JPH081412A - 積層被覆工具 - Google Patents
積層被覆工具Info
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- JPH081412A JPH081412A JP6164952A JP16495294A JPH081412A JP H081412 A JPH081412 A JP H081412A JP 6164952 A JP6164952 A JP 6164952A JP 16495294 A JP16495294 A JP 16495294A JP H081412 A JPH081412 A JP H081412A
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- ticn
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
- C04B41/009—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
- C04B41/45—Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
- C04B41/52—Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2111/00—Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
- C04B2111/00241—Physical properties of the materials not provided for elsewhere in C04B2111/00
- C04B2111/00405—Materials with a gradually increasing or decreasing concentration of ingredients or property from one layer to another
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Ceramic Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Structural Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセ
ラミックのいずれかを母材の材質とする工具に、欠落あ
るいは欠損という現象を引き起さない、高い靭性を有し
ながら耐摩耗性を高くする様な積層コーティング被覆工
具を提供。 【構成】 母材となる工具に、膜の成膜構成が3層構造
からなり、全体の膜厚が2.0μm〜5.0であり、原
子炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2
μm〜1.0の TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を最下層とし、膜厚が1.0μm〜3.
0の TiCN(0.3≦t≦0.7)層の均一組織を
最上層とし、膜厚が0.5μm〜2.5の TiN又は
TiCNでかつ原子炭素比率が0<t≦0.7を満たす
範囲で最下層から最上層に向けて連続又は断続して増加
する傾斜組成層を中間層とする積層被覆工具。
ラミックのいずれかを母材の材質とする工具に、欠落あ
るいは欠損という現象を引き起さない、高い靭性を有し
ながら耐摩耗性を高くする様な積層コーティング被覆工
具を提供。 【構成】 母材となる工具に、膜の成膜構成が3層構造
からなり、全体の膜厚が2.0μm〜5.0であり、原
子炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2
μm〜1.0の TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を最下層とし、膜厚が1.0μm〜3.
0の TiCN(0.3≦t≦0.7)層の均一組織を
最上層とし、膜厚が0.5μm〜2.5の TiN又は
TiCNでかつ原子炭素比率が0<t≦0.7を満たす
範囲で最下層から最上層に向けて連続又は断続して増加
する傾斜組成層を中間層とする積層被覆工具。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速度工具鋼、超硬合
金、サ−メット又はセラミックのいずれかを母材の材質
とする工具に積層コーティングを施した積層被覆工具に
関する。
金、サ−メット又はセラミックのいずれかを母材の材質
とする工具に積層コーティングを施した積層被覆工具に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の物理蒸着法による被覆工具はTi
Nを中心として各種の切削工具に応用されていた。物理
蒸着法ではイオンプレ−ティングやスパッタイオンプレ
−ティングが用いられ、低温(〜600℃)での被覆が
可能なため熱処理を必要とする高速度工具鋼やダイス鋼
にも用いられ、最終加工が不要なため超硬合金やセラミ
ックスの最終工程でも処理が可能となり切削工具への応
用が急速に広まった。TiNは金色をした比較的靭性に
富む被覆膜であるがTi系ではこの他にTiCならびに
TiCN膜が物理蒸着法による代表的な被覆膜として知
られている。
Nを中心として各種の切削工具に応用されていた。物理
蒸着法ではイオンプレ−ティングやスパッタイオンプレ
−ティングが用いられ、低温(〜600℃)での被覆が
可能なため熱処理を必要とする高速度工具鋼やダイス鋼
にも用いられ、最終加工が不要なため超硬合金やセラミ
ックスの最終工程でも処理が可能となり切削工具への応
用が急速に広まった。TiNは金色をした比較的靭性に
富む被覆膜であるがTi系ではこの他にTiCならびに
TiCN膜が物理蒸着法による代表的な被覆膜として知
られている。
【0003】TiCNは非常に硬度が高いことが知ら
れ、耐摩耗性が高いことが知られているが炭素成分と窒
素成分の比率により特性が変化し、代表的な、原子比率
で炭素50%窒素50%近傍のTiCNを被覆した工
具、特にフライス工具などでは刃先に欠損を生じるため
使用されない場合が多かった。このため例えば特開平4
−236763号公報では、超硬合金基体の表面にTi
N層部分及びこのTiN層部分の上にC及びNの傾斜濃
度分布を有しTiCに至るTiCN又はTiC層部分、
即ち傾斜濃度層部分、からなる単一硬質層を被覆した工
具が開示され、同様に特開平4−236765号、特開
平4−236772号、特開平4−240005号各公
報でも類似の傾斜濃度層部分を持ち、かつ平均組成が原
子比率で炭素50%窒素50%近傍の特殊膜ならびにそ
の製造法が開示されている。
れ、耐摩耗性が高いことが知られているが炭素成分と窒
素成分の比率により特性が変化し、代表的な、原子比率
で炭素50%窒素50%近傍のTiCNを被覆した工
具、特にフライス工具などでは刃先に欠損を生じるため
使用されない場合が多かった。このため例えば特開平4
−236763号公報では、超硬合金基体の表面にTi
N層部分及びこのTiN層部分の上にC及びNの傾斜濃
度分布を有しTiCに至るTiCN又はTiC層部分、
即ち傾斜濃度層部分、からなる単一硬質層を被覆した工
具が開示され、同様に特開平4−236765号、特開
平4−236772号、特開平4−240005号各公
報でも類似の傾斜濃度層部分を持ち、かつ平均組成が原
子比率で炭素50%窒素50%近傍の特殊膜ならびにそ
の製造法が開示されている。
【0004】又、特開平6−17230号公報では超硬
合金基体の表面にTiN層部分、このTiN層部分の上
にTiCN傾斜濃度層部分、及びこのTiCN傾斜濃度
層部分の上にTiC層部分、からなる複合被覆層を有す
る工具が開示され、同様に特開平6−17227号、特
開平6−17228号公報には同様の主旨でTiNから
TiCに変化する類似の傾斜濃度層部分を用いる複合被
覆工具の製法が示されている。これらの発明は同様な目
的で実施されているがTiCNの利点を最大限利用しよ
うとするものではなく、耐欠損性についてTiNから炭
素成分を増加させTiCにまで類似の傾斜濃度層部分を
用いることにより、結果的に欠損性が改善できたとする
ものである。かかる従来のTiCN傾斜濃度層部分又は
類似の傾斜濃度層部分については、TiCNの結晶粒が
粗大であるため靭性が不足し、膜が剥離するためその部
分より欠損するおそれがあった。特開平6−17230
号公報のもの及び特開平4−236765号公報のもの
と、本発明品との比較を実施例2及び表2に示す。
合金基体の表面にTiN層部分、このTiN層部分の上
にTiCN傾斜濃度層部分、及びこのTiCN傾斜濃度
層部分の上にTiC層部分、からなる複合被覆層を有す
る工具が開示され、同様に特開平6−17227号、特
開平6−17228号公報には同様の主旨でTiNから
TiCに変化する類似の傾斜濃度層部分を用いる複合被
覆工具の製法が示されている。これらの発明は同様な目
的で実施されているがTiCNの利点を最大限利用しよ
うとするものではなく、耐欠損性についてTiNから炭
素成分を増加させTiCにまで類似の傾斜濃度層部分を
用いることにより、結果的に欠損性が改善できたとする
ものである。かかる従来のTiCN傾斜濃度層部分又は
類似の傾斜濃度層部分については、TiCNの結晶粒が
粗大であるため靭性が不足し、膜が剥離するためその部
分より欠損するおそれがあった。特開平6−17230
号公報のもの及び特開平4−236765号公報のもの
と、本発明品との比較を実施例2及び表2に示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】耐欠損性は工具を実際
の加工に使用した場合に用いる言葉であるが、切削時の
工具の摩耗についても硬さの高い被削材を切削加工する
場合の摩耗では微細な粒界からの欠落あるいは欠損とい
う現象によることも多い。そこでこのような摩耗を発生
させるような硬い被削材を切削するためには硬度の高い
工具材料が用いられ、被覆するコ−ティングにも硬さの
高い被覆材が用いられる。硬さの高い材料そのものは欠
落あるいは欠損という現象を引き起こしやすかった。本
発明の課題は、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材
料である高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラ
ミックのいずれかを母材の材質とする工具に、母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落ある
いは欠損という現象を引き起さない、母材を保護する被
覆膜の機能の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高く
する様な積層コーティングを施した被覆膜を有する積層
被覆工具を提供することにある。
の加工に使用した場合に用いる言葉であるが、切削時の
工具の摩耗についても硬さの高い被削材を切削加工する
場合の摩耗では微細な粒界からの欠落あるいは欠損とい
う現象によることも多い。そこでこのような摩耗を発生
させるような硬い被削材を切削するためには硬度の高い
工具材料が用いられ、被覆するコ−ティングにも硬さの
高い被覆材が用いられる。硬さの高い材料そのものは欠
落あるいは欠損という現象を引き起こしやすかった。本
発明の課題は、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材
料である高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラ
ミックのいずれかを母材の材質とする工具に、母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落ある
いは欠損という現象を引き起さない、母材を保護する被
覆膜の機能の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高く
する様な積層コーティングを施した被覆膜を有する積層
被覆工具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、高速
度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいず
れかを母材の材質とする工具において次の(a)乃至
(c)の条件を満足させた (a)被覆膜の成分がTi、C、N又はTi、C、N、
Oよりなる。 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とする。 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなる。(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ルロッ
クウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕を1
00倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1mm以
上の範囲で膜の剥離が認められない。 ことを特徴とする積層被覆工具を提供することによって
上述した従来技術の課題を解決した。
度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいず
れかを母材の材質とする工具において次の(a)乃至
(c)の条件を満足させた (a)被覆膜の成分がTi、C、N又はTi、C、N、
Oよりなる。 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とする。 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなる。(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ルロッ
クウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕を1
00倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1mm以
上の範囲で膜の剥離が認められない。 ことを特徴とする積層被覆工具を提供することによって
上述した従来技術の課題を解決した。
【0007】TiN又はTiCNの原子比炭素比率=t
を、最下層で0≦t<0.2としたのは硬質の母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえるためこの
範囲が望ましいからであり、中間層で0<t≦0.7を
満たす範囲としたのは中間層のクッションの役割上比較
的靭性を損なうことなくTiCNを工具に被覆できるた
めこの範囲が望ましいからであり、最上層で0.3≦t
≦0.7としたのはチッピングを防止しかつ耐摩耗性を
保つ上でこの範囲が望ましくtが0.3以下でも0.7
以上でもチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つことが
できないからである。
を、最下層で0≦t<0.2としたのは硬質の母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえるためこの
範囲が望ましいからであり、中間層で0<t≦0.7を
満たす範囲としたのは中間層のクッションの役割上比較
的靭性を損なうことなくTiCNを工具に被覆できるた
めこの範囲が望ましいからであり、最上層で0.3≦t
≦0.7としたのはチッピングを防止しかつ耐摩耗性を
保つ上でこの範囲が望ましくtが0.3以下でも0.7
以上でもチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つことが
できないからである。
【0008】通常イオンプレ−ティングでドリルやエン
ドミルを被覆する場合には蒸発源に対し、公転ないし自
公転を行う。このため、時間をかけた傾斜組成は断続に
せよ蒸発源に向いていない部分で膜がボンバ−ドされる
ため断続性が得られないのも一因であり、いずれの方法
であっても請求項1記載の本発明の膜では同等の結果が
得られた。ほぼ原子比率で炭素成分と窒素成分が等しく
なるようなTiCNは靭性が小さく、高硬度であるため
通常の被覆する場合と異なり膜厚を抑える必要がある。
そこで本発明の好ましい実施態様では、チッピングを防
止しかつ耐摩耗性を保つ上で膜厚の望ましい範囲とし
て、被覆膜の全体の膜厚を2.0μm〜5.0μm、最
下層の膜厚を0.2μm〜1.0μm、中間層の膜厚を
1.0μm〜3.0μm、そして最上層の膜厚を0.5
μm〜2.5μm、と限定した。これら以下又はこれら
以上の値ではチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つ効
果は薄くなる。
ドミルを被覆する場合には蒸発源に対し、公転ないし自
公転を行う。このため、時間をかけた傾斜組成は断続に
せよ蒸発源に向いていない部分で膜がボンバ−ドされる
ため断続性が得られないのも一因であり、いずれの方法
であっても請求項1記載の本発明の膜では同等の結果が
得られた。ほぼ原子比率で炭素成分と窒素成分が等しく
なるようなTiCNは靭性が小さく、高硬度であるため
通常の被覆する場合と異なり膜厚を抑える必要がある。
そこで本発明の好ましい実施態様では、チッピングを防
止しかつ耐摩耗性を保つ上で膜厚の望ましい範囲とし
て、被覆膜の全体の膜厚を2.0μm〜5.0μm、最
下層の膜厚を0.2μm〜1.0μm、中間層の膜厚を
1.0μm〜3.0μm、そして最上層の膜厚を0.5
μm〜2.5μm、と限定した。これら以下又はこれら
以上の値ではチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つ効
果は薄くなる。
【0009】本発明は基本的にはTiCN膜を母材を保
護する被覆膜の最上層に配置することを特徴とし、Ti
CNの効果を最大限利用しようとする点で上述した特開
平4−236763号公報等の従来のTiCN傾斜濃度
層部分又は類似のTiCN傾斜濃度組成を有する被覆膜
と異なる。即ち、TiCNはイオンプレ−ティング等で
成膜される場合には微細となり、膜応力が大きいことが
知見として得られている(日本機械学会発行『日本機械
学会第70回通常総会講演会講演論文集』〔1993.3.31
■4.2 八王子〕331頁、332頁)。又、図2はTi
CN被覆膜の炭素濃度と 50gのマイクロヴィッカ−ス硬
さとの関係を示すグラフであるが、原子比炭素比率=C
/(C+N)=tを増加させると硬化することも知られ
ている。したがってTiCNの高硬度を工具へ適用する
場合TiCN層を厚くすると膜応力が大きくなり母材と
の応力状態のギャップから膜自体が破壊することが推定
される。
護する被覆膜の最上層に配置することを特徴とし、Ti
CNの効果を最大限利用しようとする点で上述した特開
平4−236763号公報等の従来のTiCN傾斜濃度
層部分又は類似のTiCN傾斜濃度組成を有する被覆膜
と異なる。即ち、TiCNはイオンプレ−ティング等で
成膜される場合には微細となり、膜応力が大きいことが
知見として得られている(日本機械学会発行『日本機械
学会第70回通常総会講演会講演論文集』〔1993.3.31
■4.2 八王子〕331頁、332頁)。又、図2はTi
CN被覆膜の炭素濃度と 50gのマイクロヴィッカ−ス硬
さとの関係を示すグラフであるが、原子比炭素比率=C
/(C+N)=tを増加させると硬化することも知られ
ている。したがってTiCNの高硬度を工具へ適用する
場合TiCN層を厚くすると膜応力が大きくなり母材と
の応力状態のギャップから膜自体が破壊することが推定
される。
【0010】膜応力については多くの文献があるが硬質
被覆膜のような薄い膜の場合X線による応力計測が用い
られる。しかし、先ず優先方位を持つ組織の計測法が難
しいこと、さらに計算に使用する弾性係数、ポワソン比
などの数値が膜の場合は材料のバルクのものと異なるた
め正確なものは求まっていない。しかし、実際適用した
場合にはエンドミルのコ−ナ−部等でチッピングを生ず
る場合が多いため靭性を高める処置が必要である。そこ
で、本発明では、母材の表面には各種膜を検討し、Ti
N又は炭素成分の低いTiCN層を配置することにより
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、連続又は
断続的に炭素成分の上昇を行うと、比較的靭性を損なう
ことなくTiCNを工具に被覆できた。
被覆膜のような薄い膜の場合X線による応力計測が用い
られる。しかし、先ず優先方位を持つ組織の計測法が難
しいこと、さらに計算に使用する弾性係数、ポワソン比
などの数値が膜の場合は材料のバルクのものと異なるた
め正確なものは求まっていない。しかし、実際適用した
場合にはエンドミルのコ−ナ−部等でチッピングを生ず
る場合が多いため靭性を高める処置が必要である。そこ
で、本発明では、母材の表面には各種膜を検討し、Ti
N又は炭素成分の低いTiCN層を配置することにより
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、連続又は
断続的に炭素成分の上昇を行うと、比較的靭性を損なう
ことなくTiCNを工具に被覆できた。
【0011】日本工業出版社が1993年10月発行した『新
素材』Vol.4 No.10 37頁乃至41頁に記載するように経験
的であるが工具に被覆する膜については請求項1(c)
に示すロックウエルの圧痕法による剥離判定がひとつの
目安となる。本発明の場合と他の場合の比較を、膜厚を
同じにして図3に示す。通常イオンプレ−ティングの場
合、積層膜を成膜する場合には窒素成分を減少させ、炭
素成分を順次上昇させるのが一般的でこれは比較的短時
間に実施させる。このため本発明では、傾斜部の膜厚を
請求項1(b)となるように限定し、かつ原子比炭素比
率を中間層で0<t≦0.7を満たす範囲とし上限でT
iCNとしTiCにはならないようにした。これら傾斜
組成はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis )により計測できる。よく使用されるオ−ジ
ェ分光分析ではTiと窒素の分離が難しく、窒素の2次
ピ−クから分離する手法を用いるためESCAの方が簡
便である。しかし、両者とも膜の断面(深さ方向)を計
測する場合にはイオン照射により膜を順次スパッタす
る。このため計測面が曲面となり断続であっても連続的
な成分変動となる。
素材』Vol.4 No.10 37頁乃至41頁に記載するように経験
的であるが工具に被覆する膜については請求項1(c)
に示すロックウエルの圧痕法による剥離判定がひとつの
目安となる。本発明の場合と他の場合の比較を、膜厚を
同じにして図3に示す。通常イオンプレ−ティングの場
合、積層膜を成膜する場合には窒素成分を減少させ、炭
素成分を順次上昇させるのが一般的でこれは比較的短時
間に実施させる。このため本発明では、傾斜部の膜厚を
請求項1(b)となるように限定し、かつ原子比炭素比
率を中間層で0<t≦0.7を満たす範囲とし上限でT
iCNとしTiCにはならないようにした。これら傾斜
組成はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis )により計測できる。よく使用されるオ−ジ
ェ分光分析ではTiと窒素の分離が難しく、窒素の2次
ピ−クから分離する手法を用いるためESCAの方が簡
便である。しかし、両者とも膜の断面(深さ方向)を計
測する場合にはイオン照射により膜を順次スパッタす
る。このため計測面が曲面となり断続であっても連続的
な成分変動となる。
【0012】本発明の作用は図2に示す高硬度のTiC
N膜を工具上に成膜することにより、高硬度材料や高速
状態での切削を可能にする点にある。このことは同様な
特性を持つ多元系となる(Ti、M)N又は(Ti、
M)CNでも同様に作用する。本発明の好ましい実施態
様では、請求項1の金属成分Tiに代わり、Ti以外の
金属元素Mを含むか、又はTi+Ti以外の金属元素M
を含む積層被覆工具であって、MはTiを除く元素周期
律表のIVa,Va,VIaの金属元素、硼素、SiならびにAl
の内一種または二種以上の金属元素、であり傾斜組成を
含む、積層被覆工具;又はTiCN膜と同様に酸素を含
むTiCNO膜であっても;最上層の膜応力を保つた
め、最上層の膜厚を抑えることで通常のその他の被覆方
法に比べ、より耐摩耗性の高い積層被覆工具を提供する
ものとなった。
N膜を工具上に成膜することにより、高硬度材料や高速
状態での切削を可能にする点にある。このことは同様な
特性を持つ多元系となる(Ti、M)N又は(Ti、
M)CNでも同様に作用する。本発明の好ましい実施態
様では、請求項1の金属成分Tiに代わり、Ti以外の
金属元素Mを含むか、又はTi+Ti以外の金属元素M
を含む積層被覆工具であって、MはTiを除く元素周期
律表のIVa,Va,VIaの金属元素、硼素、SiならびにAl
の内一種または二種以上の金属元素、であり傾斜組成を
含む、積層被覆工具;又はTiCN膜と同様に酸素を含
むTiCNO膜であっても;最上層の膜応力を保つた
め、最上層の膜厚を抑えることで通常のその他の被覆方
法に比べ、より耐摩耗性の高い積層被覆工具を提供する
ものとなった。
【0013】
【実施例】以下添付した図1乃至図9に基づきこの発明
を詳細に説明する。図1は本発明の積層被覆工具の構成
を示す説明図である。本発明の積層被覆工具は、高速度
工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいずれ
かを母材の材質とする工具において、(a)被覆膜の成
分がTi、C、N又はTi、C、N、Oよりなり、 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とし、さらに、 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなり、かつ(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ル
ロックウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕
を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1m
m以上の範囲で膜の剥離が認められないことを特徴とす
る。
を詳細に説明する。図1は本発明の積層被覆工具の構成
を示す説明図である。本発明の積層被覆工具は、高速度
工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいずれ
かを母材の材質とする工具において、(a)被覆膜の成
分がTi、C、N又はTi、C、N、Oよりなり、 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とし、さらに、 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなり、かつ(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ル
ロックウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕
を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1m
m以上の範囲で膜の剥離が認められないことを特徴とす
る。
【0014】〔実施例1〕本発明の実施例1として超硬
合金を母材とするエンドミルを、イオンプレ−ティング
により図1に示す膜構成に成膜した。実施例1では、イ
オンプレ−ティング装置を 10-2Pa 以上に排気し、処理
物を400℃〜550℃まで加熱し、その後、イオンボ
ンバ−ドなどにより表面のクリ−ニングを行った上コ−
ティングを行った。コ−ティングはTiの蒸発源に対
し、窒素及びアセチレンを導入して行い、その際、窒素
を導入してTiNを形成し、その後窒素を減少させなが
らアセチレンを増加させる。上記の本発明品のTiCN
被覆膜の処理では、図6に示すように反応ガス流量の導
入及び減少量操作を行い、図6の下端に示す被膜構成を
得た。各種類似した膜質のものと本発明品を切削試験に
より比較した結果、表1に示すように本発明品は他の従
来品又は試作品に較べ著しい摩耗の低下が確認された。
図5は、表1の1.のTiN+TiCN積層膜被覆品と
.の本発明品とのコーナー摩耗量比較表を示すが、本
発明品ではコ−ナ−摩耗の顕著な減少を確認できた。こ
れらでみて判るように本発明品では、母材との密着性を
高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損
という現象を引き起さない、高い靭性を有しながら耐摩
耗性を高くする様な積層コーティングを施した積層被覆
工具となった。図4に本発明の代表例TiCN積層被覆
工具のESCA分析を示す。
合金を母材とするエンドミルを、イオンプレ−ティング
により図1に示す膜構成に成膜した。実施例1では、イ
オンプレ−ティング装置を 10-2Pa 以上に排気し、処理
物を400℃〜550℃まで加熱し、その後、イオンボ
ンバ−ドなどにより表面のクリ−ニングを行った上コ−
ティングを行った。コ−ティングはTiの蒸発源に対
し、窒素及びアセチレンを導入して行い、その際、窒素
を導入してTiNを形成し、その後窒素を減少させなが
らアセチレンを増加させる。上記の本発明品のTiCN
被覆膜の処理では、図6に示すように反応ガス流量の導
入及び減少量操作を行い、図6の下端に示す被膜構成を
得た。各種類似した膜質のものと本発明品を切削試験に
より比較した結果、表1に示すように本発明品は他の従
来品又は試作品に較べ著しい摩耗の低下が確認された。
図5は、表1の1.のTiN+TiCN積層膜被覆品と
.の本発明品とのコーナー摩耗量比較表を示すが、本
発明品ではコ−ナ−摩耗の顕著な減少を確認できた。こ
れらでみて判るように本発明品では、母材との密着性を
高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損
という現象を引き起さない、高い靭性を有しながら耐摩
耗性を高くする様な積層コーティングを施した積層被覆
工具となった。図4に本発明の代表例TiCN積層被覆
工具のESCA分析を示す。
【0015】
【表1】
【0016】〔実施例2〕本発明の実施例2として高速
度工具鋼を母材とするエンドミルを、実施例1に示した
条件によりイオンプレ−ティングし、特開平6−172
30号又は特開平4−236765号公報のものを含む
他の従来品又は試作品である最上層にTiCを被覆した
ものと、本発明品とを切削試験した結果を表2に示す。
本発明品では高速度工具鋼を母材とする本発明品のエン
ドミルでは、特にコ−ナ−摩耗の著しい改善が顕著に示
された。 〔実施例3〕本発明の実施例3としてサーメットを母材
とするエンドミルを、実施例1に示した条件によるイオ
ンプレ−ティングにより最上層にTiCを被覆した他の
従来品又は試作品の場合と、本発明品とを切削試験した
結果を表3に示す。サーメットを母材とするエンドミル
も高速度工具鋼又は超硬合金を母材とするエンドミルの
場合と同様な良い結果が得られた。
度工具鋼を母材とするエンドミルを、実施例1に示した
条件によりイオンプレ−ティングし、特開平6−172
30号又は特開平4−236765号公報のものを含む
他の従来品又は試作品である最上層にTiCを被覆した
ものと、本発明品とを切削試験した結果を表2に示す。
本発明品では高速度工具鋼を母材とする本発明品のエン
ドミルでは、特にコ−ナ−摩耗の著しい改善が顕著に示
された。 〔実施例3〕本発明の実施例3としてサーメットを母材
とするエンドミルを、実施例1に示した条件によるイオ
ンプレ−ティングにより最上層にTiCを被覆した他の
従来品又は試作品の場合と、本発明品とを切削試験した
結果を表3に示す。サーメットを母材とするエンドミル
も高速度工具鋼又は超硬合金を母材とするエンドミルの
場合と同様な良い結果が得られた。
【0017】
【表2】
【表3】
【0018】〔実施例4〕図7はHCDイオンプレ−テ
ィングを用い高速度工具鋼S45C(HB(Brinell Hardne
ss) 250)の歯切工具であるホブに、本発明の積層被覆
と、他の従来品又は試作品である、TiN被覆と、Ti
CN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験し
た結果を示す。TiNと、TiCNとを被覆した膜が比
較的早期に摩耗が増加するのに対し、本発明品は1.5
〜2倍の耐摩耗性の改善がみられる。ア−クイオンプレ
−ティングも通常のイオンプレ−ティングと同様の工程
で成膜を行う。 〔実施例5〕図8は超硬合金エンドミルにア−クイオン
プレ−ティングにより、他の従来品又は試作品であるT
iAlCN単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被
覆と、をそれぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率
%Si)を切削した試験結果を示す。本発明品はTiA
lCN単層に比較して十分な性能を発揮することが判っ
た。 〔実施例6〕図9は超硬合金ボールエンドミルにスパッ
タイオンプレ−ティングにより他の従来品又は試作品で
あるTiNbWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNb
WCN積層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験
した結果を示す。本発明品は他に比べ十分な切削性能が
得られた。
ィングを用い高速度工具鋼S45C(HB(Brinell Hardne
ss) 250)の歯切工具であるホブに、本発明の積層被覆
と、他の従来品又は試作品である、TiN被覆と、Ti
CN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験し
た結果を示す。TiNと、TiCNとを被覆した膜が比
較的早期に摩耗が増加するのに対し、本発明品は1.5
〜2倍の耐摩耗性の改善がみられる。ア−クイオンプレ
−ティングも通常のイオンプレ−ティングと同様の工程
で成膜を行う。 〔実施例5〕図8は超硬合金エンドミルにア−クイオン
プレ−ティングにより、他の従来品又は試作品であるT
iAlCN単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被
覆と、をそれぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率
%Si)を切削した試験結果を示す。本発明品はTiA
lCN単層に比較して十分な性能を発揮することが判っ
た。 〔実施例6〕図9は超硬合金ボールエンドミルにスパッ
タイオンプレ−ティングにより他の従来品又は試作品で
あるTiNbWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNb
WCN積層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験
した結果を示す。本発明品は他に比べ十分な切削性能が
得られた。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、基本的に
はTiCN膜を母材を保護する被覆膜の最上層に配置す
ることを特徴とし、TiCNの効果を最大限利用したの
で、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材料である高
速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのい
ずれかを母材の材質とする工具に、母材との密着性を高
めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損と
いう現象を引き起さない、母材を保護する被覆膜の機能
の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高くする様な積
層コーティングを施した被覆膜を有する積層被覆工具を
提供するものとなった。
はTiCN膜を母材を保護する被覆膜の最上層に配置す
ることを特徴とし、TiCNの効果を最大限利用したの
で、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材料である高
速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのい
ずれかを母材の材質とする工具に、母材との密着性を高
めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損と
いう現象を引き起さない、母材を保護する被覆膜の機能
の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高くする様な積
層コーティングを施した被覆膜を有する積層被覆工具を
提供するものとなった。
【図1】本発明の積層被覆工具の構成を示す説明図。
【図2】TiCN被覆膜の炭素濃度と 50gのマイクロヴ
ィッカ−ス硬さとの関係を示すグラフ。
ィッカ−ス硬さとの関係を示すグラフ。
【図3】工具に被覆する膜についてのロックウエルの圧
痕法による剥離判定結果を示す説明図。
痕法による剥離判定結果を示す説明図。
【図4】本発明の代表例TiCN積層被覆工具のESC
A分析を示す説明図。
A分析を示す説明図。
【図5】表1の1.の他の従来品又は試作品であるTiN
+TiCN積層膜被覆品と.の本発明品とのコーナー
摩耗量比較表を示すグラフ。
+TiCN積層膜被覆品と.の本発明品とのコーナー
摩耗量比較表を示すグラフ。
【図6】本発明品のTiCN被覆膜の処理で行った反応
ガス流量の導入及び減少量操作と得られた被膜構成とを
示す説明図。
ガス流量の導入及び減少量操作と得られた被膜構成とを
示す説明図。
【図7】HCDイオンプレ−ティングを用い高速度工具
鋼S45C(HB250) の歯切工具であるホブに、本発明の
積層被覆と、他の従来品又は試作品であるTiN被覆及
びTiCN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削
試験した結果を示すグラフ。
鋼S45C(HB250) の歯切工具であるホブに、本発明の
積層被覆と、他の従来品又は試作品であるTiN被覆及
びTiCN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削
試験した結果を示すグラフ。
【図8】超硬合金エンドミルにア−クイオンプレ−ティ
ングにより、他の従来品又は試作品であるTiAlCN
単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被覆と、をそ
れぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率%Si)を
切削した試験結果を示すグラフ。
ングにより、他の従来品又は試作品であるTiAlCN
単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被覆と、をそ
れぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率%Si)を
切削した試験結果を示すグラフ。
【図9】超硬合金ボールエンドミルにスパッタイオンプ
レ−ティングにより他の従来品又は試作品であるTiN
bWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNbWCN積層
被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験した結果を
示すグラフ。
レ−ティングにより他の従来品又は試作品であるTiN
bWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNbWCN積層
被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験した結果を
示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 忍 富山県富山市石金20番地 株式会社不二越 内
Claims (3)
- 【請求項1】 高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又
はセラミックのいずれかを母材の材質とする工具におい
て次の(a)乃至(c)の条件を満足させたことを特徴
とする積層被覆工具。 (a)被覆膜の成分がTi、C、N又はTi、C、N、
Oよりなる。 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、 膜厚が0.2μm〜1.0μmの、TiN又はTiCN
(0≦t<0.2)の均一組織を前記母材に接する最下
層とし、 膜厚が0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦
t≦0.7)層の均一組織を最上層とし、 膜厚が1.0μm〜3.0μmの、TiCNでかつ原子
比炭素比率=C/(N+C)=tが0<t≦0.7を満
たす範囲で前記最下層から最上層に向けて連続又は断続
して増加する傾斜組成層を中間層とする。 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなる。(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ルロッ
クウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕を1
00倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1mm以
上の範囲で膜の剥離が認められない。 - 【請求項2】 請求項1の金属成分Tiに代わり、Ti
以外の金属元素Mを含むか、又はTi+Ti以外の金属
元素Mを含む積層被覆工具であって、MはTiを除く元
素周期律表のIVa,Va,VIaの金属元素、硼素、Siならび
にAlの内一種または二種以上の金属元素、であること
を特徴とする請求項1記載の積層被覆工具。 - 【請求項3】 前記被覆膜の最上層の平均組成比率とし
てガス成分比の20%以下の酸素成分を含むTiCNO
被覆を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記
載の積層被覆工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6164952A JPH081412A (ja) | 1994-06-24 | 1994-06-24 | 積層被覆工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6164952A JPH081412A (ja) | 1994-06-24 | 1994-06-24 | 積層被覆工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH081412A true JPH081412A (ja) | 1996-01-09 |
Family
ID=15802987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6164952A Pending JPH081412A (ja) | 1994-06-24 | 1994-06-24 | 積層被覆工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH081412A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1160353A1 (en) * | 2000-05-31 | 2001-12-05 | Mitsubishi Materials Corporation | Coated cemented carbide cutting tool member and process for producing the same |
US6638571B2 (en) | 2000-05-31 | 2003-10-28 | Mitsubishi Materials Corporation | Coated cemented carbide cutting tool member and process for producing the same |
CN100389918C (zh) * | 2003-07-15 | 2008-05-28 | 复旦大学 | 一种多元复合镀层切削刀具及其制备方法 |
JP2009078309A (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-16 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
JP2009142972A (ja) * | 2007-12-18 | 2009-07-02 | Mitsubishi Materials Corp | 重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP2009202246A (ja) * | 2008-02-26 | 2009-09-10 | Mitsubishi Materials Corp | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP2010012541A (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-21 | Mitsubishi Materials Corp | 硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具 |
JP2015127093A (ja) * | 2015-02-13 | 2015-07-09 | 住友電工ハードメタル株式会社 | 表面被覆窒化硼素焼結体工具 |
WO2018030329A1 (ja) * | 2016-08-09 | 2018-02-15 | 三菱マテリアル株式会社 | 耐溶着チッピング性と耐剥離性にすぐれた表面被覆切削工具 |
-
1994
- 1994-06-24 JP JP6164952A patent/JPH081412A/ja active Pending
Cited By (12)
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CN109562461A (zh) * | 2016-08-09 | 2019-04-02 | 三菱综合材料株式会社 | 耐熔敷崩刀性及耐剥离性优异的表面包覆切削工具 |
US11014168B2 (en) | 2016-08-09 | 2021-05-25 | Mitsubishi Materials Corporation | Surface-coated cutting tool with excellent adhesion-induced chipping resistance and peel resistance |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020820 |