JP2009253184A - 貼り合わせ基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体基板である第1の基板10の表面から水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層11を形成する工程と、イオン注入した面12と第2の基板20の貼り合わせる面22の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程と、イオン注入した面12と貼り合わせる面22との貼り合わせを行う際、第1の基板10、第2の基板20の少なくとも一方を加熱して貼り合わせる貼り合わせ工程と、第1の基板10を前記イオン注入層11にて離間させ、第1の基板を薄膜化する剥離工程とにより、第2の基板20の上に薄膜31を有する貼り合わせ基板を製造する。
【選択図】図6
Description
また、加熱により基板の貼り合わせ面上の相対湿度を低くするため、装置や作業する部屋といった、貼り合わせ環境全体を低湿度化することにより貼り合わせ面上の湿度を低くするよりも、簡単に実施することができコストを低減できる。
このように、基板を加熱し貼り合わせ面上の相対湿度を30%以下とすることにより基板の貼り合わせ時の密着部の伝搬速度をより確実に遅くすることができる。なお、ここで温度25℃で相対湿度24%において、水分量が6g/m3となる。
このように、基板の温度を35℃以上に加熱することで、水分量を調整することなく、貼り合わせ面上の相対湿度を常温で貼り合わす場合に比べて低くすることができる。
本発明で行われる基板の加熱は、他の装置又は方法によっても可能であるが、ランプ加熱又はホットプレートによる加熱方法によれば、比較的簡単かつ安価に基板を加熱できる。
本発明によれば、近年特に求められている良好なシリコン薄膜を有する高品質の貼り合わせ基板、例えばSOI基板を製造することができる。
また、本発明によれば、シリコン薄膜だけではなく、GaNなどの化合物半導体からなる良好な薄膜を有する貼り合わせ基板をも、製造することができる。
本発明の貼り合わせ基板で使用する第2の基板は、作製する半導体デバイスの目的に応じて、これらの中から適宜選択することができる。
このように、第1の基板と第2の基板を貼り合わせた後、貼り合わせた基板を、100〜400℃で熱処理することで、第1の基板と第2の基板の貼り合わせ強度をより高めることができる。特に、熱処理温度が、100〜300℃であれば、異種材料の基板の貼り合わせでも、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生する恐れをより低減できる。一方、第1の基板及び第2の基板ともにシリコン基板とする場合のように、同種材料を貼り合わせる場合は、400℃までの温度で熱処理することができ、貼り合わせ強度をより高めることができる。
このように、表面活性化処理をプラズマ処理で行えば、基板の表面活性化処理を施した面は、OH基が増加するなどして活性化する。従って、この状態で、第1の基板のイオン注入した面と第2の基板の貼り合わせる面とを密着させれば、水素結合等により、基板同士をより強固に貼り合わせることができる。
また、本発明の貼り合わせ基板の製造方法では、このように、表面活性化処理としてプラズマ処理を行っても、貼り合わせ終端部でのボイドを抑制することができる。
このように、剥離工程における第1の基板のイオン注入層における離間を、第1の基板の一端部から外部衝撃を付与し、該外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かって進む劈開によって行えば、劈開が一方向に向かって生じるため、劈開の制御が比較的容易であり、膜厚均一性の高い薄膜を得ることができる。
また、貼り合わせ面を加熱によって低湿度化するため、貼り合わせ環境全体を低湿度化するよりも簡単でありコストを低減できる。
前述のように、従来の貼り合わせ基板の製造方法では、貼り合わせ前の基板の清浄度と、貼り合わせ環境の清浄度を高く保っていても、特に基板の貼り合わせ終端部にボイドが発生しやすいという問題があった。また、この貼り合わせ終端部におけるボイドを防止するためには、さらなる清浄化が必要となるが、そのためには莫大なコストや労力が必要となってしまうなどの問題があった。
このことは、貼り合わせ時の雰囲気ガスの水分量を少なくすることで密着部の伝搬速度を遅くし、濃縮された付着物を貼り合わせ界面から効率よく外へ排出すると説明することができる。
図3からわかるように、雰囲気中の水分量が多い(湿度が高い)ほど貼り合わせ時間が短い。すなわち、貼り合わせ速度が速く、密着部の伝搬も速い。
通常クリーンルームの雰囲気は、基板表面への付着物軽減等を目的として、静電気防止のために、湿度を45〜65%程度にコントロールする。また、例えば特開2007−141946号公報では、洗浄装置及びクリーンルームの雰囲気について、湿度を25℃換算で46〜60%としている。
貼り合わせ終端部付近の密着部の伝搬の様子を図1に模式的に示す。図1(a)には、水分量が少ない、すなわち、湿度が低い場合、図1(b)には水分量が多い、すなわち、湿度が高い場合(通常の場合)を示している。図1(b)に示したように、従来のように高湿度の場合、密着部の伝搬の速度が速く、外周部にも密着部が伝搬するため、貼り合わせ終端部では外周部からの密着部の伝搬もあり、付着物の掃き出し部分が狭くなり、付着部の閉じ込めが発生する。一方、図1(a)に示したように、低湿度の場合は、密着部の伝搬速度が遅く、外周部からの密着部の伝搬の影響がなく、付着物の掃き出し部分が確保でき、濃縮された付着物を効率的に除去できることになる。
図6は、本発明を適用することができる貼り合わせ基板の製造方法である。
このとき、第1の基板10を、単結晶シリコン基板とすることができ、特には、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板とすることもできる。第1の基板としてこれらの材料を選択すれば、シリコン薄膜を有する貼り合わせ基板を製造することができる。表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板を用いれば、SOI基板を作製するのに都合が良い。また、シリコン薄膜ではなく、GaNなどの化合物半導体薄膜を有する貼り合わせ基板を製造するため、第1の基板10を、GaNなどの化合物半導体基板とすることもできる。
このイオン注入層11の形成には、水素イオンだけではなく、希ガスイオンあるいは水素イオンと希ガスイオンの両方をイオン注入するようにしても良い。注入エネルギー、注入線量、注入温度等その他のイオン注入条件も、所定の厚さの薄膜を得ることができるように適宜選択すれば良い。具体例としては、注入時の基板の温度を250〜400℃とし、イオン注入深さを0.5μmとし、注入エネルギーを20〜100keVとし、注入線量を1×1016〜1×1017/cm2とすることが挙げられるが、これらに限定されない。
なお、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板を用いて、酸化膜を通してイオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られ、イオンの注入深さのバラツキをより抑えることができる。これにより、より膜厚均一性の高い薄膜を形成することができる。
もちろん、第1の基板10のイオン注入した面12と第2の基板20の貼り合わせる面22のいずれか一方の面にのみ表面活性化処理を施すようにしても良い。
この時、表面活性化処理を、プラズマ処理とすることができる。このように、表面活性化処理を、プラズマ処理で行えば、基板の表面活性化処理を施した面は、OH基が増加するなどして活性化する。従って、この状態で、第1の基板のイオン注入した面12と第2の基板の貼り合わせる面22とを密着させれば、水素結合等により、基板をより強固に貼り合わせることができる。また、表面活性化処理はそのほかにオゾン処理等でも行うことができ、複数種の処理を組み合わせてもよい。
このように、表面活性化処理をした表面を貼り合わせ面として、例えば減圧又は常圧下、基板を密着させれば、高温処理を施さなくても、両基板を後の機械的剥離に耐え得るほど十分に強固に貼り合わせることができる。
そして、本発明では、この貼り合わせ工程において、貼り合わせを行う際に基板を加熱する。
この際、十分に効率的に貼り合わせ終端部のボイドを低減するために、基板の貼り合わせ面上の相対湿度を30%以下とする必要がある。
基板の温度が40℃になるまで加熱し貼り合わせた場合、貼り合わせに要した時間は29〜37秒であった(図3参照)。これより、図3に示す、貼り合わせの際に基板を40℃に加熱し貼り合わせた場合の貼り合わせ時間と、基板の周囲環境の湿度の違いによる貼り合わせ時間のデータから貼り合わせの際の貼り合わせ面上の湿度は約23%と推定される(図4参照)。以上より、貼り合わせ面上の湿度を本発明の効果が確実に得られる上限30%以下とするためには、加熱により基板の温度を35℃以上にすることが望ましい。なお、ここでの「湿度」とは相対湿度、すなわち、その温度での飽和水分量に対する水分量の比のことを指す。
このように、第1の基板と第2の基板を貼り合わせた後、該貼り合わせた基板を、100〜400℃で熱処理することで、第1の基板と第2の基板の貼り合わせの強度を高めることができる。特に、熱処理温度が、100〜300℃であれば、異種材料の基板の貼り合わせでも、熱膨張係数の差異による熱歪、ひび割れ、剥離等が発生する恐れが少ない。貼り合わせ強度を高めれば、剥離工程での不良の発生を減少させることができる。
この第1の基板の離間(剥離、薄膜化)は、例えば、機械的な外力を加えることによって行うことができる。特に、第1の基板の一端部から外部衝撃を付与し、該外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かって進む劈開によって行えば、劈開が一方向に向かって生じるため、劈開の制御が比較的容易であり、膜厚均一性の高い薄膜を得ることができるので好ましい。なお、この場合、外部衝撃を付与する一端部と、工程dの貼り合わせの際の貼り合わせ開始部とは特に関連性はなく、製造工程の都合等によりそれらの位置を決定することができる。
以下のように、図6に示したような、貼り合わせ法による貼り合わせ基板の製造方法に従って、貼り合わせ基板を製造した。
まず、第1の基板10として、鏡面研磨された直径200mmの単結晶シリコン基板を準備した。そして、第1の基板には、その表面に熱酸化によりシリコン酸化膜層を100nm形成した。また、第2の基板20として、直径200mmの合成石英基板を準備した(工程a)。
次に、第1の基板10に、形成してあるシリコン酸化膜層を通して水素イオンを注入し、イオンの平均進行深さにおいて表面に平行な微小気泡層(イオン注入層)11を形成した(工程b)。イオン注入条件は、注入エネルギーが35keV、注入線量が9×1016/cm2、注入深さは0.3μmである。
一方、第2の基板20については、プラズマ処理装置中に載置し、狭い電極間にプラズマ用ガスとして窒素ガスを導入した後、電極間に高周波を印加することでプラズマを発生させ、高周波プラズマ処理を10秒行った。このようにして、第2の基板20の、次の貼り合わせ工程において貼り合わせる面22にも表面活性化処理を施した(工程c)。
この貼り合わせ工程では、周囲環境の温度23℃、相対湿度60%の下でPPS(ポリフェニレンサルファイド)製のウェーハ台をランプにより約45℃に加熱し、第1の基板10を該ウェーハ台に載せ、第2の基板20は隙間を空け対面させた位置にセットし、3分間放置した後に貼り合わせを実施した。この際、貼り合わせ時の基板温度は約40℃、貼り合わせ面上の推定相対湿度は約23%であり、貼り合わせに要した時間は37秒であった。
なお、このとき密着部の伝搬の様子を、第2の基板(透明な合成石英基板)側から観察した。貼り合わせ終端部付近では、図1(a)に示したような伝搬の様子となっていた。
次に、貼り合わせ強度を高めるため、第1の基板10と第2の基板20とを貼り合わせた基板を、300℃で6時間熱処理した。
実施例1と同様に、ただし、貼り合わせ工程(工程d)の貼り合わせの際に基板を加熱しないで、周囲環境の温度23℃、相対湿度60%の下で、貼り合わせ基板の製造を行った。この時の貼り合わせに要した時間は10秒であった。
密着部の伝搬の様子を実施例1の場合と同様に観察したところ、貼り合わせ終端部付近では、図1(b)に示したような伝搬の様子となっていた。
このようにして製造した貼り合わせ基板のボイドの発生状況を実施例1の場合と同様に観察したところ、貼り合わせ終端部に多数のボイドが見られた(図5参照)。
20…第2の基板、 22…貼り合わせる面、
30…貼り合わせ基板、 31…薄膜。
Claims (9)
- 第1の基板と第2の基板を貼り合わせ、前記第1の基板を薄膜化し、前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造する方法であって、少なくとも、
半導体基板である前記第1の基板の表面から水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層を形成する工程と、
前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程と、
前記第1の基板のイオン注入した面と前記第2の基板の貼り合わせる面との貼り合せを行う際、前記第1の基板、前記第2の基板の少なくとも一方を加熱して貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第1の基板を前記イオン注入層にて離間させ、前記第1の基板を薄膜化する剥離工程と
により、前記第2の基板の上に薄膜を有する貼り合わせ基板を製造することを特徴とする貼り合わせ基板の製造方法。 - 前記貼り合わせ工程において、前記貼り合わせ前に前記基板を加熱することにより、前記基板の貼り合わせ面上の相対湿度を30%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記貼り合わせ工程において、前記貼り合わせ前に前記基板を35℃以上に加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記基板の加熱をランプ加熱又はホットプレートによる加熱とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記第1の基板を、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、化合物半導体基板のいずれかとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記第2の基板を、石英基板、サファイア(アルミナ)基板、SiC基板、ホウ珪酸ガラス基板、結晶化ガラス基板、窒化アルミニウム基板、単結晶シリコン基板、表面に酸化膜を形成した単結晶シリコン基板、SiGe基板のいずれかとすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記貼り合わせ工程の後、該貼り合わされた基板を、100〜400℃で熱処理する熱処理工程を行い、その後、前記剥離工程を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記表面活性化処理を、プラズマ処理によって行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
- 前記剥離工程における前記第1の基板の前記イオン注入層における離間を、前記第1の基板の一端部から外部衝撃を付与し、該外部衝撃を付与した一端部から他端部に向かって進む劈開によって行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の貼り合わせ基板の製造方法。
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