサ44は、材質及び直径以外の硬貨Cに関する情報を検知するためのものであり、例えば、硬貨Cの孔の有無や、硬貨Cの厚さ、硬貨Cの反射率、硬貨Cの凹凸形状のいずれか一つを検知するものであって良い。
材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44は、図10に示すように、それぞれ、硬貨案内面31の周囲に配置されたコイル48を有した磁気センサであり、搬送される硬貨Cによって生じる磁場の変化をコイル48を用いて検知する。詳しくは、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44は、コイル48と、このコイル48に接続された発振回路(図示せず)と、この発振回路に接続された整流回路(図示せず)とを有する。材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44は、硬貨搬送部12によって搬送される硬貨Cによって生じる磁場の変化を検知するものでる。詳細には、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44では、コイル48に硬貨Cが接近して磁場が変化すると、コイルのインピーダンスが変化し、これに伴い発振回路の発振レベルが変化する。整流回路は、発振回路の出力波形をデジタル信号に対応する波形に整流してCPU121(図11参照)に出力する。CPU121は、その出力値と予め設定されている正貨の値とを比較して硬貨Cの正偽の判定を行う。その出力値が、予め設定されている正貨の値と異なる場合には、CPU121は、その硬貨Cは偽貨であると判定する。発振レベルの変化量は、材質センサ42では硬貨Cの材質、直径センサ43では硬貨Cの直径によって、異なるように設定されている。また、第3識別センサ44における発振レベルの変化量は、硬貨Cの孔の有無や、硬貨Cの厚さ、硬貨Cの反射率、硬貨Cの凹凸形状によって、異なるように設定されている。ここで、CPU121は、コイル48を用いて、硬貨Cを識別する識別手段として機能する。詳しくは、CPU21は、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44の出力に基づいて硬貨Cを識別する識別手段として機能する。
各コイル48について詳細に説明する。材質センサ42は、コイル48として、搬送ベース33における硬貨案内面31側(別の言い方をすると上側)に配置された複数の第1コイル48aと、搬送ベース33における硬貨案内面31側とは反対側(別の言い方をすると下側)に配置された複数の第2コイル48bと、を有する。これらの第1コイル48aと第2コイル48bとは、搬送ベース33を介して対向している。
直径センサ43は、コイル48として、搬送ベース33に設けられた案内部材としての板部材45の下方に配置された第2コイル48cを有している。ここで硬貨案内面31側とは反対側に配置された第2コイル48cを有している。ここで、搬送ベース33には、直径センサ43用の開口33bが形成されており、この開口33bに、樹脂製の円環状の板部材45が嵌合している。板部材45の上面は、硬貨案内面31を構成している。直径センサ43の第2コイル48cは、開口33bに挿入されているとともに、その上方を板部材45によって覆われている。即ち、第2コイル48cは、案内部材としての板部材45における硬貨案内面31側とは反対側に配置されている。直径センサ43は、板部材45の中心孔から露出している。なお、板部材45には中心孔が設けられていなくても良い。
第3識別センサ44は、コイル48として、搬送ベース33における硬貨案内面31側に配置された複数の第1コイル48dと、搬送ベース33における硬貨案内面31側とは反対側に配置された複数の第2コイル48eと、を有する。これらの第1コイル48dと第2コイル48eとは、搬送ベース33を介して対向している。なお、以後においても第1コイル48a,48d及び第2コイル48b,48c,48eを特段に区別して説明しない場合は、これらを単にコイル48として説明する。
これら複数のコイル48は、硬貨搬送方向に沿って配置されている。詳しくは、硬貨搬送方向(図中の矢印aで示す方向)に沿って、材質センサ42の第1コイル48a、第3識別センサ44の第1コイル48d、直径センサ43の第2コイル48cの順に配置されている。また、硬貨搬送方向に沿って、材質センサ42の第2コイル48b、第3識別センサ44の第2コイル48e、直径センサ43の第2コイル48cの順に配置されている。
第1コイル48a,48dは、支持体46に支持されている。この支持体46は、第1コイル48a,48dとともに、硬貨案内面31に対向する対向ユニット47を構成している。
また、硬貨案内面31の硬貨搬送方向の下流端には、最大径の硬貨Cが落下し得るリジェクト孔33aが形成されている。リジェクト孔33aは硬貨Cの通過を許容するリジェクトシャッタ51によってその一部が塞がれている。このリジェクトシャッタ51は、リジェクトソレノイド52(図11参照)によって開閉駆動される。リジェクト孔33aの下方には、リジェクトボックス53が配置されている。
リジェクトボックス53は、リジェクト孔33aから落下する硬貨C等を受けるものである。このリジェクトボックス53は、入出金ユニット2の筐体16に設けられた支持部に引き出し可能に支持されている。支持部には、リジェクトボックス53の取り付け状態を検出するボックスセンサ130(図11参照)が設けられている。
図4は、硬貨選別部13及び硬貨収納部14を示す縦断面図である。図2及び図4に示すように、硬貨選別部13は、上面に硬貨案内面61が形成された選別ベース62と、硬貨案内面61に硬貨Cを押し付けながら搬送する選別ベルト63と、を有している。硬貨案内面61は、硬貨案内面31に対して略直角を成して左右方向に延在しており、硬貨案内面61と硬貨案内面31とにより、上面視略L字状の硬貨案内面が形成されている。
選別ベース62には、硬貨搬送方向下流に向かうに従い孔幅寸法が順次拡大する金種毎の選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fが硬貨案内面61を貫通して形成されている。選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fは、図2において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。即ち、最高金額の金種である500円の選別孔64fが選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fのうちで端に位置している。以後、説明の便宜上、選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fを特段に区別しない場合には、選別孔の符号として64を用いる。本実施の形態では、硬貨選別搬送方向で隣り合う選別孔64同士は相互に連続して形成されており、外見上、一つの孔を形成している。硬貨選別部13では、硬貨Cが搬送されて、所定の幅の選別孔64に到達した際に、その硬貨Cが硬貨収納部14に落下する。また、選別ベース62には、基準部材65が固定されており、この基準部材65には、基準面66が形成されている。この基準面66は、硬貨Cの側面を支持するものであり、この基準面66に硬貨Cの側面を当接させながら硬貨Cを搬送することで、選別孔64による正確な硬貨選別がなされる。また、各選別孔64に対しては、落下する硬貨Cを検出する計数センサ67が設けられている。
選別ベルト63は、ゴム製のエンドレスベルトであって、内周に歯63aを有する歯付ベルトである。選別ベルト63は、硬貨案内面61の上方であって硬貨案内面61に硬貨Cを押し付ける位置に配置されている。選別ベルト63は、プーリ68,69に掛け渡されている。プーリ68,69は、選別ベルト63と噛み合う歯付プーリである。プーリ68は、駆動プーリであり、最高金額(500円)の硬貨C用の選別孔64f上に配置されている。プーリ69は従動プーリであり、全ての選別孔64の硬貨搬送方向上流側に配置されている。プーリ68には、硬貨搬送部12のプーリ36が固定されている。プーリ68は搬送モータ70の駆動によって等速回転し、このプーリ68の等速回転により選別ベルト63が等速回転する。また、選別ベルト63における硬貨案内面61と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ71によって支持されている。選別ベルト63と基準面66とは、硬貨搬送方向下流に向かうに従い相互に近づくように配置されており、これにより、選別ベルト63は、硬貨Cを基準面66に押し付けながら搬送する。
図5は、搬送機構ユニット73が開いた状態の入出金ユニット2を示す平面図、図6は、搬送機構ユニット73が開いた状態の入出金ユニットを示す斜視図、図7は、搬送機構ユニット73が開いた状態の入出金ユニット2の一部を示す斜視図、図8は、搬送機構ユニットの支持部を示す斜視図、図9は、硬貨搬送部を示す斜視図、図10は、フレーム72の切欠き72jの部分とその周囲を示す縦断側面図である。
硬貨選別部13のプーリ68,69、アイドラプーリ71及び硬貨搬送部12のプーリ35,36,37、アイドラプーリ38は、フレーム72に回転可能に支持されている。フレーム72は、プーリ35,36,37,68,69、アイドラプーリ38,71、搬送ベルト32及び選別ベルト63とによって、硬貨搬送機構である搬送機構ユニット73を構成している。フレーム72は、硬貨案内面31に対向して配置されている。
フレーム72の基端部は、支軸74によって軸支されており、これにより、搬送機構ユニット73は、支軸74を中心とした回動によって開閉可能となっている。搬送機構ユニット73は、ロック機構75によって、閉じ位置(図2)にロックされる。この状態では、フレーム72の基準孔72gが、筐体16に固定されたピン80に嵌合する。また、搬送機構ユニット73は、支軸74に外挿されたねじりコイルバネ76によって開き方向に付勢されている。ロック機構75のロックが解除されると、ねじりコイルバネ76の付勢力によって、搬送機構ユニット73が開く(図7,図8)。搬送機構ユニット73が開いた状態では、硬貨案内面31,61が露出する。
フレーム72は、硬貨選別部13の硬貨案内面61に沿う第1フレーム72aと、硬貨搬送部12の硬貨案内面31に沿う第2フレーム72bとを有して、略L字状を成している。このフレーム72は、金属製である。
第1フレーム72aは、支軸74が挿通された一対の側板部72cと、これらの側板部72cを連結した連結板部72dと有している。この第1フレーム72aには、硬貨選別部13のプーリ68,69、アイドラプーリ71及び硬貨搬送部12のプーリ36が回転可能に支持されている。プーリ36,69及びアイドラプーリ71は、規定範囲内での上下動が可能に設けられるとともに、付勢部材によって下方に付勢されている。
第2フレーム72bは、一対の側板部72hと、これらの側板部72hを連結した連結板部72iと有している。側板部72hは、硬貨案内面31に対する接離方向(図10中の矢印bで示す方向)に延在するとともに硬貨案内面31に沿って延在した縦壁部である。詳しくは、側板部72cは、硬貨案内面31に対する垂直方向に延在するとともに硬貨案内面31に沿って延在している。第2フレーム72bには、硬貨搬送部12のプーリ35,37、アイドラプーリ38が回転可能に取り付けられている。プーリ37、アイドラプーリ38は、規定範囲内での上下動が可能に設けられるとともに、付勢部材によって下方に付勢されている。
フレーム72には、コイル48から離間する方向の切欠き72jが形成さている。この切欠き72jは、フレーム48において、少なくとも、硬貨搬送方向(図10の矢印aの方向)に直交する方向(図10の矢印bで示す方向)で複数のコイル48(第1コイル48a,48d、第2コイル48b,48c,48e)と重複する部分に形成されている。詳細には、切欠き72hは、側板部72hにおいて硬貨案内面31と対向する縁部72mから硬貨案内面31から離間する方向に延在して形成されている。なお、図10の符号cで示すフレーム72の範囲は、硬貨搬送方向に直交する方向でコイル48と重複する部分を含む部分である。この切欠き72jは、フレーム72における材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44が検知する磁場の変化に影響を与える部分が切り欠かれたことによって形成されたものである。この切欠き46には、支持体46の一部が挿入されている。硬貨搬送方向での切欠き46の幅は、硬貨搬送方向での支持体46の上流端から直径センサ43の第2コイル48cの下流端までの長さよりも長い。ここで、複数のアイドラプーリ38のうちで最も直径センサ43の近くに位置するアイドラプーリ38aは、金属製の支持部72kによって支持されている。
支持部72kは、図9に示すように、直径センサ43とアイドラプーリ38aとの間の位置からずれた位置でフレーム72(第2フレーム72b)から直径センサ43に対して離れる方向に張り出して、アイドラプーリ38aにおける直径センサ43から遠い側の側面へ至る形状に形成されている。詳細には、支持部72kは、第1アーム72pと第2アーム72qを有してL字状に形成されたアーム72rと、このアームを回転可能に支持する支軸72hとを有している。アーム72rの先端部にアイドラプーリ38aが回転可能に支持されている。また、このアーム72rは、アイドラプーリ38aが搬送ベルト32を押す方向に、付勢部材によって付勢されている。
支軸74は、最高金額(500円)の硬貨C用の選別孔64f上に配置されている。支軸74は、基準部材65に対して固定された一対の支持部77に軸支されている。一方の支持部77には、位置決め基準面77aが形成されている。この位置決め基準面77aには、第1フレーム72aの一方の側板部72cの外面に形成された当接面72eが当接する。位置決め基準面77aに当接面72eが当接した状態における選別ベルト63の位置が、選別ベルト63の基準位置である。
ロック機構75は、爪部を有して第2フレーム72bに取り付けられた係止部材75aと、筐体16に設けられた係止孔とを有している。係止部材75aは、爪部が係止孔に係合する方向に、図示しないロックバネによって付勢されており、そのロックバネの付勢力に抗して爪部をロック孔から離脱させることにより、ロック機構75によるロックが解除される。
ねじりコイルバネ76は、その一方の脚部76aが板部材79の上面に支持されている。一方、ねじりコイルバネ76の他方の脚部76bは、第1フレーム72aの連結板部72dの内面に支持されている。これにより、ねじりコイルバネ76は、搬送機構ユニット73を開方向に付勢している。また、ねじりコイルバネ76の一方の脚部76aは、板部材79に設けられた突部79aに支軸74の軸方向で当接している。一方、ねじりコイルバネ76の他方の脚部76bは、第1フレーム72aの側板部72cに支軸74の軸方向で当接している。ねじりコイルバネ76は、支軸74の軸方向で圧縮されており、位置決め基準面77aに向けて当接面72eを付勢している。これにより、位置決め基準面77aに当接面72eが当接する。
硬貨収納部14は、図2及び図4に示すように、選別孔64から落下する硬貨Cを受ける位置に配置されており、落下する硬貨を金種別に収納する。硬貨収納部14には、仕切板91によって仕切られた金種別の収納室92が設けられている。各収納室92は、対応する選別孔64に連通している。この収納室92は、上面が開口されており、収納室92の上面開口は、蓋93等によって覆われている。
硬貨払出部15は、図4に示すように、各収納室92の底部に設けられた払出ベルト101を備えている。この払出ベルト101は、プーリ102,103に掛け渡されている。プーリ102は、駆動プーリであり、プーリ103は従動プーリである。また、払出ベルト101は、アイドラプーリ104によって支持されている。プーリ102は払出モータ110によって駆動されて回転し、これにより、払出ベルト101が回転する。払出ベルト101は、硬貨収納部14の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
また、硬貨払出部15は、硬貨収納部14の出口に配設されたリバースローラ105、払出シャッタ106、払出計数センサ107を有する。リバースローラ105は、払出ベルト101と同一方向に回転して、払出ベルト101による硬貨Cの払出を一枚ずつにするものである。払出シャッタ106は、払出ソレノイド108によって開閉駆動される。払出シャッタ106は、閉じ状態では硬貨Cを待機させる一方、開状態では払出ベルト101による硬貨の払出を許容する。払出計数センサ107は、払出ベルト101によって払い出される硬貨を検知する。
搬送ベルト32の終端位置(前端)の下方には、図1に示すように上方に開口した硬貨払出口109が設けられている。硬貨払出口109は、払出ベルト101によって払い出された硬貨を受ける。硬貨払出口109は、硬貨投入口21の左側に配置されている。
また、入出金ユニット2は、硬貨払出口109の後方斜め上方に、操作パネル111を有している。操作パネル111には、操作キー112と表示器113とが設けられている。
図11は、硬貨入出金装置1の電気的接続を示すブロック図である。硬貨入出金装置1は、情報処理部としてのCPU121を搭載している。CPU121には、プログラム等の固定的データが予め記憶されたROM122と、各種データを書き換え自在に記憶するRAM123とがシステムバス124を介して接続されている。CPU121、ROM122及びRAM123によってマイクロコンピュータが構成されている。
さらに、CPU121には、システムバス124を介して、投入センサ22、計数センサ67、払出計数センサ107、ボックスセンサ130、材質センサ42、直径センサ43、第3識別センサ44等のセンサ類Sからの信号を入力する入力ポート125と、リジェクトソレノイド52、払出ソレノイド108等に駆動信号を出力する出力ポート126と、POS端末と電気的に接続する通信インターフェース127と、投入モータ23、搬送モータ70、払出モータ110等のモータ類Mを個別に駆動制御するモータ駆動制御部128と、操作パネル111に接続されて操作キー112から入力されるキー信号を取込むとともに表示器113にデータを表示させる操作制御部129とが接続されている。これらの各部は、プログラムに従ってCPU121によって駆動制御される。
このような構成において、硬貨Cが硬貨投入口21に投入されたならば、硬貨Cは投入センサ22により検出される。投入センサ22の検出信号の受信によりCPU121は、投入モータ23と搬送モータ70とを駆動して、投入ベルト24と搬送ベルト32と選別ベルト63とを回転させる。硬貨Cは、投入ベルト24の回転により硬貨案内面31に搬送される。そして、硬貨案内面31に搬送された硬貨Cは、搬送ベルト32の回転により、硬貨搬送方向下流側へと搬送される。
ここで、搬送ベルト32は、幅が徐々に狭くなる搬送経路上の硬貨Cの側面を、搬送ガイド部材34に押し付けるようにして搬送する。したがって、硬貨Cは、金種毎に同一の通過軌跡を形成して硬貨案内面31上を搬送されることになる。
また、上述のように第1斜面Xの角度αと第2斜面Yの角度βとの関係を角度α>角度βとしたことにより、硬貨搬送方向上流側の搬送ガイド部材34における短い距離で硬貨投入口21を出た硬貨Cに対して幅寄せすることができる。
このようにして硬貨Cが搬送ガイド部材34に押し付けられて硬貨案内面31上を搬送されることを、硬貨Cが片寄せ搬送されると称する。このように硬貨Cを片寄せ搬送するのは、以下の理由による。直径センサ43による硬貨判別時に硬貨Cの直径判別などを行う場合には、硬貨を案内ガイドに片寄せさせて位置決めし、直径センサ43による硬貨判別を行う必要がある。そのため、硬貨投入口21を出た硬貨Cは、硬貨判別時において、搬送ガイド部材34に片寄せされて位置決めされている必要があるからである。
硬貨案内面31で搬送ガイド部材34に片寄せされて搬送される硬貨Cは、材質センサ42、第3識別センサ44及び直径センサ43を通過する。
CPU121は、材質センサ42、第3識別センサ44及び直径センサ43の出力に基づいて硬貨判別を実行する。搬送される硬貨Cを正貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド52を駆動制御せず、リジェクトシャッタ51は閉状態が維持される。したがって、硬貨Cは、リジェクト孔33aから落下することなく硬貨選別部13へ搬送される。一方で、搬送される硬貨Cを偽貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド52を駆動制御してリジェクトシャッタ51を開状態にする。これにより、偽貨と判定された硬貨Cは、リジェクト孔33aから落下してリジェクトボックス53に収納される。
硬貨選別部13では、硬貨Cは、選別ベルト63によって搬送され、対応する選別孔64から落下して硬貨収納部14に収納される。このとき、選別ベルト63と基準面66とが、硬貨搬送方向下流側に向かうに従い相互に近づくように配置されていることにより、選別ベルト63は、硬貨Cの側面を基準面66に押し付けながらその硬貨Cを搬送する。
そして、CPU121は、POS端末からの硬貨払出指示があった場合には、払出ベルト101を駆動するとともに、金種毎に払出ソレノイド108を駆動して、必要枚数の硬貨を硬貨払出口109に払い出す。
以上説明したように、本実施の形態の搬送機構ユニット73のフレーム72には、硬貨搬送方向に直交する方向でコイル48(第1コイル48a,48d、第2コイル48b,48c,48e)と重複する部分にコイル48から離間する方向の切欠き72jが形成されている。したがって、磁気センサである材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44の検知動作へ与えるフレーム72の影響を抑制することができる。よって、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44の検知精度が低下することを抑制して、硬貨Cの識別精度の低下を抑制することができる。
ここで、直径センサ43のコイル48cによる磁場は、比較的大きな山なり形状であるため、他のセンサ42,44のコイル48による磁場に比べて、フレーム72の影響を受けやすい。このため、直径センサ43のコイル48cに対応させて切欠き72jを形成することで、硬貨識別精度の低下を抑制する効果を一層大きくすることができる。
また、本実施の形態では、フレーム72は、硬貨案内面31に対する接離方向に延在するとともに硬貨案内面31に沿って延在した縦壁部としての側板部72cを有し、切欠き72jは、側板部72cにおいて硬貨案内面31と対向する縁部72mから硬貨案内面31から離間する方向に形成されている。したがって、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44の検知動作へ与える側板部72cの影響を抑制することができる。
また、本実施の形態では、磁気センサは、複数設けられ(具体的には、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44)、複数のコイル48は、硬貨搬送方向に沿って配置され、切欠き72jは、フレーム72において複数の磁気センサ(材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44)のコイル48と、硬貨搬送方向に直交する方向で重複する部分に形成されている。したがって、複数の磁気センサ(材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44)の検知動作にフレーム72が与える影響を抑制することができる。
また、本実施の形態では、第1コイル48a,48dを支持した支持体46の一部が、切欠き72jに挿入されている。したがって、切欠き72jは、材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44の検知動作へ与えるフレーム72の影響を抑制するとともに、支持体46の配置エリアを確保している。
また、本実施の形態では、硬貨入出金装置1は、搬送ベルト32を支持するアイドラプーリ38aと、アイドラプーリ38aをフレーム72に取り付けた支持部72kと、を備える。そして、支持部72kは、直径センサ43とアイドラプーリ38aとの間の位置からずれた位置でフレーム72から直径センサ43に対して離れる方向に張り出して、アイドラプーリ38aにおける直径センサ43から遠い側の側面へ至る形状に形成されている。したがって、支持部72kによる直径センサ43の検知精度の低下を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。