(実施形態)
以下、図1〜図8を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクタの内部構成を示す回路ブロック図である。本実施形態では、表示装置は、放電ランプ30を光源としたプロジェクタ100としている。図1を使用して、プロジェクタ100の内部構成について説明する。
プロジェクタ100は、電源部10と、バラスト20と、放電ランプ30と、ランプ情報メモリ31と、CPU40と、RAM50と、ROM60と、バラスト−メイン基板間インターフェース70と、映像制御処理部80と、映像入力部110と、映像投写部113とを備えている。本実施形態では、CPU40と、RAM50と、ROM60と、バラスト−メイン基板間インターフェース70と、映像制御処理部80と、映像入力部110とは、メイン基板上に実装されている。また、図1には、プロジェクタ100の外部に、スクリーン200と、外部映像出力装置300とを図示している。
次に、図1を用いてプロジェクタ100の回路動作を説明する。
電源部10は、AC100V等の商用電源を入力して、プロジェクタ100の各種動作に必要な直流の電源電圧、および、バラスト20を動作させるための直流の電源電圧を生成する。バラスト20は、放電ランプ30を点灯駆動させる装置である。放電ランプ30は、プロジェクタ100の光源として機能する。
放電ランプ30およびランプ情報メモリ31は、ランプユニットとして構成されており、ランプ情報メモリ31は、放電ランプ30の熱の影響を受けないように熱伝導率の低い素材を介してランプユニットに備えられている。熱伝導率の低い素材としては、例えば、プラスチック等を用い、放電ランプ30とランプ情報メモリ31との距離は長くする。また、ランプユニットは、プロジェクタ100から着脱可能とする。ランプユニットをプロジェクタ100に取り付ける際は、放電ランプ30はバラスト20と接続し、ランプ情報メモリ31はメイン基板上にコネクタ等を介して装着する。ここで、ランプ情報メモリ31は、不揮発性のメモリであり、本実施形態ではFlashROMとしている。ランプ情報メモリ31には、同じくランプユニットを構成する放電ランプ30の個別の情報として、後述する、放電ランプ30の使用時間、ランプ電圧およびランプ電圧関数の情報を記憶する。
ランプ情報メモリ31と、CPU40と、RAM50と、ROM60と、映像制御処理部80とは、メイン基板上のバスラインによって互いに接続されている。ROM60には、例えば、ランプ制御をするプログラム、ランプ電圧関数を生成するプログラム、ランプの使用可能な残時間を算出するプログラム、映像制御をするプログラム、OSD(On Screen Display)処理をするプログラム、映像を投写するプログラム等が記憶されている。CPU40は、RAM50を作業領域として用いつつ、これらのプログラムを実行する。バラスト−メイン基板間インターフェース70は、CPU40からバラスト20へのランプ電圧検出の指示信号の送信や、バラスト20が検出したランプ電圧情報を受信するインターフェースである。
映像入力部110は、外部映像出力装置300からの映像信号を入力する。映像制御処理部80は、映像入力部110が入力した映像信号を必要に応じて加工し、また、OSD表示を映像上に重畳する。映像投写部113は、映像制御処理部80から出力された映像信号を映像としてスクリーン200に投写する。
図2は、プロジェクタのバラスト内部構成を示す回路ブロック図である。図2を使用して、プロジェクタ100のバラスト内部構成について説明する。
バラスト20は、EMIフィルタ21と、ダウンコンバータ22と、インバータ回路23と、イグナイタ回路24とを備えている。バラスト20内には、バラスト制御部として、電圧検出回路25、A/Dコンバータ26、通信回路27、バラスト制御回路28とを備えている。
次に、図2を用いてバラスト20の回路動作を説明する。
電源部10から入力された直流電圧は、EMIフィルタ21によってノイズをカットされ、ダウンコンバータ22によって降圧される。降圧された直流電流は、インバータ回路23によって交流矩形波電流(光源駆動電力)に変換される。イグナイタ回路24は、放電ランプ30の電極間の絶縁破壊を行って、放電ランプ30の始動を促す。
一方、バラスト制御部内の電圧検出回路25は、メイン基板側から指示を受けたバラスト制御回路28からの指示信号により、ダウンコンバータ22が降圧した直流電圧の測定を行う。この直流電圧をランプ電圧とする。測定したランプ電圧はA/Dコンバータ26によって、アナログ値からデジタル値に変換される。通信回路27は、デジタル値となったランプ電圧を、バラスト−メイン基板間インターフェース70を介してメイン基板側に送信する。また、通信回路27は、メイン基板側からランプ電圧検出の指示信号を受信し、バラスト制御回路28に伝える。
図3は、プロジェクタの機能構成を示す機能ブロック図である。図3を使用して、プロジェクタ100の機能構成について説明する。
プロジェクタ100は、電源部10と、バラスト20と、放電ランプ30と、映像入力部110と、映像信号処理部111と、OSD処理部112と、映像投写部113と、映像制御部114と、操作受付部115と、制御部116と、ランプ制御部117と、時間計測部118と、ランプ電圧検出部119と、ランプ電圧記憶部120と、関数生成部121と、関数記憶部122と、ランプ電圧上限値記憶部123と、残時間算出部124と、ランプ電圧比較部125と、残時間比較部126とを備えている。ここで、映像制御部114、映像信号処理部111およびOSD処理部112の3つを合わせた機能部を、図1では映像制御処理部80としている。
次に、機能構成を用いてプロジェクタ100の動作を説明する。
電源部10は、図示しない電源ケーブルが接続されて、プロジェクタ100に電源を供給する。バラスト20は、電源部10から電源の供給を受け、放電ランプ30を駆動するための電力を生成する。そして、バラスト20は、ランプ制御部117からの指示により、放電ランプ30の点灯を行う。また、バラスト20は、内蔵している電圧検出回路25(図2参照)により測定されたランプ電圧を、ランプ電圧検出部119に出力する。
映像入力部110は、外部映像出力装置300(図1参照)から映像信号を入力する。入力された映像信号は、映像信号処理部111によって必要に応じて映像加工が行われる。映像加工とは、例えば、拡大や縮小といった画像処理や台形補正処理等を示す。次に、OSD処理部112は、必要に応じて、映像加工が行われた映像上にOSD表示を重畳する。映像投写部113は、OSD処理部112から出力された映像信号を映像として投写する。映像制御部114は、制御部116からの指示により、映像信号処理部111、OSD処理部112および映像投写部113に対して、映像処理に関する指示制御を行う。
操作受付部115は、プロジェクタ100を構成する図示しないキースイッチ等の操作部を用いた、ユーザによるプロジェクタ100への機能操作指示、または、プロジェクタ100を構成する図示しないリモコン受光部が受光する、プロジェクタ100とは別に設けるリモコンを用いた、ユーザによるプロジェクタ100への機能操作指示を受け付ける。制御部116は、操作受付部115が受け付けた機能操作指示に対応した機能動作等を行うために、プロジェクタ100を統括制御する。制御部116が行うその他の制御内容としては、例えば、映像制御部114への映像信号処理に関する指示や、時間計測部118への時間計測の指示、ランプ制御部117への放電ランプ30の点灯/消灯等の指示、冷却ファン(図示省略)の制御等を行う。
ランプ制御部117は、制御部116からの指示によって、バラスト20を用いて、放電ランプ30の点灯制御を行う。時間計測部118は、制御部116からの指示により、放電ランプ30の使用時間(点灯した累積時間)を計測する。また、時間計測部118は、ランプ電圧を検出するための定期的な時間計測を行い、ランプ電圧検出部119にランプ電圧検出のタイミングを指示する。時間計測部118からの指示により、ランプ電圧検出部119は、バラスト20に対して放電ランプ30のランプ電圧の検出指示信号を送信し、検出結果としてランプ電圧を受信する。ランプ電圧記憶部120は、ランプ電圧をランプ電圧検出部119から入力してランプ情報メモリ31(図1参照)に記憶する。さらに、ランプ電圧記憶部120は、ランプ電圧を検出したときの使用時間を時間計測部118から入力し、ランプ電圧と併せてランプ情報メモリ31に記憶する。
関数生成部121は、ランプ電圧記憶部120に記憶されたランプ電圧および使用時間を使用し、ランプ電圧関数を生成する。ランプ電圧関数の生成方法については、後述する。関数記憶部122は、関数生成部121によって生成されたランプ電圧関数を、関数としてRAM50(図1参照)またはランプ情報メモリ31に記憶する。ランプ電圧上限値記憶部123は、プロジェクタ100で使用している放電ランプ30が動作可能な上限のランプ電圧であるランプ電圧上限値を、ROM60(図1参照)に記憶する。ここで、ランプ電圧上限値は、使用する放電ランプ30の仕様により決定される電圧値である。
残時間算出部124は、制御部116からの指示により、放電ランプ30の使用可能な残時間を算出する。ここで、残時間の算出方法を次に示す。残時間算出部124は、ランプ電圧上限値記憶部123に記憶されたランプ電圧上限値と、関数記憶部122に記憶されたランプ電圧関数を用いて、ランプ電圧関数がランプ電圧上限値に到達する時間を算出し、第1の時間とする。この算出された第1の時間が、放電ランプ30の寿命時間となる。さらに、残時間算出部124は、時間計測部118が計測している現在の放電ランプ30の使用時間を使用し、第1の時間との差を算出する。そして、残時間算出部124は、算出した差の値を残時間として、制御部116に通知する。残時間とは、放電ランプ30の寿命時間までの残りの時間を示している。
また、ランプ電圧比較部125は、ランプ電圧検出部119が検出したランプ電圧と、ランプ電圧上限値記憶部123が記憶しているランプ電圧上限値とを比較し、ランプ電圧がランプ電圧上限値以上か否かを判断し、制御部116に通知する。さらに、ランプ電圧比較部125は、ランプ電圧とランプ電圧上限値から所定の電圧を減算した値と比較し、ランプ電圧がランプ電圧上限値から所定の電圧を減算した値以上か否かを判断し、制御部116に通知する。
また、残時間比較部126は、残時間算出部124が算出した残時間と後述する所定の第1残時間との比較を行い、残時間が所定の第1残時間以下か否かを判断し、関数記憶部122に通知する。さらに、残時間比較部126は、残時間と後述する所定の第2残時間との比較を行い、残時間が所定の第2残時間以下か否かを判断し、制御部116に通知する。さらに、残時間比較部126は、残時間と0時間との比較を行い、残時間が0時間以下か否かを判断し、制御部116に通知する。
上述のような構成によって、プロジェクタ100は、放電ランプ30を光源として映像の投写を行いつつ、放電ランプ30の使用可能な残時間を算出することができる。
次に、本実施形態におけるプロジェクタ100の残時間算出処理について、フローチャートを用いて説明する。
図4は、実施形態に係るプロジェクタの残時間算出処理のフローチャートである。プロジェクタ100は、所定の使用時間間隔毎にランプ電圧の検出を行い、その結果を用いてランプ電圧関数を生成し、残時間を算出する。本実施形態では、所定の使用時間間隔は、50時間間隔とし、図4のフローチャートは、50時間間隔毎に行われる残時間算出処理を表している。ここで、使用時間は、前述したとおり、放電ランプ30が点灯している累積の時間を計測するものとする。図4を使用して、50時間間隔毎に行うプロジェクタ100の残時間算出処理について説明する。
ランプ電圧検出部119は、バラスト20へ放電ランプ30のランプ電圧検出の指示信号を送信し、バラスト20が検出したランプ電圧を受信する(ステップS100)。次に、ランプ電圧記憶部120は、検出したランプ電圧と、ランプ電圧を検出したときの使用時間をランプ情報メモリ31に記憶する(ステップS101)。
ここで、ランプ情報メモリ31には、図6に示すように、使用時間およびランプ電圧をデータとして記憶するものとする。なお、図6は、ランプ情報メモリ内のデータ配列を表す図である。配列H1に示すように、ランプ情報メモリ31の先頭アドレスには、ランプ電圧関数を記憶する。ただし、ランプ電圧関数は後述する条件になったときに書き込みが行われるため、初期値としては「0」が記憶されている。ランプ電圧関数の次のアドレスからは、50時間毎の使用時間とそのときに検出したランプ電圧を記憶する。なお、図6では、0(H:時間)から300(H)までの使用時間とそのときのランプ電圧(V:ボルト)のデータ配列を示しているが、300(H)以降のデータも順次記憶していくものとする。
図4に戻り、次に、関数生成部121は、ランプ情報メモリ31にランプ電圧関数が記憶されているか否かを判断する(ステップS102)。ランプ情報メモリ31の先頭アドレスに「0」が記憶されていた場合、関数生成部121は、ランプ電圧関数は記憶されていないと判断する(ステップS102:NO)。ランプ電圧関数が記憶されていない場合、関数生成部121は、ランプ情報メモリ31に記憶されている全ての使用時間とランプ電圧のデータを用いて、ランプ電圧関数を生成する(ステップS103)。
本実施形態では、ランプ電圧関数の生成方法として、最小二乗法の指数近似を用いる。これにより、ランプ電圧の使用時間に伴った上昇変化を、指数曲線に近似することができる。指数近似したランプ電圧関数は、一般式として、下記の式(1)で表される。
y=a*ebx …(1)
なお、xは使用時間(H:時間)、yはランプ電圧(V:ボルト)を示し、eはネピア数であり、aおよびbは係数である。
ここで、図7は、最小二乗法の指数近似を用いて生成したランプ電圧関数のグラフである。図7のグラフでは、x軸は使用時間を示し、y軸はランプ電圧を示す。グラフ上にプロットした点は、図6で示した配列H1の使用時間とランプ電圧のデータを示している。関数F1は、上述のプロットした点のデータを最小二乗法の指数近似を用いて生成したランプ電圧関数である。関数F1は、関数記憶部122によってRAM50に記憶される。
図4に戻り、次に、残時間算出部124は、ランプ電圧関数と現在の使用時間を用いて、放電ランプ30の使用可能な残時間を算出する(ステップS104)。具体的には、残時間算出部124は、ランプ電圧上限値記憶部123に記憶されているランプ電圧上限値とランプ電圧関数を用いて、ランプ電圧関数がランプ電圧上限値に到達する時間を算出して第1の時間とする。この算出された第1の時間が、放電ランプ30の寿命時間となる。本実施形態では、ランプ電圧上限値は130Vとしている。さらに、残時間算出部124は、現在の使用時間と第1の時間との差を算出し、算出した差の値を残時間としている。残時間とは、放電ランプ30の寿命時間までの残りの時間を示している。
ここで、図8を用いて残時間の算出について説明する。図8は、ランプ電圧関数と使用時間の関係を表すグラフである。図8のグラフでは、x軸は使用時間を示し、y軸はランプ電圧を示す。x軸上には、第1の時間T1および現在の使用時間T2が示されている。また、y軸上には、ランプ電圧上限値V0が示されている。関数F1は、図7と同様のランプ電圧関数を示している。図8のグラフで示すように、関数F1とランプ電圧上限値V0から第1の時間T1が定まる。さらに、第1の時間T1および現在の使用時間T2から残時間tを算出することができる。ここで、第1の時間T1の算出方法および残時間tの算出方法について、関数F1を一般式である式(1)に置き換えて説明する。
式(1)に第1の時間T1とランプ電圧上限値V0とを当てはめると、下記の式(2)となる。
V0=a*ebT1 …(2)
ここで、式(2)の両辺の自然対数を計算し、整理することで、第1の時間T1は下記の式(3)で表される。
T1=(logV0−loga)/b …(3)
次に、残時間tは、第1の時間T1から現在の使用時間T2を引くことで算出できる。つまり、残時間tは、下記の式(4)で表される。
t=T1−T2 …(4)
図4に戻り、次に、残時間比較部126は、残時間が所定の第1残時間以下か否かを判断する(ステップS105)。所定の第1残時間は、関数生成部121が生成するランプ電圧関数の変動が少なくなり、ほぼ固定すると思われる時間とする。本実施形態では、所定の第1残時間は300時間としているが、300時間に限定するものではない。残時間が所定の第1残時間以下でないと判断した場合(ステップS105:NO)、当フローチャートが示す残時間算出処理は終了する。残時間が所定の第1残時間以下であると判断した場合(ステップS105:YES)、関数記憶部122は、RAM50に記憶しているランプ電圧関数をランプ情報メモリ31に記憶する(ステップS106)。つまり、図6の配列H1のランプ電圧関数のアドレス(先頭アドレス)にランプ電圧関数を書き込む。そして、当フローチャートが示す残時間算出処理を終了する。
一方、次に、ステップS102にて、ランプ情報メモリ31にランプ電圧関数が記憶されていた場合(ステップS102:YES)について説明する。ここでは、ステップS107およびステップS108において、検出したランプ電圧とランプ電圧上限値またはランプ電圧上限値から所定の電圧を減算した値を電圧値で比較している。これは、ランプ電圧が予期せぬ上昇をした場合(検出したランプ電圧がランプ電圧関数から大きく外れた場合)に、放電ランプ30が定格仕様範囲の電圧から外れたこと、または、定格仕様範囲外の電圧となる状態に近いことを検出するためである。
ランプ電圧比較部125は、今回検出したランプ電圧がランプ電圧上限値以上であるか否かを判断する(ステップS107)。ランプ電圧がランプ電圧上限値以上である場合(ステップS107:YES)、ランプ制御部117は、放電ランプ30を消灯する(ステップS112)。具体的には、ランプ電圧比較部125は、放電ランプ30が定格仕様範囲外の電圧の状態となっていることを制御部116に通知し、制御部116はランプ制御部117に対して放電ランプ30を消灯するよう指示する。そして、当フローチャートが示す残時間算出処理を終了する。
ランプ電圧がランプ電圧上限値以上でなかった場合(ステップS107:NO)、ランプ電圧比較部125は、ランプ電圧がランプ電圧上限値から所定の電圧を減算した値以上であるか否かを判断する(ステップS108)。ここで、ランプ電圧上限値から所定の電圧を減算した値は、放電ランプ30の仕様から決定される放電ランプ30の交換を必要とする電圧とする。本実施形態で、所定の電圧は、5V(ボルト)としているが、5Vに限定するものではない。ランプ電圧上限値から5V減算した値以上である場合(ステップS108:YES)、映像制御部114は、ランプ交換を促すメッセージを第2の表示部に表示する(ステップS113)。本実施形態では、第2の表示部は、プロジェクタ100が投写している映像上に重畳するOSD表示とする。具体的な動作としては、ランプ電圧比較部125は、放電ランプ30が定格仕様範囲外の電圧となる状態に近いことを制御部116に通知し、制御部116は映像制御部114に対してランプ交換を促すメッセージを表示するよう指示する。映像制御部114は、OSD処理部112に対してランプ交換を促すメッセージをOSD表示するよう指示する。そして、当フローチャートが示す残時間算出処理を終了する。
次に、ランプ電圧がランプ電圧上限値から5V減算した値以上でなかった場合(ステップS108:NO)、残時間算出部124は、ランプ電圧関数と現在の使用時間を用いて、放電ランプ30の使用可能な残時間を算出する(ステップS109)。ここで使用するランプ電圧関数は、ランプ情報メモリ31に記憶されたランプ電圧関数を使用する。残時間算出処理は、ステップS104と同様である。
次に、残時間比較部126は、残時間算出部124が算出した残時間が0時間以下であるか否かを判断する(ステップS110)。残時間が0時間以下の場合(ステップS110:YES)、ランプ制御部117は、放電ランプ30を消灯する(ステップS112)。そして、当フローチャートが示す残時間算出処理を終了する。
残時間が0時間以下でなかった場合(ステップS110:NO)、残時間比較部126は、残時間が所定の第2残時間以下であるか否かを判断する(ステップS111)。所定の第2残時間は、放電ランプの仕様から決定される放電ランプの交換を必要とする時間とする。本実施形態では、所定の第2残時間は100時間としているが、100時間に限定するものではない。残時間が所定の第2残時間以下である場合(ステップS111:YES)、映像制御部114は、ランプ交換を促すメッセージを第2の表示部に表示する(ステップS113)。そして、当フローチャートが示す残時間算出処理を終了する。また、残時間が所定の第2残時間以下でなかった場合(ステップS111:NO)、当フローチャートが示す残時間算出処理は終了する。
次に、本実施形態におけるプロジェクタの残時間表示処理について、フローチャートを用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るプロジェクタの残時間表示処理のフローチャートである。残時間表示処理は、ユーザによる残時間表示の操作が行われた際に実行される処理である。本実施形態では、プロジェクタ100にソフトウェアとして実装する機能メニューに「ランプ寿命までの残時間表示」項目を設け、ユーザがリモコンやキースイッチ等の操作部を操作してプロジェクタ100に指示することで残時間表示を行う仕様としている。図5を使用して、プロジェクタ100の残時間表示処理について説明する。
関数生成部121は、ランプ情報メモリ31にランプ電圧関数が記憶されているか否かを判断する(ステップS200)。ランプ電圧関数のアドレスに「0」が記憶されていた場合、関数生成部121は、ランプ電圧関数は記憶されていないと判断する(ステップS200:NO)。ランプ電圧関数が記憶されていない場合、関数生成部121は、ランプ情報メモリ31に記憶されている全ての使用時間とランプ電圧のデータを用いて、ランプ電圧関数を生成する(ステップS201)。ランプ電圧関数生成の処理内容は図4のフローチャートのステップS103と同様である。
一方、ステップS200にて、ランプ情報メモリ31にランプ電圧関数が記憶されていた場合(ステップS200:YES)、以降の処理ではランプ情報メモリ31に記憶されているランプ電圧関数を使用するものとし、ステップS202へ移行する。
次に、残時間算出部124は、ランプ電圧関数と現在の使用時間を用いて、放電ランプ30の使用可能な残時間を算出する(ステップS202)。残時間算出の処理内容は図4のフローチャートのステップS104と同様である。
次に、映像制御部114は、残時間を第1の表示部に表示する(ステップS203)。本実施形態では、第1の表示部は、プロジェクタ100が投写している映像上に重畳するOSD表示とする。つまり、プロジェクタ100が投写する映像に対して、OSD処理部112によって、残時間をOSD表示として重畳する。残時間を表示する時間は数秒とし、ユーザに認識する余裕を持たせている。
次に、残時間比較部126は、残時間算出部124が算出した残時間が0時間以下か否かを判断する(ステップS204)。残時間が0時間以下の場合(ステップS204:YES)、ランプ制御部117は、放電ランプ30を消灯する(ステップS206)。具体的な処理と動作は、図4のステップS112と同様である。そして、当フローチャートが示す残時間表示処理を終了する。
残時間が0時間以下でなかった場合(ステップS204:NO)、残時間比較部126は、残時間が所定の第2残時間以下であるか否かを判断する(ステップS205)。前述したように、本実施形態では所定の第2残時間は100時間とする。残時間が所定の第2残時間以下である場合(ステップS205:YES)、映像制御部114は、ランプ交換を促すメッセージを第2の表示部に表示する(ステップS207)。具体的な処理と動作は、図4のステップS113と同様である。そして、当フローチャートが示す残時間表示処理を終了する。残時間が所定の第2残時間以下でなかった場合(ステップS205:NO)、当フローチャートが示す残時間表示処理は終了する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクタ100は、ランプ電圧を検出し、ランプ電圧関数を生成し、そのランプ電圧関数を用いて現在の使用時間から放電ランプ30の寿命までの残時間を算出する。よって、従来行われているような、ランプ寿命時間を予め固定的に決めておき、使用時間との差から残時間を算出する方法よりも正確に残時間を算出することができる。
(2)また、プロジェクタ100は、ランプ電圧関数を生成する際に最小二乗法を用いる。これにより、ランプ電圧および使用時間からランプ電圧関数を高精度に近似することができる。また、最小二乗法は、一般的に知られた近似方法であり、ソフトウェア等で実現することが容易なため、好適な方法である。よって、プロジェクタ100は、高精度に近似されたランプ電圧関数から正確な残時間を算出することができる。
(3)また、プロジェクタ100は、所定の使用時間間隔毎に、ランプ電圧を検出し、ランプ電圧および検出時の使用時間を記憶し、ランプ電圧関数を生成する。これにより、プロジェクタ100は、使用している放電ランプ30のランプ電圧の変化に追従したランプ電圧関数を生成することができる。つまり、検出したランプ電圧を常に反映したランプ電圧関数を生成することができる。よって、プロジェクタ100は、ランプ電圧の変化に追従しているランプ電圧関数から正確な残時間を算出することができる。
(4)また、プロジェクタ100は、残時間が所定の第1残時間以下となったとき、所定の使用時間間隔毎のランプ電圧関数の生成を止める。そして、以降は、最後に生成したランプ電圧関数を使用して残時間を算出する。なお、所定の第1残時間は、プロジェクタ100が生成するランプ電圧関数の変化が収束すると思われる時間とする。これにより、所定の第1残時間以下となった以降は、ランプ電圧関数を生成する処理を省略することができ、ソフトウェア処理の負荷を軽減することができる。よって、プロジェクタ100としての動作応答性の向上が期待できる。
(5)また、プロジェクタ100は、算出した残時間をユーザに認識させることができる。よって、ユーザは、放電ランプ30の寿命までの時間を把握することができる。さらに、ユーザは、残時間を知ることで、放電ランプ30の交換や、交換の準備を行うことができる。これにより、例えば、ユーザがプロジェクタ100を使用したプレゼンテーションを行っている最中にランプ寿命となり、放電ランプ30が消灯することを避けることができる。
(6)また、プロジェクタ100は、残時間が放電ランプ30の交換を必要とする時間である所定の第2残時間以下になったと判断したときに、ランプ交換を促すメッセージを表示することでユーザに認識させることができる。よって、ユーザは、放電ランプ30が寿命となる前に放電ランプ30の交換を行うことができる。
(7)また、プロジェクタ100は、残時間が放電ランプ30の寿命であることを示す0時間以下になったと判断したときに、放電ランプ30を消灯することができる。よって、放電ランプ30が定格仕様範囲の電圧から外れた状態で使用され続けることを避けることができる。よって、放電ランプ30の使用における安全性を保つことができる。
(8)また、プロジェクタ100は、ランプユニットに備えられたランプ情報メモリ31にランプ電圧と、使用時間およびランプ電圧関数情報を記憶しているので、ランプユニットを交換されても、交換されたランプユニットの放電ランプ30に対応した残時間を算出することができる。よって、ユーザは、同じ仕様の放電ランプ30であれば、新品または中古品のどちらの放電ランプ30のランプユニットにも交換することができる。そして、その放電ランプ30に対応した残時間を知ることができる。さらに、その放電ランプ30に対応して、ランプ交換を促すメッセージを表示することができ、また、放電ランプ30が寿命となったときには、放電ランプ30を消灯することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下に変形例を述べる。
(変形例1)上記実施形態では、表示装置はプロジェクタ100としているが、リアプロジェクションテレビとしてもよい。また、光源として放電ランプを備える表示装置であれば、本発明を実施することが可能である。
(変形例2)上記実施形態では、第1の表示部および第2の表示部は、投写映像上にOSD表示として重畳するものとしたが、第1の表示部および第2の表示部は、プロジェクタ100の筐体上に設ける液晶ディスプレイ等の表示部としてもよい。こうすれば、OSD表示が投写映像を遮ることなく、ユーザは液晶ディスプレイを視認することで残時間を確認することができる。また、第1の表示部および第2の表示部は、LED(Light Emitting Diode)とすることもできる。こうすれば、LEDの点灯/消灯/点滅および色の制御を行うことで、残時間を表現することができ、さらに、ランプ交換を促すメッセージについても表現することができる。例えば、残時間が、500時間より大きい場合/300時間より大きく500時間以下の場合/100時間より大きく300時間以下の場合/100時間以下でランプ交換を促す場合、というように分けて、LEDを用いて表現することができる。こうすれば、ソフトウェア処理の負荷の軽減が可能となる。
(変形例3)また、上記実施形態では、残時間の表示は、数字で表現するものとしたが、残時間を意図する表示を行うものとしてもよい。例えば、使用時間と残時間をバーグラフ等の図形で表現するものとしてもよい。こうすれば、ユーザは、現在の使用時間と残時間を図形的に認識することができる。
(変形例4)上記実施形態では、残時間算出処理を行う時間間隔を所定の使用時間間隔として50時間間隔としたが、より短い間隔としてもよい。例えば、1時間間隔や10分間隔としてもよい。こうすれば、ランプ電圧に急激な変化があった場合に、ランプ電圧関数への反映が短時間で行われ、残時間の算出の正確性が上がる。また、放電ランプ30の寿命が近いときや、放電ランプ30が寿命となったときについても、検出間隔が短いことにより、ランプ交換を促すメッセージの表示や放電ランプ30の消灯を早期に行うことができる。
(変形例5)上記実施形態では、残時間算出処理を行う時間間隔は所定の使用時間間隔としたが、プロジェクタ100の電源をオンして放電ランプ30が点灯し、放電ランプ30のランプ電圧が安定した時点においても残時間算出処理を行うものとしてもよい。なお、放電ランプ30が点灯してからランプ電圧が安定するまでの時間は、5分間程度である。こうすれば、プロジェクタ100の電源オン後の短時間(5分間程度)で、放電ランプ30の残時間を算出できるため、放電ランプ30の寿命が近いときや、放電ランプ30が寿命となったときについても、ランプ交換を促すメッセージの表示や放電ランプ30の消灯を、プロジェクタ100の電源オン時から早期に行うことができる。
(変形例6)上記実施形態では、残時間表示処理は、ユーザからの指示により行うものとしたが、プロジェクタ100の電源をオンして放電ランプ30が点灯した時点でも残時間表示処理を行うものとしてもよい。こうすれば、ユーザは、プロジェクタ100の電源オン直後に、放電ランプ30の使用可能な残時間を認識することができる。つまり、ユーザが残時間の確認の指示を行わなくても、プロジェクタ100の電源オン直後に自動的に残時間を表示し、ユーザに認識させることができる。
(変形例7)上記実施形態では、ランプ電圧上限値は、ROM60に記憶するものとしたが、ランプ情報メモリ31に記憶するものとしてもよい。こうすれば、ランプ電圧上限値についての仕様の異なる放電ランプを使用する場合に、ランプユニットを交換することで、ランプ情報メモリ31が交換され、ランプ情報メモリ31内のランプ電圧上限値、ランプ電圧関数、使用時間およびランプ電圧のデータも交換される。よって、ランプ電圧関数とランプ電圧上限値とで決定される第1の時間についての値が変更され、仕様の異なる放電ランプに対応した残時間の算出が可能となる。
(変形例8)上記実施形態では、ランプ電圧関数の生成は、ランプ情報メモリ31内に記憶された全ての使用時間およびランプ電圧のデータを使用して行うものとしたが、ランプ電圧関数の生成に用いるデータは、選択できるものとしてもよい。例えば、直近の過去20回の使用時間およびランプ電圧のデータを使用して、ランプ電圧関数の生成を行うことができる。こうすれば、放電ランプ30のランプ電圧特性により、放電ランプ30の使用開始初期のデータをランプ電圧関数生成のために使用することが不適である場合に(例えば、ランプ電圧の変化特性が、時間とともに大きく変化してしまう場合)、直近のデータのみを用いて有効なランプ電圧関数を生成することができる。また、使用するデータ数が少なくなれば、最小二乗法による近似処理のソフトウェア処理の負荷が軽減されるため、プロジェクタ100としての動作応答性の向上が期待できる。
(変形例9)上記実施形態では、放電ランプ30の残時間算出処理は、メイン基板上で行うものとしたが、残時間算出処理はバラスト20内で行うものとしてもよい。例えば、バラスト20内で算出した残時間を2ビットの情報に置き換え、プロジェクタ100は、その2ビットの情報を2つのLEDで表現できるようにすることができる。例として、次のように表現することができる。2つのLEDの状態が(消灯、消灯)ならば、残時間は300時間より大きいものとし、(点灯、消灯)ならば、残時間は100時間より大きく、300時間以下とし、(点灯、点灯)ならば、残時間は100時間以下とする。こうすれば、メイン基板側の残時間算出処理やOSD表示処理といったソフトウェア処理が軽減され、プロジェクタ100としての動作応答性の向上が期待できる。
(変形例10)上記実施形態では、ランプ電圧関数を生成する際の近似方法は、最小二乗法の指数近似としたが、その他の近似方法として、最小二乗法の対数近似や多項式近似、累乗近似等を選択できるものとしてもよい。こうすれば、使用する放電ランプ30の特性により、最も適した近似を行うことができ、残時間を算出する上で、最適なランプ電圧関数を生成することができる。なお、近似方法の選択は、プロジェクタ100にソフトウェアとして実装する機能メニューに「ランプ電圧関数生成時のデータ近似方法選択」項目を設け、ユーザに選択させるものとしてもよいし、使用する放電ランプ30に最適な近似方法を予めプログラムに組み込んでおくものとしてもよい。
(変形例11)上記実施形態では、ランプ電圧関数はランプ電圧を検出しながら生成するものとしたが、ランプ電圧関数は予め記憶しておくものとしてもよい。例えば、使用する放電ランプ30の特性に対応したランプ電圧関数を、ランプ情報メモリ31に記憶しておくことができる。こうすれば、放電ランプ30のランプ電圧の特性に対応した適正な残時間を算出することが可能である。さらに、ランプ電圧関数をランプ電圧を検出しながら生成する処理が不要となるため、ソフトウェア処理が軽減され、プロジェクタ100としての動作応答性の向上が期待できる。
10…電源部、20…バラスト、21…EMIフィルタ、22…ダウンコンバータ、23…インバータ回路、24…イグナイタ回路、25…電圧検出回路、26…A/Dコンバータ、27…通信回路、28…バラスト制御回路、30…放電ランプ、31…ランプ情報メモリ、40…CPU、50…RAM、60…ROM、70…バラスト−メイン基板間インターフェース、80…映像制御処理部、100…プロジェクタ、110…映像入力部、111…映像信号処理部、112…OSD処理部、113…映像投写部、114…映像制御部、115…操作受付部、116…制御部、117…ランプ制御部、118…時間計測部、119…ランプ電圧検出部、120…ランプ電圧記憶部、121…関数生成部、122…関数記憶部、123…ランプ電圧上限値記憶部、124…残時間算出部、125…ランプ電圧比較部、126…残時間比較部、200…スクリーン、300…外部映像出力装置。