JP5014836B2 - 吐出装置、吐出ヘッド、吐出ヘッド製造方法 - Google Patents
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上記のような基材を単独で用いるほか、ノズル孔の開口部分の精度を向上させるために、基材が穴径の精度を保つ層と高い剛性を保つ層との二層構造である場合がある(特開平10−119300)。
液室に圧力をかけるための圧力機構としては、圧電素子等の電気機械変換素子、ヒータ等の電気熱変換素子、電極などの静電気力発生手段などからなるエネルギー発生手段(アクチュエータ素子)が用いられている。プリンタの場合は画像情報に対応する位置にあるノズル孔から液滴を吐出させるために、そのノズル孔に設けられた圧力機構を動作させることで、液滴を吐出すべき位置のノズル孔から、吐出液を液滴にして吐出するようになっている。
液滴の吐出口であるノズル孔の加工手段として打ち抜き、電鋳等の穴開け工法を用いると要求される精度を満足させることは困難である。レーザーによる穴加工では、高精度の加工が達成されるが、実用的な基材はポリイミド等の樹脂部材に限られてしまう。
剛性の高い基材と張り合わせた物を液滴吐出ヘッドとして用いた場合は、各基材をアッセンブルする際に吐出口の位置精度が低下してしまう。
本発明は吐出装置であって、前記吐出ヘッドを有する吐出装置である。
本発明は、無機基板と、前記無機基板に形成された吐出液室と、前記無機基板に接続され、前記吐出液室に接続されたノズル孔とを有し、前記吐出液室内に配置された吐出液を、前記無機基板の吐出面に位置し、前記ノズル孔の開口である吐出口から吐出する吐出ヘッドを製造する吐出ヘッド製造方法であって、前記無機基板となる表面処理対象基板の片面に吐出液室を形成し、反対側の面に前記ノズル孔を形成し、前記吐出液室の内部の表面と、前記ノズル孔内の表面と、前記吐出面の表面に、下地酸化膜を形成し、金属酸化物薄膜の材料液に樹脂粒子が分散された多孔質膜原料液の層を、前記吐出液室内と前記ノズル孔内とには形成せず、前記吐出面上に位置する前記下地酸化膜の表面に形成した後、加熱して前記樹脂粒子が分散された前記金属酸化物薄膜を形成し、前記金属酸化物薄膜中の前記樹脂粒子を燃焼させて除去し、表面に凹凸を有する多孔質膜を形成し、前記多孔質膜の表面にパーフルオロアルキル基を有し、重合可能な有機化合物を含有する撥液膜の原料液を接触させ、前記多孔質膜表面に、パーフルオロアルキル基を有する高分子膜であり、前記多孔質膜の凹凸が反映され、撥液性を有する撥液膜を形成する吐出ヘッド製造方法である。
本発明は吐出ヘッド製造方法であって、前記樹脂粒子が分散された薄膜を形成する際に、前記表面処理対象基板の表面上の前記多孔質膜原料液の層を、前記樹脂粒子が変形しない温度に加熱する吐出ヘッド製造方法である。
本発明は吐出ヘッド製造方法であって、前記多孔質膜と前記撥液膜が形成された前記表面処理対象基板を真空槽内に配置し、前記真空槽内にプラズマを形成し、前記吐出液室内と前記ノズル孔内部に形成された前記撥液膜と前記多孔質膜を前記プラズマに曝し、前記吐出液室内と前記ノズル孔内の前記多孔質膜と前記撥液膜を除去する吐出ヘッド製造方法である。
本発明は吐出ヘッド製造方法であって、前記樹脂微粒子の直径が、前記ノズル孔の直径の0.2倍以下の大きさである吐出ヘッド製造方法である。
本発明は吐出ヘッド製造方法であって、前記多孔質膜の原料液は、酢酸金属溶液であることを特徴とする吐出ヘッド製造方法である。
本発明は吐出ヘッド製造方法であって、前記多孔質膜の原料液は、硫酸金属溶液であることを特徴とする吐出ヘッド製造方法である。
ノズル孔が位置する表面に、多孔質膜と撥液膜を形成するので、耐久性が高い。
図4は、吐出ヘッド20の概略断面図であり、複数の吐出液室21を有している。
図2に示すように、吐出ヘッド20は吐出液供給装置13にそれぞれ接続されており、吐出液供給装置13から供給された吐出液が、図4に示す各吐出ヘッド20の吐出液室21とノズル孔22の内部に充満するように構成されている。
図2において、軸12と処理対象物14は、相対的に移動可能に構成されており(ここでは、軸12が移動する。)、吐出ヘッド20は、処理対象物14の真上位置で処理対象物14と対面し、処理対象物14の所望位置に吐出液を着弾させるように構成されている。
図4に示すように、吐出ヘッド20の、ノズル孔22の開口(吐出口23)が位置する表面には、多孔質膜32が形成されており、多孔質膜32の表面には、撥液膜33が形成されている。
撥液膜33は、多孔質膜32の膜厚よりも薄く、多孔質膜32の表面の微細凹凸の表面に沿って形成されている。
微細凹凸を有する撥液膜33の表面に液体の吐出液が接触する場合、吐出液は撥液膜33の突部分と接触し、吐出液は表面張力で球状に収縮し、撥液膜33の表面に拡がらない。
従って、この吐出ヘッド20表面には吐出液が付着しない。
吐出ヘッド20の製造工程を説明する。
無機基板30として厚さ0.2mm程度のシリコン基板を用いる場合を説明する。先ず、図6(a)に示すように、無機基板30上に、パターニングされたノズル孔用レジスト膜40を配置する。
ノズル孔用レジスト膜40には、ノズル孔22が形成されるべき位置に、底面に無機基板30が露出する第一の窓開部41が形成されている。
吐出液室用レジスト膜50を剥離すると、同図(e)の符号60に示すように、表面処理対象基板が得られる。
表面処理対象基板60の表面を露出させた状態で、熱酸化炉内に搬入し、表面処理対象基板60表面を酸化させると、図7(f)に示すように、表面処理対象基板60表面に下地酸化膜31が形成される。ここでは、下地酸化膜31は厚さ100nmのシリコン酸化物(SiO2)の薄膜である。
次に、下地酸化膜31が形成された状態の表面処理対象基板60を、ノズル孔22の開口が位置する表面を上にしてスピンナー上に水平に配置し、水平面内で回転させながら、上方から多孔質膜原料液を垂らし、表面処理対象基板60のノズル孔22の開口側の下地酸化膜31の表面に多孔質膜原料液の層を形成した後、焼成すると、図7(g)に示すように、下地酸化膜31の表面に多孔質膜32が形成される。この図7(g)では、多孔質膜32表面の微細凹凸は省略されている。
次に、有機フッ素化合物を含有する撥液膜原料液を、ノズル孔22の開口(吐出口23)が位置する表面の多孔質膜32に薄く付着させ、多孔質膜32表面の微細凹凸を反映した撥液膜原料液層を形成した後、乾燥し、加熱処理すると、図8(c)に示すように、多孔質膜32の表面に、多孔質膜32の微細凹凸が反映された撥液膜33が形成される。
表面処理対象基板60を撥液膜原料液中に浸漬した場合、撥液膜33は、表面処理対象基板60の表面及び裏面と、吐出液室21やノズル孔22の内部表面にも形成されてしまう。
上記多孔質膜32は、下記実施例に記載した工程で形成することができ、いずれの多孔質膜32も図8(a)、(b)に示すような微細凹凸を有している。
多孔質膜原料液として、有機シランであるTEOS1モルに対して、H2O12モル、エタノール15モル、硝酸0.7モル、界面活性剤としてn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(関東化学(株)製、商品名:CTAC1)0.3モルを添加した原料液を用いた。
スピンナーの回転速度は、3000回転/分とした。
多孔質膜原料液として、0.8Mの酢酸クロム(III)溶液(関東化学社製)と直径0.3μmの樹脂粒子(ここではポリスチレンビーズ(Polyscience社製))が1重量%のとなるような混合水溶液を用いた。
スピンコートによって形成した多孔質膜原料液の層は、先ず、100℃で1時間の第一加熱処理によって乾燥し、樹脂粒子が分散された酸化物膜(ここでは酸化クロム膜)を形成した。
次いで、吐出液室21側から酸素プラズマを照射し、吐出液室21やノズル孔22の内壁に付着している余剰の多孔質膜32を除去した。
ここでは多孔質膜32の厚さは0.19μmであった。
多孔質膜原料液として、1Mの酢酸亜鉛二水和物(関東化学社製)に樹脂粒子(ここでは、1.5重量%の直径が1μmのポリスチレンビーズ(JSR(株)社製))が分散された水溶液を用いた。
一例として、厚さ約0.73μmの多孔質膜32が得られている。
撥液膜33の原料液として、1モルのフルオロアルキルシランC8F17CH2CH2Si(OCH3)3に対して10モルのSi(OC2H5)4、1モルのγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、38モルのメタノール、20モルの水、20モルの酢酸の混合液を用いた。
真空蒸着装置の真空槽内にフルオロアルキルシランであるC8F17CH2CH2Si(OCH3)3を配置しておき、表面に微細凹凸を有する多孔質膜32が形成された表面処理対象基板60をその真空槽内に搬入し、真空槽内にH2Oガスを導入し、10Paの圧力にした状態で、C8F17CH2CH2Si(OCH3)3を加熱し、蒸気を放出させる。
多孔質膜32が形成された表面処理対象基板60を、パーフルオロアルキル基を有するポリエーテル(ダイキン工業(株)社製登録商標「オプツールDSX」)をフッ化炭素系溶媒に10倍に希釈した溶液に浸漬し、多孔質膜32の表面に撥液膜33の原料層を形成した後、加熱し、パーフルオロアルキル基含有ポリマーから成る撥液膜33を形成した。
本発明に用いる無機基板30は、シリコン基板に限定されず、パイレックス(コード7740)(登録商標:コーニングインターナショナル株式会社製)等のガラス基板を用いることができる。厚さは0.15mm程度である。
先ず、スパッタリング法により、シリコン薄膜から成る吐出液室用レジスト膜50を両面に成膜し、片面のレジスト膜をパターニングし、吐出液室21が形成されるべき位置に開口を配置し、バッファードフッ酸溶液に浸漬し、等方性ウェットエッチングを行ない、吐出液室21を形成する。
次いで、吐出液室21とは反対側の面に、スパッタリング法によって、Cr薄膜を成長させ、Cr薄膜をリソグラフィーによってパターニングし、ノズル孔用レジスト膜40を形成する。
多孔質膜原料液として、1Mの酢酸アルミニウムn水和物(塩基性)(関東化学社製)に、樹脂粒子(ここでは2.5重量%の直径が1μmのポリスチレンビーズ(Polyscience社製))が分散された水溶液を用い、実施例2と同じ条件で、実施例7の表面処理基板60の表面に多孔質膜原料液の層を形成した。
本発明は、金属酸化物(シリコン酸化物を含む)の多孔質膜32を形成した後、この多孔質膜32のヒドロキシ基に結合する構造を持つパーフルオロアルキル基を持つポリマーやフルオロアルキルシランを形成し、多孔質膜32の表面に、フッ素含有有機膜から成る撥液膜33を形成するものであり、多孔質膜32と撥液膜33の間の結合が強いので、物理的な磨耗に対する耐久性が確保できる。
例えばポリスチレンのような樹脂粒子を酢酸亜鉛のような金属含有溶液に所定量懸濁し、この懸濁液を表面処理対象基板60上に塗布し、加熱処理することで樹脂微粒子が燃焼除去された空間を多数有する酸化金属膜から成る多孔質膜32を得ることができる。
また、樹脂粒子としては、ポリスチレンやアクリルといった樹脂材料であれば良く、そのサイズ(直径)は50nm以上10μm以下の大きさがよい。
これらの加熱工程は大気圧でも良いが、特に、樹脂粒子を焼成する温度は真空中でもよい。
CnF(2n+1)CH2CH2SiX3……一般式1
〔式中、nは4〜10の整数を表し、Xは塩素原子、アルコキシ基もしくはメトキシ基を表す。〕で表されるフルオロアルキルシランを含むポリマーを微細凹凸構造を有する酸化物の表面に付着させ、多孔質膜32表面に露出するヒドロキシ基に結合させることで形成することができる。
この結果、吐出される液滴の位置精度および液滴特性が十分満足される吐出ヘッド20を作成することが可能となる。
Claims (8)
- 無機基板と、前記無機基板に形成された吐出液室と、前記無機基板に接続され、前記吐出液室に接続されたノズル孔とを有し、
前記吐出液室内に配置された吐出液を、前記無機基板の吐出面に位置し、前記ノズル孔の開口である吐出口から吐出する吐出ヘッドであって、
前記吐出液室の内部の表面と、前記ノズル孔の内部の表面と、前記吐出面の表面には、下地酸化膜が形成され、
前記吐出面の前記下地酸化膜上には、金属酸化物(「金属酸化物」の記載が示す集合は、SiO2を含む)から成り、表面に凹凸を有する多孔質膜が形成され、
前記多孔質膜の表面には、パーフルオロアルキル基を有する高分子膜であり、前記多孔質膜の凹凸が反映された撥液膜が形成され、
前記吐出液室内と前記ノズル孔内とには、前記下地酸化膜が露出された吐出ヘッド。 - 請求項1記載の前記吐出ヘッドを有する吐出装置。
- 無機基板と、前記無機基板に形成された吐出液室と、前記無機基板に接続され、前記吐出液室に接続されたノズル孔とを有し、
前記吐出液室内に配置された吐出液を、前記無機基板の吐出面に位置し、前記ノズル孔の開口である吐出口から吐出する吐出ヘッドを製造する吐出ヘッド製造方法であって、
前記無機基板となる表面処理対象基板の片面に吐出液室を形成し、反対側の面に前記ノズル孔を形成し、
前記吐出液室の内部の表面と、前記ノズル孔内の表面と、前記吐出面の表面に、下地酸化膜を形成し、
金属酸化物薄膜の材料液に樹脂粒子が分散された多孔質膜原料液の層を、前記吐出液室内と前記ノズル孔内とには形成せず、前記吐出面上に位置する前記下地酸化膜の表面に形成した後、加熱して前記樹脂粒子が分散された前記金属酸化物薄膜を形成し、
前記金属酸化物薄膜中の前記樹脂粒子を燃焼させて除去し、表面に凹凸を有する多孔質膜を形成し、
前記多孔質膜の表面にパーフルオロアルキル基を有し、重合可能な有機化合物を含有する撥液膜の原料液を接触させ、前記多孔質膜表面に、パーフルオロアルキル基を有する高分子膜であり、前記多孔質膜の凹凸が反映され、撥液性を有する撥液膜を形成する吐出ヘッド製造方法。 - 前記樹脂粒子が分散された薄膜を形成する際に、前記表面処理対象基板の表面上の前記多孔質膜原料液の層を、前記樹脂粒子が変形しない温度に加熱する請求項3記載の吐出ヘッド製造方法。
- 前記多孔質膜と前記撥液膜が形成された前記表面処理対象基板を真空槽内に配置し、前記真空槽内にプラズマを形成し、
前記吐出液室内と前記ノズル孔内部に形成された前記撥液膜と前記多孔質膜を前記プラズマに曝し、前記吐出液室内と前記ノズル孔内の前記多孔質膜と前記撥液膜を除去する請求項3又は請求項4のいずれか1項記載の吐出ヘッド製造方法。 - 前記樹脂微粒子の直径が、前記ノズル孔の直径の0.2倍以下の大きさである請求項3乃至請求項5のいずれか1項記載の吐出ヘッド製造方法。
- 前記多孔質膜の原料液は、酢酸金属溶液であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の吐出ヘッド製造方法。
- 前記多孔質膜の原料液は、硫酸金属溶液であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の吐出ヘッド製造方法。
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