JP7006542B2 - シラン変性共重合体の製造方法およびそれを含む組成物 - Google Patents
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Description
このような特性を利用し、シランカップリング剤は、有機材料および無機材料の改質剤、両材料の接着に用いられる接着助剤、ならびに各種添加剤などとして幅広く用いられている。
1. i)下記式(1)、式(3)および式(4)
で表される構成単位を含有する共重合体(B)と、下記式(5)
で表される有機ケイ素化合物(C)とを、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応させて、下記式(1)、式(2)および式(3)
で表される構成単位を含有する共重合体(A)を製造する工程と、
ii)前記工程i)で得られた共重合体(A)を、さらにα-シリル脂肪族エステル化合物(D)と反応させる工程を備えることを特徴とするシラン変性共重合体の製造方法、
2. 前記シラン変性共重合体の数平均分子量が、1,000以上である1のシラン変性共重合体の製造方法、
3. 前記α-シリル脂肪族エステル化合物(D)が、下記式(6)で表される1または2のシラン変性共重合体の製造方法、
4. さらに、前記工程ii)の後に、iii)留去工程を含む1~3のいずれかのシラン変性共重合体の製造方法、
5. 下記式(1)、式(2)および式(3)で表される構成単位を含有する共重合体(A)と、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)とを含む組成物、
6. 前記共重合体(A)の数平均分子量が、1,000以上である5の組成物、
7. 下記式(1)、式(2)および式(3)で表される構成単位を含有する共重合体(A)およびα-シリル脂肪族エステル化合物(D)の反応物であるシラン変性共重合体と、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)とを含む組成物、
8. 前記シラン変性共重合体の数平均分子量が、1,000以上である7の組成物、
9. 前記α-シリル脂肪族エステル化合物(D)が、下記式(6)で表される5~8のいずれかの組成物、
を提供する。
本発明に係るシラン変性共重合体の製造方法は、i)下記式(1)、式(3)および式(4)で表される構成単位を含有する共重合体(B)と、下記式(5)で表される有機ケイ素化合物(C)とを、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応させて、下記式(1)、式(2)および式(3)で表される構成単位を含有する共重合体(A)を製造する工程と、ii)前記工程i)で得られた共重合体(A)を、さらにα-シリル脂肪族エステル化合物(D)と反応させる工程を備えることを特徴とする。
一方、R1およびR2の炭素原子数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル基等が挙げられる。
R2としては、直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、mは、1~3の整数であるが、2または3が好ましく、3がより好ましい。
ヒドロシリル化の際の選択性の面から、0価の白金錯体が好ましく、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエンまたはキシレン溶液がより好ましい。
白金化合物含有触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応性や、生産性等の点から、式(5)で示される有機ケイ素化合物1molに対し、含有される白金原子が1×10-8~1×10-2molとなる量が好ましく、1×10-7~1×10-3molとなる量がより好ましい。
使用可能な溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
適度な反応速度を得るためには加熱下で反応させることが好ましく、このような観点から、反応温度は40~110℃がより好ましく、40~90℃がより一層好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1~60時間程度であるが、1~30時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。
上記共重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値である(以下、同様)。
また、炭素原子数6~20のアリール基の具体例としては、フェニル、トリル、ナフチル基等が挙げられる。
なお、これらアルキル基、アリール基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等で置換されていてもよい。
これらの中でも、R4としては、エチル基、n-オクチル基が好ましい。
共重合体(A)とα-シリル脂肪族エステル化合物(D)の反応における反応温度は特に限定されるものではなく、0℃から加熱下で行うことができるが、0~120℃が好ましい。
また、反応時間も特に限定されるものではなく、通常、1~60時間程度であるが、1~20時間が好ましく、2~10時間がより好ましい。
留去工程における温度は特に限定されるものではなく、0℃から加熱下で行うことができるが、30~200℃が好ましい。また、留去時間も特に限定されるものではなく、通常、1~60時間程度であるが、1~30時間が好ましく、2~20時間がより好ましい。また、減圧条件下で留去工程を行ってもよい。
シラン変性共重合体の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。
すなわち、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)と反応させて得られたシラン変性共重合体は、共重合体(A)よりも保存安定性がより向上するが、このシラン変性共重合体にさらにα-シリル脂肪族エステル化合物(D)配合することで、その保存安定性がより一層向上する。一方、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)と反応させていない共重合体(A)においても、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)を配合することで、その保存安定性が著しく向上する。
組成物の調製方法には制限はなく、シラン変性共重合体または共重合体(A)と、α-シリル脂肪族エステル化合物(D)とを任意の順序で混合して調製することができる。
なお、下記において、「部」は質量部を意味する。分子量は、GPC測定により求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。粘度は、回転粘度計を用いて測定した25℃における値である。
[実施例1-1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28(モル比))207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10-5mol)を納め、トリメトキシシラン122gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、α-トリメトキシシリルプロピオン酸エチル3gを内温50℃で投入し、さらに3時間内温45~50℃で熟成を行った。その後、減圧濃縮および濾過し、粘度6,000mPa・s、数平均分子量4,300の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られたシラン変性共重合体は、下記式(1)、(3)、(6)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(6)=67/5/28であることが示唆された。得られたシラン変性共重合体を共重合体EX-1とする。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28)207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として0.5×10-5mol)を納め、トリメトキシシラン61gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、α-トリメトキシシリルプロピオン酸エチル3gを内温50℃で投入し、さらに3時間内温45~50℃で熟成を行った。その後、減圧濃縮および濾過し、粘度5,700mPa・s、数平均分子量3,500の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られたシラン変性共重合体は、上記式(1)、(3)、(4)、(6)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)/(6)=67/5/14/14であることが示唆された。得られたシラン変性共重合体を共重合体EX-2とする。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28)207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として0.5×10-5mol)を納め、トリエトキシシラン82gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、α-トリメトキシシリルプロピオン酸エチル3gを内温50℃で投入し、さらに3時間内温45~50℃で熟成を行った。その後、減圧濃縮および濾過し、粘度5,200mPa・s、数平均分子量3,800の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られたシラン変性共重合体は、下記式(1)、(3)、(4)、(7)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)/(7)=67/5/14/14であることが示唆された。得られたシラン変性共重合体を共重合体EX-3とする。
[比較例1-1]
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28(モル比、以下同様))207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として1×10-5mol)を納め、トリメトキシシラン122gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、減圧濃縮および濾過し、粘度6,000mPa・s、数平均分子量4,300の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られた共重合体は、上記式(1)、(3)、(6)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(6)=67/5/28であることが示唆された。得られた共重合体を共重合体CE-1とする。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28)207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として0.5×10-5mol)を納め、トリメトキシシラン61gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、減圧濃縮および濾過し、粘度5,700mPa・s、数平均分子量3,500の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られた共重合体は、上記式(1)、(3)、(4)、(6)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)/(6)=67/5/14/14であることが示唆された。得られた共重合体を共重合体CE-2とする。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、Ricon130MA(Cray Vally社製、数平均分子量2,700、上記式(1)、(3)、(4)の構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)=67/5/28)207g、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金原子として0.5×10-5mol)を納め、トリエトキシシラン82gを内温75~85℃で1時間かけて滴下した。その後、80℃で3時間熟成を行った。熟成終了後、減圧濃縮および濾過し、粘度5,200mPa・s、数平均分子量3,800の褐色濁液体を得た。数平均分子量の結果より、得られた共重合体は、上記式(1)、(3)、(4)、(7)で表される構成単位で構成され、(1)/(3)/(4)/(7)=67/5/14/14であることが示唆された。得られた共重合体を共重合体CE-3とする。
[実施例2-1]
実施例1-1で得られた共重合体EX-1 100gとα-トリメトキシシリルプロピオン酸エチル1gを混合して組成物を調製した。得られた組成物を組成物-1とする。
比較例1-1で得られた共重合体CE-1 100gとα-トリメトキシシリルプロピオン酸エチル1gを混合して組成物を調製した。得られた組成物を組成物-2とする。
上記実施例1-1~1-3で得られたシラン変性共重合体、比較例1-1~1-3で得られた共重合体、および上記実施例2-1,2-2で得られた組成物の保存安定性試験を行った。
評価方法としては、各サンプル100gを100gガラス瓶に入れ密閉条件下で40℃の恒温室に放置した際の粘度変化を評価した。粘度変化率が低い程、保存安定性に優れる。結果を表1に示す。
これらのシラン変性共重合体および組成物は、長期間保存が可能となり、また生産性向上も期待できる。
上記実施例1-1~1-3で得られたシラン変性共重合体、比較例1-1~1-3で得られた共重合体、および上記実施例2-1,2-2で得られた組成物の引火点を測定した。結果を表2に示す。
[参考例1-1~1-3,2-1,2-2、比較参考例1-1~1-3]
上記実施例1-1~1-3で得られたシラン変性共重合体、比較例1-1~1-3で得られた共重合体、および上記実施例2-1,2-2で得られた組成物を用い、表3に示される各エポキシ樹脂組成物を調製し、その密着性を評価した。
具体的には、得られたエポキシ樹脂組成物をガラス板にバーコーターで厚さ10μmとなるように塗布し、150℃、1時間の条件で硬化させ、下記方法により評価した。組成物の配合量(部)および評価結果を表3に示す。
密着性試験方法:
碁盤目剥離試験/JIS K 5400に準拠して行った。
Claims (6)
- i)下記式(1)、式(3)および式(4)
で表される構成単位を含有する共重合体(B)と、下記式(5)
で表される有機ケイ素化合物(C)とを、白金化合物含有触媒の存在下でヒドロシリル化反応させて、下記式(1)、式(2)および式(3)
で表される構成単位を含有する共重合体(A)を製造する工程と、
ii)前記工程i)で得られた共重合体(A)を、さらにα-シリル脂肪族エステル化合物(D)と反応させる工程を備えることを特徴とするシラン変性共重合体の製造方法。 - 前記シラン変性共重合体の数平均分子量が、1,000以上である請求項1記載のシラン変性共重合体の製造方法。
- 前記シラン変性共重合体の数平均分子量が、1,000以上である請求項4記載の組成物。
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