JP5006152B2 - 可変動弁機構の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、吸・排気バルブの作動特性を可変とする可変動弁機構の制御装置に関する。
特許文献1には、吸気バルブの作動特性であるバルブタイミングを可変に調整する可変動弁機構において、暖機状態や周囲環境によって動摩擦係数が変化すること等による動特性の変動を吸収するため、バルブタイミングの応答速度を規範値とするように操作量やゲインを修正する技術が開示されている。
特開平9−256878号
しかしながら、動摩擦係数の変動に起因するトルク変動が、バルブタイミング機構のアクチュエータの発生トルクに占める割合が大きい場合など、動特性の変動が大きい場合には、これを抑制するための操作量を大きくする必要があるが、バッテリ電圧によって操作量に限界が生じるため必要な操作量を出力できないことがあった。
また、できるだけ動特性の変動を抑制するためにゲインを大きくすると、可変動弁機構の動作に振動を生じてしまうことがある。特に、バルブタイミング機構の場合は、バルブタイミングが一般的に回転同期で検出され、この場合、低回転では検出遅れが大きいことも振幅が更に増大することがあった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、可変動弁機構の制御装置において、応答速度を規範値とする制御を行いつつ、動特性の変動を良好に抑制することを目的とする。
このため、請求項1に係る発明は、
内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの作動特性を可変な可変動弁機構を備え、前記作動特性の目標値を機関運転状態に基づいて設定し、所定の規範応答モデルに対応した応答速度で、作動特性を目標値に収束するように操作量を設定して、前記可変動弁機構に出力する。
そして、前記機関運転状態に基づく目標値と規範応答モデルに基づいて設定される応答速度が、前記可変動弁機構の動摩擦係数に応じて設定した許容上限応答速度より大きいときは、応答速度を許容上限応答速度とするように前記作動特性の目標値を修正し、該修正した目標値にしたがって操作量を設定する一方、
前記目標値の変化を許容値以下に制限することにより、前記目標値を修正し、
かつ、前記許容上限応答速度は、機関回転速度が高いほど低い値に設定することを特徴とする。
請求項1に係る発明によると、
作動特性の目標値を修正しつつ規範応答モデルに応じた応答速度でフィードバック制御することにより、可変動弁機構の応答速度が許容上限応答速度以下に制限される。これにより、応答速度の変化によって変動する動摩擦係数の変動幅が小さくなり、可変動弁機構の挙動を安定化でき、ひいては内燃機関のトルク変動を抑制できる。
また、許容上限応答速度に修正された目標値として制御されるときは、該修正された目標値に対して一定の遅れをもって追従することが可能であり、可変動弁機構の動作速度が一定となるように制御するので、動摩擦係数が一定となり、より安定した制御性能が得られる。
また、目標値の変化を制限することによって、所望の目標値に容易に修正できる。
また、機関回転速度が高くなるほど動摩擦係数が小さくなって動特性の変動幅が増大するので、許容上限応答速度を低い値とすることによって動摩擦係数の低下を抑制して動特性の変動幅を小さくすることができる。
また、請求項2に係る発明は、
潤滑油温度が所定値のときの許容上限応答速度に対し、所定値との偏差が大きいほど許容上限応答速度を大きい値に推定する構成とした。
かかる構成によると、
潤滑油温度については、温度が増大すると潤滑油の粘度が小さくなって動摩擦係数が減少するが、所定温度より増大すると、今度は、潤滑油膜の剥離を生じるなど動摩擦係数は増加に転じる。
そこで、前記所定温度のときの許容上限応答速度に対し、所定値との偏差が大きいほど許容上限応答速度を大きい値とすることで、動摩擦係数の低下を抑制して動特性の変動幅を小さくすることができる。
また、請求項3に係る発明は、
前記可変動弁機構は、吸気バルブまたは排気バルブの開弁時の作動角中心位相を可変とする構成とした。
かかる構成によると、前記可変動弁機構として、吸気バルブまたは排気バルブの作動角中心位相、つまりバルブタイミングを可変とするものに適用した場合は、一般に、回転同期で検出されることにより低速域での検出遅れによって可変バルブタイミング機構の振動の振幅が増大しようとするのを、より効果的に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、実施形態における車両用内燃機関の構成図であり、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ107は、それぞれ排気側カムシャフト110,吸気側カムシャフト134に設けられたカムによって開閉駆動されるが、吸気側カムシャフト134には、クランクシャフト120に対する回転位相を変化させることで、バルブタイミング(吸気バルブ作動角の中心位相)を変化させるスパイラルラジアルリンク式の可変バルブタイミング機構VTC113が設けられている。
尚、本実施形態では吸気バルブ側にのみ可変バルブタイミング機構VTC113を備える構成としたが、吸気バルブ側に代えて又は吸気バルブ側と共に、排気バルブ側に可変バルブタイミング機構VTC113を備える構成であっても良い。
また、各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、電磁式の燃料噴射弁131が設けられ、該燃料噴射弁131は、前記ECU114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)114には、各種センサからの検出信号が入力され、該検出信号に基づく演算処理によって、前記電子制御スロットル104,可変バルブタイミング機構VTC113及び燃料噴射弁131などを制御する。
前記各種センサとしては、アクセル開度を検出するアクセル開度センサAPS116、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランクシャフト120から回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、機関101の潤滑油温度を検出する油温センサ119、吸気側カムシャフト134から回転信号を取り出すカムセンサ132などが設けられている。
尚、前記クランク角センサ117から出力される回転信号に基づいてECU114において機関回転速度Neが算出される。
次に、前記可変バルブタイミング機構VTC113の構成を、図2〜図5に基づいて説明する。
前記可変バルブタイミング機構VTC113は、カムシャフト134と、駆動プレート2と、組付角調整機構4と、作動装置15と、VTCカバー6から構成される。
前記駆動プレート2は、機関101(クランクシャフト120)から回転が伝達されて回転する部材であり、前記組付角調整機構4は、前記カムシャフト134と駆動プレート2との組付角度を変化させる機構であって、作動装置15によって作動する。
前記VTCカバー6は、図示省略したシリンダヘッドとロッカカバーの前端に跨って取り付けられて、駆動プレート2と組付角調整機構4の前面とその周域を覆うカバーである。
前記カムシャフト134の前端部(図2における左側)には、スペーサ8が嵌合され、更に、このスペーサ8は、カムシャフト134のフランジ部134fに貫通されるピン80によって回転規制されている。また、前記カムシャフト134には、径方向に油供給孔134rが複数貫通形成されている。
前記スペーサ8は、図3に示すように、円盤状の係止フランジ8aと、この係止フランジ8aの前端面から軸方向に延びる円管部8bと、同じく係止フランジ8aの前端面であって円管部8bの基端側から外径方向の3方に延びて軸方向と平行な圧入穴8cが形成された軸支持部8dとが形成されている。
尚、上記軸支持部8d及び圧入穴8cは、図3に示すように、それぞれ周方向に120°毎に配置される。
また、前記スペーサ8には、油を供給する油供給孔8rが径方向に貫通形成されている。前記駆動プレート2は、中心に貫通穴2aが形成された円盤状に形成されており、前記スペーサ8に対して係止フランジ8aによって軸方向の変位を規制された状態で相対回転自在に組み付けられている。
また、駆動プレート2は、図3に示すように、その後部外周に、クランクシャフト120から図示省略したチェーンを介して回転が伝達されるタイミングスプロケット3が形成されている。
更に、駆動プレート2の前端面には、貫通穴2aと外周とを結んで外径方向に3つのガイド溝2gが形成されており、前記ガイド溝2gは、前記軸支持部8dと同様に、周方向に120°毎に配置される。
また、駆動プレート2の前端面の外周部には、円環状のカバー部材2cが溶接或いは圧入により固定されている。本実施形態において、従動回転体は、カムシャフト134及びスペーサ8によって構成され、駆動回転体は、タイミングスプロケット3を含む駆動プレート2によって構成される。
前記組付角調整機構4は、カムシャフト134と駆動プレート2との前端部側に配置されて、カムシャフト134と駆動プレート2との組付相対角度を変更するものである。この組付角調整機構4は、図3に示すように、3本のリンクアーム14を有している。
前記各リンクアーム14は、先端部にスライド部としての円筒部14aが設けられ、また、この円筒部14aから外径方向に延びるアーム部14bが設けられている。前記円筒部14aには、収容孔14cが貫通して形成されている一方、アーム部14bの基端部には、回動部としての回動穴14dが貫通して形成されている。
前記リンクアーム14は、前記スペーサ8の圧入穴8cにきつく圧入された回動ピン81に対して回動穴14を装着して、回動ピン81を中心に回動可能に取り付けられている。
一方、リンクアーム14の円筒部14aは、前記駆動プレート2の径方向ガイドとしてのガイド溝2gに挿入されて、駆動プレート2に対して径方向に移動可能(スライド可能)に取り付けられている。
上記構成において、円筒部14aが外力を受けてガイド溝2gに沿って径方向にスライド変位すると、リンクアーム14によるリンク作用により回動ピン81が前記円筒部14aの径方向の変位量に応じた角度だけ周方向に移動することになるもので、この回動ピン81の変位によりカムシャフト134が駆動プレート2に対して相対回転することになる。
図4及び図5は、前記組付角調整機構4の作動を示すもので、図4に示すように、円筒部14aがガイド溝2gにおいて駆動プレート2の外周側に配置されているときには、基端部の回動ピン81がガイド溝2gに近い位置に引っ張られているもので、この位置が最遅角位置となる。
一方、図5に示すように、円筒部14aがガイド溝2gにおいて駆動プレート2の内周側に配置されているときには、回動ピン81が周方向に押されてガイド溝2gから離れるもので、この位置が最進角位置となる。
上記組付角調整機構4における前記円筒部14aの径方向への移動は、前記作動装置15により行われ、この作動装置15は、作動変換機構40と増減速機構41とを備えている。
前記作動変換機構40は、リンクアーム14の円筒部14aに保持された球22と、前記駆動プレート2の前面に対向して同軸に設けられたガイドプレート24とを備え、このガイドプレート24の回転を前記リンクアーム14における円筒部14aの径方向の変位に変換する機構である。
前記ガイドプレート24は、前記スペーサ8の円管部8bの外周に金属系のブッシュ23を介して相対回転可能に支持されている。また、前記ガイドプレート24の後面には、断面略半円状で周方向の変位に伴って径方向に変位する渦巻きガイドとしての渦巻状ガイド溝28が形成され、かつ、径方向の中間部には、油の供給を行う油供給孔24rが前後方向に貫通して形成されている。
前記渦巻状ガイド溝28には、前記球22が係合されている。即ち、前記リンクアーム14の円筒部14aに設けられた収容孔14cには、図2及び図3に示すように、円盤状の支持パネル22aと、コイルスプリング22bと、リテーナ22cと、球22とが順に挿入されている。また、前記リテーナ22cは、前端部に球22が飛び出した状態で支持する椀状の支持凹部22dが形成されていると共に、外周に前記コイルスプリング22bが着座するフランジ22fが形成されている。
そして、図2に示す組付状態では、コイルスプリング22bが圧縮され、支持パネル22aが駆動プレート2の前面に押し付けられ、かつ、前記球22が渦巻状ガイド溝28に押し付けられて上下方向で係合すると共に、渦巻状ガイド溝28の延在方向には相対移動可能となっている。
また、前記渦巻状ガイド溝28は、図4,5に示すように、駆動プレート2の回転方向Rに沿って次第に縮径するように形成されている。
従って、前記作動変換機構40は、前記球22が渦巻状ガイド溝28に係合した状態で、ガイドプレート24が駆動プレート2に対して回転方向Rに相対回転すると、球22が渦巻状ガイド溝28の渦巻き形状に沿って半径方向外側に移動し、これによりスライド部としての円筒部14aが、図4に示す外径方向に移動し、リンクアーム14に連結された回動ピン81がガイド溝2gに近づくように引きつけられ、カムシャフト134は遅角方向に移動する。
逆に、上記状態からガイドプレート24が駆動プレート2に対して回転方向Rとは逆方向に相対回転すると、球22は渦巻状ガイド溝28の渦巻き形状に沿って半径方向内側に移動し、これによりスライド部としての円筒部14aが、図5に示す内径方向に移動し、リンクアーム14に連結された回動ピン81がガイド溝2gから離れる方向に押され、この場合、カムシャフト134は進角方向に移動する。
次に、増減速機構41について詳細に説明する。
前記増減速機構41は、前記ガイドプレート24を駆動プレート2に対して増速及び減速、即ち、ガイドプレート24を駆動プレート2に対して回転方向R側に移動(増速)させたり、ガイドプレート24を駆動プレート2に対して回転方向Rとは反対側に移動(減速)させたりするものであり、遊星歯車機構25と第1電磁ブレーキ26と第2電磁ブレーキ27とを備えている。
前記遊星歯車機構25は、サンギヤ30と、リングギヤ31と、両ギヤ30,31に噛み合わされたプラネタリギヤ33とを備えている。
図2,図3に示すように、前記サンギヤ30は、ガイドプレート24の前面側の内周に一体的に形成されている。
前記プラネタリギヤ33は、前記スペーサ8の前端部に固定されたキャリアプレート32に回転自在に支持されている。
また、前記リングギヤ31は、前記キャリアプレート32の外側に回転自在に支持された環状の回転体34の内周に形成されている。
尚、前記キャリアプレート32は、前記スペーサ8の前端部に嵌合されて、ワッシャ37を前端部に当接させた状態でボルト9を貫通させてカムシャフト134に締結させて固定されている。
また、前記回転体34の前端面には、前方を向いた制動面35bを有した制動プレート35がねじ止めされている。
また、前記サンギヤ30が一体に形成されたガイドプレート24の外周にも、前方を向いた制動面36bを有した制動プレート36が溶接や嵌合などにより固定されている。
従って、前記遊星歯車機構25は、プラネタリギヤ33が自転せずにキャリアプレート32と共に公転したとすると、第1電磁ブレーキ26ならびに第2電磁ブレーキ27が非作動状態では、サンギヤ30とリングギヤ31はフリー状態で同速回転する。
この状態から第1電磁ブレーキ26のみを制動作動すると、ガイドプレート24がキャリアプレート32に対して(カムシャフト134に対して)遅れる方向(図4,5のR方向とは逆方向)に相対回転し、駆動プレート2とカムシャフト134とが、図5に示す進角方向に相対変位することになる。
一方、第2電磁ブレーキ27のみを制動作動すると、リングギヤ31のみに制動力が付与され、リングギヤ31がキャリアプレート32に対して遅れ方向に相対回転することによってプラネタリギヤ33が自転し、このプラネタリギヤ33の自転がサンギヤ30を増速させ、ガイドプレート24を駆動プレート2に対して回転方向R側に相対回転し、駆動プレート2とカムシャフト134とが図4に示す遅角方向に相対回転することになる。
尚、本実施形態において、キャリアプレート32が入力要素であり、サンギヤ30が出力要素であり、リングギヤ31がフリー要素となる。
前記第1電磁ブレーキ26及び第2電磁ブレーキ27は、それぞれ前述した制動プレート36,35の制動面36b,35bに対向するよう内外2重に配置されて、前記VTCカバー6の裏面にピン26p,27pによって回転のみを規制された浮動状態で支持された円管部材26r,27rを有している。
これらの円管部材26r,27rには、コイル26c,27cが収容されていると共に、各コイル26c,27cへの通電時に各制動面35b,36bに押し付けられる摩擦材26b,27bが装着されている。
また、各円管部材26r,27r及び各制動プレート35,36は、コイル26c,27cへの通電時に磁界を形成するために鉄などの磁性体により形成されている。
それに対して、前記VTCカバー6は、通電時に磁束の漏れを生じさせないために、また、摩擦材26b,27bは、永久磁石化して非通電時に制動プレート35,36に貼り付くのを防止するために、アルミなどの非磁性体により形成されている。
前記遊星歯車機構25の出力要素としてのサンギヤ30が設けられたガイドプレート24と駆動プレート2の相対回動は、最遅角位置および最進角位置において組付角ストッパ60により規制されるようになっている。
更に、前記遊星歯車機構25において、リングギヤ31と一体的に設けられている制動プレート35と、キャリアプレート32との間には、遊星歯車ストッパ90が設けられている。
ところで、上述した前記作動変換機構40は、リンクアーム14の円筒部14aの位置を保持して、駆動プレート2とカムシャフト134との相対組付位置が変動しない構成となっているもので、その構成について説明する。
前記駆動プレート2からカムシャフト134には、リンクアーム14およびスペーサ8を介して駆動トルクが伝達されるが、カムシャフト134からリンクアーム14には、機関弁(吸気バルブ105)からの反力によるカムシャフト134の変動トルクが、回動ピン81からリンクアーム14の両端の枢支点を結ぶ方向の力Fとして入力される。
前記リンクアーム14の円筒部14aは、径方向ガイドとしてのガイド溝2gに沿って径方向に案内されているとともに、円筒部14aから前面に突出した球22が、渦巻状ガイド溝28に係合されているため、各リンクアーム14を介して入力される力Fは、ガイド溝2gの左右の壁とガイドプレート24の渦巻状ガイド溝28とによって支持される。
したがって、リンクアーム14に入力された力Fは互いに直交する二つの分力FA,FBに分解されるが、これらの分力FA,FBは、渦巻状ガイド構28の外周側の壁と、ガイド溝2gの一方の壁とに略直交する向きで受け止められ、リンクアーム14の円筒部14aがガイド溝2gに沿って移動することが阻止され、これにより、リンクアーム14が回動することが阻止される。
よって、各電磁ブレーキ26,27の制動力によってガイドプレート24が回動されてリンクアーム14が所定の位置に回動操作された後には、基本的には制動力を付与し続けなくてもリンクアーム14の位置を維持、つまり、駆動プレート2とカムシャフト134の回転位相をそのまま保持することができる。
尚、前記力Fは、外径方向に作用することに限られず、逆向きの内径方向に作用することもあるが、このとき分力FA,FBは渦巻状ガイド溝28の内周側の壁と、ガイド構2gの他方側とに略直角の向きに受け止められる。
以下、上記可変バルブタイミング機構VTC113の作用を説明する。クランクシャフトとカムシャフト134の回転位相を遅角側に制御する場合には、第2電磁ブレーキ27に通電する。第2電磁ブレーキ27に通電すると、第2電磁ブレーキ27の摩擦材27bが制動プレート35に摩擦接触し、遊星歯車機構25のリングギヤ31に制動力が作用し、タイミングスプロケット3の回転に伴ってサンギヤ30が増速回転される。
このサンギヤ30の増速回転によりガイドプレート24が駆動プレート2に対して回転方向R側に回転させられ、これに伴ってリンクアーム14に支持された球22が渦巻状ガイド溝28の外周側に移動する。この遅角側への移動は、組付角ストッパ60により図4に示す最遅角位置において規制される。
更に、上述のように、リングギヤ31の回転を第2電磁ブレーキ27により制動するにあたり、瞬時に回転を規制するのではなく所定量の回転を許しながら制動を行うもので、この回転量が所定量となると遊星歯車ストッパ90によりリングギヤ31の回転が規制されるようになっている。
一方、カムシャフト134の組付角度を進角方向に変位させるときには、第1ブレーキ26に通電する。
これにより、ガイドプレート24に制動力が作用してガイドプレート24は駆動プレート2に対して回転方向Rとは反対方向に回動し、カムシャフト134は進角側に組付角度が変位される。
このガイドプレート24の変位によって、プラネタリギヤ33が自転してリングギヤ31が増速回転されるが、この回転量が所定量となると遊星歯車ストッパ90により回転が規制される。
前記ECU114は、クランクシャフト120に対するカムシャフト134の目標進角値(目標の回転位相差)をバルブタイミングの目標値として設定し、クランク角センサ117の検出信号とカムセンサ132の検出信号とから検出される実際の進角値と前記目標値との偏差及び偏差の方向に基づいて、前記第1電磁ブレーキ26及び第2電磁ブレーキ27への通電をフィードバック制御し、実際の進角値が目標の進角値に一致すると、両電磁ブレーキ26,27への通電を停止させて、そのときの進角位置を維持させる。
本発明が適用される可変バルブタイミング機構は、上記のものに限らない。
以下に、本発明が適用される第2実施形態におけるVTC113の構成を、図6〜図12に基づいて説明する。
図6に示すように、前記VTC113は、前記吸気側のカムシャフト134と、このカムシャフト134の前端部に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト120に連係されるタイミングスプロケット302を外周に有する駆動リング303と、この駆動リング303とカムシャフト134の前方側(図6中左側)に配置されて、両者303,301の組付角を操作する組付角操作機構304と、この組付角操作機構304のさらに前方側に配置されて、同機構304を駆動する操作力付与手段305と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとヘッドカバーの前面に跨って取り付けられて組付角操作機構304と操作力付与手段305の前面と周域を覆う図外のVTCカバーと、を備えている。
駆動リング303は、段差状の挿通孔306を備えた短軸円筒状に形成され、この挿通孔306部分が、カムシャフト134の前端部に結合された従動軸部材307に回転可能に組み付けられている。
そして、駆動リング303の前面(カムシャフト134と逆側の面)には、図7に示すように、対面する平行な側壁を有する3個の径方向溝308(径方向ガイド)が駆動リング303のほぼ半径方向に沿うように形成されている。
また、従動軸部材307は、図6に示すように、カムシャフト134の前端部に突き合わされる基部側外周に拡径部が形成されると共に、その拡径部よりも前方側の外周面に放射状に突出する3個のレバー309が一体に形成され、軸芯部を貫通するボルト310によってカムシャフト134に結合されている。
各レバー309には、リンク311の基端がピン312によって軸支連結され、各リンク311の先端には前記各径方向溝308に摺動自由に係合する円柱状の突出部313が一体に形成されている。
各リンク311は、突出部313が対応する径方向溝308に係合した状態において、ピン312を介して従動軸部材307に連結されているため、リンク311の先端側が外力を受けて径方向溝308に沿って変位すると、駆動リング303と従動軸部材307とはリンク311の作用によって突出部313の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
また、各リンク311の先端部には、軸方向前方側に開口する収容穴314が形成され、この収容穴314に、後述する渦巻き溝315(渦巻き状ガイド)に係合する球面突起316aを有する係合ピン316(転動部材)と、この係合ピン316を前方側(渦巻き溝315側)に付勢するコイルばね317とが収容されている。
なお、この実施形態においては、リンク311の先端の突出部313と係合ピン316、コイルばね317等とによって径方向に変位可能な可動案内部が構成されている。
一方、従動軸部材307のレバー309の突設位置よりも前方側には、円板状のフランジ壁318aを有する中間回転体318が、軸受331を介して回転自在に支持されている。
この中間回転体318のフランジ壁318aの後面側には、断面半円状の前述の渦巻き溝315が形成され、この渦巻き溝315に、前記各リンク311の先端の係合ピン316が転動自在に案内係合されている。
渦巻き溝315の渦巻きは、駆動リング303の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されている。
従って、各リンク311先端の係合ピン316が渦巻き溝315に係合した状態において、中間回転体318が駆動リング303に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク311の先端部は径方向溝308に案内されつつ、渦巻き溝315の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体318が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
この実施形態の組付角操作機構304は、以上説明した駆動リング303の径方向溝308、リンク311、突出部313、係合ピン316、レバー309、中間回転体318、渦巻き溝315等によって構成されている。
この組付角操作機構304は、操作力付与手段305から中間回転体318にカムシャフト134に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝315と係合ピン316の係合部を通してリンク311の先端を径方向に変位させ、このときリンク311とレバー309の作用によって駆動リンク303と従動軸部材307に相対的な回動力を伝達する。
一方、操作力付与手段305は、中間回転体318を駆動リング303の回転方向に付勢するゼンマイばね319と、中間回転体318を駆動リング303の回転方向と逆方向に付勢すべく制動する機構であるヒステリシスブレーキ320と、を備えてなり、内燃機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ320の制動力を適宜制御することにより、中間回転体318を駆動リング303に対して相対回動させ、或いは、この両者の回動位置を維持するようになっている。
ゼンマイばね319は、駆動リング303に一体に取り付けられた円筒部材321にその外周端部が結合される一方で、内周端部が中間回転体318の円筒状の基部に結合され、全体が中間回転体318のフランジ壁318aの前方側スペースに配置されている。
一方、ヒステリシスブレーキ320は、中間回転体318の前端部にリテーナプレート322を介して取り付けられた有底円筒状のヒステリシスリング323と、非回転部材である図外のVTCカバーに回転を規制される状態で取り付けられた磁界制御手段としての電磁コイル324(アクチュエータ)と、電磁コイル324の磁気を誘導する磁気誘導部材であるコイルヨーク325と、を備え、電磁コイル324が機関の運転状態に応じて前記ECU114によって通電制御されるようになっている。
ヒステリシスリング323は、図10に示すように、外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束力が変化する特性(磁気的ヒステリシス特性)を持つヒステリシス材(半硬質材)によって形成され、外周側の円筒壁323a部分が前記コイルヨーク325によって制動作用を受けるようになっている。
コイルヨーク325は、電磁コイル324を取り囲むように全体が略円筒形状に形成され、その内周面が軸受328を介して従動軸部材307の先端部に回転可能に支持されている。
そして、コイルヨーク325の後部面側(中間回転体318側)には、磁気入出部分が円筒状の隙間をもって向かい合うように周面状の一対の対向面326,327が形成されている。
また、図8に示すように、コイルヨーク325の両対向面326,327には夫々円周方向に沿って複数の凹凸が連続して形成され、これら凹凸のうちの凸部326a,327aが磁極(磁界発生部)を成すようになっている。
そして、一方の対向面326の凸部326aと他方の対向面327の凸部327aは円周方向に交互に配置され、対向面326,327相互の近接する凸部326a,327aがすべて円周方向にずれている。
従って、両対向面326,327の近接する凸部326a,327a間には、電磁コイル24の励磁によって図11に示すような円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。
そして、両対向面326,327間の隙間には前記ヒステリシスリング323の円筒壁323aが非接触状態で介装されている。
ここで、このヒステリシスブレーキ320の作動原理を図12によって説明する。
尚、図12(a)は、ヒステリシスリング323(ヒステリシス材)に最初に磁界をかけた状態を示し、図12(b)は、上記(a)の状態からヒステリシスリング323を変位(回転)させた状態を示す。
図12(a)の状態においては、コイルヨーク325の対向面326,327間の磁界の向き(対向面27の凸部327aから他方の対向面326の凸部327aに向かう磁界の向き)に沿うようにヒステリシスリング323内に磁束の流れが生じる。
この状態からヒステリシスリング323が図12(b)に示すように外力Fを受けて移動すると、外部磁界内をヒステリシスリング323が変位することになるため、このときヒステリシスリング323の内部の磁束は位相遅れをもち、ヒステリシスリング323の内部の磁束の向きは対向面326,327間の磁界の向きに対してずれる(傾斜する)ことになる。
従って、対向面327の凸部327aからヒステリシスリング323に入る磁束の流れ(磁力線)と、ヒステリシスリング323から他方の対向面326の凸部326aに向かう磁束の流れ(磁力線)が歪められ、このとき、この磁束の流れの歪みを矯正するような引き合い力が対向面326,327とヒステリシスリング323の間に作用し、その引き合い力がヒステリシスリング323を制動する抗力F’として働く。
前記ヒステリシスブレーキ320は、以上のようにヒステリシスリング323が対向面326,327間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング323の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング323の回転速度(対向面326,327とヒステリシスリング323の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、即ち、電磁コイル324の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
本実施形態に係るVTC113は以上のような構成となっており、ヒステリシスブレーキ320の電磁コイル324の励磁をオフにすると、ゼンマイばね319の付勢力によって中間回転体318が駆動リング303に対して機関回転方向に最大限回転し、係合ピン316が渦巻き溝315の外周側端面315aに突き当たる位置で規制され、この位置がVTC113の機構上で変更し得る相対位相の最遅角位置となる(図7参照)。
この状態から電磁コイル324の励磁をオンとすると、ゼンマイばね319の力に抗する制動力が中間回転体318に付与されて、中間回転体318が駆動リング303に対して逆方向に回転し、それによってリンク311の先端の係合ピン316が渦巻き溝315に誘導されることでリンク311の先端部が径方向溝308に沿って変位し、リンク11の作用によって駆動リング303と従動軸部材307の組付角が進角側に変更される。
そして、前記電磁コイル324の励磁電流を増大して制動力を増大していくと、ついには係合ピン316が渦巻き溝315の内周側端面315bに突き当たる位置で規制され、この位置がVTC113の機構上で変更し得る相対位相の最進角位置となる(図9参照)。
この状態から電磁コイル324の励磁電流が減少して制動力が減少すると、ゼンマイばね319の付勢力によって中間回転体318が正方向に戻り回転し、渦巻き溝315による係合ピン316の誘導によってリンク311が上記と逆方向に揺動し、駆動リング303と従動軸部材307の組付角が遅角側に変更される。
このように、このVTC113によって可変されるクランクシャフト120に対するカムシャフト134の相対位相(吸気バルブ105の作動角の中心位相)は、電磁コイル324の励磁電流値を制御してヒステリシスブレーキ320の制動力を制御することによって任意に変更され、ゼンマイばね319の力とヒステリシスブレーキ320の制動力のバランスによってその位相を保持することができる。
更に、本実施形態のVTC113には、駆動リング303側に支持されるロックピン351を、渦巻き溝315が形成される中間回転体318に設けられたピン穴352に嵌合させることで、駆動リング303に対する中間回転体318の相対回転を制限して、係合ピン316の径方向溝308における位置を固定し、以って、ロックピン351とピン穴352との嵌合位置で決められる中間位相にロックするロック機構が設けられている。
前記中間位相とは最遅角位置よりも進角される始動時に要求される相対位相である。
前記ロックピン351は、ばね力によって中間回転体318に向けて突出する方向に付勢されており、ECU114で制御される電磁アクチュエータ353(又は電磁弁で供給油圧が制御される油圧アクチュエータ)により、前記ばね力に抗して駆動リング303側に引き戻されるようになっている。
中間回転体318がゼンマイばね319によって最遅角側に付勢されていることから、前記ロック機構による非ロック状態で、かつ、ヒステリシスブレーキ320の制動力が働かない機関の停止時(キースイッチのOFF時)であるときには、最遅角位置に戻ることになる。
しかし、前記ロック機構によってロックを行えば、機関の停止中に、始動時に要求される相対位相に対応する位置に固定されることになり、次回の始動時には、ロック状態のまま始動させれば、始動時に要求される相対位相(バルブタイミング)での機関運転を始動開始時から実現できることになる。
かかる可変バルブタイミング機構においても、電磁アクチュエータ353へのへの通電量によってバルブタイミングのフィードバック制御が行われる。
これら可変バルブタイミング機構におけるフィードバック制御は、可変バルブタイミング機構の作動特性(バルブタイミング)を、所定の規範応答モデルに対応した応答速度で収束するように制御する一方、動摩擦係数の変化による動特性の変動を抑制するための本発明に係る構成が付加される。
図13は、上記制御のブロック線図を示す。
目標値算出部Aは、機関運転状態に基づいて、吸気バルブ105のバルブタイミングの目標値を算出する。
目標値変化量制限部Bは、前記目標値の変化量を制限する。
モデル追従制御部Cは、前記変化量を制限された目標値と、可変バルブタイミング機構VTC113によって制御される吸気バルブ105の制御量(バルブタイミング検出値)とに基づいて、規範応答モデルに基づいて設定された応答速度で目標値に追従するように操作量を算出して、可変バルブタイミング機構VTC113に出力する。
図14は、上記制御の詳細なフローチャートを示す。
ステップS1では、吸気バルブ105のバルブタイミングの基本目標値θabを、機関運転状態(回転速度、負荷)に基づいて算出する。
ステップS2では、前記ステップS1で算出した基本目標値θabと、前回の最終的に設定されたフィードバック制御用の目標値θaaとの偏差dθa(=θab−θaa)、つまり、目標値変化量の絶対値|dθa|を算出する。
ステップS3では、機関回転速度Neと潤滑油温度Toとに基づいて、許容目標値変化量dθaaを以下のように算出する。
可変バルブタイミング機構による吸気バルブのバルブタイミング変化速度と、動摩擦係数との関係を図15に示す。バルブタイミングの変化速度dθが大きくなるほど、動摩擦係数が減少する。
したがって、目標値変化量が大きく実変化速度が大きくなるほど、変化前の変化速度0から最大変化速度までの動摩擦係数μkの変化幅が大きくなって、規範応答モデルで設定した応答速度に良好に追従できなくなり、ゲインを高めて追従させようとすると振動を生じ安定した挙動が得られない。
そこで、図示のように、安定した挙動が確保される動摩擦係数の変化幅に制限するように許容上限応答速度を設定し、該許容上限応答速度に対応する許容目標値変化量を設定する。
ここで、動摩擦係数μkは、同一の変化速度dθに対して機関回転速度が高いときほど減少する。これは、可変バルブタイミング機構がカム反力を受けて振動し、高速時は、その振動周波数が高いためディザー効果によって動き易くなるためと考えられる。
また、動摩擦係数μkは、潤滑油温度については、所定温度までは温度の上昇に応じて潤滑油粘度が減少することによって減少するが、それより温度上昇すると油膜が薄くなることなどによって増大する。
そこで、許容目標値変化量の基本値dθaa0(>0)に、図16に示す機関回転速度Neに応じた第1補正係数k1と、図17に示す潤滑油温度Toに応じた第2補正係数k2とを乗算することにより、最終的な許容目標値変化量dθaaを算出する。
図14に戻って、ステップS4では、ステップS2で算出した目標値変化量|dθa|が、前記許容目標値変化量dθaa以上あるかを判定する。
|dθa|≧dθaaと判定されたときは、ステップS5へ進み、目標値変化量dθaが正の値であるか、つまり、バルブタイミングを進角方向に変化させるときであるかを判定する。
dθaが正の値と判定されたときは、ステップS6へ進み、前回のフィードバック制御用の目標値θaaoに、許容目標値変化量dθaaを加算した値を、今回のフィードバック制御用の目標値θaaとして設定する。
一方、dθaが負の値と判定されたときつまり、バルブタイミングを遅角方向に変化させるときであるかは、ステップS7へ進み、前回の目標値θaaoから許容目標値変化量dθaaを減算した値を、今回の目標値θaaとして設定する。
また、ステップS4で|dθa|<dθaaと判定されたときは、ステップS8へ進み、ステップS1で設定した基本目標値θabを、そのまま今回のフィードバック制御用の目標値θaaとして設定する。
ステップS9では、前記ステップS7またはステップS8で設定されたバルブタイミングの目標値θaaと、上記のようにクランク角センサ117の検出信号とカムセンサ132の検出信号とから検出される検出値θrとに基づいて、フィードバック制御における操作量を算出して出力する。
詳細には、目標値θaaに対し規範応答モデルで設定された応答遅れを持たせた規範目標値を設定し、該規範目標値に追従するように可変バルブタイミング機構の動特性モデル(運動方程式)に基づいてフィードフォワード操作量を設定すると共に、前記規範目標値と検出値θrとの偏差に応じたフィードバック操作量(PID分)を設定し、前記フィードフォワード操作量とフィードバック操作量とを加算して出力する。これにより、目標値の変化に対し、所望の応答速度で追従するように制御される。
以下に、上記制御の作用を説明する。
図18は、機関運転状態に基づいて設定される基本目標値θabが大きくステップ変化したときの様子を示す。目標値変化量dθaを許容目標値変化量dθaaで制限してフィードバック制御に用いる目標値θaaが得られる。
目標値変化量dθaが許容目標値変化量dθaaと等しく制限されているときは、実バルブタイミングの変化速度dθは、目標値の許容目標値変化量dθaaに応じた変化速度と一致する。規範応答モデルの応答速度は、目標値変化量dθa(dθaaで一定)に応じた所定時間(一定時間)遅れて目標値θaaに追従するからである。
したがって、この間は動摩擦係数μkが一定に維持され動特性の変動を防止できる。
目標値変化量dθaを許容目標値変化量dθaaより小さい変化開始時と収束付近では、
機関運転状態に基づいて設定される目標値θanに基づいて制御され、実変化速度が前記最大許容応答速度以下の範囲内で変化し、これに応じて動摩擦係数μkも変動するが、上述したように、この変化幅が小さく制限されているので、安定した挙動が確保される。
このように、可変バルブタイミング機構の挙動を、動摩擦係数の変化幅を制限しつつ規範応答モデルに応じた応答速度でフィードバック制御することにより、安定化することができ、ひいては内燃機関のトルク変動を抑制できる。
図19は、基本目標値θabが3回分変化するときのフィードバック制御用の目標値θaaを設定する様子を示す。
時刻t0での基本目標値θab0は、フィードバック制御用の目標値θaa0と一致している。
時刻t1での基本目標値θab1は、前回の目標値θaa0からの変化量が許容目標値変化量dθaaより小さいので、基本目標値θab1がそのままフィードバック制御用の目標値θaa1として設定される。
時刻t2では、基本目標値θab2の、その前の目標値θaa1からの変化量dθaが許容目標値変化量dθaaより大きいので、前回の目標値θaa1に許容目標値変化量dθaaを加算した値が、時刻t2でのフィードバック制御用の目標値θaa2として設定される。
時刻t3では、基本目標値θab3の、その前の目標値θaa2からの変化量dθaが許容目標値変化量dθaaより小さいので、基本目標値θab3がそのままフィードバック制御用の目標値θaa3として設定される。
また、実施形態では、機関回転速度、潤滑油温度によって変化する許容上限応答速度に対し、動摩擦係数の変動幅を一定とするように、機関回転速度、潤滑油温度に基づいて目標値変化量を補正して設定したことにより、機関回転速度や潤滑油温度の変化によらず可変動弁機構の安定した挙動を維持できる。
なお、潤滑油温度の検出は、簡易的には機関冷却水温度の検出で代用してもよい。
また、実施形態では、可変動弁機構として、吸気バルブまたは排気バルブのバルブタイミングを可変な可変バルブタイミング機構に適用し、可変バルブタイミング機構は、一般に、回転同期で検出されることにより低速域での検出遅れによって可変バルブタイミング機構の振動の振幅が増大しようとするのを、効果的に抑制することができる。
ただし、本発明は、吸気バルブまたは排気バルブの他の作動特性、例えば、リフト量や作動角を可変とする可変動弁機構に適用することもでき、上記効果が得られるものである。
実施の形態における内燃機関のシステム構成図。 実施の形態における可変バルブタイミング機構を示す断面図。 上記可変バルブタイミング機構の分解斜視図。 上記可変バルブタイミング機構の要部の作動を示す図2のA−A断面図。 上記可変バルブタイミング機構の要部の作動を示す図2のA−A断面図。aを設定する様子を示すタイムチャート。 別の実施の形態における可変バルブタイミング機構を示す断面図。 図6のA−A線に沿う断面図。 図6のB−B線に沿う断面図。 上記VTC機構の作動状態を示す図7と同様の断面図。 ヒステリシス材の磁束密度−磁界特性を示すグラフ。 図8の部分拡大断面図。 図11の部品を直線状に展開した模式図であり、初期状態(a)とヒステリシスリングが回転したとき(b)の磁束の流れを示す図。 バルブタイミングのフィードバック制御を示すブロック線図 バルブタイミングのフィードバック制御を示すフローチャート。 バルブタイミング変化速度と、動摩擦係数との関係を示すタイムチャート。 機関回転速度に応じた第1補正係数k1を示す線図。 潤滑油温度に応じた第2補正係数k2を示す線図。 基本目標値θabが大きくステップ変化したときの各種状態量の変化の様子を示すタイムチャート。 基本目標値θabが3回分変化するときのフィードバック制御用の目標値θa
符号の説明
101…内燃機関 105…吸気バルブ 113…可変バルブタイミング機構VTC114…エンジンコントロールユニット 117…クランク角センサ 119…油温センサ 120…クランクシャフト 132…カムセンサ 134…カムシャフト
303…駆動リング、318…中間回転体、351…ロックピン、352…ピン穴、353…電磁アクチュエータ

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの作動特性を可変な可変動弁機構を備え、前記作動特性の目標値を機関運転状態に基づいて設定し、所定の規範応答モデルに対応した応答速度で前記作動特性を目標値に収束させるように操作量を設定して、前記可変動弁機構に出力する可変動弁機構の制御装置において、
    前記機関運転状態に基づく目標値と規範応答モデルに基づいて設定される応答速度が、前記可変動弁機構の動摩擦係数に応じて設定した許容上限応答速度より大きいときは、応答速度を許容上限応答速度とするように前記作動特性の目標値を修正し、該修正した目標値にしたがって操作量を設定する一方、
    前記目標値の修正は、該目標値の変化量を制限することにより行い、
    かつ、前記許容上限応答速度は、機関回転速度が高いほど低い値に設定することを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  2. 潤滑油温度が所定値のときの許容上限応答速度を最小とし、所定値との偏差が大きいほど許容上限応答速度を大きい値に設定することを特徴とする請求項1に記載の可変動弁機構の制御装置。
  3. 前記可変動弁機構は、吸気バルブまたは排気バルブの開弁時の作動角中心位相を可変とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変動弁機構の制御装置。
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