JP5004521B2 - 有機el素子用化合物及び有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子用化合物及び有機EL素子に関する。
有機ELディスプレイ等の表示装置に用いられる有機EL素子は、例えば、ホール注入電極(陽極)と電子注入電極(陰極)との間に、発光性有機材料を含む発光層等の有機層を備えるものであり、この発光性有機化合物に上記電極から電界を印加することにより励起・発光させる素子である。
このような有機EL素子の発光性有機材料としては、多環芳香族炭化水素、例えば、ルブレン誘導体が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2003−55652号公報 特開2000−26337号公報
しかしながら、従来のルブレン誘導体は光酸化されやすく、例えば、大気中で蛍光灯による光照射をしただけでも分解されてしまうという問題点があった。このため、光酸化を避けるために遮光下で扱わなければならない等といった取り扱いの面での問題があった。さらに、光酸化によりルブレン誘導体が分解され純度が低下すると、有機EL素子として十分な発光効率が得られないことが問題となっていた。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、十分に光酸化に対する耐性が高く、且つ有機EL素子に用いた場合に十分な発光効率を得ることができる有機EL素子用化合物及びこの化合物を用いた有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表される化合物(ベンゾ[a]ナフタセン誘導体)を有機EL素子に用いることにより、上記目的を達成できることを見出した。
Figure 0005004521
ここで、式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示し、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R20、R21、R22及びR23(これらを一般にR基と表す。n=1〜4,10〜15,20〜23)は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。
但し、R基(n=1〜4,10〜15,20〜23)のうち、少なくとも1つは、下記一般式(6)で表される基、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基、又は、置換基を有していてもよい複素環基(但し、五員環を含む複素環基であって、該五員環中にヘテロ原子として、N及びO、又は、N及びSが存在するものを除く。)であり、R10及びR11の組、R12及びR13の組、R14及びR15の組、R20及びR21の組、R21及びR22の組、R22及びR23の組は、それぞれ一緒になって2価の基を形成していてもよい。
Figure 0005004521
ここで、式(6)中、R31は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示し、n1は2〜5の整数を示す。なお、一般式(1)で表される化合物としては、複数の化合物が包含され得るが、そのような化合物は単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
このような有機EL素子用化合物は、十分に光酸化に対する耐性が高く、且つ有機EL素子に用いた場合に十分な発光効率を得ることができる。このような効果の生じる理由は必ずしも明らかでないが、一般式(1)で表される化合物がベンゾ[a]ナフタセン骨格を有する点、R、R、R及びRとして上記所定の基を有する点に少なくとも起因するものと考えられる。
本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよい複素環基であることが好ましい。
光酸化の耐性及び有機EL素子の発光効率の更なる向上の観点から、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R20、R21、R22及びR23が、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は、置換基を有していてもよい複素環基であって、R20及びR21の組、R21及びR22の組、R22及びR23の組が、いずれも一緒になって2価の基を形成していないことが好ましく、R20、R21、R22及びR23が全て水素原子であることがより好ましい。
また、同様の観点から、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R10及びR11が、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は、R10とR11が一緒になって形成された−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)であることが好ましい。さらに、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R10及びR11が、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基であって、R10及びR11は、一緒になって2価の基を形成していないことが好ましく、R10及びR11が、全て水素原子であることがより好ましい。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R、R、R及びRのうち少なくとも1つが、下記一般式(7)で表される基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基であることが好ましい。このような化合物は光酸化に対する耐性が特に優れ、有機EL素子に用いた場合に優れた発光効率を示すが、このような効果は化合物がベンゾ[a]ナフタセン骨格を有しており、さらにR、R、R及びRの基が、上記所定の置換基を有した基であることによると考えられる。
Figure 0005004521
ここで、式(7)中、R32は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、n2は2を示す。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基であり、該置換基を有していてもよいアリール基が、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいターフェニル基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基であることが好ましい。このような化合物は、合成が容易であり、酸化及び還元に対する耐性が高く、耐熱性に優れている。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R12、R13、R14及びR15が、全て水素原子であることが好ましい。このような化合物は、合成が容易であり、蛍光特性に優れている。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上記式(1)中、R12及びR13の組、又は、R14及びR15の組においてR基(n=12〜15)が一緒になって−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)を形成しており、−CH=CH−CH=CH−基を形成していないR基(n=12〜15)が全て水素原子であることも好ましい。このような化合物は、合成が容易であり、蛍光特性に優れている。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物であってもよい。このような化合物は、合成が容易であり、酸化及び還元に対する耐性が高く、耐熱性及び蛍光特性に優れている。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
ここで、式(I)、(II)中、Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。但し、Ar,Ar,Ar及びArのうち少なくとも1つは、下記一般式(7)で表される基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基である。
Figure 0005004521
式(7)中、R32は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、n2は2を示す。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(III)又は(IV)で表される化合物であってもよい。このような化合物は、酸化及び還元に対する耐性が高く、耐熱性及び蛍光特性に優れている。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
ここで、式(III)、(IV)中、Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。なお、一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、一般式(III)で表される化合物、一般式(IV)で表される化合物としては、それぞれ複数の化合物が包含され得るが、そのような化合物は単独で用いてもよく、それぞれの一般式に含まれる化合物を複数組み合わせも、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表される化合物を組み合わせて用いてもよい。例えば、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物とを組み合わせることができる。
本発明の有機EL素子は、互いに対向して配置されている2つの電極間に、1又は2以上の有機層を備える有機EL素子であって、この有機層のうち少なくとも1層は、前述した有機EL素子用化合物を含む。これにより、十分な発光効率を得ることができる有機EL素子を提供することが可能となる。
本発明によれば、十分に光酸化に対する耐性が高く、且つ有機EL素子に用いた場合に十分な発光効率を得ることができる有機EL素子用化合物及びこの化合物を用いた有機EL素子を提供することができる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(有機EL素子用化合物)
本発明の好適な実施形態に係る有機EL素子に用いられる化合物(有機EL素子用化合物)は、上述の一般式(1)で表されるベンゾ[a]ナフタセン誘導体(以下、場合により「化合物(1)」という。)である。
一般式(1)中、R基(n=1〜4,10〜15,20〜23)において「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、その炭素数は1〜12がよく、1〜6がより好ましく、1〜3が更に好ましい。好適なアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。なお、これらの「アルキル基」は、メトキシ基、エトキシ基などの置換基によって置換されていてもよいが、置換基を有しないアルキル基も好適である。
基(n=1〜4,10〜15,20〜23)はまた、「置換基を有していてもよいアリール基」であってもよい。この「アリール基」部分の具体例としては、以下の化学式(i−1)〜(i−17)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は、さらにメチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基等の置換基によって置換されていてもよい。
Figure 0005004521
基(n=1〜4,10〜15,20〜23)はまた、「置換基を有していてもよいアラルキル基」であってもよい。この「アラルキル基」部分の具体例としては、ベンジル基、ナフチルメチル基が挙げられる。これらの基は、さらにメチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基等の置換基によって置換されていてもよい。
基(n=1〜4,10〜15,20〜23)はまた、「置換基を有していてもよいアルコキシ基」であってもよい。この「アルコキシ基」部分の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なお、これらの基は、メトキシ基、エトキシ基などの置換基によって置換されていてもよいが、置換基を有しないアルコキシ基も好適である。
基(n=1〜4,10〜15,20〜23)はまた、「置換基を有していてもよいアリールオキシ基」であってもよい。この「アリールオキシ基」部分の具体例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が挙げられる。これらの基は、さらにメチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基等の置換基によって置換されていてもよい。
基(n=1〜4,10〜15,20〜23)はまた、「置換基を有していてもよい複素環基」であってもよい。この「複素環基」部分の具体例としては、以下の化学式(ii−1)〜(ii−8)で表される基が挙げられる。これらの基は、さらにメチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基、ピリジル基等の置換基によって置換されていてもよい。
Figure 0005004521
なお、上述したようにR基(n=1〜4,10〜15,20〜23)のうち、少なくとも1つは、上述の一般式(6)で表される基、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基、又は、置換基を有していてもよい複素環基(但し、五員環を含む複素環基であって、該五員環中にヘテロ原子として、N及びO、又は、N及びSが存在するものを除く。)である。
ここで、式(6)中、R31における「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有していてもよいアリール基」、「置換基を有していてもよいアラルキル基」、「置換基を有していてもよいアルコキシ基」、「置換基を有していてもよいアリールオキシ基」及び「置換基を有していてもよい複素環基」としては、上述したR基(n=1〜4,10〜15,20〜23)の場合と同様なものが具体例として挙げられ、n1は2であることが好ましい。
また、上述の「置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基」の「N,N−ジフェニルアミノフェニル基」部分としては、N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル基が好ましい。なお、この基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基等の置換基によって置換されていてもよい。
さらに「置換基を有していてもよい複素環基(但し、五員環を含む複素環基であって、該五員環中にヘテロ原子として、N及びO、又は、N及びSが存在するものを除く。)」の「複素環基」部分としては、ピリジル基、ベンゾチオフェニル基、ピロール基、インドリル基、カルバゾール基、ピリミジル基が好ましい。なお、この基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基、ピリジル基等の置換基によって置換されていてもよい。
上述した、R10及びR11の組、R12及びR13の組、R14及びR15の組、R20及びR21の組、R21及びR22の組、R22及びR23の組が、それぞれ一緒になって形成される2価の基としては、以下の化学式(iii−1)〜(iii−5)で表される基が挙げられるが、この中で、化学式(iii−1)で表される基(この基は、上述した「−CH=CH−CH=CH−基」と同一の基を示す。)が好ましい。なお、式中、破線で表されている部分は、共役状態にあることを示す。これらの2価の基は、上述した置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよい複素環基によって置換されていてもよく、置換されていないことが好ましい。
Figure 0005004521
上記式(7)中、R32における「置換基を有していてもよいフェニル基」の「置換基」部分としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基が好ましい。また、「置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基」の「N,N−ジフェニルアミノフェニル基」部分としては、N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル基が好ましい。なお、この基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、シクロヘキシル基によって置換されていてもよい。
本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物(以下、場合により「化合物(I)、(II)」という。)であってもよい。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
ここで、式(I)及び(II)におけるAr,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。但し、Ar,Ar,Ar及びArのうち少なくとも1つは、上述した一般式(7)で表される基、又は、上述した置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基である。
なお、Ar,Ar,Ar及びArにおける「置換基を有していてもよいアリール基」及び「置換基を有していてもよい複素環基」としては、上述したR基(n=1〜4,10〜15,20〜23)の場合と同様なものが具体例として挙げられる。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(III)又は(IV)で表される化合物(以下、場合により「化合物(III)、(IV)」という。)であってもよい。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
ここで、式(III)、(IV)中、Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。
なお、Ar,Ar,Ar及びArにおける「置換基を有していてもよいアリール基」及び「置換基を有していてもよい複素環基」としては、上述したR基(n=1〜4,10〜15,20〜23)の場合と同様なものが具体例として挙げられる。
次に、化合物(1)の製造方法を、上記化合物(I)、(II)、(III)及び(IV)を例にとって説明する。
(A)下記一般式(a)で表されるフラン誘導体と、下記一般式(b)で表されるキノン誘導体を三臭化ホウ素存在下、反応させることにより、下記一般式(c)で表される化合物を得る。これに、アリールリチウム(d1)及び(d2)を作用させることで、下記一般式(e)で表される化合物を得、これに二塩化スズを作用させることにより、化合物(I)が得られる。なお、下記の反応式で表される製造方法では、ArとArとが異なる基となるが、同一のアリールリチウムを用いることにより、ArとArとを同一の基とすることもできる。
Figure 0005004521
ここで、R基(n=10〜15,20〜23)を導入するには、予めこのような基を備える化合物を原料として使用するか、R基(n=10〜15,20〜23)を有しない化合物を合成した後に、公知の反応によってこれらの基を導入する。
(B)上記一般式(a)で表される化合物に代えて、下記一般式(f)で表される化合物を用いること以外は、(A)と同様な反応を行うことで、化合物(II)が得られる。
Figure 0005004521
(C)下記一般式(g)で表されるフラン誘導体と、下記一般式(h)で表されるキノン誘導体を三臭化ホウ素存在下、反応させることにより、下記一般式(i)で表される化合物を得る。これに、アリールリチウム(j1)及び(j2)を作用させることで、下記一般式(k)で表される化合物を得、これに二塩化スズを作用させることにより、化合物(III)及び/又は化合物(IV)が得られる。なお、下記の反応式で表される製造方法では、ArとArとが異なる基となるが、同一のアリールリチウムを用いることにより、ArとArとを同一の基とすることもできる。
Figure 0005004521
本発明の有機EL素子用化合物の好適な具体例としては、下記式(I−1)〜(I−64)、(II−1)〜(II−43)、(III−1)〜(III−16)、(IV−1)〜(IV−16)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
Figure 0005004521
(有機EL素子)
図1は、本発明に係る有機EL素子の第1実施形態を示す模式断面図である。図1に示す有機EL素子100は、互いに対向して配置されている2つの電極(第1の電極1及び第2の電極2)により、発光層10が挟持された構造を有している。
図2は、本発明に係る有機EL素子の第2実施形態を示す模式断面図である。図2に示す有機EL素子200は、互いに対向して配置されている2つの電極(第1の電極1及び第2の電極2)により、ホール注入層14、ホール輸送層11、発光層10及び電子注入輸送層13が挟持された構造を有している。ホール注入層14、ホール輸送層11、発光層10及び電子注入輸送層13はいずれも有機層であり、第1の電極1側からこの順に積層されている。なお、電子注入輸送層13は無機層(金属層、金属化合物層等)とすることもできる(以下同様)。
図3は、本発明に係る有機EL素子の第3実施形態を示す模式断面図である。図3に示す有機EL素子300は、図2における有機EL素子200の発光層10が、第1の発光層10aと、第2発光層10bとに置き換わった構造を有している。
なお、第1〜第3実施形態において第1の電極1は基板4上に形成されているが、基板4側からの積層の順番を逆にしてもよい。つまり、第2実施形態の有機EL素子の場合は、基板4側から第2の電極2、電子注入輸送層13、発光層10、ホール輸送層11、ホール注入層14、第1の電極1の順で積層されてもよい。
また、本発明の有機EL素子用化合物は、上述したどの有機層に含まれていてもよいが、発光層に含まれていることが好ましい。
上記実施形態においては、第1の電極1及び第2の電極2がそれぞれホール注入電極(陽極)及び電子注入電極(陰極)として機能し、電源Pによる電界の印加により、第1の電極1からホール(正孔)が注入されるとともに、第2の電極2から電子が注入され、これらの再結合に基づいて発光層中の有機EL素子用化合物が発光する。
また、発光層10、電子注入輸送層13、ホール注入層14及びホール輸送層11の好適な厚さは、いずれも5〜200nmである。
(基板)
基板4としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いることができ、ガラス、石英等の非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InP等の結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUS等の金属基板等を用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物等の薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板4の側を光取出し側とする場合には、基板4としてガラスや石英等の透明基板を用いることが好ましく、特に、安価なガラスの透明基板を用いることが好ましい。透明基板には、発色光の調整のために、色フィルター膜や蛍光物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜等を設けてもよい。
(第1の電極)
第1の電極1はホール注入電極(陽極)として機能する。そのため、第1の電極1の材料としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いられるが、その第1の電極1に隣接する層に効率よく且つ均一に電界を印可できる材料が好ましい。
また、基板4の側を光取り出し側とする場合、有機EL素子の発光波長領域である波長400〜700nmにおける透過率、特にRGB各色の波長における第1の電極1の透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。第1の電極1の透過率が50%未満であると、発光層10からの発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られにくくなる。
光透過率の比較的高い第1の電極1は、各種酸化物で構成される透明導電膜を用いて構成することができる。かかる材料としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)等が好ましく、中でも、ITOは、面内の比抵抗が均一な薄膜を容易に得ることができる点で特に好ましい。
第1の電極1の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。例えば酸化物透明導電膜を用いる場合、その膜厚は、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜300nmであることが好ましい。第1の電極1の膜厚が500nmを超えると、光透過率が不充分となると共に、基板4からの第1の電極1の剥離が発生する場合がある。また、膜厚の減少に伴い光透過性は向上するが、膜厚が10nm未満の場合、抵抗率が大きくなり有機EL素子の駆動電圧を上昇させる傾向にある。
(第2の電極)
第2の電極2は電子注入電極(陰極)として機能する。第2の電極2の材料としては、従来の有機EL素子が備えているものであれば、特に限定されることなく用いられるが、金属材料、有機金属錯体もしくは金属化合物等が挙げられ、発光層10へ効率的且つ確実に電子を注入できるように、仕事関数が比較的低い材料を用いると好ましく、また透明であってもよい。
第2の電極2を構成する金属材料の具体例としては、Li、Na、KもしくはCs等のアルカリ金属、Mg、Ca、SrもしくはBa等のアルカリ土類金属、あるいはAl(アルミニウム)が挙げられる。また、La、Ce、Sn、ZnもしくはZr等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることもできる。更には、上記金属材料の酸化物もしくはハロゲン化物を用いることもできる。更に、上記材料を含む混合物もしくは合金であってもよく、これらを複数積層してもよい。
第2の電極2の膜厚は、電子を均一に注入できる程度であればよく、0.1nm以上とすればよい。
なお、第2の電極2上には補助電極を設けてもよい。これにより、発光層10等への電子注入効率を向上させることができ、また、発光層10や電子注入輸送層13への水分又は有機溶媒の侵入を防止することができる。補助電極の材料としては、仕事関数及び電荷注入能力に関する制限がないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いが容易な金属を用いることが好ましい。また、特に第2の電極2が有機材料を含む場合には、有機材料の種類や密着性等に応じて適宜選択することが好ましい。
補助電極に用いられる材料としては、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、Pd、Ni等が挙げられるが、中でもAl及びAg等の低抵抗の金属を用いると電子注入効率を更に高めることができる。また、TiN等の金属化合物を用いることにより一層高い封止性を得ることができる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。また、2種以上の金属を用いる場合は合金として用いてもよい。このような補助電極は、例えば、真空蒸着法等によって形成可能である。
(ホール注入層)
ホール注入層には、アリールアミン、フタロシアニン、ポリアニリン/有機酸、ポリチオフェン/ポリマー酸等を用いることができる。
(ホール輸送層)
ホール輸送層には、低分子材料、高分子材料のいずれのホール輸送性材料も使用可能である。ホール輸送性低分子材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。また、ホール輸送性高分子材料としては、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(Pani/PSS)等が挙げられる。これらのホール輸送性材料は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(発光層)
発光層10には、上述した本発明の有機EL素子用化合物を構成材料として用いる。このような発光層10を備える有機EL素子によれば、十分に高い発光効率が得られる。
また、発光層の構成材料として、ホスト材料とドーパント材料を組み合わせて用いることが好ましく、本発明の有機EL素子用化合物は、ドーパント材料として用いられることが好ましい。発光層の構成材料全体に対する、本発明の有機EL素子用化合物の好適な含有量は、ホスト材料との組み合わせにより異なるが、0.1〜30%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましい。
また、ドーパント材料として、本発明の有機EL素子用化合物以外の化合物を含有していてもよい。その場合の発光層における本発明の有機EL素子用化合物以外のドーパント材料の好適な含有量は、ホスト材料とドーパント材料の組み合わせにより異なるが、0.1〜30%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましい。
ホスト材料としては、1,10−フェナントロリン誘導体、有機金属錯体化合物、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、ベンゾフルオランテン、ナフトフルオランテン等の芳香族炭化水素化合物及びそれらの誘導体、さらにはスチリルアミン若しくはテトラアリールジアミン誘導体等が好ましい。
本発明の有機EL素子用化合物以外のドーパント材料としては、有機金属錯体化合物、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、ベンゾフルオランテン、ナフトフルオランテン等の芳香族炭化水素化合物及びそれらの誘導体、さらにはスチリルアミン若しくはテトラアリールジアミン誘導体、あるいはキナクリドン、クマリン、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)及びそれらの誘導体が好ましい。
(電子注入輸送層)
電子注入輸送層13の構成材料は、従来の有機EL素子において電子注入輸送層に用いられているものであれば特に限定されることはなく、リチウム等のアルカリ金属、フッ化リチウム、酸化リチウム等を用いることができる。この電子注入輸送層13を備えることにより、有機EL素子は、第2の電極(電子注入電極)2からの電子の注入を容易にし、電子を安定に輸送し、更には発光層10からのホールの移動を妨げる機能を有するものとなる。それにより、有機EL素子の発光効率が向上するとともに駆動電圧が全体的に低下する傾向にある。
本実施形態に係る有機EL素子は、発光層10に上記化合物(1)を含有させること以外は、公知の製造方法で製造できる。そのような発光層10を含めて各有機層の形成方法としては、真空蒸着法、イオン化蒸着法、塗布法等を、有機層を構成する材料に応じて適宜選択して採用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
下記化合物(11)を以下の反応式に従って、下記の方法で合成した。
Figure 0005004521
1,4−ナフトキノン 1g(6.3mmol)と1,3−ジフェニル−ナフト[1,2−c]フラン 2.0g(6.3mmol)とを塩化メチレン中、室温で攪拌し、三臭化ホウ素の1M塩化メチレン溶液6.3mlを加えた。次いで、析出した黄色固体をろ過し、エタノール、アセトンで順次洗浄し、2.3g(5mmol)の化合物(1a)を得た。
次に1−ブロモ−2,4−ジフェニルベンゼン 3.7g(12mmol)をトルエン、ジエチルエーテルの混合溶媒に溶解させ、ここに1.6Mのn−ブチルリチウム7.5mlを滴下し室温で一時間攪拌し、アリールリチウム(1b)を調製した。次いで、溶液を−20℃に冷却した後、先に合成した化合物(1a)を2.3g(5mmol)加えた。12時間後に蒸留水を加え、分液により有機層を抽出し、カラムクロマトグラフィーにより精製したところ、4g(4.4mmol)の化合物(1c)が得られた。
次に化合物(1c)をTHFに溶解させ、ここに10倍モル量の二塩化スズ(SnCl)と塩酸を加え30分攪拌した。分液により有機層を抽出した後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い1.8g(2mmol)の化合物(11)を得た。得られた化合物はマススペクトルにて同定した。
<合成例2>
1−ブロモ−2,4−ジフェニルベンゼン 3.7g(12mmol)に代えて、1−ブロモ−2,5−ジフェニルベンゼン 3.7g(12mmol)を用いたこと以外は合成例1と同様にして、2.3g(2.6mmol)の下記化合物(12)を合成した。得られた化合物はマススペクトルにて同定した。なお、化合物(12)の合成の際の反応式は、以下の通りである。
Figure 0005004521
<合成例3>
1,3−ジフェニル−ナフト[1,2−c]フラン 2.0g(6.3mmol)に代えて、1,3−ジフェニル−フェナントロ[9,10−c]フラン 2.3g(6.3mmol)を用いた以外は合成例1と同様にして、1.4g(1.5mmol)の下記化合物(13)を合成した。得られた化合物はマススペクトルにて同定した。なお、化合物(13)の合成の際の反応式は、以下の通りである。
Figure 0005004521
<合成例4>
1,4−ナフトキノン 1g(6.3mmol)に代えて、1,4−フェナンスレンキノン 1.3g(6.3mmol)を用いた以外は合成例1と同様にして合成し、下記化合物(14a)と化合物(14b)の混合物(14)を1.3g(2.2mmol)得た。得られた化合物はマススペクトルにて同定した。混合物(14)の合成の際の反応式は、下記の通りである。
Figure 0005004521
<実施例1〜4、比較例1,2>
合成例1〜4で得られた化合物(11),(12),(13)及び混合物(14)並びに下記化合物(15),(16)を用いて、以下の光照射実験を行った。
Figure 0005004521
Figure 0005004521
化合物(11),(12),(13),(15),(16)及び混合物(14)をトルエンに溶解させ、0.1質量%のトルエン溶液を調製し、アセトニトリルを展開溶媒とし高速液体クロマトグラフィー(HP社(現アジレント)製HP1100シリーズ)による分析を行った。次いで、大気中雰囲気下、室温で蛍光灯を用い、光照射を30分間行った後に、再び高速液体クロマトグラフィーによる分析を行った。光照射前と光照射後における各化合物及び混合物の純度を表1に示す。
Figure 0005004521
表1から、比較例の化合物の純度が光照射により大きく低下しているのに対し、実施例の化合物は光照射をしても純度はほとんど変化しないことが分かる。これらの結果から、本発明の有機EL素子用化合物は、従来のものと比べると、光酸化に対する耐性が高いことは明らかである。
<実施例5>
まず、ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。次に、このITO透明電極薄膜付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン及びエタノールの混合液を用いて超音波洗浄した。続いて、そのガラス基板を混合液から引き上げて乾燥した後、酸素置換されたチャンバー内で、赤外線照射を行うことにより、酸素をオゾン化し、基盤表面をオゾン洗浄した。そして洗浄後のガラス基板を蒸着装置(アルバック製)の基板ホルダーに固定して、蒸着装置内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
次いで減圧状態を保ったまま、下記式(21)で表されるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをITO透明電極薄膜上に蒸着速度0.1nm/secで50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
Figure 0005004521
次いで、下記式(22)で表されるN,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをホール注入層上に蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
Figure 0005004521
さらに、減圧を保ったまま、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下、「Alq」という)と、合成例1で得られた化合物(11)とを、質量比98:2で、ホール輸送層上に全体の蒸着速度0.1nm/secで40nmの厚さに共蒸着し、発光層とした。そして、減圧状態を保ったまま、Alqを、発光層上に蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
次いで、フッ化リチウムを電子注入輸送層上に蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、さらに、保護電極としてアルミニウムを100nmの厚さに蒸着し、最後にガラス封止して実施例5の有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧は6.0Vとなり、輝度900cd/mの橙色発光が確認できた。この有機EL素子に、10mA/cmの一定電流を流し、連続駆動を行ったところ、初期輝度は900cd/mで、輝度半減時間は1600時間以上であった。
<実施例6>
実施例5において、化合物(11)を合成例3で得られた化合物(13)に代えた以外は実施例5と同様にして有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧は5.9Vとなり、輝度1000cd/mの黄色発光が確認できた。この有機EL素子に、10mA/cmの一定電流を流し、連続駆動を行ったところ、初期輝度は1000cd/mで、輝度半減時間は2000時間以上であった。
<実施例7>
まず、ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。次に、このITO透明電極薄膜付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン及びエタノールの混合液を用いて超音波洗浄した。続いて、そのガラス基板を混合液から引き上げて乾燥した後、酸素置換されたチャンバー内で、赤外線照射を行うことにより、酸素をオゾン化し、基盤表面をオゾン洗浄した。そして洗浄後のガラス基板を蒸着装置(アルバック製)の基板ホルダーに固定して、蒸着装置内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
次いで減圧状態を保ったまま、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをITO透明電極薄膜上に蒸着速度0.1nm/secで50nmの膜厚に蒸着し、ホール注入層とした。
次いで、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをホール注入層上に蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層とした。
次いで、減圧状態を保ったまま、N,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと下記式(23)で表されるアントラセン誘導体とを質量比1:1で混合したものに、合成例1で得られた化合物(11)を2.5体積%加えたものを、全体の蒸着速度0.2nm/秒で、40nmの膜厚に共蒸着し、第1の発光層を形成した。
Figure 0005004521
次いで、減圧状態を保ったまま、下記式(24)で表されるN,N,N’,N’−テトラキス(m−ビフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと上記式(23)で表されるアントラセン誘導体とを質量比1:1の混合したものに、下記式(24)で表される化合物を2.5体積%加えたものを、第1の発光層上に、全体の蒸着速度0.2nm/秒で、40nmの膜厚に共蒸着し、第2の発光層を形成した。
Figure 0005004521
次いで、減圧状態を保ったまま、Alqを、第2の発光層上に蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
次いで、フッ化リチウムを電子注入輸送層上に蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、電子注入電極とし、さらに、保護電極としてアルミニウムを100nm蒸着し、最後にガラス封止して有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子に直流電圧を印加したところ、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧は7.6Vとなり、輝度800cd/mの白色発光が確認できた。この有機EL素子に、10mA/cmの一定電流を流し、連続駆動したところ、初期輝度は800cd/mで、輝度半減時間は4500時間以上であった。
実施例5〜7からも明らかであるように、本発明によれば、十分な発光効率の有機EL素子が得られる。
本発明の第1実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 本発明の第3実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。
符号の説明
1…第1の電極、2…第2の電極、4…基板、10…発光層、11…ホール輸送層、13…電子注入輸送層、14…ホール注入層、100…第1実施形態に係る有機EL素子、200…第2実施形態に係る有機EL素子、300…第3実施形態に係る有機EL素子、P…電源。


Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される有機EL素子用化合物。
    Figure 0005004521
    [式(1)中、R 、R 及びR は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示し、R 10、R11、R12、R13、R14、R15 は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、あるいは、R 10 及びR 11 が一緒になって形成される−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)、R 12 及びR 13 が一緒になって形成される−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)、又は、R 14 及びR 15 が一緒になって形成される−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)を示し、20、R21、R22及びR 全て水素原子を示す。
    但し、 、R 、R 及びR のうち少なくとも1つは、下記一般式(7)で表される基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基である。
    式(7)中、R 32 は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、n2は2を示す。
    Figure 0005004521
  2. 、R、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基であり、
    該置換基を有していてもよいアリール基は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいターフェニル基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基である、請求項1に記載の有機EL素子用化合物。
  3. 12、R13、R14及びR15は、全て水素原子である、請求項1又は2に記載の有機EL素子用化合物。
  4. 12 及びR 13 が一緒になって−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)を形成しており、かつR 14 及びR 15 が水素原子である、あるいは、R 14 及びR 15 が一緒になって−CH=CH−CH=CH−基(但し、この基は置換基を有していてもよい。)を形成しており、かつR 12 及びR 13 が水素原子である、請求項1又は2に記載の有機EL素子用化合物。
  5. 10及びR11は、全て水素原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子用化合物。
  6. 下記一般式(I)又は(II)で表される有機EL素子用化合物。
    Figure 0005004521
    Figure 0005004521
    [式(I)、(II)中、Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。
    但し、Ar,Ar,Ar及びArのうち少なくとも1つは、下記一般式(7)で表される基、又は、置換基を有していてもよいN,N−ジフェニルアミノフェニル基である。
    式(7)中、R32は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、n2は2を示す。]
    Figure 0005004521
  7. 下記一般式(III)又は(IV)で表される有機EL素子用化合物。
    Figure 0005004521
    Figure 0005004521
    [式(III)、(IV)中、Ar,Ar,Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
  8. 互いに対向して配置されている2つの電極間に、1又は2以上の有機層を備える有機EL素子であって、
    前記有機層のうち少なくとも1層は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機EL素子用化合物を含む、有機EL素子。
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