JP5014830B2 - 高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気機器の鉄心材料として用いられる、磁束密度が高い無方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動きの中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。このため、無方向性電磁鋼板に対しても、その特性向上、すなわち、高磁束密度かつ低鉄損化への要請がますます強まってきている。
無方向性電磁鋼板の低鉄損化は主としてSi、Al添加による電気抵抗率の増加により、使用時に鉄心を形成する各々の鋼板に流れる渦電流損によるジュール熱損失を低減することにより行われてきた。
一方、回転機、および鉄心を含む機器全体のエネルギー損失としては、鉄心に巻くコイルを電流が流れることにより生ずるジュール熱損失である銅損の寄与も無視できない。この銅損の低減のためには同じ磁界強度に励磁するのに必要な電流密度を減少してやることが有効であり、同一の励磁電流でより高い磁束密度を発現する素材の開発が欠かせない。すなわち、高磁束密度無方向性電磁鋼板の開発が必須である。励磁される磁束密度が高くなることにより、回転機や小型トランス等の無方向性電磁鋼板が用いられる電気機器の鉄心のサイズを小型軽量化できるという利点がある。
従来技術では、低鉄損を目的として開発されてきた無方向性電磁鋼板では、主としてSi、Al等の電気抵抗率の高い元素が添加されてきたが、これらの元素の含有量が増加すると、無方向性電磁鋼板の飽和磁束密度が低下するため、電気機器として実際に使用する際の動作磁束密度を増加させるためには、励磁電流を増加させねばならず、銅損が増加してしまうという難点があった。そのため、Si、Al等の電気抵抗率の高い元素を多く含有する無方向性電磁鋼板では動作磁束密度を下げざるをえず、その結果として、たとえば回転機にあっては高いトルクを発揮させることが困難になる問題点があった。
これに対し、本発明でその製造方法を開示する高磁束密度無方向性電磁鋼板が実現することにより、回転機、鉄心ともに小型化が可能となり、これらを積載した自動車、電車のような移動体においては系全体の重量が軽減されることにより稼働時のエネルギー損失を低減できるという利点もある。
また、回転機においてはトルクが増大し、より小型で高出力の回転機が実現する。
このように、高磁束密度無方向性電磁鋼板が実現することにより、鉄心及び回転機の動作時のエネルギー損失を低減できるのみならず、それを含めた装置全体の系への波及効果も計り知れないものがある。
特許文献1(特開昭58-204126号公報)にはC≦0.02%、SiもしくはSiとAlの合計量が1.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.20%以下を含有し残部は不可避不純物からなる鋼の仕上圧延終了温度を600〜700℃の低温で仕上げ、500℃以下の温度で巻き取り、この鋼帯をA3変態点以下の温度域において30秒以上15分以下焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造法が開示されている。
しかしながら、この先願における製造法においては、熱延終了後の熱延鋼帯に熱延板焼鈍を施す工程が必須となり、コスト上昇を招いてしまうという課題があり、コスト削減要請の強い無方向性電磁鋼板の需要家には現実には受け入れられないという課題があった。
また、実施例ではC含有量は質量%で0.004%以上になっており、本発明で知見した熱延板焼鈍を省略する一回冷延法の無方向性電磁鋼板製造法において、C含有量を一定以下に制限することにより、熱延から始まる一貫プロセスの制御による集合組織制御を通じて、成品の磁束密度を向上させる効果を高めるとの技術的思想は見当たらない。
特許文献2(特開昭59-104429号公報)には、SiとAlの合計量が1.5%以下の鋼の仕上熱延において、熱延終了温度を600℃以上700℃以下に仕上げ、これを圧下率75%以上85%以下で冷間圧延を施した後に仕上焼鈍を施す製造法が開示されている。
しかしながら、仕上熱延の終了温度が700℃以下と低すぎるため、仕上熱延の圧延反力が高くなりすぎ、生産性を著しく損ない、仕上熱延が不可能になる可能性がある。また、仕上熱延終了温度を低く維持して安定に仕上熱延を行うために、仕上熱延速度を低下させる必要があり、その結果として生産性が劣るため、コストも増加してしまうという課題がある。また、上記範囲での仕上熱延終了温度では成品の磁束密度向上効果が十分に得られないということも判明した。
また、C含有量においても、実施例に示されたC含有量の0.006%、0.005%という高濃度では、仕上熱延条件だけではなく、本願で開示する仕上熱延条件においても、磁束密度向上の効果が十分でないということも明らかとなった。
またさらに、一次再結晶集合組織を改善することで無方向性電磁鋼板の磁気特性を改善する方法として、特許文献3(特開昭55-158252号公報)のごとくSn添加、特許文献4(特開昭62-180014号公報)のごときSn、Cu添加、もしくは特許文献5(特開昭59-100217号公報)のごときSb添加による集合組織の改善による磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造法が開示されている。しかしながら、これらの集合組織制御元素であるSn,CuもしくはSb等の添加をもってしても昨今の需要家の高磁束密度低鉄損無方向性電磁鋼板を安価に供給するとの要求には応えることが充分出来なかった。
他にも、特許文献6(特開昭57-35626号公報)に記載されているような仕上げ焼鈍サイクルの工夫等の製造プロセス上の処置もなされてきたが、いずれも低鉄損化は図られても、磁束密度については充分な効果はなかった。
このように、従来技術では、昨今の需要家において開発要請の強い鉄心の小型化に有利な高磁束密度無方向性電磁鋼板を製造できるには至らず、無方向性電磁鋼板に対する前記の要請に応えることは出来なかった。
本発明は、無方向性電磁鋼板の仕上熱延工程を特定の条件にすることで熱延板の集合組織をあらかじめ造りこんでおくことにより、冷間圧延、仕上焼鈍後の再結晶集合組織を制御することを技術思想とするものであり、さらにこの製造法を行う際に、鋼に含有される炭素の含有量が本発明で開示する仕上熱延方法の効果に顕著な影響を及ぼすことを新規に見いだしたものである。これにより従来技術よりも安価な方法で高磁束密度である無方向性電磁鋼板の製造技術を提供するものである。
特開昭58-204126号公報 特開昭59-104429号公報 特開昭55-158252号公報 特開昭62-180014号公報 特開昭59-100217号公報 特開昭57-35265号公報
本発明は、従来技術におけるこのような課題を解決し、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を提供することを目的とするものである。
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)
鋼中に質量%で
0.1%≦Si≦2.0%
Al≦1.0%
かつ 0.1%≦Si+2Al≦2.0% を満たし、
C<0.004%
S≦0.003%
N≦0.003%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラブとして、熱間圧延において粗圧延および引き続く仕上熱延を施し熱延板とし、続いて酸洗し一回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、スラブ加熱温度ST、仕上熱延開始温度F0T、仕上熱延終了温度FTをそれぞれ以下のように定め、かつ、仕上熱延においてα域で少なくとも一パス以上の圧下率を15%以上とすることを特徴とする磁束密度の高い無方向性電磁鋼板の製造方法。
850℃≦ST≦1150℃
850℃≦F0T≦1150℃
750℃≦FT≦805℃
(2)
(1)の無方向性電磁鋼板製造方法において、冷間圧延工程における圧延率を85%以上97%以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法
本発明者らは、従来にない高磁束密度を達成する無方向性電磁鋼板の安価な製造方法について鋭意検討を重ねた結果、無方向性電磁鋼板の仕上熱延工程を特定の条件にすることで熱延板の集合組織をあらかじめ造りこんでおくことにより、冷間圧延、仕上焼鈍後の再結晶集合組織を制御することが可能となり、従来技術では高磁束密度を得るために熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を余分に必要としていたものを省略し、低コストかつ高磁束密度である無方向性電磁鋼板の製造方法を提供するものであり、特にこの製造法を行う際に、鋼に含有される炭素の含有量を適切に制御することが、本発明で開示する仕上熱延方法の効果を顕著に高めることを新規に見いだし、炭素の適切な含有量についても同時に開示するものである。
本発明によれば、磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を低コストで製造することが可能である。
まず、成分について説明する。
Siは本発明においては、過度の添加は製品の磁束密度を低減させ有害であるから、その含有量を2.0%以下と制限する。一方、磁束密度の向上を妨げない範囲で電気抵抗率を確保して渦電流損を低減させる目的で0.1%以上の添加量が必要である。
AlはSiと同様に電気抵抗率を確保する目的で添加してもよい。本発明ではAlの添加は必須ではないので下限は定めない。一方、Siと同様に、過度の添加は製品の磁束密度を低減させ有害であるから、その含有量を1.0%以下と制限する。
SiとAlは電気抵抗率を確保するのに添加されるため、(Si+2Al)の合計量が0.1%以上である必要がある。一方、(Si+2Al)の合計量が2.0%超であると、製品の磁束密度を低減させ有害であるから、(Si+2Al)の合計量を2.0%以下と制限する。
C含有量を一定量以下に制御することは、本発明における仕上熱延から仕上焼鈍に至る一貫プロセスにおいて集合組織制御を行う効果を十分に発現させるために重要な、新規知見である。従来のように無方向性電磁鋼板として使用中の磁気時効による損失の増加を防止する観点だけであれば、その含有量は0.005%以下であれば十分である。
しかし、本発明では、Cの含有量が0.004%以上であると、仕上焼鈍後の成品の再結晶集合組織の制御に成功せず、高磁束密度が得られなくなる。従って、本発明ではC含有量は0.004%未満に定める。さらに、本発明において一連のプロセスでの集合組織制御により無方向性電磁鋼板の磁束密度を高めるためには、C含有量は0.003%以下であることが好ましい。
本発明ではS、Nの低減により高磁束密度が可能となる。
S、Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS、AlNの微細な析出物を再析出して仕上焼鈍時の結晶粒成長を抑制し、鉄損が悪化する原因となる。このためその含有量は共に0.003%以下とする必要がある。
次にプロセス条件について説明する。
前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続鋳造あるいは造塊−分塊圧延により製造される。鋼スラブは公知の方法にて加熱される。このスラブに熱間圧延を施し所定の厚みとする。
本発明での熱延では、スラブ加熱温度STが850℃未満となると粗熱延および仕上熱延時の圧延反力が大きくなりすぎ、圧延が困難となるのでスラブ加熱温度は850℃以上に定める。一方、スラブ加熱温度が1150℃超となると、鋼中のS等の不純物が再固溶し、仕上熱延中に微細に再析出して仕上焼鈍中の結晶粒成長を妨げ、鉄損が著しく悪化するとともに仕上焼鈍中の再結晶制御を妨げ、磁束密度も低下してしまうので、スラブ加熱温度は1150℃以下に定める。
仕上熱延開始温度F0Tは、850℃未満となると仕上熱延時の圧延反力が増大して圧延が困難となるので仕上熱延開始温度は850℃以上に定める。一方、仕上熱延開始温度が1150℃超になると、仕上熱延中の再結晶進行の速度が速くなりすぎ、仕上熱延を行いながら熱延鋼帯の集合組織を制御する本発明の効果が損なわれ、結果として成品の磁束密度が著しく低下してしまうので、仕上熱延開始温度は1150以下に定める。
仕上熱延終了温度FTが750℃未満となると、仕上熱延中の圧延反力が増大し、仕上熱延が困難となり、熱延板の形状が悪化し板厚制御が困難になるとともに、成品の磁束密度がかえって低下するので仕上熱延終了温度は750℃以上に定める。仕上熱延終了温度が850℃超となると、仕上熱延中の再結晶進行の速度が速くなりすぎ、仕上熱延を行いながら熱延鋼帯の集合組織を制御する本発明の効果が損なわれ、結果として成品の磁束密度が著しく低下してしまうので、仕上熱延終了温度は850℃以下に定める。なお、本発明では、実施例に基づき仕上熱延終了温度FTの上限を805℃とした。
本発明では、仕上熱延中に熱延鋼帯の集合組織を制御する必要があることから、仕上げ熱延においてα域で少なくとも一パス以上の圧下率を15%以上とすることが必要である。仕上熱延において少なくとも1パスはα域で15%以上の圧延を施さないと、本発明が意図する熱延鋼帯の集合組織制御による、冷間圧延およびその後の仕上焼鈍中の再結晶集合組織を制御して磁束密度を高める効果が得られなくなるので、仕上げ熱延においてα域で少なくとも一パス以上の圧下率を15%以上とすることに定める。成分の説明でも述べたように、C含有量を制御しつつ、仕上熱延においてα域で少なくとも1パスの圧下量を15%以上に確保することにより、熱延鋼帯の集合組織制御を行うことが可能となり、この熱延鋼帯に冷間圧延および仕上焼鈍を施した後の成品の再結晶集合組織を改善し、磁束密度を高めることが可能になる。
この技術思想により従来よりも低鉄損が達成される理由は現在解明中であるが、α域で一定以上の圧延率の圧下を確保することにより、熱延鋼帯の集合組織を改善することができ、このため冷間圧延、再結晶後の成品の再結晶集合組織中の結晶粒のうち、{100}面を板面に並行に持つ結晶粒を富化できることが本発明の磁束密度向上の機構であると推察している。
熱延終了温度が高くなりすぎると、α相域の仕上熱延により造りこんだ熱延鋼帯の集合組織が再結晶と粒成長の進行により消失してしまうことを発明者らは突き止めた。
この観点から、従来技術で、無方向性電磁鋼板の磁束密度を向上させるために用いられてきた熱延板焼鈍は、本発明で造りこんだ、成品の磁束密度向上に役立つ熱延鋼帯内の集合組織を、熱延板焼鈍中に熱延鋼帯内で進行する再結晶と粒成長のために相殺する為、成品の磁束密度を充分向上させることができなかったと思われる。
この従来の製造方法による技術思想は、冷間圧延前の結晶粒径を粗大化させることにより、磁束密度の向上を妨げる{111}面を板面に並行に有する結晶粒の発達を阻害し、微量の{110}<001>方位を有する結晶粒の存在量を増加させることにあった。このため、仕上熱延を終了しただけの熱延鋼帯の集合組織を改善することにより成品の磁束密度を向上させるという本発明の技術思想を有する方法は開示されていなかった。
また、この目的を達成する熱延終了温度は、低すぎても熱延鋼帯において成品の磁束密度向上に好ましくない集合組織が発達し、結果として成品の磁束密度が低下してしまうことも発明者らは明らかにした。
すなわち、本発明が意図する熱延鋼帯の集合組織の制御のためには、最適な熱延終了温度の範囲があることを発明者らは明らかにしたのである。
また、鋼中のC量が本発明で規定する範囲を超過すると、α相域の仕上熱延により成品の磁束密度向上に適した集合組織を熱延鋼帯に造りこむことが著しく阻害され、成品の磁束密度が顕著に低下することも発明者らは明らかにした。
仕上熱延終了後の熱延鋼帯は酸洗を施し、冷間圧延を施して最終板厚に仕上げる。冷間圧延後の冷延鋼帯は、仕上焼鈍により再結晶を行わせ、成品とする。この成品は歪取り焼鈍を施さずに使用してもよいし、しかるべき形に打ち抜くなどの工程を経て整形した後に、歪取り焼鈍を施して使用してもよい。
本発明による無方向性電磁鋼板の磁気特性向上効果をさらに促進する方法として、冷間圧延の際に、その冷延率を85%に制御することが好ましい。これにより、磁束密度がさらに向上する。冷間圧延率の上限は定めないが、冷延率を高めることにより製造コストが上昇するため、冷延率は97%以下であることが生産性の観点から好ましい。冷間圧延率を高めることにより磁束密度が向上する理由については現在鋭意調査中であるが、冷間圧延率を85%以上にすることにより、本発明で規定した製造方法により改善された集合組織を有する熱延鋼帯の冷間圧延、再結晶後の集合組織改善を促進することで磁気特性が向上するものと推察している。
仕上焼鈍の温度域は、熱延鋼帯から造りこんでおいた集合組織から仕上焼鈍中に磁束密度を高めるのに適切な再結晶集合組織を形成させる必要があるため、α相域で行う必要がある。すなわち、仕上焼鈍温度がα相域の上限であるAc1点を超えると、成品の磁束密度が低下してしまうので、仕上焼鈍温度はα相内であるAc1点以下で行う必要がある。
仕上げ焼鈍時間が15秒未満では再結晶が不十分となり高磁束密度が得られないので、15秒以上であることが好ましい。一方、仕上げ焼鈍時間が3分を超えると、生産性が悪化し、コストが上昇するので、仕上げ焼鈍時間は3分以内とする。
これにより、磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を従来よりも低コストで製造することが可能となる。また、本発明により得られた高磁束密度無方向性電磁鋼板は、小型軽量化を要求される電気機器、回転機の鉄心、小型トランスに最適であるが、他にも各種コンプレッサー、高出力を要求される電気自動車用モーター等の鉄心用途等に適している。
次に、本発明の実施例について述べる。
表1に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1100℃1時間加熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。仕上熱延開始温度は1000℃とし、圧延速度と熱延スタンド間の冷却速度の制御により仕上熱延終了温度を700℃から865℃の範囲に変えた。
この鋼のAr1変態点は880℃であるので、7スタンドからなる仕上熱延機において、出側の少なくとも3パスの圧下を880℃以下のα域で実施し、その圧下率は5パス目は19.5%、6パス目は15.2%、7パス目は10.7%に制御し、少なくとも5パス目および6パス目の2パスにおいて、α相域での圧下量が15%以上確保できるように制御熱延を行った。
続いて酸洗を施し、冷間圧延により0.5mmに仕上げ、これを連続焼鈍炉にて750℃30秒の仕上焼鈍を施した。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測定した。
表1に本発明と比較例の成分を、表2に仕上熱延終了温度と磁気特性の関係の測定結果を示す。
表2より、仕上げ熱延終了温度と圧下条件を適切に制御することにより、熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を省略して、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
Figure 0005014830
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表3に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1100℃1時間加熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。仕上熱延開始温度は980℃とし、圧延速度と熱延スタンド間の冷却速度の制御により仕上熱延終了温度を805℃に制御した。
この鋼のAr1変態点は865℃であるので、7スタンドからなる仕上熱延機において、出側の3パスの圧下を865℃以下のα域で実施し、その圧下率は5パス目は25.0%、6パス目は15.2%、7パス目は10.7%に制御し、5パスおよび6パス目においてα相域での圧下量が15%以上確保できるように制御熱延を行った。
続いて酸洗を施し、冷間圧延により0.5mmに仕上げ、これを連続焼鈍炉にて760℃30秒の仕上焼鈍を施した。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測定した。
表3に本発明と比較例の成分を、表4に各供試材の磁気特性の測定結果を示す。
このようにC含有量を0.004%未満に制御し、仕上げ熱延条件を条件を適切に制御することにより、熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を省略して、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。さらに、表4より、特にC含有量が0.003%以下の場合において、より高い磁束密度が得られていることがわかる。さらに、C含有量が0.002%以下の場合において、1.815T以上のより高い磁束密度が得られていることがわかる。
Figure 0005014830
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表5に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1050℃1時間加熱し、粗圧延により40mmの粗バーとし、次いで7パスの仕上げ熱延により2.5mmに仕上げた。仕上熱延開始温度は950℃とし、圧延速度と熱延スタンド間の冷却速度の制御により仕上熱延終了温度を800℃に制御した。
この鋼のAr1変態点は861℃であるので、7スタンドからなる仕上熱延機において、圧延スケジュールを様々に調整して制御熱延を行い、熱延仕上げ板厚と仕上熱延終了温度が上記の条件になるように制御した。
続いて酸洗を施し、冷間圧延により0.5mmに仕上げ、これを連続焼鈍炉にて750℃30秒の仕上焼鈍を施した。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測定した。
表5に本発明と比較例の成分を、表6に仕上熱延終了温度と磁気特性の関係の測定結果を示す。
本発明1および本発明2では仕上熱延の5パス目と6パス目において、861℃以下のα相域の温度で圧延を行い、かつ圧下率も15%以上に達しており、本発明3では仕上熱延の5パス目から7パス目において、861℃以下のα相域で15%以上の圧下率を確保しており、この結果、成品の磁束密度B50の値が1.810T以上の優れた磁気特性が得られている。
一方、比較例1と比較例2では、仕上熱延の5パス目から7パス目において861℃以下のα相域で圧延を行っているが、それらのパスでの圧下率はすべて15%未満であり、その結果、本発明に比べて成品の磁束密度が劣っていることがわかる。
表6より、仕上げ熱延条件を適切に制御し、この鋼のAr1変態点である861℃以下のα相域において、少なくとも1パスの圧下量を15%以上確保することにより、成品の磁束密度を著しく向上させることが可能であることがわかる。
以上のように、熱延条件と成分を適切に制御することにより、熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を省略して、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
Figure 0005014830
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表7に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1100℃1時間加熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。仕上熱延開始温度は1000℃とし、圧延速度と熱延スタンド間の冷却速度の制御により仕上熱延終了温度を700℃から880℃の範囲に変えた。
この鋼のAr1変態点は855℃であるので、7スタンドからなる仕上熱延機において、出側の少なくとも3パスの圧下を855℃以下のα域で実施し、その圧下率は5パス目は19.5%、6パス目は15.2%、7パス目は10.7%に制御し、少なくとも5パス目および6パス目の2パスにおいて、α相域での圧下量が15%以上確保できるように制御熱延を行った。
続いて酸洗を施し、冷間圧延により0.35mmに仕上げ、これを連続焼鈍炉にて850℃60秒の仕上焼鈍を施した。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測定した。
表7に本発明と比較例の成分を、表8に仕上熱延終了温度と磁気特性の関係の測定結果を示す。
表8より、仕上げ熱延終了温度と圧下条件を適切に制御することにより、熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を省略して、高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
Figure 0005014830
Figure 0005014830
表9に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1100℃1時間加熱し、熱延により2.5mmおよび2.0mmに仕上げた。仕上熱延開始温度は1000℃とし、圧延速度と熱延スタンド間の冷却速度の制御により仕上熱延終了温度を760℃とした。
この鋼のAr1変態点は858℃であるので、7スタンドからなる仕上熱延機において、出側の少なくとも3パスの圧下を858℃以下のα域で実施した。出側3パスの圧下率は、熱延仕上板厚が2.5mmの場合は5パス目を25.0%、6パス目を15.2%、7パス目を10.7%に制御し、熱延仕上板厚が2.0mmの場合は5パス目を22.2%、6パス目を17.9%、7パス目を13.0%に制御し、少なくとも5パス目および6パス目の2パスにおいて、α相域での圧下量が15%以上確保できるように制御熱延を行った。
続いて酸洗を施し、冷間圧延を施し、これを連続焼鈍炉にて750℃20秒の仕上焼鈍を施した。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測定した。冷間圧延においてはその仕上板厚を変化させ、冷間圧延率と磁気特性との関係を調べた。
表10に冷延条件と磁気特性の関係を示す。冷間圧延率が85%以上であると磁束密度B50が1.830T以上の優れた値に達していることがわかる。
よって、表10より、冷間圧延率を85%に制御することにより、熱延板焼鈍などのコストのかかる工程を省略しつつ高磁束密度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
Figure 0005014830
Figure 0005014830

Claims (2)

  1. 鋼中に質量%で
    0.1%≦Si≦2.0%
    Al≦1.0%
    かつ 0.1%≦Si+2Al≦2.0% を満たし、
    C<0.004%
    S≦0.003%
    N≦0.003%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラブとして、熱間圧延において粗圧延および引き続く仕上熱延を施し熱延板とし、続いて酸洗し一回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、
    スラブ加熱温度ST、仕上熱延開始温度F0T、仕上熱延終了温度FTをそれぞれ以下のように定め、かつ、仕上熱延においてα域で少なくとも一パス以上の圧下率を15%以上とすることを特徴とする磁束密度の高い無方向性電磁鋼板の製造方法。
    850℃≦ST≦1150℃
    850℃≦F0T≦1150℃
    750℃≦FT≦805℃
  2. 請求項1の無方向性電磁鋼板の製造方法において、冷間圧延工程における圧延率を85%以上97%以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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