JP2007138857A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料の供給が行われる機関の減速運転状態において、有効圧縮比の低下を抑止して燃焼性を向上させつつ、エンジンストールの発生を回避する。
【解決手段】スロットルバルブがアイドル相当開度ではない燃料供給が行われる減速運転時に、吸気バルブの閉時期が下死点となるバルブタイミングに制御し、スロットルバルブがアイドル相当開度になると、最大速度で遅角側に制御して、バルブオーバーラップの小さいアイドル時の目標バルブタイミングに速やかに移行させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、吸気バルブのバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関し、詳しくは、減速時における吸気バルブのバルブタイミングの制御技術に関する。
特許文献1に開示されるバルブタイミング制御装置では、吸気バルブのバルブタイミングを進角してバルブオーバーラップを大きくしている走行状態から、スロットル弁が閉じられた場合に、バルブタイミングの進角量をゼロ(最遅角位置)としてバルブオーバーラップ量を小さくし、シリンダ内における残留ガス量が少なくなるようにすることで、失火による減速ショックやエンジンストールなどの発生を防止するようにしている。
特開平08−232695号公報
ところで、従来では、降坂走行中や定速走行中などで、燃料の供給が行われる減速運転がなされる場合、係る減速運転状態においても、バルブオーバーラップが小となるバルブタイミングに制御されるようにして、耐エンスト性を向上させるようにしていた。
しかし、吸気バルブのバルブタイミングを遅角させてバルブオーバーラップ量を小さくすると、吸気バルブの閉時期が下死点よりも大きく遅れるために、有効圧縮比が低下して燃焼性が悪化し、減速運転中にサージが発生する可能性があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料の供給が行われる機関の減速運転状態において、有効圧縮比の低下を抑止して燃焼性を向上させることを目的とする。
そのため請求項1記載の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置は、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転において、吸気バルブのバルブタイミングをアイドル運転時に比して進角側に制御することを特徴とする。
上記構成によると、吸気負圧が大きいアイドル運転時には、バルブオーバーラップを小さくし、これにより、シリンダ残留ガス量(内部EGR量)を少なくして燃焼安定性の確保を図る場合、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転においては、前記アイドル運転時のバルブタイミングよりもより進角側に制御することで、吸気バルブの閉時期が下死点から大きく遅れることがないようにし、燃焼の悪化を招く有効圧縮比の低下を防ぐ。
従って、燃料供給が行われる減速運転において、有効圧縮比の低下を抑止してサージの発生を防止できる。
請求項2記載の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置は、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転において、吸気バルブの閉時期が下死点付近になる目標バルブタイミングに基づいて制御することを特徴とする。
上記構成によると、燃料供給が行われる減速運転時には、吸気バルブの閉時期が下死点付近になる目標バルブタイミングに基づいて制御することで、前記減速運転時における有効圧縮比を高くする。
従って、燃料供給が行われる減速運転時に、有効圧縮比の低下による燃焼性の悪化を防ぐことができる。
請求項3記載の発明では、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転から、スロットルバルブがアイドル相当開度になったときに、吸気バルブのバルブタイミングを、通常よりも高い応答速度で遅角方向に制御することを特徴とする。
上記構成によると、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転では、吸気バルブのバルブタイミングを進角側に制御して有効圧縮比の確保を図るが、スロットルバルブがアイドル相当開度になると、アイドル運転時におけるシリンダ残留ガス量を低下させてアイドル安定性を確保すべく、通常よりも高い応答速度で遅角方向(バルブオーバーラップが小となる側)に制御する。
従って、燃料供給が行われる減速運転でのサージ発生を防止しつつ、スロットルバルブがアイドル相当開度になると速やかにバルブタイミングを遅角させて、バルブオーバーラップが小さくシリンダ残留ガスが少ないバルブタイミングにして、失火による減速ショックの発生やエンジンストールの発生を防止できる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、燃料噴射弁131が設けられる。
前記燃料噴射弁131は、エンジンコントロールユニット114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
燃焼室106内の燃料は、図示省略した点火プラグによる火花点火によって着火燃焼する。
燃焼排気は、燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記吸気バルブ105及び排気バルブ107は、それぞれ排気側カムシャフト110,吸気側カムシャフト134に設けられたカムによって開閉駆動されるが、吸気側カムシャフト134には、クランクシャフト120に対する吸気側カムシャフト134の相対位相を変化させることで、吸気バルブ105の作動角の中心位相を連続的に変化させる可変バルブタイミング機構113が設けられている。
前記エンジンコントロールユニット114は、マイクロコンピュータを含んで構成され、予め記憶されたプログラムに従って各種センサからの検出信号を演算処理することによって、前記電子制御スロットル104,可変バルブタイミング機構113及び燃料噴射弁131などの制御信号を出力する。
前記各種センサとしては、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ116、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランクシャフト120から基準クランク角位置毎の基準クランク角信号REF及び単位クランク角毎の単位角度信号POSを取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、機関101の冷却水温度を検出する水温センサ119、吸気側カムシャフト134から基準カム角毎のカム信号CAMを取り出すカムセンサ132などが設けられている。
ここで、前記クランクシャフト120の基準クランク角位置から吸気側カムシャフト134の基準カム位置までの位相差を計測することで、前記可変バルブタイミング機構113によるバルブタイミングの進角量を検出できるようになっている。
次に、前記可変バルブタイミング機構113の構成を、図2〜図8に基づいて説明する。
図2に示すように、前記可変バルブタイミング機構113は、前記吸気側のカムシャフト134と、このカムシャフト134の前端部に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト120に連係されるタイミングスプロケット302を外周に有する駆動リング303と、この駆動リング303とカムシャフト13の前方側(図2中左側)に配置されて、両者303,301の組付角を操作する組付角操作機構304と、この組付角操作機構304のさらに前方側に配置されて、同機構304を駆動する操作力付与手段305と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとヘッドカバーの前面に跨って取り付けられて組付角操作機構304と操作力付与手段305の前面と周域を覆う図外のVTCカバーと、を備えている。
駆動リング303は、段差状の挿通孔306を備えた短軸円筒状に形成され、この挿通孔306部分が、カムシャフト13の前端部に結合された従動軸部材307に回転可能に組み付けられている。
そして、駆動リング303の前面(カムシャフト13と逆側の面)には、図3に示すように、対面する平行な側壁を有する3個の径方向溝308(径方向ガイド)が駆動リング303のほぼ半径方向に沿うように形成されている。
また、従動軸部材307は、図2に示すように、カムシャフト13の前端部に突き合わされる基部側外周に、拡径部が形成されると共に、前記拡径部よりも前方側の外周面に、放射状に突出する三つのレバー309が一体に形成され、軸芯部を貫通するボルト310によってカムシャフト13に結合されている。
前記3つのレバー309それぞれには、リンク311の基端がピン312によって軸支連結され、各リンク311の先端には前記各径方向溝308に摺動自由に係合する円柱状の突出部313が一体に形成されている。
前記各リンク311は、突出部313が径方向溝308に係合する状態において、ピン312を介して従動軸部材307に連結されているため、リンク311の先端側が外力を受けて径方向溝308に沿って変位すると、駆動リング303と従動軸部材307とはリンク311の作用によって突出部313の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
また、各リンク311の先端部には、軸方向前方側に開口する収容穴314が形成され、この収容穴314に、後述する渦巻き溝315(渦巻き状ガイド)に係合する球面突起316aを有する係合ピン316(転動部材)と、この係合ピン316を前方側(渦巻き溝315側)に付勢するコイルばね317とが収容されている。
尚、本実施形態においては、リンク311の先端の突出部313,係合ピン316,コイルばね317等によって径方向に変位可能な可動案内部が構成される。
一方、従動軸部材307におけるレバー309突設位置よりも前方側には、円板状のフランジ壁318aを有する中間回転体318が、軸受331を介して回転自在に支持されている。
この中間回転体318のフランジ壁318aの後面側には、断面半円状の前述の渦巻き溝315が形成され、この渦巻き溝315に、前記各リンク311の先端の係合ピン316が転動自在に案内係合されている。
渦巻き溝315の渦巻きは、駆動リング303の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されている。
従って、各リンク311先端の係合ピン316が渦巻き溝315に係合した状態において、中間回転体318が駆動リング303に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク311の先端部は径方向溝308に案内されつつ、渦巻き溝315の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体318が進み方向に相対変位すると、リンク311の先端部は半径方向外側に移動する。
本実施形態の組付角操作機構304は、以上説明した駆動リング303の径方向溝308,リンク311,突出部313,係合ピン316,レバー309,中間回転体318,渦巻き溝315等によって構成されている。
前記組付角操作機構304は、操作力付与手段305から中間回転体318に対してカムシャフト13に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝315と係合ピン316の係合部を通してリンク311の先端を径方向に変位させ、このときリンク311とレバー309の作用によって駆動リンク303と従動軸部材307に相対的な回動力を伝達する。
一方、操作力付与手段305は、中間回転体318を駆動リング303の回転方向に付勢するゼンマイばね319と、中間回転体318を駆動リング303の回転方向と逆方向に付勢すべく制動する機構であるヒステリシスブレーキ320と、を備えてなり、内燃機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ320の制動力を適宜制御することにより、中間回転体318を駆動リング303に対して相対回動させ、或いは、この両者の回動位置を維持するようになっている。
前記ゼンマイばね319は、駆動リング303に一体に取り付けられた円筒部材321にその外周端部が結合される一方で、内周端部が中間回転体318の円筒状の基部に結合され、全体が中間回転体318のフランジ壁318aの前方側スペースに配置されている。
一方、ヒステリシスブレーキ320は、中間回転体318の前端部にリテーナプレート322を介して取り付けられた有底円筒状のヒステリシスリング323と、非回転部材である図外のVTCカバーに回転を規制される状態で取り付けられた磁界制御手段としての電磁コイル324(アクチュエータ)と、電磁コイル324の磁気を誘導する磁気誘導部材であるコイルヨーク325と、を備え、電磁コイル324が機関の運転状態に応じて前記エンジンコントロールユニット114によって通電制御されるようになっている。
ヒステリシスリング323は、図6に示すように、外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束力が変化する特性(磁気的ヒステリシス特性)を持つヒステリシス材(半硬質材)によって形成され、外周側の円筒壁323a部分が前記コイルヨーク325によって制動作用を受けるようになっている。
コイルヨーク325は、電磁コイル324を取り囲むように、全体が略円筒形状に形成され、その内周面が軸受328を介して従動軸部材307の先端部に回転可能に支持されている。
そして、コイルヨーク325の後部面側(中間回転体318側)には、磁気入出部分が円筒状の隙間をもって向かい合うように周面状の一対の対向面326,327が形成されている。
また、図4に示すように、コイルヨーク325の両対向面326,327には夫々円周方向に沿って複数の凹凸が連続して形成され、これら凹凸のうちの凸部326a,327aが磁極(磁界発生部)を成すようになっている。
そして、一方の対向面326の凸部326aと他方の対向面327の凸部327aとは円周方向に交互に配置され、対向面326,327相互の近接する凸部326a,327aがすべて円周方向にずれている。
従って、両対向面326,327の近接する凸部326a,327a間には、電磁コイル24の励磁によって図7に示すような円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。
そして、両対向面326,327間の隙間には前記ヒステリシスリング323の円筒壁323aが非接触状態で介装されている。
ここで、このヒステリシスブレーキ320の作動原理を図8によって説明する。
尚、図8(a)は、ヒステリシスリング323(ヒステリシス材)に最初に磁界をかけた状態を示し、図8(b)は、上記(a)の状態からヒステリシスリング323を変位(回転)させた状態を示す。
図8(a)の状態においては、コイルヨーク325の対向面326,327間の磁界の向き(対向面27の凸部327aから他方の対向面326の凸部327aに向かう磁界の向き)に沿うようにヒステリシスリング323内に磁束の流れが生じる。
この状態からヒステリシスリング323が図8(b)に示すように外力Fを受けて移動すると、外部磁界内をヒステリシスリング323が変位することになるため、このときヒステリシスリング323の内部の磁束は位相遅れをもち、ヒステリシスリング323の内部の磁束の向きは、対向面326,327間の磁界の向きに対してずれる(傾斜する)ことになる。
従って、対向面327の凸部327aからヒステリシスリング323に入る磁束の流れ(磁力線)と、ヒステリシスリング323から他方の対向面326の凸部326aに向かう磁束の流れ(磁力線)とが歪められ、このとき、この磁束の流れの歪みを矯正するような引き合い力が対向面326,327とヒステリシスリング323の間に作用し、その引き合い力がヒステリシスリング323を制動する抗力F’として働く。
前記ヒステリシスブレーキ320は、以上のようにヒステリシスリング323が対向面326,327間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング323の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング323の回転速度(対向面326,327とヒステリシスリング323の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、即ち、電磁コイル324の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
上記構成を有する可変バルブタイミング機構113において、ヒステリシスブレーキ320の電磁コイル324の励磁をオフにすると、ゼンマイばね319の付勢力によって中間回転体318が駆動リング303に対して機関回転方向に最大限回転し、係合ピン316が渦巻き溝315の外周側端面315aに突き当たる位置で規制され、この位置が機構上で変更し得る相対位相の最遅角位置となる(図3参照)。
この状態から電磁コイル324の励磁をオンとすると、ゼンマイばね319の力に抗する制動力が中間回転体318に付与されて、中間回転体318が駆動リング303に対して逆方向に回転し、それによってリンク311の先端の係合ピン316が渦巻き溝315に誘導されることでリンク311の先端部が径方向溝308に沿って変位し、リンク11の作用によって駆動リング303と従動軸部材307の組付角が進角側に変更される。
そして、前記電磁コイル324の励磁電流を増大して制動力を増大していくと、最終的には、係合ピン316が渦巻き溝315の内周側端面315bに突き当たる位置で規制され、この位置が機構上で変更し得る相対位相の最進角位置となる(図5参照)。
前記最進角位置の状態から電磁コイル324の励磁電流が減少して制動力が減少すると、ゼンマイばね319の付勢力によって中間回転体318が正方向に戻り回転し、渦巻き溝315による係合ピン316の誘導によってリンク311が上記と逆方向に揺動し、駆動リング303と従動軸部材307の組付角が遅角側に変更される。
このように、クランクシャフト120に対するカムシャフト13の相対位相(吸気バルブ105の作動角の中心位相)は、電磁コイル324の励磁電流値を制御してヒステリシスブレーキ320の制動力を制御することによって任意に変更され、ゼンマイばね319の力とヒステリシスブレーキ320の制動力とのバランスによってその位相を保持することができる。
更に、本実施形態の可変バルブタイミング機構113には、駆動リング303側に支持されるロックピン351を、渦巻き溝315が形成される中間回転体318に設けられたピン穴352に嵌合させることで、駆動リング303に対する中間回転体318の相対回転を制限して、係合ピン316の径方向溝308における位置を固定し、以って、ロックピン351とピン穴352との嵌合位置で決められる中間位相にロックするロック機構が設けられている。
前記中間位相とは最遅角位置よりも進角される始動時に要求される相対位相である。
前記ロックピン351は、ばね力によって中間回転体318に向けて突出する方向に付勢されており、エンジンコントロールユニット114で制御される電磁アクチュエータ353(又は電磁弁で供給油圧が制御される油圧アクチュエータ)により、前記ばね力に抗して駆動リング303側に引き戻されるようになっている。
中間回転体318がゼンマイばね319によって最遅角側に付勢されていることから、前記ロック機構による非ロック状態で、かつ、ヒステリシスブレーキ320の制動力が働かない機関の停止時(キースイッチのOFF時)であるときには、最遅角位置に戻ることになる。
しかし、前記ロック機構によってロックを行えば、機関の停止中に、始動時に要求される相対位相に対応する位置に固定されることになり、次回の始動時には、ロック状態のまま始動させれば、始動時に要求される相対位相(バルブタイミング)での機関運転を始動開始時から実現できることになる。
尚、可変バルブタイミング機構113を、上記のような電磁式の機構に限定するものではなく、例えば、特開2001−050063号公報に開示されるような油圧式の機構を採用することができる。
次に、前記エンジンコントロールユニット114による可変バルブタイミング機構113の制御、即ち、吸気バルブ105の作動角の中心位相の制御を示す。
本実施形態において、排気バルブ107は、作動角及び該作動角の中心位相が一定であるのに対し、吸気バルブ105は前記可変バルブタイミング機構113によってその作動角の中心位相が進遅角制御され、この結果、図9に示すように、吸気バルブ105の作動角の中心位相が進角されるとバルブオーバーラップが大きくなり、吸気バルブ105の作動角の中心位相が遅角されるとバルブオーバーラップ量は小さくなる。
尚、前記可変バルブタイミング機構113の最進角位置では、吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点若しくは下死点よりも前になるように設定されている。
前記エンジンコントロールユニット114は、機関負荷及び機関回転速度に応じて設定される目標バルブタイミング(目標進角値)に基づいて前記可変バルブタイミング機構113を制御するが、基本的には、低中回転・高負荷時には、バルブタイミングを進角させて充填効率の増大を図り、それ以外の運転領域では相対的にバルブタイミングを遅らせる。更に、アイドル運転時にはシリンダ残留ガス量(内部EGR量)の増大による燃焼安定性の低下を防止すべく、バルブオーバーラップが小さくなるようにバルブタイミングを遅角させる。
更に、本願発明に特徴的に制御として、減速運転時に図10のフローチャートに示すようにして、吸気バルブ105のバルブタイミングを制御する。
図10のフローチャートにおいて、ステップS11では、機関回転速度及び/又は車速が所定速度以上で減少変化しているか否かを判断することで、減速運転状態であるか否かを判断する。
そして、減速運転状態ではないと判断されたときには、ステップS12へ進み、通常に、機関負荷・機関回転速度に応じた目標バルブタイミングに基づいて前記可変バルブタイミング機構113をフィードバック制御する。
尚、機関回転速度は、クランク角センサ117からの検出信号に基づいて算出され、また、機関負荷は、例えば、機関回転速度・吸入空気量等から算出される燃料噴射弁131の燃料噴射量から判断される。
一方、減速運転状態であると判断すると、ステップS13へ進み、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になっているか否かを判断する。
前記スロットルバルブ103bがアイドル相当開度であるか否かは、スロットルセンサ118で検出されるスロットルバルブ103bの開度が、アイドル学習位置になっているか否かで判断される。
前記アイドル学習位置とは、アイドル時の要求吸入空気量となっている状態でのスロットルセンサ118の検出出力を学習した値である。
尚、アクセルと機械的に連動してスロットルバルブが開閉する機関であっても良く、その場合には、スロットルバルブの全閉位置でオンとなるアイドルスイッチを設け、前記ステップS13で前記アイドルスイッチがオンであるか否かを判断させることができる。
スロットルバルブ103bがアイドル相当開度でない減速運転状態、即ち、燃料噴射弁131による燃料噴射(機関への燃料供給)が行われる減速運転状態であるときには、ステップS14へ進む。
本実施形態における内燃機関101では、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度であって、機関回転速度が所定回転以上であるときに、燃料噴射弁131による燃料噴射を停止させる所謂減速燃料カットが行われるように予めプログラムされている。
ここで、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度でない場合には、前記減速燃料カットは行われないから、ステップS13でスロットルバルブ103bがアイドル相当開度でないと判断されたときには、減速運転状態ではあるものの、燃料噴射が行われる運転状態であると判断される。
そして、燃料噴射が行われる減速運転状態においてはステップS14へ進み、吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点BDCとなるバルブタイミング(進角値)を目標として、可変バルブタイミング機構113をフィードバック制御させる。
一方、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になっている場合には、ステップS15へ進み、アイドル時の目標であるバルブオーバーラップが小となる目標バルブタイミング(例えば最遅角位置)に向けて可変バルブタイミング機構113を遅角側に最大速度で制御する。
即ち、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になる前のスロットルバルブ103bの開度が減少しつつある減速状態では、アイドル時の要求よりも吸気バルブ105のバルブタイミングを進角側に制御することで、吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点BDCになるように制御し、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になると、アイドル運転に備えてバルブオーバーラップをより小とすべく、最大速度で遅角方向に制御する。
スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になる前の減速運転状態では、吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点BDCとなるような進角状態に制御することで、有効圧縮比を高く確保でき、これによって、燃焼性の悪化によるサージの発生を防止できる。更に、バルブオーバーラップを比較的大きくすることによってシリンダ残留ガス(内部EGR)を多くして、ポンピングロスの低下や比熱比の増大を図れる。
但し、上記のような進角されバルブオーバーラップの大きい状態のまま、アイドル運転に移行すると、シリンダ残留ガス量(内部EGR量)が過多となって失火によるラフアイドルやエンジンストールを生じさせることになってしまうため、スロットルバルブ103bがアイドル相当開度になると、通常よりも早い最大速度で遅角側に制御して、バルブオーバーラップが小となるバルブタイミングに速やかに移行させ、失火によるラフアイドルやエンジンストールの発生を防止する(図11参照)。
最大速度(通常よりも高い応答速度)での遅角方向への制御は、例えば、目標進角値と実際の進角値との偏差に応じて電磁コイル324の励磁電流をフィードバック制御するときのゲインを変更する他、フィードバック制御によって励磁電流を徐々に減少させる制御に代えて、電磁コイル324の励磁電流をステップ的に遮断して、ゼンマイばね319の付勢力によって一挙に最遅角側に戻す制御を行わせることなどが含まれる。
ここで、本実施形態の電磁式の可変バルブタイミング機構113であれば、一般的に油圧式の可変バルブタイミング機構に比べて動作速度が速いため、エンジンストールの発生を防止するのに必要充分な速度で、閉時期IVCを下死点とする進角側のバルブタイミングからアイドル運転時に要求されるバルブオーバーラップが小となる遅角側のバルブタイミングにまで変化させることができる。
但し、油圧式の可変バルブタイミング機構であっても、必要な動作速度を確保できる場合があり、適用できる可変バルブタイミング機構は、電磁式のものに限定されない。
ところで、上記実施形態では、燃料噴射が行われる減速運転状態において吸気バルブ105の閉時期IVCが下死点BDCになるようなバルブタミングに制御させたが、燃料噴射が行われる減速運転状態において必要充分な有効圧縮比を確保できる下死点付近の所定範囲内に閉時期IVCが設定されるバルブタイミングであれば良く、吸気バルブ105の閉時期IVCの目標は、下死点BDCに限定されるものではない。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
電磁コイルの励磁によって発生する制動力によってクランクシャフトに対するカムシャフトの相対位相を変化させる機構によって、前記吸気バルブのバルブタイミングを制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
かかる構成によると、吸気バルブのバルブタイミングを比較的早い応答で変化させることができるため、内燃機関への燃料供給が行われる減速運転において、前記吸気バルブのバルブタイミングをアイドル運転時に比して進角側に制御しても、その後速やかにバルブタイミングを遅角させてオーバーラップを小にでき、エンジンストールの発生を確実に防止できる。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記内燃機関への燃料供給が行われる減速運転が、スロットルバルブがアイドル相当開度よりも開いていて、かつ、機関回転速度及び/又は車速が減少変化している状態であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
かかる構成によると、スロットルがアイドル相当開度よりも開いていて、かつ、機関回転速度及び/又は車速の減少変化している減速運転状態であり、所謂減速燃料カットが行われないときには、アイドル運転時に比してバルブタイミングを進角側に制御して、有効圧縮比の低下による燃焼性の悪化を防止する。
(ハ)内燃機関の吸気バルブのバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
スロットルバルブがアイドル相当開度よりも開いている内燃機関の減速運転時に、アイドル時の目標バルブタイミングよりも進角した目標バルブタイミングに制御し、スロットルバルブがアイドル相当開度になると、アイドル時の目標バルブタイミングに向けて制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
かかる構成によると、減速運転状態であっても直ぐにアイドル運転時に適合するバルブオーバーラップ小となる目標に向けての制御を開始させるのではなく、スロットルバルブがアイドル相当開度よりも開いていれば、アイドル時よりも進角側で閉時期が下死点により近く、有効圧縮比が大きくなる側に制御させ、スロットルバルブがアイドル相当開度になってから、アイドル時に適合する目標へ向けて制御させる。
実施形態における内燃機関のシステム構成図。 実施形態における可変バルブタイミング機構を示す断面図。 図2のA−A線に沿う断面図。 図2のB−B線に沿う断面図。 上記可変バルブタイミング機構の作動状態を示す図3と同様の断面図。 上記可変バルブタイミング機構のヒステリシス材の磁束密度−磁界特性を示すグラフ。 図4の部分拡大断面図。 図7の部品を直線状に展開した模式図であり、初期状態(a)とヒステリシスリングが回転したとき(b)の磁束の流れを示す図。 上記可変バルブタイミング機構によるバルブタイミングの変化を示す図。 実施形態における減速運転時のバルブタイミング制御を示すフローチャート。 実施形態における減速運転時のバルブタイミング制御の特性を示すタイムチャート。
符号の説明
101…内燃機関、105…吸気バルブ、113…可変バルブタイミング機構、114…エンジンコントロールユニット、117…クランク角センサ、118…スロットルセンサ、119…水温センサ、120…クランクシャフト、132…カムセンサ、134…カムシャフト

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気バルブのバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関への燃料供給が行われる減速運転において、前記吸気バルブのバルブタイミングをアイドル運転時に比して進角側に制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 内燃機関の吸気バルブのバルブタイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関への燃料供給が行われる減速運転において、前記吸気バルブの閉時期が下死点付近になる目標バルブタイミングに基づいて制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記内燃機関への燃料供給が行われる減速運転から、スロットルバルブがアイドル相当開度になったときに、前記吸気バルブのバルブタイミングを、通常よりも高い応答速度で遅角方向に制御することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014141751A1 (ja) * 2013-03-15 2014-09-18 日産自動車株式会社 内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法

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