JP5013261B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

この発明は、特にダクタイル鋳鉄などの切削加工を、高熱発生を伴い、切刃に対して高負荷がかかる高速高送り条件で行った場合であっても、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
従来、炭化タングステン基(WC基)超硬合金または炭窒化チタン基(TiCN基)サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)チタンの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、TiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層または炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうち少なくとも1層以上のTi化合物層からなり、0.1〜5μmの平均層厚を有する内層、
(b)酸化アルミニウム層からなり、5〜50μmの平均層厚を有する中間層、
(c)TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層またはTiCNO層のうちの少なくとも1層以上のTi化合物層からなり、5〜100μmの平均層厚を有する外層、
上記(a)〜(c)からなる硬質被覆層を蒸着形成した被覆工具が知られている。
そして、上記被覆工具に対して、硬質被覆層の平滑化を図るため、あるいは、硬質被覆層に亀裂を導入して層内に残留する引張応力を開放するために、バレル処理やショットブラスト処理を施すことは周知の技術である。
特開平8−158052号公報
近年の切削加工の省力化および省エネ化に対する要求は強く、これに伴い、連続切削はもとより断続切削においても加工条件は一段と高速化、高送り化し、高能率加工が求められている。そして、自動車部品や工作機械部品の分野においては、従来、JIS規格FCD450相当のダクタイル鋳鉄が多用されてきたが、最近では、より軽量化、小型化が望まれ、そのためより強度の高いJIS規格FCD600、FCD700相当の強靭なダクタイル鋳鉄の使用量が増加傾向にある。ところで、上記の従来被覆工具を用い、従来切削条件でFCD450相当のダクタイル鋳鉄を加工する場合には、特段の問題は見られなかったが、例えば、上記FCD600、FCD700相当のより強靭なダクタイル鋳鉄を、高速高送り条件で切削加工しようとした場合には、チッピングなどの異常損傷が発生しやすくなり、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、ダクタイル鋳鉄などの高速高送り切削条件下における硬質被覆層の耐チッピング性の向上を図るべく、硬質被覆層の内部応力とチッピング発生との関連に着目し鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
(a)まず、本発明者らは、ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削条件に用いた使用後の従来被覆工具の刃先損傷状態を観察した結果、チッピングは、硬質被覆層表面に存在する亀裂を起点として進行していることを見出した。そして、この硬質被覆層表面に存在する亀裂は、工具基体表面に硬質層を被覆した後、硬質被覆層の平滑化および硬質被覆層中に残留する引張応力を開放する目的で行ったバレル処理やショットブラスと処理によって導入された亀裂であることも突き止めた。通常、800〜1000℃の高温下で、化学蒸着法により蒸着形成された硬質被覆層には、工具基体と硬質被覆層を構成する材料の熱膨張の度合いの違いから、冷却工程で硬質被覆層に発生した引張応力が残留し、あるいは、その引張残留応力に耐え切れなくなり、硬質被覆層の一部には亀裂が発生・存在するようになる(以下、このようにして形成された亀裂を「冷却亀裂」とよぶ)。また、バレル処理やショットブラスト処理等の機械的処理は、硬質被覆層内に存在する残留応力の緩和・開放を一つの目的として行われるが、この機械的処理を施すことによって、冷却亀裂が拡大したり、硬質被覆層内に存在する亀裂の密度は増加することになる(以下、機械的処理によって形成されたこのような亀裂を、上記冷却亀裂と区別するために、「2次亀裂」とよぶ)。
そして、ダクタイル鋳鉄などの強靭な被削材を、高熱発生を伴い、かつ、切刃に高負荷がかかる高速高送り条件で切削加工を行った場合には、上記の2次亀裂の存在により硬質被覆層の強度が低下し、チッピング等の異常損傷の原因となることを見出した。
(b)そこで、本発明者らは、上記従来被覆工具でいう内層を、最内層、内層および内側密着層とからなる三層構造で構成し、同じく上記従来被覆工具でいう外層を、外側密着層と外層とからなる三層構造で構成し、特に、本発明では、内層を高窒素含有割合のTiCN層(以下、単に高窒素TiCN層で示す)、外層を高炭素含有割合のTiCN層(以下、単に高炭素TiCN層で示す)で構成し、最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という特定な層構造の硬質被覆層を有する被覆工具を作製し、これを強靭なダクタイル鋳鉄の高速高送り切削加工に供したところ、このように特定な層構造を有する被覆工具は、チッピング等の異常損傷を発生することもなく、長期の使用に亘って、すぐれた工具特性を発揮することを見出したのである。
(c)上記最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という特定な層構造からなる硬質被覆層が、すぐれた耐チッピング性を発揮するようになるのは、次のような理由によるものと推定される。
即ち、上記最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という構造からなる硬質被覆層は、硬質被覆層を蒸着形成した後の引張残留応力が、最内層側から外層側へ向かうにしたがって低下する応力分布となっている(図1参照)。そして、上記層構造(応力分布)の硬質被覆層を形成した後、外層表面に対して乾式もしくは湿式ブラスト処理を行うと、外層は残留応力の十分な開放が図られる。しかし、最内層は工具基体に、また、内層は内側密着層に、それぞれ強固に密着接合しており、しかも、最内層あるいは内層は、もともと大きな引張の残留応力がかかっているため、最内層側あるいは内層側では完全な残留応力の開放は行われ得ない。そうすると、最内層あるいは内層に残る引張残留応力、即ち、上記ブラスト処理では開放することができなかった最内層、内層に残る引張残留応力は、外層に対しては、(中間層、外側密着層を介して)圧縮応力として作用する(図2参照)ことになり、結果として、外層に存在している冷却亀裂の拡大を抑制し、さらに、上記ブラスト処理による過多な2次亀裂の導入を抑制することになる。したがって、切刃に対して高負荷がかかる強靭なダクタイル鋳鉄の高速高送り切削加工においても、前記硬質被覆層はすぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた性能を発揮するようになる。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
「 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
(a)最内層として、0.1〜0.5μmの平均層厚を有する窒化チタン層、
(b)内層として、
組成式:Ti(C1−X
で表した場合、Xが0.2〜0.5(但し、原子比)を満足し、1〜3μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層、
(c)内層と中間層の密着層として、0.1〜1μmの合計平均層厚を有し、炭酸化チタン層または炭窒酸化チタン層の1層以上からなる内側密着層、
(d)中間層として、1〜5μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム層、
(e)中間層と外層の密着層として、0.1〜1μmの合計平均層厚を有し、炭酸化チタン層または炭窒酸化チタン層の1層以上からなる外側密着層、
(f)外層として、
組成式:Ti(C1−Y
で表した場合、Yが0.6〜1(但し、原子比)を満足し、3〜10μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層または炭化チタン層、
上記(a)〜(f)の各層で構成された硬質被覆層の表面に、乾式もしくは湿式ブラストが施された表面被覆切削工具(被覆工具)。」
に特徴を有するものである。

この発明の被覆工具の硬質被覆層の構成層について、上記の通りに限定した理由を以下に説明する。
(a)最内層(TiN層)
最内層のTiN層は、所定の高温硬さを有し、工具基体からのバインダー成分が硬質被覆層中へと拡散するのを抑止し、硬質被覆層と工具基体との密着強度向上に寄与するが、その平均層厚が0.1μm未満では、所望の効果を発揮することができず、一方、0.5μmを超えると、内層の残留応力の値に影響を与えてしまい、外層側に向かって引張残留応力が次第に減少する応力分布を形成し難くなるので、その平均層厚を0.1〜0.5μmと定めた。
(b)内層
炭窒化チタン層(TiCN層)からなる内層は、最内層(TiN層)および内側密着層(TiCO層、TiCNO層)のいずれに対してもすぐれた密着強度を有する。
内層のTiCN層を、
組成式:Ti(C1−X
で表した場合、Xが0.2〜0.5(但し、原子比)を満足する必要があるが、その理由は次のとおりである。
即ち、中間層であるα型酸化アルミニウム層(α型Al層)の熱膨張係数は8.2×10−6/℃前後であるから、外層側に向かって残留引張応力が小さくなるようにするためには、内層の熱膨張係数が中間層のそれより大であることが必要であり、そのためには、上記組成式:Ti(C1−X)において、Xの値を0.5以下としなければならない。ただ、Xの値が0.2より小さくなると、内層に発生する残留引張応力が大きくなりすぎて、内層自体の強度が低下し、チッピング等の異常損傷を発生しやすくなるので、Xの値を0.2〜0.5と定めた。また、内層の平均層厚が1μm未満では、外層側に向かって引張残留応力が次第に減少する応力分布を形成することが困難であり、その平均層厚が3μmを超えると、ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削で異常損傷が発生しやすくなることから、内層の平均層厚を1〜3μmと定めた。
(c)内側密着層(TiCO層、TiCNO層)
炭酸化チタン層(TiCO層)または炭窒酸化チタン層(TiCNO層)の1層以上からなる内側密着層は、内層と中間層(α型Al層)との密着強度を増し、硬質被覆層の耐チッピング性を向上させる効果があるが、その合計平均層厚が0.1μm未満では密着強度向上効果がみられず、一方、その層厚が1μmを超えると、本来TiCO層、TiCNO層の強度が、TiCN層やα型Al層に比べて劣るものであるため、チッピングなどの異常損傷が起き易くなることから、その合計平均層厚は0.1〜1μmと定めた。
(d)中間層(α型Al層)
中間層であるα型Al層は、熱的および化学的に非常に安定した層であって、すぐれた高温硬さと耐熱性を有し、被覆工具の耐摩耗性を担保するが、その平均層厚が1μm未満では所望の性能を発揮することができず、一方、その平均層厚が5μmを超えるとするが、ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削時に異常損傷が発生しやすくなることから、中間層の平均層厚を1〜5μmと定めた。
(e)外側密着層(TiCO層、TiCNO層)
内側密着層の場合と同様に、炭酸化チタン層(TiCO層)または炭窒酸化チタン層(TiCNO層)の1層以上からなる外側密着層は、中間層(α型Al層)と外層との密着強度を増し、硬質被覆層の耐チッピング性を向上させる効果があるが、その合計平均層厚が0.1μm未満では密着強度向上効果がみられず、一方、その層厚が1μmを超えると、本来TiCO層、TiCNO層の強度が、TiCN層やα型Al層に比べて劣るものであるため、チッピングなどの異常損傷が起き易くなることから、その合計平均層厚は0.1〜1μmと定めた。
(f)外層
炭窒化チタン層(TiCN層)または炭化チタン層(TiC層)からなる外層は、外側密着層(TiCO層、TiCNO層)に対してすぐれた密着強度を有する。
外層のTiCN層またはTiC層を、
組成式:Ti(C1−Y
で表した場合、Yが0.6〜1(但し、原子比)を満足する必要があるが、その理由は次のとおりである。
即ち、中間層であるα型酸化アルミニウム層(α型Al層)の熱膨張係数は8.2×10−6/℃前後であるから、外層側に向かって残留引張応力が小さくなるようにするためには、外層の熱膨張係数を中間層のそれより小さくすることが必要であり、そのためには、上記組成式:Ti(C1−Y)において、Yの値を0.6以上としなければならない。
また、外層の平均層厚は3μm未満では、外層側に向かって引張残留応力が次第に減少する応力分布を形成することが困難であり、一方、その平均層厚が10μmを超えると、ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削で異常損傷が発生しやすくなることから、外層の平均層厚を3〜10μmと定めた。
本発明では、上記した最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という構造からなる硬質被覆層を蒸着形成した後、硬質被覆層の表面平滑化、残留応力低減のために、Al粒子やSiC粒子を圧縮空気や水圧などを用いた乾式もしくは湿式ブラスト処理を施すが、処理後の硬質被覆層表面(外層)の表面粗さが、準拠規格JIS・B0601−1994に従う測定において、Raが0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下となるように処理を行うことにより、ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削加工時の硬質被覆層の異常損傷の発生を効果的に抑制することができる。
この発明の被覆工具は、最内層側から外層側へと向かって、引張残留応力が次第に減少するように、最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という層構造で硬質被覆層を蒸着形成した後、該硬質被覆層表面(外層)にブラスト処理を施すことによって、外層に対して圧縮応力を作用させ、また、外層に存在している冷却亀裂の拡大を抑制し、かつ、過多な2次亀裂の形成をも抑制することにより、高熱発生を伴い、切刃に対して高負荷がかかる強靭ダクタイル鋳鉄の切削加工においても、すぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものである。
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr32粉末、TiN粉末およびCo粉末を準備し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアルコール中で10時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で、ISO・CNMG120408(超硬基体A〜D)およびISO・SEEN1203AFTN1(超硬基体E、F)の所定の形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、超硬基体A〜Dについては、R:0.07mmのホーニング加工を、また、超硬基体E、Fについては、切刃部に幅0.15mm、角度20度のチャンフォーホーニング加工することにより、WC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
ついで、これらの工具基体A〜F表面に、まず、表2、表3に示される条件で、最内層、内層、内側密着層、中間層、外側密着層および外層を、それぞれ表4に示される目標(合計)平均層厚となるように化学蒸着して硬質被覆層を形成し、ついで、硬質層表面(外層)に、Al砥粒を15mass%含んだ研磨液を、投射圧力0.2MPaの条件でブラスト処理し、表4に示される表面粗さの本発明被覆工具1〜18を製造した。
比較の目的で、表2、表3に示される条件で、かつ、表5に示される層構造および目標合計(平均)層厚となるように化学蒸着して硬質被覆層を形成し、ついで、硬質層表面を、本発明被覆工具1〜18の場合と同じ条件でブラスト処理を施し、表5に示される層構造および表面粗さの比較被覆工具1〜18を製造した。
さらに、上記の本発明被覆工具1〜18および比較被覆工具1〜18について、これらの硬質被覆層の構成層をオージェ分光分析装置を用いて観察(層の縦断面を観察)したところ、目標組成と実質的に同じ組成を有することが確認され、また、これらの被覆工具の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(同じく縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
まず、上記の本発明被覆工具1〜4、7〜10、13〜16および比較被覆工具1〜4、7〜10、13〜16について、次の切削条件A、Bにより、ターニング加工評価を実施した。
[切削条件A]
被削材: JIS・FCD600の丸棒、
切削速度: 350 m/min、
切り込み: 2 mm、
送り量: 0.5 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件でのダクタイル鋳鉄の湿式高速高送り切削試験(通常の切削速度および送り量は、それぞれ、200m/min、0.25mm/rev.)、
[切削条件B]
被削材: JIS・FCD800の丸棒、
切削速度: 250 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り量: 0.45 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件でのダクタイル鋳鉄の湿式高速高送り切削試験(通常の切削速度および送り量は、それぞれ、150m/min、0.2mm/rev.)、
次に、上記の本発明被覆工具5、6、11、12、17、18および比較被覆工具5、6、11、12、17、18について、次の切削条件C、Dにより、ミーリング加工評価を実施した。
[切削条件C]
被削材: JIS・FCD600のブロック材
切削速度: 300 m/min、
切り込み: 2 mm、
一刃送り量: 0.35 mm/刃、
切削時間: 5 分、
の条件でのダクタイル鋳鉄の乾式高速高送り切削試験(通常の切削速度および一刃送り量は、それぞれ、200m/min、0.15mm/刃)、
[切削条件D]
被削材: JIS・FCD700のブロック材
切削速度: 250 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
一刃送り量: 0.32 mm/刃、
切削時間: 5 分、
の条件でのダクタイル鋳鉄の湿式高速高送り切削試験(通常の切削速度および一刃送り量は、それぞれ、180m/min、0.15mm/刃)、
そして、上記の各切削試験A〜Dにおける切刃の逃げ面摩耗幅を測定し、この測定結果を表6に示した。
Figure 0005013261
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表4〜6に示される結果から、本発明被覆工具1〜18においては、最内層側から外層側へと向かって、引張残留応力が次第に減少するように、最内層−内層−内側密着層−中間層−外側密着層−外層という層構造で硬質被覆層を構成し、しかも、該硬質被覆層にブラスト処理を施すことによって、外層に対して圧縮応力を作用させ、また、外層に存在している冷却亀裂の拡大を抑制し、かつ、過多な2次亀裂の形成をも抑制することにより、高熱発生を伴い、切刃に対して高負荷がかかる強靭ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削加工においても、すぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、最内層側から外層側へと向かって、引張残留応力が次第に減少するように構成されていない層構造の比較被覆工具1〜18においては、高速高送り切削の厳しい切削条件に耐えられず、硬質被覆層にはチッピング、欠損、層間剥離が発生し、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆工具は、各種の鋼、ステンレス鋼および鋳鉄などの通常の条件での切削加工は勿論のこと、特に、高い熱発生を伴うとともに、切刃部に高負荷がかかる強靭ダクタイル鋳鉄の高速高送り切削条件でも、すぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化ならびに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
ブラスト処理を施す前の、本発明被覆工具の硬質被覆層の残留応力の分布状況を示す概要説明図である。 ブラスト処理を施した後の、本発明被覆工具の硬質被覆層の残留応力の分布状況を示す概要説明図である。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、硬質被覆層が蒸着形成された表面被覆切削工具において、
    (a)最内層として、0.1〜0.5μmの平均層厚を有する窒化チタン層、
    (b)内層として、
    組成式:Ti(C1−X
    で表した場合、Xが0.2〜0.5(但し、原子比)を満足し、1〜3μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層、
    (c)内層と中間層の密着層として、0.1〜1μmの合計平均層厚を有し、炭酸化チタン層または炭窒酸化チタン層の1層以上からなる内側密着層、
    (d)中間層として、1〜5μmの平均層厚を有するα型酸化アルミニウム層、
    (e)中間層と外層の密着層として、0.1〜1μmの合計平均層厚を有し、炭酸化チタン層または炭窒酸化チタン層の1層以上からなる外側密着層、
    (f)外層として、
    組成式:Ti(C1−Y
    で表した場合、Yが0.6〜1(但し、原子比)を満足し、3〜10μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層または炭化チタン層、
    上記(a)〜(f)の各層で構成された硬質被覆層の表面に、乾式もしくは湿式ブラストが施された表面被覆切削工具。
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