JP5021582B2 - トンネル防水構造及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル防水構造及びその施工方法に関し、より詳しくは、山岳トンネル等の水密型シート防水工(ウォータータイト型シート防水工)に適用するトンネル防水構造及びその施工方法に関する。
従来、山岳トンネル等の水密型シート防水工では、地中の水がトンネル内に入ることを一切阻止し得るようにトンネルの地山内面に施工した一次覆工コンクリートの内面全周に防水シートを形成し、その防水シートの内面側に二次覆工コンクリートを形成している。そして、このようなシート防水工としては、例えば特開平7−119392号公報(特許文献1)には、防水シートと二次覆工コンクリートとの間の二次覆工コンクリートの打継目に、ウォーターバリア(防波堤)を設け、漏水がトンネルの広範囲に広がるのを防ぐと共に、ウォーターバリアで仕切られた範囲内で漏水補修が確実にできるようにする方法が開示されている。
しかしながら、このようなシート防水工においては、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に隙間が生じやすく、そのため防水シートと一次覆工コンクリートの内面に密着しない部分が生じ、その部分において防水シートが破損し、漏水の原因となるという問題や防水シートと二次覆工コンクリートとの間に生じた隙間がトンネル内の水みちとなるという問題があった。
このような問題を解決するために、例えば特開2000−337096号公報(特許文献2)には、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に生じる隙間に注入材としてセメントミルクや低流動性のモルタルを充填したトンネル防水構造が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載のようなトンネル防水構造においては、地震等による衝撃によって、注入材として充填したセメントミルクや低流動性のモルタルに亀裂が生じやすく、その亀裂が漏水の原因となるという点で未だ必ずしも十分なものではなかった。
特開平7−119392号公報 特開2000−337096号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、水密型シート防水工において、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することを防止し、長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能なトンネル防水構造及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水密型シート防水工において、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に注入する注入材として、特定のポリオールを含有し且つ特定量の芳香族炭化水素系可塑剤を含有するウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、前記ウレタンエラストマー充填材はポットライフが十分に長く、常温(例えば15〜30℃)における粘度が十分に低いために注入材を容易に注入することができ、しかも前記ウレタンエラストマー充填材を用いて形成された注入材層は優れた機械的強度、耐衝撃性及び耐アルカリ性を有しているために長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1のトンネル防水構造は、トンネルの地山内面もしくは該地山内面に施工した一次覆工コンクリートの内面に防水シートを敷設すると共に、その防水シートの内面側に二次覆工コンクリートをトンネル長手方向に所定の長さずつ順に打設し、前記防水シートの内面に、二次覆工コンクリート側に突出する複数本のリブを有するウォーターバリアを防水シートと一体的に設けたトンネル防水構造において、
トンネル長手方向に隣り合うウォーターバリア間の二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填するための第1の注入材充填孔を設けると共に、前記ウォーターバリアの隣り合うリブ間に、周面に多数の孔を有する排気注入ホースを設置しており、且つ、
前記注入材として、有機ポリイソシアネート(A)と、平均官能基数が2〜4であり且つ数平均分子量が1000以下であるポリエーテルポリオール(b1)を主成分とするポリオール(B)と、芳香族炭化水素(c1)を主成分とする芳香族炭化水素系可塑剤(C)とを含有しており、前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が有機ポリイソシアネート(A)100質量部に対して10〜100質量部の範囲内にあるウレタンエラストマー充填材を充填していることを特徴とするものである。
また、本発明の第2のトンネル防水構造は、前記第1のトンネル防水構造において、前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に注入材を充填するための第2の注入材充填孔を更に設けることを特徴とするものである。
さらに、本発明の第1及び第2のトンネル防水構造においては、前記ウォーターバリアは前記二次覆工コンクリートの打継目に対応する防水シートの内面に設けられていることが好ましい。
本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法は、前記第1のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とする方法である。
また、本発明の第2のトンネル防水構造の施工方法は、前記第2のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填し、前記第2の注入材充填孔から一次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とする方法である。
本発明によれば、水密型シート防水工において、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することを防止し、長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能なトンネル防水構造及びその施工方法を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の第1のトンネル防水構造は、トンネルの地山内面もしくは該地山内面に施工した一次覆工コンクリートの内面に防水シートを敷設すると共に、その防水シートの内面側に二次覆工コンクリートをトンネル長手方向に所定の長さずつ順に打設し、前記防水シートの内面に、二次覆工コンクリート側に突出する複数本のリブを有するウォーターバリアを防水シートと一体的に設けたトンネル防水構造において、
トンネル長手方向に隣り合うウォーターバリア間の二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填するための第1の注入材充填孔を設けると共に、前記ウォーターバリアの隣り合うリブ間に、周面に多数の孔を有する排気注入ホースを設置しており、且つ、
前記注入材として、有機ポリイソシアネート(A)と、平均官能基数が2〜4であり且つ数平均分子量が1000以下であるポリエーテルポリオール(b1)を主成分とするポリオール(B)と、芳香族炭化水素(c1)を主成分とする芳香族炭化水素系可塑剤(C)とを含有しており、前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が有機ポリイソシアネート(A)100質量部に対して10〜100質量部の範囲内にあるウレタンエラストマー充填材を充填していることを特徴とするものである。
また、本発明の第2のトンネル防水構造は、前記第1のトンネル防水構造において、前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に注入材を充填するための第2の注入材充填孔を更に設けることを特徴とするものである。
先ず、本発明のトンネル防水構造において注入材として用いるウレタンエラストマー充填材について説明する。
本発明のトンネル防水構造に用いるウレタンエラストマー充填材は、有機ポリイソシアネート(A)と、平均官能基数が2〜4であり且つ数平均分子量が1000以下であるポリエーテルポリオール(b1)を主成分とするポリオール(B)と、芳香族炭化水素(c1)を主成分とする芳香族炭化水素系可塑剤(C)とを含有しており、前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が有機ポリイソシアネート(A)100質量部に対して10〜100質量部の範囲内にあるものである。
本発明にかかる有機ポリイソシアネート(A)は特に限定されず、公知の有機ポリイソシアネートを用いることができる。このような有機ポリイソシアネート(A)としては、例えば、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のポリイソシアネート、及びそれらのウレタン変性体、アロファネート変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体等の変性ポリイソシアネートが挙げられる。
前記芳香族系ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(以下、場合により「TDI」と略称する。)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、場合により「MDI」と略称する。)、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(以下、場合により「XDI」と略称する。)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下、場合により「TMXDI」と略称する。)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(以下、場合により「P−MDI」と略称する。)等が挙げられる。なお、これらの芳香族系ポリイソシアネートは、それぞれ各種異性体の単品及び混合物を含むものである。また、前記脂環族系ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添TDI、水添XDI、水添TMXDI等が挙げられる。さらに、このような脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。これらの有機ポリイソシアネート(A)の中でも、粘性の低さ及び環境への影響の観点から、芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、MDIがより好ましい。また、これらの有機ポリイソシアネート(A)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明にかかるポリオール(B)は、以下説明するポリエーテルポリオール(b1)を主成分とするものである。
本発明にかかるポリエーテルポリオール(b1)は、平均官能基数が2〜4であり且つ数平均分子量が1000以下のものである。このようなポリエーテルポリオール(b1)においては、平均官能基数が2〜4であることが必要である。平均官能基数が2未満では、得られる充填材を用いて形成される注入材層の機械的強度(引張強度、伸び等)が不十分となり、他方、平均官能基数が4を超えると、得られる充填材の粘度が高くなり過ぎると共に、得られる充填材を用いて形成される注入材層の柔軟性が不十分となる。
また、このようなポリエーテルポリオール(b1)においては、数平均分子量が1000以下であることが必要であり、200〜1000の範囲であることがより好ましい。数平均分子量が1000を超えると、得られる充填材の粘度が高くなり過ぎると共に、得られる充填材を用いて形成される注入材層の機械的強度(引張強度、伸び等)が不十分となる。一方、数平均分子量が200未満では、反応性が高くなり過ぎるために、得られる充填材のポットライフが短くなる傾向にある。
前記ポリエーテルポリオール(b1)としては、1分子中にヒドロキシル基を1〜4個有するヒドロキシル基含有化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるものが挙げられる。このようなヒドロキシル基含有化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;トリレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アンモニア、アニリン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のポリアミン類等のアミン系化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。これらのヒドロキシル基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのポリエーテルポリオール(b1)の中でも、低粘度で疎水成分が多く、水の影響を受け難いという観点から、プロピレングリコールを開始剤とするプロピレンオキサイド付加物が好ましい。
このようなポリオール(B)においては、前記ポリエーテルポリオール(b1)の含有量が、ポリオール(B)の全質量に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。前記ポリオール(B)中におけるポリエーテルポリオール(b1)の含有量が前記下限未満では、反応性が遅くなりすぎ、また、得られる充填材を用いて形成される注入材層の機械的強度が不十分となる傾向にある。
また、本発明に用いるウレタンエラストマー充填材中における前記ポリオール(B)の含有量は、活性水素基に対するイソシアネート基の当量比が後述する範囲内となるような量とすることが好ましい。
さらに、本発明にかかるポリオール(B)は、前記ポリエーテルポリオール(b1)の他にヒマシ油系ポリオールを含有するものであることが好ましい。このようにヒマシ油系ポリオールを含有することにより、得られる充填材を用いて形成される注入材層のJIS−A硬度が高くなる傾向にある。このようなヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油及び変性ヒマシ油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールで変性されたヒマシ油等)が挙げられる。また、このようなヒマシ油系ポリオールを用いる場合、ヒマシ油系ポリオールの含有量は、ポリオール(B)の全質量に対して5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明にかかるポリオール(B)に用いることができる前記ポリエーテルポリオール(b1)及びヒマシ油系ポリオール以外のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオールが挙げられる。
本発明にかかる芳香族炭化水素系可塑剤(C)は、芳香族炭化水素(c1)を主成分とするものである。また、本発明にかかる芳香族炭化水素(c1)とは、芳香族性を示す単環或いは複数の環から構成される炭化水素化合物のことをいう。そして、このような芳香族炭化水素(c1)は特に限定されないが、沸点が150℃以上のものであることが好ましい。このような芳香族炭化水素(c1)としては、例えば、新日本石油社製のSAS−296、出光興産社製のイプゾール150、Rutgers Kureha Solvents GmbH社製のルタゾルブDI、丸善石油化学社製のスワゾール1800が挙げられる。
本発明においては、このように可塑剤成分として芳香族炭化水素系可塑剤(C)を用いているため、得られる充填材を用いて形成される注入材層の耐アルカリ性に悪影響を及ぼすことなく、充填材の粘度や注入材層の機械的強度を調整することが可能となる。
このような芳香族炭化水素系可塑剤(C)としては、芳香族炭化水素(c1)に加えて脂肪族炭化水素を含有するものを用いることができるが、このような芳香族炭化水素系可塑剤(C)においては、前記芳香族炭化水素(c1)の含有量が、芳香族炭化水素系可塑剤(C)の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)中における芳香族炭化水素(c1)の含有量が前記下限未満では、得られる充填材においてブリードが生じ易くなる傾向にある。
また、このような芳香族炭化水素系可塑剤(C)としては、市販されているものを用いることができ、例えば、新日本石油社製のSAS−296、ミネラルスピリットA等;エクソン化学社製のソルベッソ100等;丸善石油化学社製のスワゾール1800等;出光興産社製のイプゾール150等;Rutgers Kureha Solvents GmbH社製のルタゾルブDI等が挙げられる。
さらに、本発明においては、このような芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が有機ポリイソシアネート(A)100質量部に対して10〜100質量部の範囲内にあることが必要であり、10〜50質量部の範囲内にあることがより好ましい。芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が10質量部未満では、得られる充填材の粘度が高くなり過ぎると共に、得られる充填材を用いて形成される注入材層の柔軟性や伸びが不十分となる。他方、芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が100質量部を超えると、得られる充填材を用いて形成される注入材層の引張強度が不十分となる。
本発明に用いるウレタンエラストマー充填材は、前記有機ポリイソシアネート(A)、前記ポリオール(B)及び前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)を含有するものである。このようなウレタンエラストマー充填材は、例えば、前記有機ポリイソシアネート(A)と、前記ポリオール(B)及び前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)を含有するポリオールプレミックスとを混合することにより得ることができる。このように前記有機ポリイソシアネート(A)と前記ポリオールプレミックスとを混合する方法としては特に限定されないが、例えば、攪拌機を用いて15〜30℃の温度にて0.5〜5分間混合する方法を採用することができる。また、このようなウレタンエラストマー充填材は、必要に応じて他の添加成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱性向上剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、無機及び有機充填材、滑剤、帯電防止剤、補強材を更に含有していてもよい。
また、本発明に用いるウレタンエラストマー充填材における活性水素基(ポリオールの活性水素基の総量)に対するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、0.50/1.00〜2.00/1.00の範囲であることが好ましく、0.80/1.00〜1.50/1.00の範囲であることがより好ましい。活性水素基に対するイソシアネート基の当量比が上記下限未満では、得られる充填材が未硬化となりやすく、また得られる充填材を用いて形成される注入材層の機械的強度(引張強度)が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られる充填材を用いて形成される注入材層の柔軟性が不十分となる傾向にある。
本発明に用いるウレタンエラストマー充填材においては、雰囲気温度20℃で使用した場合における混合粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が前記上限を超えると、得られる充填材を微細な隙間に注入し難くなる傾向にある。また、本発明においては、前記有機ポリイソシアネート(A)と前記ポリオールプレミックスとを混合した後に温度20℃の雰囲気下に1時間放置した場合においても、雰囲気温度20℃で使用した場合における混合粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。このように、本発明においては、前記有機ポリイソシアネート(A)と前記ポリオールプレミックスとを混合した後に温度20℃の雰囲気下に放置した場合においてウレタンエラストマー充填材を使用することが可能な時間、すなわちポットライフを1時間以上とすることが可能であり、2時間以上とすることも可能である。このように本発明に用いるウレタンエラストマー充填材は、ポットライフが十分に長く、混合粘度が十分に低いため、長時間の注入作業が可能であり、また充填材を微細な隙間に注入することも可能である。
さらに、本発明に用いるウレタンエラストマー充填材を、温度0〜40℃において24〜168時間硬化せしめることにより注入材層を得ることができる。このような注入材層のJIS−A硬度は、柔軟性及び耐衝撃性の観点から、30〜90の範囲であることが好ましく、40〜70の範囲であることがより好ましい。このようなJIS−A硬度は、JIS K6253に記載の方法に準拠した方法でタイプAデュロメータ(JIS−A硬度計)を用いて測定することができる。
以上、本発明のトンネル防水構造において注入材として用いるウレタンエラストマー充填材について説明したが、以下、図面を参照しながら、本発明のトンネル防水構造及びその施工方法の好適な一実施形態について説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
先ず、本発明の第1のトンネル防水構造について説明する。図1は本発明の第1のトンネル防水構造の一実施形態を示す縦断面図であり、図2は図1におけるA−A線断面を示す横断面図であり、図3は図1における鎖線B部分を示す拡大縦断面図である。図1に示すトンネルにおいては、掘削された地山1の内面に一次覆工コンクリート2として吹き付けコンクリートが施され、その内面に不織布等の緩衝材4を介して防水シート3が敷設されている。そして、防水シート3の内面側には、特開2000−337096号公報に記載のトンネル構造と同様にトンネル長手方向に所定の長さ(スパン)毎に二次覆工コンクリート5が打設されており、その二次覆工コンクリート5の天端部分には、トンネル長手方向に所定間隔をおいて第1の注入材充填孔10が形成されている。なお、一次覆工コンクリート2及び緩衝材4は必要に応じて設けるもので、場合によっては省略することもある。
このように一次覆工コンクリート2、防水シート3及び二次覆工コンクリート5を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、特開2000−337096号公報に記載の方法を採用することができる。
すなわち、先ず、トンネルの地山1の内面に一次覆工コンクリート2を形成する。その方法としては、特に制限されないが、例えば、トンネルの地山1の内面側に成形用型枠を設け、成形用型枠にコンクリートを打設する方法を採用することができる。次に、一次覆工コンクリート2の内面側に防水シート3を形成する。その方法としては、特に制限されないが、例えば、公知の防水シートを一次覆工コンクリート2の内面に敷設する方法を採用することができる。また、このような防水シート3の大きさや厚みは特に限定されない。さらに、このような防水シート3の材質は、防水性を有し且つ溶着等で接合することが可能で材料であればよく、特に限定されない。また、一次覆工コンクリート2と防水シート3との間には、必要に応じて、緩衝材4として不織布等を設けてもよい。次いで、防水シート3の内面側に二次覆工コンクリート5を形成する。その方法としては、特に制限されないが、例えば、防水シート3の内面側に成形用型枠を設け、成形用型枠にコンクリートを打設する方法を採用することができる。また、その際に、特開2000−337096号公報に記載の方法においては、防水シート3と二次覆工コンクリート5との間に前記充填材を注入するための第1の注入材充填孔10を形成する。その方法も、特に限定されないが、例えば、図3に示すようなコンタクトグラウト管11内に棒状の心材12を挿入した状態で、その管11と心材12とを二次覆工コンクリート5内に埋設した後に心材12のみを引き抜く方法を採用することができる。
また、本発明の第1のトンネル防水構造においては、特開2000−337096号公報に記載のトンネル防水構造と同様に、防水シート3の内面にウォーターバリア6が溶着等で一体的に設けられており、ウォーターバリア6には、図3及び図4に示すようにトンネル周方向に延びる複数本のリブ6bが一体的に設けられている。さらに、ウォーターバリア6の隣り合うリブ6b同士の間には、図3及び図4に示すように排気注入ホース20が配置されている。リブ6b及び排気注入ホース20としては、特開2000−337096号公報に記載のリブ及び排気注入ホースと同様のものを用いることができる。また、本発明の第1のトンネル防水構造においては、ウォーターバリア6は二次覆工コンクリート5の打継目Jに対応する防水シート3の内面に設けられていることが好ましい。
さらに、本発明の第1のトンネル防水構造においては、注入材として、前記ウレタンエラストマー充填材を充填している。前記ウレタンエラストマー充填材を第1の注入材充填孔10から注入することにより、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することを防止することができる。また、前記ウレタンエラストマー充填材は、前述したように優れた機械的強度、耐衝撃性及び耐アルカリ性を有しているために長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能となる。
次に、本発明の第2のトンネル防水構造について説明する。本発明の第2のトンネル防水構造は、前述した本発明の第1のトンネル防水構造において、前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に注入材を充填するための第2の注入材充填孔を更に設けることを特徴とするものである。
本発明においては、このような第2の注入材充填孔(図示せず)を設けることにより、後述する第2のトンネル防水構造の施工方法において、防水シートと二次覆工コンクリートとの間だけでなく、防水シートと一次覆工コンクリートとの間にも前記注入材を注入することができるため、防水シートと一次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することも防止し、長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能なトンネル防水構造の施工方法を提供することが可能となる。
このような第2の注入材充填孔を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、防水シートの工区境に注入材充填孔を設ける方法や、二次覆工コンクリートの表面から一次覆工コンクリートに至るまでの貫通孔を設ける方法等を採用することができる。
次に、本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法について説明する。すなわち、本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法は、前記第1のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とする方法である。
このように防水シートを敷設する方法、二次覆工コンクリートを打設する方法、並びに注入材を充填する方法は、特に限定されないが、例えば、特開2000−337096号公報に記載の方法を採用することができる。
すなわち、本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法においては、先ず、トンネルの地山1の内面或いは一次覆工コンクリート2の内面に防水シート3を敷設する。その方法としては、前記第1のトンネル防水構造における防水シートの形成方法と同様の方法を採用することができる。次に、排気注入ホース20によりウォーターバリア6の隣り合うリブ6b同士の間のエアを抜きつつ防水シート3及びウォーターバリア6の内面に二次覆工コンクリート5を打設する。このようにして、ウォーターバリア6の隣り合うリブ6b同士の間にあったエアは、コンクリートの進入に伴って排気注入ホース20を介してトンネル空間側に順次排気され、そのエアと入れ替わるようにして前記リブ6b同士の間にもコンクリートが充填される。それによって前記リブ6b同士の間にエアが残留するのが防止されると共に、前記リブ6b同士の間に二次覆工コンクリート5を密に充填することができるものである。
本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法においては、次に、第1の注入材充填孔10から二次覆工コンクリート5と防水シート3との間に注入材として前記ウレタンエラストマー充填材を充填する。その方法としては、特に制限されないが、例えば、連続的に注入可能なポンプを用いて注入材を注入する方法を採用することができる。そして、このように前記ウレタンエラストマー充填材を第1の注入材充填孔10から注入することにより、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することを防止することができる。また、前記ウレタンエラストマー充填材は、前述したようにポットライフが十分に長く、常温(例えば15〜30℃)における粘度が十分に低いため、長時間の注入作業が可能であり、またポンプ等により注入材を容易に注入することができる。さらに、前記ウレタンエラストマー充填材は、前述したように優れた機械的強度、耐衝撃性及び耐アルカリ性を有しているために長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能となる。
また、本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法によれば、トンネルには所定のスパン毎に打設した二次覆工コンクリート5は、その打継目Jに設けたウォーターバリア6によって上記スパン毎に確実に仕切られた状態となると共に、防水シート3の内外両側には水みちとなるような隙間や空隙等が生じるおそれが殆どないため、万一漏水があった場合にも、水みちによって他のスパンに広がるおそれはなく、よって、漏水個所の発見及びその補修を速やかに施すことが可能となる。
また、本発明の第1のトンネル防水構造の施工方法においては、特開2000−337096号公報に記載の方法と同様に、排気注入ホース20を利用して、ウォーターバリア部分、即ちコンクリート打ち継ぎ部における二次覆工コンクリート背面部分への注入材の注入を行うこともできる。ここで用いる注入材としては、特に限定されないが、前記ウレタンエラストマー充填材を用いてもよい。また、このように注入材を注入する方法としては、例えば、排気注入ホース20のいずれか一方の端部20aから注入材を注入し、他方の端部20bからホース内及びその周囲のエアを順次排出させながら、他方の端部20bから注入材の溢れ出しを確認したところで注入材の充填を停止する方法を採用することができる。
次に、本発明の第2のトンネル防水構造の施工方法について説明する。本発明の第2のトンネル防水構造の施工方法は、前記第2のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填し、前記第2の注入材充填孔から一次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とする方法である。
このように防水シートを敷設する方法、二次覆工コンクリートを打設する方法、並びに注入材を充填する方法は、前記第1のトンネル防水構造の施工方法における防水シートを敷設する方法、二次覆工コンクリートを打設する方法、並びに注入材を充填する方法と同様の方法を採用することができる。
本発明においては、第1の注入材充填孔10からだけでなく、第2の注入材充填孔(図示せず)からも前記注入材を注入することにより、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することのみならず、防水シートと一次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することも防止し、長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能なトンネル防水構造の施工方法を提供することが可能となる。
以下、充填材評価試験及び施工評価試験に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、文中の「部」、「%」は質量基準であるものとする。また、充填材評価試験において用いた原料は以下のとおりである。
(I)充填材評価試験
(使用原料)
<有機ポリイソシアネート>
MR−200:ポリメリックMDI、日本ポリウレタン工業社製、商品名「MR−200」。
<ポリオール>
PP−400:ポリエーテルポリオール、水酸基価280mgKOH/g、平均官能基数2、数平均分子量400、三洋化成工業社製、商品名「PP−400」。
H−24:ヒマシ油系ポリオール、水酸基価160mgKOH/g、数平均分子量932、伊藤製油社製、商品名「URIC H−24」。
GP−1000:ヒマシ油系ポリオール、水酸基価160mgKOH/g、数平均分子量1000、三洋化成工業社製、商品名「サンニックスGP−1000」。
<可塑剤>
SAS−296:芳香族炭化水素系可塑剤、芳香族分100%、新日本石油社製、商品名「SAS−296」。
ソルベッソ100:芳香族炭化水素系可塑剤、芳香族分99%、エクソン化学社製、商品名「ソルベッソ100」。
ミネラルスピリットA:芳香族炭化水素系可塑剤、芳香族分約20%、新日本石油社製、商品名「ミネラルスピリットA」。
スワゾール1800:芳香族炭化水素系可塑剤、芳香族分99%、丸善石油化学社製、商品名「スワゾール1800」。
非炭化水素系可塑剤1:エステル系可塑剤、旭化成社製、商品名「エリーズM9020」。
非炭化水素系可塑剤2:カーボネート系可塑剤、旭硝子社製、商品名「アサヒネート」。
非炭化水素系可塑剤3:エーテル系可塑剤、三洋化成工業社製、商品名「SK−500」。
流動パラフィン:脂肪族炭化水素系可塑剤、キシダ化学社製。
(試験例1〜8及び比較試験例1〜7)
<ウレタンエラストマー充填材及び充填材成形体の作製>
試験例1においては、以下のようにしてウレタンエラストマー充填材及び充填材シート状成形体を得た。すなわち、攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器を窒素置換した後、PP−400を800部、H−24を50部及びSAS−296を150部仕込み、温度20℃において1時間混合してポリオールプレミックスを得た。その後、得られたポリオールプレミックスを温度20℃となるように温度調整した。
次に、得られたポリオールプレミックス300部と有機ポリイソシアネート(MR−200)150部とを容器に仕込み、温度20℃において1分間混合した後に、30分間の減圧脱泡処理を施してウレタンエラストマー充填材(ポリウレタン樹脂組成物:PU−1)を得た。そして、得られた充填材をシート成形用の金型(厚み:2mm)に投入し、温度45℃にて1日硬化せしめた後に脱型して充填材シート状成形体を得た。
また、試験例2〜8においては、ポリオールプレミックスの組成をそれぞれ表1に記載の通り変更した以外は試験例1と同様にして、ウレタンエラストマー充填材(PU−2)〜(PU−8)及び充填材シート状成形体を得た。さらに、比較試験例1〜6においては、ポリオールプレミックスの組成をそれぞれ表2に記載の通り変更した以外は試験例1と同様にして、ウレタンエラストマー充填材(PU−9)〜(PU−14)及び充填材シート状成形体を得た。また、比較試験例7においては、ポリオールプレミックスの組成を表2に記載の通り変更した以外は試験例1と同様にして、ウレタンエラストマー充填材(PU−15)を作製し、充填材シート状成形体の作製を試みたが、シート表面に可塑剤がブリードしてしまい充填材シート状成形体を作製することができなかった。
Figure 0005021582
Figure 0005021582
<ウレタンエラストマー充填材及び充填材成形体の評価>
試験例1〜8及び比較試験例1〜6で得られたウレタンエラストマー充填材及び充填材成形体について、以下の方法により、ウレタンエラストマー充填材の粘度、並びに充填材成形体のJIS−A硬度、耐アルカリ性、引張強度(TB)及び伸び(EB)を評価又は測定した。得られた結果を表3に示す。
(i)ウレタンエラストマー充填材の粘度の測定
試験例及び比較試験例で得られたウレタンエラストマー充填材について、B型回転粘度計を用いて、20℃における粘度を測定した。なお、粘度については、混合直後の粘度及び混合後20℃の雰囲気下にて1時間放置後の粘度をそれぞれ測定した。
(ii)充填材成形体のJIS−A硬度の測定及び評価
試験例及び比較試験例で得られたウレタンエラストマー充填材100gを成形用のカップに投入し、温度45℃にて1日硬化せしめた後に脱型して充填材成形体を得た。そして、得られた充填材成形体のJIS−A硬度をJIS K6253に記載の方法に準拠した方法でタイプAデュロメータ(JIS−A硬度計)を用いて測定した。なお、充填材成形体のJIS−A硬度の評価については、JIS−A硬度(単位:Hs)が30〜90の範囲である場合を「○」と判定し、それ以外の場合を「×」と判定した。
(iii)充填材成形体の耐アルカリ性の評価
試験例及び比較試験例で得られた充填材シート状成形体の耐アルカリ性をJIS K7312に記載の方法に準拠した方法で評価した。すなわち、充填材シート状成形体を試料(大きさ:100mm×25mm×2mm)とし、試料を温度70℃、PH13の飽和水酸化カルシウム水溶液に28日間浸漬した。そして、浸漬前の試料の質量(m)及び浸漬後の試料の質量(m)から飽和水酸化カルシウム水溶液への抽出物の質量比率〔△E={(m−m)/m}×100〕を算出し、抽出物の質量比率(△E)が3%未満の場合を「○」と判定し、それ以外の場合を「×」と判定した。
(iv)充填材成形体の引張強度及び伸びの測定及び評価
試験例及び比較試験例で得られた充填材シート状成形体の引張強度及び伸びをJIS K7312に記載の方法に準拠した方法で測定した。なお、充填材シート状成形体の引張強度の評価については、引張強度が2MPa以上である場合を「○」と判定し、それ以外の場合を「×」と判定した。また、シート状成形体の伸びの評価については、伸びが120%以上である場合を「○」と判定し、それ以外の場合を「×」と判定した。
Figure 0005021582
(II)施工評価試験
前記試験例及び前記比較試験例で得られた充填材を用い、特開2000−337096号公報に記載のトンネル防水構造の施工方法に準拠した方法によりトンネルの施工評価試験を行った。
試験例1〜8で得られたウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、20℃における粘度が十分に低く、またポットライフが十分に長いため、充填材を容易に注入できることが確認された。また、試験例1〜8で得られたウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、優れた耐アルカリ性及び機械的強度(引張強度及び伸び)並びに適度なJIS−A硬度を有する注入材層が形成され、長期間にわたりトンネルの漏水を抑制することが可能となることが確認された。
一方、比較試験例1〜2で得られたウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、20℃における粘度が高過ぎるために注入材を注入することが困難であり、また、注入材層のJIS−A硬度が高過ぎるために柔軟性に劣り、さらには注入材層の伸びが劣ることが確認された。また、比較試験例3で得られたウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、注入材層の引張強度が劣ることが確認された。さらに、比較試験例4〜6で得られたウレタンエラストマー充填材を用いた場合には、注入材層の耐アルカリ性が劣り、コンクリートに対する耐性が劣ることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、水密型シート防水工において、防水シートと二次覆工コンクリートとの間に水みちとなる隙間が発生することを防止し、長期間にわたりトンネルの漏水をより確実に抑制することが可能なトンネル防水構造及びその施工方法を提供することが可能となる。
本発明の第1のトンネル防水構造の一実施形態を示す縦断面図である。 図1におけるA−A線断面を示す横断面図である。 図1における鎖線B部分を示す拡大縦断面図である。 本発明の第1のトンネル防水構造におけるウォーターバリア及び排気注入ホースの配置を示す概略図である。
符号の説明
1…地山、2…一次覆工コンクリート、3…防水シート、4…緩衝材、5…二次覆工コンクリート、6…ウォーターバリア、6b…リブ、10…第1の注入材充填孔、11…コンタクトグラウト管、12…心材、20…排気注入ホース、20a…排気注入ホースの端部、20b…排気注入ホースの端部、D…仮排水路、J…二次覆工コンクリートの打継目。

Claims (5)

  1. トンネルの地山内面もしくは該地山内面に施工した一次覆工コンクリートの内面に防水シートを敷設すると共に、その防水シートの内面側に二次覆工コンクリートをトンネル長手方向に所定の長さずつ順に打設し、前記防水シートの内面に、二次覆工コンクリート側に突出する複数本のリブを有するウォーターバリアを防水シートと一体的に設けたトンネル防水構造において、
    トンネル長手方向に隣り合うウォーターバリア間の二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填するための第1の注入材充填孔を設けると共に、前記ウォーターバリアの隣り合うリブ間に、周面に多数の孔を有する排気注入ホースを設置しており、且つ、
    前記注入材として、有機ポリイソシアネート(A)と、平均官能基数が2〜4であり且つ数平均分子量が1000以下であるポリエーテルポリオール(b1)を主成分とするポリオール(B)と、芳香族炭化水素(c1)を主成分とする芳香族炭化水素系可塑剤(C)とを含有しており、前記芳香族炭化水素系可塑剤(C)の含有量が有機ポリイソシアネート(A)100質量部に対して10〜100質量部の範囲内にあるウレタンエラストマー充填材を充填していることを特徴とするトンネル防水構造。
  2. 前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に注入材を充填するための第2の注入材充填孔を更に設けることを特徴とする請求項1に記載のトンネル防水構造。
  3. 前記ウォーターバリアは前記二次覆工コンクリートの打継目に対応する防水シートの内面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル防水構造。
  4. 請求項1に記載のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とするトンネル防水構造の施工方法。
  5. 請求項2に記載のトンネル防水構造を施工するに当たり、防水シートを敷設した後、前記排気注入ホースによりウォーターバリアの隣り合うリブ間のエアを抜きつつ防水シート及びウォーターバリアの内面に二次覆工コンクリートを打設し、その後、前記第1の注入材充填孔から二次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填し、前記第2の注入材充填孔から一次覆工コンクリートと防水シートとの間に注入材を充填することを特徴とするトンネル防水構造の施工方法。
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