JP5019287B2 - フィルム状物の表面処理装置 - Google Patents

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本発明は、フィルムや、金属箔、織物、紙などのフィルム状物の表面の剥離洗浄、例えばスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらダストの剥離洗浄などを行う表面処理装置に関するものである。
従来から、フィルム状物のスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらダストの剥離洗浄などを行う表面処理装置(例えば、非特許文献1)は存在する。
この装置100は、図2に示すように、回転するバックアップロール101に所定の抱き角をもって接触するウェブ(フィルム状物)Wに向けてクリーナヘッド102から噴射されるプレッシャーエア(圧力流体)によりウェブW表面に付着している微粒子塵を剥離するものであり、具体的には、上記バックアップロール101と、このバックアップロール101に所定のギャップを設けて配置される上記クリーナヘッド102とから構成され、このうちのクリーナヘッド102には、当該クリーナヘッド102の下方の左右に位置する区画室にプレッシャーヘッド103a,103bがそれぞれ配置され、これらプレッシャーヘッド103a,103bの間を通って当該クリーナヘッド102の上方に達する区画室にバキュームヘッド104が配置され、そして更に、プレッシャーヘッド103a,103b内には、超音波発生器105a,105bがそれぞれ配置されている。かかる装置100によれば、ウェブWに向けてプレッシャーヘッド103a,103bから噴射されるプレッシャーエアとともに、超音波発生器105a,105bからの超音波の振動エネルギーにより効果的にウェブW表面に付着している微粒子塵を剥離し、剥離された微粒子塵は、バキュームヘッド104から吸引除去されるようにしたものである。
カタログ「NEWULTRA CLEANER」 株式会社伸興
しかしながら、上述した装置は、噴射されるプレッシャーエアとともに、これに付加される超音波の振動エネルギーによりウェブW表面に付着している微粒子塵を剥離させようとするものであるが、プレッシャーエアの流速が高速になると、装置の構造上、上記ギャップ部を含むバックアップロール101とクリーナヘッド102間に略真空状態が形成されてしまったり、或いはまた乱流が発生してしまったりして、振動に伴う騒音が大きく、且つ、洗浄能力が不十分という問題があった。
解決しようとする課題は、高速流の圧力流体を作用させてもフィルム状物がバックアップロールより剥離されないようにして、フィルム状物の振動に起因する品質不良の発生を生じさせることなく、また、大きな騒音を生ずることなく、更に、洗浄能力を低下させることなく効率的に高速流の圧力流体をフィルム状物の表面の剥離洗浄に用いることができるようにすることである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るフィルム状物の表面処理装置は、回転するバックアップロールに所定の抱き角をもって接触するフィルム状物の前記抱き角の中央近傍に向けてクリーニングヘッドに設けられた吸気ダクトの開口から高速に噴射され、且つ、前記吸気ダクトの開口から前記抱き角の両外側に離隔して設けられた排気ダクトの開口に吸引される、エア(乾式の場合)や水(湿式の場合)の圧力流体により前記フィルム状物の表面の剥離洗浄、例えばフィルム状物のスリッター後の破片屑の剥離、或いはこれらのダストの剥離洗浄を行う表面処理装置であって、前記バックアップロールは、前記クリーニングヘッドに相対的に離隔、及び接近可能に配設され、且つ、前記フィルム状物を吸着可能に稼動され、また、前記クリーニングヘッドは、前記バックアップロールとの最接近位置で当該バックアップロールとの間に、前記抱き角に略等しい、又は前記抱き角より小さい角度範囲に渡って所定のギャップが形成されるようにしたもので、高速流の圧力流体を作用させてもフィルム状物がバックアップロールから剥離されないので、フィルム状物の振動に起因する品質不良の発生を生じさせることなく、また、大きな騒音を生ずることなく、更に、洗浄能力を低下させることなく効率的に高速流の圧力流体をフィルム状物の表面の剥離洗浄に用いることができる。
ところで、上記所定のギャップは、フィルム状物の種類や厚みにより変えられることはもちろん、最適な洗浄効果が得られるように選定される。
また、上記最接近の距離は、フィルム状物の種類等により異なるが、およそ0.1〜3mmぐらいに選定される。
本発明の請求項2に係るフィルム状物の表面処理装置において、前記ギャップは、前記クリーニングヘッドが前記最接近位置に位置する場合に、0.1〜3mmである。
本発明の請求項3に係るフィルム状物の表面処理装置において、前記ギャップは、円弧状に形成されているものである。

本発明のフィルム状物の表面処理装置は、高速流の圧力流体を作用させてもフィルム状物がバックアップロールから剥離されないので、フィルム状物の振動に起因する品質不良の発生を生じさせることなく、また、大きな騒音を生ずることなく、更に、洗浄能力を低下させることなく効率的に高速流の圧力流体をフィルム状物の表面の剥離洗浄に用いることができる利点がある。
本発明の実施の形態に係るフィルム状物の表面処理装置を図1を参照して説明する。
本装置1は、図1に示すように、高速流のエア(圧力流体)をフィルム状物Wに作用させて当該フィルム状物Wの表面の剥離洗浄を行う乾式の表面処理装置であり、フィルム状物Wが所定の抱き角をもって接触される大径の円筒状バックアップロール2と、このバックアップロール2の真下に位置し、当該バックアップロール2の中心を通る垂直線上にその中心軸が重なるように設置されるクリーニングヘッド3と、このバックアップロール2の中心を通る略水平線上で、且つ、当該バックアップロール2から適宜な距離だけ離隔した位置にそれぞれ配設される小径の円筒状をなす上流側ガイドローラ4a及び下流側ガイドローラ4bとで構成され、フィルム状物Wは、上流側ガイドローラ4aからバックアップロール2を通って下流側ガイドローラ4bに案内される走行経路において、バックアップロール2の下部で所定の抱き角をもって接触する態様をなすが、かかる抱き角は、後述するように、バックアップロール2の上下移動に従って変化し、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したときに最大抱き角Aとなる。
バックアップロール2は、回転可能に軸着され、また、エアシリンダー(図示せず)により当該バックアップロール2の中心を通る垂直線上に沿って上下(図1中の矢印で示す。)移動できるようになっており、したがって、クリーニングヘッド3に対し離隔(例えば図1中の一点鎖線で示す位置にあるとき)、及び接近(図1中の実線で示す位置は最接近したとき)可能に配される。そして、バックアップロール2は、サクションローラの機能を併せ持つもので、フィルム状物Wを吸着可能に稼動される。したがって、フィルム状物Wの表面の剥離洗浄に際して高速流の圧力流体を作用させてもフィルム状物Wがバックアップロール2から剥離されることがない。
また、クリーニングヘッド3は、基盤に固定された、横断面略帽子状をなす部材で、その最上部には円弧状の凹部3aが設けられ、この凹部3aの中心線は当該クリーニングヘッド3の上記中心軸と一致し、且つ、この凹部3aの円弧を含む仮想円とバックアップロール2の外径円とは同心円をなしている。したがって、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したときに当該クリーニングヘッド3の凹部3aとの間で所定のギャップGが形成されるようになっている。そして、クリーニングヘッド3の中心軸に沿う下部に高圧エアの導入口である吸気マニホールド5aが設けられ、この吸気マニホールド5aから上方に延出して上記凹部3aに開口する態様で吸気ダクト5bが設けられており、高速流のエアが凹部3aの開口口から噴出するようになっている。更には、吸気マニホールド5aから略水平方向に適宜な距離だけ離隔した位置に、剥離されたダストなどを含む排気エアの吸引口である排気マニホールド6a,6bがそれぞれ設けられ、これら排気マニホールド6a,6bに通じ、且つ、上方に延出して上記凹部3aの上流側端及び下流側端に通ずる態様で、上記排気エアの通路である排気ダクト7a,7bがそれぞれ設けられている。
ところで、バックアップロール2がクリーニングヘッド3に最接近したとき、即ち、フィルム状物Wのバックアップロール2に対する抱き角が最大抱き角Aのときに所定のギャップGが形成されるが、かかるギャップGは、本実施の形態では最大抱き角Aより小さい角度Bの範囲に渡って形成される。この条件を満たすことにより、フィルム状物がバックアップロールより剥離されないことが保証される。
尚、8は除電バーである。
次に、本装置1によるフィルム状物Wの表面の剥離洗浄動作について説明する。
本装置1は、洗浄開始前にあっては、バックアップロール2がエアシリンダーにより上方に引き上げられて図1の一点鎖線に示すような状態にある。このときの上記抱き角は、最小の状態になっている。
しかる後、フィルム状物Wが走行中でも、あるいは停止状態でも、スイッチがONされて洗浄開始が指示されると、バックアップロール2は下降を開始し、吸気マニホールド5aに高圧エアが通気され、高速流のエアが吸気ダクト5bを介して凹部3aの開口口から噴出して下降するバックアップロール2に垂直に当接する一方、バックアップロール2は、予め設定された下降位置で停止され、この停止位置でクリーニングヘッド3の凹部3aとの間で所定のギャップGが形成される。このときの上記抱き角は、最大抱き角Aとなっている。
ところで、フィルム状物Wは、バックアップロール2により吸着されつつ走行するが、その吸着時期は、上述した所定のギャップGが形成される前の適宜なタイミング時期とするのが好ましい。
そして、バックアップロール2とクリーニングヘッド3の凹部3aとの間に形成された所定のギャップG、換言すれば、バックアップロール2に吸着されたフィルム状物Wとクリーニングヘッド3の凹部3aとの間に形成された所定のギャップGに、この凹部3aの開口口から噴出する高速流のエアが流入する。流入した高速流のエアは、凹部3aの上流側端側及び下流側端側の両方に二分されてこのギャップGを通過し、フィルム状物Wに付着したダストなどを剥離する。このとき、フィルム状物Wがバックアップロール2に吸着されているので、高速流のエアを作用させてもフィルム状物Wがバックアップロール2から剥離されないことはもちろんである。そして、剥離されたダストなどを含む排出エアは、サクションブロア(図示せず)により排気ダクト7a,7aを通って排気マニホールド6a,6aより吸引され外部に排出される。このようにして、フィルム状物Wの表面の剥離洗浄がなされる。
ところで、本実施の形態では、バックアップロール2をクリーニングヘッド3に対し上下動できるようにしたものについて説明したが、逆にクリーニングヘッド3をバックアップロール2に対し上下動できるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、クリーニングヘッド3をバックアップロール2の真下に位置させる装置について説明したが、両者を上下反対に位置させた装置にしてもよく、また、両者を互いに水平に位置させた装置にしてもよい。
尚、本実施の形態のギャップGは、クリーニングヘッド3の凹部3aの円弧を含む仮想円とバックアップロール2の外径円とを同心円上に位置させて形成されるようにしたものであったが、必ずしも同心円上に位置させて形成されることを要せず、バックアップロール2が適宜な範囲でクリーニングヘッド3の凹部3aの形状に略沿うようにして形成されるものであってもよい。
本表面処理装置のように、フィルム状物の振動に起因する品質不良の発生を生じさせることなく、また、大きな騒音を生ずることなく、更に、洗浄能力を低下させることなく効率的に高速流の圧力流体をフィルム状物の表面の剥離洗浄に用いることができるようにした点で利用価値が高く、また、効率的に高速流の圧力流体を用いることができるようにした点でフィルム状物のエンボス加工や表面改質、サンドブラストなどの用途としても利用可能性が高い。
本実施の形態に係る表面処理装置の構成図である。 従来の表面処理装置の構成図である。
符号の説明
1 表面処理装置
2 バックアップロール
3 クリーニングヘッド
G ギャップ
W フィルム状物

Claims (3)

  1. 回転するバックアップロールに所定の抱き角をもって接触するフィルム状物の前記抱き角の中央近傍に向けてクリーニングヘッドに設けられた吸気ダクトの開口から高速に噴射され、且つ、前記吸気ダクトの開口から前記抱き角の両外側に離隔して設けられた排気ダクトの開口に吸引される圧力流体により前記フィルム状物の表面の剥離洗浄を行う表面処理装置であって、前記バックアップロールは、前記クリーニングヘッドに相対的に離隔、及び接近可能に配設され、且つ、前記フィルム状物を吸着可能に稼動され、また、前記クリーニングヘッドは、前記バックアップロールとの最接近位置で当該バックアップロールとの間に、前記抱き角に略等しい、又は前記抱き角より小さい角度範囲に渡って所定のギャップが形成されてなることを特徴とするフィルム状物の表面処理装置。
  2. 前記ギャップは、前記クリーニングヘッドが前記最接近位置に位置する場合に、0.1〜3mmであることを特徴とする、
    請求項1に記載の表面処理装置。
  3. 前記ギャップは、円弧状に形成されていることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の表面処理装置。
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