JP4995626B2 - 貼り合わせ基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貼り合わせ基板の製造方法に関し、特には、機械的剥離により薄膜を形成する貼り合わせ基板の製造方法に関する。
従来、貼り合わせSOI(Silicon On Insulator)基板等の貼り合わせ基板の製造方法としては、Smartcut法やSiGen法などが知られている。ここでは、主にSOI基板を例に挙げて説明する。
Smartcut法は、貼り合わせ面側に水素イオン等を注入したシリコン基板とシリコン基板あるいは他の材料の基板とを貼り合わせ、400℃以上の熱処理を施すことで熱剥離させて貼り合わせSOI基板を得る方法である(例えば、特許文献1,5や非特許文献1参照)。
また、SiGen法は、貼り合わせ面側に水素イオン等を注入したシリコン基板とシリコン基板あるいは他の材料の基板とを貼り合わせる前に、これらの基板の貼り合わせ面の双方もしくは一方の表面をプラズマ処理し、表面が活性化された状態で両基板を貼り合わせ、例えば350℃で熱処理を施して貼り合わせ強度(接合強度)を高めた後に、常温で機械的に剥離して貼り合わせSOI基板を得る方法である(例えば、特許文献2〜4参照)。
これら2つの方法の相違点は、主としてシリコン薄膜の剥離プロセスにあり、Smartcut法はシリコン薄膜の剥離のために高温での処理を必要とするが、SiGen法は常温での剥離が可能である。
特に、シリコン基板のような半導体基板と他の材料基板とを貼り合わせて貼り合わせ基板を作製する場合には、異種材料間で熱膨張率や固有の耐熱温度の相違などが生じ、これにより基板の割れや局所的なクラックなどが生じ易くなることから、可能な限り低温で剥離処理までの工程を実行することが望ましい。このため、低温剥離が可能なSiGen法は異種材料基板の貼り合わせによる貼り合わせ基板の製造方法として好ましいものと考えられる。
ところで、SiGen法の場合、2枚の基板を貼り合わせ、半導体基板(例えばシリコン基板)を薄膜化して半導体薄膜(例えばシリコン薄膜)を形成する際には、半導体基板を水素イオン等のイオン注入界面から機械的に剥離する必要がある。
図4は、半導体基板であるシリコン基板の貼り合わせ面近傍の水素イオン注入界面からシリコン薄膜を機械的に剥離する手法を例示するための図である。ここでは、図4(A)に図示したように、水素イオン等のイオン注入層11を形成した第1のシリコン基板10と、酸化膜14を有する第2のシリコン基板20とを貼り合わせ、第1のシリコン基板10の貼り合わせ面近傍のイオン注入層11のイオン注入界面から第1のシリコン基板10のバルク部13とシリコン薄膜12とを機械的に剥離してシリコン基板20上に薄膜(SOI層)12を形成する手法を、図4(B)〜(E)に例示している。
図4(B)は、楔(くさび)状部材16をイオン注入層11(注入界面)に挿入し、楔状部材16による変形で劈開(へきかい)を進行させていく剥離方法を説明するための概略図である。この方法は、楔状部材16が接触する部分での傷やパーティクルが問題となったり、楔状部材16を打ち込むことにより生じる基板(10、20)の過大な変形により基板割れが発生したりすることがあるため、あまり採用されない。
図4(C)は、高圧流体17により劈開を進行させる方法で、楔状部材を挿入する場合に比べ、基板への応力の集中が少なく傷が付きにくいという特徴がある。しかし、高圧流体17を、回転している状態の基板(10、20)の剥離界面(劈開面)に正確に当てる必要があるのと、剥離後に双方の基板(10、20)が擦り合わないように把持部(18a、18b)の制御を行う必要があり、装置が複雑で高価なものになる。
図4(D)は、衝撃を、基板(10、20)の周囲数箇所から楔状部材や高圧流体などの衝撃付与手段19により与え、劈開の起点を作った後に上下方向へ相対的に引っ張り、このときの引っ張り力で劈開を進行させる方法の概略図である。なお、引っ張り力を加えた後に衝撃を与えるようにしてもよい。この方法は、劈開の起点を貼り合わせ基板の周囲に複数作るが、そこからの劈開が基板の中心を基準に軸対称になることは稀であり、基板面内で劈開の進行がぶつかる点でシリコン薄膜の膜厚の変化が大きくなる。しかも、この膜厚の変化は、その後の工程では解消不能な程度の大きさのものもあることから、劈開を制御し難い方法である。
図4(E)は、図4(D)の方法を改良したもので、基板(10、20)の周囲から中心部へ向かって劈開を進行させるのではなく、基板(10、20)の一端に上下方向へ相対的に引っ張る引っ張り力を加え、その引っ張り力を与えている端部に楔状部材や高圧流体などの衝撃付与手段19により衝撃を与えて、片側の端部からもう一方の端部へと劈開を進行させるものである。この方法は、劈開が一方向にのみ生じるため、劈開の制御が容易である。
図5は、薄膜の機械的剥離に用いられる従来の装置の構造を説明するための概略説明図であり、この図において、10は、第1の基板、20は、第2の基板をそれぞれ指し、一方は例えば水素イオンが注入されたシリコン基板であり、基板(10、20)の外面(第1の基板10および第2の基板20の裏面)のそれぞれは、剥離装置102の保持具3aおよび3bに設けられた吸着部(5aおよび5a、5bおよび5b)などにより、シリコン結晶の劈開の開始部近傍(5aおよび5b)と終了部分近傍(5aおよび5b)が保持される(図5(A))。
この状態でシリコン基板(10、20)の劈開開始部(図中の矢印で示された部分)に楔状部材や高圧の流体(空気,窒素ガス,純水)などを打ち込んで劈開の開始点(起点)を形成した後、剥離装置102の回転軸4を中心とした保持具3aおよび3bの相対的に離れていく分離運動によって第1のシリコン基板10のイオン注入層11にて剥離を生じさせ、他方基板20の表面上に薄膜(SOI層)を均一に形成する(図5(B))。
保持具3aおよび3bが相対的に離れていく運動は、順方向のねじと逆方向のねじを組み合わせたシャフト6がモータ7の回転により回り、そのねじに合わせたねじ穴を持った連結部材(8a、8b)が、ねじの動きに合わせ移動することで、連結された保持具(3a、3b)が動くことにより行われる。このとき、順方向のねじと逆方向のねじのピッチを同じにすると、保持具(3a、3b)の移動量を同じにすることができる。なお、このような保持具3aおよび3bが相対的に離れていく運動は、モータによるのではなくエアシリンダにて行っても良く、具体的な機構については限定されない。
しかし、このような方法で薄膜の剥離を機械的に行うと、基板が割れたり、貼り合わせ面が局所的に剥がれて離間したり、薄膜が部分的に転写されずに均一な薄膜が得られなかったり、薄膜表面に剥離痕が残ったり、薄膜に微小な欠陥が生じたりする場合があり、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を製造することができないことがあった。
そして、特許文献6には、ドナーウエーハに剛直性を与えるためにバッキング部をドナーウエーハの裏面と一体化させた上でドナーウエーハを剥離することが記載されている。
しかし、この際、板状の支持板を基板に密着させる必要があるが、静電チャックのような密着方法では、機構が大がかりになりすぎて、コスト増大につながるという問題点があった。
特許第3048201号公報 米国特許第6263941号明細書 米国特許第6513564号明細書 米国特許第6582999号明細書 特開平11−145438号公報 米国特許出願公開第2006/0211219号公報 A. J. Auberton−Herve et al., "SMART CUT TECHNOLOGY: INDUSTRIAL STATUS of SOI WAFER PRODUCTION and NEW MATERIAL DEVELOPMENTS" (Electrochemical Society Proceedings Volume 99−3 (1999) p.93−106).
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を、より確実に、かつ、低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、前記第1の基板を薄膜化し、前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
半導体基板である前記第1の基板の表面から水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層を形成する第1のステップと、
前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す第2のステップと、
前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面とを密着させる第3のステップと、
前記第1の基板の裏面を保持するとともに前記第2の基板の裏面を、支持板を密着して保持する第4のステップと、
前記第1の基板の前記イオン注入層に該第1の基板の一端部から外部衝撃を付与するとともに、前記第1の基板と前記支持板を密着させた第2の基板を前記外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かって前記イオン注入層にて順次離間させ、前記第1の基板を薄膜化する剥離工程である第5のステップにより、
前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する方法であり、前記支持板を、真空吸着用の多数の貫通孔を有するものとし、前記第2の基板の前記支持板による密着及び前記支持板の保持を、前記支持板の前記第2の基板の裏面に密着させる側とは反対側に多孔質材を添え、該多孔質材を介した真空吸着により行うことを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法を提供する(請求項1)。
このように、第2の基板へ支持板を密着させることで、剥離工程中の過度に第2の基板が曲がること(湾曲)による第2の基板の破損、貼り合わせ面の局所的な離間、剥離痕の発生、及び薄膜の未転写を防ぐことができる。また、第2の基板の曲がりによる薄膜への応力を緩和でき、薄膜の欠陥発生を抑制することができる。また、第1の基板の裏面には支持板を密着させないため、第1の基板に曲がりの起こる余地を残しその曲がりにより剥離進行部へ応力集中を促すこともできる。このため、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板をより確実に製造することができる。また、第2の基板へ密着させる支持板を、真空吸着用の多数の貫通孔を有するものとし、第2の基板の支持板による密着及び支持板の保持を、支持板の第2の基板の裏面に密着させる側とは反対側に多孔質材を添え、該多孔質材を介した真空吸着により行えば、第2の基板の支持板への密着と支持板の保持を簡単な機構によって、かつ、より確実に行うことができる。
その結果、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を、より確実に、かつ、低コストで製造することができる。
この場合、前記貫通孔の密度を、1個/cm以上とすることが好ましい(請求項2)。また、前記貫通孔の径を、1mm以下とすることが好ましい(請求項3)。
このように、貫通孔の密度を1個/cm以上としたり、貫通孔の径を1mm以下としたりすれば、真空吸着によって第2の基板を支持板により確実に吸着することができる。また、貫通孔の径を1mm以下とすれば、薄膜の、該貫通孔に相当する部分の膜質が悪化することを抑制することができる。
また、前記支持板を、ヤング率が3GPa以上であり、厚みが1mm以上であるものとすることが好ましい(請求項4)。
このように、第2の基板に密着させる支持板を、ヤング率が3GPa以上であり、厚みが1mm以上であるものとすることにより、剥離工程中に過度に第2の基板が曲がることよる基板の破損、貼り合わせ面の局所的な離間、剥離痕の発生、及び薄膜の未転写等をより確実に防ぐことができる。
また、前記支持板を、シリコン板、ステンレス板、セラミック板、アルミニウム板、ガラス板、プラスチック板のいずれかとすることができる(請求項5)。
支持板の材料は、密着させる基板に応じて、これらの中から適宜選択し得る。
また、前記支持板の表面粗さを、RMS[nm]=1〜100の範囲とすることが好ましい(請求項6)。
このように、支持板の表面粗さを、RMS[nm]=1〜100の範囲とすることで、支持板の表面が、第2の基板の裏面に密着し易くなり、このため、よりしっかりと基板を支持板で支持することができる。支持板の表面粗さは、粗すぎるとその表面状態が剥離後の基板表面に反映され、膜厚ムラとして現れる。また、支持板の表面粗さが平滑すぎると、基板に密着しすぎて支持板から基板を外し難くなる。
また、前記第1の基板を、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、化合物半導体基板のいずれかとすることができる(請求項7)。
本発明によれば、第1の基板を単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板として、近年特に求められている良好なシリコン薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板、例えばSOI基板をより確実に製造することができる。
また、本発明によれば、第1の基板を化合物半導体基板とすることにより、シリコン薄膜だけではなく、GaNなどの化合物半導体からなる良好な薄膜を有する貼り合わせ基板をもより確実に製造することができる。
また、前記第2の基板を、石英基板、サファイア(アルミナ)基板、ホウ珪酸ガラス基板、結晶化ガラス基板、窒化アルミニウム基板、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、SiC基板、SiGe基板のいずれかとすることができる(請求項8)。
本発明の貼り合わせ基板で使用する第2の基板は、作製する半導体デバイスの目的に応じて、これらの中から適宜選択することができる。
また、前記第1の基板と第2の基板を密着させる第3のステップを、該密着した基板を、100〜400℃で熱処理するサブステップを備えているものとすることができる(請求項9)。
このように、第1の基板と第2の基板を密着させた後、密着した基板を、100〜400℃で熱処理することで、第1の基板と第2の基板の貼り合わせ強度をより高めることができる。特に、熱処理温度が、100〜300℃であれば、異種材料の基板の貼り合わせでも、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生する恐れをより低減できる。一方、第1の基板及び第2の基板ともにシリコン基板とする場合のように、同種材料を貼り合わせる場合は、400℃までの温度で熱処理することができ、貼り合わせ強度をより高めることができる。
また、前記剥離工程である第5のステップにおいて、前記第1の基板と第2の基板のイオン注入層での離間を、前記一端部から前記他端部に向かう劈開によるものとすることができる(請求項10)。
このように、一端部から前記他端部に向かう劈開により、第1の基板と第2の基板のイオン注入層での離間を行うようにすれば、劈開が一方向にのみ生じるため、劈開の制御が比較的容易であり、剥離面の凹凸が少なく膜厚均一性の高い薄膜をより確実に得ることができる。
また、前記剥離工程である第5のステップにおいて、前記第1の基板と前記第2の基板のイオン注入層での離間を、前記第1の基板を保持する保持具と前記第2の基板に密着させた支持板を保持する保持具とを相対的に離していく運動により行うことができる(請求項11)。
このように、例えば、第1の基板を保持する保持具と第2の基板に密着させた支持板を保持する保持具とを相対的に離していく運動により、第1の基板と第2の基板をイオン注入層で離間させ、良好な薄膜を形成することができる。
また、前記剥離工程である第5のステップにおいて、断面形状が楔状の部材の先端部を前記一端部に当接させて、前記第1の基板のイオン注入層に外部衝撃を付与することができる(請求項12)。
このように、例えば、断面形状が楔状の部材の先端部を前記一端部に当接させて、第1の基板のイオン注入層に外部衝撃を付与することで、劈開の起点を形成することができる。そして、この起点から劈開を進行させることで、良好な薄膜を形成することができる。
また。前記表面活性化処理を施す第2のステップにおいて、表面活性化処理を、プラズマ処理、オゾン処理の少なくとも一方で行うことが好ましい(請求項13)。
このように、表面活性化処理を、プラズマ処理、オゾン処理の少なくとも一方で行えば、基板の表面活性化処理を施した面は、OH基が増加するなどして活性化する。従って、この状態で、第1の基板のイオン注入した面と第2の基板の貼り合わせる面とを密着させれば、水素結合等により、基板をより強固に貼り合わせることができる。
以上説明したように、本発明の貼り合わせ基板の製造方法によれば、第2の基板に支持板を密着した後に剥離するので、剥離時に第2の基板が湾曲するのを防止でき、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板をより確実に製造することができる。また、第2の基板への支持板の密着を簡単な機構によって行うことができるため、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を低コストで製造することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
前述のように、機械的に薄膜の剥離を実行すると、基板が割れたり、貼り合わせ面が局所的に剥がれて離間したり、薄膜が部分的に転写されずに均一な薄膜が得られなかったり、薄膜表面に剥離痕が残ったり、薄膜に微小な欠陥が生じたりする場合があり、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を製造することができないことがあった。
そこで、本発明者らは、この問題が生じる原因について鋭意調査した。その結果、この問題が生じる大きな原因は、2枚の基板間の曲げ剛性の差にあることをつきとめた。特に、2枚の基板間の曲げ剛性の差が大きい場合に、このような問題が多発していた。
図3は、2枚の基板(10、20)間の曲げ剛性差が、小さい場合(図3(A))と大きい場合(図3(B))の剥離工程中での両基板の湾曲状態を模式的に示す説明図である。これらの図において、劈開開始端部(図の左側)の両基板間の間隔dは等しいとして図示してある。
2枚の基板間の曲げ剛性差が小さい場合(図3(A))、剥離開始時のイオン注入層11にほぼ対称に、2枚の基板が概ね同じ湾曲状態で剥離が進行する一方、基板間の曲げ剛性差が大きい場合(図3(B))には、曲げ剛性の小さな基板(図中では10)が曲げ剛性の大きな基板(図中では20)側に引っ張られるかたちで剥離が進行することとなる。その結果、曲げ剛性の小さな基板10は剥離工程中に大きく湾曲した状態が継続することとなり、過度の変形に貼り合わせ面が局所的に剥がれて離間したり、劈開が困難となって薄膜表面に凹凸を生じて剥離痕が残ったり、あるいは薄膜が部分的に転写されずに均一な薄膜が得られないといった問題が生じ得る。特に、貼り合わせ基板の製造には、通常1mm以下の極めて薄い基板が使用されているため、この問題が顕著に現れる。
また、薄膜が転写される方の基板が湾曲している場合、転写された薄膜表面には引っ張り応力が生じる。その引っ張り応力が強い場合は、半導体薄膜の転写が上手く行った場合でも、薄膜に微小な欠陥が生じる。このため、転写された薄膜に湾曲による応力がかからないことが望ましい。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ね、当初、第1の基板の裏面と第2の基板の裏面とにそれぞれ支持板を密着させて、それから機械的剥離を行い、第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する貼り合わせ基板の製造方法を試みた。この方法は、例えば、図6に示したような剥離装置103を用いて行うことができるものである。
この剥離装置103は、吸着部5a,5a,5b,5bと、保持具3a,3bと、回転軸4と、モータ7と、連結部材8a,8bと、シャフト6を具備する。
保持具3aは、第1の基板10に密着された第1の基板側の支持板51を吸着部5a,5aに吸着させ、第1の基板10の裏面を第1の基板側の支持板51を介して保持することができる。一方、保持具3bは、第2の基板側の支持板52を吸着部5b,5bに吸着させることで、第2の基板20の裏面を第2の基板側の支持板52を介して保持することができる。
また、保持具3a,3bは、順方向のねじと逆方向のねじを組み合わせたシャフト6がモータ7の回転により回り、そのねじに合わせたねじ穴を持った連結部材8a,8bが、ねじの動きに合わせ移動することで、連結された保持具3a,3bが動くことにより、回転軸4を中心として、相対的に離れていく運動を行うことできる。この運動を行う機構については、前述の図5の装置と同様である。
このような剥離装置103を用いて、第1の基板10のイオン注入層11に第1の基板10の一端部から楔状部材16により外部衝撃を付与するとともに、第1の基板側の支持板51を密着させた第1の基板10と第2の基板側の支持板52を密着させた第2の基板20を外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かってイオン注入層11にて順次離間させる。
しかし、このように、第1の基板の裏面と第2の基板の裏面にそれぞれ支持板を密着させてそれから機械的剥離を行うと、第1の基板側の支持板に反りがあると、基板と支持板との密着がうまくいかないことがあった。また、剥離装置が複雑な機構となるという問題があった。
また、本発明者らは、実験と検討の中で、第1の基板の裏面に密着させる支持板をできるだけ剛性の低いものとし、第2の基板の裏面に密着させる支持板をできるだけ剛性の高いものとすると、剥離された第2の基板上の薄膜の品質がより良好になることを見出した。
そこで、本発明者らは、これらの知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねた結果、第2の基板の裏面のみに支持板を密着させた上で保持するとともに、第1の基板の裏面にはこのような支持板を密着させずに保持するものとし、それから剥離を行えば、剥離された第2の基板上の薄膜の品質がより良好な貼り合わせ基板をより確実に得られることを見出した。すなわち、第1の基板の裏面には支持板を密着させることなく、第2の基板の裏面に支持板を密着させ、それから機械的剥離を行い、第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造するようにすれば、剥離工程中の過度の第2の基板の曲がり(湾曲)による基板の破損、貼り合わせ面の局所的な離間、剥離痕の発生、薄膜の未転写、薄膜の欠陥発生等を抑制でき、このため、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板をより確実に製造することができることを見出した。
また、前述のように、板状の支持板を基板に密着させる際に、静電チャックのような密着方法では、機構が大がかりになりすぎて、コスト増大につながるという問題点があった。
そこで、本発明者らは、より簡便な機構により剛直な支持板を基板に密着させる方法について鋭意検討を行った。
まず、ポリエチレンなどの多孔質物質を支持板として基板に真空吸着させる方法について検討した。この方法は簡便であるが、このような多孔質の物質は、支持板としては剛直性が不足しやすく、実際に第2の基板に吸着させて剥離を行った場合、薄膜の品質が不十分であった。
そして、本発明者らは、さらに検討を重ね、第2の基板に密着させる支持板に、真空吸着用の貫通孔(例えば直径1mm以下)を多数開け、この支持板に多孔質材を複合し、該多孔質剤の一部から真空を取るようにし、該真空を取る部分以外は目張りを行うようにした上で、真空引きを行うことにより、支持板の貫通孔に真空が行き渡るようにすれば、基板に密着する支持板を剛直な板とし、かつ簡便な機構とすることができることを見出した。そして、このような支持板の基板への密着方法を用いて、第2の基板に支持板を密着させて剥離を行えば、従来よりも極めて簡便な機構によって剥離を行うことができ、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を低コストで製造することができることに想到し、本発明を完成させた。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図2は、本発明の貼り合わせ基板の製造方法で使用することのできる剥離装置の一例を示す概略図である。
この剥離装置101は、吸着部5a,5a,5b,5bと、保持具3a,3bと、回転軸4と、モータ7と、連結部材8a,8bと、シャフト6を具備する。
保持具3aは、第1の基板10を吸着部5a,5aに吸着させ、第1の基板10を保持することができる。一方、保持具3bは、支持板32を吸着部5b,5bに吸着させることで、第2の基板20の裏面を支持板32を介して保持することができる。
また、保持具3a,3bは、順方向のねじと逆方向のねじを組み合わせたシャフト6がモータ7の回転により回り、そのねじに合わせたねじ穴を持った連結部材8a,8bが、ねじの動きに合わせ移動することで、連結された保持具3a,3bが動くことにより、回転軸4を中心として、相対的に離れていく運動を行うことできる。この運動を行う機構については、前述の図5の装置と同様である。
尚、図2の剥離装置では、モータ7を用いているが、この代わりに、エアシリンダを用いても良く、具体的な機構については特に限定されない。
このような剥離装置101は、図6に示したような第1の基板及び第2の基板の双方に支持板を密着させる剥離装置103よりも機構がより簡単である。
本発明では、例えば、以下に説明する図1(A)〜(I)に示す工程を経て、貼り合わせ基板を製造するが、この時、剥離工程において、上記図2に示す剥離装置を用いることができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
先ず、図1(A)〜(C)に示すように、半導体基板である第1の基板10と、第2の基板20を準備し、第1の基板10の表面から水素イオンを注入してイオン注入層11を形成する第1のステップを行う。
このとき、第1の基板10を、単結晶シリコン基板とすることができ、特には、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板とすることもできる。第1基板としてこれらの材料を選択すれば、シリコン薄膜を有する貼り合わせ基板を製造することができる。表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板を用いれば、SOI基板を作製するのに都合が良い。また、シリコン薄膜ではなく、GaNなどの化合物半導体薄膜を有する貼り合わせ基板を製造するため、第1の基板10を、GaNなどの化合物半導体基板とすることもできる。
また、第2の基板20を、石英基板、サファイア(アルミナ)基板、SiC基板、ホウ珪酸ガラス基板、結晶化ガラス基板のいずれかの絶縁性基板とすることもできるし、あるいは、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、SiGe基板のいずれかとすることもできる。第2の基板20は、作製する半導体デバイスの目的に応じて、これらの中から適宜選択するようにすれば良い。もちろん、これ以外の材料を用いてもよい。
また、イオン注入層11の形成には、水素イオンだけではなく、希ガスイオンあるいは水素イオンと希ガスイオンの両方をイオン注入するようにしても良い。注入エネルギー、注入線量、注入温度等その他のイオン注入条件も、所定の厚さの薄膜を得ることができるように適宜選択すれば良い。具体例としては、注入時の基板の温度を250〜400℃とし、イオン注入深さを0.5μmとし、注入エネルギーを20〜100keVとし、注入線量を1×1016〜1×1017/cmとすることが挙げられるが、これらに限定されない。
尚、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板を用いて、酸化膜を通してイオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られ、イオンの注入深さのバラツキをより抑えることができる。これにより、より膜厚均一性の高い薄膜を形成することができる。
次に、図1(D)に示すように、第1の基板10のイオン注入した面と第2の基板20の貼り合わせる面に表面活性化処理を施す第2のステップを行う。もちろん、第1の基板10のイオン注入した面と第2の基板20の貼り合わせる面のいずれか一方の面にのみ表面活性化処理を施すようにしても良い。
この時、表面活性化処理を、プラズマ処理、オゾン処理の少なくとも一方で行うことが好ましい。このように、表面活性化処理を、プラズマ処理、オゾン処理の少なくとも一方で行えば、基板の表面活性化処理を施した面は、OH基が増加するなどして活性化する。従って、この状態で、第1の基板のイオン注入した面と第2の基板の貼り合わせる面とを密着させれば、水素結合等により、基板をより強固に貼り合わせることができる。
プラズマで処理をする場合は、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をした基板を載置し、プラズマ用ガスを導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜30秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、例えば、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板を処理する場合には、酸素ガスのプラズマ、表面に酸化膜を形成しない単結晶シリコン基板を処理する場合には、水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。また、不活性ガスの窒素ガスを用いても良い。
オゾンで処理をする場合は、大気を導入したチャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をした基板を載置し、窒素ガス、アルゴンガス等のプラズマ用ガスを導入した後、高周波プラズマを発生させ、大気中の酸素をオゾンに変換することで、表面をオゾン処理する。
次に、図1(E)に示すように、第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面とを密着させる第3のステップを行う。
このように、表面活性化処理をした表面を貼り合わせ面として、例えば減圧又は常圧下、室温で基板を密着させれば、高温処理を施さなくても、両基板を後の機械的剥離に耐え得るほど十分に強固に貼り合わせることができる。
ただし、この第1の基板と第2の基板を密着させる第3のステップ(図1の工程(E))は、密着した基板を、100〜300℃で熱処理するサブステップを備えていても良い。あるいは、第3のステップ(図1の工程(E))は、密着した基板を、100〜400℃で熱処理するサブステップを備えていても良い。
このように、前記第1の基板と第2の基板を密着させた後、該密着した基板を、100〜300℃、あるいは、100〜400℃で熱処理することで、第1の基板と第2の基板の貼り合わせの強度を高めることができる。特に、熱処理温度が、100〜300℃であれば、異種材料の基板の貼り合わせでも、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生する恐れが少ない。貼り合わせ強度を高めれば、剥離工程での不良の発生を減少させることができる。
次に、図1(F)に示すように、第2の基板20の裏面に支持板32を密着させる第4のステップを行う。このとき、第1の基板10の裏面は支持板に密着させずに保持する。
そして、本発明に係る貼り合わせ基板の製造方法では、このとき、以下のような機構を用いて、支持板を第2の基板に密着させる。
図7に第2の基板への支持板の密着及び支持板の保持方法の一例を示した。支持板32は、真空吸着用の多数の貫通孔61を有する。この場合、貫通孔61の支持板32の面内における密度を1個/cm以上としたり、貫通孔61の径を1mm以下としたりすれば、真空吸着によって第2の基板を支持板により確実に吸着することができるので好ましい。また、本発明者らの実験により、貫通孔の径が1mm以下であれば、第1の基板を剥離した後の薄膜の、該貫通孔に相当する部分の膜質の悪化を抑制することができることがわかった。
また、このような貫通孔61を有する支持板32の、第2の基板20の裏面に密着させる側とは反対側に多孔質材62を添え、多孔質材62を介して真空吸着することにより、第2の基板の支持板による密着及び支持板の保持を行うことができる。より具体的には、例えば、真空吸着手段を多孔質材62に備え、シール材63によってその真空吸着手段以外の部分以外を覆う。このような構成とすることによって、真空圧力を多数の貫通孔61に均等に伝えることができ、第2の基板をより確実に支持板に密着させることができる。
なお、この真空吸着手段は、図7に示したように、保持具3bの吸着部5b,5bと兼ねるものであってもよいし、別個の手段を設けるものであってもよい。
このような基板の支持板による密着及び支持板の保持方法によれば、第2の基板の支持板への密着と支持板の保持を簡単な機構によって、かつ、より確実に行うことができる。
また、第2の基板と支持板の密着を接着剤による接着とした場合のように、後で接着剤の除去が必要となることもない。
尚、ここでは第2の基板と支持板を密着させたものを補剛基板42と呼ぶ(図2参照)。
そして、図1(G)(H)に示すように、第1の基板10のイオン注入層11に第1の基板10の一端部から楔状部材16により外部衝撃を付与するとともに、第1の基板10と支持板32を密着させた第2の基板20を外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かってイオン注入層11にて順次離間させ、第1の基板10をバルク部13と薄膜12に機械的に剥離して薄膜化する剥離工程である第5のステップを行う。
図1(G)に示すように、断面形状が楔状の部材の先端部を第1の基板10の一端部に当接させて第1の基板10のイオン注入層11に楔状部材16により外部衝撃を付与することで、劈開の起点を形成することができる。劈開の起点を形成する手段としては、楔状部材に限定されず、例えば、空気、窒素ガス、純水等の高圧流体でイオン注入層11に外部衝撃を付与するようにしても良い。
また、一端部から他端部に向かう劈開により、第1の基板と第2の基板のイオン注入層での離間を行うようにすれば、劈開が一方向にのみ生じるため、劈開の制御が比較的容易であり、膜厚均一性の高い薄膜をより確実に得ることができる。
この時、例えば、図2に示した剥離装置を用い、第1の基板10を保持する保持具3a及び第2の基板20に密着した支持板32を保持する保持具3bを回転軸4を中心として相対的に離していく運動により、第1の基板10と第2の基板20をイオン注入層11で離間させることで、薄膜を形成することができる。
尚、本発明では、イオン注入層に外部衝撃を付与した後で、第1の基板を保持する保持具と第2の基板を密着させた支持板を保持する保持具とを相対的に離していく運動を開始するようにしても良く、あるいは、イオン注入層に外部衝撃を付与する前から、第1の基板を保持する保持具と第2の基板を密着させた支持板を保持する保持具とを相対的に離していく力を付与するようにしても良い。
第1及び第2の基板10,20としては、通常1mm以下の薄い基板が使用される。その薄さのために、前述のように剥離工程中に大きな曲がりが発生し、その曲がりのために基板の破損、貼り合わせ面の局所的な離間、剥離痕の発生、薄膜の転写の不具合等が発生していた。しかし、このように、第2の基板へ支持板を密着させることで、薄い基板を補強することができ、曲げ剛性が向上し、剥離時の力に対し第2の基板を曲がりにくくすることができる。
また、前述のように、第2の基板20が湾曲した場合、第2の基板20の上に形成された薄膜に引っ張り応力が生じる。これが、薄膜に微小な欠陥が生じる原因となっていた。しかし、本発明では、第2の基板へ密着させる支持板によって第2の基板の曲がりによる薄膜への応力を緩和でき、薄膜の欠陥発生を抑制できる。
また、第1の基板には支持板を密着させないことにより、第1の基板に曲がりの起こる余地を残しその曲がりにより剥離進行部へ応力集中を促すこともできる。
ここで、図2の装置において、支持板を、ヤング率が3GPa以上であり、厚みが1mm以上であるものとすることが望ましい。第2の基板を密着させる支持板をこのようなものとすれば、十分な剛性を有し、補剛基板42も十分な剛性を有するものとなる。なお、この第2の基板に密着させる支持板の剛性は高いほどよい。その結果、剥離工程中に過度に第2の基板が曲がることによる基板の破損、貼り合わせ面の局所的な離間、剥離痕の発生、及び薄膜の未転写等をより確実に防ぐことができる。
また、具体的には、支持板32を、シリコン板、ステンレス板、アルミナなどのセラミック板、アルミニウム板、ガラス板、塩化ビニルなどのプラスチック板のいずれかとすることができる。支持板32の材料は、密着させる基板に応じて、これらの中から適宜選択し得る。
また、支持板32の表面粗さを、RMS[nm]=1〜100の範囲とすることが好ましい。このように、支持板の表面粗さを、RMS[nm]=1〜100の範囲とし、基板と密着させる面を平滑にすることで、支持板の表面が、基板の裏面に密着し易くなり、このため、よりしっかりと基板を支持することができる。支持板の表面粗さは、粗すぎるとその表面状態が剥離後の基板表面に反映され、膜厚ムラとして現れる。また、支持板の表面粗さが平滑すぎると、基板に密着しすぎて支持板から基板を外し難くなる。
そして、以上の工程(図1(A)〜(H))を経ることで、図1(I)に示す第2の基板20の上に良好な薄膜12を有する高品質の貼り合わせ基板30をより確実に製造することができる。また、図1(F)の基板保持工程を、図7に示したような基板の支持板による密着及び支持板の保持方法によって行うため、第2の基板の支持板への密着と支持板の保持を簡単な機構によって行うことができるため、上記のような良好な薄膜を有する貼り合わせ基板を、より低コストで製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
第1の基板として、鏡面研磨された直径200mmの単結晶シリコン基板を用意した。そして、第1の基板には、その表面に熱酸化によりシリコン酸化膜層を100nm形成した。また、第2の基板として、直径200mmの合成石英基板を用意した。
次に、第1の基板に、酸化膜を通して水素イオンを注入し、イオンの平均進行深さにおいて表面に平行な微小気泡層(イオン注入層)を形成した。イオン注入条件は、注入エネルギーが35keV、注入線量が9×1016/cm、注入深さは0.3μmである。
次に、プラズマ処理装置中にイオン注入した第1の基板を載置し、プラズマ用ガスとして窒素を導入した後、2Torr(270Pa)の減圧条件下で13.56MHzの高周波を直径300mmの平行平板電極間に高周波パワー50Wの条件で印加することで、高周波プラズマ処理をイオン注入した面に10秒行った。このようにして、第1の基板のイオン注入した面に表面活性化処理を施した。
一方、第2の基板については、プラズマ処理装置中に載置し、狭い電極間にプラズマ用ガスとして窒素ガスを導入した後、電極間に高周波を印加することでプラズマを発生させ、高周波プラズマ処理を10秒行った。このようにして、第2の基板の貼り合わせ面にも表面活性化処理を施した。
以上のようにして表面活性化処理を行った第1の基板と第2の基板を室温で密着させた後、両基板の裏面を厚さ方向に強く押圧した。
次に、貼り合わせ強度を高めるため、密着した第1の基板と第2の基板を、300℃で30分間熱処理した。
次に、第2の基板の裏面に支持板を密着させた。すなわち、表面粗さRa=0.2μm、厚み5mmのシリコン(Si)板からなる支持板を、第2の基板の裏面に吸着により密着させた。このときの基板と支持板との密着方法は、図7に示したような機構を用いて行った。すなわち、支持板に、0.5mm程度の貫通孔を多数あけ、保持面とは反対側に薄い多孔質ポリエチレン板を取り付け、その多孔質ポリエチレン板の裏面をシール材と真空配管部材を取り付け、支持板に多数あけられた貫通孔にて真空吸着できるようにした。
次に、第1の基板と、第2の基板に密着された支持板とを図2に示す剥離装置101にセットした。すなわち、第1の基板10を保持具3aの吸着部5a,5aに吸着させて、第1の基板10の裏面を保持した。また、支持板32を保持具3bの吸着部5a,5aに吸着させることで、第2の基板20の裏面を支持板32を介して保持した。
次に、劈開の起点を形成するため、紙切りバサミの刃16により、第1の基板のイオン注入層11にその一端部から外部衝撃を付与した。
その後、第1の基板10を保持する保持具3aと、第2の基板20に密着させた支持板32を保持する保持具3bを相対的に離していくことにより、第1の基板10と第2の基板20を外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かってイオン注入層11にて順次離間させた。
このようにして、10枚の貼り合わせSOI基板を製造した。
その結果、10枚すべてについて、良好な薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板を製造できたことが確認できた。
そのうち1枚について、膜厚バラツキは0.4%と非常に良好であった。光学顕微鏡で膜の状態を観察したところ、なめらかで欠陥の無い良好な膜であった。
(比較例1)
第1の基板と第2の基板を密着させた後、密着した第1の基板と第2の基板を、支持板を密着させることなく図5の剥離装置102にセットしたことを除いて、実施例1と同様にして、10枚の貼り合わせSOI基板を製造した。
その結果、10枚中1枚については、剥離工程において、基板が割れてしまった。また10枚中別の1枚については、貼り合わせ面が局所的に剥がれて離間し、また、薄膜が部分的に転写されずに均一な薄膜が得られず、さらに、薄膜表面に剥離痕が残った。また、10枚中の3枚については、薄膜に微小な欠陥が生じているのが確認された。
(比較例2)
第1の基板と第2の基板を密着させた後、密着した第1の基板と第2の基板を、それぞれ支持板を密着させて図6の剥離装置103にセットしたことを除いて、実施例1と同様にして、10枚の貼り合わせSOI基板を製造した。
その結果、10枚のSOI基板を割れることなく製造できた。そのうち1枚について、膜厚バラツキを測定したところ、0.8%であった。
また、剥離装置が複雑になり、支持板も2枚必要なことから、SOI基板の製造は高コストとなった。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の貼り合わせ基板の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の貼り合わせ基板の製造方法で用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。 2枚の基板間の曲げ剛性差が、小さい場合(A)と大きい場合(B)の剥離工程中での両基板の湾曲状態を模式的に示す説明図である。 基板の貼り合せ面近傍のイオン注入界面から薄膜を機械的に剥離する手法を例示するための説明図である。 従来の貼り合わせ基板の製造方法で用いられる剥離装置の一例を示す概略図である。 従来の貼り合わせ基板の製造方法で用いられる剥離装置の別の一例を示す概略図である。 本発明の基板への支持板の密着及び支持板の保持方法の一例を示す部分概略図である。
符号の説明
101、102、103…剥離装置、 3a、3b…保持具、 4…回転軸、
5a、5b、5a、5b…吸着部、 6…シャフト、 7…モータ、
8a、8b…連結部材、
10…第1の基板、 11…イオン注入層、 12…薄膜、 13…バルク部、
14…酸化膜、 16…楔状部材、 17…高圧流体、 18a、18b…把持部、
19…衝撃付与手段、 20…第2の基板、
30…貼り合わせ基板、 32…支持板、 42…補剛基板、
51…第1の基板側の支持板、 52…第2の基板側の支持板、
61…貫通孔、 62…多孔質材、 63…シール材。

Claims (13)

  1. 第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、前記第1の基板を薄膜化し、前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
    半導体基板である前記第1の基板の表面から水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層を形成する第1のステップと、
    前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す第2のステップと、
    前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面とを密着させる第3のステップと、
    前記第1の基板の裏面を保持するとともに前記第2の基板の裏面を、支持板を密着して保持する第4のステップと、
    前記第1の基板の前記イオン注入層に該第1の基板の一端部から外部衝撃を付与するとともに、前記第1の基板と前記支持板を密着させた第2の基板を前記外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かって前記イオン注入層にて順次離間させ、前記第1の基板を薄膜化する剥離工程である第5のステップにより、
    前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する方法であり、前記支持板を、真空吸着用の多数の貫通孔を有するものとし、前記第2の基板の前記支持板による密着及び前記支持板の保持を、前記支持板の前記第2の基板の裏面に密着させる側とは反対側に多孔質材を添え、該多孔質材を介した真空吸着により行うことを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法。
  2. 前記貫通孔の密度を、1個/cm以上とすることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  3. 前記貫通孔の径を、1mm以下とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  4. 前記支持板を、ヤング率が3GPa以上であり、厚みが1mm以上であるものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  5. 前記支持板を、シリコン板、ステンレス板、セラミック板、アルミニウム板、ガラス板、プラスチック板のいずれかとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  6. 前記支持板の表面粗さを、RMS[nm]=1〜100の範囲とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  7. 前記第1の基板を、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、化合物半導体基板のいずれかとすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  8. 前記第2の基板を、石英基板、サファイア(アルミナ)基板、ホウ珪酸ガラス基板、結晶化ガラス基板、窒化アルミニウム基板、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、SiC基板、SiGe基板のいずれかとすることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  9. 前記第1の基板と第2の基板を密着させる第3のステップを、該密着した基板を、100〜400℃で熱処理するサブステップを備えているものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  10. 前記剥離工程である第5のステップにおいて、
    前記第1の基板と第2の基板のイオン注入層での離間を、前記一端部から前記他端部に向かう劈開によるものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  11. 前記剥離工程である第5のステップにおいて、
    前記第1の基板と前記第2の基板のイオン注入層での離間を、前記第1の基板を保持する保持具と前記第2の基板に密着させた支持板を保持する保持具とを相対的に離していく運動により行うことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  12. 前記剥離工程である第5のステップにおいて、
    断面形状が楔状の部材の先端部を前記一端部に当接させて、前記第1の基板のイオン注入層に外部衝撃を付与することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
  13. 前記表面活性化処理を施す第2のステップにおいて、
    表面活性化処理を、プラズマ処理、オゾン処理の少なくとも一方で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
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