JPH081412A - 積層被覆工具 - Google Patents

積層被覆工具

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JPH081412A
JPH081412A JP6164952A JP16495294A JPH081412A JP H081412 A JPH081412 A JP H081412A JP 6164952 A JP6164952 A JP 6164952A JP 16495294 A JP16495294 A JP 16495294A JP H081412 A JPH081412 A JP H081412A
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layer
film
tool
ticn
coating
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JP6164952A
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Yuji Yamaguchi
祐二 山口
Manabu Yasuoka
学 安岡
Norihiro Katou
範博 加藤
Shinobu Taniguchi
忍 谷口
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Nachi Fujikoshi Corp
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Nachi Fujikoshi Corp
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセ
ラミックのいずれかを母材の材質とする工具に、欠落あ
るいは欠損という現象を引き起さない、高い靭性を有し
ながら耐摩耗性を高くする様な積層コーティング被覆工
具を提供。 【構成】 母材となる工具に、膜の成膜構成が3層構造
からなり、全体の膜厚が2.0μm〜5.0であり、原
子炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2
μm〜1.0の TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を最下層とし、膜厚が1.0μm〜3.
0の TiCN(0.3≦t≦0.7)層の均一組織を
最上層とし、膜厚が0.5μm〜2.5の TiN又は
TiCNでかつ原子炭素比率が0<t≦0.7を満たす
範囲で最下層から最上層に向けて連続又は断続して増加
する傾斜組成層を中間層とする積層被覆工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速度工具鋼、超硬合
金、サ−メット又はセラミックのいずれかを母材の材質
とする工具に積層コーティングを施した積層被覆工具に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の物理蒸着法による被覆工具はTi
Nを中心として各種の切削工具に応用されていた。物理
蒸着法ではイオンプレ−ティングやスパッタイオンプレ
−ティングが用いられ、低温(〜600℃)での被覆が
可能なため熱処理を必要とする高速度工具鋼やダイス鋼
にも用いられ、最終加工が不要なため超硬合金やセラミ
ックスの最終工程でも処理が可能となり切削工具への応
用が急速に広まった。TiNは金色をした比較的靭性に
富む被覆膜であるがTi系ではこの他にTiCならびに
TiCN膜が物理蒸着法による代表的な被覆膜として知
られている。
【0003】TiCNは非常に硬度が高いことが知ら
れ、耐摩耗性が高いことが知られているが炭素成分と窒
素成分の比率により特性が変化し、代表的な、原子比率
で炭素50%窒素50%近傍のTiCNを被覆した工
具、特にフライス工具などでは刃先に欠損を生じるため
使用されない場合が多かった。このため例えば特開平4
−236763号公報では、超硬合金基体の表面にTi
N層部分及びこのTiN層部分の上にC及びNの傾斜濃
度分布を有しTiCに至るTiCN又はTiC層部分、
即ち傾斜濃度層部分、からなる単一硬質層を被覆した工
具が開示され、同様に特開平4−236765号、特開
平4−236772号、特開平4−240005号各公
報でも類似の傾斜濃度層部分を持ち、かつ平均組成が原
子比率で炭素50%窒素50%近傍の特殊膜ならびにそ
の製造法が開示されている。
【0004】又、特開平6−17230号公報では超硬
合金基体の表面にTiN層部分、このTiN層部分の上
にTiCN傾斜濃度層部分、及びこのTiCN傾斜濃度
層部分の上にTiC層部分、からなる複合被覆層を有す
る工具が開示され、同様に特開平6−17227号、特
開平6−17228号公報には同様の主旨でTiNから
TiCに変化する類似の傾斜濃度層部分を用いる複合被
覆工具の製法が示されている。これらの発明は同様な目
的で実施されているがTiCNの利点を最大限利用しよ
うとするものではなく、耐欠損性についてTiNから炭
素成分を増加させTiCにまで類似の傾斜濃度層部分を
用いることにより、結果的に欠損性が改善できたとする
ものである。かかる従来のTiCN傾斜濃度層部分又は
類似の傾斜濃度層部分については、TiCNの結晶粒が
粗大であるため靭性が不足し、膜が剥離するためその部
分より欠損するおそれがあった。特開平6−17230
号公報のもの及び特開平4−236765号公報のもの
と、本発明品との比較を実施例2及び表2に示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】耐欠損性は工具を実際
の加工に使用した場合に用いる言葉であるが、切削時の
工具の摩耗についても硬さの高い被削材を切削加工する
場合の摩耗では微細な粒界からの欠落あるいは欠損とい
う現象によることも多い。そこでこのような摩耗を発生
させるような硬い被削材を切削するためには硬度の高い
工具材料が用いられ、被覆するコ−ティングにも硬さの
高い被覆材が用いられる。硬さの高い材料そのものは欠
落あるいは欠損という現象を引き起こしやすかった。本
発明の課題は、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材
料である高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラ
ミックのいずれかを母材の材質とする工具に、母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落ある
いは欠損という現象を引き起さない、母材を保護する被
覆膜の機能の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高く
する様な積層コーティングを施した被覆膜を有する積層
被覆工具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、高速
度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいず
れかを母材の材質とする工具において次の(a)乃至
(c)の条件を満足させた (a)被覆膜の成分がTi、C、N又はTi、C、N、
Oよりなる。 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とする。 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなる。(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ルロッ
クウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕を1
00倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1mm以
上の範囲で膜の剥離が認められない。 ことを特徴とする積層被覆工具を提供することによって
上述した従来技術の課題を解決した。
【0007】TiN又はTiCNの原子比炭素比率=t
を、最下層で0≦t<0.2としたのは硬質の母材との
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえるためこの
範囲が望ましいからであり、中間層で0<t≦0.7を
満たす範囲としたのは中間層のクッションの役割上比較
的靭性を損なうことなくTiCNを工具に被覆できるた
めこの範囲が望ましいからであり、最上層で0.3≦t
≦0.7としたのはチッピングを防止しかつ耐摩耗性を
保つ上でこの範囲が望ましくtが0.3以下でも0.7
以上でもチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つことが
できないからである。
【0008】通常イオンプレ−ティングでドリルやエン
ドミルを被覆する場合には蒸発源に対し、公転ないし自
公転を行う。このため、時間をかけた傾斜組成は断続に
せよ蒸発源に向いていない部分で膜がボンバ−ドされる
ため断続性が得られないのも一因であり、いずれの方法
であっても請求項1記載の本発明の膜では同等の結果が
得られた。ほぼ原子比率で炭素成分と窒素成分が等しく
なるようなTiCNは靭性が小さく、高硬度であるため
通常の被覆する場合と異なり膜厚を抑える必要がある。
そこで本発明の好ましい実施態様では、チッピングを防
止しかつ耐摩耗性を保つ上で膜厚の望ましい範囲とし
て、被覆膜の全体の膜厚を2.0μm〜5.0μm、最
下層の膜厚を0.2μm〜1.0μm、中間層の膜厚を
1.0μm〜3.0μm、そして最上層の膜厚を0.5
μm〜2.5μm、と限定した。これら以下又はこれら
以上の値ではチッピングを防止しかつ耐摩耗性を保つ効
果は薄くなる。
【0009】本発明は基本的にはTiCN膜を母材を保
護する被覆膜の最上層に配置することを特徴とし、Ti
CNの効果を最大限利用しようとする点で上述した特開
平4−236763号公報等の従来のTiCN傾斜濃度
層部分又は類似のTiCN傾斜濃度組成を有する被覆膜
と異なる。即ち、TiCNはイオンプレ−ティング等で
成膜される場合には微細となり、膜応力が大きいことが
知見として得られている(日本機械学会発行『日本機械
学会第70回通常総会講演会講演論文集』〔1993.3.31
■4.2 八王子〕331頁、332頁)。又、図2はTi
CN被覆膜の炭素濃度と 50gのマイクロヴィッカ−ス硬
さとの関係を示すグラフであるが、原子比炭素比率=C
/(C+N)=tを増加させると硬化することも知られ
ている。したがってTiCNの高硬度を工具へ適用する
場合TiCN層を厚くすると膜応力が大きくなり母材と
の応力状態のギャップから膜自体が破壊することが推定
される。
【0010】膜応力については多くの文献があるが硬質
被覆膜のような薄い膜の場合X線による応力計測が用い
られる。しかし、先ず優先方位を持つ組織の計測法が難
しいこと、さらに計算に使用する弾性係数、ポワソン比
などの数値が膜の場合は材料のバルクのものと異なるた
め正確なものは求まっていない。しかし、実際適用した
場合にはエンドミルのコ−ナ−部等でチッピングを生ず
る場合が多いため靭性を高める処置が必要である。そこ
で、本発明では、母材の表面には各種膜を検討し、Ti
N又は炭素成分の低いTiCN層を配置することにより
密着性を高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、連続又は
断続的に炭素成分の上昇を行うと、比較的靭性を損なう
ことなくTiCNを工具に被覆できた。
【0011】日本工業出版社が1993年10月発行した『新
素材』Vol.4 No.10 37頁乃至41頁に記載するように経験
的であるが工具に被覆する膜については請求項1(c)
に示すロックウエルの圧痕法による剥離判定がひとつの
目安となる。本発明の場合と他の場合の比較を、膜厚を
同じにして図3に示す。通常イオンプレ−ティングの場
合、積層膜を成膜する場合には窒素成分を減少させ、炭
素成分を順次上昇させるのが一般的でこれは比較的短時
間に実施させる。このため本発明では、傾斜部の膜厚を
請求項1(b)となるように限定し、かつ原子比炭素比
率を中間層で0<t≦0.7を満たす範囲とし上限でT
iCNとしTiCにはならないようにした。これら傾斜
組成はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical
Analysis )により計測できる。よく使用されるオ−ジ
ェ分光分析ではTiと窒素の分離が難しく、窒素の2次
ピ−クから分離する手法を用いるためESCAの方が簡
便である。しかし、両者とも膜の断面(深さ方向)を計
測する場合にはイオン照射により膜を順次スパッタす
る。このため計測面が曲面となり断続であっても連続的
な成分変動となる。
【0012】本発明の作用は図2に示す高硬度のTiC
N膜を工具上に成膜することにより、高硬度材料や高速
状態での切削を可能にする点にある。このことは同様な
特性を持つ多元系となる(Ti、M)N又は(Ti、
M)CNでも同様に作用する。本発明の好ましい実施態
様では、請求項1の金属成分Tiに代わり、Ti以外の
金属元素Mを含むか、又はTi+Ti以外の金属元素M
を含む積層被覆工具であって、MはTiを除く元素周期
律表のIVa,Va,VIaの金属元素、硼素、SiならびにAl
の内一種または二種以上の金属元素、であり傾斜組成を
含む、積層被覆工具;又はTiCN膜と同様に酸素を含
むTiCNO膜であっても;最上層の膜応力を保つた
め、最上層の膜厚を抑えることで通常のその他の被覆方
法に比べ、より耐摩耗性の高い積層被覆工具を提供する
ものとなった。
【0013】
【実施例】以下添付した図1乃至図9に基づきこの発明
を詳細に説明する。図1は本発明の積層被覆工具の構成
を示す説明図である。本発明の積層被覆工具は、高速度
工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのいずれ
かを母材の材質とする工具において、(a)被覆膜の成
分がTi、C、N又はTi、C、N、Oよりなり、 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
炭素比率=C/(N+C)=tとして、膜厚が0.2μ
m〜1.0μmの、TiN又はTiCN(0≦t<0.
2)の均一組織を前記母材に接する最下層とし、膜厚が
0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦t≦
0.7)層の均一組織を最上層とし、膜厚が1.0μm
〜3.0μmの、TiCNでかつ原子比炭素比率=C/
(N+C)=tが0<t≦0.7を満たす範囲で前記最
下層から最上層に向けて連続又は断続して増加する傾斜
組成層を中間層とし、さらに、 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
粗さとなり、かつ(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ル
ロックウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕
を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1m
m以上の範囲で膜の剥離が認められないことを特徴とす
る。
【0014】〔実施例1〕本発明の実施例1として超硬
合金を母材とするエンドミルを、イオンプレ−ティング
により図1に示す膜構成に成膜した。実施例1では、イ
オンプレ−ティング装置を 10-2Pa 以上に排気し、処理
物を400℃〜550℃まで加熱し、その後、イオンボ
ンバ−ドなどにより表面のクリ−ニングを行った上コ−
ティングを行った。コ−ティングはTiの蒸発源に対
し、窒素及びアセチレンを導入して行い、その際、窒素
を導入してTiNを形成し、その後窒素を減少させなが
らアセチレンを増加させる。上記の本発明品のTiCN
被覆膜の処理では、図6に示すように反応ガス流量の導
入及び減少量操作を行い、図6の下端に示す被膜構成を
得た。各種類似した膜質のものと本発明品を切削試験に
より比較した結果、表1に示すように本発明品は他の従
来品又は試作品に較べ著しい摩耗の低下が確認された。
図5は、表1の1.のTiN+TiCN積層膜被覆品と
.の本発明品とのコーナー摩耗量比較表を示すが、本
発明品ではコ−ナ−摩耗の顕著な減少を確認できた。こ
れらでみて判るように本発明品では、母材との密着性を
高めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損
という現象を引き起さない、高い靭性を有しながら耐摩
耗性を高くする様な積層コーティングを施した積層被覆
工具となった。図4に本発明の代表例TiCN積層被覆
工具のESCA分析を示す。
【0015】
【表1】
【0016】〔実施例2〕本発明の実施例2として高速
度工具鋼を母材とするエンドミルを、実施例1に示した
条件によりイオンプレ−ティングし、特開平6−172
30号又は特開平4−236765号公報のものを含む
他の従来品又は試作品である最上層にTiCを被覆した
ものと、本発明品とを切削試験した結果を表2に示す。
本発明品では高速度工具鋼を母材とする本発明品のエン
ドミルでは、特にコ−ナ−摩耗の著しい改善が顕著に示
された。 〔実施例3〕本発明の実施例3としてサーメットを母材
とするエンドミルを、実施例1に示した条件によるイオ
ンプレ−ティングにより最上層にTiCを被覆した他の
従来品又は試作品の場合と、本発明品とを切削試験した
結果を表3に示す。サーメットを母材とするエンドミル
も高速度工具鋼又は超硬合金を母材とするエンドミルの
場合と同様な良い結果が得られた。
【0017】
【表2】
【表3】
【0018】〔実施例4〕図7はHCDイオンプレ−テ
ィングを用い高速度工具鋼S45C(HB(Brinell Hardne
ss) 250)の歯切工具であるホブに、本発明の積層被覆
と、他の従来品又は試作品である、TiN被覆と、Ti
CN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験し
た結果を示す。TiNと、TiCNとを被覆した膜が比
較的早期に摩耗が増加するのに対し、本発明品は1.5
〜2倍の耐摩耗性の改善がみられる。ア−クイオンプレ
−ティングも通常のイオンプレ−ティングと同様の工程
で成膜を行う。 〔実施例5〕図8は超硬合金エンドミルにア−クイオン
プレ−ティングにより、他の従来品又は試作品であるT
iAlCN単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被
覆と、をそれぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率
%Si)を切削した試験結果を示す。本発明品はTiA
lCN単層に比較して十分な性能を発揮することが判っ
た。 〔実施例6〕図9は超硬合金ボールエンドミルにスパッ
タイオンプレ−ティングにより他の従来品又は試作品で
あるTiNbWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNb
WCN積層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験
した結果を示す。本発明品は他に比べ十分な切削性能が
得られた。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、基本的に
はTiCN膜を母材を保護する被覆膜の最上層に配置す
ることを特徴とし、TiCNの効果を最大限利用したの
で、硬い被削材を切削する硬度の高い工具材料である高
速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又はセラミックのい
ずれかを母材の材質とする工具に、母材との密着性を高
めかつ膜応力の上昇を極力押さえ、欠落あるいは欠損と
いう現象を引き起さない、母材を保護する被覆膜の機能
の内、高い靭性を有しながら耐摩耗性を高くする様な積
層コーティングを施した被覆膜を有する積層被覆工具を
提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層被覆工具の構成を示す説明図。
【図2】TiCN被覆膜の炭素濃度と 50gのマイクロヴ
ィッカ−ス硬さとの関係を示すグラフ。
【図3】工具に被覆する膜についてのロックウエルの圧
痕法による剥離判定結果を示す説明図。
【図4】本発明の代表例TiCN積層被覆工具のESC
A分析を示す説明図。
【図5】表1の1.の他の従来品又は試作品であるTiN
+TiCN積層膜被覆品と.の本発明品とのコーナー
摩耗量比較表を示すグラフ。
【図6】本発明品のTiCN被覆膜の処理で行った反応
ガス流量の導入及び減少量操作と得られた被膜構成とを
示す説明図。
【図7】HCDイオンプレ−ティングを用い高速度工具
鋼S45C(HB250) の歯切工具であるホブに、本発明の
積層被覆と、他の従来品又は試作品であるTiN被覆及
びTiCN単層被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削
試験した結果を示すグラフ。
【図8】超硬合金エンドミルにア−クイオンプレ−ティ
ングにより、他の従来品又は試作品であるTiAlCN
単層膜被覆と、本発明のTiAlCN積層被覆と、をそ
れぞれ施し、Al−Si合金(12原子比率%Si)を
切削した試験結果を示すグラフ。
【図9】超硬合金ボールエンドミルにスパッタイオンプ
レ−ティングにより他の従来品又は試作品であるTiN
bWCN単層膜被覆品と、本発明のTiNbWCN積層
被覆と、をそれぞれ施した各製品の切削試験した結果を
示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 忍 富山県富山市石金20番地 株式会社不二越 内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速度工具鋼、超硬合金、サ−メット又
    はセラミックのいずれかを母材の材質とする工具におい
    て次の(a)乃至(c)の条件を満足させたことを特徴
    とする積層被覆工具。 (a)被覆膜の成分がTi、C、N又はTi、C、N、
    Oよりなる。 (b)膜の成膜構成が3層構造からなり、前記被覆膜の
    全体の膜厚が 2.0μm〜5.0μmであり、原子比
    炭素比率=C/(N+C)=tとして、 膜厚が0.2μm〜1.0μmの、TiN又はTiCN
    (0≦t<0.2)の均一組織を前記母材に接する最下
    層とし、 膜厚が0.5μm〜2.5μmの、TiCN(0.3≦
    t≦0.7)層の均一組織を最上層とし、 膜厚が1.0μm〜3.0μmの、TiCNでかつ原子
    比炭素比率=C/(N+C)=tが0<t≦0.7を満
    たす範囲で前記最下層から最上層に向けて連続又は断続
    して増加する傾斜組成層を中間層とする。 (c)その被覆工具もしくはそれと同時処理した同母材
    種のテストピ−スが工具部材の機能要部と同等の被覆が
    施されている部分の特性が(i)母材は60HRC以上
    の硬度を有し、50gのマイクロヴィッカ−ス硬度計で
    1900以上、4000HV以下、Ra5μm以下の面
    粗さとなる。(ii)前記被覆膜に通常のCスケ−ルロッ
    クウェル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕を1
    00倍の倍率で観察した結果、圧痕の外側周囲1mm以
    上の範囲で膜の剥離が認められない。
  2. 【請求項2】 請求項1の金属成分Tiに代わり、Ti
    以外の金属元素Mを含むか、又はTi+Ti以外の金属
    元素Mを含む積層被覆工具であって、MはTiを除く元
    素周期律表のIVa,Va,VIaの金属元素、硼素、Siならび
    にAlの内一種または二種以上の金属元素、であること
    を特徴とする請求項1記載の積層被覆工具。
  3. 【請求項3】 前記被覆膜の最上層の平均組成比率とし
    てガス成分比の20%以下の酸素成分を含むTiCNO
    被覆を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の積層被覆工具。
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