JP4853829B2 - 硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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また、上記の被覆工具の硬質被覆層を構成するAl2O3層として、α型結晶構造をもつもの、κ型結晶構造をもつもの等が広く実用化されている、
さらに、上記TiCN層として、例えば、特開平6−8010号公報、特開平7−328808号公報等により知られているように、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度領域で縦長成長結晶組織を有するTiCN層(以下、l−TiCN層で示す)も知られている。
(a)従来被覆工具の硬質被覆層を構成するTiCN層は、例えば、通常の化学蒸着装置にて、
反応ガス組成:容量%で、TiCl4:2〜10%、CH3CN:1〜5%、N2:10〜30%、H2:残り、
反応雰囲気温度:800〜930℃、
反応雰囲気圧力:15〜25kPa、
の条件(通常条件という)で蒸着形成されるが、
これらの通常条件において、上記の反応ガスに、CrCl3を0.02〜1容量%の割合で添加し、これ以外は同一の条件で層の蒸着形成を行うと、この結果形成されたTiとCrの複合炭窒化物層(以下、「Ti−Cr複合炭窒化物層」で示す)は、CrをTiとの合量に占める割合で1〜10原子%の割合で含有し、上記の従来TiCN層と同じNaCl型面心立方晶の結晶構造(上記図1参照)、すなわち、Ti原子の一部がCr原子で置換されたNaCl型面心立方晶の結晶構造をもつものになると共に、置換含有したCrの作用で、高温強度が一段と向上したものになるので、切刃部にきわめて高い機械的・熱的負荷がかかる高速高送り、高切り込みミーリング切削において、前記硬質被覆層の耐チッピング性向上に寄与すること。
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、図2(a),(b)に概略説明図で例示される通り、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角(図2(a)には前記結晶面のうち(001)面の傾斜角が0度、(011)面の傾斜角が45度の場合、同(b)には(001)面の傾斜角が45度、(011)面の傾斜角が0度の場合を示しているが、これらの角度を含めて前記結晶粒個々のすべての傾斜角)を測定し、この場合前記結晶粒は、上記の通り格子点に、従来TiCN層であればTi、炭素、および窒素からなる構成原子が、さらにTi−Cr複合炭窒化物層であれば、Ti、Cr、炭素および窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表し、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフを作成した場合、前記従来TiCN層は、図4に例示される通り、Σ3の分布割合が30%以下の相対的に低い構成原子共有格子点分布グラフを示すのに対して、前記Ti−Cr複合炭窒化物層は、図3に例示される通り、Σ3に最高ピークが存在し、かつ、Σ3の分布割合が60%以上のきわめて高い構成原子共有格子点分布グラフを示し、しかも、前記Ti−Cr複合炭窒化物層のΣ3の分布割合は、層中のCr含有量によって変化し、さらに、層中のCr含有量は、反応ガス中のCrCl3の配合割合によって調整できること。
以上(a)〜(d)に示される研究結果を得たのである。
「(1)炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)1〜5μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層、
(b)1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、TiとCrの合量に対するCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))が、原子比で0.01〜0.1であるTiとCrの複合炭窒化物層、
上記(a)および(b)を少なくとも3層以上交互に積層し、合計層厚が5〜15μmとなるように化学蒸着で形成したTi系化合物積層からなる硬質被覆層を設けたことを特徴とする硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。
(2)前記(1)記載の表面被覆切削工具において、
上記Ti系化合物積層の表面に、さらに、化学蒸着で形成した0.5〜5μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を設けたことを特徴とする前記(1)記載の表面被覆切削工具。
(3)前記(2)記載の表面被覆切削工具において、
上記Ti系化合物積層と、上記酸化アルミニウム層との間に、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層および炭窒酸化チタン層のうちの1種または2種以上からなる合計平均層厚0.2〜1μmの中間層を介在させたことを特徴とする前記(2)記載の表面被覆切削工具。
(4)前記(1)乃至(3)記載の表面被覆切削工具において、
上記(b)のTiとCrの複合炭窒化物層は、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、格子点にTiとCrと炭素と窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係で上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、いずれもΣ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が60%以上である構成原子共有格子点分布グラフを示すTiとCrの複合炭窒化物層であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
(a)炭窒化チタン(TiCN)層
TiCN層は、それ自体で所定の高温硬さを有し、切削加工時の摩耗に対して耐摩耗性を示すが、その平均層厚が1μm未満では、十分な耐摩耗性を発揮することができず、また、その平均層厚が5μm以上の場合は、隣接するTi−Cr複合炭窒化物層との十分な付着強度を確保することができずチッピング発生の原因となるため、その平均層厚を1〜5μmとした。
なお、TiCN層としては、例えば、特開平6−8010号公報、特開平7−328808号公報に示されるように、層の高温強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用して、700〜950℃の中温度領域で化学蒸着することにより形成した縦長成長結晶組織を有するTiCN層(以下、「l−TiCN層」で示す)も知られているが、この発明でいうTiCN層には、上記l−TiCN層も当然に含まれる。
Ti−Cr複合炭窒化物層は、すぐれた高温硬さおよびすぐれた高温強度を有するが、この特性は、反応ガスにCrCl3を0.02〜1容量%の割合で添加して化学蒸着し、蒸着形成された層中のCr含有割合をTiとの合量に占める割合で1〜10原子%とした結果として、構成原子共有格子点分布グラフにおけるΣ3の分布割合が60%以上となることにより得られるものであって、一方、Σ3の分布割合が60%未満では、高温強度の向上効果が少なく、高速高送り高切り込みミーリング加工において、硬質被覆層にチッピングが発生することは避けられず、すぐれた耐摩耗性を発揮することはできないことから、TiとCrの合量に対するCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))を0.01〜0.1(但し,原子比)と定め、また、Σ3の分布割合を60%以上と定めた。
また、Ti−Cr複合炭窒化物層の平均層厚は、1μm未満ではすぐれた高温特性を発揮することができず、一方、平均層厚が5μmを超えると、隣接するTiCN層との十分な付着強度を確保することができなくなることから、その平均層厚を1〜5μmと定めた。
上記TiCN層と上記Ti−Cr複合炭窒化物層を、少なくとも3層以上交互に積層し、合計平均層厚が5〜15μmとなるように化学蒸着でTi系化合物積層を形成するが、Ti系化合物積層の合計平均層厚が5μm未満では、高速高送り高切り込みミーリング加工において十分な耐摩耗性を発揮することができず、一方、合計平均層厚が15μmを超えると、チッピングや異常摩耗が発生し易くなるため、Ti系化合物積層の合計平均層厚を5〜15μmと定めた。
Al2O3層は、耐熱的、耐化学的な安定性にすぐれ、高温硬さも大であり、また、すぐれた耐酸化性を示すため、高い耐摩耗性を発揮するが、その層厚が0.5μm未満では所望の特性を発揮することができず、また、層厚が5μmを超えると、高速高送りミーリング切削ではチッピング等の異常損傷が生じやすくなることから、その平均層厚を0.5〜5μmとした。
なお、Al2O3としては、α型結晶構造およびκ型結晶構造などがあるが、本発明においては、どちらの結晶構造のAl2O3層であっても、所望の性能を得ることができる。
炭酸化チタン(TiCO)層、窒酸化チタン(TiNO)層および炭窒酸化チタン(TiCNO)層のうちの1種または2種以上からなる合計平均層厚0.2〜1μmの中間層を、TiCN層およびTi−Cr複合炭窒化物層からなる上記Ti系化合物積層と、上記Al2O3層との間に介在形成する。上記中間層は、上記Ti系化合物積層と上記Al2O3層のいずれに対しても密着性にすぐれ付着強度も大きいため、Ti系化合物積層とAl2O3層間の接合強度を高め、その結果、硬質被覆層全体としての高温強度を高め耐チッピング性を向上させる効果があるが、その合計平均層厚が0.2μm未満では接合強度の向上がみられず、また、合計平均層厚が1μmを超えると、チッピングなどの異常損傷が生じやすくなることから、中間層の合計平均層厚を0.2〜1μmと定めた。
また、近年、硬質被覆層を形成後、物理的な手法、具体的には砥石、ナイロン製等のブラシ、SiC、Al2O3およびZrO2粒子等をメディアとして使用する乾式あるいは湿式ブラスト処理等により、硬質被覆層の表面を平滑化し、耐溶着性を向上させることが知られているが、本発明被覆工具に対してこれを適用することも勿論可能である。
反応ガス組成:容量%で、TiCl4:2〜10%、CH3CN:1〜5%、N2:10〜30%、H2:残り、の範囲内の所定組成、
反応雰囲気温度:800〜930℃、の範囲内の所定温度、
反応雰囲気圧力:15〜25kPa、の範囲内の所定圧力、
の条件(表3)で、表6に示される目標平均層厚のTiCN層を蒸着形成し、ついで表2に示される条件でTi−Cr複合炭窒化物層を、表6に示される目標平均層厚で蒸着形成することにより、TiCN層とTi−Cr複合炭窒化物層からなるTi系化合物積層を蒸着形成した本発明被覆工具1〜6(請求項1に対応)を製造した。
なお、表2でいう「目標Cr含有割合」は、原子比で表したCr/(Ti+Cr)の値である。
また、Ti系化合物積層を形成した本発明被覆工具1〜6に対して、さらに、表5に示される条件にてAl2O3層を、あるいは、中間層とAl2O3層を、表8示される目標層厚で蒸着形成することにより、本発明被覆工具11〜16(請求項2、3に対応)を製造した。
さらに、上記従来被覆工具1〜6に対して、さらに、表5に示される条件にてAl2O3層を、あるいは、中間層とAl2O3層を、表9示される目標層厚で蒸着形成することにより、従来被覆工具11〜16を製造した(Al2O3層、中間層については上記本発明被覆工具11〜16と同一の条件かつ同一の目標平均層厚で形成した)。
すなわち、上記構成原子共有格子点分布グラフは、上記本発明Ti−Cr複合炭窒化物層、および、従来TiCN層の表面をそれぞれ研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係で上限値を28とする)に占める分布割合を求めることにより作成した。
また、比較のために、本発明被覆工具および従来被覆工具のTiCN層の構成原子共有格子点分布グラフにおいて、ΣN+1全体(Nは2〜28の範囲内のすべての偶数)に占めるΣ3の分布割合をそれぞれ表6〜9に示した。
なお、図3は、本発明被覆工具4のうちA−4の条件にて形成したTi−Cr複合炭窒化物層の構成原子共有格子点分布グラフ、図4は、従来被覆工具6のうち、a−5の条件にて形成した従来TiCN層の構成原子共有格子点分布グラフをそれぞれ示すものである。
[切削条件A]
被削材: JIS・SCM440ブロック材、
切削速度: 400 m/min、
切り込み: 3.5 mm、
一刃送り量: 0.35 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での合金鋼の湿式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、200m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、[切削条件B]
被削材: JIS・SUS304ブロック材、
切削速度: 300 m/min、
切り込み: 3 mm、
一刃送り量: 0.33 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件でのステンレス鋼の湿式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、150m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、
[切削条件C]
被削材: JIS・FC300ブロック、
切削速度: 450 m/min、
切り込み: 4 mm、
送り: 0.38 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での鋳鉄の乾式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、250m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、
を行い、上記の各切削試験における切刃の逃げ面摩耗幅を測定し、この測定結果を表10に示した。
[切削条件a]
被削材: JIS・SCM440ブロック材、
切削速度: 380 m/min、
切り込み: 4 mm、
一刃送り量: 0.43 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での合金鋼の湿式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、200m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、
[切削条件b]
被削材: JIS・SUS304ブロック材、
切削速度: 280 m/min、
切り込み: 3.5 mm、
一刃送り量: 0.38 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件でのステンレス鋼の湿式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、150m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、
[切削条件c]
被削材: JIS・FC300ブロック、
切削速度: 430 m/min、
切り込み: 4.5 mm、
送り: 0.43 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での鋳鉄の湿式高速高切り込み高送り切削試験(通常の切削速度、切り込み、送りは、それぞれ、250m/min、1.5mm、0.2mm/rev)、
を行い、上記の各切削試験における切刃の逃げ面摩耗幅を測定し、この測定結果を同じく表10に示した。
Claims (4)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)1〜5μmの平均層厚を有する炭窒化チタン層、
(b)1〜5μmの平均層厚を有し、かつ、TiとCrの合量に対するCrの含有割合(Cr/(Ti+Cr))が、原子比で0.01〜0.1であるTiとCrの複合炭窒化物層、
上記(a)および(b)を少なくとも3層以上交互に積層し、合計平均層厚が5〜15μmとなるように化学蒸着で形成したTi系化合物積層からなる硬質被覆層を設けたことを特徴とする硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。 - 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
上記Ti系化合物積層の表面に、さらに、化学蒸着で形成した0.5〜5μmの平均層厚を有する酸化アルミニウム層を設けたことを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。 - 請求項2記載の表面被覆切削工具において、
上記Ti系化合物積層と、上記酸化アルミニウム層との間に、炭酸化チタン層、窒酸化チタン層および炭窒酸化チタン層のうちの1種または2種以上からなる合計平均層厚0.2〜1μmの中間層を介在させたことを特徴とする請求項2記載の表面被覆切削工具。 - 請求項1乃至3記載の表面被覆切削工具において、
上記(b)のTiとCrの複合炭窒化物層は、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(001)面および(011)面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、格子点にTiとCrと炭素と窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係で上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、いずれもΣ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が60%以上である構成原子共有格子点分布グラフを示すTiとCrの複合炭窒化物層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面被覆切削工具。
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