JP4932233B2 - 高分子発光材料、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

高分子発光材料、有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、高分子発光材料および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、本発明は、高い発光効率が得られる高分子発光材料、および製造工程が簡略化され、大面積化が実現できるとともに、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(本明細書において、「有機EL素子」ともいう。)に用いる材料開発が活発に行われている。たとえば、フルカラー表示を実現するためには、光の3原色(RGB)(赤色、緑色および青色)の各単色光を発光する材料が必要であるが、これらに関しては、高い発光効率とともに、安定性に優れ、故に高温時での保存や駆動安定性に優れ、さらには長寿命である材料が求められている。
最近、チジオカルボン酸ないしその誘導体を配位子として含み、二つの硫黄で金属に配位したオルトメタル化金属錯体が開示されている(特許文献1)。
なお、本明細書での「オルトメタル化」とは、一般式(1)または(2)でのZ2で完
成される環において、配位原子を有する置換基の結合位置に対してオルト位のC−H結合が、分子内反応で金属−炭素結合を含むキレート環を生成する反応をいう。
しかしながら、該錯体ではいまだ発光効率、寿命などの点で不充分である。特に、発光層を形成する際に塗布法を用いた場合は寿命が短くなり、また、真空蒸着法においても充分な寿命の確保ができない。
特開2003−264086
本発明の目的は、安定性に優れ、故に高温時での保存や駆動安定性に優れ、さらには長寿命である高分子発光材料を提供することにある。また、本発明の別の目的は、製造工程が簡略化され、大面積化が実現できるとともに、耐久性に優れた有機EL素子および表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のイリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体からなる高分子発光材料により、高温時での保存や駆動安定性に優れ、さらには長寿命である有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりに要約される。
[1]一般式(1)または一般式(2)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体からなることを特徴とする高分子発光材料。
Figure 0004932233
(式中、Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2は、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子群を表し、これらの環は置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。R3は重合性官能基を有する置換基を表す。)
Figure 0004932233
(式中、Z1は、五員または六員の含窒素複素環を完成するための原子群を表し、Z2およびZ3は、それぞれ独立に五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原子
群を表し、これらの環は置換基を有してもよく、また、縮合環を有していてもよい。R1
およびR2は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、
シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。R3は重合性官能基を有する置換基を表す
。)
[2]上記イリジウム錯体が、一般式(3)〜(5)のいずれかで表されることを特徴とする上記[1]に記載の高分子発光材料。
Figure 0004932233
(式中、R1、R2およびR12〜R17は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1およびR12
14の隣接する2個同士、またはR2およびR15〜R17の隣接する2個同士が互いに結合
して環を形成してもよい。R3は重合性官能基を有する置換基を表す。)
Figure 0004932233
(式中、R1、R2、R12、R13およびR16〜R19は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1
、R2、R12、R13およびR16〜R19の隣接する2個同士が互いに結合して環を形成して
もよい。R3は重合性官能基を有する置換基を表す。)
Figure 0004932233
(式中、R1、R2、R12〜R14およびR20は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表し、R1および
12〜R14の隣接する2個同士、またはR2とR20とが互いに結合して環を形成してもよ
い。Xは置換基を有しても良いヘテロ原子を表す。R3は重合性官能基を有する置換基を
表す。)
[3]上記イリジウム錯体が、一般式(6)〜(9)のいずれかで表されることを特徴とする上記[1]に記載の高分子発光材料。
Figure 0004932233
[4]上記重合体が、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構造単位を含むことを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子発光材料。
[5]陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、上記有機高分子層の少なくとも1層に、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
[6]上記[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
[7]上記[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
本発明によれば、高温時での保存や駆動安定性に優れ、さらには長寿命である有機EL素子が得られる高分子発光材料を提供することができる。また、本発明によれば、製造工程が簡略化され、大面積化が実現できるとともに、耐久性に優れた有機EL素子および表示装置を提供することができる。
高温時での保存や駆動安定性に優れ、さらには長寿命である有機EL素子を得るために本発明者らは種々の検討を行った。その結果、特定のイリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体からなることを特徴とする高分子発光材料が有効であることを見出した。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明においては以下に限定されるもので
はない。
本発明に係る高分子発光材料は、特定のイリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体からなる。このような材料では、イリジウム錯体の三重項励起状態からの発光が得られる。上記高分子発光材料は、さらに、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重合性化合物から導かれる構造単位を含む重合体からなることが好ましい。
<イリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体>
本発明に用いられる重合体は、上記式(1)または上記式(2)で表されるイリジウム錯体を含む単量体を重合して得られる。
上記重合体において、上記イリジウム錯体の単量体は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。本明細書において、上記重合体には、上記錯体の単独重合体、および2種以上の該錯体の共重合体も含む。
上記式(1)または上記式(2)で表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位を含む重合体からなることを特徴とする高分子発光材料は、特定の置換基を有するジチオカルボン酸ないしその誘導体からなる配位子が配位している。そのため、安定性がきわめて良好である。したがって、このような金属錯体を発光材料として用いた有機EL素子は、高温時の保存・駆動安定性に優れ、発光効率が高く、かつ発光効率の電流密度依存性が小さく、長寿命化が可能である。
以下、上記式(1)および上記式(2)について、さらに具体的に説明する。
上記式(1)および上記式(2)中のZ1は、五員または六員の含窒素複素環を完成す
るための原子群を表し、Z1で完成される含窒素複素環としては、芳香環が好ましく、さ
らには縮合環を有していてもよく、例えばピリジン環、キノリン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、ピリミジン環、ピラジン環等がある。また、これらの環は置換基を有していてもよく、例えばシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アシル基、アラルキル基、アルケニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記式(1)および上記式(2)中のZ2は、五員または六員の炭素環または複素環を
完成するための原子群を表し、Z2で完成される環としては、芳香環が好ましく、さらに
は縮合環を有していてもよく、例えばベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、テルフェニル環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピリミジン環等がある。これらの環は置換基を有していてもよく、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、複素環基、カルボキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
なお、Z2によって完成される環がベンゼン環であるような場合、上記式(1)および
上記式(2)中の炭素と炭素との間の単結合、二重結合の位置は便宜的なものであり、理論的に矛盾しないものであれば、この位置に限定されるものではない。
上記式(2)中のZ3は、五員もしくは六員の炭素環または複素環を完成するための原
子群を表し、Z3で完成される環は、Z1で完成される環およびZ2で完成される環ととも
に縮合環を形成する。Z3で完成される環は、Z2で完成される環と同様のものが挙げられる。
1およびR2は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、
アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基または複素環基を表す。
1およびR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
1およびR2で表されるアルキル基としては、無置換でも置換基(例えばハロゲン原子等)を有していてもよく、直鎖状でも分枝を有していても、環状であってもよく、総炭素数は1〜10であることが好ましい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シクロヘキシル、フッ化メチル、塩化メチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアラルキル基としては、無置換であっても置換基を有していてもよく、総炭素数7〜20であることが好ましい。例えば、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアルケニル基としては、無置換であっても置換基(例えばアリール等)を有していてもよく、総炭素数2〜20であることが好ましい。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、スチリル、2,2−ジフェニルビニル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアリール基としては、無置換であっても置換基(例えばアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ等)を有していてもよく、総炭素数6〜20であることが好ましい。例えば、フェニル、(o−,m−,p−)トリル、(o−,m−,p−)フェノキシフェニル、(2−,3−,4−)ビフェニリル、ナフチル、ジフェニルアミノフェニル、アセトキシフェニル、アセチルフェニル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアミノ基としては、無置換であっても置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール等)を有していてもよく、総炭素数は0〜20であることが好ましい。例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ジトリルアミノ等が挙げられる。
1およびR2で表されるアルコキシ基としては、前記のR1およびR2で表されるアルキル基、アラルキル基を有するものが好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ベンジルオキシ等が挙げられる。
1およびR2で表されるアリールオキシ基としては、前記のR1およびR2で表されるアリール基を有するものが好ましく、例えばフェノキシ、メチルフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
1およびR2で表されるアシル基としては、無置換であっても置換基を有していてもよく、総炭素数1〜20のものが好ましく、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ベンゾイル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアシルオキシ基としては、前記のR1およびR2で表されるアシル基を有するものが好ましく、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
1およびR2で表されるアルコキシカルボニル基としては、前記のR1およびR2で表されるアルコキシ基を有するものが好ましく、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル等が挙げられる。
1およびR2で表されるアリールオキシカルボニル基としては、前記のR1およびR2で表されるアリールオキシ基を有するものが好ましく、例えばフェノキシカルボニル等が挙げられる。
1およびR2で表される複素環基としては、さらに縮合環を有していてもよい五員、六員の複素環基が好ましく、また、置換基(例えばアルキル、アリール等)を有していてもよく、芳香族性を有するものであっても、有しないものであってもよい。例えばチエニル、ピロリル、ピロリジニル、ピリジル、カルバゾリル、フェニルチエニル等が挙げられる。
1としては水素原子、アリール基が好ましく、R2としては水素原子、アリール基が好ましく、R1、R2としては隣接基とともにベンゼン環を形成する場合も好ましい。
3は、重合性官能基を有するが、該官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、ア
ニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基としては、例えば、アリル基、アルケニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、ビニルアミド基およびこれらの誘導体などを挙げることができる。これらのうちで、アルケニル基が好ましい。
3は、具体的には、上記官能基を、下記一般式(A1)〜(A12)で表される置換
基として有することがより好ましい。これらのうちで、下記式(A1)、(A5)、(A8)、(A12)で表される置換基は、イリジウム錯体に官能基が容易に導入できるためさらに好ましい。
Figure 0004932233
上記のイリジウム錯体のなかでも、上記式(3)〜(5)のいずれかで表されるものが好ましい。
上記式(3)〜(5)において、R1〜R3は、上記式(1)または上記式(2)中のものと同義であり、R12〜R20は上記式(1)、(2)中のR1と同義である。式(5)に
おいて、Xは置換基を有しても良いヘテロ原子を表す。
したがって、上記式(3)〜(5)中のR1〜R3については、上記式(1)、(2)中
のものと好ましいものも同様である。
なお、上記式(3)において、R1、R12〜R14から選ばれる隣接基同士、あるいはR2、R15〜R17から選ばれる隣接基同士は互いに結合して環を形成してもよい。また、上記式(4)においては、R11、R2、R12〜R19から選ばれる隣接基同士は互いに結合し
て環を形成してもよく、また、上記式(5)においては、R1、R12〜R14から選ばれる
隣接基同士、あるいはR2とR20は互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(3)において、R1、R12〜R14としては水素原子が好ましく、置換基として
はフェニル等のアリール基、アミノ基、アシルオキシ基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
また、R2、R15〜R17としては、水素原子が好ましく、置換基としては、フッ素等の
ハロゲン原子、メチル等のアルキル基、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、複素環基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルケニル基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
上記式(4)において、R1、R12、R13としては水素原子が好ましく、置換基として
はメチル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
また、R2、R16、R17としては、水素原子が好ましく、置換基としてはフッ素等のハ
ロゲン原子、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、アミノ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基が好ましく、また、隣接基同士でベンゼン環を形成するものも好ましい。
18、R19としては水素原子が好ましく、置換基としてはフェニル等のアリール基、シアノ基、アリールオキシ基が好ましく、これらが互いに結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
上記式(5)において、R1、R12〜R14としては水素原子が好ましく、置換基として
はメチル等のアルキル基、シアノ基、メトキシ等のアルコキシ基、フェニル等のアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、隣接基同士が結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
2、R20としては水素原子が好ましく、置換基としてはメチル等のアルキル基、フッ
素等のハロゲン原子、フェニル等のアリール基、アリールオキシ基、アシル基が好ましく、これらが互いに結合してベンゼン環を形成する場合も好ましい。
上記式(5)中のXで表されるヘテロ原子としては、硫黄(S)、酸素(O)が好ましく、Sが特に好ましいが、NR0(R0は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基もしくはアリール基などであり、好ましくは水素原子、メチル、フェニル等である。)であってもよい。
上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体におけるジチオカルボン酸系の配位子の具体例を以下に示す。
Figure 0004932233
また、オルトメタル化配位子の具体例を以下に示す。
Figure 0004932233
Figure 0004932233
Figure 0004932233
Figure 0004932233
Figure 0004932233
Figure 0004932233
これらの配位子から、もっとも好ましくは以下のイリジウム錯体である。
Figure 0004932233
上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体は、例えば、以下のように製造することができる。まず、対応するオルトメタル化配位子と、塩化イリジウムなどのイリジウム化合物(0.5当量)とを、2−エトキシエタノールなどの溶媒中で反応させる。次いで、得られた金属錯体および重合性官能基を有するジチオカルボン酸類とを、炭酸ナトリウムと共に、2−エトキシエタノールなどの溶媒中で加熱した後、精製して、上記式(1)または(2)で表されるイリジウム錯体を得る。なお、重合性官能基を有するジチオカルボン酸類は、公知の方法によって得られる。
また、上記重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。本明細書における分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量をいう。上記分子量がこの範囲にあると、重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
<キャリア輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を有する重合体>
本発明に用いられる重合体は、1種または2種以上の上記イリジウム錯体の単量体と共に、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物からなる群より選択される少なくとも1種の重合性化合物を含む単量体を共重合して得られる重合体であることが好ましい。なお、本明細書において、ホール輸送性の重合性化合物および電子輸送性の重合性化合物を併せて、キャリア輸送性の重合性化合物ともいう。
すなわち、上記高分子発光材料は、1種または2種以上の上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位、または1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位を含む重合体からなることが好ましい。このような高分子発光材料では、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位上で、ホールと電子とが効率よく再結合するため、高い発光効率が得られる。
また、上記高分子発光材料は、1種または2種以上の上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と共に、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位とを含む重合体からなることがより好ましい。このような高分子発光材料は、発光性、ホール輸送性および電子輸送性のすべての機能を備えているため、イリジウム錯体上で、ホールと電子とがさらに効率よく再結合するため、より高い発光効率が得られる。
上記ホール輸送性の重合性化合物および上記電子輸送性の重合性化合物は、重合性官能基を有することのほか、特に制限されず、公知のキャリア輸送性の化合物が用いられる。
上記重合性官能基は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、付加重合性、および縮合重合性の官能基のいずれであってもよい。これらのうちで、ラジカル重合性の官能基は、重合体の製造が容易であるため好ましい。
上記重合性官能基としては、上記式(1)または(2)中のR3における、重合性官能
基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
上記重合性化合物は、具体的には、上記官能基を、上記式(A1)〜(A12)で表される置換基として有することがより好ましい。
上記ホール輸送性の重合性化合物としては、具体的には、下記一般式(E1)〜(E6)で表される化合物が好ましく、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E1)〜(E3)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0004932233
上記電子輸送性の重合性化合物としては、具体的には、下記一般式(E7)〜(E15)で表される化合物が好ましく、共重合体におけるキャリア移動度が高いため、下記式(E7)、(E12)〜(E14)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0004932233
なお、上記式(E1)〜(E15)において、上記式(A1)で表される置換基を、上記一般式(A2)〜(A12)で表される置換基に代えた化合物も好適に用いられるが、重合性化合物に官能基を容易に導入できるため、上記式(A1)、(A5)で表される置換基を有する化合物が特に好ましい。
これらのうちで、上記ホール輸送性の重合性化合物として、上記式(E1)〜(E3)のいずれかで表される化合物と、上記電子輸送性の重合性化合物として、上記式(E7)、(E12)〜(E14)のいずれかで表される化合物とを、上記イリジウム錯体と組み
合わせて共重合させることがより好ましい。このような高分子発光材料は、高い発光効率および高い最高到達輝度を有し、耐久性にも優れる。
この場合に、上記イリジウム錯体として、上記式(6)〜(9)で表される錯体を用いることがさらに好ましく、より長寿命化が図れるため上記式(7)〜(8)で表される錯体を用いることが特に好ましい。
上記式(E1)〜(E15)で表される重合性化合物は、公知の方法によって製造することができる。
なお、上記重合体は、さらに、他の重合性化合物から導かれる構造単位を有していてもよい。上記他の重合性化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレンおよびその誘導体などのキャリア輸送性を有さない化合物が挙げられるが、何らこれらに制限されるものではない。
また、上記重合体の重量平均分子量は、1,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,000,000であることがより好ましい。上記分子量がこの範囲にあると、重合体が有機溶媒に可溶であり、均一な薄膜を得られるため好ましい。
イリジウム錯体と、キャリア輸送性の重合性化合物(ホール輸送性および/または電子輸送性の重合性化合物)との比率を適宜設定すれば、所望の上記重合体が得られ、該重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、および交互共重合体のいずれでもよい。
上記重合体における、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位数をmとし、キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数(ホール輸送性の重合性化合物および/または電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位の総数)をnとしたとき(m、nは1以上の整数を示す)、全構造単位数に対する上記イリジウム錯体から導かれる構造単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は、0.001〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.001〜0.2の範囲にあることがより好ましい。m/(m+n)の値がこの範囲にあると、キャリア移動度が高く、濃度消光の影響が小さい、高い発光効率の有機EL素子が得られる。
また、上記重合体が、ホール輸送性化合物から導かれる構造単位と電子輸送性化合物から導かれる構造単位とを含む場合、ホール輸送性化合物から導かれる構造単位数をx、電子輸送性化合物から導かれる構造単位数をyとすると(x、yは1以上の整数を示す)、上記nとの間に、n=x+yの関係が成り立つ。キャリア輸送性化合物から導かれる構造単位数に対する、ホール輸送性化合物から導かれる構造単位数の割合x/n、および電子輸送性化合物から導かれる構造単位数の割合y/nの最適値は、各構造単位の電荷輸送能、イリジウム錯体から導かれる構造単位の電荷輸送性、濃度などによって決まる。この重合体を有機EL素子の発光層を形成する唯一の化合物として用いる場合、x/nおよびy/nの値は、それぞれ0.05〜0.95の範囲にあることが好ましく、0.20〜0.80の範囲にあることがより好ましい。なお、ここで、x/n+y/n=1が成り立つ。
上記重合体の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、および付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。
2.有機エレクトロルミネッセンス素子
本発明に係る高分子発光材料は、有機EL素子の材料として好適に用いられる。上記有機EL素子は、陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含み、該有機高分子層の少なくとも1層に、上記高分子発光材料が含まれる。本発明に係る高分子発光材料は、簡便な塗布法で発光層を成膜でき、素子の大面積化が図れる。
本発明に係る有機EL素子の構成の一例を図1に示すが、本発明に係る有機EL素子の構成は、これに制限されない。図1では、透明基板(1)上に設けた陽極(2)および陰極(6)の間に、ホール輸送層(3)、発光層(4)および電子輸送層(5)を、この順で設けている。上記有機EL素子では、例えば、陽極(2)と陰極(6)の間に、1)ホール輸送層/発光層、2)発光層/電子輸送層のいずれかを設けてもよい。また、3)ホール輸送材料、発光材料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、6)発光材料の単独層のいずれかの層を1層のみ設けてもよい。さらに、発光層を2層以上積層してもよい。
上記のような素子において、本発明に係る高分子発光材料が、上記イリジウム錯体から導かれる構造単位と、ホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位とを含む重合体からなる場合は、該材料を含む上記有機高分子層は、ホール輸送性および電子輸送性を併せ持つ発光層として利用できる。このため、他の有機材料の層を設けない場合であっても、高い発光効率および耐久性を有する有機EL素子を作製できる。また、製造工程がさらに簡略化できる。
上記の各層は、バインダとして高分子材料などを混合して、形成してもよい。上記高分子材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどが挙げられる。
また、上記の各層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料は、それぞれ単独で各層を形成しても、機能の異なる材料を混合して、各層を形成していてもよい。本発明に係る有機EL素子における発光層においても、本発明に係る高分子発光材料の他に、キャリア輸送性を補う目的で、さらに他のホール輸送材料および/または電子輸送材料が含まれていてもよい。このような輸送材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
上記ホール輸送層を形成するホール輸送材料、または発光層と混合させるホール輸送材料としては、例えば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン);α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル);m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)等の低分子トリフェニルアミン誘導体;ポリビニルカルバゾール;上記トリフェニルアミン誘導体に重合性官能基を導入して重合した高分子化合物;ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレン等の蛍光発光性高分子化合物などが挙げられる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物などが挙げられる。上記ホール輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なるホール輸送材料を積層して用いてもよい。ホール輸送層の厚さは、ホール輸送層の導電率などに依存するが、通常、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
上記電子輸送層を形成する電子輸送材料、または発光層と混合させる電子輸送材料としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)等のキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体等の低分子化合物;上記の低分子化合物に重合性置換基を導入して重合した高分子化合物を挙げることができる。上記高分子化合物としては、例えば、特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどが挙げられる。上記電子輸送材料は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、異なる電子輸送材料を積層して用いてもよい。電子輸送層の厚さは、電子輸送層の導電率などに依存す
るが、通常、好ましくは1nm〜5μm、より好ましくは5nm〜1μm、特に好ましくは10nm〜500nmであることが望ましい。
また、発光層の陰極側に隣接して、ホールが発光層を通過することを抑え、発光層内でホールと電子とを効率よく再結合させる目的で、ホール・ブロック層が設けられていてもよい。上記ホール・ブロック層の形成には、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などの公知の材料が用いられる。
陽極とホール輸送層との間、または陽極と陽極に隣接して積層される有機層との間に、ホール注入において注入障壁を緩和するために、バッファ層が設けられていてもよい。上記バッファ層を形成するためには、銅フタロシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との混合物などの公知の材料が用いられる。
陰極と電子輸送層との間、または陰極と陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上するために、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が設けられていてもよい。上記絶縁層を形成するためには、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの公知の材料が用いられる。
本発明に係る有機EL素子に用いる陽極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子など、公知の透明導電材料が好適に用いられる。この透明導電材料によって形成された電極の表面抵抗は、1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であることが好ましい。陽極の厚さは50〜300nmであることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子に用いる陰極材料としては、例えば、Li、Na、K、Cs等のアルカリ金属;Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属;Al;MgAg合金;AlLi、AlCa等のAlとアルカリ金属との合金など、公知の陰極材料が好適に用いられる。陰極の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属などの活性の高い金属を使用する場合には、陰極の厚さは、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜50nmであることが望ましい。また、この場合には、上記陰極金属を保護する目的で、この陰極上に、大気に対して安定な金属層が積層される。上記金属層を形成する金属として、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu、Ni、Crなどが挙げられる。上記金属層の厚さは、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは50〜500nmであることが望ましい。
本発明に係る有機EL素子の基板としては、上記発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が好適に用いられ、具体的には、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の透明プラスチックなどが用いられる。
上記のホール輸送層、発光層および電子輸送層の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法、スプレー法、ディスペンサー法などを用いることができる。低分子化合物の場合は、抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好適に用いられ、高分子材料の場合は、インクジェット法、スピンコート法、または印刷法が好適に用いられる。
本発明に係る高分子発光材料を用いて発光層を成膜する場合は、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート法または印刷法が好ましく用いられるため、製造工程が簡略化され、素子の大面積化も図れる。
また、上記陽極材料の成膜方法としては、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などが用いられ、上記陰極材料の成膜方法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが用いられる。
3.用途
本発明に係る有機EL素子は、公知の方法で、マトリックス方式またはセグメント方式による画素として画像表示装置に好適に用いられる。また、上記有機EL素子は、画素を形成せずに、面発光光源としても好適に用いられる。
本発明に係る有機EL素子は、具体的には、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
[合成例1]
(1−1)ジチオカルボン酸系配位子(A)の合成
Figure 0004932233
ナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液18g(0.10mol)および脱水メタノール25mlの混合溶液に、3.2gの硫黄(0.10mol)を加えた後、7.6gの塩化4−ビニルベンジル(0.050mmol)を30分かけて滴下した。得られた混合物を65℃で10時間加熱撹拌した。反応液を氷冷し、沈殿を濾別した後、50mlの水を加えてさらに濾過した。濾液を20mlのジエチルエーテルで3回洗浄し、1.0N塩酸溶液を加えてジエチルエーテルで有機物を抽出した。得られたジエチルエーテル溶液に30mlの水と60mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層を分取し、ジチオカルボン酸配位子(A)の溶液を調製した。
なお、配位子(A)は単離状態であまり安定でないことが予想されるので、水溶液として次の反応に用い、同定分析を行わなかった。
(1−2)イリジウム錯体(B)の合成
Figure 0004932233
常法により合成した[ビス(2−フェニルピリジノ)イリジウム]2 500mg(0.
47mmol)に(1−1)で調製した配位子(A)の水溶液10mlと2−エトキシエタノール20mlを加え、90℃で24時間加熱撹拌した。得られた反応液に50mlの
水を加え、クロロホルムで抽出した後、減圧で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、イリジウム錯体(B)350mg(0.51mmol)を得た。
イリジウム錯体(B)の同定データは以下の通りである。
元素分析: 計算値(C3123IrN22) C,54.76;H,3.41%;N,4.12. 測定値 C,55.02;H,3.27%;N,4.05.
質量分析(FAB+): 680(M+).
[合成例2]イリジウム錯体(C)の合成
Figure 0004932233
常法により合成した[ビス(ベンゾ[h]キノリノ)イリジウム]2 500mg(0.
43mmol)に(1−1)で調製した配位子(A)の水溶液10mlと2−エトキシエタノール20mlを加え、90℃で24時間加熱撹拌した。得られた反応液に50mlの水を加え、クロロホルムで抽出した後、減圧で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、イリジウム錯体(C)310mg(0.43mmol)を得た。
イリジウム錯体(C)の同定データは以下の通りである。
元素分析: 計算値(C3123IrN22) C,54.76;H,3.41%;N,4.12. 測定値 C,55.02;H,3.27%;N,4.05.
質量分析(FAB+): 728(M+).
[実施例1]共重合体(I)の合成
密閉容器に、イリジウム錯体(B)80mg、上記式(E1)で表される化合物(特開2005−97589号公報に記載の方法に従って合成した)460mg、および上記式(E7)で表される化合物(特開平10−1665号公報に記載の方法に従って合成した)460mgを入れ、脱水トルエン(9.9mL)を加えた。次いで、V−601(和光純薬工業(株)製)のトルエン溶液(0.1M、198μL)を加え、凍結脱気操作を5回繰り返した。真空のまま密閉し、60℃で60時間撹拌した。反応後、反応液をアセトン500mL中に滴下し、沈殿を得た。さらにトルエン−アセトンでの再沈殿精製を2回繰り返した後、50℃で一晩真空乾燥して、共重合体(I)を得た。
共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は66100、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.01であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共重合体におけるm/(m+n)の値は0.029であった。また、共重合体(I)において、x/nの値は、0.43であり、y/nの値は、0.57であった。
[実施例2]共重合体(II)の合成
イリジウム錯体(B)の代わりにイリジウム錯体(C)を、上記式(E1)で表される化合物の代わりに上記式(E2)で表される化合物(特開2005−200638号公報に記載の方法に従って合成した)を、上記式(E7)で表される化合物の代わりに上記式(E14)で表される化合物(特開2005−200638号公報に記載の方法に従って合成した)を用いた他は、実施例1と同様にして、共重合体(II)を得た。
共重合体(II)の重量平均分子量(Mw)は53900、分子量分布指数(Mw/Mn)は1.92であった。ICP元素分析および13C−NMR測定の結果から見積もった共重合体におけるm/(m+n)の値は0.030であった。また、共重合体(II)において、x/nの値は、0.42であり、y/nの値は、0.58であった。
[実施例3]有機EL素子の作製および発光特性の評価
ITO付き基板(ニッポ電機(株)製)を用いた。これは、25mm角のガラス基板の一方の面に、幅4mmのITO(酸化インジウム錫)電極(陽極)が、ストライプ状に2本形成された基板であった。
まず、上記ITO付き基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(バイエル(株)製、商品名「バイトロンP」)を、回転数3500rpm、塗布時間40秒の条件で、スピンコート法により塗布した。その後、真空乾燥器で減圧下、60℃で2時間乾燥し、陽極バッファ層を形成した。得られた陽極バッファ層の膜厚は、約50nmであった。次に、共重合体(I)90mgをトルエン(和光純薬工業(株)製、特級)2910mgに溶解し、この溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、塗布溶液を調製した。次いで、上記陽極バッファ層上に、上記塗布溶液を、回転数3000rpm、塗布時間30秒の条件で、スピンコート法により塗布した。塗布後、室温(25℃)で30分間乾燥し、発光層を形成した。得られた発光層の膜厚は、約100nmであった。
次に、発光層を形成した基板を蒸着装置内に載置した。次いで、カルシウムおよびアルミニウムを重量比1:10で共蒸着し、陽極の延在方向に対して直交するように、幅3mmの陰極をストライプ状に2本形成した。得られた陰極の膜厚は、約50nmであった。
最後に、アルゴン雰囲気中で、陽極と陰極とにリード線(配線)を取り付けて、縦4mm×横3mmの有機EL素子を4個作製した。上記有機EL素子に、プログラマブル直流電圧/電流源(TR6143、(株)アドバンテスト社製)を用いて電圧を印加して発光させた。その発光輝度を、輝度計(BM−8、(株)トプコン社製)を用いて測定した。
作製した有機EL素子は、緑色の発光を示した。
得られた緑色光は、CIE色度座標においてx=0.31およびy=0.64であった。最大発光外部量子効率は6.5%、最高輝度は15000cd/m2であった。また初
期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続発光し、強制劣化させた際、
輝度が半減するまで、4000時間であった。
[実施例4]有機EL素子の作製および発光特性の評価
共重合体(I)の代わりに共重合体(II)を用いたほかは、実施例3と同様にして、有機EL素子を作製し、発光色などの測定を行った。
作製した有機EL素子は、黄色の発光を示した。
得られた黄色光は、CIE色度座標においてx=0.51およびy=0.49であった。最大発光外部量子効率は5.8%、最高輝度は11000cd/m2であった。また初
期輝度100cd/m2で電流値を一定にして通電して連続発光し、強制劣化させた際、
輝度が半減するまで、2900時間であった。
図1は、本発明に係る有機EL素子の例の断面図である。
符号の説明
1: ガラス基板
2: 陽極
3: ホール輸送層
4: 発光層
5: 電子輸送層
6: 陰極

Claims (4)

  1. 下記式(7)〜(8)のいずれかで表されるイリジウム錯体から導かれる構造単位と、1種または2種以上のホール輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位と、1種または2種以上の電子輸送性の重合性化合物から導かれる構造単位とを含む重合体からなり、
    ホール輸送性の重合性化合物が、下記式(E1)〜(E3)のいずれかで表されるホール輸送性の重合性化合物であり、該電子輸送性の重合性化合物が、下記式(E7)、(E12)〜(E14)のいずれかで表される電子輸送性の重合性化合物であることを特徴とする高分子発光材料。
    Figure 0004932233
    Figure 0004932233
    Figure 0004932233
  2. 陽極と陰極とに挟まれた1層または2層以上の有機高分子層を含む有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機高分子層の少なくとも1層に、請求項1に記載の高分子発光材料を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像表示装置。
  4. 請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた面発光光源。
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