JP5019860B2 - ネズミ忌避剤 - Google Patents

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Description

この発明はネズミ忌避剤及びそれを用いたネズミ忌避材に関する。
従来、電線ケーブルや壁材、食料品用袋などといった様々な材料において、ネズミがかじることによる破損を防ぐ方法が検討されている。ネズミは単純に食べるためだけではなく、前歯を研ぐために様々な物をかじるため、ネズミが生息する箇所においては、ありとあらゆる物について、ネズミがかじることを警戒しなければならない。ネズミにかじられると、袋であれば内容物がこぼれてしまい、壁には穴が開き、電線ケーブルでは断線するだけではなく、ショートして火事を起こす危険性もある。
このようなネズミにかじられる害を防ぐために、種々のネズミ忌避剤が検討されており、例えば、カプサイシンとテルペノイド化合物を用いて忌避効果を発揮するケーブルが特許文献1に、シクロヘキシミドとカプサイシンを用いて忌避効果を発揮するケーブルが特許文献2に、安息香酸デナトニウムやカプサイシンなどを用いて忌避効果を発揮するゴミ入れ用袋が特許文献3に記載されている。これらの物質を含めることにより、ネズミがかじりにくくなる。
特開平6−199608号公報 特開2000−348542号公報 特開平9−169401号公報
しかしながら、シクロヘキシミドは味覚忌避剤であって嗅覚忌避効果が無いために、ネズミを寄りつかなくさせる効果がなく、あくまでネズミがかじることを防止するのみであった。また、シクロヘキシミドは劇物であって皮膚接触により人体に害を及ぼすことがあるため、一般生活の中で人間が接触する可能性のある物品の表面に、有効成分が露出すると、問題を生じるおそれがあった。
また、カプサイシンは、唐辛子の辛味成分であって味覚忌避剤として作用する他に、皮膚刺激や粘膜刺激によりネズミを忌避させることができるが、人間にとっても皮膚刺激が強すぎるため、一般生活の中で人間が接触する可能性のある物品に用いると問題を生じるおそれがあった。また、製造するのが難しく、製造コストに効果が合わないものであった。
さらに、テルペノイド化合物は、ハーブ類に多く含まれており、その中でもメントールなどが、忌避効果を有すると言われているが、忌避効果は動物の種類によって大きな差があり、天然の薬剤はどの成分が有効であるかで効果の高さが変わってくるため、大きな差がでてしまい、単独で強い忌避効果を有する化合物は見出されていなかった。
さらにまた、安息香酸デナトニウムも味覚忌避剤であるのでネズミを寄りつかなくさせる効果はなく、かつ水溶性であるために水分が多い環境下では溶出するので、効果持続性に問題があった。また、カプサイシンと同様に、製造するのが難しく、製造コストに効果が合わないものであった。
そこでこの発明は、ネズミに対して強い忌避効果を有し、安全性が高く、かつ製造コストを抑えたネズミ忌避剤を提供することを目的とする。
この発明は、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを有効成分とする、ネズミ忌避剤により上記の課題を解決したのである。
2−イソプロピル−5−メチルフェノール自体の忌避効果は、味覚忌避剤であるだけではなく、少量揮散しただけで皮膚刺激や粘膜刺激によりネズミを忌避させることができるので、高い忌避効果を発揮する。
また、2−イソプロピル−5−メチルフェノールはフェノールより分子量が大きいため、一気には揮散しにくく、必要な忌避効果を長期間に亘って維持することができる。さらに、揮散しにくいことから、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含有させた充填材や塗料等を用いて忌避効果を付与した物に人間が触れても、比較的刺激を受けにくくて済む。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを有効成分とするネズミ忌避剤と、これを用いた種々の実施形態に関する。
上記の2−イソプロピル−5−メチルフェノールは、ネズミに対する忌避効果を有する化合物である。これを有効成分とするとは、2−イソプロピル−5−メチルフェノールが主なネズミ忌避効果を発揮するものであり、忌避剤として2−イソプロピル−5−メチルフェノールのみを有する場合だけでなく、他の忌避剤を補助的に含有する場合も含む。このような他の忌避剤としては、例えば、カプサイシン、安息香酸デナトニウム、シクロヘキシミド、メントール、ヒノキチオール、その他テルペン類などが挙げられる。
この発明にかかるネズミ忌避剤の使用形態は特に限定されず、溶解液、分散液、ネズミ忌避エアゾール剤、ネズミ忌避スプレー剤、ゲル化剤と混合したネズミ空間忌避剤、ネズミ忌避担持体、ネズミ忌避充填材、ネズミ忌避塗料などが挙げられる。以下、それぞれについて説明する。
上記溶解液は、上記ネズミ忌避剤を、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解可能な溶媒、若しくは溶解を行う温度環境で流動性を有する界面活性剤に溶解したものである。また、上記分散液は、界面活性剤を用いて2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含む上記ネズミ忌避剤を水溶媒中に分散させたものである。このような溶解液や分散液はネズミの侵入を阻止したい箇所に散布することで効果を発揮する。これらにポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を混合させて散布すると、樹脂によって揮散が抑えられ、より長期に揮散が持続する。このような使用形態での2−イソプロピル−5−メチルフェノールの面積あたりの含有量は、0.1g/m以上であると好ましく、1g/m以上であるとより好ましい。0.1g/m未満では揮散量が少なすぎて、忌避効果が不十分となるためである。一方で10g/m以下であると好ましく、5g/m以下であるとより好ましい。10g/mを超えても忌避効果は大きく変化せず無駄となってしまうだけでなく、揮散量が多すぎて、人間に対して刺激となってしまうおそれがあるためである。
なお、上記溶解液及び分散液は、上記した数値範囲となる面積当たりの量の2−イソプロピル−5−メチルフェノールを散布できれば、濃度は特に限定されないが、0.005%重量未満であると必要なだけの含有量を得るのに必要な液の散布量が多くなりすぎてしまい、使用上不便となる。一方で、50重量%を超えると2−イソプロピル−5−メチルフェノールが溶解又は分散せずに析出してしまうおそれがある。界面活性剤を用いる場合、十分に溶解または分散させるために、2−イソプロピル−5−メチルフェノール:界面活性剤の比が1:1〜1:50が好ましい。界面活性剤が少なすぎると溶解、又は分散せず、多すぎるとべとついたり、コストメリットがでない。
上記の溶媒は2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解できるものであれば特に制限はないが、ネズミ忌避剤が他の忌避化合物を含む場合は、その他の忌避化合物も溶解できるものであると好ましい。2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解できるものとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、N−メチル-2−ピロリドン、グリセリン、フェニルグリコールなどが挙げられる。ただし、上記界面活性剤を併用して分散させる場合は、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解できない溶媒でもよく、例えば水でもよい。
また上記界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでもよい。この中でも特に、混合の際に2−イソプロピル−5−メチルフェノールなどに影響を及ぼしにくいノニオン系界面活性剤を用いると好ましく、例えば、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテルやポリオキシエチレンヒマシ油エーテル等の界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤に溶解させると、溶媒に溶解させた場合より揮散しづらいため、より長期に亘り効果を持続することが出来る。これは溶媒とともに一緒に揮散しない理由からである。
なお、上記の溶媒に溶解させるにあたっては、常温で溶解させてもよいが、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下の温度範囲で加熱して、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの溶解度を上げて溶解させてもよい。50℃を超えると2−イソプロピル−5−メチルフェノールの揮散量が多くなりすぎて無駄が生じるだけでなく、作業する際に人間に対する刺激が強くなりすぎ、作業が困難になるおそれがある。一方で、10℃未満であると溶解度が下がりすぎてしまうことがあるので、10℃以上であると好ましい。また、上記の界面活性剤に溶解させるにあたっては、界面活性剤の種類にもよるが、上記の溶媒よりも溶解しにくいため、10℃以上に加熱することが好ましい。一方で、界面活性剤を用いる場合も、同様に過剰な揮散を避けるために、加熱する温度は50℃以下であると好ましい。
上記のネズミ忌避エアゾール剤は、上記の溶媒に溶解させた溶解液又は分散液と噴射剤とを混合したものであり、噴射して用いるものである。このネズミ忌避エアゾール剤に用いる溶媒としては、上記ネズミ忌避剤が溶解、又は分散するものであれば特に制限されず、上記溶解液に用いられるものと同じものが挙げられ、この中でも水やエタノールが好ましく、溶解度の点からエタノールが特に好ましい。また、用いる噴射剤としては、液化石油ガス(以下、「LPG」と略記する)や、ジメチルエーテル(以下、「DME」と略記する)などが挙げられる。さらに、溶媒および噴射剤と共にアクリル系樹脂、ポリビニル樹脂などの樹脂を混ぜても良い。これらの樹脂を混ぜると、上記ネズミ忌避剤と樹脂が混合されて、噴射した後に樹脂から徐々に2−イソプロピル−5−メチルフェノールが放出されることになり、より長期間に亘って効果を維持させることができる。
このようなネズミ忌避エアゾール剤として用いる際の、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの濃度は、上記溶媒に対して0.1重量%以上であると好ましく、1重量%以上であるとより好ましい。0.1重量%未満では噴射しても上記ネズミ忌避剤が不足してしまい、忌避効果が不十分になってしまうからである。一方で、10重量%以下であると好ましく、5重量%以下であるとより好ましい。10重量%を超えて溶解させることは難しく、それ以上濃度を上げてもそれに見合う忌避効果の向上は見られず、無駄が生じるためである。
また、上記の噴射剤の濃度は、エアゾール全体の重量に対して30重量%以上であると好ましく、40重量%以上であるとより好ましい。30重量%未満では噴射が出来ない可能性があるためである。一方で、80重量%以下であると好ましく、70重量%以下であるとより好ましい。80重量%を超えると、忌避剤と溶媒が少なくなりすぎてしまうためである。従って、上記ネズミ忌避剤と上記溶媒との混合物は20重量%以上であると好ましく、30重量%以上であるとより好ましい。一方で、70重量%以下であると好ましく、60重量%以下であるとより好ましい。
上記のネズミ忌避スプレー剤とは、上記ネズミ忌避剤を溶媒中に溶解させた上記溶解液、又は溶媒中に上記界面活性剤を用いて分散させた上記分散液を、霧吹き器、すなわちスプレーにより噴霧するものである。用いる溶媒としては、上記ネズミ忌避剤が溶解、又は分散する物であれば特に制限されず、上記溶解液に用いられるものと同じものが挙げられ、この中でも水やエタノールが好ましく、溶解度の点からエタノールが特に好ましい。このようなネズミ忌避スプレー剤は、一般的な家庭用又は業務用の霧吹き器に詰めて、ネズミを近づけさせたくない場所や物体に噴霧して使用する。
上記のネズミ忌避担持体とは、上記ネズミ忌避剤を溶媒、又は溶解を行う温度環境で流動性を有する界面活性剤に溶解させたものや、界面活性剤を用いて溶媒中に分散させたものを、多孔質担持体に担持させたものである。上記の多孔質担持体とは、内部に上記ネズミ忌避剤を担持できる空洞を有する粒子からなる粉剤や、陶器、壁材などの物体であれば特に限定されるものではなく、例えば、粉剤の粒子としては、ゼオライト、セピオライト、活性炭などが挙げられる。具体的には例えば天然ゼオライトとして、石川ライト工業(株)製の石川ライトなどが挙げられる。
このようなネズミ忌避担持体の用途としては、例えば、粉剤に担持させた担持体をネズミの浸入を阻止したい箇所に撒き、粉剤から揮散される上記ネズミ忌避剤によってネズミを近づけなくさせる用法が挙げられる。また、粉剤に担持させた担持体を、通気性を有する袋に入れて中空につり下げておき、その周辺に対して忌避効果を発揮させる用法が挙げられる。さらに、陶器や壁材に担持させ、そこから揮散される上記ネズミ忌避剤により、その陶器や壁材にネズミを近づけなくさせる用法が挙げられる。このように多孔質担持体に担持させることによって、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの揮散速度を抑制し、長期間に亘ってネズミ忌避効果を持続させることができ、また、2−イソプロピル−5−メチルフェノールをそのまま取り扱うよりも散布などの際に取り扱いが容易となる。
ここで、上記ネズミ忌避担持体に用いる上記の溶媒としては、上記ネズミ忌避剤を溶解できるものである必要があり、例えばフェニルグリコール、エチレングリコール、流動パラフィン、低分子量ポリブテン、エタノールなどが挙げられる。また、上記の界面活性剤としては、上記溶解液又は上記分散液に用いる界面活性剤と同じものを用いてよい。上記溶媒の場合は、その中でも特に、揮発性でない、すなわち、常温での揮発が緩やかであるか、又は事実上揮発しないものであり、2−イソプロピル−5−メチルフェノールが溶解した状態を保持できる溶解保持剤を用いると好ましい。エタノールなどの揮発性溶媒を用いると、上記多孔質担持体に吸着させても溶媒自体が上記ネズミ忌避剤とともに揮散してしまうおそれがあるので、そのように同伴する揮散を抑えておくべきだからである。このような、揮散しにくい溶媒である溶解保持剤としては、エチレングリコール、流動パラフィン、低分子量ポリブテンなどが挙げられる。また、上記界面活性剤に溶解させておくと、上記溶解保持剤である上記溶媒に溶解させるよりもより揮散しにくいため、さらに好ましい。
上記の多孔質担持体に担持させる2−イソプロピル−5−メチルフェノールの吸着量は、上記の多孔質担持体の重量に対して0.01重量%以上であると好ましく、0.10重量%以上であるとより好ましく、0.5重量%以上であるとさらに好ましい。0.01重量%未満では2−イソプロピル−5−メチルフェノールの量が少なすぎて忌避効果が十分に発揮できないためである。一方で、15重量%以下であると好ましく、5重量%以下であるとより好ましく、3重量%以下であるとさらに好ましい。20重量%を超えて担持させても、それ以上の効果の向上は見込めないため無駄となりやすく、揮散量が多すぎて人間が感じる刺激臭も高くなってしまうため好ましくない。
上記のネズミ空間忌避剤とは、上記ネズミ忌避剤を、上記界面活性剤又は上記溶媒に溶解させた溶解液、又は、界面活性剤を用いて溶媒に分散させた分散液を、ゲル化剤と混合してゲル化したものである。ゲル化させることによって、上記ネズミ忌避剤単独の状態よりも、徐々に大気中に揮散させることができ、放出量を調整するとともに忌避効果を持続させることができるものである。このようなゲル化剤としては、例えば、寒天、(κ又はι)カラギーナン、アルギン酸、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、アラビアガム、ゼラチン、ペクチン、デンプン、タラガム、ウェランガム、クマリンドシードガム、ファーセレラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー等およびその誘導体などが挙げられる。これらのゲル化剤は、水に溶解させたゲル溶解液とした上で上記溶解液や分散液と混合すると、混合しやすく、上記ネズミ空間忌避剤が製造しやすい。なお、上記溶媒を用いる場合は、上記溶解保持剤を用いると、溶媒とともに揮散することを抑制することができるので好ましい。
また、上記の溶解液、分散液、ネズミ空間忌避剤、ネズミ忌避担持体は、加温して用いることもできる。これらは、上記ネズミ忌避剤単独のものよりも取り扱いが容易である。このため、これらの形態にして取り扱いを容易にするとともに、常温では必要とする量より少なくなった揮散量を増加させるために、加温により2−イソプロピル−5−メチルフェノールの揮散量を上げて揮散効果を高めることもできる。
上記ネズミ忌避充填材とは、充填材に上記ネズミ忌避剤を含有させたものである。上記充填材としては、孔やヒビを塞いだり、管やガラスなどの部品の接合に用いたりする、可塑性を有しつつも柔軟性を有する、いわゆるパテ材や、同様の用途に用い、固化する性質を持ついわゆるコーキング材などが挙げられる。上記パテ材の例としては、オレフィン系樹脂やエポキシ系接着剤などが用いられ、また、上記コーキング材の例としては、アクリル系樹脂やシリコン系樹脂が挙げられる。
上記ネズミ忌避充填材は、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを、0.05重量%以上含んでいることが好ましく、0.3重量%以上含んでいるとより好ましく、1重量%以上含んでいるとさらに好ましい。0.05重量%未満であると、必要とするネズミの忌避効果が発揮されないおそれが高いからである。一方で、20重量%以下であると好ましく、5重量%以下であるとより好ましく、3重量%以下であるとさらに好ましい。20重量%を超えて添加しても、ネズミを忌避する効果が劇的に向上するわけではなく、無駄が多くなり、また、2−イソプロピル−5−メチルフェノールが多すぎて充填材の成形に影響を及ぼしてしまい、充填材として使いにくくなってしまうおそれがある。
上記ネズミ忌避充填材を用いる際、上記ネズミ忌避充填材を詰めて壁として用いる場合には、その厚みは1mm以上であると好ましく、5mm以上であるとより好ましく、1cm以上であるとさらに好ましい。この発明にかかるネズミ忌避材としてのネズミ忌避充填材は、初めてこのネズミ忌避充填材に触れるネズミを完全に忌避させるものではなく、最初はネズミが試しに齧り付くこともあり得る。その際に厚みが1mm未満では、忌避効果のあるネズミ忌避充填材が試しにかじられるだけで破られてしまう可能性が高くなってしまうためである。一方、10cmより厚くても必要以上にある上記ネズミ忌避充填材が無駄となってしまうため、厚みは10cm以下であると好ましい。
上記ネズミ忌避塗料とは、樹脂に溶剤を混合した塗料に上記ネズミ忌避剤を混合したものをいう。ここで塗料とは、上塗り用塗料だけではなく、中塗り用塗料や下塗り用塗料をも含むものである。この塗料としては、例えば、アクリル樹脂系の油性塗料や水性塗料が挙げられる。
このネズミ忌避塗料を層状に塗工することで、様々なものにネズミに対する忌避効果を付与することが出来る。この塗料であるネズミ忌避材により塗工する対象は、例えば、ダンボール、樹脂成形体、シート、フィルム、壁、柱などが挙げられる。
上記のネズミ忌避塗料を用いて塗工する際には、一般的な塗工方法を用いてよく、例えば、刷毛やローラー、ロールなどで塗布する方法や、浸漬、噴射などが挙げられ、必要な厚みのネズミ忌避塗料の塗膜を形成できる方法であれば特に制限されるものではない。
上記のネズミ忌避塗料が含有する2−イソプロピル−5−メチルフェノールの濃度は、0.5重量%以上であると好ましく、1重量%以上であるとより好ましく、3重量%以上であるとさらに好ましい。0.5重量%未満であると、上記ネズミ忌避剤の量が少なすぎて、ネズミに対する忌避効果が十分に発揮されない可能性が高くなるためである。一方で、20重量%以下であると好ましく、10重量%以下であるとより好ましい。20重量%を超えて用いても、ネズミに対する忌避効果がそれ以上劇的に向上する可能性は低く、上記ネズミ忌避剤が無駄になってしまう。また、上記ネズミ忌避剤の量が多すぎて、塗料としての使用の際に邪魔になるおそれもある。
上記のネズミ忌避塗料を塗工することで形成される塗膜の厚みは、10μm以上であると好ましく、100μm以上であるとより好ましい。10μm以下であると、ネズミが試しにかじっただけでネズミ忌避塗料の塗膜が簡単に破られてしまい、忌避効果を十分に発揮できない可能性が高くなってしまうからである。一方で、5mm以下であると好ましく、1mm以下であるとより好ましい。5mmを超える厚みであると、塗工された対象の性質を阻害するおそれがあり、また、それより厚くしても忌避効果が劇的に向上するわけではないので、ネズミ忌避剤が無駄になる可能性が高いためである。
上記のネズミ忌避充填材やネズミ忌避塗料を製造するにあたって、上記のネズミ忌避剤を添加させる製造方法は、上記の充填材や塗料を製造する工程中に、直接に上記忌避剤を混合する方法が挙げられる。ただし、混合後の製造工程において熱がかかると、2−イソプロピル−5−メチルフェノールが熱により揮散してしまい、損失が大きくなるので、2−イソプロピル−5−メチルフェノールをシリカやゼオライトなどの無機物に含浸させたり、マイクロカプセル化したりして混合してから添加することで、揮散を抑制すると好ましい。
上記ネズミ忌避充填材や上記ネズミ忌避塗料などのネズミ忌避材のより好ましい製造方法としては、10℃以上、50℃以下の温度環境で2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶媒、又は溶解を行う温度環境で流動性を有する界面活性剤に溶解させたネズミ忌避剤を得た後、このネズミ忌避剤を上記充填材や上記塗料に混合して製造する方法が挙げられる。10℃未満であると溶媒や界面活性剤への溶解が困難となり、界面活性剤の種類によっては固化してしまい溶解できなくなるためである。一方、50℃を超えると2−イソプロピル−5−メチルフェノールが揮散しやすくなり、上記ネズミ忌避充填材やネズミ忌避塗料の製造段階で失われる2−イソプロピル−5−メチルフェノールの量が無視できなくなるためである。また、空気中への揮散量が多くなりすぎて、製造段階で人間に対しても刺激効果を与えてしまい、製造が困難になる場合もある。
ここで用いる溶媒は、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解できるものであれば特に制限されるものではなく、上記溶解液に用いる溶媒と同じものを用いてよい。また、上記の界面活性剤としては、上記ネズミ忌避剤と混合する際に流動性を有するものであれば特に制限されるものではなく、上記溶解液又は分散液に用いる界面活性剤と同じものを用いてよい。なお、溶解を行う温度環境で流動性を有するとは、上記の10℃から50℃の温度範囲全てで流動性を有する必要はなく、その温度範囲のいずれかで流動性を有するものであればよいことを示す。ただし、上記の中でも特に、上記溶解保持剤、又は界面活性剤に溶解させると、揮散しやすい溶媒に溶解させる場合よりも揮散抑制効果が大きいために、ネズミ忌避効果を長期間に亘って持続させることができるため好ましい。
上記の溶媒又は界面活性剤を含む上記ネズミ忌避塗料の具体的な製造方法としては、具体的には、10℃以上、50℃以下の温度環境で上記ネズミ忌避剤を上記の溶媒、又は上記の界面活性剤に溶解させたネズミ忌避剤含有液を得た後、このネズミ忌避剤含有液を上記塗料に混合して製造する方法がよい。
なお、上記のネズミ忌避充填材や上記ネズミ忌避塗料を製造する場合、上記の溶媒又は界面活性剤に2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解させる際の混合比は、(溶媒又は界面活性剤):(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)=0.1:1〜10:1であることが好ましい。この範囲よりも溶媒又は界面活性剤が多いと、上記ネズミ忌避充填材や上記ネズミ忌避塗料の忌避効果が不十分となってしまう。一方で、この範囲よりも2−イソプロピル−5−メチルフェノールが多いと、十分に溶解せず、直接混合する場合と大差なく、揮散しやすくなってしまう。
この発明にかかるネズミ忌避剤や、上記溶解液、上記分散液、上記ネズミ忌避エアゾール剤、上記ネズミ忌避スプレー剤、上記ネズミ忌避担持体、上記ネズミ空間忌避剤、上記ネズミ忌避充填材、上記ネズミ忌避塗料が有効に効くネズミは特に制限されるものではなく、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ、ハタネズミ、アカネズミ、ヒメネズミ、カヤネズミなどの一般的なネズミだけではなく、ハムスターなどの愛玩用ネズミ科哺乳類も含む。
以下、実施例を挙げてこの発明をより具体的に説明する。
[喫食忌避試験]
(実施例1、2)
2−イソプロピル−5−メチルフェノール(大阪化成(株)製)をポリオキシエチレン多環フェニルエーテル界面活性剤(日本乳化剤(株)製:ニューコール710)に、重量混合比(2−イソプロピル−5−メチルフェノール):(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル界面活性剤)=1:3で混合させて、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを有効成分として含むネズミ忌避剤を得た。
充填材に用いる、シリコン系樹脂としてシリコンシーラント(セメダイン(株)製:8060−90クリア)に、得られたネズミ忌避剤を含有させて、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの含有量が1重量%(実施例1)と3重量%(実施例2)とであるパテ材であるネズミ忌避材を得た。
マウス飼育ケージにマウス(メス16週齢)を2個体ずつ投入し、1日間馴致させた。次に餌を取り除き、それぞれのパテ材で表面を1mm厚さで全体をコーティングした固形飼料を、それぞれ3個づつ同じ飼育ケージに投入した。24時間後に固形飼料を回収し、それぞれの固形飼料の喫食状態を下記の5段階で評価し、比較した。その結果を表1に示す。いずれも、わずかにかじられたのみであり、パテ材はほとんど剥離していなかった。
−:喫食無し
±:噛み痕のみ
+:パテ材の剥離面積(固形飼料の露出面積)が10%未満
++:パテ材の剥離面積が10%以上50%未満
+++:パテ材の剥離面積が50%以上
Figure 0005019860
(比較例1)
実施例1において、ネズミ忌避剤を含有させないパテ材を用いてコーティングした固形飼料を飼育ケージに投入した。その結果を表1に示す。パテ材はほぼ完全に剥がれ、中の飼料はほとんど全て食べられていた。
(比較例2)
実施例2において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、ヒノキチオール(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例2と同様の手順により固形飼料を得て、飼育ケージに投入した。その結果を表1に示す。パテ材はほぼ完全に剥がれ、中の飼料はほとんど全て食べられていた。
(比較例3)
実施例2において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同様にテルペノイド化合物であるメントール(和光純薬工業(株)製:DLメントール)を用いた以外は、実施例2と同様の手順により固形飼料を得て、飼育ケージに投入した。その結果を表1に示す。何も含有させないパテ材に比べてややパテ材が残ったが、飼料の大部分が食べられていた。
(結果)
2−イソプロピル−5−メチルフェノールを用いた場合は、パテ材の剥離面積はいずれも10%未満であり、ネズミに対する忌避効果が見られた。ヒノキチオールやメントールを用いた場合は、忌避剤を用いなかった場合とほとんど違いがなく、ネズミに対する忌避効果が十分には発揮されなかった。
[侵入防止試験]
(実施例3,4)
2−イソプロピル−5−メチルフェノール(大阪化成(株)製)をポリオキシエチレン多環フェニルエーテル界面活性剤(日本乳化剤(株)製:ニューコール710)に、重量混合比(2−イソプロピル−5−メチルフェノール):(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル界面活性剤)=1:3で混合させてネズミ忌避剤を得た。
充填材に用いる、シリコン系樹脂としてシリコン系シーラント(セメダイン(株)製:8060 プロホワイト)に、得られたネズミ忌避剤を含有させて、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの含有量が1重量%(実施例3)と3重量%(実施例4)とであるネズミ忌避充填材を得た。
図1のように、外径34mm、内径28mmのポリ塩化ビニルパイプ(日本パイプシス
テム(株)製)11の一方の端部に、得られたネズミ忌避充填材12を厚さ1cmになるように詰め、そのポリ塩化ビニルパイプ11の両端に、1辺20cmのベニヤ板製の箱13を取り付けて図1のように組んだ。なお、ポリ塩化ビニルパイプ11の取り付け位置の高さは、箱13の中に投入するマウス(メス16週齢)16の前足と口が届くようにパイプ中心までの高さが50mmとした。
ネズミ忌避充填材12を詰めた側の箱に、水14と餌15とともに、マウス16を1個体投入し、上部に蓋をして24時間放置した。その後、ポリ塩化ビニルパイプ11に詰めたネズミ忌避充填材の状態を観察し、状況を下記のように分類した。その結果を表2に示す。
−:充填材に損傷無し
±:噛み痕又はひっかき傷のみ
+:充填材の剥離量が5%未満
++:充填材の剥離量が5%以上90%未満
+++:充填材の剥離量が90%以上
Figure 0005019860
(比較例4)
実施例3において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを添加せずに、パテ材をポリ塩化ビニルパイプ11に詰めて、それ以外は実施例3と同様にして状態を観察した。その結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例4において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、ヒノキチオール(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例4と同様にして状態を観察した。その結果を表2に示す。
[食害忌避試験]
(実施例5、比較例6)
40℃の温度環境で、2−イソプロピル−5−メチルフェノールと、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル界面活性剤(日本乳化剤(株)製:ニューコール710)とを1:3の重量混合比で混合して2−イソプロピル−5−メチルフェノールを溶解させた。得られた溶解液を、油性塗料(シリコンアクリル樹脂系塗料:(株)アサヒペン製、スーパーコート)と混合して、5重量%のネズミ忌避塗料を作成した。
このようにして得られた忌避剤含有塗料を、5cm×5cm×0.3cmのベニヤ板に、100μm厚となるように均一に塗布した(実施例5)。また、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含有させない塗料で同様にベニヤ板に塗布したものを作製した(比較例6)。
マウス飼育ケージにマウス(メス16週齢)を2個体づつ投入し、1日間馴致させた。そこに忌避剤含有塗料を塗布したベニヤ板と、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含有しない塗料を塗布したベニヤ板を、それぞれ1枚ずつ同じケージに投入した。24時間後に回収し、ベニヤ板の食害状態を下記の5段階で評価し、比較した。その結果を表3に示す。
(食害状態評価)
−:食害無し
±:噛み痕のみ
+:塗料の剥離面積が全体の3%以下
++:塗料の剥離面積が全体の3〜10%
+++:塗料の剥離面積が全体の10%以上
Figure 0005019860
(実施例6、比較例7)
実施例5において、油性塗料の代わりに水性塗料((株)カンペハピオ製:スーパーヒット)を2−イソプロピル−5−メチルフェノールの濃度が10重量%となるように同様に混合した。得られた忌避剤含有塗料を、同様のベニヤ板に30μm厚になるように塗布した(実施例6)。また、2−イソプロピル−5−メチルフェノールを含有させない水性塗料で同様にベニヤ板に塗布したものを作製した(比較例7)。これらについて実施例5と同様にケージに投入して評価を行った。その結果を表3に示す。
[ネズミ忌避エアゾール剤]
(実施例7)
溶媒としてエタノール(和光純薬工業(株)製:試薬)と、2−イソプロピル−5−メチルフェノールとを95:5の重量比で混合して、溶解液(5重量%)を作成した。これと、噴射剤(LPG/DME=70/30(重量比))とを、混合液:噴射剤=60:40の重量比で混合して、2−イソプロピル−5−メチルフェノールが5重量%のネズミ忌避エアゾール剤を作成した。このネズミ忌避エアゾール剤を10cm×10cmの厚紙に0.4gスプレーし(2−イソプロピル−5−メチルフェノール:2g/m相当)、1時間乾燥させた。この厚紙を、ICR系マウス雌成獣2匹を入れたケージに置き、水と餌を十分に与えて24時間静置した。その後、厚紙がかじられているか観察したところ、かじられていなかった。
(比較例8)
実施例7において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールのかわりに、同量のメントール(和光純薬工業(株)製:DLメントール)を混合したしたこと以外は実施例7と同様の手順により作業を行ったところ、厚紙はかじられており、忌避効果は認められなかった。
(比較例9)
実施例7において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールのかわりに、同量のヒノキチオール(和光純薬工業(株)製:生化学用)を混合したこと以外は実施例7と同様の手順により作業を行ったところ、厚紙はかじられており効果は認められなかった。
(結果)
メントール、ヒノキチオールではネズミ忌避効果が認められず、2−イソプロピル−5−メチルフェノールはネズミ忌避効果が認められた。
[ネズミ空間忌避剤]
(実施例8)
水85gに、ゲル化剤としてカラギーナン(三晶(株)製:GENU GEL)1gを溶解させてゲル水溶液を得た。また、40℃の環境で2−イソプロピル−5−メチルフェノール2gをノニオン系界面活性剤(日本乳化剤(株)製:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)12gと混合し、溶解液を得た。前記ゲル水溶液に、前記溶解液を混合して、2重量%のゲル剤となるネズミ空間忌避剤を作成した。
このゲル剤50mlを直径5cm×高さ4cmのプラスチック製容器に入れて、ステンレス製の金網で蓋をした。このネズミ空間忌避剤入り容器22を、図2に示す、横70cm×縦35cm×高さ27cmであるプラスチック製アリーナ21の一端に固定し、反対側の一端に、空の同じプラスチック製容器23を固定した。それぞれの容器22,23の上から、5cm×5cmの入口を有する15cm×15cmのカバー24,25をかぶせ、図2のように固定した。ネズミとしてICR系マウス雌成獣であるマウス26を二匹と、餌14及び水15をプラスチック製アリーナ21内に入れ、24時間静置した。ネズミは狭い所が好きで、このようなカバーの中に潜り込む習性があるが、その時点でマウスがどちらのカバー24又は25内にいるかを観察した。この実験を5回繰り返し、マウス26がどちらのカバー24又は25内にいるかによって、下記式(1)により忌避率を算出した。いずれの試験においても空の容器23側のカバー25の中におり、忌避率は100%であった。
忌避率(%)=[{薬剤無しカバー(25)内にいた匹数}−{薬剤有りカバー(24)内にいた匹数}]/{薬剤無しカバー(25)内にいた匹数}+{薬剤有りカバー(24)内にいた匹数}×100 (1)
(比較例10)
実施例8において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量のシクロヘキシミド(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例8と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は−20%となった。
(比較例11)
実施例8において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量のカプサイシン(日本化薬(株)製)を用いた以外は実施例8と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は0%となった。
(比較例12)
実施例8において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量の安息香酸デナトニウム(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例8と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は20%となった。
(結果)
2−イソプロピル−5−メチルフェノールをネズミ忌避剤として用いたネズミ空間忌避剤による実施例8ではネズミ忌避効果が認められ、シクロヘキシミド、カプサイシン、安息香酸デナトニウムでは、はっきりとしたネズミ忌避効果は認められなかった。
[ネズミ忌避担持体]
(実施例9)
2−イソプロピル−5−メチルフェノール3gを、ノニオン系界面活性剤(日本乳化剤(株)製:ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)9gに溶かして溶解液を得て、これを多孔質担持体である石川ライト5号(石川ライト工業(株)製)88gに添加攪拌し、均一に吸着させてネズミ忌避担持体である粉剤(2−イソプロピル−5−メチルフェノール:3重量%)100gを得た。このネズミ忌避担持体100gを実施例8で用いた図2に示す装置の、ネズミ空間忌避剤の代わりに用いて、実施例8と同様の試験を5回行った。いずれの試験においても、空の容器23側のカバー25の中におり、忌避率は100%であった。
(比較例13)
実施例9において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量のシクロヘキシミド(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例9と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は0%となった。
(比較例14)
実施例9において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量のカプサイシン(日本化薬(株)製)を用いた以外は実施例9と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は20%となった。
(比較例15)
実施例9において、2−イソプロピル−5−メチルフェノールの代わりに、同量の安息香酸デナトニウム(和光純薬工業(株)製:生化学用)を用いた以外は実施例9と同様の手順により作業を行ったところ、忌避率は20%となった。
(結果)
2−イソプロピル−5−メチルフェノールをネズミ忌避剤として用いたネズミ忌避担持体による実施例9ではネズミ忌避効果が認められ、シクロヘキシミド、カプサイシン、安息香酸デナトニウムでは、はっきりとしたネズミ忌避効果は認められなかった。
実施例3における侵入防止試験の概略図 実施例8及び9におけるネズミ忌避試験の概略図
符号の説明
11 ポリ塩化ビニルパイプ
12 充填材
13 箱
14 水
15 餌
16 マウス
21 プラスチック製アリーナ
22 薬剤入り容器
23 空の容器
24、25 カバー
26 マウス

Claims (1)

  1. 2−イソプロピル−5−メチルフェノールを10℃以上、50℃以下の温度環境で界面活性剤又は溶媒に溶解させた溶解液、又は、界面活性剤を用いて溶媒に分散させた分散液を、ゲル化剤を水に溶解させたゲル溶解液と混合してゲル化することを特徴とする、ネズミ空間忌避剤の製造方法。
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