JP6024234B2 - 接着剤及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、接着剤用改質剤及びその製造方法、並びに接着剤に関する。
半導体素子及び液晶表示素子において、素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の接着剤が使用されている。接着剤に要求される特性は、接着性をはじめとして、耐熱性、高温高湿状態における信頼性等多岐にわたる。また、被着体である部材は、プリント配線板、ポリイミド等の有機基材をはじめ、銅、アルミニウム等の金属、ITO、SiN、SiO等の多種多様な材料から形成された表面を有している。そのため、接着剤においては、各被着体にあわせた分子設計が必要である。
従来、半導体素子及び液晶表示素子用の接着剤としては、接続信頼性を確保する観点から接着性及び耐熱性に優れるエポキシ樹脂、アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられている。熱硬化性樹脂を含有する接着剤の構成成分としては、熱硬化性樹脂と硬化剤の他に、フィルム形成材として、熱可塑性樹脂が用いられる。
フィルム形成材として用いられる熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、及び、ポリイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂などが挙げられる。かかる熱可塑性樹脂を用いることで、フィルム形成性やリペア性を得ることができる。また、接着剤組成物の接着性及び耐熱性を向上させ、優れた接着強度を得ることができるとともに、硬化物の耐熱性の向上により、信頼性試験(高温高湿試験)後においても優れた特性を維持することができる。接着剤において用いることのできる熱可塑性樹脂として、上述の樹脂群の中から一種もしくは二種以上を選択することができるが、中でもポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂を用いた場合、特に優れた接着性と耐熱性が得られる。
半導体素子と回路基板とを接続する手段の一例として、導電性粒子を有する異方導電性接着剤を用いる方法がある。近年、半導体素子の高集積化、液晶素子の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化している。また、生産効率向上のために、低温(100℃〜160℃)かつ短時間(10秒以下)で半導体素子と回路基板を接続できる接着剤が求められている。半導体素子を回路基板上に搭載する場合、接続する電極同士が相対向するように回路部材を配置し、この回路部材間に接着剤を介在させ、加熱及び加圧を行う。このとき、従来の熱硬化性接着剤で低温かつ短時間接続を行う場合、加熱及び加圧時の流動性が不足し、また短時間で硬化が進行するため、加熱及び加圧時には電極同士が接触する前或いは接着剤が導電性粒子を含む場合は電極間で導電性粒子が押しつぶされる前に硬化反応が進行し、電極同士の接触若しくは電極と導電粒子との接触が不十分となるという問題が生じ得る。
接着剤に高いフィルム成形性、リペア性、接着性、耐熱性を与えるポリイミド樹脂及びポリアミド酸樹脂であるが、上記の低温短時間で接続する条件において、ポリイミド樹脂及びポリアミド酸樹脂の有する高いガラス転移温度のため、低温かつ短時間の接続条件では可塑化が進行せずに接着剤の十分な流動性が得られず、電極同士の接触若しくは電極と導電性粒子との接触が不十分となるという問題が生じ得る。
ポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂中にシロキサン骨格を導入することにより、これら樹脂を含む接着剤の流動性が向上することが期待される。シロキサン骨格を有する酸無水物として、例えば、下記一般式(4)で示される化合物が知られている(例えば、特許文献1)。式(4)において、Rの少なくとも1個は、下記式(5)で表される基である。
Figure 0006024234
ポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂に、シロキサン骨格とは別の機能を有する機能性骨格を導入する場合がある。具体的には、ガラスをはじめとする様々な基材に対する高接着性を付与する機能性骨格の一例として、ピペラジン骨格が挙げられる(例えば、特許文献2及び3)。
特開平5−331291号公報 特開2010−202852号公報 特開2010−202853号公報
シロキサン骨格を有するジアミンを用いて合成されるポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂の場合、その分子設計の自由度に限界がある。例えば、シロキサン骨格を有するジアミンとシロキサン骨格を有しない酸二無水物とを反応させて得られる、シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂の場合、樹脂中に導入されるシロキサン骨格の量は、シロキサン骨格を有しない酸二無水物を用いる分だけ少なくなる。
ポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂に、シロキサン骨格とは別の機能を有する機能性骨格(例えば、ピペラジン骨格)を導入する場合、一般に、係る機能性骨格を有するジアミンを樹脂の原料として用いることが望ましい。しかし、シロキサン骨格及びこれとは別の機能性骨格を同時にポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂に導入すると、シロキサン骨格を有するジアミンを用いる分だけ、機能性骨格の量が少なくなってしまうという難点がある。
シロキサン骨格を有する酸二無水物を用いてポリイミド樹脂又はポリアミド酸樹脂を導入することにより、シロキサン骨格及び場合により更に別の機能性骨格の含有量に着目した分子設計の自由度を高くすることができると期待される。
しかし、本発明者らの検討により、特許文献1に開示される式(4)の酸無水物を用いて合成したポリイミド樹脂は、耐熱性が不足する可能性が高く、また、係るポリイミド樹脂を含む接着剤のフィルム形成性も満足できるレベルにないことがわかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れたフィルム形成性を有するとともに低温かつ短時間で十分に高い接着強度を発現する接着剤を得ることを可能にし、更には、十分な耐熱性を有する接着剤用改質剤を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表される繰り返し単位、及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、接着剤用改質剤に関する。
Figure 0006024234
式(1)中,Rはジアミン又はジイソシアネートの残基を示し、mは1〜30の整数を示す。
Figure 0006024234
式(2)中,Rはジアミン又はジイソシアネートの残基を示し、mは1〜30の整数を示す。
上記樹脂を含む改質剤によれば、優れたフィルム形成性を有するとともに低温かつ短時間で十分に高い接着強度を発現する接着剤を得ることが可能である。更に、この改質剤は十分な耐熱性を有する。
本発明はまた、上記本発明に係る改質剤を含有する、接着剤に関する。本発明に係る接着剤は、優れたフィルム形成性を有するとともに、低温かつ短時間で十分に高い接着強度を発現する。
別の側面において、本発明は、上記改質剤を製造する方法に関する。本発明に係る方法は、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン又はジイソシアネートとを反応させる工程を備える。
Figure 0006024234
式(3)中、mは1〜30の整数を示す。
本発明によれば、優れたフィルム形成性を有するとともに低温かつ短時間で十分に高い接着強度を発現する接着剤を得ることを可能にし、更には、十分な耐熱性を有する接着剤用改質剤が提供される。
また、本発明に係る改質剤を構成する樹脂は、シロキサン骨格を有するジアミンを用いなくとも、シロキサン骨格が導入されるため、ジアミンの選択の自由度が高く、用途に応じた幅広い分子設計が可能である。
ポリアミド樹脂の溶融粘度と温度の関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位、及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体である。主として式(1)の繰り返し単位から構成される樹脂は、一般にポリイミド樹脂と称される。主として式(2)の繰り返し単位から構成される樹脂は、一般にポリアミド酸樹脂と称される。本明細書において、式(1)で表される繰り返し単位、及び/又は式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体は、「ポリイミド系樹脂」と称される。
Figure 0006024234
Figure 0006024234
式(1)及び(2)中、Rは、ポリイミド系樹脂の合成のために用いられたジアミン又はジイソシアネートの残基を示し、mは1〜30の整数を示す。好ましくは、ノルボルナン環に直接結合するケイ素原子はいずれもノルボルナン環に対してエキソ配置し、ノルボルナン環に結合するイミド環はいずれもノルボルナン環に対してエキソ配置している。同一分子中の複数のRは、同一でも異なっていてもよい。Rは、後述するジアミン又はジイソシアネートからアミノ基又はイソシアネート基を除いた部分に相当する構造する残基であり得る。mは、好ましくは1〜20、さらに好ましくは、1〜10である。
上記ポリイミド系樹脂は、単独で又は必要により他の成分とともに、接着剤の接着性向上等のための改質剤として用いられ得る。係るポリイミド系樹脂が改質剤として添加された接着剤は、低温かつ短時間の接着条件においても高い流動性を有し、多様な材質の被着体に対して良好な接着強度を示すことができる。また、係る接着剤は、高い耐熱性を有する。
本実施形態に係るポリイミド系樹脂の重量平均分子量は、特に制限を受けるものではないが、好ましくは5000〜250000、より好ましくは10000〜150000である。重量平均分子量が小さいと、接着剤のフィルム形成性が低下する傾向がある。重量平均分子量が250000を超えると他の成分との相溶性が低下する傾向がある。
本実施形態に係るポリイミド系樹脂は、例えば、下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン又はジイソシアネートとを反応させて、式(1)で表される繰り返し単位及び/又は式(2)で表される繰りかえし単位を有する樹脂を生成させる工程を含む方法により、得ることができる。主として式(1)の繰り返し単位から構成されるポリイミド樹脂は、式(3)のテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを反応させた後、生成物を脱水閉環することによって生成させることができる。主として式(2)の繰り返し単位から構成されるポリアミド酸樹脂は、式(3)のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることによって、生成させることができる。
Figure 0006024234
式(3)のテトラカルボン酸二無水物は、例えば、5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物、5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物、及び5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり得る。
ポリイミド系樹脂を合成するときに、ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物として、式(3)のテトラカルボン酸二無水物を単独で用いることもできるし、式(3)のテトラカルボン酸二無水物を他の1種又は2種以上のテトラカルボン酸二無水物と組み合わせて用いてもよい。複数種のテトラカルボン酸二無水物を組み合わせることで、ガラス転移温度(Tg)及び弾性率等の樹脂物性を容易に制御できる。
式(3)のテトラカルボン酸二無水物と併用できる他のテトラカルボン酸二無水物は、例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、ピロメリット酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,8,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,8,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,8,4,5−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,10,8,9−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物)、ビシクロ−[2,2,2]−オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸二無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(別名「4,4’−ヘキサフルオロプロピリデン酸二無水物」)、及び2,2,−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物から選ばれる。これらテトラカルボン酸二無水物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用される。
ジアミンと反応させるテトラカルボン酸二無水物のうち、式(3)の化合物の割合は、特に制限を受けることはないが、50質量%以上が好ましく、75%質量以上がより好ましい。式(3)のテトラカルボン酸二無水物の割合が50質量%より少ないと、流動性を高める効果が小さくなる傾向がある。
ポリイミド系樹脂を合成するために用いられるジアミンは、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、及び、下記式(6)で表されるジアミノポリシロキサンから選ばれ得る。式(6)において、nは好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。
Figure 0006024234
更に、ジアミンは、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、三井化学ファイン株式会社製のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン[商品名:ジェファーミンD−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等]、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンからも選ばれ得る。
ジアミンとして、ピペラジン骨格等の機能性骨格を有する化合物を用いることもできる。機能性骨格を有するジアミンの好適な例としては、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン及び1,4−ビスアミノプロピル−2,5−ジメチルピペラジンを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
以上例示したジアミンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。あるいは、これらジアミンのアミノ基をイソシアネート基に置き換えた構造を有するジイソシアネートを用いてポリイミド系樹脂を合成することもできる。
本実施形態に係る接着剤は、例えば、ポリイミド系樹脂を含む改質剤と、熱硬化性成分とを含有する。熱硬化性成分は、例えば、エポキシ樹脂及びその硬化剤、又は、ラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤から構成される。
十分な流動性を得るという観点から、本実施形態に係る接着剤は、上述の実施形態に係るポリイミド系樹脂を5質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましい。
本実施形態に係る接着剤は、上述のポリイミド系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を更に含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂は、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、及びアクリル樹脂からなる群から選らばれる1種以上である。これら熱可塑性樹脂とポリイミド系樹脂とを組み合わせることで、接着剤のTgや接着性、耐熱性を調節できる。
本実施形態に係る接着剤は、回路部材同士を接続するための異方導電性接着剤として好適に用いられる。この場合、接着剤は、導電性粒子を更に含有することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(検討1)
<ポリイミド樹脂の合成>
1.シロキサン骨格を有する酸二無水物を用いたポリイミド樹脂(PI−1)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物52.0mmolと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン22.75mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン22.75mmol及びポリオキシプロピレンジアミン6.5mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、式(1)で表され、mが4である繰り返し単位を有するポリイミド樹脂(以下「PI−1」という。)のNMP溶液を得た。
PI−1のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−1を得た。得られたPI−1の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で51000であった。PI−1をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
2.シロキサン骨格を有しない酸二無水物を用いたポリイミド樹脂(PI−2)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物52.0mmolと、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)100gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン22.75mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン22.75mmol及びポリオキシプロピレンジアミン6.5mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、シロキサン骨格を有しないポリイミド樹脂(以下「PI−2」という。)のNMP溶液を得た。
PI−2のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−2を得た。得られたPI−2の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で59000であった。PI−2をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
<フェノキシ樹脂の準備>
PKHC(ユニオンカーバイト社製商品名、平均分子量45000)40gをMEK(メチルエチルケトン)60gに溶解して、固形分40質量%の溶液を得た。
<ウレタンアクリレート樹脂の合成>
重量平均分子量800のポリカプロラクトンジオール400部と、2−ヒドロキシプロピルアクリレート131部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル1.0部を攪拌しながら50℃に加熱して混合した。次いで、イソホロンジイソシアネート222部を滴下し更に攪拌しながら80℃に昇温してウレタン化反応を行った。イソシアネート基の反応率が99%以上になったことを確認後、反応温度を下げて重量平均分子量8500のウレタンアクリレート樹脂を得た。
<アクリル系硬化性樹脂組成物の調整>
1.式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を含むアクリル系硬化性樹脂組成物(A−1)の調製
PI−1のMEK溶液15.00g、フェノキシ樹脂25.00g、ウレタンアクリレート樹脂
30.00g、二官能アクリレート(商品名:ABE−300、新中村化学社製)30.00g、及び硬化剤としてラウロイルパーオキシド(製品名:
パーロイルL、日油製)3.00gを混合して、シロキサン骨格を有するPI−1を含む接着剤であるアクリル系硬化性樹脂組成物(以下「A−1」という。)のMEK溶液を得た。ただし、フェノキシ樹脂、及び、ウレタンアクリレート樹脂は、上記で準備したものを用いた。
2.シロキサン骨格を有しないポリイミド樹脂を含むアクリル系硬化性樹脂組成物(A−2)の調製
PI−1のMEK溶液に代えて、PI−2のMEK溶液を用いたことの他はA−1と同様にして、PI−2を含む接着剤であるアクリル系硬化性樹脂組成物(以下「A−2」という。)のMEK溶液を得た。
<接着強度の評価>
1.積層体の作成
アクリル系硬化性樹脂組成物A−1及びA−2のMEK溶液を、支持体としてのPETフィルムの表面処理された面にバーコーターを用いて塗布し、塗布された溶液を70℃で5分間熱風乾燥して、厚さ16μmの接着層を形成させた。この方法により、PETフィルム及びPETフィルム上に形成された接着層から構成される積層体を作成した。
2.接続体の作成
各積層体の接着層と、ガラス基板及びガラス基板上に形成された酸化インジウムの薄層(ITO膜)を有するITOガラスのITO膜とを張り合わせ、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて70℃の温度にて1MPaで1秒間加熱及び加圧を行った。これにより、各積層体とこれに接続したITOガラスを有する接続体を作製した。
3.ITOガラスに対する接着強度の測定と評価
各接続体の積層体を幅2.5mmに切断し、2.5mm幅の切断片をITOガラスから積層体を剥離するために必要な力(剥離力)をJIS−Z0237に準じて90°剥離法(剥離速度50mm/分、測定温度25℃)により測定した。測定装置としてテンシロンUTM−4(東洋ボールドウィン社製)を使用した。測定結果を表1に示す。
4.ポリイミドフィルムに対する接着強度の測定と評価
「2.接続体の作成」で得られた接続体の積層体を、幅1mmの部分が残るようにPETフィルムごと切断した。その後、PETフィルムをはがし取り、接着層を暴露させた。接着層の上にポリイミドフィルムを被せ、ポリイミドフィルムの上から熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて140℃の温度にて3MPaで4秒間加熱及び加圧を行った。
ポリイミドフィルムから接続体を剥離するために必要な力(剥離力)をJIS−Z0237に準じて90°剥離法(剥離速度50mm/分、測定温度25℃)により測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006024234
表1に示されるように、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を含む実施例1の接着層は、シロキサン骨格を有しないポリイミド樹脂を含む比較例1の接着層よりも、ITOガラス、及びポリイミドフィルムに対して強い接着強度を示した。このことから、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を接着剤に添加することにより、低温かつ短時間の条件での接着であっても、基材に対する高い接着強度を得られることが確認された。
<溶融粘度(流動性)の測定と評価>
ポリイミド樹脂PI−1及びPI−2の溶融粘度を、レオメトリック製レオメータARES−2K STD−FCO−STDを使用し、昇温速度が10℃/min、測定温度範囲が60℃から180℃の条件で測定した。結果を図1に示す。式(1)で表される繰り返し単位を有する酸二無水物を用いて合成したポリイミド樹脂PI−1は、式(1)で表される繰り返し単位を有する酸二無水物を用いずに合成したPI−2よりも低い溶融粘度を示した。この結果から、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂が接着剤に高い流動性を与えることがわかる。
(検討2)
<ポリイミド樹脂へのシロキサン骨格の導入量の検討、表2>
式(6)で表されるジアミンと、式(7)で表されるシロキサン骨格を有する酸無水物(5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物)とを等量用いて合成される、式(1)又は(2)で表され、mが4である繰り返し単位を有するポリイミド系樹脂PI−3におけるシロキサン骨格の割合は、63質量%である。一方、式(6)で表されるジアミンと、分子量が小さく入手の容易な酸二無水物である1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)とを等量用いて合成されるポリイミド系樹脂PI−4におけるシロキサン骨格の割合は、54質量%である。
このように、式(6)のジアミンとPMDAを用いた場合よりも、式(7)で示される酸二無水物を用いた場合のほうが、より多くのシロキサン骨格を樹脂中に導入することができ、ポリイミド樹脂、又はポリアミド酸樹脂の分子設計の幅が広がることがわかる。
Figure 0006024234
Figure 0006024234
Figure 0006024234
<シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂への機能性骨格の導入量の検討>
ピペラジン骨格をポリイミド樹脂、又は、ポリアミド酸樹脂中に導入するためには、ピペラジン骨格を有する酸二無水物は入手が困難であることから、入手が容易であるピペラジン骨格を有するジアミンを用いることが望ましい。
式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、ピペラジン骨格を有するジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン(BAPIP)とを等量用いて合成されるポリイミド樹脂(PI−5)は、42質量%のシロキサン骨格と、24質量%のピペラジン骨格とを有する。酸二無水物PMDAと、式(6)のジアミン及びBAPIPとを用いて、PI−5と同等の42質量%のシロキサン骨格が含まれるように樹脂設計したポリイミド樹脂(PI−6)の場合、導入できるピペラジン骨格の最大量は12質量%である。また、別の酸二無水物3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を用いてPI−5と同等の42質量%のシロキサン骨格が含まれるように樹脂設計をしたポリイミド樹脂(PI−7)場合、6質量%のピペラジン骨格を導入することができる。4,4‘−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)を用いてPI−5と同等の42質量%のシロキサン骨格が含まれるように樹脂設計をしたポリイミド樹脂(PI−8)場合、ジアミンとして式(6)のジアミンのみを用いたとしても、40質量%以上のシロキサン骨格を導入することができないし、ピペラジン骨格を樹脂中に全く導入することができない。このように、本発明によれば、シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂、又はポリアミド酸樹脂中により多くの機能性骨格を導入することが可能であり、分子設計の幅が広がることがわかる。
Figure 0006024234
(検討3)
<ポリイミド樹脂の合成>
1.式(7)で表される酸二無水物を用いたポリイミド樹脂(PI−9)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、式(7)の酸二無水物(5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,9−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物)24.0mmolと、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物24.0mmolと、N−メチル−2−ピロリドン140gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン21.0mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン21.0mmol及びポリオキシプロピレンジアミン6.0mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、式(1)で表され、mが4である繰り返し単位と、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来する繰り返し単位とを有するポリイミド樹脂(以下「PI−3」という。)のNMP溶液を得た。
PI−3のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−3を得た。得られたPI−3の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で57000であった。PI−9をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
2.シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂(PI−10)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、シロキサン骨格を有する酸二無水物(5,5’−エキソ−(1,1,3,3,5,5,7,7,9,9−デカメチルペンタシロキサン−1,5−ジイル)ビスビシクロ[2.2.1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸二無水物)48.0mmolと、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物12.0mmolと、N−メチル−2−ピロリドン181gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン26.25mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン26.25mmol及びポリオキシプロピレンジアミン7.50mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、式(1)で表され、mが4である繰り返し単位と、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来する繰り返し単位とを有するポリイミド樹脂(以下「PI−10」という。)のNMP溶液を得た。
PI−10のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−10を得た。得られたPI−10の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で44000であった。PI−10をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
3.シロキサン骨格を有し、式(1)の繰り返し単位を有しないポリイミド樹脂(PI−11)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、シロキサン骨格を有する酸二無水物であるX−22−2290AS(信越化学製)27.0mmolと、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物27.0mmolと、N−メチル−2−ピロリドン120gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン23.63mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン23.63mmol及びポリオキシプロピレンジアミン6.75mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、シロキサン骨格を有し、式(1)の繰り返し単位を有しないポリイミド樹脂(以下「PI−11」という。)のNMP溶液を得た。
PI−11のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−11を得た。得られたPI−11の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で53000であった。PI−11をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
4.シロキサン骨格を有し、式(1)の繰り返し単位を有しないポリイミド樹脂(PI−12)の合成
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を装着した300mLのセパラブルフラスコに、シロキサン骨格を有する酸二無水物であるX−22−2290AS(信越化学製)36.80mmolと、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物9.20mmolと、N−メチル−2−ピロリドン150gとを加えて調製した反応液を、室温(25℃)で30分間攪拌した。次いで、ジアミンである1,4−ビスアミノプロピルピペラジン20.13mmol、2,2-ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン20.13mmol及びポリオキシプロピレンジアミン5.75mmolを加えた。その後、反応液を180℃まで昇温し、ディーンスターク還流冷却器により水とNMPの混合物を除去しながら1時間還流を行い、シロキサン骨格を有し、式(1)の繰り返し単位を有しないポリイミド樹脂(以下「PI−12」という。)のNMP溶液を得た。
PI−12のNMP溶液を水中に投入し、析出物を回収した。この析出物を粉砕及び乾燥して固形のPI−12を得た。得られたPI−12の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果、標準ポリスチレン換算で24000であった。PI−12をMEK(メチルエチルケトン)に溶解して、濃度30質量%のMEK溶液を調製した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定とフィルム成形性の評価>
PI−9、PI−10、PI−11、PI−12のMEK溶液を、それぞれ、バーコーターを用いてPETフィルム上に均一に塗布した。塗膜を60℃で15分の加熱により乾燥して、厚さ30μmの樹脂フィルムを得た。
得られた各樹脂フィルムの動的粘弾性を、UBM社製、広域動的粘弾性測定装置E−400を用いて、昇温速度10℃/分、引張り法の条件で測定した。得られた結果から、tanδが極大値を示すときの温度を、ガラス転移温度Tgとして求めた。結果を表4に示す。
Figure 0006024234
表4から、式(1)の繰り返し単位を有するポリイミド樹脂PI−9(実施例4)のほうが、式(1)の繰り返し単位を有しないポリイミド樹脂PI−11(比較例6)よりもガラス転移温度(Tg)が高いことがわかる。このことから、式(1)の繰り返し単位を有するポリイミド樹脂は、シロキサン骨格を有するポリイミド樹脂の中でも、より高い耐熱性を有することが確認された。
また、ポリイミド樹脂中のシロキサン骨格の量をPI−9及びPI−11よりも増加させたPI−10(実施例5)は、シロキサン骨格量の増加に伴いガラス転移温度が52℃まで低下したものの、良好なフィルム成形性を示した。PI−10と同程度の量のシロキサン骨格を含み、式(1)の繰り返し単位を有しないPI−12(比較例7)を用いてフィルムの作製を試みたが、フィルムが脆く、広域動的粘弾性測定に耐えるフィルムを形成することができなかった。このことから、式(1)の繰り返し単位を有するポリイミド樹脂は、シロキサン骨格の量が多いときでも、良好なフィルム成形性が維持されることがわかる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位、及び/又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、接着剤用改質剤と、
    熱硬化性成分及び前記樹脂以外の他の熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有する、接着剤。
    Figure 0006024234

    [式(1)中,Rはジアミン又はジイソシアネートの残基を示し、同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、mは1〜30の整数を示す。]
    Figure 0006024234

    [式(2)中,Rはジアミン又はジイソシアネートの残基を示し、同一分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよく、mは1〜30の整数を示す。]
  2. 前記他の熱可塑性樹脂として、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の接着剤。
  3. 下記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、ジアミン又はジイソシアネートとを反応させる工程を備える、請求項1又は2に記載の接着剤を製造する方法。
    Figure 0006024234

    [式(3)中、mは1〜30の整数を示す。]
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