JP7176221B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、特に、回転機、中小型変圧器、電装品等の電気機器の分野において、世界的な電力削減、エネルギー節減、CO2排出量削減等に代表される、地球環境の保全の動きの中で、モータの高効率化及び小型化の要請はますます強まりつつある。このような社会環境下において、モータのコア材料として使用される、無方向性電磁鋼板に対する性能向上は、喫緊の課題である。
例えば、自動車分野では、ハイブリッド駆動自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の駆動モータのモータコアとして、無方向性電磁鋼板が使用されている。そして、HEVで使用される駆動モータは、設置スペースの制約および重量減による燃費低減のため、小型化の需要が高まっている。
駆動モータの小型化の需要に伴い、モータは高トルク化が必要である。そのため、無方向性電磁鋼板には、磁束密度のさらなる向上が要求されている。
また、自動車に搭載する電池容量には制限があることから、モータにおけるエネルギー損失を低くする必要がある。そのため、無方向性電磁鋼板には、さらなる低鉄損化が求められている。
また、従来、電磁鋼板は、追加熱処理して使用されることがある。代表的なものとして「歪取り焼鈍(SRA:Stress Relief Annealing)」が知られている。これは、鋼板を電機部品として加工する際の打ち抜き等により鋼板に不可避的に導入される歪が特に鉄損を悪化させるため、最終的に不要な歪を除去するための熱処理である。この熱処理は、鋼板から切り出された部材(鋼板ブランク)、または部材を積層したモータコア(例えば、ステータコア)に対して施される。
これらを背景とし、無方向性電磁鋼板の技術において、磁気特性を向上させるため、鋼成分はもちろん、鋼板中の結晶粒径、及び結晶方位などの金属組織の制御、並びに析出物の制御等、様々な取り組みがなされている(例えば、特許文献1~12参照)。
例えば、特許文献1には、質量%で、Pを0.10%~0.30%含有し、磁束密度がB50で1.70T以上である無方向性電磁鋼板が開示されている。
特許文献2~4には含有させたPを冷間圧延の前に粒界に偏析させておくことで、冷延および再結晶焼鈍後の結晶方位を制御し磁気特性を改善する技術が開示されている。
特許文献5には、質量%で、0.1%<Si≦2.0%、Al≦1.0%等の特定の化学組成を有し、仕上げ熱延終了温度が550℃~800℃等の特定の製造条件で製造した無方向性電磁鋼板が開示されている。
特許文献6~8には、質量%で、Siが0.05%~4.0%(又は4.5%)、P≦0.25%等の特定の化学組成を有し、熱延温度を500℃~850℃とする低温熱延を施すことで圧延方向から45°方向の磁気特性を向上させた、面内異方性の小さい無方向性電磁鋼板が開示されている。
特許文献9、10には、仕上げ焼鈍の加熱速度が速すぎると鉄損が悪化するため、仕上げ焼鈍の加熱速度を40℃/secに遅くすることで、鉄損の悪化を回避する技術が開示されている。特許文献10には、仕上げ焼鈍の加熱速度が速い場合、磁束密度が不安定になるため、特に、600℃~700℃及び700℃~760℃の温度範囲のそれぞれの温度域での適切な加熱速度を選択することで、磁束密度の不安定化を避ける技術が開示されている。
特許文献11、12には、セミプロセス無方向性電磁鋼板に関する技術が開示されている。セミプロセス無方向性電磁鋼板は、仕上げ焼鈍による再結晶後の鋼板に歪を付与した状態で出荷し、その後、鋼板ユーザーで熱処理を行い、歪を解放して磁気特性を得ることを前提としたものである。
特に、特許文献11では、仕上げ焼鈍時の加熱速度を5℃/sec~40℃/secとすることが有効であることが示されている。また、特許文献12では、740℃までの加熱速度を100℃/sec以上に早めることでセミプロセス用の磁気特性を改善した技術が開示されている。
これら特許文献1~12に記載されるような鋼板を用いてモータコアを形成する場合、これら鋼板は、例えば、特許文献13および14に記載されるように、鋼板から切り出した部材を回転させた上で積層したモータコアとして使用される。
特開2002-371340号公報 特開2012-036454号公報 特開2005-200756号公報 特開2016-211016号公報 特開2011-111658号公報 特開2006-045613号公報 特開2006-045641号公報 特開2006-219692号公報 特開平11-124626号公報 国際公開第2016/136095号 特開平03-223424号公報 国際公開第2014/129034号 特開2000-153319号公報 特開2000-094055号公報
鋼板から切り出した部材を回転させた上で積層する場合においては、積層軸方向に積層したときの厚さの精度および占積率、積層後のモータコアの積層軸回りでの磁気特性の変動などが考慮されている。しかしながら、鋼板単板として良好な特性を持つ鋼板を積層しているにも関わらず、モータコアとしての特性は十分に向上しない場合もあることが指摘されている。
また、前述の歪取り焼鈍は、歪を解放して鉄損を改善する効果は得られる一方で、同時に磁気特性にとって好ましくない結晶方位が発達し、磁束密度が低下してしまうことがある。そのため、特に高い磁気特性が求められる場合には、歪取り焼鈍での磁束密度低下の回避が求められている。
冷延前粒径を大きくすること、また、Pを冷間圧延の前に粒界に偏析させることで、磁気特性が改善されるものの、靱性が劣化し、冷間圧延で破断することが多いのが課題であった。
仕上げ熱延終了温度が550℃~800℃では、熱延板焼鈍が省略されるものの低温熱延による歪増大の影響で熱延板の硬度が向上し、冷間圧延が困難であることが課題であった。
このようにこれまでの技術では、冷延前の粒径粗大化、偏析元素添加を適用、および低温熱延を実施してため熱延板の靱性が劣化しており、冷間圧延にて破断することが多かった。そこで熱延板の靱性を劣化させずに歪取焼鈍前後の磁気特性を向上させることが求められていた。
本発明は、上記事情に鑑み、熱延板の靱性を劣化させることなく、歪取焼鈍前後の磁気特性が優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を得るために、熱延板の靱性を劣化させることなく、磁気特性改善に有効である{100}方位に近い方位の集積度を向上させるための条件を検討した。その条件を追求すると、鋼板の板厚をtとしたときに、鋼板の最表面~1/4tの位置の部分(1/4t部)までの層(以下表層)において、{210}<001>方位の集積度を高めることで、歪取り焼鈍後の磁気特性までをも考慮した磁気特性の向上と強い相関を持つことをつきとめた。
そして、この特性を有する鋼板を得るための条件について詳細に検討した。その結果、仕上げ熱延の最終スタンドにおいて、特定範囲の温度、圧延形状比で圧下を施した場合において、冷延前粒径を粗大化させることなく、冷間圧延および仕上げ焼鈍を施した場合に、上記磁気特性を有する鋼板が得られるとの知見を得た。
さらに、上記の表面層での集合組織変化が圧延による剪断変形に関連しているとの観点から、熱延条件による制御について詳細に研究を重ねた。その結果、特定の温度範囲および圧延形状比で仕上げ熱延を施し、ついで熱延板焼鈍により熱延板の粒径を50~100μmとし、鋼板の表面層での{210}<001>方位の集積度を高められることを確認した。なお、50~100μmは冷延に問題ない程度の粒径である。
すなわち、本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。つまり、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.01%~3.50%、Al:0.001%~2.500%、Mn:0.01%~3.00%、P:0.180%以下、S:0.0030%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、板厚をtとしたときに、鋼板表面~1/4tの位置の部分(1/4t部)における{210}<001>方位の集積度が6以上30以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
(2)磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の平均磁束密度B50において、歪取焼鈍前の平均磁束密度をBA、歪取焼鈍後の平均磁束密度をBBとするとき、歪取焼鈍前後の前記平均磁束密度の比BB/BAが0.970以上であることを特徴とする(1)に記載の無方向性電磁鋼板。
(3)(1)に記載の化学組成を有するスラブを熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、
前記熱間圧延の仕上げ圧延を500~800℃の温度範囲で行い、かつ、最終圧延スタンドの圧延形状比を4以上8以下で仕上げ圧延を行い、
前記熱延板焼鈍を800℃以上1000℃以下で行い、熱延板焼鈍後の平均粒径を50~100μmとし、
前記冷間圧延の全圧下率を75~95%で冷間圧延を行い、
前記仕上げ焼鈍を均熱温度800~1200℃、均熱時間5~120secで行い、
前記仕上げ焼鈍後の板厚をtとしたときに、鋼板表面~1/4tの位置の部分(1/4t部)における{210}<001>方位の集積度が6以上30以下である
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、モータコアとして積層した後、およびモータコアを歪取り焼鈍した後であっても、優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供できる。
{210}<001>方位集積度と歪取焼鈍前後の平均磁束密度比BB/BAを示した図である。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例について詳細に説明する。
なお、本明細書中において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中において、各方位(例えば、{210}<001>方位)については、圧延面の法線方向(圧延面方向)のミラー指数、および圧延方向と平行な方向(圧延面内方向)のミラー指数について、それぞれ±5°以内の方位を当該方位であるものとする。
<無方向性電磁鋼板>
(化学成分)
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板における化学組成の限定理由について述べる。なお、鋼板の成分組成について、「%」は「質量%」である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.01%~3.50%、Al:0.001%~2.500%、Mn:0.01%~3.00%、P:0.180%以下、S:0.0030%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有する。
(C:0.0030%以下)
Cは、鉄損を高める成分であり、磁気時効の原因ともなるので、Cの含有量は少ないほどよい。そのため、Cの含有量は0.0030%以下とする。C量の好ましい上限は0.0025%以下であり、より好ましくは0.0020%以下である。Cの含有量の下限は特に限定されないが、工業的な純化技術を考慮すると実用的にはCの含有量は0.0001%以上であり、製造コストも考慮すると0.0005%以上が好ましい。
(Si:0.01%~3.50%)
Siは含有量が増えると、磁束密度が低下する。また、硬度の上昇を招いて、打ち抜き加工性が劣化する。さらに、無方向性電磁鋼板の製造工程そのものにおいても、冷延等の作業性が低下し、コスト高となる。そのため、Siの含有量の上限は3.50%以下とする。好ましくは3.20%以下、より好ましくは3.00%以下である。一方、Siは鋼板の電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させ、鉄損を低減する作用を有する。そのため、Si量の下限は0.01%以上とする。ましくは0.10%以上、より好ましくは0.50%以上、さらに好ましくは1.00%以上である。
(Al:0.001%~2.500%)
Alは、鉱石、耐火物などから不可避的に含有され、また脱酸にも使用される。これを考慮して下限を0.001%以上とする。また、Alは、Siと同様に、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させることにより、鉄損を低減する作用のある成分である。そのため、Alは0.200%以上含有させてもよい。一方、Alの含有量が増加すると、飽和磁束密度が低下して磁束密度の低下を招くため、Al量の上限は2.500%以下とする。好ましくは2.000%以下である。
(Mn:0.01%~3.00%)
Mnは電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させるとともに、結晶粒成長に有害なMnS等の微細硫化物の析出を抑制する。これらの目的のためにMnを0.01%以上含有させる。好ましくは0.15%以上である。しかし、Mnの含有量が増加すると、焼鈍時の結晶粒成長性が低下し、鉄損が増大する。そのため、Mnの含有量の上限は3.00%以下とする。好ましくは2.50%以下、より好ましくは2.00%以下である。
(P:0.180%以下)
Pは磁束密度を低下させることなく強度を高める作用がある。しかし、Pを過剰に含有させると鋼の靱性を損ない、鋼板に破断が生じやすくなる。そのため、P量の上限は0.180%とする。好ましくは0.150%以下、より好ましくは0.120%以下である。P量の下限は特に限定しないが、製造コストも考慮すると0.001%以上となる。
また前述のように、Pは表面層における{210}<001>方位の集積度を高めるために有効な元素である。モータコアとして積層した後、および歪取り焼鈍した後であっても、優れた磁気特性を有する効果(以下、「特定の磁気特性」と称する場合がある。)をより効果的に得る点で、P量の下限は0.021%以上が好ましく、より好ましくは0.041%以上、さらに好ましくは0.061%以上が。
(S:0.0030%以下)
Sは、MnS等の硫化物の微細析出により、仕上げ焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するので、0.0030%以下とする。S含有量の好ましい上限は0.0020%以下、より好ましくは0.0015%以下である。Sの含有量の下限は特に限定されないが、工業的な純化技術を考慮すると実用的にはSの含有量は0.0001%以上であり、製造コストも考慮すると0.0005%以上となる。
(Feおよび不可避的不純物元素)
鋼板の残部は、Feおよび不可避的不純物元素である。ここで、不可避的不純物元素とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。
上記化学組成は、鋼板を構成する鋼の組成である。測定試料となる鋼板が、表面に絶縁皮膜等を有している場合は、これを除去した後に測定する。
無方向性電磁鋼板の絶縁皮膜等を除去する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
まず、絶縁皮膜等を有する無方向性電磁鋼板を、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:10質量%+H2O:90質量%)に、80℃で15分間、浸漬する。次いで、硫酸水溶液(H2SO4:10質量%+H2O:90質量%)に、80℃で3分間、浸漬する。その後、硝酸水溶液(HNO3:10質量%+H2O:90質量%)によって、常温(25℃)で1分間弱、浸漬して洗浄する。最後に、温風のブロアーで1分間弱、乾燥させる。これにより、後述の絶縁皮膜が除去された鋼板を得ることができる。
鋼板中の各元素の含有割合は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法:Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry)により測定することができる。具体的には、まず、測定対象となる無方向性電磁鋼板を準備する。当該電磁鋼板の一部を切子状にして秤量し、これを測定用試料とする。当該測定用試料を酸に溶解させて酸溶解液とし、残渣は濾紙回収して別途アルカリ等に融解し、融解物を酸で抽出して溶液化する。当該溶液と前記酸溶解液とを混合し、必要に応じて希釈することにより、ICP-MS測定用溶液とすることができる。
(結晶方位の特徴)
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、表層における{210}<001>方位の集積度が6以上である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上記特性を有することで、歪取り焼鈍した後であっても、磁気特性に優れる。これについて以下に説明する。
表面層における{210}<001>方位の集積度が6以上であることは、本実施形態の無方向性電磁鋼板において、重要な特徴となる。{210}<001>方位は、方向性電磁鋼板で活用される{110}<001>方位に近い方位であり、磁気特性の面内異方性を強くする方位でもある。このため磁気特性の面内異方性が小さいことを特徴とする無方向性電磁鋼板においては、通常は集積が抑制されている方位である。
本実施形態の無方向性電磁鋼板では、この{210}<001>方位について、表面層での集積度を6以上と規定している。好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。ただし、{210}<001>方位は、上記のように、面内異方性を強くする方位であるため、過度に高めすぎないほうがよい。この点で、{210}<001>方位の上限は30以下であることがよく、25以下が好ましい。
{210}<001>方位は、上述のように磁気特性の面内異方性を大きくする結晶方位である。このため、従来は、{210}<001>方位の形成を促進する技術開発はなされていなかった。
しかし、仕上げ熱延の最終スタンドにおいて、特定範囲の温度、圧延形状比で圧下を施した場合において、冷延前粒径を粗大化させることなく、歪取り焼鈍した後であっても、優れた磁気特性を有することを知見した。
上記条件において、鋼板の表面層で{210}<001>方位が発達する理由は明確ではないが、次のように推測される。
一般的に、鋼板の表面層は、熱延および冷延において剪断成分を含む変形が進行するため、加工時点での転位構造および再結晶後の結晶方位が、板厚中心領域と異なることが知られている。
この表面層の特殊な{210}<001>方位は{110}<001>近傍の方位であり、通常、冷延、焼鈍することで再び{110}<001>方位となるが、今回は特定の温度および圧延形状比で仕上げ熱延をしたことで、冷延前粒径を板厚方向に均一に50~100μmと小径とすることが可能となり、{210}<001>となったと考えられる。
{100}方位を高めることが磁気特性にとって有利となることは周知のとおりである。しかし、従来、この方位は歪取焼鈍による粒成長過程で磁気特性にとって好ましくない{111}等の方位により蚕食され十分に集積させることができなかった。これに対し、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、{210}<001>方位が形成されることで、{111}等の磁気特性にとって好ましくない方位の生成が抑制されている。そのため、{100}方位を蚕食する{111}方位が抑制されたことで、表面層での{100}方位の集積度が増加し、SRAによる磁束密度劣化代が減少したと考えられる。
結晶方位は次の方法で測定できる。鋼板から切り出した30mm×30mm程度の鋼板サンプルに機械研磨および化学研磨を実施して片側の表層を除去する。この表層の除去に際し、元の鋼板の1/4t部が表面となるまで、それぞれ減厚した測定用試験片を作製する。
各測定用試験片について、X線回折装置により、{200}面、{110}面、{211}面の極点図を測定し、各層における結晶方位分布関数ODF(Orientation Determination Function)を作成する。この結晶方位分布関数に基づき、各層における各方位の集積度を得る。
(歪取り焼鈍による磁気特性の変化)
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、低い加熱速度で追加の熱処理(歪取り焼鈍)をした場合であっても、再結晶粒の成長の際に生じていた磁束密度の低下を抑制することができるものである。
追加の熱処理を実施する前の鋼板の平均磁束密度をBA、並びに加熱速度が100℃/hr、最高到達温度が800℃、及び800℃での保持時間が2時間の条件で熱処理を実施した後の鋼板の平均磁束密度をBBとしたとき、BBとBAとの比が、BB/BA≧0.970とする。BB/BAが0.970未満の材料の場合、歪取り焼鈍(SRA)において異常粒成長しやすい{111}方位が主方位となるため、SRA後に混粒組織となりやすい。混粒組織になると、モータコア内で特性バラつきが大きくなるため、BB/BAは0.970以上とする。好ましくはBB/BAが0.975以上、より好ましくは0.978以上である。
なお、BB/BAの上限は特に定めないが、追加熱処理により特性劣化がない(つまり、BB/BA=1.00)ことは、目標とする基準でもある。ただし、本実施形態の無方向性電磁鋼板において、結晶方位を板厚方向の変化を考慮して好ましく制御しているため、磁気特性にとって好ましい方位である{100}方位が優先的に成長し、BB/BAが1.00を超えることもある。
ここで、追加の熱処理を実施する前および後の全周方向の平均磁束密度BAおよびBBは、55mm×55mmの大きさのサンプルにおいて、圧延方向、圧延直角方向および45°方向の平均磁束密度B50を磁化力5000A/mで励磁した場合の磁束密度により求める。具体的には、圧延方向に沿う方向(0°)、圧延方向に沿う方向と垂直な方向(90°)および圧延方向に沿う方向と45°傾いた方向(45°)についてB50を測定し、その平均値である。
なお、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を規定する追加熱処理の条件は上記のように加熱速度、最高到達温度、及び保持時間において、特定の値としている。これは、現在実用的に実施されている歪取り焼鈍の条件として代表的と考えられる値を用いたものである。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を追加熱処理を施す用途に使用する場合、追加熱処理による磁束密度の低下を抑制する効果は、加熱速度、最高到達温度及び、保持時間において、この値に限定されず、ある程度の広い範囲内で享受することができる。たとえば、特定の磁気特性が確認できる追加熱処理の条件として、加熱速度を30℃/hr~500℃/hr、最高到達温度を750℃~850℃、750℃以上での保持時間を0.5時間~100時間とする範囲が挙げられる。
このように、本実施形態に係る鋼板は、追加熱処理(歪取り焼鈍)した場合であっても、従来の鋼板を歪取り焼鈍したときよりも磁束密度の低下が抑制される。この理由については、必ずしも明らかではないが以下のように考えている。
従来の無方向性電磁鋼板では、歪取り焼鈍等の低い加熱速度での追加熱処理による比較的低温での粒成長を行うと、磁気特性に有利とされる{100}方位を有する結晶粒よりも、他の方位(例えば、{111}、{223}等)を有する結晶粒の成長が優位となる。これらの方位は特に{100}方位を蚕食して成長するため、従来の無方向性電磁鋼板は、磁束密度が大きく低下する。
これに対し、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、熱延での仕上げ圧延の温度条件、圧延形状比および熱延板焼鈍条件を特定の条件で制御する。それにより、特に表面層においては{210}<001>方位の発達が促進される。当結晶方位の集積度が5以下であると{111}方位を蚕食するだけの粒成長速度はないが、集積度が6以上になると歪取粒成長で{111}方位を蚕喰し始め、結果として{111}等の方位の発達は抑制された状況となっている。そのため、{210}<001>方位の集積度が6以上になると、仕上げ焼鈍後の徐加熱での追加熱処理による粒成長において、{111}等の方位の成長が優位とならず、高磁束密度化に有利な{210}<001>方位を有する結晶粒が残存、成長し、高磁束密度を保持するものと推定される。
このような追加熱処理による成長粒の選択性に関する効果は、粒成長の初期段階(結晶粒径としては、例えば、80μm以下の段階)までは相対的に高加熱速度(例えば、1秒あたり10℃(10℃/sec)程度以上)で生成させた結晶を、粒成長の後期段階(結晶粒径としては、例えば、80μm超の段階)では相対的に低加熱速度かつ低温長時間(例えば、1時間あたり100℃(100℃/hr)程度以下、かつ粒成長が起きる温度域としては比較的低温である550℃~750℃の温度域での保持時間が2時間以上)で成長を進行させた場合に顕著となる。
上記では粒成長における結晶方位の好ましい選択の効果を80μm前後での方位変化により説明したが、この効果は、例えば、仕上げ焼鈍において(急速加熱焼鈍において)、80μm超、例えば100μmまたはそれ以上とした鋼板においても、そこからのさらなる粒成長、例えば200μmまたはそれ以上とする際の好ましい方位選択性が失われるものではない。
一方、例えば、仕上げ焼鈍において(急速加熱焼鈍において)、粒径が20μm未満、例えば未再結晶組織が残存したような鋼板を、そこからの再結晶の進行および粒成長、例えば50μm程度まで成長させる場合についても、好ましい方位選択性が失われるものではない。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の厚みは、用途等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されるものではないが、製造上の観点から、0.10mm~0.50mmであることがよく、0.15mm~0.50mmが好ましい。特に、磁気特性と生産性のバランスの観点からは、0.15mm~0.35mmが好ましい。
また、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、鋼板表面に絶縁皮膜を有していてもよい。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の表面に形成する絶縁皮膜は、特に限定されず、公知のものの中から、用途等に応じて選択すればよい。例えば、絶縁皮膜は、有機系皮膜、無機系皮膜のいずれであってもよい。有機系皮膜としては、例えばポリアミン系樹脂;アクリル樹脂;アクリルスチレン樹脂;アルキッド樹脂;ポリエステル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリオレフィン樹脂;スチレン樹脂;酢酸ビニル樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ウレタン樹脂;メラミン樹脂等が挙げられる。また、無機系皮膜としては、例えば、リン酸塩系皮膜;リン酸アルミニウム系皮膜等が挙げられる。さらに、前記の樹脂を含む有機-無機複合系皮膜等が挙げられる。
上記絶縁皮膜の厚みは、特に限定されないが、片面当たりの膜厚として0.05μm~2μmであることが好ましい。
<無方向性電磁鋼板の製造方法>
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、前述のように熱延での仕上げ圧延の温度条件および圧下条件を制御することで得られる。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の好ましい製造方法の一例としては、下記の方法が挙げられる。
以下、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の好ましい製造方法の一例について説明する。
本実施形態の無方向性電磁鋼板の好適な製造方法の一例は、前述の化学組成(質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.01%~3.50%、Al:0.001%~2.500%、Mn:0.01%~3.00%、P:0.180%以下、S:0.0030%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物)からなるスラブを熱間圧延(熱延)する熱間圧延工程(熱延工程)と、熱間圧延された鋼板を焼鈍する熱延板焼鈍工程、更に冷間圧延(冷延)する冷間圧延工程(冷延工程)と、冷間圧延された鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有する。
そして、下記(a)、下記(b)、下記(c)の条件を満足する。
(a)仕上熱延工程圧延温度:500℃~800℃の温度域で仕上げ圧延を行う。
(b)仕上熱延工程圧下率:ロール径と圧延前後の板厚に依存する圧延形状比γが4以上8以下で仕上げ圧延を行う。
圧延形状比が4以上となることで{210}<001>方位の集積度が6以上となり、8より大きくなると熱延板の形状が不均一となるため、圧延形状比は4以上8以下が望ましい。
尚、圧延形状比は、以下の式で定義されるものである。
γ=Id/hm
γ:圧延形状比
Id:投影接触弧長
Id=(Dr(hin-hout)/2)(1/2)
Dr:ロール径
hin:入側板厚
hout:出側板厚
hm:平均板厚
hm=(hin+2hout)/3
(c)熱延板焼鈍条件:焼鈍を800℃以上1000℃以下で行い、冷延前の粒径を50~100μmとするように焼鈍する。
(a)(b)(c)の3つの条件を満足することで、仕上げ焼鈍後において、表面層における{210}<001>方位の集積度が6以上となりSRA前後の平均磁束密度比BB/BA≧0.970を得ることが可能となる。
そして、上記製造方法によって得られる無方向性電磁鋼板は、表面層における{210}<001>方位の集積度が6以上になる鋼板が得られる。
以下、好ましい製造方法の一例における各工程について、まとめて説明する。
(熱間圧延工程)
熱延前のスラブの加熱温度は、低すぎるとスラブが圧延するのに十分な硬度にならず、一方で高すぎるとMnS等の析出物が固溶し、磁気特性に影響を与えるため、1000℃~1300℃とすることがよい。
加熱後のスラブに対し粗熱延を施した後、仕上げ圧延(以下、「仕上げ熱延」と称する場合がある。)を施す。仕上げ熱延の温度条件は、熱延後、さらに冷間圧延を施し、仕上焼鈍により再結晶させた鋼板の表面層における{210}<001>方位の集積度を高めるために有効な制御因子となり得る。このためには、仕上げ熱延の温度を500℃~800℃とすることがよい。圧延性の点から、仕上げ熱延の温度は、好ましくは550℃以上、さらに好ましくは600℃以上である。また、好ましくは750℃以下、より好ましくは700℃以下である。
無方向性電磁鋼板における仕上げ圧延の温度は、一般的には850℃~950℃程度であり、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法のように仕上げ圧延の温度を低くすることで、鋼板の表面層に特定の結晶方位が発現する理由は明確ではないが、次のように考えられる。前述のように、「表面層に作用する剪断変形」に起因していると考えると、熱間圧延において圧延温度を低くすることで熱延鋼板の表面層において同様の特定の結晶方位が発現する現象をもたらしているものと推察できる。
(熱延板焼鈍工程)
次に、熱延後の鋼板に熱延板焼鈍を施す。焼鈍温度は低すぎると熱延板が再結晶せず、高すぎると粒径が大きくなるため仕上げ焼鈍後に{210}<001>が集積しない。粒径が小さすぎると、特に50μmより小さい場合は{111}<112>の再結晶が促進され、また、粒径が大きくなりすぎると熱延剪断変形で生成された集合組織が減少してしまうため、結晶粒径は50μm以上100μm以下とすることが望ましい。従って、焼鈍温度は800~1000℃とすることがよい。
(冷間圧延工程)
次に、熱延後の鋼板に冷延を施す。冷延の圧下率は特に限定されない。一般的な条件として、冷延は、熱延後の鋼板に対して、冷延工程における合計圧下率(冷延の全圧下率)で75%以上(好ましくは80%以上)となるように施すことがよい。特に薄手の電磁鋼板とするのであれば、全圧下率は90%以上とすることができる。冷延の全圧下率の上限は、圧延機の能力や板厚精度など製造管理を考慮すれば、95%以下であることが好ましい。
(仕上げ焼鈍工程)
次に、冷延後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す。仕上げ焼鈍工程における加熱条件は、特に限定されない。
仕上げ焼鈍の均熱温度は、仕上げ焼鈍ままで十分に低い鉄損とする場合には、800℃~1200℃の範囲とすることがよい。均熱の下限温度は、再結晶温度以上の温度であればよいが、800℃以上とすることで、十分な粒成長を起し、鉄損を低下させることができる。この粒成長の観点から、好ましくは850℃以上である。
また、最終的に歪取り焼鈍などの徐加熱による追加熱処理を行って結晶粒を成長させるのであれば、追加熱処理後の鉄損は低くできるので、仕上げ焼鈍の均熱温度を粒成長の観点では十分とは言えない800℃未満としていても問題はない。この場合は、追加熱処理により磁束密度が劣位となることを回避する効果が顕著に発揮される。この場合、一部に未再結晶組織が残存していても、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の特徴的な結晶方位を有することが可能であり、下限温度としては、例えば、640℃以上が挙げられる。仕上げ焼鈍温度を低くして、微細な結晶組織または一部未再結晶組織とした鋼板は、強度が高いので、高強度無方向性電磁鋼板としても有用である。
一方、均熱温度の上限は、焼鈍炉の負荷を考慮し1200℃以下とすることがよく、好ましくは1050℃以下である。
また、均熱時間は、粒径、鉄損、磁束密度、強度などを考慮した時間で行えばよく、例えば、5sec以上を目安とすることができる。一方、120sec以下であれば、結晶粒成長が適度になる。そのため、均熱時間は5sec~120secとすることがよい。この範囲であると、例えば、その後の徐加熱による追加熱処理を行って粒成長をさせたとき、磁気特性が劣位となることを回避する効果が得られる結晶方位が残存しやすくなる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を得るために、上記の工程以外に、従来の無方向性電磁鋼板の製造工程と同様の仕上げ焼鈍工程後の鋼板(無方向性電磁鋼板)の表面に絶縁皮膜を設ける絶縁皮膜形成工程を設けてもよい。絶縁皮膜形成工程の各条件は、従来の無方向性電磁鋼板の製造工程と同様の条件を採用してもよい。
絶縁皮膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、前述の樹脂または無機物を溶剤に溶解した絶縁皮膜形成用組成物を調製し、当該絶縁皮膜形成用組成物を、鋼板表面に公知の方法で均一に塗布することにより絶縁皮膜を形成することができる。
以上の工程を有する製造方法によって、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板が得られる。
本実施形態によれば、磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板が得られる。そのため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、電気機器の各種コア材料、特に、回転機、中小型変圧器、電装品等のモータのコア材料として好適に適用できる。
<実施例1>
表1に示す化学組成のスラブを1150℃で加熱し、厚みが40mmになるように粗熱延を施し、その後、表3の符号C7に示す温度および圧延形状比で仕上げ熱延を施した。次いで、熱延板焼鈍を表3の符号C7に示す条件で施し、冷延後の鋼板の板厚がすべて0.35mmとなるように板厚冷間圧延を圧下率75%以上で施した。冷延後の鋼板に、表3の符号C7に示す均熱温度で均熱時間30secの仕上げ焼鈍を施して鋼板を得た。
得られた仕上げ焼鈍後の鋼板の表面について既述の方法にしたがって集合組織を観察し、その結果を表2に示した。また、歪取焼鈍前後おける圧延方向、圧延直角方向および45°方向の平均磁束密度B50について測定し、歪取焼鈍前後の平均磁束密度比BB/BAが0.970以上の場合を合格とした。
Figure 0007176221000001
Figure 0007176221000002
本実施形態の無方向性電磁鋼板に該当する発明例B1~B11は、本実施形態の無方向性電磁鋼板の範囲外である比較例に比べ、圧延方向、圧延直角方向および45°方向の平均磁束密度B50について、BB/BAが0.970以上であることから、歪取り焼鈍した後であっても、優れた磁気特性を有することがわかる。
さらに、BB/BAは図1に示す通り、{210}<001>の集積度に依存していることがわかる。
比較例b1についてはC過剰であり、熱延剪断変形量が不十分となったため、BB/BAは0.970未満となった。
比較例b2についてはSiが不足しており、熱延剪断変形量が不十分であったため{210}<001>が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例b3についてはSiが過剰であり、Siは靱性に影響を及ぼすため冷延が困難であった。
比較例b4については、集合組織に影響をおよぼすMnが不足したため{210}<001>の集積度が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例b5については、Mn過剰によりSRAによる粒成長が促進されたためBB/BAは0.970未満となった。
比較例b6についてはPが過剰であり、Pは靱性に影響を及ぼすため、冷延できなかった。
比較例b7についてはSが過剰であり、MnSが析出することで熱延板の粒成長が困難となるため{210}<001>の集積度が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例b8についてはAlが不足しており、Alは{210}<001>の集積度に影響をおよぼすためBB/BAは0.970未満となった。
比較例b9についてはAlが過剰であり、Alは靱性に影響を及ぼすため、冷延できなかった。
<実施例2>
本実施形態で製造した無方向性電磁鋼板の発明例C1~C8は、本実施形態の範囲外である比較例c1~c5と比較して、圧延方向、圧延直角方向および45°方向の平均磁束密度B50について、BB/BAが0.970以上であることから、歪取り焼鈍した後であっても、優れた磁気特性を有することがわかる。
比較例c1については仕上熱延開始温度が高く、熱延剪断変形量が不十分となったため、BB/BAは0.970未満となった。
比較例c2については仕上熱延終了温度が低く、熱延剪断変形量が不十分であったため{210}<001>が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例c3については仕上げ熱延の圧延形状比が低く、熱延剪断変形量が不十分であったため{210}<001>の集積度が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例c4については、熱延板焼鈍温度が低すぎるため{210}<001>の集積度が低くなり、BB/BAは0.970未満となった。
比較例c5については、熱延板焼鈍温度が高すぎるため{210}<001>の集積度が低くなったことでBB/BAは0.970未満となった。
Figure 0007176221000003

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.0030%以下、
    Si:0.01%~3.50%、
    Al:0.001%~2.500%、
    Mn:0.01%~3.00%、
    P:0.180%以下、
    S:0.0030%以下
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、板厚をtとしたときに、鋼板表面~1/4tの位置の部分(1/4t部)における{210}<001>方位の集積度が6以上30以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の平均磁束密度B50において、歪取焼鈍前の平均磁束密度をBA、歪取焼鈍後の平均磁束密度をBBとするとき、歪取焼鈍前後の前記平均磁束密度の比BB/BAが0.970以上であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1に記載の化学組成を有するスラブを熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記熱間圧延の仕上げ圧延を500~800℃の温度範囲で行い、かつ、最終圧延スタンドの圧延形状比を4以上8以下で仕上げ圧延を行い、
    前記熱延板焼鈍を800℃以上1000℃以下で行い、熱延板焼鈍後の平均粒径を50~100μmとし、
    前記冷間圧延の全圧下率を75~95%で冷間圧延を行い、
    前記仕上げ焼鈍を均熱温度800~1200℃、均熱時間5~120secで行い、
    前記仕上げ焼鈍後の板厚をtとしたときに、鋼板表面~1/4tの位置の部分(1/4t部)における{210}<001>方位の集積度が6以上30以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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