JP5003390B2 - 円筒型固体アルカリ形燃料電池用セル - Google Patents

円筒型固体アルカリ形燃料電池用セル Download PDF

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Description

本発明は、新規な固体アルカリ形燃料電池用セルに関する。
固体高分子形燃料電池は、他の燃料電池と比して、軽量化、高出力密度等を達成できる観点から、さまざまな研究がなされている。固体高分子形燃料電池は、一般的には、電解質膜としてイオン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層及び電極基材を順に配置し、更にこれをセパレータで挟んだ構造をしている。
固体高分子形燃料電池は、通常、カチオン(H)を通過させるカチオン伝導性高分子電解質膜を使用する。近年、高分子電解質膜として、アニオン(OH)を通過させるアニオン伝導性高分子電解質膜を使用したアニオン伝導性高分子形燃料電池(「固体アルカリ形燃料電池」とも呼ばれている。)が提案されている(特許文献1〜3)。
これらのカチオン伝導性及びアニオン伝導性の固体高分子形燃料電池は、いずれも、セパレータ、ガス拡散層、カソード触媒層、電解質膜、アノード触媒層及びセパレータからなる各部材が順次積層されてなる平板型の単セルを用いる。このような電池は、単セルを複数重ねることができ、大面積・大容量の電池として用いることが可能である。
しかしながら、単セルは、平板型構造であるため、単セルに導入する燃料、酸化剤等が単セルの側面(各部材が積層していることが目視できる面)から漏れやすく、電池の出力が下がる等の電池性能の劣化を招く。そのため、その単セルの側面に、ガスケットを外周全面(側面一周)に配置又は密着して、アノード触媒層とカソード触媒層とを完全に遮断・密封することが行われている。
しかしながら、このガスケットをセルの外周全面に配置又は密着させることが必要になるため、燃料電池の小型化が極めて困難になる。また、ガスケットを用いても、燃料、酸化剤等の漏れが生じる可能性がある面積がセルの外周全面の広範囲に亘り、燃料、酸化剤等の漏れの問題を解決することができず、密封性の点において、より一層の改善が望まれている。
特開平11−135137号公報 特開平11−273695号公報 特開2004−234973号公報
本発明は、小型化が可能で、セルの密封性が良好であり、さらに優れた電池性能を発揮することができる固体アルカリ形燃料電池用セルを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねて来た。その結果、円筒型を採用し、さらに特定の層構造を採用することにより、所望の固体アルカリ形燃料電池用セルが得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、完成されたものである。すなわち、本発明は、下記に示す燃料電池用セルに係る。
項1.円筒型の固体アルカリ形燃料電池用セルであって、
円筒の内側から外側に向かって、金属多孔質体、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層、カソード触媒層及び導電性多孔質体が順次積層されてなり、
導電性多孔質体とカソード触媒層との間及び金属多孔質体とアノード触媒層との間に、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン及びマンガン、並びにこれらの合金、並びに導電性炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種からなる多孔質体からなる第1中間層が更に積層されており、
カソード触媒層とアニオン伝導性高分子電解質層との間及びアノード触媒層とアニオン伝導性高分子電解質層との間に、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン及びマンガン、並びにこれらの合金、並びに導電性炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種からなる多孔質体からなる第2中間層が更に積層されており、且つ、
前記金属多孔体が、発泡ニッケル、発泡チタン及び発泡銀からなる群から選択される少なくとも1種である、
ことを特徴とする固体アルカリ形燃料電池用セル。
項2.導電性多孔質体が、炭素材料を主成分とする、項1に記載のセル。
項3.第1及び第2中間層が、銀及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる多孔質体からなる、項1又は2に記載のセル。
項4.第1及び第2中間層が、導電性炭素材料からなる多孔質体からなる、項1又は2に記載のセル。
本発明は、円筒型の固体アルカリ形燃料電池用セルであって、円筒の内側から外側に向かって、金属多孔質体、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層、カソード触媒層及び導電性多孔質体が順次積層されてなる、ことを特徴とする。このように、本発明は、従来の平板型ではなく、円筒型にすることにより、小型化が可能となり、また、燃料を燃料極(金属多孔質体及びアノード触媒層)に導入する際に、セルの密封性を向上させることができる。さらには、高出力等の優れた電池性能を発揮することができる。以下、各層について詳述する。
1.金属多孔質体
本発明の金属多孔質体は、円筒状の金属からなる多孔質体である限り限定的でなく、公知又は市販のものを用いることができる。具体的に、発泡ニッケル、発泡チタン、発泡銀等が好適に挙げられる。なお、これらには、クロム、ジルコニア、モリブデン、タングステン等の第三成分を含有していてもよく、例えば、本発明における発泡ニッケルには、クロム含有発泡ニッケル等も含まれる。これらの中でも、耐アルカリ性の観点から、発泡ニッケル等が好ましい。
金属多孔質体の呼び口径は限定的でないが、通常30μm〜700μm程度、好ましくは50μm〜300μm程度とすればよい。
気孔率も限定的でなく、例えば、75〜98%程度、好ましくは80〜95%程度とすれよい。
金属多孔質体の厚みは限定的でないが、通常200μm〜2000μm程度、好ましくは300μm〜600μm程度とすればよい。
なお、本発明の燃料電池用セルの使用に際し、燃料として、液体燃料を使用する場合は、必要に応じて、燃料吸い上げ材をさらに円筒状金属多孔質体の内側に配置してもよい。これにより、燃料を効率的に金属多孔質体に供給することができる。燃料吸い上げ材の材質は、例えば、発泡ウレタン、発泡ポリプロピレン等が好ましい。
2.触媒層
本発明の触媒層は、(1)触媒及び(2)アニオン伝導性高分子電解質を含有するものである限り特に制限されない。本発明の触媒層とは、カソード触媒層及びアノード触媒層のいずれをも含むものであり、カソード触媒層に用いる触媒層とアノード触媒層に用いる触媒層とは同一成分であってもよく、異なる成分であってもよい。
(1)触媒
固体アルカリ形燃料電池用の触媒は、通常、触媒金属微粒子が担体に担持されてなるものであり、公知又は市販のものを使用することができる。
触媒金属微粒子は、例えば白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、これらの金属化合物等が挙げられる。また、これら2種以上の合金を用いてもよい。当該触媒金属微粒子が2種以上からなる合金である場合は、特に白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましい。例えば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等のほか、鉄−コバルト−ニッケル合金が挙げられる。これらの金属の各配合比率は限定的でなく、幅広い範囲から適宜選択できる。
触媒金属微粒子の粒径は限定的でなく、通常0.05nm〜20nm程度、好ましくは0.1nm〜10nm程度、最も好ましくは0.3nm〜5nm程度である。
上記触媒金属微粒子が担持される担体は限定的でなく、公知又は市販のものが使用でき、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、炭素粒子等が好適に挙げられる。耐食性及び導電性が良好な点から、炭素粒子、特に導電性炭素粒子が好ましい。
このような導電性炭素粒子としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックのほか、黒鉛、活性炭等が挙げられる。これらは1種又は2種以上使用してもよい。導電性炭素粒子の比表面積は限定されないが、通常10〜1500m/g程度、好ましくは10〜500m/g程度である。粒径は、一般的には平均一次粒子径として0.01μm〜1μm程度、好ましくは0.01μm〜0.2μm程度のものを使用すればよい。
また、本発明では、担体として、上記粒子状物質のほか、繊維状物質、特に、気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の炭素繊維であってもよい。
触媒金属微粒子の担持量は、触媒金属微粒子及び担体の種類等によって適宜決定されるが、担体100重量部に対して、通常、1〜80重量部程度、好ましくは3〜50重量部程度とすればよい。
(2)アニオン伝導性高分子電解質
アニオン伝導性高分子電解質は、アニオンとして水酸基イオン(OHイオン)を伝導できる電解質である限り特に制限されず、公知又は市販のものを使用できる。例えば、炭化水素系及びフッ素樹脂系のいずれの電解質を用いることができる。
炭化水素系高分子電解質としては、例えば、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られる電解質等が挙げられる。
フッ素樹脂系高分子電解質としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンポリマーの末端をジアミンで処理し4級化したポリマー、ポリクロロメチルスルチレンの4級化物等のポリマー等が挙げられる。これらの中でも、特に、溶媒可溶性のものが好ましい。
上記電解質は、例えば特開2003−86193号公報、特開2000−331693号公報で開示されたものを使用すればよい。
より具体的に説明すると、クロロメチル化は、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体にクロロメチル化剤を反応させて行う。クロロメチル化剤としては、例えば、クロロメトキシメタン、1,4−ビス(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−クロロブタン、ホルムアルデヒド−塩化水素、パラホルムアルデヒド−塩化水素等が使用できる。
このようにして得られたクロロメチル化物を、アミン化合物と反応させてアニオン交換基を導入する。アミン化合物としては、例えば、モノアミン、1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリアミン化合物等が使用できる。具体的にはアンモニアの他、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジアルキルアミン、アニリン、N−メチルアニリン等の芳香族アミン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン等の複素環アミン等のモノアミン、m−フェニレンジアミン、ピリダジン、ピリミジン等のポリアミン化合物が使用できる。
上記の触媒及びアニオン伝導性高分子電解質の含有量(重量比)は限定的でないが、好ましくは前者:後者=5:1〜1:4程度、より好ましくは前者:後者=3:1〜1:3程度である。
本発明の触媒層は、上記成分に加えてさらに、フッ素系樹脂を含有してもよい。このフッ素系樹脂を含有することにより、当該上記成分の結着性が向上し、より強固な触媒層となると同時に撥水性を付与することができる。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、より結着性及び撥水性が良好な点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
フッ素系樹脂を含有する場合の含有量は、触媒100重量部に対して、通常5〜25重量部程度、好ましくは10〜15重量部程度である。
触媒層の厚みは、電解質層の厚み等を考慮して適宜決定すればよいが、通常10μm〜200μm程度、好ましくは10μm〜100μm程度、より好ましくは15μm〜50μm程度がよい。
3.アニオン伝導性高分子電解質層
アニオン伝導性高分子電解質層(以下、「電解質層」と略記することがある。)は、上記のアニオン伝導性高分子電解質を含有している限り特に制限されず、公知又は市販のものを使用できる。
アニオン伝導性高分子電解質層としては、例えば、炭化水素系及びフッ素樹脂系のいずれの電解質から構成されていてもよい。これら炭化水素系及びフッ素樹脂系の電解質は上述したものと同様のものが挙げられる。
必要に応じて、電解質層にアルカリ水溶液等の溶媒を含浸してもよい。
電解質層に高濃度のアルカリ水溶液を含浸させる場合は、耐アルカリ性の観点から、フッ素樹脂系電解質層を使用することが好ましい。なお、フッ素樹脂系電解質層を用いることにより、アニオン伝導性をより一層向上させることができる。
低濃度のアルカリ水溶液を使用する場合又はアルカリ性水溶液を使用しない場合は、低コストの観点から、炭化水素系電解質層が好ましい。
アルカリ水溶液は、通常pHが9〜14程度であればよい。具体的には、例えば、KOH溶液、NaOH溶液等を使用すればよい。アルカリ水溶液には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール等のアルコールを混合させることができる。
高濃度とは、使用するアルカリ水溶液の種類等によって適宜変更するが、本発明では、2モル/l程度以上をいい、低濃度とは、2モル/l程度未満をいう。
本発明のアニオン伝導性高分子電解質層は、アニオン伝導性高分子電解質を溶媒に含有させてなるペースト組成物を塗布及び乾燥することにより形成されるものであってもよく、また、市販のアニオン伝導性高分子電解質膜をそのまま使用してもよい。
市販のフッ素樹脂系電解質膜の具体例としては、例えば、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34等が挙げられる。
炭化水素系電解質膜の具体例としては、例えば、旭化成(株)製のアシプレックス(登録商標)A−201、211、221;トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等が挙げられる。
アニオン伝導性高分子電解質層の厚みは、触媒層の厚み等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10μm〜300μm程度、好ましくは20μm〜200μm程度である。
4.導電性多孔質体
カソード触媒層側に配置される導電性多孔質体は、電気伝導性を有するものであって多孔質である限り特に制限されず、公知又は市販のものを使用できる。
導電性多孔質体としては、炭素材料を主成分とするものが好ましく、具体的には、カーボンペーパ、カーボンクロス、炭素繊維からなる不織布等が挙げられる。
本発明の導電性多孔質体の気孔率は、通常65%〜95%程度であり、好ましくは75%〜85%である。
導電性多孔質体の厚みは限定的ではなく、通常100μm〜500μm程度、好ましくは200μm〜400μm程度とすればよい。
5.中間層
本発明の燃料電池用セルには、カソード触媒層と導電性多孔質体との間及び/又はアノード触媒層と金属質多孔質体との間に、さらに第1中間層を形成(積層)していてもよい(図2)。また、上記触媒層(カソード触媒層及び/又はアノード触媒層)と電解質層との間に、第2中間層を形成していてもよい(図2)。中間層(以下、第1中間層と第2中間層とを区別せずに、「中間層」とも表記することがある。)は、上記のいずれの間に積層してもよく、その数は限定的でなく1層のみであってもよく、複数であってもよい。これにより、電池内に導入する燃料、酸化剤ガス等を触媒層、電解質膜等により一層浸透させやすく、また、触媒層と多孔質体等との接触抵抗を低減できるため、電池性能をより向上させることができる。
中間層としては、導電性材料を含有する多孔質体が好ましい。このような中間層を設けることにより、セル内に導入される燃料、酸化剤ガス等をより効果的に拡散することができ、燃料の電池反応への利用率を向上させることができる上、集電効果を高めることができる。
中間層の材質は特に制限されないが、導電性の観点から、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン等の金属又はこれらの合金のほか、導電性炭素材料が好適に挙げられる。また、中間層は上記触媒層と同一の材料であってもよい。
中間層は多孔質であることが好ましく、具体的には、その気孔率が好ましくは10〜80%程度、より好ましくは30〜70%程度である。
中間層が金属である場合は、触媒活性作用に優れる点から、上記の中でも、特にニッケル、銀等が好ましい。
中間層が導電性炭素材料である場合は、ガス拡散性及び導電性に優れる観点から、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックのほか、黒鉛、活性炭、カーボン繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤーなどが好適に挙げられる。
中間層の膜厚は限定的でなく、0.5μm〜50μm程度、好ましくは1μm〜20μm程度、より好ましくは1μm〜10μm程度である。
中間層には、燃料電池の使用方法により、必要に応じて、親水性又は撥水性を付与してもよい。例えば、低加湿運転の場合は水分の補給が必要となるため、親水性を備えた材料を含有させることが好ましい。一方、高加湿運転の場合は水分過剰を防ぐため撥水性を備えた材料を含有させることが好ましい。親水性又は撥水性を備えた材料は、公知又は市販の材料から幅広く選択することができる。
6.固体アルカリ形燃料電池用セル
本発明の固体アルカリ形燃料電池用セルは、円筒型であって、円筒の内側から外側に向かって、金属多孔質体、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層、カソード触媒層及び導電性多孔質体が順次積層されてなる。
本発明の固体アルカリ形燃料電池用セルは、円筒型であり、従来の平板型に比べて、小型化が可能である。即ち、本発明のセルは、本発明の金属多孔質体がセパレータ及びガス拡散層の役割を併せ持つため、また、円筒型であるため、ガスケットや厚みが生じるセパレータを設ける必要が無い。従って、本発明のセルを用いて、一段と小型化された燃料電池を製造することができる。
円筒型セルでは、使用に当たり、円筒の内部(金属多孔質体表面)に燃料(水素、エタノール等)が、円筒の外部(導電性多孔質体)には酸化剤ガス(酸素、空気等)が配置又は導入される。本発明のセルは、円筒型であるため、燃料及び酸化剤の漏れが生じるおそれがあるのは、円筒上面(長さ方向)及び円筒底面(長さ方向)であり、これらの部分をシール又は密封するだけで、燃料の漏れを十分に防止することができ、セルに優れた密封性を持たせることができる。
さらに、アノード触媒層の内側(電解質層とは反対側)に金属多孔質体を配置し、かつカソード触媒層の外側に導電性多孔質体を配置する構造を採用することにより、セル内に導入する燃料を効率的に拡散しやすく、外側では酸化剤ガスとの接触面積が大きくなるため(ガス拡散性等の向上)、電池反応を触媒層全面に均一に起こさせる(不均一反応の抑制)ことができ、さらに導電性能も向上する。これらによって、本発明の燃料電池用セルを用いると、より優れた高出力等の良好な電池性能を発揮できるアルカリ形燃料電池を提供することができる。
内径及び外径は、燃料電池の用途等に応じて適宜決定すればよいが、内径は通常5〜50mm(好ましくは10〜30mm)程度とすればよく、外径は通常10〜200mm(好ましくは15〜100mm)程度とすればよい。
本発明のセルのシール方法は限定的でなく、例えば、ガラス接着剤、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の接着性物質を用いて、セルの円筒の上面及び底面部分(上記各層が積層している状態が目視できる面)を被覆することにより絶縁させる方法等が挙げられる。
本発明の固体アルカリ形燃料電池は、円筒の内部(金属多孔質体及びアノード触媒層側)に燃料を導入し、円筒の外側(導電性多孔質体及びカソード触媒層側)から酸化剤ガスを導入することにより発電することができる。
酸化剤ガスとしては、例えば、酸素、空気等の酸化剤ガスが好適に挙げられる。
燃料としては、例えば、水素等の燃料ガス;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール等のアルコール又はこれらアルコールを混合する水溶液等の液体燃料;等を供給することができる。液体燃料の場合は、必要に応じて、アルカリ水溶液を添加することができる。アルカリ水溶液を添加する場合は、添加後のpHが通常9〜14程度となるように添加すればよい。このようなアルカリとしては、具体的には、KOH溶液、NaOH溶液等を使用すればよい。
7.固体アルカリ形燃料電池セルの製造方法
本発明の固体アルカリ形燃料電池の製造方法は特に制限されない。例えば、市販又は公知の円筒状(中空状)の金属多孔質体の外側表面に、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層、カソード触媒層及び導電性多孔質体を順次積層させることにより、容易に製造することができる。以下、これらを具体的に説明する。
ます、触媒層の積層方法について説明する。本発明の触媒層は、例えば、上記触媒及びアニオン伝導性高分子電解質を粘度調整用の溶剤に分散させた触媒層形成用ペースト組成物を調製し、調製したペースト組成物を所望の基材(本発明では、金属多孔質体、電解質層、導電性多孔質体等)に塗布及び乾燥することにより製造される。
粘度調整用の溶剤は限定されるものではなく、幅広い範囲内で適宜選択される。例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。これら溶剤の中でも、アルコールが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール及びプロピレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
上記ペースト組成物には、必要に応じてフッ素系樹脂を含有していてもよい。フッ素系樹脂としては、上記したものが挙げられる。
本発明の触媒層形成用ペースト組成物の配合割合は特に制限されず、広い範囲内から適宜選択され得る。例えば、触媒1重量部に対して、アニオン伝導性高分子電解質(固形分)0.02〜2重量部、粘度調整用の溶剤1〜100重量部程度とすればよい。
ペースト組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
ペースト組成物を塗布した後、乾燥することにより、触媒層が形成される。乾燥温度は、通常40〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。
金属多孔質体の表面にアノード触媒層を形成させた後、次いでアニオン伝導性高分子電解質層を形成させる。電解質層の形成方法も限定的でないが、例えば、アニオン伝導性高分子を溶媒に含有させたペースト組成物を当該アノード触媒層上に塗布及び乾燥させることにより、形成させることができる。溶媒、塗布方法、乾燥方法等は触媒層と同様にすればよい。また、公知又は市販の予めシート状となっているアニオン伝導性高分子電解質膜を上記触媒層に巻き付けて、接着させることによっても積層させることができる。
次いで、上記の方法により、上記電解質層表面にカソード触媒層を形成させ、最後に、当該カソード触媒層表面に導電性多孔質体を積層させる。例えば、公知又は市販の予めシート状となっている導電性多孔質体をカソード触媒層表面に巻きつけて接着させればよい。この際、予め、導電性多孔質体表面にカソード触媒層を形成させておき、このカソード触媒層形成導電性多孔質体を、上記電解質層及びアノード触媒層が形成された金属多孔質体に、カソード触媒層と電解質層とが接触するように積層させてもよい。
なお、各層の積層順は上述した方法に限定されるものではなく、いずれの層から積層させてもよい。例えば、カソード触媒層、電解質層、アノード触媒層及び導電性多孔質体を順次積層させたシートを製造し、次いで、当該シートを円筒状の金属多孔質体を積層させることにより、製造してもよい。
次いで、中間層を設ける場合の本発明の燃料電池用セルについて説明する。触媒層(カソード触媒層及び/又はアノード触媒層)と多孔質体(金属多孔質体及び/又は導電性多孔質体)との間に第1中間層を形成する場合、多孔質体の一方面に中間層を形成した後、次いで、当該中間層表面に触媒層を形成する方法、(2)触媒層表面に中間層を形成した後、次いで、当該中間層表面に多孔質体を積層する方法、等のいずれであってもよい。一方、触媒層(カソード触媒層及び/又はアノード触媒層)と電解質層との間に第2中間層を形成する場合は、(1)電解質層表面に中間層を形成した後、次いで、当該中間層表面に触媒層を形成する方法、(2)触媒層表面に中間層を形成した後、次いで、当該中間層表面に電解質層を形成する方法、等のいずれであってもよい。
中間層の形成方法は特に限定されるものではない。例えば、中間層が金属からなる場合は、電気めっき、化学めっき等のめっき法;蒸着、スパッタリング等のドライプロセス;金属成分を含むペースト組成物を用いたコーティング等のウェットプロセス等により形成すればよい。中間層が導電性炭素材料からなる場合は、例えば、導電性炭素材料を含有するペースト組成物を金属多孔質体又は導電性多孔質体に塗布及び乾燥することにより形成すればよい。
本発明によれば、円筒状を採用し、さらに特定の層構造を有しているため、小型化が可能でセルの密封性が良好であり、さらに優れた電池性能を発揮することができる固体アルカリ形燃料電池用セルを提供することができる。
また、特定の中間層を設けることにより、より一層優れた電池性能を備えた固体アルカリ形燃料電池用セルを提供することができる。
実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳述する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されない。また、下記の実施例において、実施例1〜3及び5〜は参考例である。
実施例1
芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸との共重合体をクロロメチル化及びアミノ化を順次行うことにより、アニオン(OHイオン)伝導性高分子電解質を得た。これを溶媒(テトラヒドロフラン)に添加することにより、5wt%アニオン(OHイオン)伝導性高分子電解質溶液100gを得た。
<触媒層形成用ペースト組成物の調製>
白金担持炭素粒子(田中貴金属社製、「TEC10E50E」)と上記で得られた5wt%アニオン(OHイオン)伝導性高分子電解質溶液(固形分)とが重量比で2:0.2となるに混合し、これを水及びエタノールに添加することにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製した。
<アノード触媒層の形成>
金属多孔質体として円筒状の発泡ニッケル(三菱マテリアル社製、厚み500μm、呼び口径150μm、気孔率85%、内径10mm)を用い、これにスプレー法により上記触媒層形成用ペースト組成物を乾燥後の白金重量が4mg/cmとなるように吹き付けた後、85℃で15分間乾燥させることにアノード触媒層を形成した。
<アニオン伝導性高分子電解質層の形成>
アノード触媒層が形成された金属多孔質体を上記アニオン伝導性高分子電解質溶液中に浸漬し、乾燥することにより、アノード触媒層上にアニオン伝導性高分子電解質層を形成した。電解質層の厚さが20μmになるまで浸漬及び乾燥を繰り返した。なお、上記浸漬に際し、金属多孔質体の内側表面には、マスキングを行い、電解質層が積層されないようにした。
<カソード触媒層及び導電性多孔質体の積層>
形成したアニオン伝導性高分子電解質層に、上記で作製した触媒層形成用ペースト組成物を白金量が4mg/cmとなるように吹き付けカソード触媒層を形成した。
導電性多孔質体としてカーボンクロス(E−TEK社製、「LT−1200W」)を用い、これをカソード触媒層に対面するように配置し、巻きつけることにより、実施例1の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例1のセルは、円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/アノード触媒層/電解質層/カソード触媒層/導電性多孔質体であった。
実施例2
<第1中間層(Ni)の形成>
金属多孔質体として円筒状の発泡ニッケル(三菱マテリアル社製、呼び口径150μm、厚み500μm、気孔率85%、内径10mm)を用い、この金属多孔質体の外側の面に、スッパッタリング処理を行うことにより、Niからなる多孔質な中間層(Ni)を形成させた。
中間層(Ni)形成時のスパッタリング処理は、ニッケルをターゲットとし、低圧アルゴン雰囲気中(2.7Pa)、加速電圧1.8kVの条件で行った。中間層(Ni)の膜厚は約1μmであった。
<アノード触媒層の形成>
上記の中間層(Ni)形成金属多孔質体の中間層表面に、実施例1と同様にして、アノード触媒層を形成することにより、金属多孔質体/中間層(Ni)/アノード触媒層の円筒状積層体を作製した。
<第1中間層(Ag)の形成>
導電性多孔質体としてカーボンクロス(E−TEK社製、「LT−1200W」)を用い、その一方面にスパッタリング処理を行うことにより、銀からなる多孔質な中間層(Ag)を形成した。
中間層(Ag)形成時のスパッタリング処理は、銀をターゲットとした以外は、中間層(Ni)形成時のスパッタリング処理と同様に行った。中間層(Ag)の膜厚は約1μmであった。
<カソード触媒層及び電解質層の形成>
上記中間層(Ag)形成導電性多孔質体の中間層(Ag)表面に、実施例1と同様にしてカソード触媒層を形成することにより、導電性多孔質体/中間層(Ag)/カソード触媒層の積層体を作製した。
次いで、作製した積層体に、実施例1で調製したアニオン伝導性高分子電解質溶液を、カソード触媒層表面に塗布及び乾燥させることにより、電解質層(厚さ20μm)を積層させて、導電性多孔質体/中間層(Ag)/カソード触媒層/電解質層の積層体を作製した。
<固体アルカリ形燃料電池用セルの製造>
上記で作製した、金属多孔質体/中間層(Ni)/アノード触媒層の円筒状積層体に、導電性多孔質体/中間層(Ag)/カソード触媒層/電解質層の積層体を、アノード触媒層と電解質層とが対面するように配置し巻き取ることにより、実施例2の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例2のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/中間層(Ni)/アノード触媒層/電解質層/カソード触媒層/中間層(Ag)/導電性多孔質体であった。
実施例3
<第2中間層(Ni)の形成>
実施例1と同様にして、金属多孔質体の外側表面に、アノード触媒層を形成した。
次いで、当該アノード触媒層上に、実施例2と同様のスパッタリング処理を行い、ニッケルからなる多孔質な中間層(Ni)を形成した。この中間層(Ni)の厚みは約2μmであった。
その後、さらに、中間層(Ni)表面に、実施例1と同様にして、電解質層を形成することにより、金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(Ni)/電解質層の円筒状積層体を作製した。
<第2中間層(Ag)の形成>
導電性多孔質体としてカーボンクロス(E−TEK社製、「LT−1200W」)を用い、実施例1で調製した触媒層形成用ペースト組成物を白金量が4mg/cmとなるように吹き付けて、当該導電性多孔質体の一方面にカソード触媒層を形成した。
次いで、このカソード触媒層上に、実施例2と同様のスパッタリング処理を行い、銀からなる多孔質な中間層(Ag)を形成することにより、導電性多孔質体/カソード触媒層/中間層(Ag)の積層体を作製した。この中間層(Ag)の厚みは約2μmであった。
<固体アルカリ形燃料電池用セルの製造>
上記で作製した金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(Ni)/電解質層の円筒状積層体に、導電性多孔質体/カソード触媒層/中間層(Ag)の積層体を、電解質層と中間層(Ag)とが対面するように配置し、巻き取ることにより、実施例3の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例3のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(Ni)/電解質層/中間層(Ag)/カソード触媒層/導電性多孔質体であった。
実施例4
金属多孔質体表面に、実施例2と同様にして、さらに第1中間層(Ni)を形成し、且つ、導電性多孔質体表面に、実施例2と同様にして、さらに第1中間層(Ag)を形成した以外は、実施例3と同様にして、実施例4の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例4のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/中間層(Ni)/アノード触媒層/中間層(Ni)/電解質層/中間層(Ag)/カソード触媒層/中間層(Ag)/導電性多孔質体であった。
実施例5
<中間層(C)形成用ペースト組成物の調製>
導電性炭素材料としてカーボンブラック(VulcanXC72R、Cabot製)10g、60wt%ポリテトラフルオロエチレン分散液(溶剤:水、アルドリッチ製)5g及び2−プロパノール20gを配合することにより、中間層(C)を形成するためのペースト組成物を調製した。
<第1中間層(C)の形成>
金属多孔質体として、円筒状の発泡ニッケル(三菱マテリアル社製、呼び口径150μm、厚み500μm、気孔率85%、内径10mm)を用い、中間層(C)形成用ペースト組成物を塗布及び乾燥することにより、金属多孔質体の外側表面に、多孔質な中間層(C)を形成した。この中間層(C)の乾燥後の厚みは約2μmであった。
<固体アルカリ形燃料電池用セルの製造>
上記中間層(C)形成金属多孔体の中間層(C)表面に、実施例1と同様にして、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層及びカソード層を順次形成した。
次いで、カソード触媒層表面に、さらに、中間層(C)(乾燥後の膜厚:2μm)を上記と同様にして形成した。
その後、導電性多孔質体(カーボンクロス;E−TEK社製、LT−1200W)を中間層(C)に対面するように配置し、巻きつけることにより、実施例5の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例5のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/中間層(C)/アノード触媒層/電解質層/カソード触媒層/中間層(C)/導電性多孔質体であった。
実施例6
<第2中間層(C)の形成>
実施例1と同様にして、円筒状の金属多孔質体の外側表面にアノード触媒層を形成した。また、実施例3と同様にして、導電性多孔質体の一方面にカソード触媒層を形成した。
これら各アノード触媒層及びカソード触媒層表面に、実施例5で調製した中間層(C)形成用ペースト組成物を乾燥後の膜厚が2μmとなるように塗布及び乾燥することにより、金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(C)の円筒状積層体、及び導電性多孔質体/カソード触媒層/中間層(C)の積層体を作製した。
次いで、金属多孔質体/アノード触媒/中間層(C)の円筒状積層体の中間層(C)側に、実施例1と同様にして、アニオン伝導性高分子電解質層(厚み20μm)を形成した。
<固体アルカリ形燃料電池用セルの製造>
この金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(C)/電解質層の円筒状積層体に、導電性多孔質体/カソード触媒層/中間層(C)の積層体を、中間層(C)と電解質層とが対面するように配置し、巻き取ることにより、実施例6の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例6のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/アノード触媒層/中間層(C)/電解質層/中間層(C)/カソード触媒層/導電性多孔質体であった。
実施例7
実施例5と同様にして、金属多孔質体表面に、中間層(C)及びアノード触媒層を順次形成した。次いで、当該アノード触媒層上に、実施例6と同様にして、さらに中間層(C)及び電解質層を順次形成した。
一方、導電性多孔質体(カーボンクロス;E−TEK社製、「LT−1200W」)表面に、実施例5の中間層(C)形成用ペースト組成物を乾燥後の膜厚が2μmとなるように中間層(C)を形成した。次いで、当該中間層(C)上に、さらにカソード層及び中間層(C)(乾燥後の膜厚が2μm)を順次形成した。
これら積層体を、電解質層と中間層(C)とが対面するように配置し、巻き取ることにより、実施例7の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例7のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/中間層(C)/アノード触媒層/中間層(C)/電解質層/中間層(C)/カソード触媒層/中間層(C)/導電性多孔質体であった。
実施例8
実施例5と同様にして、金属多孔質体/中間層(C)/アノード触媒層の円筒状積層体を作製した。次いで、当該アノード触媒層表面に、実施例3と同様にして、中間層(Ni)を形成した後、当該中間層(Ni)表面にアニオン伝導性高分子電解質層を形成した。
一方、導電性多孔質体(カーボンクロス;E−TEK社製、「LT−1200W」)を表面に、実施例5の中間層(C)形成用ペースト組成物を乾燥後の膜厚が2μmとなるように中間層(C)を形成し、次いで、当該中間層(C)上に、さらにカソード層を形成することにより、導電性多孔質体/中間層(C)/カソード触媒層の積層体を作製した。さらに、このカソード触媒層表面に、実施例3と同様にして、中間層(Ag)を形成した。
前者の円筒状積層体の電解質層表面に、後者の積層体の中間層(Ag)が対面するように配置し、巻き取ることにより、実施例8の固体アルカリ形燃料電池用セルを製造した。
実施例8のセルは円筒型であって、その層構造は、内側から外側に向かって、金属多孔質体/中間層(C)/アノード触媒層/中間層(Ni)/電解質層/中間層(Ag)/カソード触媒層/中間層(C)/導電性多孔質体であった。
比較例1
実施例1で調製した触媒層形成用ペースト組成物を、導電性多孔質体(カーボンクロス;「LT−1200W」、E−TEK社製)の一方面にスプレー法により白金量が4.0mg/cmとなるように塗布及び乾燥させることにより、触媒層形成導電性多孔質体(カソード触媒層用及びアノード触媒層用の計2枚)を製造した。
アニオン伝導性高分子電解質膜として、「アシプレックスA−221」(旭化成社製、厚さ150μm)を用い、当該電解質膜の両側に、上記で作製したカソード触媒層形成導電性多孔質体及びアノード触媒層形成導電性多孔質体をそれぞれ配置した後、圧力1MPa、温度80℃で3分間熱圧着することにより、比較例1の固体アルカリ型燃料電池用セルを製造した。
比較例1のセルは平板型であって、その層構造は、導電性多孔質体/アノード触媒層/電解質膜/カソード触媒層/導電性多孔質体であった。
評価試験
カソード側には空気ガス、アノード側には10wt%水酸化カリウム10wt%エタノール水溶液を供給することにより、発電試験を行なったところ、表1の電池評価の結果を得た。
Figure 0005003390
表1から明らかなように、実施例1〜8の燃料電池用セルは、高出力等の優れた電池性能を発揮できることが分かった。また、実施例1〜8の燃料電池用セルは、小型化が可能であり、密封性に優れたものであった。
図1は、本発明の燃料電池用セルの斜視図(a)及び断面図(b)の一例を示す。 図2は、本発明の燃料電池用セルの(a)第1中間層を設けた場合、(b)第2中間層を設けた場合、(c)第1及び第2中間層を設けた場合、の各断面図の一例を示す。
符号の説明
1.金属多孔質体
2.アノード触媒層
3.アニオン伝導性高分子電解質層
4.カソード触媒層
5.導電性多孔質体
6.第1中間層
7.第2中間層

Claims (4)

  1. 円筒型の固体アルカリ形燃料電池用セルであって、
    円筒の内側から外側に向かって、金属多孔質体、アノード触媒層、アニオン伝導性高分子電解質層、カソード触媒層及び導電性多孔質体が順次積層されてなり、
    導電性多孔質体とカソード触媒層との間及び金属多孔質体とアノード触媒層との間に、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン及びマンガン、並びにこれらの合金、並びに導電性炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種からなる多孔質体からなる第1中間層が更に積層されており、
    カソード触媒層とアニオン伝導性高分子電解質層との間及びアノード触媒層とアニオン伝導性高分子電解質層との間に、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン及びマンガン、並びにこれらの合金、並びに導電性炭素材料からなる群から選択される少なくとも1種からなる多孔質体からなる第2中間層が更に積層されており、且つ、
    前記金属多孔体が、発泡ニッケル、発泡チタン及び発泡銀からなる群から選択される少なくとも1種である、
    ことを特徴とする固体アルカリ形燃料電池用セル。
  2. 導電性多孔質体が、炭素材料を主成分とする、請求項1に記載のセル。
  3. 第1及び第2中間層が、銀及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる多孔質体からなる、請求項1又は2に記載のセル。
  4. 第1及び第2中間層が、導電性炭素材料からなる多孔質体からなる、請求項1又は2に記載のセル。
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