JP5000111B2 - ペンタフルオロエタンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペンタフルオロエタン(HFC−125)の製造方法に関する。より詳しくは、少なくともHFC−125と非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含有する粗ペンタフルオロエタンを精製して高純度のHFC−125を効率よく製造する方法に関する。
分子式がC2HF5であるペンタフルオロエタン(HFC−125)は、分子中に塩素原子を含まず、低温用冷媒、発泡剤、噴射剤、エッチングガス、クリーニングガスなど様々な用途に使用されている。
このHFC−125の製造方法としては、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物とフッ化水素とを反応させてフッ素化する方法などが提案されている。しかしながら、この方法では、ハイドロカーボン類、ハイドロクロロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類などの様々な不純物が副生物として生成する。より具体的には、クロロトリフルオロメタン(CFC−13)、クロロペンタフルオロエタン(CFC−115)、テトラフルオロメタン(FC−14)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ジフルオロメタン(HFC−32)、モノフルオロメタン(HFC−41)、トリフルオロエチレン(HFC−1123)、1,1−ジフルオロエチレン(HFC−1132a)などの様々な化合物が副生する。
したがって、高純度のHFC−125を得るためには、これらの不純物をできる限り除去する必要がある。特に、含塩素化合物であるクロロフルオロカーボン類は、HFC−125の高純度化の目的に加えて、オゾン層の破壊を防止するという目的から、できる限り除去する必要がある。ところが、クロロフルオロカーボン類には、通常の蒸留ではHFC−125との分離が困難な化合物があり、また、上記不純物の中にも、HFC−125との共沸混合物や共沸様混合物を形成するため、HFC−125との分離が非常に困難な化合物もある。
粗ペンタフルオロエタンを精製する方法としては、たとえば、抽出蒸留による精製方法や、触媒の存在下でH2を用いた脱ハロゲン水素化反応などによって不純物を除去する精
製方法(特開平8−40949号公報(特許文献1))が知られている。しかしながら、抽出蒸留による精製方法は、蒸留塔などの高価な設備を複数使用するため、設備費が高くなるなどの問題がある。また、H2を用いる方法は、可燃物を使用するため、設備費が高
く、触媒寿命が短いという問題がある。
また、ハイドロフルオロカーボン類、クロロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類など(以下「フルオロカーボン類」と称する)の分離、回収方法としては蒸留が一般的であるが、活性炭に吸着させる方法なども提案されている。しかし、吸着による方法では、吸着したフルオロカーボン類を脱離させる際に加熱し、さらに脱離したフルオロカーボン類を回収する際に冷却する必要がある。そのため、この方法は、大型の設備と大量のエネルギーを必要とし、経済性の点で不利である。
ペンタフルオロエタンの製造工程においては大量の非凝縮性ガスで希釈されたペンタフルオロエタンが発生することがある。上記非凝縮性ガスとしては、窒素(N2)、水素(
2)、一酸化炭素(CO)等が挙げられる。このような大量の非凝縮性ガスで希釈され
たペンタフルオロエタンは回収することが難しく、従来は回収する代わりに分解や燃焼に
より処理する方法が用いられてきたが、経済的に得策ではなかった。このため、このような大量の非凝縮性ガスで希釈されたペンタフルオロエタンを回収する方法として様々な方法が提案されている。たとえば、膜分離による方法として、特公平2−48529号公報(特許文献2)では多孔質支持膜上に架橋性シリコーン樹脂が架橋されてなる活性薄膜が形成された選択透過性複合膜、特許第3470180号公報(特許文献3)ではポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる気体分離膜、特開2003−190744号公報(特許文献4)ではポリマーを炭化して得られた分離膜、特表2001−510395号公報(特許文献5)では無機質性モレキュラーシーブ膜、特許第3151151号公報(特許文献6)および特許第3152389号公報(特許文献7)では有機高分子膜、など様々な膜を用いる方法が提案されている。しかしながら、いずれの場合においても、膜寿命が短い、膜の経時劣化が原因となり分離プロセス条件の調整が煩雑である、処理ガス中に含まれる膜劣化成分を予め除去する必要がある、などの問題によりプロセスが複雑化し、さらに十分な分離性能を維持するためには分離膜を高い頻度で交換する必要があり、分離コストが増大するという問題がある。また、これらの方法は、冷凍機等の解体に伴う使用済み冷媒や半導体製造工程における排ガスに含まれるフルオロカーボン類を分離、回収することを目的としており、フルオロカーボン類と希釈ガス(キャリアガス)との混合ガスからフルオロカーボン類を分離、回収できることは開示されているものの、ペンタフルオロエタンの製造におけるペンタフルオロエタンと他のフルオロカーボン類との分離については示唆されていない。
特開平8−40949号公報 特公平2−48529号公報 特許第3470180号公報 特開2003−190744号公報 特表2001−510395号公報 特許第3151151号公報 特許第3152389号公報
本発明の目的は、少なくともペンタフルオロエタン(HFC−125)と非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含有する粗ペンタフルオロエタンを効率よく精製し、高純度のHFC−125を連続的に得ることができるペンタフルオロエタンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、上記粗ペンタフルオロエタンを昇圧した後、蒸留分離することにより塔底から高純度のHFC−125を得ることができるとともに、塔頂から得られる低沸成分を、ポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる気体分離膜で分離処理することにより、低沸成分中のHFC−125を回収して再循環することができ、その結果、高純度のHFC−125を連続的に効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]から[7]で構成される。
[1]テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物とフッ化水素とをフッ素化触媒の存在下で反応させ、蒸留および脱酸処理を施して少なくともペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む反応生成ガスを得た後、該反応生成ガスを含む粗ペンタフルオロエタンを精製する工程を含み、かつ該精製工程が、
(A)前記粗ペンタフルオロエタンを圧縮により0.1MPa以上に昇圧する工程、
(B)前記工程(A)により昇圧された粗ペンタフルオロエタンを蒸留し、少なくともペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む低沸成分(B)と、
ペンタフルオロエタンを主成分として含有する高沸成分(B)とに分離する工程、
(C)前記低沸成分(B)を、ポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる気体分離膜に接触させて、ペンタフルオロエタンを主成分として含有する非透過ガス(C)と、ペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む透過ガス(C)とに分離する工程、および
(D)前記非透過ガス(C)と前記反応生成ガスとを混合して前記粗ペンタフルオロエタンを調製し、前記工程(A)に供給する工程
を含むことを特徴とするペンタフルオロエタンの製造方法。
[2]前記工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(D)における操作をこの順で連続的に実施することを特徴とする上記[1]に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[3]前記低沸成分(B)に含まれる非凝縮性ガスが、N2、O2、H2、CO、CO2およびCH4からなる群から選択される少なくとも1種のガスであることを特徴とする上記
[1]または[2]に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[4]前記他のフルオロカーボンが、クロロトリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、モノフルオロメタン、トリフルオロエチレンおよび1,1−ジフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロカーボンであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[5]前記工程(C)において得られる非透過ガス(C)中のペンタフルオロエタンの濃度が50〜99体積%であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[6]前記工程(C)において、前記気体分離膜の供給側圧力が0.1MPa以上であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
[7]前記気体分離膜が、中空糸状膜を備えた膜モジュールであることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
本発明によれば、少なくともHFC−125と非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含有する粗ペンタフルオロエタンを効率よく精製して高純度のHFC−125を得ることができる、工業的に有利なペンタフルオロエタンの製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係るペンタフルオロエタンの製造方法を図1に示すプロセスフロー図を用いて説明するが、本発明はこのプロセスフロー図に限定されるものではない。
本発明では、まず、テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物とフッ化水素とをフッ素化触媒の存在下で反応させた(工程(a))後、蒸留(工程(b))および脱酸処理(工程(c))を施して反応生成ガス(i)を得る。上記フッ素化反応方法は特に限定されず、従来公知の方法(たとえば、特開平7−324044号公報参照)を適用することができる。また、蒸留方法および脱酸処理方法も特に限定されず、従来公知の方法(たとえば、特開平7−324044号公報参照)を適用することができる。
このようにして得られた反応生成ガス(i)には、主としてHFC−125が含まれる
が、上記蒸留では十分に不純物を除去できないため、非凝縮性ガスや上記フッ素化反応において副生する他のフルオロカーボン類が含まれる。
他のフルオロカーボン類としては、クロロトリフルオロメタン(CFC−13)、テトラフルオロメタン(FC−14)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ジフルオロメタン(HFC−32)、モノフルオロメタン(HFC−41)、トリフルオロエチレン(HFC−1123)および1,1−ジフルオロエチレン(HFC−1132a)などが挙げられる。これらのフルオロカーボンは1種のみ含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
非凝縮性ガスとしては、N2、O2、H2、CO、CO2およびCH4などが挙げられる。
これらの非凝縮性ガスは1種のみ含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
得られた反応生成ガス(i)に、必要に応じて、後述する膜分離(工程(C))により分離された非透過ガス(C)を混合し(工程(D))、主としてHFC−125を含むガス(I)(以下、「粗ペンタフルオロエタン」という)を得る。この粗ペンタフルオロエタンに含まれる非凝縮性ガスの割合は、好ましくは0.1〜50体積%、より好ましくは1〜20体積%であり、他のフルオロカーボンの割合は、好ましくは0.0001〜20体積%、より好ましくは0.0001〜5体積%である。ただし、粗ペンタフルオロエタン全体を100体積%とする。
次いで、得られた粗ペンタフルオロエタンを圧縮により、0.1MPa以上、好ましくは0.3〜1.0MPaの範囲の圧力まで昇圧する(工程(A))。圧縮方法は特に限定されず、たとえば、加圧ポンプにより圧縮する方法などが挙げられる。
その後、昇圧された粗ペンタフルオロエタンを従来公知の方法(たとえば、特開平7−324044号公報参照)で蒸留する(工程(B))。この蒸留により、少なくともHFC−125と非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む低沸成分(B)を塔頂から、HFC−125を主成分として含有する高沸成分(B)を塔底から得ることができる。上記高沸成分(B)は、蒸留前の粗ペンタフルオロエタンに比べて、非凝縮性ガスおよび他のフルオロカーボン類が低減された、高純度のペンタフルオロエタンである.
次に、上記工程(B)で得られた低沸成分(B)を、ポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる気体分離膜に接触させる(工程(C))。この気体分離膜は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体からなる高分子膜であり、ポリ(4−メチルペンテン−1)の特性、特に分離特性を損なわない範囲で、エチレン、スチレン、ブタジエンなど、2次元以上の重合体を形成し得る他のモノマーから誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
Figure 0005000111
この高分子膜は、たとえば、特開昭54−146277号、特開昭55−41808号、特開昭56−40415号、特開昭57−91708、特開平5−329342号に記
載の方法により、製造、薄膜化および表面改質することによって得ることができる。本発明では、ポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる分離膜モジュールをそのまま使用することができる。本発明で用いられる分離膜モジュールの形態は特に限定されず、たとえば、中空糸状膜を備えた膜モジュール、シート状の膜を巻回して内蔵させたスパイラル型モジュール、容器の内側に管状の膜エレメントをまとめた管状モジュール、その他の構造形態のモジュールなどが挙げられる。これらの膜モジュールのうち、耐圧性などの観点から中空糸状膜を備えた膜モジュールが好ましい。
このような気体分離膜に上記低沸成分(B)を接触させると、透過性の低いHFC−125は気体分離膜を透過せず、より透過性の高い非凝縮性ガスおよび他のフルオロカーボン類は選択的に気体分離膜を透過する。気体分離膜を透過しなかったガス(以下、「非透過ガス(C)」という)にはペンタフルオロエタンが主成分として含まれる。一方、気体分離膜を透過したガス(以下、「透過ガス(C)」という)には、非凝縮性ガスおよび他のフルオロカーボン類と低濃度のHFC−125とが含まれる。
上記膜分離工程(C)においては、供給側と透過側のガスの圧力差が大きいほど、より高濃度のHFC−125を得ることができることから、通常、上記気体分離膜の供給側の圧力は0.1MPa以上、好ましくは0.3〜0.95MPaに設定される。なお、圧力の上限は使用する膜モジュールの耐圧性に依存して設定することができる。また、必要に応じて透過側の圧力を0.1MPa以下に減圧してもよい。
上記気体分離膜への供給ガス流の温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜35℃である。供給ガス流の温度が高くなると低沸成分(B)中の各成分がより多く膜を透過する傾向があるため、HFC−125の膜透過量も増大し、透過ガス(C)中のHFC−125の含有量、すなわち損失するHFC−125の割合が増大する。一方、供給ガス流の温度が低くなると損失するHFC−125の割合は低減するが、非凝縮性ガスや他のフルオロカーボン類も膜を透過しにくくなるため、非透過ガス(C)中の非凝縮性ガスや他のフルオロカーボンの含有量が増大する。
通常、上記気体分離膜の透過側へHFC−125が透過する割合は、気体分離膜へ供給されるHFC−125量の約1〜15%程度であり、大半のHFC−125は気体分離膜を透過せず、非透過ガス(C)に含まれる。それに対して、N2、H2、COなどの非凝縮性ガスは、通常、約70〜99体積%が膜を透過し、他のフルオロカーボン類は各物質により異なるが、たとえば、HFC−23は30〜95体積%、HFC−1132aは50〜99体積%、HFC−32は70〜99体積%が膜を透過する。さらに、ポリイミド膜など従来の気体分離膜ではHFC−125との分離が困難であったCFC−13も、上記気体分離膜を用いると10〜60体積%が膜を透過する。なお、非凝縮性ガスや他のフルオロカーボン類の膜透過量をさらに増やすことは、透過ガス流量および非透過ガス流量を調整することにより可能である。しかし、その場合、HFC−125の透過する割合も増え、HFC−125の損失量の増大につながることがある。
この膜分離工程(C)では、任意の濃度でHFC−125を含む低沸成分(B)から高濃度でHFC−125を含む非透過ガス(C)を得ることができる。たとえば。HFC−125濃度が5体積%、その他の成分の合計が95体積%の低沸成分(B)を膜分離処理することによって、HFC−125濃度が約50〜99体積%まで濃縮した非透過ガス(C)を得ることができる。
上記のようにして得られた透過ガス(C)は、他のフルオロカーボン類を含有しているため、燃焼法、触媒法などの方法により処理することができる。一方、非透過ガス(C)は、上記反応生成ガス(i)と混合して、再度、粗ペンタフルオロエタンとして上記工程
(A)に使用することができる。
このように、蒸留工程(B)において不純物とともに回収されたHFC−125を、膜分離により分離回収することにより、ペンタフルオロエタンの製造効率を向上させることができる。特に、上記工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(D)における操作を連続的に実施することにより、粗ペンタフルオロエタンからHFC−125を効率的に精製することができ、ペンタフルオロエタンの収率を高めることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
従来公知の方法で、テトラクロロエチレンをフッ素化触媒の存在下でフッ化水素と反応させ、得られたガスを蒸留し、さらに脱酸処理して、主としてHFC−125を含む反応生成ガスを得た。
この反応生成ガスと後述する気体分離膜により分離された非透過ガスとを混合して、主としてHFC−125からなり、HFC−23、CFC−13、HFC−1132a、N2およびCOを含む粗ペンタフルオロエタンを得た。
この粗ペンタフルオロエタンを0.8MPaに圧縮し、この圧力で蒸留した。蒸留塔に供給したガス、塔頂および塔底から得られたガスの常圧における濃度を表1に示す。
Figure 0005000111
塔底からは、表1に示すように高純度のHFC−125が得られた。
一方、塔頂から得られたHFC−125混合ガス(低沸成分)を、ポリ(4−メチルペンテン−1)の不均質膜からなる中空糸膜モジュール(大日本インキ化学工業株式会社製、製品名:MJ−G530C、モジュール寸法:140mmφ×約550mmL、ハウジング:硬質塩化ビニル、エンドキャップ:アルミニウム、封止樹脂:ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)の供給側に、表2に記載の条件で供給し、膜分離を実施した。中空糸膜モジュールに供給したガス、透過ガス、非透過ガスの濃度、および膜分離性能を表3に示す。
Figure 0005000111
Figure 0005000111
表3に示すように、HFC−125はポリ(4−メチルペンテン−1)からなる膜を透過しにくいため、非透過側に濃縮されやすい。そして、HFC−125と他のガスとの分離係数、特にN2、CO、HFC−1132aとの分離係数は大きく、さらにHFC−1
25と分子径の差が小さいCFC−13についても分離係数が5.1であった。HFC−125に対する分離係数が1より大きい物質は、HFC−125よりも気体分離膜を透過しやすく、分離係数が大きいほどHFC−125との分離性は高くなる。これにより、HFC−125と非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む低沸成分からHFC−125を効率よく分離することができた。
分離した透過ガスは非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含むため、製造プロセスから排出した。一方、非透過ガスはHFC−125を多く含み、上述したように上記反応生成ガスと混合して、再度、粗ペンタフルオロエタンとして分離処理を施した。これにより、非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとともに製造プロセスから排出されるHFC−125の量を低減して、高純度のHFC−125を効率的に製造することができた。
実施例1と同様にして粗ペンタフルオロエタンを得た後、この粗ペンタフルオロエタンを実施例1と同様にして昇圧し、蒸留した。塔頂から得られたHFC−125混合ガス(低沸成分)について、透過ガス流量の割合が大きくなるように非透過ガス流量および供給ガス流量を表4に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして膜分離を施した。中空糸膜モジュールに供給したガス、透過ガス、非透過ガスの濃度、および膜分離性能を表5に示す。
Figure 0005000111
Figure 0005000111
非透過ガス流量の割合をより少なく、透過ガス流量の割合をより多くすることにより、各物質の透過割合は、
HFC−125 : 7.0→13.6%
HFC−23 :67.3→80.9%
CFC−13 :28.7→46.2%
HFC−1132a:83.8→88.6%
に増加した。透過側へのHFC−125の損失量は増えたが、同時に透過側への他のフルオロカーボン類の排出量も増えたため、非透過ガス中のHFC−125濃度を増大させることができた。
実施例1と同様にして、分離した透過ガスを製造プロセスから排出し、非透過ガスを反応生成ガスと混合して、再度、粗ペンタフルオロエタンとして分離処理を施すことにより、高純度のHFC−125を効率的に製造することができた。
各成分の濃度が異なることを以外は実施例1と同様にして粗ペンタフルオロエタンを得た。この粗ペンタフルオロエタンを実施例1と同様にして昇圧し、蒸留した。蒸留塔に供給したガス、塔頂および塔底から得られたガスの常圧における濃度を表6に示す。
Figure 0005000111
塔底からは、表6に示すように高純度のHFC−125が得られた。
一方、塔頂から得られたHFC−125混合ガス(低沸成分)について、非透過ガス流量および供給ガス流量を表7に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして膜分離を施した。中空糸膜モジュールに供給したガス、透過ガス、非透過ガスの濃度、および膜分離性能を表8に示す。
Figure 0005000111
Figure 0005000111
実施例1および2と比して、供給ガス中のHFC−125濃度は非常に低くても、非透過ガス中のHFC−125濃度が93.0%となり、HFC−125を効率よく分離することができた。
実施例1と同様にして、分離した透過ガスを製造プロセスから排出し、非透過ガスを反応生成ガスと混合して、再度、粗ペンタフルオロエタンとして分離処理を施すことにより、高純度のHFC−125を効率的に製造することができた。
本発明によれば、低温用冷媒、発泡剤、噴射剤、エッチングガス、クリーニングガスとして有効に利用することのできる高純度のHFC−125を効率よく連続的に製造することができる。
図1は、本発明に係るペンタフルオロエタンの製造方法のプロセスフロー図である。
符号の説明
i 反応生成ガス
I 粗ペンタフルオロエタン
II 高沸成分(B)
III 低沸成分(B)
IV 透過ガス(C)
V 非透過ガス(C)
a 反応工程
b 蒸留工程
c 脱酸工程
A 昇圧工程
B 蒸留工程
C 膜分離工程
D 混合・再循環工程

Claims (7)

  1. テトラクロロエチレンまたはそのフッ素化物とフッ化水素とをフッ素化触媒の存在下で反応させ、蒸留および脱酸処理を施して少なくともペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む反応生成ガスを得た後、該反応生成ガスを含む粗ペンタフルオロエタンを精製する工程を含み、かつ該精製工程が、
    (A)前記粗ペンタフルオロエタンを圧縮により0.1MPa以上に昇圧する工程、
    (B)前記工程(A)により昇圧された粗ペンタフルオロエタンを蒸留し、少なくともペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む低沸成分(B)と、ペンタフルオロエタンを主成分として含有する高沸成分(B)とに分離する工程、
    (C)前記低沸成分(B)を、ポリ(4−メチルペンテン−1)を主体とする高分子からなる気体分離膜に接触させて、ペンタフルオロエタンを主成分として含有する非透過ガス(C)と、ペンタフルオロエタンと非凝縮性ガスと他のフルオロカーボンとを含む透過ガス(C)とに分離する工程、および
    (D)前記非透過ガス(C)と前記反応生成ガスとを混合して前記粗ペンタフルオロエタンを調製し、前記工程(A)に供給する工程
    を含むことを特徴とするペンタフルオロエタンの製造方法。
  2. 前記工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(D)における操作をこの順で連続的に実施することを特徴とする請求項1に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  3. 前記低沸成分(B)に含まれる非凝縮性ガスが、N2、O2、H2、CO、CO2およびCH4からなる群から選択される少なくとも1種のガスであることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  4. 前記他のフルオロカーボンが、クロロトリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、モノフルオロメタン、トリフルオロエチレンおよび1,1−ジフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のフルオロカーボンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  5. 前記工程(C)において得られる非透過ガス(C)中のペンタフルオロエタンの濃度が50〜99体積%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  6. 前記工程(C)において、前記気体分離膜の供給側圧力が0.1MPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
  7. 前記気体分離膜が、中空糸状膜を備えた膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のペンタフルオロエタンの製造方法。
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