JP4956454B2 - 可変バルブタイミング機構の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、可変バルブタイミング機構の制御装置において、可変バルブタイミング機構の動作速度によらず安定した制御応答性を得られるようにすることを目的とする。
また、バルブタイミングを進角方向に変更するときと、遅角方向に変更するときとで、異なる種類の駆動源によって駆動されることにより、同一の操作量を与えても駆動力が相違するので、制御方向によって制御ゲインの大きさを異ならせて設定することにより、同等の制御応答とすることができる。
請求項2に係る発明は、前記制御ゲイン設定手段は、バルブタイミングを進角方向に変更するときと、遅角方向に変更するときとで、別々に制御ゲインを設定することを特徴とする。
摩擦係数を、機関の潤滑油温度に応じて可変に設定することを特徴とする。
請求項2に係る発明によると、潤滑油温度に影響されず、より高精度な制御を行うことができる。
また、請求項3に係る発明は、
前記操作量設定手段は、可変バルブタイミング機構を運動方程式によってモデル化した特性を用い、前記目標バルブタイミングに対し、所望の遅れを有した応答(規範応答)で変化する規範バルブタイミングを演算し、該規範バルブタイミングを得られるフィードフォワード操作量を演算することを特徴とする。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記燃料噴射弁131は、エンジンコントロールユニット(以下、ECUと略す)114からの噴射パルス信号Tiによって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
前記各種センサとしては、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ116、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランクシャフト120から基準クランク角位置毎(4気筒でクランク角180°毎)の基準クランク角信号REF及び単位クランク角毎の単位角度信号POSを取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、機関101の冷却水温度TWを検出する水温センサ119、機関101の潤滑油温度TOを検出する油温センサ120、吸気側カムシャフト134から基準カム角毎(クランク角180°に相当するカム角で90°毎)のカム信号CAMを取り出すカムセンサ132などが設けられている。
次に、前記VTC113の構成を、図2〜図8に基づいて説明する。
図2に示すように、前記VTC113は、前記吸気側のカムシャフト134と、このカムシャフト134の前端部に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト120に連係されるタイミングスプロケット302を外周に有する駆動リング303と、この駆動リング303とカムシャフト134の前方側(図2中左側)に配置されて、両者303,301の組付角を操作する組付角操作機構304と、この組付角操作機構304のさらに前方側に配置されて、同機構304を駆動する操作力付与手段305と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとヘッドカバーの前面に跨って取り付けられて組付角操作機構304と操作力付与手段305の前面と周域を覆う図外のVTCカバーと、を備えている。
そして、駆動リング303の前面(カムシャフト134と逆側の面)には、図3に示すように、対面する平行な側壁を有する3個の径方向溝308(径方向ガイド)が駆動リング303のほぼ半径方向に沿うように形成されている。
各レバー309には、リンク311の基端がピン312によって軸支連結され、各リンク311の先端には前記各径方向溝308に摺動自由に係合する円柱状の突出部313が一体に形成されている。
なお、この実施形態においては、リンク311の先端の突出部313と係合ピン316、コイルばね317等とによって径方向に変位可能な可動案内部が構成されている。
この中間回転体318のフランジ壁318aの後面側には、断面半円状の前述の渦巻き溝315が形成され、この渦巻き溝315に、前記各リンク311の先端の係合ピン316が転動自在に案内係合されている。
従って、各リンク311先端の係合ピン316が渦巻き溝315に係合した状態において、中間回転体318が駆動リング303に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク311の先端部は径方向溝308に案内されつつ、渦巻き溝315の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体318が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
この組付角操作機構304は、操作力付与手段305から中間回転体318にカムシャフト134に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝315と係合ピン316の係合部を通してリンク311の先端を径方向に変位させ、このときリンク311とレバー309の作用によって駆動リンク303と従動軸部材307に相対的な回動力を伝達する。
一方、ヒステリシスブレーキ320は、中間回転体318の前端部にリテーナプレート322を介して取り付けられた有底円筒状のヒステリシスリング323と、非回転部材である図外のVTCカバーに回転を規制される状態で取り付けられた磁界制御手段としての電磁コイル324(アクチュエータ)と、電磁コイル324の磁気を誘導する磁気誘導部材であるコイルヨーク325と、を備え、電磁コイル324が機関の運転状態に応じて前記ECU114によって通電制御されるようになっている。
コイルヨーク325は、電磁コイル324を取り囲むように全体が略円筒形状に形成され、その内周面が軸受328を介して従動軸部材307の先端部に回転可能に支持されている。
また、図4に示すように、コイルヨーク325の両対向面326,327には夫々円周方向に沿って複数の凹凸が連続して形成され、これら凹凸のうちの凸部326a,327aが磁極(磁界発生部)を成すようになっている。
従って、両対向面326,327の近接する凸部326a,327a間には、電磁コイル24の励磁によって図7に示すような円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。
ここで、このヒステリシスブレーキ320の作動原理を図8によって説明する。
尚、図8(a)は、ヒステリシスリング323(ヒステリシス材)に最初に磁界をかけた状態を示し、図8(b)は、上記(a)の状態からヒステリシスリング323を変位(回転)させた状態を示す。
この状態からヒステリシスリング323が図8(b)に示すように外力Fを受けて移動すると、外部磁界内をヒステリシスリング323が変位することになるため、このときヒステリシスリング323の内部の磁束は位相遅れをもち、ヒステリシスリング323の内部の磁束の向きは対向面326,327間の磁界の向きに対してずれる(傾斜する)ことになる。
この状態から電磁コイル324の励磁電流が減少して制動力が減少すると、ゼンマイばね319の付勢力によって中間回転体318が正方向に戻り回転し、渦巻き溝315による係合ピン316の誘導によってリンク311が上記と逆方向に揺動し、駆動リング303と従動軸部材307の組付角が遅角側に変更される。
前記ロックピン351は、ばね力によって中間回転体318に向けて突出する方向に付勢されており、ECU114で制御される電磁アクチュエータ353(又は電磁弁で供給油圧が制御される油圧アクチュエータ)により、前記ばね力に抗して駆動リング303側に引き戻されるようになっている。
しかし、前記ロック機構によってロックを行えば、機関の停止中に、始動時に要求される相対位相に対応する位置に固定されることになり、次回の始動時には、ロック状態のまま始動させれば、始動時に要求される相対位相(バルブタイミング)での機関運転を始動開始時から実現できることになる。
図9は、制御全体のブロック線図を示す。
VTC目標回転角度演算部Aは、機関運転状態(機関回転速度Ne、負荷Te等)に基づいて、VTC113の目標回転角度θm、つまり吸気バルブ105の目標バルブタイミングを演算する。
制御ゲイン演算部Cは、VTC113の回転角度、つまり、カムセンサによって検出されるクランクシャフト120に対する吸気側カムシャフト134の相対回転角度(相対位相)を入力して、該VTC回転角度θの変化量であるVTC回転角速度dθ/dt(VTC113の動作速度)を演算し、該VTC回転角速度dθ/dtに応じて制御ゲインを算出する。
そして、上記フィードフォワード操作量FFとフィードバック操作量FBとを加算したトータル操作量が、VTC113に出力され、バルブタイミングが制御される。
図10は、本発明に係る上記制御ゲイン演算部Cの一実施の形態の詳細を示す。
VTC113の摩擦係数は、進角方向へ制御するときと、遅角方向へ制御するときとで相違する。これは、制御方向によって、係合ピン316が渦巻き溝315の内周面側を摺動するか、外周面側を摺動するかが切り換えられ、これらを摺動するときの摩擦係数が相違することに起因する。なお、他の渦巻き溝を有しない形式の電磁VTCや、電動VTCにおいても、摩擦摺動面の状態等で摩擦係数は、進角方向へ制御するときと、遅角方向へ制御するときとで相違することがあり、したがって、本発明は、これら他の電磁VTCや電動VTCにも適用できるものである。
したがって、
F=Fr+μ1M
ただし、μ1は、進角方向制御時の真の摩擦係数、Mは、可動部の質量
ここで、フィードバック制御の操作量で可変とされる駆動力Fと摩擦抵抗とが、見かけ上の摩擦係数μ1’を用いて釣り合うように書き直すと、
F=μ1’M
μ1’=(Fr+μ1M)/M=Fr/M+μ1
となって、見かけ上の摩擦係数μ1’は、真の摩擦係数μ1よりFr/Mだけ増大する。
すなわち、
Fr−F=μ2M
ただし、μ2は、遅角方向制御時の真の摩擦係数
そして、駆動力Fと摩擦抵抗とが、見かけ上の摩擦係数μ2’を用いて釣り合うように書き直すと、
F=μ2’M
μ2’=(Fr−μ2M)/M=−(μ2−Fr/M)
摩擦係数の正負は、制御方向によるものであり、大きさについて絶対値で比較すると、見かけ上の摩擦係数|μ2’|は、真の摩擦係数|μ2|よりFr/Mだけ減少する。
そこで、本実施形態では、制御ゲインを、進角方向制御時と遅角方向制御時とで別々に設定することで、制御方向の相違による制御応答の相違を吸収する構成とする。
上述のように演算されたVTC回転角速度dθ/dtに対する制御ゲイン特性を設定したマップテーブルを、進角方向制御時と、遅角方向制御時とで、別々に設ける(C2,C3)。
また、上述した制御方向による相違を考慮し、進角用ゲインは、遅角用ゲインより大きい値に設定されている。
そして、前記VTC回転角速度dθ/dtが正(進角方向制御時)であるか否(遅角方向制御時)かを判別し(C4)、進角方向制御時と判定されたときは、前記進角方向制御時用のマップテーブルから検索した摩擦係数Dを選択し、遅角方向制御時と判定されたときは、前記遅角方向制御時用のマップテーブルから検索した摩擦係数μを選択して出力する(C5)。
VTC規範回転角度θkと、検出されたVTC回転角度θとの偏差Δθ(=θk−θ)を算出する(D1)。
前記偏差Δθに、比例ゲインpを乗じてフィードバック比例分FBpを算出する。
前記偏差Δθに積分ゲインiを乗じた後、離散時間積分処理(最新値に前回値を積算)して、フィードバック積分分FBiを算出する。
そして、これら各フィードバック操作量FBp、FBi、FBdを加算し、トータルのフィードバック操作量FBを演算する(D2)。
図13は、上記制御ゲイン演算部Cの別の実施形態の詳細を示す。
すなわち、摩擦係数は、潤滑油温度によっても変化する。具体的には、潤滑油はVTC各部の摺動摩擦面に供給され、潤滑油温度が増大すると潤滑油の粘度が小さくなって摩擦係数が減少するが、所定温度より増大すると、今度は、潤滑油膜が薄くなることなどによって摩擦係数は増加に転じる。
Claims (3)
- 内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブのバルブタイミングを可変な可変バルブタイミング機構であって、前記バルブタイミングの進角方向または遅角方向のいずれか一方への変更を電磁アクチュエータを用いて行い、他方への変更を反力源を用いて行う可変バルブタイミング機構の制御装置において、
機関運転状態に基づいて、目標バルブタイミングを設定する目標バルブタイミング設定手段と、
実際のバルブタイミングを検出するバルブタイミング検出手段と、
前記目標バルブタイミングおよび実際のバルブタイミングに基づいて、制御の操作量を設定する操作量設定手段と、を備え、
前記可変バルブタイミング機構の制御中の動作速度を検出する速度検出手段と、
前記可変動弁機構によるフィードバック制御における制御ゲインを、検出された動作速度が小さいほど大きくなるように、バルブタイミングを進角方向に変更するときと、遅角方向に変更するときとで別々に設定し、かつ、前記電磁アクチュエータを用いる方向へ変更するときは、前記反力源を用いる方向へ変更するときより大きい値に設定する制御ゲイン設定手段と、
を含んで構成したことを特徴とする可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 摩擦係数を、機関の潤滑油温度に応じて可変に設定することを特徴とする請求項1に記載の可変バルブタイミング機構の制御装置。
- 前記操作量設定手段は、可変バルブタイミング機構を運動方程式によってモデル化した特性を用い、前記目標バルブタイミングに対し、所望の遅れを有した応答(規範応答)で変化する規範バルブタイミングを演算し、該規範バルブタイミングを得られるフィードフォワード操作量を演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変バルブタイミング機構の制御装置。
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