JP5014941B2 - 内視鏡形状解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡形状解析装置に関し、特に、複数箇所の座標値を検出する座標取得手段を有する内視鏡形状解析装置に関する。
内視鏡は、体腔内の管腔である被検部に外部から細長の可撓性を有する挿入部を挿入して該被検部を観察したり、必要とする処置が行えるようになっている。ところで、前記体腔内の管腔は、大腸や小腸に見られるが如く曲がっており、挿入した内視鏡挿入部がどの位置まで挿入されているのか、或いはどのような形状になっているのかは術者にとっては容易に分からない。そのため、従来は内視鏡挿入部を挿入した被検体部に外部からX線を照射して挿入部の管腔への挿入位置、挿入形伏等の挿入状態を検出している。しかし、前記X線は人体に対し無害なわけではなく、しかも照射場所も限られており、内視鏡挿入部の挿入状態を検出する手段としては必ずしも好ましいものではない。
そこで、人体への生理的な悪影響を及ぼすことなく、内視鏡挿入部に複数の磁界発生素子を配設し、体腔外の磁界検知手段を用いることで、内視鏡挿入部の体腔内管腔への挿入状態を検出できるようにした内視鏡やカテ−テルの挿入状態検出装置及び検出方法が提案されている。さらには、内視鏡挿入部を大腸等に挿入する際に、腸が腹腔などに固定されていない遊離部分では挿入部が螺旋状にループを描く場合がある。このような挿入部がループを描いた状態、すなわち、腸がループ形状に変形した状態での挿入操作は患者に苦痛を与える。このため、特開2000−175861号公報には、挿入時の挿入部のループ発生を認知し、術者に警告を発生することのできる内視鏡形状検出装置が開示されている。
また、特開2003−245242号公報には、内視鏡挿入部の形状を測定するために内視鏡挿入部に配設される磁界発生素子の数は有限であるため、センサ間の挿入部の位置を補間処理により補う方法が開示されている。
特開2000−175861号公報 特開2003−245242号公報
特開2000−175861号公報に開示された内視鏡形状検出装置は、内視鏡挿入部に配設された複数の磁界発生素子と、体腔外の磁界検知手段との組み合わせにより内視鏡挿入部の形状を検出している。
図10は、内視鏡形状検出装置による内視鏡形状の検出を説明するための図であり、図11は内視鏡挿入部20のループの巻き方とループ解消方法を説明するための図である。
図10(A)に示すように、内視鏡形状検出装置は、内視鏡挿入部に配設された複数の磁界発生素子と、体腔外の磁界検知手段との組み合わせにより、例えば8個の磁界発生素子C1〜C8の各々の3次元座標を取得することができる。そして、内視鏡形状検出装置は、図10(B)に示すように、各座標点を補間することで内視鏡挿入部の形状を検知することができる。しかし、磁界発生素子と磁界検知手段との組み合わせによる位置情報検出には誤差が生じることがある。
そして、位置情報検出誤差のために、ループ発生箇所において、ループの巻き方を誤って表示してしまう、すなわち、発生したループの巻き方を誤って逆方向に表示してしまうことがあった。しかし、ループの巻き方向という位置情報は術者にとり非常に重要である。なぜなら、図11に示すように、ループの巻き方によりループを解消するために、術者が操作する挿入部の回転方向が異なるためである。
図11(A)は内視鏡挿入部20の先端側20aが基端部側20bよりも術者にとり手前にあるループを示している。図11(A)に示したループを解消するには、術者は挿入部の基端部側20bを時計回りに回転する必要がある。これに対して、図11(B)に示したループは内視鏡挿入部20の先端側20aが基端部側20bよりも術者にとり後側にある。図11(B)に示したループを解消するには、術者は挿入部の基端部側20bを反時計回りに回転する必要がある。
内視鏡挿入部のループの巻き方が、誤って逆に表示される位置表示誤り現象は、「すり抜け」と呼ばれている。例えば、先端部側の挿入部が基端部側の挿入部より術者に近い位置にある状態(図11(A))から、先端部側の挿入部が基端部側の挿入部より術者に遠い位置にある状態(図11(B))に変化することは、あたかも、先端部側の挿入部が基端部側の挿入部をすり抜けていったように見えるためである。
前述のように、内視鏡形状解析装置の「すり抜け」現象は、術者の誤った内視鏡操作を招く可能があり、かかる内視鏡挿入部の位置表示誤りの発生を確実に発見できる内視鏡形状解析装置が望まれていた。
本発明は、内視鏡挿入部の位置表示誤りの発生を確実に発見する内視鏡形状解析装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明の一態様の内視鏡形状解析装置は、被検体に挿入された内視鏡挿入部の挿入形状を検出するための、当該挿入部先端から挿入部形状に沿って順に位置する複数の検出点に対応した複数の座標値を取得する座標取得手段と、取得した前記複数の座標値を時系列に沿って記憶する記憶手段と、前記複数の座標値に基づいて前記内視鏡挿入部を表示手段に表示するための画像信号を生成する表示制御手段と、前記複数の検出点のうち、任意の所定時刻における、任意の前記挿入部に沿って隣り合う検出点を両端とする線分を含む直線を第1の直線とした際、任意の、前記挿入部に沿って隣り合う検出点を両端とする線分を含む直線であって、かつ、前記第1の直線における前記線分の両端の検出点のうちいずれか一方の検出点を両端とする線分を含む直線を除いた直線のうち、前記第1の直線に対して最短距離に位置する直線を第2の直線として設定する直線設定手段と、前記記憶手段に記憶された時系列に沿った前記複数の座標値の情報から、前記任意の所定時刻における前記第1の直線および前記第2の直線の位置情報を取得すると共に、前記任意の所定時刻よりも過去の時刻における当該第1の直線および当該第2の直線の位置情報を取得し、かつ、当該過去の時刻における前記第2の直線を第3の直線とした際、前記任意の所定時刻における前記第2の直線の座標位置に対する前記第3の直線の相対的な座標位置を算出する座標変換手段と、前記座標変換手段において取得または算出された、前記任意の所定時刻における前記第1の直線の位置および前記第2の直線の位置、並びに、前記過去の時刻における前記第3の直線の位置それぞれの位置関係に基づいて、前記表示手段に表示された前記内視鏡挿入部の位置表示の誤りの有無を判断する判断手段と、を具備したことを特徴とする。
本発明は、内視鏡挿入部の位置表示誤りの発生を確実に発見する内視鏡形状解析装置を提供するものである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡形状解析装置1の構成を説明するための構成図である。
図1に示すように、本実施の形態の内視鏡システム2は、内視鏡検査を行う内視鏡装置3と、この内視鏡装置3と接続され内視鏡検査の補助に用いられる内視鏡形状解析装置1とを備える。内視鏡形状解析装置1は、例えば、ベッドに横たわる患者(不図示)の体腔内に可撓性を有する細長の内視鏡挿入部20を挿入し、内視鏡検査を行う際の挿入補助手段として使用される。なお、内視鏡システム2は、図示しない光源部、撮像素子、制御部等の通常の内視鏡機能を有する。
内視鏡挿入部20は、先端部20a、湾曲部及び可撓管とが先端部20aから基端部20bに順次連接されて構成されている。挿入部20には鉗子チャンネルが設けてあり、この鉗子チャンネルの挿入口から例えば複数個の磁気発生素子(またはソースコイル)30を有するプローブを挿通することにより、挿入部20内にソースコイル30が設置される。あるいは、あらかじめソースコイル30が配設された挿入部20を有する内視鏡を用いてもよい。
このソースコイルプローブの後端から延出されたソースコイル30と接続された配線は、端子21を介して内視鏡形状解析装置1に接続される。そして、内視鏡形状解析装置1の座標取得手段41から高周波信号(駆動信号)を印加することにより、ソースコイル30は磁界を周囲に放射する。
また、患者が横たわるベット(不図示)の近傍にはソースコイル30からの磁界を検出する複数のセンスコイルを内蔵したセンスコイルユニット31が配置されている。
以下、内視鏡形状解析装置1の詳細な構成について説明する。内視鏡形状解析装置1は、図1に示すように、ソースコイル30を駆動し、センスコイルユニット31が受信した信号から各ソースコイル30の座標値を取得する座標取得手段41と、取得した前記複数の座標値を、記憶する記憶手段42と、複数のソースコイル30の座標値に基づいて、第1の直線Aおよび第1の直線と位置の比較を行う第2の直線Bとを設定する直線設定手段43と、記憶手段に記憶された過去の第1の直線A‘と現在の第1の直線Aとの相対的な位置関係に基づいて、過去の第2の直線B’を座標変換し第3の直線B‘’を算出する座標変換手段44と、現在の第1の直線Aと、前記現在の第2の直線Bと、第3の直線B‘’との位置関係から内視鏡挿入部の位置表示の誤りの有無を判断する判断手段45とを有する。
また、内視鏡形状解析装置1は、各ソースコイル30の座標値から内視鏡形状を表示するための表示画像作成手段47と、内視鏡形状を表示するための表示手段48と、判断手段45からの情報に基づき警告を発生する警告発生手段46とを有する。
複数のソースコイル30すなわち、磁界発生コイルは、内視鏡挿入部20に所定の間隔で特定の位置に配設されている。ソースコイル30の配設間隔は等間隔でなく、例えば、先端部側は基端部側に比べて、より密に配設してもよい。
それぞれのソースコイル30を異なる周波数の正弦波の駆動信号電流で駆動することで、それぞれのソースコイル30の3次元座標を区別して取得する。なお、座標取得手段41による各ソースコイル30の空間位置座標、すなわち3次元座標の取得方法は本出願人が先に出願した特開2000−175861号公報等に詳細に記載しており、本実施の形態においても同様な方法により取得するため、詳細な説明は省略する。
次に、図2から図6を用いて、本実施の形態の内視鏡形状解析装置1による内視鏡挿入部の位置表示誤り、すなわち「すり抜け」現象発生の有無の判断方法を説明する。図2は、本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の動作の流れを説明するためのフローチャートであり、図3は直線設定手段の動作を説明するための説明図であり、図4および図5は、座標変換手段の動作を説明するための説明図であり、図6は判断手段の動作を説明するための説明図である。
以下、図2のフローチャートに従い内視鏡形状解析装置1による内視鏡挿入部の位置表示誤り、すなわち「すり抜け」現象発生の有無の判断方法を説明する。
<ステップS11およびステップS12>
なお、以下の説明は説明を簡単にするために、図3(A)に示すような、8個のソースコイルC1〜C8が特定箇所に配設された挿入部20を有する内視鏡の形状解析について説明する。
最初に、直線設定手段43は、座標取得手段41からの、複数の座標値に基づいて、位置表示誤り発生の有無を検査する、すなわち「すり抜け」現象発生の有無の判断を行う対象とする第1の直線Aおよび第2の直線Bとを設定する。
直線設定手段43は、図3(B)に示すように、隣り合う各ソースコイルを結ぶ7本の直線L1〜L7を算出する。そして、例えば、図3(C)に示すように、直線設定手段43は、選択された一の直線L3の重心(中点)から他の直線への重心(中点)へのベクトルを算出する。さらに直線設定手段43は、順に、7本全ての直線について算出済みのベクトルと方向のみが異なるベクトルを除いて、他の直線への重心(中点)へのベクトルを算出する。合計21のベクトルの中で大きさが最も小さいベクトル(最小ベクトル)の基点となった直線L3とL6を、直線設定手段43は、それぞれ第1の直線A、第2の直線Bとして設定する。
なお、直線L3を第2の直線B、L6を第1の直線Aとしても以下の処理は同様で同様の結果が得られる。また、直線設定手段43は全ての直線間のベクトルを算出する必要はなく、前回の直線設定時に比較的近接していた直線のみについて算出してもよい。
また、最小ベクトルABとしては、各直線の重心(中点)を基準とする替わりに、直線Aと直線Bとの間の最小の大きさのベクトルABを基準としてもよい。
<ステップS13>
ステップS12で算出した最小ベクトルABの大きさが所定値以上(Yes)場合には「すり抜け」現象が発生することはないため、内視鏡形状解析装置1は、「すり抜け未発生」と判断する(ステップS21)。
すなわち、「すり抜け」現象は、内視鏡の直径をd、被検体壁(腸壁)の厚さをtとした時に、前述の最小ベクトルの大きさFが以下の式で示される関係の場合に発生するからである。
F<K=k×(d+2t)
ここで、kは、処置の内容および内視鏡形状解析装置1の位置情報検出誤差の程度により異なるが、5以下であり、好ましくは3以下である。前記範囲を超えると、「すり抜け」現象が発生することはない。隣り合う挿入部20間の距離が位置情報検出誤差を超えているためである。
<ステップS14>
ステップS12で算出した最小ベクトルABの大きさFが所定値K:k×(d+2t)未満(No)場合には、内視鏡形状解析装置1は、直線Bを「すり抜け」現象が発生する可能性のある判定対象として、ステップS15以降の処理を行う。
<ステップS15>
座標変換手段44は、直線設定手段が設定した2本の直線(第1の直線および第2の直線)の両端の各ソースコイルの過去の座標値を記憶手段42から取得する。
なお、記憶手段42は、各ソースコイルの座標値を時系列的に記憶している。ここで、時系列的に記憶するとは、過去の各ソースコイルの座標値を時間の情報とともに記憶していることを意味する。ソースコイルの座標値の取得周期は例えば0.01〜1秒程度であるが、記憶手段42は少なくとも前回、座標取得手段41が取得したソースコイルの座標値を記憶している。なお、記憶手段42が記憶する過去の各ソースコイルの座標値が前回、取得したソースコイルの座標値のみの場合には、時間情報を記憶することは不要である。
座標変換手段44が取得する過去の座標値は、前回、座標取得手段41が取得した座標値あるいは、術者が予め指定した所定の期間、例えば1〜5秒前に座標取得手段41が取得した座標値である。術者による内視鏡挿入の速度により最適の過去の座標値は異なるためである。
<ステップS16>
座標変換手段44は、第1の直線Aの移動に関する変換関数を生成する。
以下、図4(A)に示す現在の状態の第1の直線Aと第2の直線Bに対して、過去の第1の直線A‘と第2の直線B’が図4(B)に示す状態であった場合を例に説明する。第1の直線AおよびA‘はソースコイルC(i)とC(i+1)、第2の直線BおよびB’はソースコイルC(j)とC(j+1)のそれぞれが検出した座標値を結ぶ直線である。
すなわち、第1の直線AおよびA‘についてみると、図4(C)に示すようにソースコイルC(i)とC(i+1)は移動している。移動はソースコイルC(i)とC(i+1)を結ぶベクトルC(i)C(i+1)の重心(中心)の平行移動と回転移動であり、変換関数で表現することができる。
変換に用いる変換関数としては、例えば、クォータニオン(Quaternion)を用いることができる。クォータニオンは四元数であり、2つのベクトルpおよびqの関係を示すクォータニオンは、以下の手順で生成する。すなわち、最初に、ベクトルpとベクトルqの外積rを求める。ここで、外積rはベクトルpおよびベクトルqに直交する。次に、ベクトルpとベクトルqのなす角度θを内積により求める。そして、外積rを軸としてθだけ回転するクォータニオンを生成する。
<ステップS17>
座標変換手段44は、図5(D)に示すように、過去の第2の直線B’をステップS16で生成した第1の直線Aの移動に関する変換関数で、現在の第1の直線Aを基準とした基準座標系に変換し、第3の直線B‘’を算出する。言い換えれば、座標変換手段44は、記憶手段42に記憶された過去の第1の直線A‘と現在の第1の直線Aとの相対的な位置関係に基づいて、過去の第2の直線B’を座標変換し第3の直線B‘’を算出する。この、第3の直線B‘’は、第1の直線Aが全く移動しなかった状態での、過去の第2の直線B‘の位置を示している。
すなわち、図5(E)に示すように、第1の直線Aに対して、第2の直線Bは第3の直線B’‘の位置から現在の位置に移動していることが解る。
判断手段45は、図5(E)に示す、第1の直線Aと第2の直線Bと第3の直線B’‘との位置から、「すり抜け」現象の発生の有無を判断する。
なお、図2における(I)表示は、第2の実施の形態の内視鏡形状解析装置1の処理への分岐である。
<ステップS18>
本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の判断手段45は、図6(A)および図6(B)に示すように、現在の第2の直線Bの両端部と第3の直線B‘’の両端部の4点のうちのいずれか3点を頂点とする三角形を求める。ここで、第2の直線Bの両端部と第3の直線B‘’の両端部の4点のうちのいずれか3点を頂点とする三角形は、図6(A)および図6(B)においてT1〜T4で示すように、4個ある。
<ステップS19>
本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の判断手段45は、図6(A)および図6(B)に示すように、現在の第2の直線Bの両端部と第3の直線B‘’の両端部の4点のうちのいずれか3点を頂点とする4つの三角形のいずれかを、現在の第1の直線Aが貫通している場合(Yes)に、内視鏡挿入部の位置表示に誤りが有ると判断する(ステップS20)。反対に、判断手段45は4つの三角形の全てが現在の第1の直線Aが貫通していない場合(No)に、内視鏡挿入部の位置表示に誤りは無いと判断する(ステップS22)。
すなわち、判断手段45は、第1の直線Aが、4個の三角形(T1〜T4)のうちの1個以上の平面を貫通していた場合には、「すり抜け」現象が発生していると判断する。
なお、図6(C)に示すように、判断手段45は、第2の直線Bの両端部と第3の直線B‘’の両端部の4点を結ぶ4角形と第1の直線Aとの関係を調べることからも、「すり抜け」現象の発生の有無は判断できる。しかし、3次元空間上の4点を結ぶ4角形は、2次元平面にはなく、歪んだ4角形である。このため、ポリゴンにより表現するためには、さらに処理が必要となる。これに対して3次元空間上の4点のうちのいずれか3点を頂点とする三角形は、いずれもが2次元図形である。このため、三角形を用いたポリゴンによる貫通判定は容易であり、かつ、「すり抜け」現象の発生の有無の判定に誤差が生じにくい。
<ステップS21>
判断手段45からの「すり抜け」現象の発生の情報に基づき、警告発生手段46は警告を発生する。警告発生手段46が発する警告は、表示画像作成手段47を介して表示手段48に表示される視覚による警告以外に、図示しない公知の音、光または振動等による警告であってもよい。
なお、内視鏡形状解析装置1は、コイル間直線の間の最小ベクトルの大きさが十分に小さい場合には交差関係を正確に特定することは困難である。このため、内視鏡形状解析装置1は、コイル間直線の最小ベクトルの大きさが十分な大きさになるまでは、上記処理を停止しておくことが好ましい。また、術者の操作段階により、「すり抜け」現象が発生する可能性がない場合には、やはり上記処理を停止しておくことが好ましい。すなわち、必要に応じて術者は上記処理を開始および停止することができる。
本実施の形態の内視鏡形状解析装置1は、内視鏡挿入部20の過去の位置情報と、現在の位置情報とを元に位置表示誤りの発生を判断する。このため、内視鏡形状解析装置1は内視鏡挿入部20の位置表示誤りの発生を確実に発見することができる。
<第2の実施の形態>
次に、図7から図9を用いて、第2の実施の形態の内視鏡形状解析装置1による内視鏡挿入部の位置表示誤り、すなわち「すり抜け」現象発生の有無の判断方法を説明する。図7は、本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の動作の流れを説明するためのフローチャートであり、図8および図9は判断手段45の動作を説明するための説明図である。
以下、図7のフローチャートに従い内視鏡形状解析装置1による内視鏡挿入部の位置表示誤り、すなわち「すり抜け」現象発生の有無の判断方法を説明する。
なお、本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の構成および一部の動作は、第1の実施の形態の内視鏡形状解析装置1と同様のため、異なる箇所のみを説明する。すなわち、本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の動作は、図2に示したステップS11からS17までと同様であるが、判断手段45による位置表示誤りの判定手法が異なる。
<ステップS41>
判断手段45は、図8(A)に示すように、第1の直線Aと第3の直線B‘’との間の最小の大きさのベクトルAB‘’を求める。ここで、直線AとベクトルABおよびベクトルAB‘’は、直交しており、図8(A)に示すθ1およびθ2はいずれも90度である。
<ステップS42>
判断手段45は、ベクトルAB‘’の大きさが所定の値以上かどうか判断する。ここで、所定の値とは、ステップS13で用いたKが好ましいが、Kとは異なる値を用いることも出来る。
<ステップS43>
ベクトルAB‘’の大きさが、所定の値以上の場合(ステップS42:Yes)には、判断手段45は、ベクトルABおよびベクトルAB‘’がなす角度θ3を算出する。なお、第1の直線Aと第2の直線Bとの間の最小の大きさのベクトルABは、ステップS12で算出済みである。また、図8(B)は、直線Aの軸垂直方向から観察したベクトルABおよびベクトルAB‘’を示している。
<ステップS44〜S46>
判断手段45は、ベクトルABおよびベクトルAB‘’がなす角度θ3が90度以上の場合(Yes)に、「すり抜け」現象が発生していると判断し(ステップS45)、警告発生手段46は警告を発生する(ステップS46)。
<ステップS47>
ステップS42において、ベクトルAB‘’の大きさが所定の値未満の場合(No)、判断手段45は、図9(A)に示すように、直線Bに隣接する直線Cについて、ステップS17と同様の手法で、過去の直線C‘から現在の第1の直線Aを基準とした基準座標系に変換し、第4の直線C‘’を算出する。
これは、判断手段45が、内視鏡挿入部20が大きく移動し、「すり抜け」現象が、直線Bと直線Cの間で発生していないかを判断するためである。なお、直線Bに隣接する直線Cとは、直線Bの両端のソースコイルC(j)とC(j+1)のいずれかを共用する2本の直線のうちの、直線Aに隣接した、すなわち小さい大きさのベクトルを有する直線である。
<ステップS48>
判断手段45は、直線Aと直線C‘’の間の最小の大きさのベクトルAC‘’が、所定の大きさ未満の場合、内視鏡挿入部の位置表示に誤りは無いと判断する(ステップS50)。ここで、所定の値とは、ステップS14で用いたKが好ましいが、Kとは異なる値を用いることも出来る。
<ステップS49>
ベクトルAC‘’の大きさが、所定の値以上の場合(ステップS48:Yes)には、判断手段45は、ベクトルABおよびベクトルAC‘’がなす角度θ4を算出する。なお、図9(B)は、直線Aの軸垂直方向から観察したベクトルABおよびベクトルAC‘’を示している。
<ステップS44〜S46>
判断手段45は、ベクトルABおよびベクトルAC‘’がなす角度θ4が90度以上の場合(Yes)に、「すり抜け」現象が発生していると判断し(ステップS45)、警告発生手段46は警告を発生する(ステップS46)。
<ステップS50>
ステップS48において、ベクトルAC‘’が、所定の大きさ未満の場合、および、ステップS44においてベクトルABおよびベクトルAC‘’がなす角度θ4が90度未満の場合、判断手段45は、「すり抜け」現象は発生していない、すなわち、位置表示に誤りは無いと判断する。
本実施の形態の内視鏡形状解析装置1の判断手段45は、第2のベクトルであるAB’’が所定の大きさ未満であった場合、第2の直線Bに隣接する2本の直線のうちの一の直線である直線Cから、第1の直線Aに関する変換関数による座標変換により直線C’’を算出し、第1の直線Aから前記直線C’’への最短長の第3のベクトルであるベクトルAC’’が、所定の大きさ以上の場合には、第1のベクトルであるベクトルABと第3のベクトルであるベクトルAC’’とがなす角度θ4に基づいて、内視鏡挿入部20の位置表示の誤りの有無を判断する。
本実施の形態の内視鏡形状解析装置1は、内視鏡挿入部20の過去の位置情報と、現在の位置情報とを元に位置表示誤りの発生を判断する。このため、内視鏡形状解析装置1は内視鏡挿入部20の位置表示誤りの発生を確実に発見することができる。また、内視鏡形状解析装置1は、ベクトルを基に位置表示誤りの発生を判定するため、処理が容易である。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
第1の実施の形態の内視鏡形状解析装置の構成を説明するための構成図である。 第1の実施の形態の内視鏡形状解析装置の動作の流れを説明するためのフローチャートである。 第1の実施の形態の直線設定手段の動作を説明するための説明図である。 第1の実施の形態の座標変換手段の動作を説明するための説明図である。 第1の実施の形態の座標変換手段の動作を説明するための説明図である。 第1の実施の形態の判断手段の動作を説明するための説明図である。 第2の実施の形態の内視鏡形状解析装置の動作の流れを説明するためのフローチャートである。 第2の実施の形態の判断手段の動作を説明するための説明図である。 第2の実施の形態の判断手段の動作を説明するための説明図である。 内視鏡形状検出装置による内視鏡形状の検出を説明するための図である。 内視鏡挿入部のループの巻き方とループ解消方法を説明するための図である。
符号の説明
1…内視鏡形状解析装置、2…内視鏡システム、3…内視鏡装置、20…内視鏡挿入部、20a…先端側、20b…基端部、21…端子、30…ソースコイル、31…センスコイルユニット、41…座標取得手段、42…記憶手段、43…直線設定手段、44…座標変換手段、45…判断手段、46…警告発生手段、47…表示画像作成手段、48…表示手段、C1〜C8…ソースコイル

Claims (7)

  1. 被検体に挿入された内視鏡挿入部の挿入形状を検出するための、当該挿入部先端から挿入部形状に沿って順に位置する複数の検出点に対応した複数の座標値を取得する座標取得手段と、
    取得した前記複数の座標値を時系列に沿って記憶する記憶手段と、
    前記複数の座標値に基づいて前記内視鏡挿入部を表示手段に表示するための画像信号を生成する表示制御手段と、
    前記複数の検出点のうち、任意の所定時刻における、任意の前記挿入部に沿って隣り合う検出点を両端とする線分を含む直線を第1の直線とした際、任意の、前記挿入部に沿って隣り合う検出点を両端とする線分を含む直線であって、かつ、前記第1の直線における前記線分の両端の検出点のうちいずれか一方の検出点を両端とする線分を含む直線を除いた直線のうち、前記第1の直線に対して最短距離に位置する直線を第2の直線として設定する直線設定手段と、
    前記記憶手段に記憶された時系列に沿った前記複数の座標値の情報から、前記任意の所定時刻における前記第1の直線および前記第2の直線の位置情報を取得すると共に、前記任意の所定時刻よりも過去の時刻における当該第1の直線および当該第2の直線の位置情報を取得し、かつ、当該過去の時刻における前記第2の直線を第3の直線とした際、前記任意の所定時刻における前記第2の直線の座標位置に対する前記第3の直線の相対的な座標位置を算出する座標変換手段と、
    前記座標変換手段において取得または算出された、前記任意の所定時刻における前記第1の直線の位置および前記第2の直線の位置、並びに、前記過去の時刻における前記第3の直線の位置それぞれの位置関係に基づいて、前記表示手段に表示された前記内視鏡挿入部の位置表示の誤りの有無を判断する判断手段と、
    を具備したことを特徴とする内視鏡形状解析装置。
  2. 前記判断手段は、前記任意の所定時刻における前記第2の直線の前記線分の両端点と前記過去の時刻における前記第3の直線の前記線分の両端点の4点のうちのいずれか3点を頂点とする三角形のいずれかを、前記任意の所定時刻における前記第1の直線が貫通している場合に、前記内視鏡挿入部の位置表示に誤りが有ると判断することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡形状解析装置。
  3. 前記判断手段は、前記任意の所定時刻における前記第1の直線から同所定時刻における前記第2の直線に対する長さを有する第1のベクトルと、前記過去の時刻における前記第1の直線から同過去の時刻における前記第3の直線に対する長さを有する第2のベクトルとがなす角度に基づいて、前記内視鏡挿入部の位置表示の誤りの有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡形状解析装置。
  4. 前記判断手段は、前記第2の直線における前記線分の両端の検出点のうちいずれか一方の検出点を一端とする線分を含む2つの直線のうち、過去の時刻において前記第1の直線により近い位置にある直線を第4の直線とした際、同過去の時刻における前記第1の直線からの当該第4の直線に対する長さを有するベクトルを第3のベクトルとした際、前記第2のベクトルおよび前記第3のベクトルの大きさがそれぞれ所定の値をなすときは、前記第1のベクトルと前記第2のベクトルとがなす角度に代えて、前記第1のベクトルと前記第3のベクトルとがなす角度に基づいて、前記内視鏡挿入部の位置表示の誤りの有無を判断することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡形状解析装置。
  5. 前記判断手段は、2つのベクトルがなす前記角度が90度以上の場合に前記内視鏡挿入部の位置表示に誤りがあると判断することを請求項3または請求項4に記載の内視鏡形状解析装置。
  6. 前記内視鏡挿入部は当該挿入部先端から挿入部形状に沿って順に位置する複数の磁界発生コイルを備え、前記座標取得手段は、前記磁界発生コイルにより発生する磁界を検出するセンスコイルユニットの検出信号により当該磁界発生コイルの座標値を検出することを特徴とする請求項1−5のいずれか一項に記載の内視鏡形状解析装置。
  7. 前記判断手段による前記内視鏡挿入部の表示誤りの発生判断に基づき、警告を発生する警告発生手段を有することを特徴とする請求項1−6のいずれか一項に記載の内視鏡形状解析装置。
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