JP5018998B2 - 新規な液状テトラカルボン酸二無水物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な液状テトラカルボン酸二無水物及びその製造方法に関する。
光デバイス、表示、光情報伝送などに代表されるオプトエレクトロニクス分野において、透明材料の研究開発が活発に進められ、その適用が検討されている。この分野では、エネルギー密度や効率の観点から、300〜500nmの波長を積極的に活用する方向にある。
一般に、電子機器に用いられている有機材料として、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂が知られており、耐熱性の観点から、芳香族系の樹脂が用いられている。しかし、芳香族樹脂は、上記波長領域に吸収を有することから、透明材料としての使用が制限される。そこで、耐熱性の高い非芳香族系の透明材料の開発が求められている。また、オプトエレクトロニクス分野に適用される耐熱性透明材料には、シリコン基板やガラス基板との接着性、汎用溶媒への溶解性及び他の材料との相溶性が要求され、更には取り扱いの容易さから液状であることが望まれている。
そこで、このような特性を備えるエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を得るため、エポキシ樹脂用硬化剤として又はポリイミド樹脂を構成する成分として、脂環式のテトラカルボン酸二無水物を用いることが検討されている。
例えば、特許文献1〜3及び非特許文献1〜3では、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物と、テトラメチルジシロキサン又はジメチルクロロシランとから合成される下記化学式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその応用例が開示されている。
Figure 0005018998
また、特許文献4及び非特許文献4では、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物とヘキサメチルトリシロキサンとから合成される下記化学式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその応用例が開示されている。
Figure 0005018998
特表昭59−501208号公報 特開昭61−56189号公報 特開昭60−210624号公報 特表2007−515524号公報
Journal of Organometallic Chemistry,402(2),145−53(1991) Russian Journal of General Chemistry,Vol.68,No.4,572−577(1998) Polmer International,54(10),1416−1421(2005) High Performance Polymers,20,281−295(2008)
しかしながら、上記特許文献及び非特許文献に記載のテトラカルボン酸二無水物は、いずれも高い融点を持つ白色の結晶性固体である。そのため、このようなテトラカルボン酸二無水物を原料としてポリイミド樹脂を合成しようとした場合、安定した特性を発現し難いことや、環状オリゴマーが副生することがある。また、上述したテトラカルボン酸二無水物は融点が高いため、エポキシ樹脂用硬化剤としてエポキシ樹脂と混合してエポキシ樹脂組成物を調製しようとした場合、テトラカルボン酸二無水物の融点付近まで加熱する必要があり、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が低下してしまうことがある。
そこで、本発明は、室温で液状であり、取り扱い性に優れるテトラカルボン酸二無水物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らの調査によれば、上記特許文献及び非特許文献で開示されているノルボルナン骨格を有する含ケイ素テトラカルボン酸二無水物は、ノルボルナン環に結合する酸無水物基の立体構造がエンド構造であることが確認された。これらのテトラカルボン酸二無水物は、屈曲した分子構造を有し、融点が高く、室温付近では固体状態である。
上記化学式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の分子式C2230Siに該当するCAS登録番号として、立体構造を規定していない[86531−37−5]並びに立体構造を規定した[129646−52−2]、[217448−20−9]及び[217448−22−1]、[869277−10−1]がある。また、上記化学式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の分子式C2436Siに該当するCAS登録番号として、立体構造を規定していない[569669−52−9]及び立体構造を規定した[1042977−06−9]がある。
具体的には、非特許文献1で開示されているのは、下記化学式(4a)で表される5,5’−エキソ−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物であり、CAS登録番号[129646−52−2]に該当するテトラカルボン酸二無水物である。そして、このテトラカルボン酸二無水物の融点は、126〜153℃である。
Figure 0005018998
また、非特許文献2で開示されているのは、CAS登録番号[217448−20−9]と[217448−22−1]に該当するテトラカルボン酸二無水物であり、非特許文献3で開示されているのは、CAS登録番号[869277−10−1]に該当するテトラカルボン酸二無水物であり、ノルボルナン環酸無水物基の立体構造がエンド配置である。
さらに、非特許文献4で開示されているには、下記化学式(5a)で表される5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物であり、CAS登録番号[1042977−06−9]に該当するテトラカルボン酸二無水物である。そして、このテトラカルボン酸二無水物の融点は、133.4〜133.9℃である。
Figure 0005018998
一方、特許文献1〜4では、合成の原料に用いた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の立体構造及び合成したテトラカルボン酸二無水物のノルボルナン環に結合する酸無水物基の立体構造についての具体的な記載が認められない。しかし、得られたテトラカルボン酸二無水物に関して、特許文献1では、白色結晶質の固体であること、特許文献2では、融点が125〜148℃であること、特許文献3では、白い結晶固体であること、特許文献4では、白色の固体物質であることが記載されている。したがって、これらのテトラカルボン酸二無水物も、ノルボルナン環酸無水物基の立体構造がエンド配置していると考えられる。
そこで、上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、ノルボルナン骨格を有する含ケイ素テトラカルボン酸二無水物におけるノルボルナン環酸無水物基の立体構造をエキソ構造とすることで融点を持たない液状物になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を提供する。
Figure 0005018998
式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、mは1〜30の数を示す。なお、式(1)中、ノルボルナン環に結合するケイ素原子はいずれもノルボルナン環に対しエキソ配置し、かつ、ノルボルナン環に結合する酸無水物基はいずれもノルボルナン環に対してエキソ配置している。
上記テトラカルボン酸二無水物は、25℃における粘度が0.1〜45000Pa・sであることが好ましい。
本発明はまた、上記本発明のテトラカルボン酸二無水物の製造方法であって、下記化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物と、下記一般式(3)で表されるシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させる工程を備える、テトラカルボン酸二無水物の製造方法を提供する。
Figure 0005018998
式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、mは1〜30の数を示す。
上記製造方法により、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を容易に製造することができる。
本発明によれば、室温で液状であり、取り扱い性に優れるノルボルナン骨格を有する含ケイ素テトラカルボン酸二無水物及びその製造方法を提供することができる。本発明のテトラカルボン酸二無水物は、エポキシ樹脂用硬化剤として、又は、ポリイミド樹脂を合成するための酸無水物成分として好適に用いることができる。更に、本発明のテトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミド樹脂合成では、環状オリゴマーの副生を抑制することができる。
実施例1のテトラカルボン酸二無水物のH−NMRスペクトルである。 実施例1のテトラカルボン酸二無水物の13C−NMRスペクトルである。 実施例2のテトラカルボン酸二無水物のH−NMRスペクトルである。 実施例2のテトラカルボン酸二無水物の13C−NMRスペクトルである。 実施例3のテトラカルボン酸二無水物のH−NMRスペクトルである。 実施例3のテトラカルボン酸二無水物の13C−NMRスペクトルである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るテトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(1)で表されるものである。下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、ポリシロキサンの両末端にノルボルナン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物が結合している構造を有している。すなわち、本実施形態に係るテトラカルボン酸二無水物において、ノルボルナン環に結合するケイ素原子がいずれもノルボルナン環に対しエキソ配置し、かつ、ノルボルナン環に結合する酸無水物基がいずれもノルボルナン環に対してエキソ配置している。以下、場合により、本実施形態に係るテトラカルボン酸二無水物を、「エキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物」という。
Figure 0005018998
式(1)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、メチル基であることが最も好ましい。また、mは1〜30の数を示し、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが更に好ましい。なお、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、mが単一の値を示すテトラカルボン酸二無水物であってもよいし、mが異なるテトラカルボン酸二無水物の混合物であってもよい。
上記エキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物は室温(25℃)で液状であり、粘度は一般式(1)中のmの数によって変化し、mの数が大きくなるに従って粘度は小さくなる傾向があり、冷却してもガラス状固体となるだけで、結晶固化することはない。例えば、一般式(1)において、R、R、R及びRがメチル基であり、mが1の場合、エキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物の粘度は、40℃で2960Pa・s(25℃で42500Pa・s)であり、mが2の場合、40℃で38.4Pa・s(25℃で220Pa・s)であり、mが4の場合、25℃で3.95Pa・sである。すなわち、エキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物の25℃での粘度は、一般式(1)において、R、R、R及びRがメチル基である場合、0.1〜45000Pa・sであることが好ましい。上記粘度範囲であれば、100℃以上の高温で加熱しなくとも容易にエポキシ樹脂と混合でき、保存安定性に優れるエポキシ樹脂組成物を作製することができる。
上記本実施形態に係るエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物と、下記一般式(3)で表されるシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させる工程を備える方法によって得ることができる。
Figure 0005018998
式(3)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、メチル基であることが最も好ましい。また、mは1〜30の数を示し、1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが更に好ましい。なお、一般式(3)で表されるシロキサン化合物は、mが単一の値を示すシロキサン化合物であっても、mが異なるシロキサン化合物の混合物であってもよい。
一般式(1)において、R、R、R及びRがメチル基であり、mが1の場合、下記化学式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物、すなわち、5,5’−エキソ−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物を得ることができる。
Figure 0005018998
上記化学式(6)で表されるエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式(6a)、(6b)及び(6c)でそれぞれ表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体混合物である。
化学式(6a)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、2つのケイ素原子がノルボルナン環に対してエキソ配置し、かつ立体表記でR配置及びS配置している。
Figure 0005018998
化学式(6b)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、2つのケイ素原子がノルボルナン環に対して2つともエキソ配置し、かつ2つとも立体表記でR配置している。
Figure 0005018998
化学式(6c)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、2つのケイ素原子がノルボルナン環に対して2つともエキソ配置し、かつ2つとも立体表記でS配置している。
Figure 0005018998
一般式(1)において、R、R、R及びRがメチル基であり、mが2の場合、下記化学式(7)で表されるエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物、すなわち、5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物を得ることができる。
Figure 0005018998
上記化学式(7)で表されるエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式(7a)、(7b)及び(7c)でそれぞれ表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体混合物である。
化学式(7a)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、末端の2つのケイ素原子がノルボルナン環に対してエキソ配置し、かつ立体表記でR配置及びS配置している。
Figure 0005018998
化学式(7b)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、末端の2つのケイ素原子がノルボルナン環に対して2つともエキソ配置し、かつ2つとも立体表記でR配置している。
Figure 0005018998
化学式(7c)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、末端の2つのケイ素原子がノルボルナン環に対して2つともエキソ配置し、かつ2つとも立体表記でS配置している。
Figure 0005018998
一般式(1)において、R、R、R及びRがメチル基であり、mが4の場合、下記化学式(8)で表されるエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物、すなわち、5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物を得ることができる。
Figure 0005018998
この場合も、化学式(6)及び(7)と同様に、R−S配置体、R−R配置体及びS−S配置体の異性体混合物である。
上記化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物は、市販品として入手可能であり、例えば、アルドリッチ社から試薬として販売されている。また、シクロペンタジエンと無水マレイン酸のDiels−Alder反応によって得られる5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物を熱異性化することによって合成することができる。熱異性化反応では、5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物と5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物とが1:1の混合物となるが、5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物の方がトルエン又はアセトンへの溶解度が小さいことを利用して再結晶法によって5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物を単離することができる。
上記一般式(3)で表されるシロキサン化合物として、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサンを市販品として入手することができる。また、これらシロキサン化合物の混合物も市販されており、同様に用いることができる。
上記一般式(1)で表されるエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物を合成する際に用いられる一般式(3)で表されるシロキサン化合物の配合量は、理論的には、化学式(2)で示される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物2モルに対して1モルであることが最も好ましいが、秤量誤差等を考慮すると、0.99〜1.01モルであることが好ましい。一般式(3)で表されるシロキサン化合物の配合量が1.01モルを越えると、一般式(3)で表されるシロキサン化合物に5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物が1つだけ付加したモノ体が残存してしまい、これを除去するために精製工程に負荷が掛かってしまう。一方、一般式(3)で表されるシロキサン化合物の配合量が0.99モル未満になると、未反応の5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物が残存してしまい、これを除去するために精製工程に負荷が掛かってしまう。
ヒドロシリル化反応の触媒としては、ヒドロシリル化活性があるものであれば特に限定されない。触媒活性に優れる観点から、トリス(ジメチルビニルジシロキサン)二白金(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)及びヘキサクロロ白金酸(IV)が好ましく、トリス(ジメチルビニルジシロキサン)二白金(0)及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)がより好ましい。ヘキサクロロ白金酸(IV)は高活性ではあるが、通常は六水和物であることから、反応系に水分が存在することになり、目的の酸二無水物が水によって開環してしまうことがある。
トリス(ジメチルビニルジシロキサン)二白金(0)は、第5版実験化学講座第21巻、346頁に記載されている方法に従い、合成することができる。また、アルドリッチ社から「Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex」の商品名で白金濃度2%のキシレン溶液として市販されているので、これを用いることも可能である。
触媒の添加量は、5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物1モルに対して白金金属量として2×10−5〜2×10−3グラム原子であることが好ましく、5×10−5〜5×10−4グラム原子であることがより好ましい。触媒量が2×10−5グラム原子未満であると、反応が遅くなるだけでなく、原料中の不純物によって失活してしまうことがあり、2×10−3グラム原子を超えると、発熱反応のため反応が暴走してしまう危険性があるとともに、反応液が濃黒褐色になり脱色のために用いる活性炭の量が増える傾向がある。
ヒドロシリル化反応時の溶媒としては、原料及び触媒を溶解させ、ヒドロシリル化反応に不活性なものであればよく、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
反応温度は、通常40〜100℃であり、好ましくは50〜90℃である。反応が完結するのに要する時間は、触媒量と反応温度によって変化するので、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)でサンプリング分析して適宜調整することが好ましく、通常、0.5〜10時間程度である。
ここで、ヒドロシリル化反応において、一般式(3)で表されるシロキサン化合物として、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを用いた場合、下記反応式(9)で表される副反応が起こることがある。下記化学式(9a)で表される化合物は、融点178〜179.5℃の白色結晶である。また、下記化学式(9b)で表される化合物は化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物が水素化された化合物である。これらの化合物が混入したまま本発明のテトラカルボン酸二無水物をポリイミドの合成原料として使用した場合、ポリイミドの分子量を高くすることができなくなる。また、エポキシ樹脂の硬化剤として使用するには、エポキシ樹脂と混合するのに180℃近くまで加熱しなければならないことになる。したがって、この化合物をテトラカルボン酸二無水物から分離除去することが好ましい。
Figure 0005018998
上記化学式(9a)で表される化合物は、抽出により除去することができる。具体的には、化学式(9a)で表される化合物が混入している本実施形態に係るテトラカルボン酸二無水物に対して、ヘキサン及びトルエンの混合溶媒を加えて加熱攪拌し、加熱状態で静置すると2相に分離し、上層に式(9a)で表される化合物を抽出することで除去することができる。この際のヘキサンとトルエンの混合比率は、質量比で100:2〜100:20であることが好ましい。また、抽出時に加熱する際の温度は、40〜70℃であることが好ましい。また、化学式(9b)で表される化合物は、減圧下の蒸留で除去することができる。
本発明のエキソ−エキソ型テトラカルボン酸二無水物は、液状で取り扱い性に優れることから、エポキシ樹脂用硬化剤として、又は、ポリイミド樹脂を合成するためのテトラカルボン酸二無水物成分として好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<GPC測定条件>
本実施例におけるGPCの測定条件を、以下に示す。
装置:ポンプ(株式会社日立製作所製L−6000型)、検出器(株式会社日立製作所製L−3300RI型)
カラム:Gelpack GL−A110 500mm2本直列(日立化成工業社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:1.0mL/分
<NMR測定条件>
本実施例におけるNMRの測定条件を、以下に示す。
装置:Bruker社AV400M
溶媒:重クロロホルム
試料濃度:80mg/0.75mL
測定温度:室温(24℃)
共鳴周波数:H NMR:400.23MHz、13C NMR:100.64MHz
積算回数:H NMR:16回、13C NMR:128回
(合成例1)
<化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物の合成>
撹拌装置、冷却管及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物(日立化成工業株式会社製、融点164.5〜166℃、以下、「endo−HAC」と表記する)300gを仕込み、170℃で5時間加熱撹拌した。その後、フラスコを放冷して100℃になったときにトルエン300gを加え撹拌し、そのまま1晩放置した。析出した結晶を濾過操作で取り出した。結晶の重量は、223gであった。この結晶に対して300gのトルエンを加えて、再結晶操作を行い、再結晶で得られた結晶を真空乾燥させ、付着しているトルエンを除去した。得られた結晶は156gであり、融点は146.5〜148.5℃であった。NMRスペクトルを解析して、この結晶が、5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「exo−HAC」と表記する)であることを確認した。
(実施例1)
<化学式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、トルエン240g及びexo−HAC123.20g(0.7505モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度が80℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)2.99g(白金金属として3.07×10−4グラム原子)を加え、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(以下、「TMDS」と表記する)50.17g(0.3735モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。TMDSの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が90℃を維持するよう注意しながら1時間かけて滴下した後、更にフラスコ内温度を90℃に保ちながら1時間反応を続けた。その後、反応液を冷却し、活性炭15gを加え室温で2時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を減圧濃縮し、粘性のある無色透明の液体166.4gを得た。GPC分析の結果、この液体中に溶媒として用いたトルエンが含まれていないことを確認した。
次いで、反応時に副生する成分である上記化学式(9a)で表される化合物を除去するために、抽出精製を行った。連続単抽出装置の抽出側フラスコに、粘性のある無色透明の液体86.8g、ヘキサン169.4g及びトルエン23.9gを仕込み、蒸留側フラスコにヘキサン101.3g及び滴下ロートにヘキサン60.0gを仕込んだ。抽出側のウオーターバス温度を65℃、蒸留側のオイルバス温度を115℃に設定して10時間運転した。抽出側フラスコの下層を回収し、含まれる溶媒を除去して重量を求めたところ、62.0gであった。さらに、副生するもう1つの成分である上記化学式(9b)で表される化合物を、70Paの減圧下で窒素を微量吹き込みながら蒸留で除去した。
このようにして目的物である上記化学式(6)で表される5,5’−エキソ−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「exo−NB−DiSXDA」と表記する)を得た。exo−NB−DiSXDAの純度は98.3質量%であり、40℃で2960Pa・sであり、25℃で42500Pa・sの粘度を有する無色透明な粘性液体であり、2ヶ月間保管した後も外観に変化は見られなかった。
得られたexo−NB−DiSXDAが化学式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の立体構造を有することをNMR測定により確認した。図1は、実施例1のテトラカルボン酸二無水物であるexo−NB−DiSXDAのH−NMRスペクトルである。図1において、丸囲み数字は炭素の位置番号を示しており、メチレンプロトンにおいて、低周波数側に観測されるプロトンには添え字aを、高周波数側に観測されるプロトンには添え字bを付している。また、立体構造式の破線は分子の対称線である。積分強度比は、構造を反映している。また、図2は、exo−NB−DiSXDAの13C−NMRスペクトルであり、構造に対応して11本の炭素ピークが観測されている。
(実施例2)
<化学式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、トルエン270g及びexo−HAC67.45g(0.4109モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度50℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)1.609g(白金金属として1.65×10−4グラム原子)を加え、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(以下、「HMTS」と表記する)42.80g(0.2053モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。HMTSの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が55℃を維持するよう注意しながら1時間かけて滴下した後、フラスコ内温度を55℃に保ちながら3時間反応を続けた。
反応液をGPCで分析したところ、反応は定量的に進行しており目的物である5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「exo−NB−TriSXDA」と表記する)98.8質量%及び原料であるexo−HAC1.2質量%の組成であった。
その後、冷却し、活性炭13gを加え室温で2時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を減圧濃縮し、次いで残存するexo−HACを、70Paの減圧下で窒素を微量吹き込みながら除去した。
このようにして目的物であるexo−NB−TriSXDA109.2gを純度99.6質量%(exo−HAC0.4質量%含む)で得た。得られたexo−NB−TriSXDAは、40℃で38.4Pa・sであり、また25℃で220Pa・sの粘度を有する無色透明な液体であり、2ヶ月間保管した後も外観に変化は見られなかった。
得られたexo−NB−TriSXDAが化学式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の立体構造を有することをNMR測定により確認した。図3は、実施例2のテトラカルボン酸二無水物であるexo−NB−TriSXDAのH−NMRスペクトルである。図3において、丸囲み数字は炭素の位置番号を示しており、メチレンプロトンにおいて、低周波数側に観測されるプロトンには添え字aを、高周波数側に観測されるプロトンには添え字bを付している。また、立体構造式の破線は分子の対称線である。積分強度比は、構造を反映している。また、図4は、exo−NB−TriSXDAの13C−NMRスペクトルであり、構造に対応して12本の炭素ピークが観測されている。
(実施例3)
<化学式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた200mLの4つ口フラスコに、トルエン79g及びexo−HAC11.29g(0.06878モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度65℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)0.280g(白金金属として2.87×10−5グラム原子)を加え、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン(以下、「DMPS」と表記する)12.27g(0.03439モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。DMPSの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が65℃を維持するよう注意しながら0.5時間かけて滴下した後、フラスコ内温度を65℃に保ちながら7時間反応を続けた。
反応液をGPCで分析したところ、反応は定量的に進行しており目的物である5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「exo−NB−PentaSXDA」と表記する)97.1質量%及び原料であるexo−HAC2.9質量%の組成であった。
その後、冷却し、活性炭2.5gを加え室温で2時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を減圧濃縮し、次いで残存するexo−HACを、70Paの減圧下で窒素を微量吹き込みながら除去した。
このようにして目的物であるexo−NB−PentaSXDA21.8gを純度99.2質量%(exo−HAC0.8質量%含む)で得た。得られたexo−NB−PentaSXDAは、25℃で3.95Pa・sの粘度を有する無色透明な液体であり、2ヶ月間保管した後も外観に変化は見られなかった。
得られたexo−NB−PentaSXDAが化学式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の立体構造を有することをNMR測定により確認した。図5は、実施例3のテトラカルボン酸二無水物であるexo−NB−PentaSXDAのH−NMRスペクトルである。図5において、丸囲み数字は炭素の位置番号を示しており、メチレンプロトンにおいて、低周波数側に観測されるプロトンには添え字aを、高周波数側に観測されるプロトンには添え字bを付している。また、立体構造式の破線は分子の対称線である。積分強度比は、構造を反映している。また、図6は、exo−NB−PentaSXDAの13C−NMRスペクトルであり、構造に対応して13本の炭素ピークが観測されている。
(実施例4)
<化学式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
Figure 0005018998
式(10)中、m1の平均は、3.8である。
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、トルエン90g及びexo−HAC42.68g(0.2599モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度65℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)1.05g(白金金属として1.08×10−4グラム原子)を加え、下記化学式(11)で表されるシロキサンオリゴマー(m1が2〜9の混合物であり、m1の平均は3.8である。)45.63g(0.1278モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。シロキサンオリゴマーの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が65℃を維持するよう注意しながら1時間かけて滴下した後、フラスコ内温度を65℃に保ちながら2時間反応を続けた。
Figure 0005018998
反応液をGPCで分析したところ、反応は定量的に進行しており目的物である上記化学式(10)で表されるジメチルシロキサンオリゴマー(以下、「exo−NB−nSXDA(n=4.8)」と表記する)98.8質量%及び原料であるexo−HAC1.2質量%の組成であった。
その後、冷却し、活性炭7.8gを加え室温で1時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を減圧濃縮し、次いで残存するexo−HACを、70Paの減圧下で窒素を微量吹き込みながら除去した。
このようにして目的物であるexo−NB−nSXDA(n=4.8)83.2gを得た。得られたexo−NB−nSXDA(n=4.8)は、25℃で5.94Pa・sの粘度を有する無色透明な液体であり、25℃における屈折率は1.4734であった。また、2ヶ月間保管した後も外観に変化は見られなかった。
(実施例5)
<化学式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
Figure 0005018998
式(12)中、m2の平均は、13.0である。
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、トルエン60g及びexo−HAC33.65g(0.205モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度65℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)0.82g(白金金属として8.4×10−5グラム原子)を加え、下記化学式(13)で表されるシロキサンオリゴマー(m2が6〜22の混合物であり、m2の平均は13.0である)95.23g(0.100モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。シロキサンオリゴマーの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が65℃を維持するよう注意しながら1.5時間かけて滴下した後、フラスコ内温度を65℃に保ちながら2時間反応を続けた。
Figure 0005018998
反応液をGPCで分析したところ、反応は定量的に進行しており目的物である上記化学式(12)で表されるジメチルシロキサンオリゴマー(以下、「exo−NB−nSXDA(n=14)」と表記する)99.2質量%及び原料であるexo−HAC0.8質量%の組成であった。
その後、冷却し、活性炭6.1gを加え室温で1時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を減圧濃縮し、次いで残存するexo−HACを、70Paの減圧下で窒素を微量吹き込みながら除去した。
このようにして目的物であるexo−NB−nSXDA(n=14)123.6gを得た。得られたexo−NB−nSXDA(n=14)は、25℃で0.397Pa・sの粘度を有する無色透明な液体であり、25℃における屈折率は1.4402であった。また、2ヶ月間保管した後も外観に変化は見られなかった。
(比較例1)
<化学式(4a)で表されるテトラカルボン酸二無水物の合成>
撹拌子、滴下ロート、冷却管及び温度計を取り付けた1Lの4つ口フラスコに、トルエン200g及びendo−HAC82.08g(0.5000モル)を仕込み、加熱撹拌を開始した。フラスコ内の温度が80℃になった時点で、アルドリッチ社製Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetra−methyldisiloxane complex(白金濃度2%のキシレン溶液)2.01g(白金金属として2.06×10−4グラム原子)を加え、TMDS33.55g(0.2498モル)を滴下ロートからフラスコ内に徐々に滴下した。TMDSの滴下に伴って反応温度が上昇するので、フラスコ内の温度が90℃を維持するよう注意しながら1時間かけて滴下した後、更にフラスコ内温度を90℃に保ちながら6時間反応を続けた。
反応液をGPCで分析したところ、5,5’−エキソ−(1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「endo−NB−DiSXDAと表記する)87.0質量%、化学式(9a)において酸無水物基がノルボルナン環に対してエンド配置した化合物6.3質量%及び原料のendo−HACとこれが水素化したノルボルナン−エンド−2,3−ジカルボン酸無水物の混合物が6.8質量%の組成であった。
その後、反応液を冷却し、活性炭15gを加え室温で2時間撹拌し、濾過操作で活性炭を除いた。ロータリーエバポレーターを使って濾液を130gになるまで減圧濃縮した後、ジエチルエーテルを183g加え、1晩放置した。容器壁に析出した結晶を取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて重量を量ったところ、81.6gであった。この結晶の融点は135.5〜159℃であった。NMR測定により、この結晶はendo−NB−DiSXDAであることを確認した。
<エポキシ樹脂組成物の作製>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:jER828)100質量部に対して、実施例及び比較例で得られたテトラカルボン酸二無水物を、表1に示す配合量で混合して、エポキシ樹脂組成物を作製した。
(粘度測定)
上述のようにして作製したエポキシ樹脂組成物の25℃における粘度を、EHD型粘度計(東京計器(株)製)を用いて測定した。なお、「jER828」のみの粘度は、13.2Pa・sであった。
Figure 0005018998
*1:エポキシ基1当量に対し、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基0.85当量を配合。
*2:均一なエポキシ樹脂配合物を得るために要した加熱温度。
表1から明らかなように、本発明のテトラカルボン酸二無水物は100℃を超える高温に加熱することなくエポキシ樹脂と相溶することから取り扱いが容易であることがわかる。一方、比較例1のテトラカルボン酸二無水物は、配合後100℃で1時間加熱撹拌してもエポキシ樹脂には溶解せず、150℃(テトラカルボン酸二無水物の融点)まで加熱しなければならなかった。
本発明のテトラカルボン酸二無水物を用いることにより、エポキシ樹脂組成物を調製する際の加熱温度を低減できることから、エポキシ樹脂組成物の硬化反応性に変動を与えることを防ぐことができる。
本発明によれば、室温で液状であり、取り扱い性に優れるノルボルナン骨格を有する含ケイ素テトラカルボン酸二無水物及びその製造方法を提供することができる。本発明のテトラカルボン酸二無水物は、エポキシ樹脂用硬化剤として、又は、ポリイミド樹脂を合成するための酸無水物成分として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
    Figure 0005018998
    [式(1)中、R、R、R及びRは、メチル基を示し、mは1〜15の数を示す。なお、式(1)中、ノルボルナン環に結合するケイ素原子はいずれもノルボルナン環に対しエキソ配置し、かつ、ノルボルナン環に結合する酸無水物基はいずれもノルボルナン環に対してエキソ配置している。]
  2. 25℃における粘度が0.1〜45000Pa・sである、請求項1記載のテトラカルボン酸二無水物。
  3. 請求項1又は2記載のテトラカルボン酸二無水物の製造方法であって、
    下記化学式(2)で表される5−ノルボルネン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物と、下記一般式(3)で表されるシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応させる工程を備える、テトラカルボン酸二無水物の製造方法。
    Figure 0005018998
    [式(3)中、R、R、R及びRは、メチル基を示し、mは1〜15の数を示す。]
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