JP2001172719A - 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法

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Ryutaro Kawamata
竜太郎 川又
Seiichi Senoo
聖一 妹尾
Kazufumi Hanzawa
和文 半澤
Yoshihiro Arita
吉宏 有田
Takeshi Kubota
猛 久保田
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートバーを接合して連続熱延を行う無方向
性電磁鋼板の製造法において、鋳造後のスラブの加熱条
件を制御することにより、鉄損をはじめとした磁性に優
れると共に、スラブ加熱コストを抑制して低コストな無
方向性電磁鋼板の製造法を提供する。 【解決手段】 鋼中に質量%で、Si:0.1〜4.0
%、Mn:0.1〜2.0%のうち少なくとも1種を含
有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるスラブ
を、粗圧延を行ってシートバーとし、これを先行するシ
ートバーに接合し、複数のシートバーを連続して仕上熱
延に供する熱延工程において、連続鋳造後のスラブを冷
却することなく加熱炉に装入し、950℃以上1250
℃以下の温度でかつ、鋼組成により規定される時間の間
保定して粗圧延に供することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心材
料として用いられる、磁気特性の優れた無方向性電磁鋼
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板
がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型
変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー
節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動き
の中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。ま
た、世界的な大競争時代にあって、無方向性電磁鋼板に
対してはその特性向上、すなわち高磁束密度かつ低鉄損
化への要請がますます強まってきている。
【0003】このため無方向性電磁鋼板を製造する側と
しては、この様な優れた特性を持つ無方向性電磁鋼板を
安定して製造するとともに、熱延工程での歩留まりを向
上させる使命が課せられているが、以下に述べるように
現状の技術では十分に対処しているとは言えない。
【0004】無方向性電磁鋼板の長手方向の磁気特性の
変動の一例であるスキッドマークを改善する手段とし
て、特開平8−92643公報ではには、シートバーを
巻取り、一定時間保持した後に巻きほどいて圧延する技
術が公開されている。この技術は確かにスキッドマーク
の改善に一定の効果をもたらすが、その効果は十分であ
るとは言えない。
【0005】また、連続するシートバー毎に圧延を行っ
ていくと、1本のシートバーの中で圧延温度、圧延速度
が変動するため、コイル長手方向の磁気変動は避けがた
く、成品歩留まりの低下を招く難点があったが、制御熱
延条件をどのように設定することが有効であるかが未知
の課題であった。
【0006】この問題を解決するために特開平8−17
6664号公報では仕上圧延時の最終スタンドのロール
周速が磁気特性に影響を及ぼす事を明らかにし、その周
速の変動を一定以内に制限するとともに、シートバーを
接合して連続して仕上熱延に供する技術を提案してい
る。しかしながら、周速の制御のみでは磁気特性の均一
な無方向性電磁鋼板を製造することは不可能であり、特
にシートバー接合部分の鉄損が著しく悪化するという問
題点が明らかになった。
【0007】また、特開平9−227940号公報に
は、粗圧延の歪速度を規定するとともにシートバーの巻
取りを行う技術が公開されているが、この技術でもコイ
ル長手方向の鉄損の変化は避けがたく、また優れた鉄損
の材料が得られるとは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に鋳造後
のスラブの加熱方法に注目して検討を行った結果完成し
たものであって、鋳造後のスラブの加熱条件を制御する
ことにより、鉄損をはじめとした磁性に優れた無方向性
電磁鋼板の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、以下の通りである。 (1)鋼中にSi、Mnのうち少なくとも1種を質量%
で 0.1%≦Si≦4.0% 0.1%≦Mn≦2.0% の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
るスラブを、粗圧延を行ってシートバーとし、これを先
行するシートバーに接合し、複数のシートバーを連続し
て仕上熱延に供する熱延工程において、連続鋳造後のス
ラブを冷却することなく加熱炉に装入し、950℃以上
1250℃以下の温度でかつ、下記(1)式で示される
時間tの間保定して粗圧延に供することを特徴とする磁
気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。 G1 ≦t(分)≦G2 ・・・・・・・・・・・・・(1) ここで、G1 =350+25×ln(S/Mn) ・・・(2) G2 =150−10×ln(Mn)+15×ln(S)・・(3) G1 :G1 パラメータ(分) G2 :G2 パラメータ(分) t :スラブ加熱炉在炉時間(分) Mn:Mnの質量濃度(%) S :Sの質量濃度 (%) (2)前記スラブに、更に付加的成分として、質量%で
酸可溶性Alを0.1%〜2.5%含有することを特徴
とする前項(1)に記載の磁気特性の均一な無方向性電
磁鋼板の製造方法。 (3)シートバーの圧延後これを巻取り、一定時間保持
した後巻きほどいて先行するシートバーに接合し、連続
して熱間圧延を行う前項(1)または(2)に記載の磁
気特性の均一な無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0009】本発明は、シートバーを接合して連続熱延
を行う無方向性電磁鋼板製造法において、磁性に優れる
とともにスラブ加熱コストを抑制して低コストな無方向
性電磁鋼板の製造技術を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。まず、成分について説明する。成分含有量は質量%
である。Siは鋼板の固有抵抗を増大させ渦流損を低減
させ、鉄損値を改善するために添加する。Si含有量が
0.1%未満であると固有抵抗が十分に得られないので
0.1%以上添加する必要がある。一方、Si含有量が
4.0%を超えると熱間圧延が困難となるので、4.0
%以下とする必要がある。
【0011】Mnは、Al、Siと同様に鋼板の固有抵
抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。この
ため、Mn含有量は0.1%以上とする必要がある。一
方、Mn含有量が2.0%を超えると熱延時の変形抵抗
が増加し熱延が困難となるとともに、熱延後の結晶組織
が微細化しやすくなり、製品の磁気特性が悪化するの
で、Mn含有量は2.0%以下とする必要がある。本発
明では上記のSi、Mnのうち少なくとも1種を含有す
ることを必須とする。
【0012】鋼中のAlは不純物レベルであってもなん
ら問題はないが、AlはSiと同様に鋼板の固有抵抗を
増大させ渦電流損を低減させる効果を有するので、特に
低鉄損を得たい場合には0.1%以上2.5%以下添加
するのが好ましい。多量にAl添加した場合には、磁束
密度が低下し、コスト高ともなるので2.5%以下とす
る。
【0013】また、製品の機械的特性の向上、磁気的特
性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P,
B,Ni,Cr,Sb,Sn,Cuの1種または2種以
上を鋼中に含有させても本発明の効果は損なわれない。
【0014】C,N,S,B,Pは本発明の請求項では
規定していないが、良好な磁気特性あるいは加工性を有
する無方向性電磁鋼板の製造にあたっては、その含有量
を注意深く制御する必要があるので、以下に言及する。
Cは磁気時効を回避し鉄損の悪化を防止するため0.0
050%以下であることが好ましい。
【0015】S、Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱
中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS、AlN等の析
出物を形成し、仕上げ焼鈍時に再結晶粒の成長を妨げた
り、製品が磁化されるときに磁壁の移動を妨げるいわゆ
るピニング効果を発揮し、製品の低鉄損化を妨げる原因
となる。従って、S≦0.0050%、N≦0.005
0%とすることが好ましい。
【0016】本発明で肝要な点は、シートバー接合部の
MnとSの質量濃度の比であるMn/Sの値を、30以
上にすることが必要である。これにより、高温に加熱さ
れたシートバー接合部の析出物を無害化し、シートバー
接合部の磁気特性が優れた無方向性電磁鋼板を製造する
ことが可能となる。
【0017】Bは、熱間圧延時にBNを形成させてAl
Nの微細析出を妨げ、Nを無害化させるために添加す
る。B含有量はNとの量のバランスが必要であり、その
含有量は両者の比、B%/N%が0.5から1.5の範
囲を満たすことが好ましい。
【0018】Pは、製品の打ち抜き性を良好ならしめる
ために0.1%までの範囲内において添加する。P≦
0.2%であれば、製品の磁気特性の観点から問題がな
い。
【0019】次に本発明のプロセス条件について説明す
る。前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続
鋳造により製造される。鋼スラブは冷却されることなく
直ちに加熱炉に装入され、公知の方法にて加熱される。
この際、スラブの在炉時間tを下式(1)に従って制御
する。すなわち、 G1 ≦t(分)≦G2 ・・・・・・・・・・・・・(1) ここで、G1 =350+25×ln(S/Mn) ・・・(2) G2 =150−10×ln(Mn)+15×ln(S)・・(3) G1 :G1 パラメータ(分) G2 :G2 パラメータ(分) t :スラブ加熱炉在炉時間(分) Mn:Mnの質量濃度 S :Sの質量濃度
【0020】スラブの在炉時間が式(1)の下限を下回
ると、スラブ内の温度分布にむらが出来、磁性が不均一
になるので好ましくない。一方、スラブの在炉時間が式
(1)の上限を上回ると、析出物の鋼材への固溶が促進
され、これが仕上熱延時に微細に析出して鉄損を悪化さ
せるので好ましくない。
【0021】加熱炉の保定温度が950℃を下回ると粗
圧延、仕上圧延の圧延反力が大きくなりすぎて圧延が困
難になるので、950℃以上とする。加熱炉の保定温度
が1250℃を上回ると保定中に析出物が再固溶して、
仕上圧延中に微細析出して鉄損の値が著しく悪化するの
で1250℃以下とする。このスラブに粗圧延、仕上圧
延からなる熱間圧延を施し所定の厚みとする。
【0022】本発明におけるスラブ在炉時間と成分、磁
性との関係を調査するため、以下の実験を行った。表1
に示した成分のスラブを連続鋳造により220mm厚み
に鋳造し、鋳造後のスラブは直ちに冷却することなく加
熱炉に装入し、在炉時間を変えて加熱を行った。その後
これを粗圧延により板厚30mmのシートバーとした。
これらのシートバーを先行するシートバーに接合した。
続いて仕上熱延に供し、2.5mmの熱延板とした。こ
れを酸洗し冷間圧延により0.5mm厚みに仕上げ、連
続焼鈍により焼鈍し、エプスタイン試料を切り出した。
表2に在炉時間と鉄損との関係を示す。なお、式(1)
から導き出されるスラブ在炉時間の範囲は、62分以上
180分以下である。
【0023】表2に示した結果より、在炉時間に依存し
て鉄損が変動し、式(1)の範囲において優れた鉄損値
が得られていることがわかる。このように本発明の条件
を満たす様に鋳片の在炉時間を制御することにより、磁
性の優れた無方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】本発明では仕上圧延中の熱延仕上げ温度を
均一にするため、粗圧延後のシートバーを一旦巻き取っ
て一定時間保定し、均熱化処理を施した後、これを巻き
ほどいて先行するシートバーに接合し、複数のシートバ
ーを連続して圧延することが極めて有効である。シート
バーの巻取り保定時間は30秒以上30分以下が好まし
い。30秒未満では均熱化処理の効果が得られず、30
分超ではその効果が飽和し、生産性の低下を招くからで
ある。
【0027】このようにして得られた熱延板はその後、
一回の冷間圧延と連続焼鈍により製品とするか、中間焼
鈍をはさむ2回以上の冷間圧延で最終板厚とするか、あ
るいはさらにスキンパス圧延工程を付加して製品として
もよい。スキンパス圧延率は2%未満ではその鉄損改善
効果が得られず、20%超ではかえって鉄損が悪化する
ため2%以上20%以下とする。
【0028】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。 [実施例1]表3に示した成分のスラブを連続鋳造によ
り230mm厚みに鋳造し、鋳造後のスラブは冷却する
ことなく速やかに加熱炉に装入し、在炉時間を変えて加
熱を行った。その後これを粗圧延により板厚30mmの
シートバーとした。これらのシートバーを先行するシー
トバーに接合した。続いて仕上熱延に供し、2.5mm
の熱延板とした。これを酸洗し冷間圧延により0.5m
m厚みに仕上げ、連続焼鈍により焼鈍し、エプスタイン
試料を切り出した。表4に在炉時間と鉄損との関係を示
す。なお、式(1)から導き出されるスラブ在炉時間の
範囲は、82分以上269分以下である。
【0029】表4に示した結果より、在炉時間に依存し
て鉄損が変動し、式(1)の範囲において優れた鉄損値
が得られていることがわかる。このように本発明の条件
を満たす様に鋳片の在炉時間を制御することにより、磁
性の優れた無方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】[実施例2]表5に示した成分のスラブを
連続鋳造により220mm厚みに鋳造し、鋳造後のスラ
ブは冷却することなく速やかに加熱炉に装入し、在炉時
間を変えて加熱を行った。その後これを粗圧延により板
厚30mmのシートバーとした。このシートバーを一旦
巻き取り、90秒保持した後巻きほどいて先行するシー
トバーに接合し、連続して仕上熱延に供し、2.5mm
の熱延板とした。これを酸洗し冷間圧延により0.5m
m厚みに仕上げ、連続焼鈍により焼鈍し、エプスタイン
試料を切り出した。表6に在炉時間と鉄損との関係を示
す。なお、式(1)から導き出されるスラブ在炉時間の
範囲は、67分以上215分以下である。
【0033】表6に示した結果より、在炉時間に依存し
て鉄損が変動し、式(1)の範囲において優れた鉄損値
が得られていることがわかる。このように本発明の条件
を満たす様に鋳片の在炉時間を制御することにより、磁
性の優れた無方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればス
ラブの再加熱を省略して低コストで磁性の優れた無方向
性電磁鋼板を製造することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 半澤 和文 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 有田 吉宏 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 久保田 猛 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K033 AA01 FA01 FA02 RA03 5E041 AA11 AA19 CA02 CA04 HB00 HB07 HB11 NN01 NN17 NN18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中にSi、Mnのうち少なくとも1種
    を質量%で 0.1%≦Si≦4.0% 0.1%≦Mn≦2.0% の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避不純物からな
    る連続鋳造で製造したスラブを、粗圧延を行ってシート
    バーとし、これを先行するシートバーに接合し、複数の
    シートバーを連続して仕上熱延に供する熱延工程におい
    て、連続鋳造後のスラブを冷却することなく加熱炉に装
    入し、950℃以上1250℃以下の温度でかつ、式
    (1)で示される時間tの間保定して粗圧延に供するこ
    とを特徴とする磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製
    造方法。 G1 ≦t(分)≦G2 ・・・・・・・・・・・・・(1) ここで、G1 =350+25×ln(S/Mn) ・・・(2) G2 =150−10×ln(Mn)+15×ln(S)・・(3) G1 :G1 パラメータ(分) G2 :G2 パラメータ(分) t :スラブ加熱炉在炉時間(分) Mn:Mnの質量濃度 S :Sの質量濃度
  2. 【請求項2】 前記スラブに、更に付加的成分として、
    酸可溶性Alを 0.1%≦sol.Al≦2.5% 含有することを特徴とする請求項1記載の磁気特性の優
    れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 シートバーの圧延後これを巻取り、一定
    時間保持した後巻きほどいて先行するシートバーに接合
    し、連続して熱間圧延を行う請求項1又は2に記載の磁
    気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010116936A1 (ja) * 2009-04-06 2010-10-14 新日本製鐵株式会社 方向性電磁鋼板用鋼の処理方法及び方向性電磁鋼板の製造方法
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