JP2010094028A - 表面修飾基板、表面修飾基板の製造方法及び表面修飾基板の製造システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過性を有する基板11の表面11aに、光不透過層12をパターニングする工程と、光不透過層12のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層13を設ける工程と、修飾層13上をポジ型フォトレジスト14で被覆する工程と、パターニングされた光不透過層12をマスクとして、基板11の裏面11b側からポジ型フォトレジスト14を露光させ、次いで現像することで、修飾層13の所定箇所が露出するようにレジスト層14’をパターニングする工程と、露出された修飾層13を除去する工程と、基板11上に残存しているレジスト層14’を除去する工程と、を有する表面修飾基板1の製造方法。
【選択図】図1
Description
一方、多くの細胞、特に動物細胞は、何かに接着して生育する接着依存性を有しており、生体外において浮遊状態で長期間生存させることが困難である。したがって、培養の有無によらず、細胞を基板上に接着させて生育させる技術は重要であり、これまでに種々の方法が検討され、コラーゲンやフィブロネクチン等の接着性タンパク質を塗布した基板上に細胞を接着する方法が開示されている。一般的には、このような解析を行う上で、培養細胞を使用することが多い。
具体的には、特定の一細胞のみを選択し、その一細胞を細胞株として培養する技術、細胞を観察する時に、細胞の溶液環境条件を制御し、かつ、容器中での細胞濃度を一定に制御する技術、及び相互作用する細胞を特定しながら培養観察する技術が提案されている(特許文献1参照)。
この時、基板上の細胞配置部を光透過性とし、その他の部位を光不透過性として、細胞配置部を明瞭に区別できるようにすると非常に有用である。このようにすることで、基板上へ細胞を容易に配置したり、配置した細胞を高精度に解析できるためである。
例えば、細胞の配置が容易になれば、多数の細胞を短時間で正確に配置することで、解析の効率と精度が大幅に向上する。
また、特定の細胞を光励起して、機能発現を制御する手法の開発が活発化してきており、例えば、蛍光標識したRNAキャリアを使用して任意のsiRNAやshRANを細胞内へ取り込ませ、蛍光標識物質を光励起することで、細胞内でRNAiを誘発する技術が提案されている。この時の光励起のような光刺激を行う際には、標的とする細胞の配置部のみを光透過性としておくことで、解析を高精度に行うことができる。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板、その用途によらない効率的な製造方法及びその製造システムを提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする工程と、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける工程と、前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する工程と、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする工程と、露出された前記修飾層を除去する工程と、基板上に残存している前記レジスト層を除去する工程と、を有することを特徴とする表面修飾基板の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記修飾層として、異なる修飾剤を積層してなる二層構造の修飾層を設けることを特徴とする請求項1に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、露出された前記修飾層を、酸素ガスから生成されるプラズマでの処理、又は紫外光の照射により除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記光不透過層が、クロム、ニッケル、アルミニウム、タンタル及びチタンからなる群から選択される一種以上の金属からなる金属層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記修飾剤として、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を使用し、前記修飾層を撥液層とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記修飾層として、異なる修飾剤を積層してなる二層構造の修飾層を設けることを特徴とする請求項6に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記紫外光が、200nm以下の波長を有する紫外光であることを特徴とする請求項6又は7に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記光不透過層が、クロム、ニッケル、アルミニウム、タンタル及びチタンからなる群から選択される一種以上の金属からなる金属層であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項10に記載の発明は、前記修飾剤として、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を使用し、前記修飾層を撥液層とすることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする表面修飾基板である。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で使用する表面修飾基板の製造システムであって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする装置Aと、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける装置Bと、前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する装置Cと、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする装置Dと、露出された前記修飾層を除去する装置Eと、基板上に残存している前記レジスト層を除去する装置Fと、を備え、前記装置A、B、C、D、E及びFを、この順で使用することを特徴とする表面修飾基板の製造システムである。
請求項14に記載の発明は、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で使用する表面修飾基板の製造システムであって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする装置Iと、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける装置IIと、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から紫外光を照射することで、前記修飾層の所定箇所を変性させ、除去する装置IIIと、を備え、前記装置I、II及びIIIを、この順で使用することを特徴とする表面修飾基板の製造システムである。
本発明の表面修飾基板の製造方法は、基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、光不透過層が、製造された表面修飾基板においては修飾層と共にその機能を発揮すると共に、製造工程においては、修飾層のパターニングに必要なマスクも兼ねるものである。
なお、本発明において修飾層とは、基板上にパターニングされ、基板表面とは異なる性質を有する層のことを指す。
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態に係る表面修飾基板の製造方法は、基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする工程と、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける工程と、前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する工程と、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする工程と、露出された前記修飾層を除去する工程と、基板上に残存している前記レジスト層を除去する工程と、を有することを特徴とする。
まず、図1(a)に示すように、基板11の表面11a上の所定箇所を光不透過層12で被覆し、パターニングする。
本発明において、修飾剤とは、基板上を被覆して、基板表面とは異なる性質を発現するものを指す。ここで「基板上を被覆する」とは、「基板表面を直接又は間接的に被覆する」ことを指す。そして、基板表面を間接的に被覆する場合としては、基板上の光不透過層や別途予め形成された修飾層を被覆する場合が例示できる。修飾剤として具体的には、基板と化学結合を形成することなく単に基板上に積層されるもの、基板と化学結合を形成して基板上に固定化されるものが例示できる。ここで「基板と化学結合を形成する」とは、「基板表面と化学結合を形成する、あるいは基板上の光不透過層や別途予め形成された修飾層と化学結合を形成する」ことを指す。いずれの場合も、修飾剤としては、通常、基板上を被覆する前の段階で所望の性質を有しているものが使用できる。また、基板と化学結合を形成する修飾剤の場合には、該化学結合形成後に所望の性質を有するようになるものでも良い。なお、ここで化学結合とは、共有結合等を指す。
修飾層13が積層された基板11は、必要に応じて洗浄及び乾燥させる。洗浄は、メタノールやエタノール等のアルコールを使用しても良いし、例えば、修飾剤溶液がフッ素系溶媒を含有する場合には、フッ素系溶媒を使用しても良い。
レジスト層14’の除去は、ウェット条件下で行うのが好ましく、レジスト層14’の種類に応じて、アセトンやN−メチルピロリドン(NMP)等の各種有機溶媒、酸又はアルカリを使用して行なうのがより好ましい。
本発明の第二の実施形態に係る表面修飾基板の製造方法は、基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする工程と、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける工程と、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から紫外光を照射することで、前記修飾層の所定箇所を変性させ、除去する工程と、を有することを特徴とする。
次いで、図2(b)に示すように、光不透過層12を除去することなく、基板11上を修飾剤で被覆することにより、基板表面11a上及び光不透過層12上に修飾層13が積層された基板11を得る。
ここまでの工程は、第一の実施形態と同様に行えば良い。
なお、先に述べたように、第一の実施形態において露出された修飾層13を紫外光の照射で除去する場合にも、上記と同様の条件が適用できる。
そのためには、紫外光照射後に加熱することが好ましく、その温度は、120〜170℃であることが好ましく、140〜160℃であることがより好ましい。
また、この時の加熱時間は、20〜70分間であることが好ましく、40〜50分間であることがより好ましい。
さらに、加熱は、不要な酸化反応を抑制するために、窒素雰囲気下又は減圧下で行うことが好ましい。減圧下で行う場合には、圧力が低いほど修飾層13を容易に除去でき、1×10−4〜1×10−2Pa程度の減圧下で行えば、変性させた修飾層の十分な除去効果が得られる。
修飾層を複数層構造とする場合には、三層以上としても良いが、製造効率と本発明の効果とを考慮すれば、二層であることが好ましい。
図3は、本発明の第三の実施形態に係る表面修飾基板の製造方法を説明するための断面図である。
本実施形態は、修飾層として二層構造のものを設けること以外は、第一の実施形態と同様である。
次いで、図3(b)に示すように、光不透過層12のパターニング面を第二の修飾剤で被覆して第二の修飾層23bを設ける。さらに、第二の修飾層23b上を第一の修飾剤で被覆して第一の修飾層23aを設ける。このようにして、光不透過層12を除去することなく、基板11上を二種の修飾剤で被覆することにより、基板表面11a上及び光不透過層12上に、二層構造の修飾層23が積層された基板11を得る。
第一の修飾層23a及び第二の修飾層23bの厚さは、これらの合計の厚さが、第一の実施形態における修飾層13の厚さと同じになるようにすれば良い。
露出された第一の修飾層23aと、これで被覆された第二の修飾層23bとは、第一の実施形態における修飾層13と同様の方法で除去すれば良く、これら修飾層は段階的に除去(第一の修飾層23aを除去してから第二の修飾層23bを除去)しても良いし、同時に除去しても良い。
本発明の第四の実施形態に係る表面修飾基板の製造方法は、修飾層として二層構造のものを設けること以外は、第二の実施形態と同様である(図示略)。
二層構造の修飾層は、第三の実施形態と同様の方法で設ければ良い。
また、二層構造の修飾層は、段階的に除去(第一の修飾層を除去してから第二の修飾層を除去)しても良いし、同時に除去しても良い。
本発明においては、特定の性質を有する修飾層を適宜選択して形成することにより、当該性質を反映した種々の表面修飾基板を製造できる。修飾層は、所望の性質を発現するような修飾剤を適宜選択して形成する。そして本発明は、微細な修飾パターンを有する表面修飾基板の製造に特に好適である。例えば、生体関連物質検出用センサ、細胞接着用基板、細胞培養用基板、細胞電位計測用の微小電極アレイデバイス等の各種細胞アレイチップでは、基板上の所定箇所に微小な撥液性を有する層(以下、撥液層と略記する)を形成するが、このような表面修飾基板の製造に、本発明は特に好適である。なお、ここで「撥液」とは、「撥水」及び/又は「撥油」を指す。
以下、一例として、微小な撥液層の形成について説明する。
例えば、細胞アレイチップを製造する場合には、撥液層表面は、水の接触角が100°以上である撥水性を有することが好ましく、ヘキサデカンの接触角が50°以上である撥油性を有することが好ましい。撥水性及び撥油性の大きさは、撥液処理剤の種類により調整できる。
このような撥液性を有することにより、撥液層表面においては生体関連物質の吸着が抑制されるので、該生体関連物質に特異的に結合する物質を、撥液層が形成されていない非修飾部に選択的に固定化することで、生体関連物質検出用センサ等を製造できる。また、撥液層表面において生体関連物質の吸着が抑制されることで、細胞が吸着する際の足場が形成されないので、撥液層が形成されていない非修飾部に細胞を選択的に吸着させて固定化することで、細胞接着用基板、細胞培養用基板、細胞電位計測用の微小電極アレイデバイス等を製造できる。
しかし、本発明において撥液層は、光透過性を有するものが好ましい。ここで言う「光透過性を有する」とは、基板の場合とは異なり、例えば、フォトレジストの露光の際に使用する紫外光に対して透過性を有することを指すものではなく、多岐波長領域に対して十分な透過性を有することを指し、紫外光及び可視光に対して十分な透過性を有することが好ましく、特に可視光に対して透過性を有することが好ましい。このようにすることで、例えば、顕微鏡等を使用して計測対象の細胞を光学的に解析する際に、効果的にノイズを低減でき、より高感度に解析できる。特に、顕微鏡観察下でレーザを照射し、通常光ピンセットと呼ばれる技術を適用したり、細胞に光刺激を与えて解析するのに好適である。そして、撥液層は、透明ガラスや石英(SiO2)と同等の透明度であることが好ましい。撥液層をこのような光透過性とするためには、酸化ケイ素膜、石英(SiO2)、およびガラスと同様の屈折率を有し、かつ紫外光、可視光等の波長に対して十分薄い厚さで成膜できる撥液処理剤を使用すれば良い。このような撥液処理剤としては好ましいものとしては、撥液性及び光透過性を有するフッ素含有化合物が例示できる。
R1における前記アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシルが例示できる。
R1の炭素数は、3〜12であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
また、R1は直鎖状であることが好ましく、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
R3の水酸基に置換可能な原子としては、好ましいものとしてフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられ、なかでも塩素原子が特に好ましい。
また、水酸基に置換可能な基としては、好ましいものとして、炭素数が1〜6のアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基及びアシルオキシ基が挙げられる。
炭素数が1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基及びヘキシルオキシ基が例示できる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基及びナフトキシ基が例示できる。
アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基及びフェネチルオキシ基が例示できる。
アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基及びベンゾイルオキシ基が例示できる。
これらのなかでもR3としては、塩素原子、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
R4の1価の炭化水素基は特に限定されず、鎖状構造及び環状構造のいずれでも良く、飽和及び不飽和のいずれでも良い。鎖状構造の場合には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれでも良く、環状構造である場合には、単環構造及び多環構造のいずれでも良い。
なかでも、好ましいものとして、炭素数が1〜6のアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。
炭素数が1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基が例示できる。
アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が例示できる。
アラルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基が例示できる。
これらのなかでもR4としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
「−(CH2)m−(NH−C(=O))j−(O)k−」
「−(CH2)m−(C(=O))j−(O)k−」
そして、複数のYは互いに同一でも異なっていても良く、例えば、化合物(2)において「R1’」を挟んで対峙しているY同士は互いに同一でも異なっていても良いし、化合物(1)におけるYと化合物(2)におけるYとは互いに同一でも異なっていても良い。
前記エチレンオキシ基の置換されていても良い水素原子の数は、一つであることが好ましい。また、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていても良い前記アルキル基又はアルキルオキシアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。そして、炭素数は1〜16であることが好ましい。
そして、複数のZは互いに同一でも異なっていても良く、例えば、化合物(2)において「R1’」を挟んで対峙しているZ同士は互いに同一でも異なっていても良いし、化合物(1)におけるZと化合物(2)におけるZとは互いに同一でも異なっていても良い。
そして、lは0であることが特に好ましい。
mは0〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
また、複数のl又はmは互いに同一でも異なっていても良い。例えば、化合物(2)において「R1’」を挟んで対峙しているZにかかるl同士は互いに同一でも異なっていても良いし、化合物(1)におけるZにかかるlと化合物(2)におけるZにかかるlとは互いに同一でも異なっていても良い。mについても同様である。
さらに、lが2以上の整数である場合には、l個のZは互いに同一でも異なっていても良い。
ここで、R5及びR6の一方は水素原子を表し、他方はメチル基の一つの水素原子が、炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基に置換された基を表す。ここで「フルオロアルキルエーテル基」とは、「前記炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のフルオロアルキル基が酸素原子に結合した一価の基」を指す。
また、R7及びR8の一方は水素原子を表し、他方は炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルキルエーテル基を表す。ここで「アルキルエーテル基」とは、「前記炭素数1〜16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が酸素原子に結合した一価の基」を指す。
l’’は、0以上の整数であり、0〜20であることが好ましく、0であることがより好ましい。
そしてR5及びR6における、メチル基の一つの水素原子が置換された前記フルオロアルキルエーテル基としては、これらフルオロアルキル基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。
そしてR7及びR8における前記アルキルエーテル基としては、これらアルキル基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。
撥液処理剤を基板に結合させて撥液層を形成する場合においては、例えば、基板上の所定箇所が水酸基を有する場合、前記化合物(1)又は(2)として、R2が前記式(11)、(12)又は(16)等で表される基を有するものを使用することが好ましい。
なかでも、前記式(16)等で表される有機シリル基を有する化合物(1)又は(2)は、市販品の入手が容易であり好適である。このような市販品としては、例えば、サイトップシリーズ(商標、旭硝子株式会社製)、メガファック(商標、大日本インキ化学工業株式会社製)、ディックガード(商標、大日本インキ化学工業株式会社製)、FPX−30G(商標、JSR株式会社製)、ノベックEGC−1720(商標、住友スリーエム株式会社製)、Patinalシリーズ(substance WR1,WR2,WR3)(商標、メルク株式会社製)、オプツールDSX(商標、ダイキン工業株式会社製)が例示できる。
例えば、Chembiochem,2,686−694(2001)(Benters R. Et al.)に記載の方法によれば、R2として前記式(14)で表される基(すなわち、アミノ基)を有する化合物(1)又は(2)を、基板に結合させることができる。
また、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン等のアミノ基を有する有機シラン化合物を基板に結合させておけば、R2として前記式(13)で表される基(すなわち、カルボキシル基)又は前記式(15)で表される基(すなわち、エポキシ基)を有する化合物(1)あるいは(2)を、基板に結合させることができる。前記有機シラン化合物は、入手も容易である。
このように、撥液性を有する部位が配向することで、撥液層が撥液効果を発現すると推測される。したがって、前記化合物(1)又は(2)のように、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキルエーテル基を有する化合物を使用することで、基板により高い撥液効果を発現させることが可能となる。
また、撥液層は、本発明の効果を妨げない範囲で、撥液処理剤以外の如何なる成分を含んでいても良い。
本発明の表面修飾基板は、上記本発明の製造方法で製造されたことを特徴とする。
本発明の表面修飾基板は、パターニング後の光不透過層及び修飾層の側面(図1〜3における符号10)における平坦性及び基板に対する垂直性が高く、エッジが極めてきれいに揃ったものとなる。修飾層の側面の状態は、例えば、XPSやFT−IR等、公知の手段で確認できる。
本発明の表面修飾基板の製造システムは、第一及び第三の実施形態に係る表面修飾基板の製造方法で使用する表面修飾基板の製造システムであって、光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする装置Aと、前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける装置Bと、前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する装置Cと、パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする装置Dと、露出された前記修飾層を除去する装置Eと、基板上に残存している前記レジスト層を除去する装置Fと、を備え、前記装置A、B、C、D、E及びFを、この順で使用することを特徴とする。
前記装置A〜Fは、例えば、フォトリソグラフィープロセスを含む半導体の製造で使用する装置で良く、必要に応じて適宜変更し、本発明の製造方法に適した形態に配置されていれば良い。そして、前記装置A〜Fは、コンピュータと電気的に接続され、自動で制御可能とされていることが好ましい。
前記装置I及びIIは、前記装置A及びBと同様で良い。また、前記装置IIIは、通常の紫外光照射装置で良いが、加熱、減圧等が可能であるものが好ましい。そして、前記装置I〜IIIは、本発明の製造方法に適した形態に配置されていれば良い。また、前記装置I〜IIIは、コンピュータと電気的に接続され、自動で制御可能とされていることが好ましい。
(実施例1)
図1で説明した第一の実施形態に係る方法で、表面修飾基板を製造した。
基板としては、イーグル2000(登録商標)(コーニングインターナショナル株式会社製)のガラス基板(厚さ;0.5mm)を使用し、その表面にスパッタリングにより、金属層として厚さ50nmのCr薄膜を成膜し、エッチャント(エッチング溶液)によるウェットエッチングでCr薄膜をパターニングした。
次いで、基板上のCr薄膜パターニング面に、オプツールDSX(商標、ダイキン工業株式会社製)をディップ塗布して一晩乾燥させた後、100℃で1時間加熱し、フッ素系溶媒であるノベックHFE(商品名、住友スリーエム株式会社製)を使用して洗浄することで、修飾層として厚さ3.8nmの撥液層を設けた。
次いで、撥液層上をポジ型フォトレジストで被覆した後、パターニングされたCr薄膜をマスクとして、基板裏面側から露光及び現像を行い、レジスト層をパターニングした。
次いで、レジスト層を除去することなく、酸素ガスから生成されたプラズマでアッシングすることで、露出された撥液層を除去した。
次いで、基板上に残存しているレジスト層を除去して、Cr薄膜を介して撥液層がパターニングされた表面修飾基板を得た。得られた表面修飾基板の図1におけるX1は30μmであった。
図2で説明した第二の実施形態に係る方法で、表面修飾基板を製造した。
基板としては、パイレックス(登録商標)(コード7740、コーニングインターナショナル株式会社製)のガラス基板(厚さ;0.5mm)を使用し、その表面にスパッタリングにより、金属層として厚さ100nmのNi薄膜を成膜し、塩化第二鉄(FeCl3)を主成分としたエッチャント(エッチング溶液)によるウェットエッチングでNi薄膜をパターニングした。
次いで、基板上のNi薄膜パターニング面を、WR1 Partinal(商品名、メルク株式会社製)を蒸着源とした真空蒸着法にて、撥液処理剤で被覆し、厚さ10nm以下の撥液層を設けた。この時、圧力を1×10−3Pa、蒸着源の温度を360〜450℃、蒸着時間を30秒間として蒸着を行った。
次いで、酸素ガス濃度が5%の窒素ガス雰囲気下で、パターニングされたNi薄膜をマスクとして、中心波長が172nmであるエキシマ光を、15mW/cm2の照度で照度距離を2mmとし、基板の裏面側から20分間照射して、撥液層を変性させた。さらに、1×10−3Paまで減圧し、150℃で45分間加熱することで、変性させた撥液層を除去し、Ni薄膜を介して撥液層がパターニングされた表面修飾基板を得た。得られた表面修飾基板の図2におけるX2は40μmであった。
図3で説明した第三の実施形態に係る方法で、表面修飾基板を製造した。
基板としては、イーグル2000(登録商標)(コーニングインターナショナル株式会社製)のガラス基板(厚さ;0.5mm)を使用し、その表面にスパッタリングにより、金属層として厚さ5nmのTi薄膜を成膜し、さらに該Ti薄膜上にスパッタリングにより、金属層として厚さ150nmのPt薄膜を成膜して、リフトオフにより二層構造の前記金属薄膜をパターニングした。
次いで、基板上の前記金属薄膜パターニング面に、プラズマCVD法により、SiH4ガスとN2Oガスを使用して、第二の修飾層として厚さ50nmのSiO2薄膜を成膜し、該SiO2膜上に、オプツールDSX(商標、ダイキン工業株式会社製)をディップ塗布して一晩乾燥させた後、100℃で1時間加熱し、フッ素系溶媒であるノベックHFE(商品名、住友スリーエム株式会社製)を使用して洗浄することで、第一の修飾層として厚さ3.8nmの撥液層を設けた。
次いで、撥液層上をポジ型フォトレジストで被覆した後、パターニングされた金属薄膜をマスクとして、基板裏面側から露光及び現像を行い、レジスト層をパターニングした。
次いで、レジスト層を除去することなく、酸素ガス濃度が5%の窒素ガス雰囲気下で、中心波長が172nmであるエキシマ光を、15mW/cm2の照度で照度距離を2mmとし、基板の表面側から20分間照射して、露出された撥液層を変性させると共に除去した。
次いで、基板上に残存しているレジスト層を除去して、金属薄膜及びSiO2薄膜を介して撥液層がパターニングされ、基板表面の金属薄膜が設けられていない部位がSiO2薄膜で被覆された表面修飾基板を得た。得られた表面修飾基板は、露出された基板表面のX1が35μmであった。
図4に示す方法で、表面修飾基板の製造を試みた。
図4(a)に示すように、基板11として、パイレックス(登録商標)(コード1737、コーニングインターナショナル株式会社製)のガラス基板(厚み;0.7mm)を使用し、その表面11aにスパッタリングにより、光不透過層12(金属層)として厚さ300nmのTa薄膜を成膜し、リフトオフによりTa薄膜をパターニングした。
次いで、図4(b)に示すように、基板上のTa薄膜パターニング面をポジ型フォトレジスト14で被覆した後、パターニングされたTa薄膜をマスクとして、基板裏面11b側から露光及び現像を行い、図4(c)に示すように、レジスト層14’をパターニングした。この時、パターニングされたレジスト層14’は、一部で基板表面11aから剥離していた。
次いで、基板上のレジスト層14’及びTa薄膜のパターニング面に、オプツールDSX(商標、ダイキン工業株式会社製)をディップ塗布して一晩乾燥させた後、100℃で1時間加熱し、フッ素系溶媒であるノベックHFE(商品名、住友スリーエム株式会社製)を使用して洗浄することで、図4(d)に示すように、修飾層13として厚さ3.8nmの撥液層を設けた。
次いで、レジスト層14’上の修飾層13を、該修飾層13で被覆されているレジスト層14’と共に除去して、図4(e)に示すように、表面11a上の所定箇所において、光不透過層12及び修飾層13がこの順に積層された表面修飾基板9を得た。
得られた表面修飾基板9は、パターニング後の光不透過層12及び修飾層13の側面(図4における符号90)における平坦性及び基板11に対する垂直性が、実施例1〜3の場合よりも低く、エッジが不揃いであった。
Claims (14)
- 基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、
光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする工程と、
前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける工程と、
前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する工程と、
パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする工程と、
露出された前記修飾層を除去する工程と、
基板上に残存している前記レジスト層を除去する工程と、
を有することを特徴とする表面修飾基板の製造方法。 - 前記修飾層として、異なる修飾剤を積層してなる二層構造の修飾層を設けることを特徴とする請求項1に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 露出された前記修飾層を、酸素ガスから生成されるプラズマでの処理、又は紫外光の照射により除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 前記光不透過層が、クロム、ニッケル、アルミニウム、タンタル及びチタンからなる群から選択される一種以上の金属からなる金属層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 前記修飾剤として、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を使用し、前記修飾層を撥液層とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 基板表面に光不透過層を介して修飾層が設けられた表面修飾基板の製造方法であって、
光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする工程と、
前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける工程と、
パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から紫外光を照射することで、前記修飾層の所定箇所を変性させ、除去する工程と、
を有することを特徴とする表面修飾基板の製造方法。 - 前記修飾層として、異なる修飾剤を積層してなる二層構造の修飾層を設けることを特徴とする請求項6に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 前記紫外光が、200nm以下の波長を有する紫外光であることを特徴とする請求項6又は7に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 前記光不透過層が、クロム、ニッケル、アルミニウム、タンタル及びチタンからなる群から選択される一種以上の金属からなる金属層であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 前記修飾剤として、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を使用し、前記修飾層を撥液層とすることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の表面修飾基板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする表面修飾基板。
- 請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で製造されたことを特徴とする表面修飾基板。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法で使用する表面修飾基板の製造システムであって、
光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする装置Aと、
前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける装置Bと、
前記修飾層上をポジ型フォトレジストで被覆する装置Cと、
パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から前記ポジ型フォトレジストを露光させ、次いで現像することで、前記修飾層の所定箇所が露出するようにレジスト層をパターニングする装置Dと、
露出された前記修飾層を除去する装置Eと、
基板上に残存している前記レジスト層を除去する装置Fと、
を備え、
前記装置A、B、C、D、E及びFを、この順で使用することを特徴とする表面修飾基板の製造システム。 - 請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法で使用する表面修飾基板の製造システムであって、
光透過性を有する基板の表面に、光不透過層をパターニングする装置Iと、
前記光不透過層のパターニング面を修飾剤で被覆して修飾層を設ける装置IIと、
パターニングされた前記光不透過層をマスクとして、前記基板の裏面側から紫外光を照射することで、前記修飾層の所定箇所を変性させ、除去する装置IIIと、
を備え、
前記装置I、II及びIIIを、この順で使用することを特徴とする表面修飾基板の製造システム。
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