JP3965063B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極からの電荷の注入により発光するエレクトロルミネッセンス(EL)を利用する発光装置であって、有機薄膜を発光層として用いる有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機EL素子の高効率化の方策として、ほとんど利用することができなかった励起三重項状態を、室温付近でもりん光発光を示す有機金属錯体を発光材料として使用することが試みられている。例えば、Appl. Phys. Lett.,75,4(1999)、米国特許6,310,360号、および特開2001−313178号において、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)錯体が開示され、これを発光層のドーパントに用いた有機EL素子が外部量子収率8%を示すことが報告されている。また、J. Am. Chem. Soc.,123,4304(2001)、および特開2001−247859号では、オルトメタル化配位子のほかに、ジケトン配位子や、含窒素ヘテロ環配位子を含むイリジウム(III)錯体が開示され、これらを発光層のドーパントに用いた有機EL素子が高い外部量子収率を示すことが報告されている。
【0003】
しかしながら、Appl. Phys. Lett.,75,4(1999)、米国特許6,310,360号、および特開2001−313178号において開示されたトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)錯体は、発光色が緑色のみに制限されている。また、J. Am. Chem. Soc.,123,4304(2001)、および特開2001−247859号で開示されている、オルトメタル化配位子のほかにジケトン配位子や含窒素ヘテロ環配位子を含むイリジウム(III)錯体は、青緑〜橙色までの発光を示すものの、りん光発光の量子収率が十分ではなく、錯体の安定性が低い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、好ましくは白金族金属を中心金属とし、かつ硫黄−金属結合を有するため、励起一重項から励起三重項への系間交差が効率よく行われ、極めて安定性が良好な金属錯体を発光材料として用い、高温時の保存・駆動安定性に優れ、発光効率が高く、かつ発光効率の電流密度依存性が小さく、長寿命化が可能である有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成される。
(1) 陽極と陰極とを有し、この陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0006】
【化6】
Figure 0003965063
【0007】
[式(1a)において、Mは二価以上の価数を取りうる金属または希土類元素を表す。Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2は、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、これらの環は置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1、R2およびR3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
【0008】
【化7】
Figure 0003965063
【0009】
[式(1b)において、Mは二価以上の価数を取りうる金属または希土類元素を表す。Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2およびZ3は、それぞれ、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、これらの環は互いに縮合環を形成しており、さらに、置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1、R2およびR3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
(2) 式(1a)または式(1b)で表される化合物が、式(1a)または式(1b)において、Mがルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金である白金族金属錯体である上記(1)の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3) 前記白金族金属錯体が、式(1c)、式(1d)または式(1e)で表される上記(2)の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0010】
【化8】
Figure 0003965063
【0011】
[式(1c)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3およびR12〜R17は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1およびR12〜R14の隣接する2個同士、またはR2およびR15〜R17の隣接する2個同士が互いに結合して環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
【0012】
【化9】
Figure 0003965063
【0013】
[式(1d)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3、R12、R13およびR16〜R19は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1、R2、R12、R13およびR16〜R19の隣接する2個同士は互いに結合して環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
【0014】
【化10】
Figure 0003965063
【0015】
[式(1e)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3、およびR12〜R14およびR20は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1およびR12〜R14の隣接する2個同士、またはR2とR20とが互いに結合して環を形成してもよい。Xはヘテロ原子を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
(4) 式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層が発光層であり、この発光層が、ドーパントして前記式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する上記(1)〜(3)のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子。
(5) 前記発光層のホスト材料として有機化合物を含有し、この有機化合物の最低励起三重項エネルギーが前記式(1a)または式(1b)で表される化合物の最低励起三重項エネルギーより大きい値をもつ上記(4)の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(6) 前記発光層が、さらに、前記ホスト材料と前記式(1a)または式(1b)で表される化合物とは異なる有機化合物を含有し、この有機化合物の最低励起三重項エネルギーが前記式(1a)または式(1b)で表される化合物の最低励起三重項エネルギーより大きい値をもつ上記(5)の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(7) 式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層が発光層であり、この発光層に隣接して、これとは異なる、蛍光発光性有機化合物を含有する発光層を有する上記(1)〜(3)のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、陽極と陰極とを有し、陽極と陰極との間には少なくとも1層の有機層が設けられており、この有機層には、少なくとも1層の発光層が含まれている。
【0017】
この場合の有機層、具体的にいえば、発光層には、式(1a)または式(1b)で表される化合物の金属錯体(好ましくは白金族金属錯体)が、発光材料として含有されている。
【0018】
このような金属錯体は、ジチオカルボン酸ないしその誘導体を配位子として含み、2つの硫黄で金属(好ましくは白金族金属)に配位したオルトメタル化金属錯体である。ここで、オルトメタル化とは、Z2で完成される環において、配位原子を有する置換基の結合位置に対してオルト位のC−H結合が、分子内反応で金属−炭素結合を含むキレート環を生成する反応をいう。
【0019】
したがって、このような金属錯体は、好ましくは白金族金属を中心金属として有し、かつ硫黄‐金属結合を有するため、励起一重項から励起三重項への系間交差が効率良く行われ、安定性が極めて良好である。したがって、このような金属錯体を発光材料として用いた有機EL素子は、高温時の保存・駆動安定性に優れ、発光効率が高く、かつ発光効率の電流密度依存性が小さく、長寿命化が可能である。
【0020】
以下、本発明を、式(1a)または式(1b)で表される金属錯体のうち、白金族金属錯体を中心にして説明する。
【0021】
【化11】
Figure 0003965063
【0022】
【化12】
Figure 0003965063
【0023】
式(1a)、式(1b)において、Mは中心金属を表し、二価以上の価数を取りうる金属または希土類元素であり、好ましくはルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)および白金(Pt)から選ばれる白金族金属である。
【0024】
1〜R3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。
【0025】
1〜R3で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0026】
1〜R3で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基(例えばハロゲン原子等)を有していてもよく、直鎖状でも分枝を有していても、環状であってもよく、総炭素数は1〜10であることが好ましい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、フッ化メチル、塩化メチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等が挙げられる。
【0027】
1〜R3で表されるアラルキル基としては、無置換であっても置換基を有していてもよく、総炭素数7〜20であることが好ましい。例えば、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0028】
1〜R3で表されるアルケニル基としては、無置換であっても置換基(例えばアリール等)を有していてもよく、総炭素数2〜20であることが好ましい。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、スチリル、2,2−ジフェニルビニル等が挙げられる。
【0029】
1〜R3で表されるアリール基としては、無置換であっても置換基(例えばアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ等)を有していてもよく、総炭素数6〜20であることが好ましい。例えば、フェニル、(o−,m−,p−)トリル、(o−,m−,p−)フェノキシフェニル、(2−,3−,4−)ビフェニリル、ナフチル、ジフェニルアミノフェニル、アセトキシフェニル、アセチルフェニル等が挙げられる。
【0030】
1〜R3で表されるアミノ基としては、無置換であっても置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール等)を有していてもよく、総炭素数は0〜20であることが好ましい。例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ジトリルアミノ等が挙げられる。
【0031】
1〜R3で表されるアルコキシ基としては、前記のR1〜R3で表されるアルキル基、アラルキル基を有するものが好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ベンジルオキシ等が挙げられる。
【0032】
1〜R3で表されるアリールオキシ基としては、前記のR1〜R3で表されるアリール基を有するものが好ましく、例えばフェノキシ、メチルフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0033】
1〜R3で表されるアシル基としては、無置換であっても置換基を有していてもよく、総炭素数1〜20のものが好ましく、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ベンゾイル等が挙げられる。
【0034】
1〜R3で表されるアシルオキシ基としては、前記のR1〜R3で表されるアシル基を有するものが好ましく、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
【0035】
1〜R3で表されるアルコキシカルボニル基としては、前記のR1〜R3で表されるアルコキシ基を有するものが好ましく、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
【0036】
1〜R3で表されるアリールオキシカルボニル基としては、前記のR1〜R3で表されるアリールオキシ基を有するものが好ましく、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられる。
【0037】
1〜R3で表される複素環基としては、さらに縮合環を有していてもよい五員、六員の複素環基が好ましく、また、置換基(例えばアルキル、アリール等)を有していてもよく、芳香族性を有するものであっても、有しないものであってもよい。例えばチエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジル、カルバゾリル、フェニルチエニル等が挙げられる。
【0038】
式(1a)、(1b)中のZ1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z1で完成される含窒素複素環としては、芳香環が好ましく、さらには縮合環を有していてもよく、例えばピリジン環、キノリン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、ピリミジン環、ピラジン環等がある。また、これらの環は置換基を有していてもよく、例えばシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アシル基、アラルキル基、アルケニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
【0039】
式(1a)、(1b)中のZ2は、五員または六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、Z2で完成される環としては、芳香環が好ましく、さらには縮合環を有していてもよく、例えばベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、テルフェニル環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリミジン環等がある。これらの環は置換基を有していてもよく、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、複素環基、カルボキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
なお、Z2によって完成される環がベンゼン環であるような場合、式(1a)、式(1b)中の炭素と炭素との間の単結合、二重結合の位置は便宜的なものであり、理論的に矛盾しないものであれば、この位置に限定されるものではない。
【0041】
式(1b)中のZ3は、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、Z3で完成される環は、Z1で完成される環およびZ2で完成される環とともに縮合環を形成する。Z3で完成される環は、Z2で完成される環と同様のものが挙げられる。
【0042】
式(1a)、(1b)において、MとしてはIrが好ましく、Z1で完成される環としてはピリジン環が好ましく、Z2で完成される環としてはベンゼン環、チオフェン環が好ましく、Z3で完成される環としてはベンゼン環が好ましい。これらの環は縮合環を有していてもよく、置換基を有していてもよい。
【0043】
1としては水素原子、アリール基が好ましく、R2としては水素原子、アリール基が好ましく、R1、R2としては隣接基とともにベンゼン環を形成する場合も好ましい。R3としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アミノ基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アシル基が好ましく、特にアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アミノ基が好ましい。
【0044】
式(1a)、(1b)中のm、nは1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。mは1であることが好ましい。
【0045】
上記の白金族金属錯体のなかでも、式(1c)〜(1e)で表されるものが好ましい。
【0046】
【化13】
Figure 0003965063
【0047】
【化14】
Figure 0003965063
【0048】
【化15】
Figure 0003965063
【0049】
式(1c)〜(1e)において、M、R1〜R3、m、nは、式(1a)、(1b)中のものと同義であり、R12〜R20は式(1a)、(1b)中のR1〜R3と同義のものである。式(1e)において、Xはヘテロ原子を表す。
【0050】
したがって、式(1c)〜(1e)中のM、R1〜R3、m、nについては、式(1a)、(1b)中のものと好ましいものも同様である。
【0051】
なお、式(1c)において、R1、R12〜R14から選ばれる隣接基同士、あるいはR2、R15〜R17から選ばれる隣接基同士は互いに結合して環を形成してもよい。また、式(1d)においては、R1、R2、R12〜R19から選ばれる隣接基同士は互いに結合して環を形成してもよく、また、式(1e)においては、R1、R12〜R14から選ばれる隣接基同士、あるいはR2とR20は互いに結合して環を形成してもよい。
【0052】
式(1c)において、R1、R12〜R14としては水素原子が好ましく、置換基としてはフェニル等のアリール基、アミノ基、アシルオキシ基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
【0053】
また、R2、R15〜R17としては、水素原子が好ましく、置換基としては、フッ素等のハロゲン原子、メチル等のアルキル基、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、複素環基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルケニル基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
【0054】
式(1d)において、R1、R12、R13としては水素原子が好ましく、置換基としてはメチル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
【0055】
また、R2、R16、R17としては、水素原子が好ましく、置換基としてはフッ素等のハロゲン原子、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、アミノ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
【0056】
18、R19としては水素原子が好ましく、置換基としてはフェニル等のアリール基、シアノ基、アリールオキシ基が好ましく、これらが互いに結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
【0057】
式(1e)において、R1、R12〜R14としては水素原子が好ましく、置換基としてはメチル等のアルキル基、シアノ基、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、隣接基同士が結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
【0058】
2、R20としては水素原子が好ましく、置換基としてはメチル等のアルキル基、フッ素等のハロゲン原子、フェニル等のアリール基、アリールオキシ基、アシル基が好ましく、これらが互いに結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
【0059】
式(1e)中のXで表されるヘテロ原子としては、硫黄(S)、酸素(O)が好ましく、Sが特に好ましいが、NR0(R0は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基などであり、好ましくは水素原子、メチル、フェニル等である。)であってもよい。
【0060】
式(1a)、(1b)で表される白金族金属錯体におけるジチオカルボン酸系の配位子の具体例を以下に示す。
【0061】
【化16】
Figure 0003965063
【0062】
また、オルトメタル化配位子の具体例を以下に示す。
【0063】
【化17】
Figure 0003965063
【0064】
【化18】
Figure 0003965063
【0065】
【化19】
Figure 0003965063
【0066】
【化20】
Figure 0003965063
【0067】
【化21】
Figure 0003965063
【0068】
【化22】
Figure 0003965063
【0069】
次に、これらの配位子の組合せを用いて、式(1a)、(1b)で表される白金族金属錯体の具体例を以下に示す。
【0070】
【化23】
Figure 0003965063
【0071】
【化24】
Figure 0003965063
【0072】
【化25】
Figure 0003965063
【0073】
このような白金族金属錯体は、対応するオルトメタル化配位子をもつ塩素架橋二核錯体と、所望のジチオカルボン酸系配位子に対応するジチオカルボン酸系塩とを、所定量、非水溶媒中で反応させて得ることができる。同定は、1H核磁気共鳴スペクトル(1HNMR)、マス(MS)スペクトル、元素分析などにより行うことができる。
【0074】
以下に、下記化合物についての合成例を示す。
【0075】
【化26】
Figure 0003965063
【0076】
【化27】
Figure 0003965063
【0077】
合成例1
例示化合物(A-1)の合成
定法により合成した[ビス(2-フェニルピリジノ)イリジウムクロライド]2 270 mg (0.25 mmol)をジクロロメタン(50 ml)、メタノール (20 ml)の混合溶媒に溶かした後、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム72 mg (0.5 mmol)を加え、室温下で3時間攪拌した。溶媒除去後、カラムクロマトグラフィー、再結晶により精製し、黄色粉末の目的物を収率78 % (244 mg, 0.39 mmol)で得た。同定は1H NMR 、MSスペクトルおよび元素分析により行った。
【0078】
1H NMR (CDCl3): δ 3.22 (s, 6H), 6.33 (d, 2H), 6.67 (t, 2H), 6.78 (t, 2H), 7.219 (t, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.75 (t, 2H), 7.87 (d, 2H), 9.61 (d, 2H)MS (EI+, 1.3 kv) m/z = 621 (M+, Ir=193, 68), 619 (M+, Ir=191, 39), 501 (Irppy2 +, Ir=193, 100), 499 (Irppy2 +, Ir=191, 54).
元素分析;計算値 (%) [C25H22N3S2Ir(620.81)]: C 48.37, H 3.57, N 6.77; 実測値(%): C 48.25, H 3.63, N 6.39
【0079】
合成例2
例示化合物(A-2)の合成
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムの代わりに、ピロリジン−1‐ジチオ酢酸アンモニウムを用いた以外は、合成例1と同様の方法で合成し、黄色粉末の目的物を得た(収率:66 %)。同定は1H NMR 、MSスペクトルにより行った。
【0080】
1H NMR (CDCl3): δ 2.00 (p, 4H), 3.71 (m, 4H), 6.35 (d, 2H), 6.69 (t, 2H), 6.80 (t, 2H), 7.23 (t, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.76 (t, 2H), 7.88 (d, 2H), 9.68 (d, 2H)
MS (EI+, 1.3 kv) m/z = 647 (M+, Ir=193, 90), 645 (M+, Ir=191, 60), 501 (Irppy2 +, Ir=193, 100), 499 (Irppy2 +, Ir=191, 55), 154 (ppy+, 71)
【0081】
合成例3
例示化合物(A-3)の合成
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムの代わりに、ジチオ酢酸ナトリウム‐O‐イソプロピオエステルを用いた以外は、合成例1と同様の方法で合成し、黄色粉末の目的物を得た(収率:87 %)。同定は1H NMR 、MSスペクトルにより行った。
【0082】
1H NMR (CDCl3): δ 1.39 (d, 3H), 1.48 (d, 3H), 5.52 (p, 1H), 6.35 (d, 2H), 6.74 (t, 2H), 6.86 (t, 2H), 7.23 (t, 2H), 7.60 (d, 2H), 7.79 (t, 2H), 7.90 (d, 2H), 9.37 (d, 2H)
MS (EI+, 1.3 kv) m/z = 636 (M+, Ir=193, 35), 634 (M+, Ir=191, 20), 501 (Irppy2 +, Ir=193, 100), 499 (Irppy2 +, Ir=191, 64)
【0083】
合成例4
例示化合物(B-1)の合成
定法により合成した[ビス(ベンゾ[h]キノリノ)イリジウムクロライド]2 270 mg (0.25 mmol)をジクロロメタン(50 ml)、メタノール(20 ml)の混合溶媒に溶かした後、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム 72 mg (0.5 mmol)を加え、室温下で3時間攪拌した。溶媒除去後、カラムクロマトグラフィー、再結晶により精製し、黄色粉末の目的物を得た(収率:41%)。同定は1H NMR により行った。
【0084】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz ): δ 5.30 (s, 6H), 6.37 (dd, 2H), 6.94 (t, 2H), 7.27 (d, 2H), 7.64 (m, 4H), 7.74 (d, 2H), 8.24 (dd, 2H), 9.87 (dd, 2H)
【0085】
合成例5
例示化合物(B-2)の合成
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムの代わりに、ピロリジン−1‐ジチオ酢酸アンモニウムを用いた以外は、合成例4と同様の方法で合成、精製を行い、黄色粉末の目的物を得た(収率:60%)。同定は1H NMR 、および元素分析により行った。
【0086】
1H NMR (CDCl3): δ 2.00 (t, 4H), 3.70 (m, 4H), 6.36 (d, 2H), 6.94 (t, 2H), 7.24 (d, 2H), 7.63 (m, 4H), 7.73 (d, 2H), 8.23 (dd, 2H), 9.93 (dd, 2H)
元素分析;計算値(%) [C31H24N3S2Ir(694.89)]: C 53.58, H 3.48, N 6.05; 実測値(%): C 52.89, H 3.16, N 5.89
【0087】
合成例6
例示化合物(B-3)の合成
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムの代わりに、ジチオ酢酸ナトリウム‐O‐イソプロピオエステルを用いた以外は、合成例4と同様の方法で合成、精製を行い、黄色粉末の目的物を得た(収率:60%)。同定は1H NMRにより行った。
【0088】
1H NMR (CDCl3): δ 1.41 (d, 3H), 1.51 (d, 3H), 5.55 (p, 1H), 6.37 (d, 2H), 7.00 (t, 2H), 7.31 (d, 2H), 7.66 (m, 4H), 7.78 (d, 2H), 8.28 (d, 2H), 9.65 (d, 2H)
【0089】
合成例7
例示化合物(C-1)の合成
定法により合成した[ビス(2‐(2‐チエニル)ピリジル)イリジウムクロライド]2 270 mg (0.25 mmol)をジクロロメタン(50 ml)、メタノール(20 ml)の混合溶媒に溶かした後、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム 72 mg (0.5 mmol)を加え、室温下で3時間攪拌した。溶媒除去後、カラムクロマトグラフィー、再結晶により精製し、橙色粉末の目的物を得た(収率:41%)。同定は1H NMRにより行った。
【0090】
1H NMR (CDCl3) δ= 3.21 (s, 6H), 6.22 (d, 2H), 6.99 (t, 2H), 7.14 (d, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.61 (t, 2H), 9.39 (d, 2H)
【0091】
合成例8
例示化合物(C-2)の合成
ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムの代わりに、ピロリジン−1‐ジチオ酢酸アンモニウムを用いた以外は、合成例7と同様の方法で合成、精製を行い、橙色粉末の目的物を得た(収率:66 %)。同定は1H NMRおよび元素分析により行った。この結果を以下に示す。
【0092】
1H NMR (CDCl3): δ 1.98 (quin, 4H), 3.68 (t, 4H), 6.21 (d, 2H), 6.99 (t, 2H), 7.13 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.60 (t, 2H), 9.44 (d, 2H)
元素分析;計算値(%) [C23H20N3S4Ir(658.91)]: C 41.92, H 3.06, N 6.38; 実測値(%): C 41.44, H 2.77, N 6. 17
【0093】
このような白金族金属錯体は、発光材料として、発光層に1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0094】
この場合、白金族金属錯体は、発光層において、ドーパントとして用いることが好ましく、これと組み合わせて用いられるホスト材料は有機化合物であり、この有機化合物の最低励起三重項エネルギーは、白金族金属錯体の最低励起三重項エネルギーより大きい値をもつものが好ましい。このような最低励起三重項エネルギーは、有機化合物のりん光スペクトルから求めた値であり、通常、これらの差は0.1〜2.0eV、さらには0.1〜1.0eVが好ましい。
【0095】
ホスト材料に関しては、白金族金属錯体の最低励起三重項エネルギーよりも大きな最低励起三重項エネルギーを有する条件を満たしていれば、特に制限はないが、具体的には、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オリゴフェニレン誘導体、ナフタルイミド誘導体、芳香族アミン誘導体、カルバゾール誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体などが挙げられる。
【0096】
ホスト材料およびドーパント材料の混合比率は、これらの合計を100%(質量百分率)としたとき、ドーパント材料が0.1〜30%(質量百分率)であることが好ましい。
【0097】
そして、さらに好ましくは、上記のホスト材料のほか、さらに、これとは異なる有機化合物を発光層に含有させることが好ましい。この有機化合物も、最低励起三重項エネルギーが、ドーパントである白金族金属錯体よりも大きい値をもつものであればよく、これらの差は0.1〜2.0eV、さらには0.1〜1eVが好ましい。
【0098】
このような有機化合物は、発光層へのホールおよび/または電子の注入を促進し、発光層中のホールと電子のバランスを向上させて、発光強度を増大させる機能を有する補助材料であり、ホスト材料が電子輸送性を有するときは、補助材料はホール輸送性の化合物を用いることが好ましく、ホスト材料がホール輸送性を有するときは、補助材料は電子輸送性の化合物を用いることが好ましい。具体的には、前記のホスト材料のなかから条件を満足するものを選択することができる。
【0099】
発光層中におけるホスト材料、ドーパント材料、および補助材料の混合比率は特に制限されないが、これらの合計を100%(質量百分率)としたとき、ホスト材料は50〜99%(質量百分率)、ドーパント材料は0.1〜30%(質量百分率)、補助材料は1〜50%(質量百分率)含まれることが好ましい。
【0100】
発光層を、上述のような混合層とすることも好ましいが、本発明では、白金族金属錯体を含有する発光層(りん光発光層)と、この発光層に隣接して、蛍光発光性有機化合物を含有する発光層(蛍光発光層)との積層構造とすることもできる。
【0101】
このような積層構造とすることによって、発光層中で生成した励起一重項状態と励起三重項状態を、それぞれ、蛍光発光層から蛍光として、りん光発光層からりん光として、外部に取り出すことが可能となるため、発光強度を向上させることができる。また、各層の膜厚やドーパントの濃度等を変えることで、発光波長の調整が可能になる。
【0102】
白金族金属錯体を含有する発光層は、白金族金属錯体をドーパントとし、ホスト材料を含有する層であることが好ましい。ホスト材料としては、上記と同様の有機化合物を用いることもできる。
【0103】
このような白金族金属錯体を含有する発光層における白金族金属錯体の含有量は0.1〜30%(質量百分率)であることが好ましい。このような白金族金属錯体を含有する発光層は、上述のような混合層と同構成の層であってもよい。
【0104】
また、上記の白金族金属錯体を含有する発光層と積層される発光層は、蛍光発光性有機化合物を含有する層である。具体的には、白金族金属錯体を含まず、かつ少なくとも1種類の蛍光発光性有機化合物を含む層としては、ホスト材料とドーパント材料とを含有することが好ましい。
【0105】
ホスト材料としては、白金族金属錯体を含む層に好適に用いられるオキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オリゴフェニレン誘導体、ナフタルイミド誘導体、芳香族アミン誘導体、カルバゾール誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体であってもよく、これら以外にもアントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、キノキサリン誘導体、およびトリス(8−キノリノレート)アルミニウムなどの金属錯体を好適に用いることができる。また、前記ホスト材料のうち2種以上を任意の比率で混合してもよい。蛍光発光するドーパントとしては、特に限定されないが、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、ビススチリルアリールアミン誘導体、チオフェン誘導体、ピリジン誘導体などを好適に用いることができる。
【0106】
このような蛍光発光性有機化合物を含有する発光層におけるドーパント材料の含有量は、0.1〜30%(質量百分率)であることが好ましい。
【0107】
なお、本発明における有機化合物は、通常の炭素系化合物のほか、有機金属錯体のように金属を含むものであってもよい。
【0108】
本発明の白金族金属錯体を含有する発光層は、塗布法で形成することも、真空蒸着法等の蒸着法で形成することもできる。前述の混合層タイプの発光層では、塗布法によるとき、1層当たり0.5〜1000nmが好ましく、より好ましくは10〜500nmである。蒸着法によるときは、1〜500nmである。一方、積層タイプの発光層とするときは、合計厚を10〜200nmとすることが好ましく、形成方法によって、白金族金属錯体を含有する発光層と、これに積層される発光層の1層当たりの厚さを、上記範囲から選択すればよい。
【0109】
このような発光層をもつ有機EL素子の構成例を図1、図2に示す。
【0110】
図1は、前述の混合層タイプの発光層をもつ素子構成例である。図1の有機EL素子は、基板1上に陽極2を有し、この上に、順次、ホール注入層3、ホール輸送層4、白金族金属錯体を含有するりん光発光層6、電子輸送層7および電子注入層8が設層され、さらに、この上に陰極9を有するものである。
【0111】
また、図2は、前述の積層タイプの発光層をもつ素子構成例であり、図1において、さらに、ホール輸送層4とりん光発光層6との間に、蛍光発光層5を設けたものである。
【0112】
図示例では、ホール注入層3とホール輸送層4とを別層として設ける構成としているが、ホール注入輸送性の機能を同一層にもたせたホール注入輸送層として設けてもよい。電子輸送層7と電子注入層8においても同様であり、電子注入輸送層として設けてもよい。
【0113】
本発明において、前記の白金族金属錯体以外の有機層を形成するための有機材料としては、一部前記したが、これらも含め、一般に有機EL素子に用いられているような発光材料、電荷輸送材料(電子輸送性材料とホール輸送性材料の総称である。)などを用いることができる。また、これら電子注入および/または輸送層、ホール注入および/または輸送層に代えて、無機材料による高抵抗の電子注入および/または輸送層や、ホール注入および/または輸送層を有していてもよい。
【0114】
本発明において、塗布型の素子における有機層は、塗布型の素子としての機能を確保する上で、高分子化合物を含有することが好ましい。このような高分子化合物の分子量は、重合体の場合、重量平均分子量Mwで表して、5000以上、通常、5000〜300万程度である。
【0115】
具体的には、主に、発光材料、ホール輸送性材料として用いられるものであるが、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDOT/PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、金属フタロシアニン化合物、ポリアニリン/ポリスチレンサルフォネート(Pani/PSS)、下記式(P−1)のポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV誘導体)、および下記式(P−2)のポリアリールフルオレン誘導体のいずれか、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0116】
【化28】
Figure 0003965063
【0117】
(Rは2−エチルヘキシルオキシ基であり、R’はメトキシ基であり、
1は重合度を表し、Mwは50000である。)
【0118】
【化29】
Figure 0003965063
【0119】
(R10およびR10’は各々アルキル基であり、
Arは置換基を有していてもよい芳香環基または複素環基であり、
2は重合度を表し、Mwは5000〜300万である。)
本発明に使用することのできる電荷輸送性材料としては、種々の電子輸送性材料、ホール輸送性材料を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0120】
ホール輸送性材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等を挙げることができる。
【0121】
電子輸送性材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレンおよびその誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体、フェナントロリンおよびその誘導体、等の金属錯体等を挙げることができる。
【0122】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているものなどを挙げることができる。
【0123】
特にホール輸送性材料としては4,4−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、電子輸送性材料としては2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、フェナントロリンおよびその誘導体が好ましい。
【0124】
なお、塗布法により薄膜化した場合には、溶媒を除去するため、減圧下あるいは不活性雰囲気下、30〜200℃、好ましくは60〜100℃の温度で加熱乾燥することが望ましい。
【0125】
また、電荷注入輸送層を発光層の下層に形成する場合、発光層の形成に加熱重合工程を要するときは、ある程度の耐熱性が必要となる。この場合、好ましくはガラス転移温度が100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に200℃以上の化合物が好ましい。ガラス転移温度の上限に特に制限はないが、300℃程度である。
【0126】
有機のホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、特に制限されるものではなく、形成方法によっても異なるが、通常5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。ホールの注入層と輸送層とを設ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm程度である。
【0127】
本発明の塗布による有機層形成に用いられる溶媒としては、有機材料が溶解し、塗布に際して障害が生じないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系等一般に用いられているものを使用することができる。なかでも、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが好ましい。高分子材料は、その構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1%(質量百分率)以上溶解させることができる。
【0128】
陰極(電子注入電極)は、無機電子注入層としてLiFやCsI等の電子注入層とを組み合わせて用いる場合は、低仕事関数で電子注入性を有している必要がないため、その材料として、特に限定される必要はなく、通常の金属を用いることができる。なかでも、導電率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,Ti,Cu,Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,Agから選択される1種または2種以上の金属元素が好ましい。これら陰極の厚さは、電子を高抵抗の無機電子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚さとすれば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常、厚さは50〜500nm程度とすればよい。
【0129】
また、陰極(電子注入電極)として必要に応じて下記のものを用いてもよい。例えば、K、Cs、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系、例えばAg・Mg合金(Ag量0.1〜50%(原子比))、Al・Li合金(Li量0.01〜14%(原子比))、In・Mg合金(Mg:50〜80%(原子比))、Al・Ca合金(Ca量0.01〜20%(原子比))等が挙げられる。陰極(電子注入電極)の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常、厚さは1〜500nm程度とすればよい。陰極(電子注入電極)の上には、さらに補助電極(保護電極)を設けてもよい。
【0130】
補助電極の厚さは、電子注入効率を確保し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するため、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以上、さらには100nm以上、特に100〜500nmの範囲が好ましい。補助電極層が薄すぎると、その効果が得られず、また、補助電極層の段差被覆性が低くなってしまい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、補助電極層が厚すぎると、補助電極層の応力が大きくなるため、ダークスポットの成長速度が速くなってしまう等といった弊害が生じてくる。補助電極は、組み合わせる電子注入電極の材料により最適な材料を選択して用いればよい。例えば、電子注入効率を確保することを重視するのであればAl等の低抵抗の金属を用いればよく、封止性を重視する場合には、TiN等の金属化合物を用いてもよい。
【0131】
陰極(電子注入電極)と補助電極とを併せた全体の厚さとしては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度とすればよい。なお、陰極(電子注入電極)および補助電極の組合せは、電子注入層および陰極の組合せと同義に用いられることもある。
【0132】
陽極(ホール注入電極)の材料は、無機ホール注入輸送層、または有機のホール注入輸送層へホールを効率よく注入することのできるものが好ましく、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これらの酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよい。In23 に対するSnO2 の混合比は、1〜20%(質量百分率)、さらには5〜12%(質量百分率)が好ましい。また、IZOでのIn23 に対するZnOの混合比は、通常、12〜32%(質量百分率)程度である。
【0133】
陽極(ホール注入電極)は、仕事関数を調整するため、酸化シリコン(SiO2 )を含有していてもよい。酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、ITOに対するSiO2 の モル比で0.5〜10%程度が好ましい。SiO2 を含有することにより、ITOの仕事関数が増大する。
【0134】
光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率が50%以上、さらには80%以上、特に90%以上であることが好ましい。透過率が低くなりすぎると、発光層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度を得難くなってくる。その場合の電極の厚さは、50〜500nm、特に50〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。このような電極は陽極であることが多い。
【0135】
さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐために、素子上を封止板等により封止することが好ましい。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1ppm 程度である。
【0136】
本発明において、有機EL構造体を形成する基板としては、非晶質基板(例えばガラス、石英など)、結晶基板(例えば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなど)が挙げられ、また、これらの結晶基板に結晶質、非晶質あるいは金属のバッファ層を形成した基板も用いることができる。また、金属基板としては、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pdなどを用いることができ、好ましくはガラス基板が用いられる。基板は、光取り出し側となる場合、上記電極と同様な光透過性を有することが好ましい。
【0137】
さらに、本発明の素子を、平面上に多数並べてもよい。平面上に並べられたそれぞれの素子の発光色を変えて、カラーのディスプレーにすることができる。
【0138】
基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
【0139】
本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30V 程度とされる。
【0140】
本発明の有機EL素子は、例えば、図示例のように、基板/陽極/有機層(発光層を含む。)/陰極とが順次積層された構成としてもよいし、この逆の積層構成としてもよい。積層構成は、例えば、ディスプレーの仕様や作製プロセス等により、適宜最適なものに決定すればよい。
【0141】
本発明の有機EL素子は、ディスプレイとしての応用の他、例えばメモリ読み出し/書き込み等に利用される光ピックアップ、光通信の伝送路中における中継装置、フォトカプラ等、種々の光応用デバイスに用いることができる。
【0142】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。比較例を併記する。
【0143】
<実施例1>
ITO透明電極がパターニングされたガラス基板を、UV/O3 洗浄した後、ホール注入層としてポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)水溶液(1.6%(質量百分率))を室温大気下でスピンコーティング(50nm)した後、減圧下85℃で30分間乾燥した。次に、N-ポリビニルカルバゾール(PVK:最低励起三重項エネルギー3.0eV) 52.5mg、2-(4,4’−ビフェニル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)−オキサジアゾール(t-BuPBD:最低励起三重項エネルギー2.9eV) 22.5mg、およびビス(2−フェニルピリジナト)(ジメチルジチオカルボエイト)イリジウム(III)(例示化合物A-1:最低励起三重項エネルギー2.6eV) 1.2mgを3.75mlのトルエンに溶解させたのち、0.5μm のフィルターにてろ過した溶液をアルゴン雰囲気下にて、PEDOT/PSS層を形成した基板上にスピンコート(乾燥後の厚さ100nm)し、発光層とした。次に、この基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、5×10-4Pa以下まで減圧し、バトフェナントロリンを蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子輸送層とした。さらに、電子注入層としてLiFを蒸着速度0.02nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、この後、陰極としてアルミニウムを蒸着速度1.5nm/secで150nm蒸着し、有機EL素子を作製した。この有機EL素子を、直流電流で駆動したところ、例示化合物A-1のりん光スペクトルに相当する緑色(λmax=510nm)の発光を得た。この素子を50mAcm-2の定電流で駆動したところ、輝度半減寿命は、60時間であった。
【0144】
<実施例2>
発光層に用いる白金族金属錯体をビス(2−フェニルピリジナト)(ピロリジン−1‐ジチオカルボエイト)イリジウム(III)(例示化合物A-2:最低励起三重項エネルギー2.6eV)とした以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。この有機EL素子を直流電流で駆動したところ、例示化合物A-1のりん光スペクトルに相当する緑色(λmax=510nm)の発光を得た。この素子を50mAcm-2の定電流で駆動したところ、輝度半減寿命は、50時間であった。
【0145】
<実施例3>
発光層に用いる白金族金属錯体をビスベンゾキノレイト(ジメチルアミノジチオカルボエイト)イリジウム(III)(例示化合物B-1:最低励起三重項エネルギー2.5eV)とした以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。この有機EL素子を直流電流で駆動したところ、例示化合物B-1のリン光スペクトルに相当する黄色(λmax=548nm)の発光を得た。この素子を50mAcm-2の定電流で駆動したところ、輝度半減寿命は、45時間であった。
【0146】
<実施例4>
ITO透明電極がパターニングされたガラス基板を、UV/O3 洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、5×10-4Pa以下まで減圧し、m‐MTDATA(N,N,N−トリス−(3‐メチルフェニル)フェニルアミノトリフェニルアミン)、NPB(4,4’‐ビス[N-(1-ナフチル)−N‐フェニルアミノ]ビフェニル)を蒸着速度0.1nm/secで、それぞれ30nm、10nmの厚さに蒸着し、ホール注入およびホール輸送層とした。次に、NPBとルブレンを共蒸着によりルブレンが3%(質量百分率)含有された層を20nm積層した。さらに、CBP(4,4’-ビス(N-カルバゾリル)ビフェニール:最低励起三重項エネルギー2.9eV)とIr錯体(例示化合物A-1:最低励起三重項エネルギー2.6eV)を共蒸着により例示化合物A-1が6%(質量百分率)含有された層を20nm積層し、発光層とした。続いて、バトフェナントロリンを蒸着速度0.1nm/secで15nmの厚さに蒸着し、電子輸送層とした。さらに、電子注入層としてLiFを蒸着速度0.02 nm/secで0.5nmの厚さに蒸着し、この後、陰極としてアルミニウムを蒸着速度1.5nm/secで150nm蒸着し、有機EL素子を作製した。この有機EL素子を、直流電流で駆動したところ、ルブレンの蛍光スペクトルと例示化合物A-1のリン光スペクトルに相当するそれぞれの成分が1:5の割合で混合した黄緑色(λmax=510nm)の発光を得た。この素子を50mAcm-2の定電流で駆動したところ、輝度半減寿命は、100時間であった。
【0147】
<比較例>
発光層に用いる白金族金属錯体をトリス(2‐フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)とした以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を作製した。この有機EL素子を直流電流で駆動したところ、Ir(ppy)3のリン光スペクトルに相当する緑色(λmax=510nm)の発光を得た。この素子を50mAcm-2の定電流で駆動したところ、輝度半減寿命は、5時間であった。
【0148】
【発明の効果】
本発明によれば、ジチオカルボン酸ないしその誘導体を配位子として含むオルトメタル化金属錯体(好ましくは白金族金属錯体)は、励起一重項から励起三重項への系間交差が効率よく行われ、極めて安定性が良好であるため、これを発光材料に用いた有機EL素子は、高温時の保存・駆動安定性に優れ、発光効率が高く、かつ発光効率の電流密度依存性が小さく、長寿命化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の有機EL素子の他例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 ホール注入層
4 ホール輸送層
5 蛍光発光層
6 リン光発光層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (7)

  1. 陽極と陰極とを有し、この陽極と陰極との間に、少なくとも発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0003965063
    [式(1a)において、Mは二価以上の価数を取りうる金属または希土類元素を表す。Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2は、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、これらの環は置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1、R2およびR3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
    Figure 0003965063
    [式(1b)において、Mは二価以上の価数を取りうる金属または希土類元素を表す。Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2およびZ3は、それぞれ、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、これらの環は互いに縮合環を形成しており、さらに、置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1、R2およびR3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
  2. 式(1a)または式(1b)で表される化合物が、式(1a)または式(1b)において、Mがルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金である白金族金属錯体である請求項1の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記白金族金属錯体が、式(1c)、式(1d)または式(1e)で表される請求項2の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0003965063
    [式(1c)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3およびR12〜R17は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1およびR12〜R14の隣接する2個同士、またはR2およびR15〜R17の隣接する2個同士が互いに結合して環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
    Figure 0003965063
    [式(1d)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3、R12、R13およびR16〜R19は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1、R2、R12、R13およびR16〜R19の隣接する2個同士は互いに結合して環を形成してもよい。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
    Figure 0003965063
    [式(1e)において、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムまたは白金を表す。R1〜R3、およびR12〜R14およびR20は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1およびR12〜R14の隣接する2個同士、またはR2とR20とが互いに結合して環を形成してもよい。Xはヘテロ原子を表す。mおよびnは、それぞれ1以上の整数であり、m+nはMの価数と一致する。]
  4. 式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層が発光層であり、この発光層が、ドーパントして前記式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する請求項1〜3のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記発光層のホスト材料として有機化合物を含有し、この有機化合物の最低励起三重項エネルギーが前記式(1a)または式(1b)で表される化合物の最低励起三重項エネルギーより大きい値をもつ請求項4の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光層が、さらに、前記ホスト材料と前記式(1a)または式(1b)で表される化合物とは異なる有機化合物を含有し、この有機化合物の最低励起三重項エネルギーが前記式(1a)または式(1b)で表される化合物の最低励起三重項エネルギーより大きい値をもつ請求項5の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 式(1a)または式(1b)で表される化合物を含有する有機層が発光層であり、この発光層に隣接して、これとは異なる、蛍光発光性有機化合物を含有する発光層を有する請求項1〜3のいずれかの有機エレクトロルミネッセンス素子。
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