JP4998555B2 - 貯血槽 - Google Patents

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Description

本発明は、心肺手術等を行う際に使用される体外血液循環回路において、体外循環中の血液を一時的に貯留する貯血槽に関する。特に、心内血を濾過するカーディオトミー部を内蔵した貯血槽に関する。
心臓手術等を行う場合、患者の心臓や肺の機能を代替するための血液ポンプや人工肺を備えた体外血液循環回路が用いられる。体外血液循環回路には、患者の静脈から脱血された静脈血を一時的に貯留して循環回路血液量を調整するための貯血槽(「静脈血貯血槽」と呼ばれることがある)や、術野に溢れた血液(心内血)を吸引して回収して一時的に貯留するための貯血槽(「心内血貯血槽」と呼ばれることがある)が設けられる。心内血は、静脈血に比べて、肉片、脂肪、凝血塊などの異物や気泡を多く含むので、心内血貯血槽には、異物を除去するためのフィルタと気泡を消泡するための消泡材とからなるカーディオトミー部が設けられる。静脈血と心内血とを共通する貯血槽に貯留することも広く行われている。
図20は、従来のカーディオトミー部900の一例の概略構成を示した断面図である。このカーディオトミー部900は、全体として略円筒形状を有するフィルタ910と、フィルタ910の内側に配置され、略円筒形状を有する消泡材920とを備える。フィルタ910の上下の端縁には、略円板形状を有する樹脂板931,932が接着されている。消泡材920は、上側の樹脂板931に接着されて保持されている。上側の樹脂板931の中央には貫通孔933が形成されている。貫通孔933には、心内血をカーディオトミー部900内に導入する導管935が挿入されている。二点鎖線950は最高血液面レベルを示す。消泡材920は最高血液面レベル950よりも高い位置に配置されている。
術野からポンプを用いて吸引された心内血は、導管935を通じてカーディオトミー部900内に流入し、フィルタ910を通過してカーディオトミー部900外に流出する。カーディオトミー部900内において、血液中に含まれていた気泡は血液面上に浮上する。血液面上に浮かんだ気泡は、その数が増えるにしたがい徐々に盛り上がるが、消泡材920に接すると破泡する。このように、消泡材920は血液面上の気泡があるレベル以上に盛り上がるように成長するのを制限している。
特許文献1には、導管935の下端がカーディオトミー部内の血液中に没すると、気泡の発生量が増加するので、導管935の下端を、最高血液面レベル950より上側に、更に、消泡材920の下端よりも上側に配置することが記載されている。
特開2002−165878号公報(段落[0040]、図2)
しかしながら、図20に示す従来のカーディオトミー部900は消泡特性に劣るという問題を有している。これは、導管935の下方に、略円筒形状の消泡材920で囲まれた空間960が形成されているためである。血液面上の気泡はこの空間960内に盛り上がるように成長することが可能であり、この結果、カーディオトミー部内の気圧が上昇し、血液や薬液のカーディオトミー部内への流入抵抗が増大するという問題を生じる。
本発明は、上記の従来の問題を解決し、高い消泡特性を有するカーディオトミー部を備えた貯血槽を提供することを目的とする。
本発明の貯血槽は、上部に心内血流入ポートを備え、下端に血液流出ポートを備えたハウジングと、前記ハウジング内に配置されたカーディオトミー部と、前記心内血流入ポートと連通し、前記心内血流入ポートからの血液を前記カーディオトミー部内に流入させる導管とを有する。前記導管が、前記カーディオトミー部内に上方から下方に向かって挿入されている。前記カーディオトミー部は、フィルタと、前記フィルタの内側に配置された消泡材とを有する。前記フィルタの下端は略一直線状又は曲線状にシール又は折り曲げられている。上方から見たとき、前記消泡材は前記フィルタの内周面に沿って環状に配置されている。
上下方向において、前記導管の下端が前記消泡材の下端と同一位置又はこれよりも下に位置している。
前記消泡材の下端面の水平方向面への投影図において、環状に配置された前記消泡材の長軸方向の外寸法をRu1、短軸方向の外寸法をRu2、前記消泡材の厚さをTuとしたとき、(Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu)≦0.24を満足する。
本発明によれば、高い消泡特性を有するカーディオトミー部を備えた貯血槽を実現できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る貯血槽の概略構成を示した斜視図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る貯血槽の概略構成を示した側面断面図である。 図3は、図1に示した本発明の実施の形態1に係る貯血槽に内装されるサポート部材の斜視図である。 図4Aは、本発明の実施の形態1に係る貯血槽に使用されるカーディオトミー部の側面図である。 図4Bは、図4Aの4B−4B線に沿った矢視断面図である。 図4Cは、図4Aの4C−4C線に沿った矢視断面図である。 図5Aは、本発明の実施の形態1に係るカーディオトミー部を構成するフィルタの斜視図である。 図5Bは、図5Aに示したフィルタの側面図である。 図5Cは、図5Aに示したフィルタの上面図である。 図6は、本発明の実施の形態1に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図7は、本発明の実施の形態1に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図8Aは、本発明の実施の形態1に係る貯血槽に使用されるカーディオトミー部に導管が挿入された状態を示した断面図である。 図8Bは、図8Aの8B−8B線に沿った矢視断面図である。 図9Aは、本発明の実施の形態2に係る貯血槽に使用されるカーディオトミー部の側面図である。 図9Bは、図9Aの9B−9B線に沿った矢視断面図である。 図9Cは、図9Aの9C−9C線に沿った矢視断面図である。 図10Aは、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタの斜視図である。 図10Bは、図10Aに示すフィルタの側面図である。 図10Cは、図10Aに示すフィルタの上面図である。 図11は、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図12Aは、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図12Bは、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図13Aは、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図13Bは、本発明の実施の形態2に係るカーディオトミー部を構成するフィルタを製造するための一工程を示した斜視図である。 図14は、本発明の実施の形態2に係る貯血槽に使用される別のカーディオトミー部の側面図である。 図15は、図14に示したカーディオトミー部を備えた本発明の実施の形態2に係る貯血槽の概略構成を示した側面断面図である。 図16は、本発明の実施の形態3に係る貯血槽において、カーディオトミー部に心内血を流入させる導管の下端に形成されたスリットを示した斜視図である。 図17は、本発明の実施の形態3に係る貯血槽において、カーディオトミー部に心内血を流入させる導管の下端が血液中に没した状態を示した断面図である。 図18は、本発明の実施の形態3に係る貯血槽において、カーディオトミー部に心内血を流入させる導管に接続された薬液注入ポート内が負圧になる理由を説明する図である。 図19は、本発明の実施の形態3に係る別の貯血槽において、カーディオトミー部に心内血を流入させる導管の下端近傍に形成された貫通孔を示した斜視図である。 図20は、従来のカーディオトミー部の一例の概略構成を示した断面図である。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る貯血槽5の概略構成を示した斜視図、図2はその側面断面図である。この貯血槽5は、ハウジング本体31とハウジング本体31の上部に載置された蓋体36とからなるハウジング30を備える。
ハウジング本体31は、その底面の中心から外れた一部が下方に突出して形成された貯血部32と、貯血部32の下端に設けられた、血液が流出する血液流出ポート33とを備える。ハウジング本体31の下面には、手術室に立設された支柱の上端を挿入することで貯血槽5を保持するための固定用穴34が形成されている。
蓋体36には、心内血が流入する複数の心内血流入ポート50と、静脈血が流入する静脈血流入ポート51とが取り付けられている。更に、蓋体36には、薬液等を血液に混入するための複数の薬液注入ポート71,72、緊急に大量の薬液を血液に混入させたり、カーディオトミー部2のフィルタ10が目詰まりにより使用できなくなった場合に代替のカーディオトミー部を通過させた血液を流入させたりするためのサービスポート73、貯血槽5内の圧力を調整するための排気ポート74、貯血槽5内の圧力が異常な陽圧又は陰圧になるのを防止するための圧力調整弁75等が設けられている。静脈血流入ポート51には、静脈血の温度を測定するための温度プルーブ52が突き刺されている。
静脈血流入ポート51には体外血液循環回路の脱血ラインのチューブが接続され、心内血流入ポート50には心内血吸引ラインのチューブが接続される。血液流出ポート33には体外血液循環回路の送血ラインのチューブが接続される。薬液注入ポート71,72には所定の薬液パックに接続された薬液注入ラインのチューブが接続される。薬液注入ポート71から流入した薬液はカーディオトミー部2内を通過せずに貯血部32内に流入し、薬液注入ポート72から流入した薬液はカーディオトミー部2内を通過した後、貯血部32内に流入する。サービスポート73には各種ラインのチューブが接続される。温度プルーブ52には温度計測機器と接続された電気配線が接続される。
ハウジング30内には、静脈血濾過網47を保持するサポート部材40が収納されている。図3は静脈血濾過網47を保持していない状態のサポート部材40を示した斜視図である。サポート部材40は、略升形状を有するカップ状部41と、カップ状部41の一側面に形成された格子状フレームからなる枠状部45とを備えている。カップ状部41の底面には溝43が形成されている。枠状部45は、ハウジング本体31の貯血部32内に挿入されるように、カップ状部41よりも下方に延びている。枠状部45の側面に形成された開口を塞ぐように、静脈血濾過網47が枠状部45に固定保持される。枠状部45の開口は、枠状部45の上下方向のほぼ全範囲にわたって延設されており、その下端は血液流出ポート33近傍にまで達している。
静脈血濾過網47は、血液中の異物や気泡を除去するフィルターとしての機能を有していれば、その構成及び材料に特に制限はなく、公知のものを適宜選択して使用することができる。例えば、静脈血濾過網47として多数の微細な開口を有するスクリーンフィルタを用いることができる。
静脈血流入ポート51と静脈血導入管80の上端とが蓋体36を介して接続されている。静脈血導入管80は、カップ状部41の溝43に嵌め込まれ、カップ状部41から枠状部45へとサポート部材40の内側を案内され、その下端の開口は、貯血槽5の最低血液面レベルBよりも下側に位置している。
心内血流入ポート50の下側には、カーディオトミー部2がサポート部材40内に配置されている。カーディオトミー部2は、全体として袋形状(または、コーヒー抽出の際に使用される紙製のコーヒーフィルタに類似した形状)を有するフィルタ10と、フィルタ10の内側に配置された消泡材20と、フィルタ10及び消泡材20の上端に接着された樹脂板60とを備える。樹脂板60の略中央には貫通孔61が形成されている。貫通孔61には、上方から導管90が挿入されている。導管90は、蓋体36に設けられた複数の心内血流入ポート50及び複数の薬液注入ポート72と連通している。フィルタ10の下端(折り曲げ部)11aはカップ状部41の底面に接触しており、これにより、カーディオトミー部2から流出した血液の泡立ちを低減している。
貯血槽5内の血液の流れを簡単に説明する。患者の静脈から脱血された静脈血は、静脈血流入ポート51及び静脈血導入管80を順に通過して、静脈血導入管80の下端の開口から流出し、静脈血濾過網47を通過し、血液流出ポート33から流出する。また、患者の術野から吸引された心内血は、心内血流入ポート50、導管90、及びカーディオトミー部2を順に通過して、サポート部材40内に流出し、静脈血濾過網47を通過し、血液流出ポート33から流出する。この過程で、血液は貯血部32内に一時的に貯留される。
図4Aは、カーディオトミー部2の側面図、図4Bは図4Aの4B−4B線に沿った矢視断面図、図4Cは図4Aの4C−4C線に沿った矢視断面図である。図5Aは、カーディオトミー部2を構成するフィルタ10の斜視図、図5Bはその側面図、図5Cはその上面図である。フィルタ10は、図5Bに示した第1方向801に沿ってプリーツ加工されたフィルタ部材11からなる。フィルタ部材11は、第1方向801と交差する第2方向802に沿って折り曲げられた折り曲げ部11aを有している。更に、フィルタ部材11は、第2方向802と交差するその一対の端縁11b,11cにてそれぞれシールされている。
フィルタ10の製造方法を以下に説明する。
最初に、図6に示すように、スクリーンフィルタ12の両側にサポート材13a,13bをそれぞれ重ね合わせて三層積層構造を有する長方形状のフィルタ部材11を作成する。
次に、図7に示すように、長方形状のフィルタ部材11の一辺と平行な第1方向801に沿って多数のプリーツを形成する。即ち、一定ピッチで、第1方向801と平行な方向に沿って山折りと谷折りとを繰り返して行う。
次に、フィルタ部材11の第1方向801における中間位置を通り、第1方向801と直交する第2方向802に平行な二点鎖線で示す折り曲げ線15に沿って、フィルタ部材11を矢印16a,16bの方向に折り曲げる。この際、例えば樹脂や金属等の硬質材料からなる治具の直線状の一端縁を折り曲げ線15に沿ってフィルタ部材11に押し付けて、治具と接触したプリーツの全ての山(尾根)を第2方向802のいずれか一方の側に変位させながら折り曲げると、容易且つ見映え良く折り曲げることができる。
次に、フィルタ部材11の第2方向802における両端縁をそれぞれシールして接合する。即ち、第2方向802において一方の側に位置する端縁11bのうち、折り曲げ線15に対して一方の側に位置する端縁部11b1と他方の側に位置する短縁部11b2とを重ね合わせてシールする。第2方向802において他方の側に位置する端縁11cも同様にシールする。シールの方法は特に制限はなく、フィルタ部材11の材料などを考慮して適宜選択すればよいが、例えばヒートシール法を用いることができる。この際、シールされる2つの部材(例えば端縁部11b1と短縁部11b2)の間に、塩化ビニルなどのシール性を向上させる材料を挟んでも良い。
かくして、図5A〜図5Cに示した、全体として袋形状(又は、コーヒー抽出の際に使用する紙製のコーヒーフィルタに類似した形状)を有するフィルタ10を得ることができる。
フィルタ10を構成するフィルタ部材11はスクリーンフィルタ12とこれを挟む一対のサポート材13a,13bとからなる三層積層構造を有している。スクリーンフィルタ12が相対的に高い機械的強度を有する一対のサポート材13a,13bで挟まれて保持されているので、スクリーンフィルタ12を所望する形状に維持することができる。また、フィルタ部材11に多数のプリーツが形成されているので、フィルタ部材11の表面積が増大し、濾過効率が向上し、フィルタ寿命を長くすることができる。
スクリーンフィルタ12は、血液が通過する際に血液中の異物を捕捉して除去する機能を有している。更に、気泡を捕捉する機能を有していても良い。このような機能を有するスクリーンフィルタ12としては、特に制限はなく、従来のカーディオトミー部に使用されていた公知のスクリーンフィルタを任意に選択して使用することができる。例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンなどの樹脂材料からなるメッシュフィルタを用いることができる。また、その孔径は、特に制限はないが、20〜50μmが好ましい。
サポート材13a,13bは、スクリーンフィルタ12の形状を維持するために用いられる。従って、スクリーンフィルタ12よりも高い機械的強度を有している必要がある。サポート材13a,13bとしては、特に制限はなく、従来のカーディオトミー部に使用されていた公知のサポート材を任意に選択して使用することができる。例えばポリプロピレンなどのヒートシール性が良好な材料からなるメッシュ部材を用いることができる。サポート材13a,13bの孔径は、スクリーンフィルタ12の孔径よりも大きいことが好ましい。
スクリーンフィルタ12及び/又はサポート材13a,13bに消泡剤(例えばシリコーン)をコーティングして気泡の消泡機能を付与しても良い。
図4A〜図4Cにおいて、樹脂板60は、フィルタ10の折り曲げ部11aとは反対側(上側)の端縁に、全周にわたって接着されている。樹脂板60の材料は特に制限はないが、例えばポリウレタンなどの接着剤を用いることができる。樹脂板60の平面形状は、図4A及び図4Bに示した例では長円形(即ち、陸上競技場のトラック(走路)状)であるが、これに限定されず、楕円形、円形、長方形など任意の形状を選択できる。樹脂板60を設けることより、フィルタ10の形状保持特性が向上する。樹脂板60には、血液が流入するための貫通孔61が形成されている。
消泡材20は、図4Cに示すように、フィルタ10の内側に、フィルタ10の内周面に沿って環状に設けられている。フィルタ10がプリーツ加工されていることにより、フィルタ10と消泡材20との間には隙間28が形成されている。図4Bに示すように、上下方向においては消泡材20はフィルタ10の上側の領域にのみ設けられており、消泡材20の上側端縁が樹脂板60に接着されることで消泡材20は樹脂板60に保持されている。消泡材20としては、接触した気泡を破泡させる機能を有していれば特に制限はなく、従来のカーディオトミー部に使用されていた公知の消泡材料を任意に選択して使用することができる。例えば、基層としてのポリウレタンの表面に消泡剤としてのシリコーンがコーティングされた材料を用いることができる。また、形態としては、連続気泡を有する発泡体、織物、編み物、不織布などを用いることができる。消泡材20は、単層であっても良いが、2層以上の積層構造を有していても良い。
本実施の形態1のカーディオトミー部2は、図20に示した従来のカーディオトミー部900が有していた下側の樹脂板932を備えていない。従って、初期通液性に優れ、動的充填量および残血量を少なくすることができるという副次的効果を奏する。ここで、初期通液性は、導管90を通じてカーディオトミー部2に最初に充填液を流入させたときに、充填液がフィルタ10外に流出し始めるまでに必要な充填液量によって判断される。初期通液性が優れることにより、体外血液循環回路を充填するのに必要な血液量、即ち回路充填量が減少する。回路充填量が減少すると、患者体内から体外へ移行する血液量が減少するので、患者負担が軽減する。動的充填量とは、循環前に存在する静的充填量と循環に必要な余分な液量との合計量であって、フィルタ10内に滞る液量等も含まれる。動的充填量が少ないことにより、回路充填量が減少するだけでなく、貯血槽内の貯血量の増減の応答性が向上し、血液面レベルの制御、調整をする上で施術者の負担が軽減される。残血とは、体外血液循環を停止後にカーディオトミー部2に残存する血液をいう。残血量が少ないことにより、患者への返血量が多くなるので、患者負担が軽減する。
図8Aは、カーディオトミー部2の樹脂板60の貫通孔61に導管90が挿入された状態を示した、導管90の中心線に沿った断面図、図8Bは、図8Aの8B−8B線に沿った矢視断面図である。二点鎖線Aは、カーディオトミー部2内の血液面レベルを示し、通常、これは導管90の下端よりも下に位置している。
図8Aに示すように、導管90の下端は消泡材20の下端と同一位置か、またはこれより下に位置している。即ち、導管90のカーディオトミー部2内への突き出し長さ(即ち、樹脂板60の下面から導管90の下端までの上下方向距離)をLt、消泡材20の上下方向寸法(即ち、樹脂板60の下面から消泡材20の下端までの上下方向距離)をHuとすると、Lt/Hu≧1を満足する(以下、条件Aという)。
また、図8Bに示すように、消泡材20の下端面の水平方向面への投影図において、消泡材20の長軸方向の外寸法をRu1、短軸方向の外寸法をRu2、消泡材20の厚さをTuとしたとき、(Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu)≦0.24を満足する(以下、条件Bという)。好ましくは、(Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu)≦0.18を満足する。ここで、前記投影図において消泡材20の長軸方向とは、消泡材20の外寸法が最大となる方向を意味し、これは折り曲げ部11aと平行であり、また、前記投影図において短軸方向とは前記長軸方向と直交する方向を意味する。また、厚さTuは、消泡材20が導管90又は対向する消泡材20と接して圧縮変形している場合には、圧縮されていない状態の厚さを意味する。
上記条件Aは、消泡材20の下端が導管90を囲んでいることを意味する。上記条件Bにおいて、比(Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu)は、フィルタ10内の消泡材20の下端よりも下側の空間(下側空間)17から上方を見たときの(図8B参照)、環状の消泡材20で囲まれた領域のアスペクト比を意味する。従って、上記条件Bは、前記投影図において環状の消泡材20が扁平状に変形しており、且つ、フィルタ10内において、消泡材20の下端に対して下側の下側空間17と、上側の空間(上側空間)18とを結ぶ通路19の面積が小さいか、あるいは実質的に存在しないことを意味する。導管90の下端の開口から下側空間17内に流入した血液内に含まれていた気泡は、血液面上に浮上し、その数が増加するにしたがって徐々に盛り上がるように成長する。しかしながら、下側空間17の上空のほとんどは消泡材20及び導管90で覆われているので、多くの気泡は消泡材20の下端に接して消泡してしまう。従って、カーディオトミー部2の消泡特性が向上する。
導管90の下端と消泡材20の下端との上下方向における距離をLとしたとき、L/Hu≦0.1を満足することが好ましい。比L/Huがこの上限値よりも大きいと、即ち、消泡材20の下端からの導管90の下方向への突き出し長さLが長すぎると、導管90の下端がカーディオトミー部2内に貯留した血液内に浸漬する可能性が高くなるので、導管90を通じてカーディオトミー部2に流入する血液の流入抵抗が増加する。
フィルタ10の上下方向内寸法(即ち、樹脂板60の下面からフィルタ10の内壁の下端までの上下方向距離)をHfとしたとき、0.2≦Hu/Hf≦0.95、更に0.3≦Hu/Hf≦0.9を満足することが好ましい。比Hu/Hfがこの不等式の上限値よりも大きいと、上記条件Aを満足させるために導管90の長さLtを長くする必要がある。この結果、導管90の下端がカーディオトミー部2内に貯留した血液内に浸漬する可能性が高くなるので、カーディオトミー部2に対する血液の流入抵抗が増加する。逆に、比Hu/Hfがこの不等式の下限値よりも小さいと、上側空間18が小さくなり、上側空間18を取り囲む消泡材20の面積も小さくなる。従って、通路19を通じて上側空間18内にまで成長した気泡の上側空間18内での消泡特性が悪化する。
導管90の材料は、特に制限はなく、従来の導管935の材料と同じ材料、例えばポリカーボネートを使用することができる。導管90の寸法も特に制限はないが、その外径は8mm以上16mm以下、内径は6mm以上12mm以下、厚みは1.0mm以上2.0mm以下が好ましい。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、カーディオトミー部を構成するフィルタに関して実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる点について説明する。
図9Aは、本実施の形態2におけるカーディオトミー部102の側面図、図9Bは図9Aの9B−9B線に沿った矢視断面図、図9Cは図9Aの9C−9C線に沿った矢視断面図である。図10Aは、カーディオトミー部102を構成するフィルタ110の斜視図、図10Bはその側面図、図10Cはその上面図である。
実施の形態1のカーディオトミー部2と同様に、カーディオトミー部102は、全体として袋形状(または、コーヒー抽出の際に使用される紙製のコーヒーフィルタに類似した形状)を有するフィルタ110と、フィルタ110の内側に配置された消泡材20と、フィルタ110及び消泡材20の上端に接着された樹脂板60とを備える。樹脂板60の略中央には貫通孔61が形成されている。カーディオトミー部102は、実施の形態1のカーディオトミー部2と同様に、貫通孔61に上方から導管90が挿入されて、貯血槽5に搭載される(図2参照)。
フィルタ110は、図10Bに示した第1方向801に沿ってプリーツ加工されたフィルタ部材111からなる。フィルタ部材111は、第1方向801と交差する第2方向802が周方向となるように筒状に接合されており、第1方向801の一端縁のシール部111aにてシールされている。フィルタ部材111は、第1方向801においてシール部111aとは反対側の領域ではスクリーンフィルタとこれを挟む一対のサポート材とからなる三層積層構造を有し、第1方向801においてシール部111a側の領域ではスクリーンフィルタのみからなる単層構造を有している。以下、フィルタ部材111のうち、サポート材を備えた三層積層構造を有する部分を「サポート有り部111e」と呼び、サポート材を備えない単層構造を有する部分を「サポート無し部111f」と呼ぶ。
フィルタ110の製造方法を以下に説明する。
最初に、図11に示すように、スクリーンフィルタ112の両側にサポート材113a,113bをそれぞれ重ね合わせて三層積層構造を有する長方形状のフィルタ部材材料111’を作成する。
次に、図12Aに示すように、長方形状のフィルタ部材材料111’の短辺と平行な第1方向801に沿って多数のプリーツを形成する。即ち、一定ピッチで、第1方向801と平行な方向に沿って山折りと谷折りとを繰り返して行う。
次に、図12Bに示すように、フィルタ部材材料111’の長辺と平行な第2方向802と平行にサポート材113a,113bを切断して、切断位置に対して一方の側のサポート材113a,113bを取り除く。かくして、第1方向801において一方の側に、スクリーンフィルタ112のみからなる単層構造のサポート無し部111fを有し、他方の側に、スクリーンフィルタ112とこれを挟む一対のサポート材113a,113bとからなる三層積層構造のサポート有り部111eを有するフィルタ部材111が得られる。
次に、図13Aに示すように、筒状になるようにフィルタ部材111の一方の短辺111bと他方の短辺111cとをシールして接合する。このとき、図12Bに示した第2方向(長辺方向)802は得られた筒状物の周方向となる。シールは、フィルタ部材111の第1方向801の全幅にわたって行う。短辺111bと短辺111cとのシール方法は特に制限はなく、フィルタ部材111の材料などを考慮して適宜選択すればよいが、例えばヒートシール法を用いることができる。この際、シールされる短辺111bと短辺111cとの間に、塩化ビニルなどのシール性を向上させる材料を挟んでも良い。
次に、図13Bに示すように、サポート無し部111f側の端縁又はその近傍を略直線状にシールする。図13Bにおいて111aはこのようにして形成されたシール部である。必要に応じて、シール部111aに対してサポート有り部111eとは反対側の余分な部分を切り落としても良い。シールの方法は特に制限はなく、スクリーンフィルタ112の材料などを考慮して適宜選択すればよいが、例えばヒートシール法を用いることができる。この際、シールされる部材間に、塩化ビニルなどのシール性を向上させる材料を挟んでも良い。
最後に、図13Bの状態においてスクリーンフィルタ112に対して内側に位置するサポート材が外側に位置するように、フィルタ部材111の表裏を逆転させる。かくして、図10A〜図10Cに示したような、シール部111aが内側に位置した、全体として袋形状(又は、コーヒー抽出の際に使用する紙製のコーヒーフィルタに類似した形状)を有するフィルタ110を得ることができる。
上記の製造方法では、フィルタ部材材料111’に多数のプリーツを形成した後、サポート材113a,113bの一部を取り除いて、サポート有り部111eとサポート無し部111fとを有するフィルタ部材111を得たが、本発明はこれに限定されない。サポート材113a,113bの一部を取り除いて、サポート有り部111eとサポート無し部111fとを有するフィルタ部材111を得た後、このフィルタ部材111に多数のプリーツを形成しても良い。あるいは、図11に示す工程において、スクリーンフィルタ112に、これより狭幅のサポート材113a,113bをそれぞれ重ね合わせて、サポート有り部111eとサポート無し部111fとを有するフィルタ部材111を直接得ることにより、その後のサポート材113a,113bの一部を取り除く工程を省略しても良い。
また、シール部111aを形成した後、フィルタ部材111の表裏を逆転させなくても良い。
図14は、本実施の形態2の別のカーディオトミー部103の側面図である。図14に示したカーディオトミー部103は、図9A〜図9Cに示したカーディオトミー部102に比べて、略直線状のシール部111aが樹脂板60に対して傾斜している点で相違する。シール部111aの傾斜角度は自由に設定することができる。図14において図9A〜図9Cに示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。
図15は、図14に示したカーディオトミー部103を備えた本実施の形態2に係る貯血槽6の概略構成を示した側面断面図である。
図4A〜図4Cに示したカーディオトミー部2及び図9A〜図9Cに示したカーディオトミー部102では、その下端11a,111aは樹脂板60とほぼ平行である。そこで、図2に示すように、下端11a,111aが図2の紙面に垂直な方向に延びるように、カーディオトミー部2,102は貯血槽5内に配置される。これにより、下端11a,111aのほぼ全ての領域がカップ状部41の底面に接触する。
これに対して、図14に示したカーディオトミー部103では、その下端の略直線状のシール部111aは樹脂板60に対して傾斜して形成されている。そこで、図15に示すように、シール部111aが、図15の紙面に平行な方向に延び、且つ、カップ状部41の底面(又は溝43内に嵌め込まれた静脈血導入管80)の傾斜に沿うように、カーディオトミー部103は貯血槽6内に配置される。これにより、シール部111aのほぼ全ての領域が傾斜したカップ状部41の底面又は静脈血導入管80に接触する。シール部111aの傾斜角度は、シール部111aが接触するカップ状部41の底面又は静脈血導入管80との接触領域がなるべく大きくなるように、これらの傾斜角度に応じて設定されることが好ましい。
本実施の形態2は、上記以外は実施の形態1と同様である。
(実施の形態3)
本実施の形態3は、導管90の下端及びその近傍の構成において実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
図16は、導管90の下端を下方から見た斜視図である。本実施の形態では、図16に示すように、導管90の側面に、その下端から上方に向かって延びる一対のスリット91が形成されている。一対のスリット91は、円筒形状の導管90の中心軸に対して対称位置に同一の形状及び寸法で形成されている。
一対のスリット91の効果を説明する。
図8Aに示したように、通常は、カーディオトミー部2内の血液面レベルAは導管90の下端よりも下に位置する。ところが、この血液面レベルが何らかの理由により上昇することがある。このような場合、実施の形態1で説明したように、導管90の下端は消泡材20の下端と同一位置か、またはこれより下に位置しているので、導管90の下端が血液中に没することがある。このとき、導管94にスリット91が形成されていないと、導管90を通じてカーディオトミー部2内に流入する血液の流入抵抗が増大する可能性がある。これに対して本実施の形態では、図17に示すように、導管90の下端が血液100中に没しても一対のスリット91の一部が血液面上に露出していれば、導管90を通じて流入する血液(心内血)101は一対のスリット91を通じて導管90外に流出することができ、また、導管90内の気圧が上昇するのを防止できる。従って、導管90を通じてカーディオトミー部2内に流入する血液の流入抵抗が増大するのを抑制できる。このように、導管90にスリット91を形成することで、血液面レベルが導管90の下端よりも上に上昇した場合にも問題なく対応することができる。
更に、実施の形態1で説明した貯血槽5のように、導管90が心内血流入ポート50に加えて薬液注入ポート72にも連通している場合には、更に以下の効果を奏する。
図17に示すように、導管90の下端が血液100中に没した場合には、導管90を通じてカーディオトミー部2内に流入する血液の流入抵抗が増大するのを抑制できるのと同じ理由により、薬液注入ポート72から導管90を通じてカーディオトミー部2内に流入する薬液の流入抵抗が増大するのを抑制できる。
更に、心内血流入ポート50から導管90を通ってカーディオトミー部2内に血液が流入する際に、導管90に接続された薬液注入ポート72内が負圧になるのを抑制できる。これを図18を用いて説明する。図18は、心内血流入ポート50及び薬液注入ポート72から導管90に至る流路の概略構成を示した斜視図である。図18では、説明を簡単化するために、導管90に、心内血流入ポート50及び薬液注入ポート72がそれぞれ1本のみ連通している場合を示しているが、心内血流入ポート50及び薬液注入ポート72の一方又は双方が複数本連通していても同様である。蓋体36に設けられた混合容器200内の空間は、隔壁203により、血液(心内血)が流れる血液流路201と、薬液が流れる薬液流路202とに分割されている。心内血流入ポート50は血液流路201と連通し、薬液流入ポート72は薬液流路202と連通している。混合容器200の下面に形成された開口204に円筒形状の導管90が接続されている。隔壁203は開口204をほぼ2分割している。血液211は、心内血流入ポート50、混合容器200内の血液流路201及び開口204、及び導管90を順に通過してカーディオトミー部2内に流入する。また、薬液212は、薬液注入ポート72、混合容器200内の薬液流路202及び開口204、及び導管90を順に通過してカーディオトミー部2内に流入する。一般に、血液211の流量は薬液212に比べて大きいので、開口204の近傍の血液211の流れによって混合容器200がいわゆるアスピレータを構成し、薬液流路202内が負圧となる。薬液流路202内が負圧になると、薬液212の流量などの制御が困難になるなどの問題が生じる。ところが、導管90の側壁にスリット91が形成されていると、血液211の流れによる薬液流路202内の負圧の発生を抑えることができる。
導管90に形成されるスリット91の長さ(導管90の下端からスリット91の上端までの距離、図16参照)HSは、特に制限はないが、5mm以上30mm以下が好ましく、10mm以上20mm以下がより好ましい。スリット91の長さHSが上記の範囲より長いと、生成した気泡がスリット91から導管90の外に漏れ出ることにより消泡材20と効果的に接触することができず、消泡特性が低下することがある。逆に、スリット91の長さHSが上記の範囲より短いと、スリット91による上記の効果が得られにくくなる。
また、導管90に形成されるスリット91の幅(導管90の周方向の寸法、図16参照)WSは、特に制限はないが、1mm以上5mm以下が好ましく、2mm以上3mm以下がより好ましい。スリット91の幅WSが上記の範囲より広いと、上述したスリット91の長さHSが長い場合と同じ理由により消泡特性が低下することがある。逆に、スリット91の幅WSが上記の範囲より狭いと、スリット91による上記の効果が得られにくくなる。
上記の説明では、導管90に形成されるスリット91の数は2本であったが、本発明はこれに限定されず、1本または3本以上であっても良い。複数本のスリット91を形成する場合には、導管90の中心軸に対して等角度間隔で配置するのが好ましい。複数本のスリット91を設ける場合、全てのスリット91間で、その長さHS及び幅WSは同一である必要はなく、異なっていても良い。
導管90の側面にスリット91を形成するのではなく、図19に示すように、導管90の側面の、下端近傍の位置に貫通孔92を形成しても良い。貫通孔92がスリット91と同様に作用してスリット91と同様の効果を得ることができる。貫通孔92は複数個形成することが好ましく、導管90の中心軸に対して対称位置に配置されるのが好ましい。貫通孔92は、導管90の下端近傍の領域内に形成されていれば良く、特に制限はないが、導管90の下端から30mm、更には20mm離れた地点より下端側の領域内に形成されることが好ましい。貫通孔92の開口形状、開口面積、個数、配置位置などは、導管90を流れる血液量、想定される血液面レベルなどを考慮して適宜設定することができる。導管90に、図16に形成したスリット91と図19に示した貫通孔92との両方を形成しても良い。
上記の説明では、実施の形態1の貯血槽の導管90にスリット91又は貫通孔92を設けたが、実施の形態2の貯血槽の導管90に同様にスリット91又は貫通孔92を設けても良く、その場合も上記と同様の効果を得ることができる。
上記に示した実施の形態1〜3は一例であって、本発明はこれに限定されない。
上述した実施の形態1〜3では、スクリーンフィルタ12,112を含むフィルタ部材11,111をプリーツ加工し袋形状に形成したフィルタ10,110を用いたが、カーディオトミー部を構成するフィルタはこれに限定されない。例えば不織布をプリーツ加工することなく袋形状に形成したフィルタを用いることもできる。
上述したカーディオトミー部2,102,103の下端11a,111aはいずれも直線状に形成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば曲線状であっても良い。カーディオトミー部を貯血槽に搭載したときに、下端11a,111aと貯血槽内の部材(例えばカップ状部41の底面又は静脈血導入管80)との接触領域がなるべく大きくなるように、その部材の表面形状に沿うように下端11a,111aが形成されるのが好ましい。下端11a,111aと貯血槽内の部材との接触領域が増大することにより、カーディオトミー部から流出した血液は下端11a,111aからこれが接触する部材上を流れて貯血部32に至るので、カーディオトミー部から流出した血液が泡立つのを防止できる。
上記のカーディオトミー部2,102,103では、消泡材20は樹脂板60に接着されて保持されていたが、消泡材20の保持方法はこれに限定されない。例えば、フィルタ10,110に対して消泡材20が下降しないように消泡材20の下端に設けられた治具で消泡材20を保持しても良い。
本発明の貯血槽は、上述した貯血槽5のように静脈血と心内血とが流入する心内血貯血槽一体型静脈血貯血槽に限定されず、公知の如何なる貯血槽であっても良い。例えば、静脈血が流入しない心内血貯血槽であっても良い。
(実験1)
実施の形態1で説明したカーディオトミー部2と同じ構造を有するカーディオトミー部を以下のようにして作成した。
スクリーンフィルタ12として、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、孔径が40μmのメッシュフィルタを用いた。サポート材13a,13bとして、ポリプロピレンからなり、孔径が1mmのメッシュを用いた。フィルタ部材11に形成した多数のプリーツの隣り合う山折りと谷折りとの間隔は10mmとした。所定形状の型内に流し込んだポリウレタン接着剤にフィルタ10の折り曲げ部11aとは反対側の端縁と消泡材20の一端縁とを浸漬し、その状態でポリウレタン接着剤を硬化させて樹脂板60を形成した。フィルタ10の上下方向内寸法Hfは78mmとした。消泡材20としては、表面にシリコーンがコーティングされた、連続気泡が形成されたポリウレタン発泡体を用いた。消泡材20の厚みTuは10mm、上下方向寸法Huは40mmとした(図8A、図8B参照)。樹脂板60に2つの貫通孔を形成した。2つの貫通孔の一方に外径が10mmの筒状の導管90を挿入し、他方にカーディオトミー部内の圧力を測定できるように水柱圧力計を接続した。
消泡材20の下端面の短軸方向の外寸法Ru2(図8B参照)を変えることにより、消泡材20の下端で囲まれた領域のアスペクト比((Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu))を種々に変更した。更に、カーディオトミー部2内への導管90の挿入長さLt(図8A参照)を種々に変更した。
[試験方法]
導管90を通じて、カーディオトミー部に、空気(気泡)を混入した血液(新鮮クエン酸加牛血、温度:25℃)を流入させた。血液の流量を0.1,0.2,0.5,1.0,1.5,2.0(×-33/分)の6通りに変え、それぞれの血液流量において血液への空気の混入量を0,0.1,0.2,0.5(×-33/分)の4通りに変えた。
[評価方法]
a.内圧上昇
血液が流入しているときのカーディオトミー部内の圧力変化を水柱圧力計を用いて測定した。カーディオトミー部内の圧力はカーディオトミー部の消泡特性と相関を有し、カーディオトミー部の消泡特性が悪く、気泡が上側空間18(図8A参照)にまで成長すると、カーディオトミー部内の圧力が上昇する。
b.気泡の発生状態及び消泡状態の目視検査
血液が流入しているときのカーディオトミー部内の気泡の発生状態及び消泡状態を目視にて観察した。
c.評価
上記の内圧上昇及び目視検査の結果を総合的に考慮して、消泡特性を「○」(優れている)、「△」(普通)、「×」(劣る)の3段階のいずれかに分類した。
[評価結果]
評価結果を表1に示す。
Figure 0004998555
表1に示すように、消泡材20の下端面のアスペクト比が0.24を超えると、消泡特性が劣っていた。また、消泡材20の上下方向寸法Huに対する導管90の長さLtの比Lt/Huが1.0未満であると消泡特性が劣っていた。
(実験2)
実験1と同じ構造を有するカーディオトミー部2を作成した。但し、実験2では、消泡材20の下端で囲まれた領域のアスペクト比を0.18で一定とし、Lt/Huを1.0で一定とする一方、消泡材20の上下方向寸法Hu及びカーディオトミー部2内への導管90の挿入長さLtを種々に変更した。
実験1と同じ方法で試験を行い、実験1と同じ方法で評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0004998555
表2に示すように、Hu/Hfが0.3以上0.9以下のとき、良好な消泡特性が得られた。
以上に説明した実施の形態及び実施例は、いずれもあくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものであって、本発明はこのような具体例にのみ限定して解釈されるものではなく、その発明の精神と請求の範囲に記載する範囲内でいろいろと変更して実施することができ、本発明を広義に解釈すべきである。
本発明は、心肺手術等を行う際に使用される体外血液循環回路中に設けられる貯血槽として広く利用することができる。

Claims (7)

  1. 上部に心内血流入ポートを備え、下端に血液流出ポートを備えたハウジングと、
    前記ハウジング内に配置されたカーディオトミー部と、
    前記心内血流入ポートと連通し、前記心内血流入ポートからの血液を前記カーディオトミー部内に流入させる導管とを有し、
    前記導管が、前記カーディオトミー部内に上方から下方に向かって挿入された貯血槽であって、
    前記カーディオトミー部は、フィルタと、前記フィルタの内側に配置された消泡材とを有し、
    前記フィルタの下端は略一直線状又は曲線状にシール又は折り曲げられており、
    上方から見たとき、前記消泡材は前記フィルタの内周面に沿って環状に配置されており、
    上下方向において、前記導管の下端が前記消泡材の下端と同一位置又はこれよりも下に位置しており、
    前記消泡材の下端面の水平方向面への投影図において、環状に配置された前記消泡材の長軸方向の外寸法をRu1、短軸方向の外寸法をRu2、前記消泡材の厚さをTuとしたとき、(Ru2−2×Tu)/(Ru1−2×Tu)≦0.24を満足することを特徴とする貯血槽。
  2. 前記消泡材の上下方向寸法をHu、前記導管の下端と前記消泡材の下端との上下方向における距離をLとしたとき、L/Hu≦0.1を満足する請求項1に記載の貯血槽。
  3. 前記消泡材の上下方向寸法をHu、前記フィルタの上下方向内寸法をHfとしたとき、0.2≦Hu/Hf≦0.95を満足する請求項1又は2に記載の貯血槽。
  4. 前記消泡材の上下方向寸法をHu、前記フィルタの上下方向内寸法をHfとしたとき、0.3≦Hu/Hf≦0.9を満足する請求項1又は2に記載の貯血槽。
  5. 前記導管の下端から上方に向かって延びるスリットが前記導管の側面に形成されており、または、前記導管の側面であってその下端近傍の位置に貫通孔が形成されている請求項1に記載の貯血槽。
  6. 前記導管の下端から前記スリットの上端までの長さHSが5mm以上30mm以下である請求項5に記載の貯血槽。
  7. 前記スリットの幅WSが1mm以上5mm以下である請求項5に記載の貯血槽。
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