JP5005206B2 - 色素増感太陽電池の作用極及びそれを備えた色素増感太陽電池並びに色素増感太陽電池の作用極の製造方法 - Google Patents
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Description
この色素増感太陽電池は、スイス・ローザンヌ工科大学のグレツェルが開発したもので、増感色素を表面に担持した酸化チタンを用いることで、光電変換効率が高く、製造コストが安い等の利点を有することから、次世代の太陽電池として注目を浴びている。
図において、1は色素増感型太陽電池であり、作用極2と、この作用極2に対向して配置された対極3と、作用極2と対極3との間の外周部に形成された封止部材4と、これら作用極2、対極3及び封止部材4、4により形成された領域内に封入された電解質5とにより概略構成されている。
凹凸面13bは、多孔質酸化物半導体層15の表面積を増大させることで多くの光を取り込むことができる形状であればよく、例えば、表面が平滑な場合の表面積に対して1.2〜20倍程度の表面積を有することが好ましい。
この透明基材11は、透明樹脂の中から電解質5への耐性等を考慮して適宜選択される。透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)等が好適に用いられる。
また、透明基材11としては、用途上、できる限り光透過性に優れた基材が好ましく、光透過率が90%以上の透明基材がより好ましい。
これらの導電性金属酸化物の中でも、成膜が容易であり、かつ安価であるという点を考慮すると、ITO、FTOのいずれかが好ましい。また、透明導電膜12は、ITOのみからなる単層のITO膜、あるいは、このITO膜上にFTOからなる膜を積層してなる積層膜が好ましい。
これにより、可視光領域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電膜12とすることができる。
金属酸化物としては特に限定されず、通常、太陽電池用の多孔質酸化物半導体層を形成するものであれば、いかなるものでも用いることができる。このような金属酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)等が好適に用いられる。
基材21としては、通常、太陽電池の基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。また、特に光透過性を有する必要がないので、金属板、合成樹脂板、合成樹脂フィルム、合成樹脂シート等、光透過性を有しないものでも好適に用いることができる。なお、透明基材11と同様のものであってもよい。
この電解質溶液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド誘導体、アミノ酸誘導体等が挙げられる。
この常温溶融性塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体等が挙げられる。
このイオン性液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンと、ヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン等からなる塩類を挙げることができる。
まず、図3(a)に示すように、透明樹脂からなる透明基材11の一方の面11a全域を覆うように透明導電膜12を形成する。この透明導電膜12を形成する方法としては、ITO、FTO等のターゲットを用いて成膜するスパッタリング法、ITO、FTO等の原料を含む塗布液を吹き付けて加熱しITO化、あるいはFTO化するスプレー熱分解法、ITO、FTO等の原料ガスを化学反応させて得られたITOあるいはFTOを堆積するCVD法等が好適に用いられる。
この金属酸化物ペースト31は、表面に増感色素が担持された金属酸化物微粒子と、有機溶媒と、バインダー成分等を混練して得られるペーストであり、金属酸化物微粒子としては、例えば、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、Nb2O5等が好適に用いられる。また、上記の増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造等を配位子として含むルテニウム錯体、ポリフィリン、フタロシアニン等の含金属錯体、エオシン、ローダミン、モロシアニン等の有機色素等が好適に用いられる。
次いで、上側のステンレス板32を加熱装置(図示略)を用いて加熱し、その温度を、例えば、100〜500℃の温度範囲に保持するとともに、下側のステンレス板33を加熱もしくは冷却し、ステンレス板32より低い温度、例えば、0〜200℃の温度範囲に保持する。
この加圧・加熱条件は、例えば、大気雰囲気中、温度:180〜220℃、圧力:1〜4kg/cm2、最高保持温度における保持時間:0.5〜180分である。
次いで、可動装置(図示略)を用いて、ステンレス板32を上昇させると同時に、ステンレス板33を下降させて型抜きする。
この色素担持は、例えば、次のようにして行うことができる。
例えば、アセトニトリルとt−ブタノールを容積比で1:1とした溶媒に対して極微量のN719色素粉末を加えて色素担持用の色素溶液とし、この色素溶液をシャーレ状の容器内に貯留する。次いで、この色素溶液に別途電気炉にて120〜150℃程度に加熱処理した被処理物を浸漬し、暗所にて一昼夜(およそ20時間)放置する。その後、この被処理物を色素溶液から取り出し、アセトニトリルとt−ブタノールからなる混合溶液を用いて洗浄し、乾燥する。
以上により、作用極2を作製することができる。
次いで、この対極3の導電膜22上に作用極2を重ね合わせ、これら対極3及び作用極2により形成されるセル領域の周囲を封止部材4にて封止する。
その後、これら作用極2、対極3及び封止部材4、4により形成された領域内に電解質溶液を注入し電解質5とする。
以上により、色素増感型太陽電池1を作製することができる。
(実施例)
透明基材11としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを使用し、この透明基材11上にITOからなる透明導電膜12を形成することにより、ITO−PEN透明導電性フィルムを作製した。次いで、金属酸化物ペースト31として酸化チタン微粒子ペーストを使用し、このITO−PEN透明導電性フィルム上に酸化チタン微粒子ペーストを塗布した。
この間に、ITO−PEN透明導電性フィルムと酸化チタン微粒子ペーストとの間の温度を測定したところ、約180℃に保たれていることが確認された。
これにより、平均膜厚が約15μm、面積が50×50mm2(実効表面積:5900mm2)の酸化チタン微粒子多孔膜を形成することができた。
一方、ガラス基板上にスパッタ法によりFTO(フッ素添加酸化スズ)を成膜し、さらに、このFTO膜上に白金を成膜し、対極とした。
その後、これら作用極及び対極を封止部材により封止し、さらに、メトキシアセトニトリルを溶媒とした揮発性の電解質溶液を注入し、実施例の色素増感型太陽電池を作製した。
実施例と同様にしてITO−PEN透明導電性フィルムを作製し、このITO−PEN透明導電性フィルム上に酸化チタン微粒子ペーストを塗布した。
次いで、このITO−PEN透明導電性フィルムの下に、冷却装置によって約20℃に保持されているステンレス板を配置し、さらに、酸化チタン微粒子ペーストに約250℃に加熱したステンレス板を押圧し、圧力2kg/cm2にて1時間焼結を行い、多孔質の酸化チタン層を形成した。
この間に、ITO−PEN透明導電性フィルムと酸化チタン微粒子ペーストとの間の温度を測定したところ、約180℃に保たれていることが確認された。
これにより、膜厚が約15μm、面積が50×50mm2の酸化チタン微粒子多孔膜を形成することができた。
また、実施例と同様にして、対極及び電解質溶液を作製し、これらを用いて比較例の色素増感型太陽電池を作製した。
表1に実施例及び比較例の色素増感型太陽電池の発電特性を示す。表1中の数値は、3個の試料の平均値である。
Claims (6)
- 透明基材上に透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に増感色素を表面に担持してなる多孔質酸化物半導体層が形成されてなる色素増感太陽電池の作用極であって、
前記多孔質酸化物半導体層の前記透明基材側の面は凹凸面とされ、
前記多孔質酸化物半導体層の前記透明基材と反対側の面は平坦面とされ、
前記透明基材の前記透明導電膜が設けられていない面は凹凸面とされていることを特徴とする色素増感太陽電池の作用極。 - 前記多孔質酸化物半導体層は、少なくとも前記透明導電膜上に形成された第1の層と該第1の層上に形成された第2の層とを備え、
前記第1の層の前記透明基材と反対側の面は凹凸面とされ、
前記第2の層は、前記第1の層の凹凸面を埋める様に形成され、かつ、前記透明基材と反対側の面が平坦面とされていることを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池の作用極。 - 請求項1または2記載の作用極と、この作用極の多孔質酸化物半導体層側に対向して配置された対極と、これら作用極と対極との間に封入された電解質とを備えてなることを特徴とする色素増感太陽電池。
- 透明基材上に透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に増感色素を表面に担持してなる多孔質酸化物半導体層が形成されてなる色素増感太陽電池の作用極の製造方法であって、
透明基材上に透明導電膜を形成する工程と、
前記透明導電膜上に酸化物半導体ペーストを塗布する工程と、
前記酸化物半導体ペーストが塗布された透明基材を挟むように、相補形状の凹凸を有する一対の板状体を配置し、これらの板状体を加熱しつつ前記透明基材に押圧してその両面に前記凹凸と相補形状の凹凸面を形成する工程とを備えてなることを特徴とする色素増感太陽電池の作用極の製造方法。 - 前記凹凸を形成する工程の後に、
前記酸化物半導体ペーストの前記透明基材と反対側の凹凸面上に、さらに酸化物半導体ペーストを塗布し、この凹凸面を平坦化する工程を備えてなることを特徴とする請求項4記載の色素増感太陽電池の作用極の製造方法。 - 前記板状体を加熱しつつ前記透明基材に押圧する際に、前記板状体の前記透明基材側の凹凸面を冷却することを特徴とする請求項4または5記載の色素増感太陽電池の作用極の製造方法。
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