JP4995000B2 - 自動車用バイザーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、日除けや雨除けとして自動車の窓枠に装着される自動車用バイザーに関するものである。
日除けや雨除けとして機能する自動車用のバイザーとしては、図16の如く、庇体52の基端に当接板53が設けられており、その当接板53を両面接着テープ54等によって窓枠55に当着するとともに、取付金具56を利用して、当接板53の下端から庇体52の内側へ突出した係合突起60と窓枠55の突出片57とを係合させることによって、自動車の窓枠55の上方に装着するものが知られている(特許文献1)。また、そのように内側の面に係合突起を設けた自動車用のバイザーを製造する場合には、安価かつ容易に製造するために射出成形が利用される。
実公平6−2809号公報
しかしながら、射出成形方法を利用して、庇体の内側へ突出した係合突起を有する自動車用のバイザーを形成すると、溶融樹脂が冷却されて固化する際に、係合突起を設けた部分の反対側の庇体の表面に、所謂“ヒケ”(窪み)が形成されてしまい、外観が不良になってしまうことがある。
本発明の目的は、上記従来の自動車用バイザーおよびその製造方法の問題点を解消し、射出成形により安価かつ容易に製造することができる上、取付金具によって自動車の窓枠と係合させるための係合突起を設けた部分の反対側の表面に“ヒケ”が形成されておらず外観の良好な自動車用バイザーを提供することにある。
請求項1に記載された発明は、帯状の当接板の下端縁に沿って帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられた長尺状であり、前記当接板および前記庇体の少なくとも一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層を積層した積層構造になっているとともに、前記低透明層以外のベース部分が第一樹脂によって形成されており、自動車の窓枠と係合する金具を係止させるための係合突起が、前記第二樹脂からなる低透明層の内側に一体的に形成された自動車用バイザーを製造するための製造方法であって、庇体の外面および当接板の外面を形成するための第一金型と、庇体の内面および当接板の内面を形成するための第二金型とを用いた射出成形によるものであり、第二金型に、第一スライドコアが出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコアに第二スライドコアが出没自在に設けられており、その第二スライドコアを没入させると、第一スライドコアの表面に係合突起形成用の凹部が形成され、かつ、第二スライドコアを突出させると、その第二スライドコアによって前記凹部の開口部が閉塞されるようになっており、第一スライドコアおよび第二スライドコアを突出させた第二金型と第一金型とを接合させることによって形成される第一キャビティに第一樹脂を射出することによって、ベース部分を形成した後、第一金型をその状態で保持し第一スライドコアおよび第二スライドコアを没入させることによって形成される第二キャビティに第二樹脂を射出することによって、係合突起を有する低透明層を形成することを特徴とするものである。なお、本発明の低透明層には、ベース部分より光線透過率が低い層の他に、光線を透過しない不透明な層も含まれる。
請求項2に記載された発明は、帯状の当接板の下端縁に沿って帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられた長尺状であり、前記当接板および前記庇体の少なくとも一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層を積層した積層構造になっているとともに、前記低透明層以外のベース部分が第一樹脂によって形成されており、自動車の窓枠と係合する金具を係止させるための係合突起が、前記第二樹脂からなる低透明層の内側に一体的に形成されており、かつ、当接板の下端の少なくとも一部から、庇体の内側において下向きに突出するように形成された自動車用バイザーを製造するための製造方法であって、庇体の外面および当接板の外面を形成するための第一金型と、庇体の内面および当接板の内面を形成するための第二金型とを用いた射出成形によるものであり、第二金型に、第一スライドコアが出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコアに、係合突起の庇体と反対側の面を形成するための第二スライドコアと、庇体の内面の一部および係合突起の庇体側の面を形成するための第三スライドコアとが出没自在に設けられており、第二スライドコアを没入させると、第一スライドコアの表面に、係合突起形成用の凹部が形成され、かつ、第二スライドコアおよび第三スライドコアを突出させると、それらの第二スライドコアおよび第三スライドコアによって前記凹部の開口部が閉塞されるようになっており、第一スライドコア、第二スライドコアおよび第三スライドコアを突出させた第二金型と第一金型とを接合させることによって形成される第一キャビティに第一樹脂を射出することによって、ベース部分を形成した後、第一金型をその状態で保持し第一スライドコア、第二スライドコアを没入させることによって形成される第二キャビティに第二樹脂を射出することによって、係合突起を有する低透明層を形成し、しかる後、第三スライドコアを没入させた後に第一金型と第二金型とを離反させて成形品を取り出すことを特徴とするものである。
請求項1に記載された製造方法により製造される自動車用バイザーは、射出成形によって製造する際に、ベース部分の表面側に“ヒケ”が形成されないので、外観がきわめて良好である。また、自動車に装着した場合に、外側から見ると、低透明層によって係合突起が見えない(あるいは、見えにくい)ので、美観に優れている。
請求項2に記載された製造方法により製造される自動車用バイザーは、取付金具による自動車への取り付けが非常に容易である。加えて、自動車へ取り付けた場合の取付強度がきわめて高く、高速運転時に強風を受けた場合や強い衝撃を受けた場合等においても、決して外れたりしない。
請求項1に記載された自動車用バイザーの製造方法によれば、係合突起を庇体の内側から内向きに突出するように形成することができる上、そのように形成した場合でも、ベース部分の表面側に“ヒケ”が形成されないので、自動車用バイザーの外観を良好なものとすることができる。また、上記した製造方法によれば、上型と下型との2つの金型のみによって射出成形することができるので、金型作成の費用を低く抑えることができる。
請求項2に記載された自動車用バイザーの製造方法によれば、係合突起を、当接板の下端から庇体の内側において下向きに突出するように容易に形成することができる。その上、そのように形成した場合でも、ベース部分の表面側に“ヒケ”が形成されないので、自動車用バイザーの外観を良好なものとすることができる。また、上記した製造方法によれば、上型と下型との2つの金型のみによって射出成形することができるので、金型作成の費用を低く抑えることができる。
以下、本発明の自動車用バイザーおよびその製造方法の一実施形態を、図面にしたがって詳細に説明する。
<実施例1>
[自動車用バイザーの構造]
図1、図2は、実施例1の自動車用バイザーを示したものであり、自動車用バイザー1aは、合成樹脂の射出成形によって、長尺なへの字状に一体形成されている。そして、庇体2が外向きに膨出するように設けられており、その庇体2の上端縁に沿って、帯状の当接板3が一体的に設けられている。また、当接板3の下端には、3つの係合突起4,4・・が、庇体2の内面の上端より下方へ突出するように設けられている。図3は、係合突起4を拡大して示したものであり、係合突起4は、正面から見た場合には、下向きの台形状になっており、中央に、自動車用バイザー1aを自動車に装着する際に取付金具を係止させるための金具係合孔5が穿設されている。また、鉛直断面を見た場合には、先端側に比べて基端側の方が厚くなっている。
また、自動車用バイザー1aは、当接板3および庇体2の上側の部分の内側が、黒色に着色された合成樹脂(アクリル樹脂)によって形成されており(以下、低透明層10という)、それ以外の部分(以下、ベース部分14という)は、薄い黒色に着色された透明な合成樹脂(アクリル樹脂)によって形成されている。以下、低透明層10を形成している合成樹脂を第二樹脂といい、ベース部分14を形成している合成樹脂を第一樹脂という。なお、自動車用バイザー1aにおいては、低透明層10と重なっていないベース部分14の光線透過率は、約40〜60%に調整され、低透明層10の光線透過率は、約0%〜30%に調整される。
[自動車用バイザーの製造に用いる金型]
図4、図5は、上記した自動車用バイザー1aを射出成形するための金型を示したものであり、金型11は、第一金型である上型(移動型)12と第二金型である下型(固定型)13とによって構成されている。上型12には、自動車用バイザー1aの当接板3、庇体2の表面側を形成するための凹状部分が形成されており、下型13には、当接板3、庇体2の裏面側を形成するための凹状部分が形成されている。また、下型13には、自動車用バイザー1aの低透明層10を形成するための第一スライドコア7が設けられている。第一スライドコア7は、第一コア挿通孔25に嵌め込まれており、基端には、油圧式のシリンダ20が取り付けられている(図5参照)。そして、第一スライドコア7は、シリンダ20によって、上型12と下型13との相対移動方向に沿ってスライドすることができるようになっている。さらに、その第一スライドコア7には、係合突起4を形成するための3つの凹部16,16,16が設けられており、それらの凹部16,16,16には、それぞれ、扁平な直方体状の第二スライドコア9と、四角柱状の第三スライドコア8とが設けられている。
図6、図7は、第一スライドコア7を示したものである。第一スライドコア7の当接板3の内面を形成する部分pのやや下側には、係合突起4を形成するための凹部16が設けられており、その凹部16には、金具係合孔5を形成するためのリブ21が設けられている。また、凹部16と隣接するように、第二コア挿通孔27、第三コア挿通孔26が穿設されており、それらの第二コア挿通孔27、第三コア挿通孔26内に、それぞれ、扁平な直方体状の第二スライドコア9、四角柱状の第三スライドコア8が嵌め込まれている。なお、第二コア挿通孔27は、上型と下型の相対移動方向に沿って穿設されており、第三コア挿通孔26は、上型と下型の相対移動方向に対して所定の角度をなすように穿設されている。
また、第二スライドコア9の基端には、油圧式のシリンダ28が取り付けられている。そして、第二スライドコア9は、シリンダ28によって、第二コア挿通孔27に沿って、先端面が第二コア挿通孔27の周囲より突出した位置から内部まで出没する(スライドする)ようになっている。さらに、第三スライドコア8の基端には、油圧式のシリンダ23が取り付けられている(図5参照)。そして、第三スライドコア8は、シリンダ23によって、第三コア挿通孔26に沿って、先端面が第三コア挿通孔26の周囲と面一となる位置から内部まで出没する(スライドする)ようになっている。なお、第二スライドコア9と第三スライドコア8とが突出すると、第二スライドコア9の下辺と第三スライドコア8の上辺とが接合し、凹部16の開口部が閉塞されるようになっている。
金型11は、第一スライドコア7および第二スライドコア9を没入させ、第三スライドコア8を突出させた状態で、上型12と下型13とを組み合わせると、自動車用バイザー1aの外形と同様な長尺でへの字状のキャビティが形成されるようになっている。また、金型11は、第一スライドコア7、第二スライドコア9および第三スライドコア8を突出させた状態で、上型12と下型13とを組み合わせると、ベース部分14を形成するための第一キャビティ41が形成されるようになっている。したがって、第一スライドコア7および第二スライドコア9を没入させ、かつ、第三スライドコア8を突出させた状態で上型12と下型13とを組み合わせることによって形成されるキャビティから第一キャビティ41を除いた部分が、低透明層10を形成するための第二キャビティ42となる。
また、下型13の第一スライドコア7以外の部分には、第一キャビティ41内へ樹脂を注入するための第一ランナー18が設けられており、小径な第一ゲート19を介して、第一キャビティ41と連通した状態になっている。また、下型13の第一スライドコア7には、第二キャビティ42内へ樹脂を注入するための第二ランナー29が設けられており、小径な第二ゲート30を介して、第二キャビティ42と連通されるようになっている。
[自動車用バイザーの射出成形方法]
図8は、金型11を用いて射出成形により自動車用バイザー1aを製造する様子を示したものである。金型11を用いて射出成形する場合には、第一スライドコア7、各第二スライドコア9,9,9および各第三スライドコア8,8,8を突出させた状態(各凹部16,16,16を閉塞した状態)で、上型12と下型13とを合致させる。そして、図8(a)の如く、第一ランナー18から第一ゲート19を介して第一キャビティ41内へ溶融させた第一樹脂(アクリル樹脂)を充填し、所定の時間放置することによって樹脂を冷却する。
上記の如く射出された第一樹脂を冷却させた後には、図8(b)の如く、第一スライドコア7を第一コア挿通孔25の内部へ没入させるとともに、各第二スライドコア9,9,9を、第二コア挿通孔27の内部へ没入させる(各第三スライドコア8,8,8は突出したままの状態)。かかる第一スライドコア7および各第二スライドコア9,9,9の没入によって、金型11内に第二キャビティ42が形成される。次に、図8(c)の如く、第二ランナー29から第二ゲート30を介して第二キャビティ42内へ溶融させた第二樹脂(黒色のアクリル樹脂)を充填し、所定の時間放置することによって樹脂を冷却する。さらに、図8(d)の如く、各第三スライドコア8,8,8を、その先端が凹部16より下方に位置するまで没入させる。なお、第一スライドコア7は、そのように各第三スライドコア8,8,8を没入させると、各第三スライドコア8,8,8の内側の部分(図8(b)におけるq)の高さが、下側係合部形成部16の下端より下方に位置するようになっている。
しかる後、上型12を水平方向に移動させることにより、上型12と下型13とを離反させる。そして、開放されたキャビティ内から成形品である自動車用バイザー1aを取り出すことによって、射出成形の一サイクルを完了する。なお、上述したように、下型13においては、各第三スライドコア8,8・・が没入すると、各第三スライドコア8,8,8の内側の部分(図8(b)におけるq)の高さが、凹部16の下端より下方に位置するので、成形品を水平方向に引っ張れば、容易に下型13から取り外すことができる。
上記の如く製造された自動車用バイザー1aは、図9の如く、自動車Bの窓枠36に装着されて使用される。図10は、自動車用バイザー1aを自動車Bに装着する際に利用する取付金具31を示したものであり、取付金具31は、金属板を所定の形状に切断した上で略U字状に折り曲げることによって形成されており、前側の中央に中央係合部32が設けられており、その中央係合部32の左右に押止部33,33が設けられている。また、後側の左右の上方には、上側係合部34,34が設けられており、後側の左右の下方には、下側把持部35,35が設けられている
図11は、取付金具31による自動車用バイザー1aの取付状態(図9におけるD−D線断面)を示したものである。自動車用バイザー1aは、当接板3の内側が両面接着テープ37によって窓枠36に貼着されている。また、係合突起4の金具係合孔5内に、取付金具31の中央係合部32を係止させた状態で、下側把持部35,35により窓枠36の突出片38の先端を把持させるとともに、上側係合部34,34により窓枠36の突出片38の内側に設けられた帯状突起39を把持させることによって、係合突起4が窓枠36の突出片38と一緒に取付金具31に挟み込まれている。なお、窓枠36の突出片38の内側には、ガラスラン40が設置されている。
実施例1の自動車用バイザー1aは、当接板3および庇体2の一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層10を積層した積層構造になっているとともに、ベース部分14が第一樹脂によって形成されており、自動車Bの窓枠36と係合する取付金具31を係止させるための係合突起4,4,4が、低透明層10の内側に一体的に形成されている。したがって、射出成形によって製造する際に、ベース部分14の表面側に“ヒケ”が形成されないので、外観がきわめて良好である。また、自動車Bに装着した場合に、外側から見ると、低透明層10によって係合突起4,4,4が見えないので、美観に優れている。
さらに、自動車用バイザー1aは、係合突起4,4,4が、当接板3の下端から、庇体2の内側において下向きに突出するように形成されているため、取付金具31による自動車Bへの取り付けが非常に容易である。加えて、自動車Bへ取り付けた場合の取付強度がきわめて高く、高速運転時に強風を受けた場合や強い衝撃を受けた場合等においても、決して外れたりしない。
加えて、上記した自動車用バイザー1aの製造方法においては、下型(第二金型)13に、第一スライドコア7が出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコア7に、係合突起4の庇体2と反対側の面を形成するための第二スライドコア9,9,9と、庇体2の内面の一部および係合突起4の庇体2側の面を形成するための第三スライドコア8,8,8とが出没自在に設けられている。また、第二スライドコア9,9,9を没入させると、第一スライドコア7の表面に、係合突起4形成用の凹部16,16,16が形成され、かつ、第二スライドコア9,9,9と第三スライドコア8,8,8とを突出させると、それらの第二スライドコア9,9,9および第三スライドコア8,8,8によって凹部16,16,16の開口部が閉塞されるようになっている。そして、自動車用バイザー1aは、第一スライドコア7、第二スライドコア9,9,9および第三スライドコア8,8,8を突出させた下型13と上型(第一金型)12とを接合させることによって形成される第一キャビティ41に第一樹脂を射出することによって、ベース部分14を形成した後、上型12をその状態で保持し第一スライドコア7、第二スライドコア9,9,9を没入させることによって形成される第二キャビティ42に第二樹脂を射出することによって、係合突起4,4,4を有する低透明層10を形成し、しかる後、第三スライドコア8,8,8を没入させた後に上型12と下型13とを離反させて成形品を取り出すことによって形成される。したがって、係合突起4,4,4を、当接板3の下端から庇体2の内側において下向きに突出するように形成することができる上、そのように係合突起4,4,4を形成した場合でも、ベース部分14の表面側に“ヒケ”が形成されないので、自動車用バイザー1aの外観を良好なものとすることができる。また、上記した製造方法によれば、上型12と下型13との2つの金型のみによって射出成形することができるので、金型作成の費用を低く抑えることができる。
<実施例2>
[自動車用バイザーの構造]
図12は、実施例2の自動車用バイザー1bを示したものであり、自動車用バイザー1bは、直方体状の係合突起47が低透明層10から内向きに(略水平に)突出した状態になっている。自動車用バイザー1bのその他の部分の構造は、実施例1の自動車用バイザー1aと同様である。
[自動車用バイザーの製造に用いる金型]
図13は、自動車用バイザー1bの射出成形に用いる下型に設けられる第一スライドコアを示したものであり、この第一スライドコア43においては、当接板3の内面を形成する部分Pのやや下側に、直方体状の凹部44が設けられている。そして、凹部44と隣接するように、第二コア挿通孔45が穿設されており、それらの第二コア挿通孔45内に、直方体状の第二スライドコア46が嵌め込まれている。なお、第二コア挿通孔45は、上型と下型の相対移動方向に対して所定の角度をなすように穿設されている。さらに、第二スライドコア46の基端には、油圧式のシリンダが取り付けられている。そして、第二スライドコア46は、シリンダによって、第二コア挿通孔45に沿って、先端面が凹部44の周面と同一面を形成する位置から内部まで出没する(スライドする)ようになっている。そして、第二スライドコア46が突出すると、凹部44の開口部が閉塞されるようになっている。なお、第一スライドコア43を設けた下型のその他の構成は、上記実施形態のものと同様である。また、自動車用バイザー1bの射出成形に用いる上型の構造も、上記実施形態のものと同様である。
[自動車用バイザーの射出成形方法]
上記した第一スライドコア43を有する下型および上型を用いて射出成形により自動車用バイザーを製造する場合には、図14の如く、第一スライドコア43および各第二スライドコア46,46,46を突出させた状態(各凹部44,44,44を閉塞した状態)で、上型と下型とを合致させる。そして、図14(a)の如く、第一ランナー18から第一ゲート19を介して第一キャビティ41内へ溶融させた第一樹脂(アクリル樹脂)を充填し、所定の時間放置することによって樹脂を冷却する。そして、図14(b)の如く、第一スライドコア43を第一コア挿通孔の内部へ没入させるとともに、各第二スライドコア46,46,46を、第二コア挿通孔45の内部へ没入させる。次に、図14(c)の如く、第二ランナー29から第二ゲート30を介して第二キャビティ42内へ溶融させた第二樹脂(黒色のアクリル樹脂)を充填し、所定の時間放置することによって樹脂を冷却する。しかる後、上型12を水平方向に移動させることにより、上型12と下型13とを離反させる。そして、開放されたキャビティ内から成形品である自動車用バイザー1aを取り出すことによって、射出成形の一サイクルを完了する。
実施例2の自動車用バイザー1bも、実施例1の自動車用バイザー1aと同様に、当接板3および庇体2の一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層10を積層した積層構造になっているとともに、ベース部分14が第一樹脂によって形成されており、自動車の窓枠と係合する取付金具を係止させるための係合突起47,47,47が、低透明層10の内側に一体的に形成されている。したがって、射出成形によって製造する際に、ベース部分14の表面側に“ヒケ”が形成されないので、外観がきわめて良好である。また、自動車に装着した場合に、外側から見ると、低透明層10によって係合突起47,47,47が見えないので、美観に優れている。
加えて、上記した自動車用バイザー1bの製造方法においては、下型(第二金型)13に、第一スライドコア43が出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコア43に第二スライドコア46,46,46が出没自在に設けられている。また、それらの第二スライドコア46,46,46を没入させると、第一スライドコア43の表面に係合突起形成用の凹部44,44,44が形成され、かつ、第二スライドコア46,46,46を突出させると、それらの第二スライドコア46,46,46によって凹部44,44,44の開口部が閉塞されるようになっている。そして、第一スライドコア43および第二スライドコア46,46,46を突出させた下型13と上型(第一金型)12とを接合させることによって形成される第一キャビティ41に第一樹脂を射出することによって、ベース部分14を形成した後、上型12をその状態で保持し第一スライドコア43および第二スライドコア46,46,46を没入させることによって形成される第二キャビティ42に第二樹脂を射出することによって、係合突起47,47,47を有する低透明層10が形成される。したがって、係合突起47,47,47を、低透明層10の内側に形成することができる上、そのように係合突起47,47,47を形成した場合でも、ベース部分14の表面側に“ヒケ”が形成されないので、自動車用バイザーの外観を良好なものとすることができる。また、上記した製造方法によれば、実施例1の自動車用バイザー1aの製造方法と同様に、上型12と下型13との2つの金型のみによって射出成形することができるので、金型作成の費用を低く抑えることができる。
なお、本発明の自動車用バイザーの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、当接板、庇体、低透明層、ベース部分、係合突起等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
たとえば、自動車用バイザーは、上記実施形態の如く、低透明層が不透明なものに限定されず、低透明層が可視光を通過させるものに変更することも可能である。また、低透明層に設ける係合突起の形状は、上記実施例1の如き逆四角錐台状や上記実施例2の如き直方体状に限定されず、円柱状や円筒状に変更することも可能である。
一方、自動車用バイザーの製造方法の構成も、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、金型の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。たとえば、金型は、ランナーからキャビティ内へ直接的に樹脂が注入されるものに限定されず、空洞部を介してキャビティ内に樹脂が注入されるものにすることも可能である。かかる金型を使用した場合には、成形品に歪みが発生する事態を効果的に防止することができる、というメリットがある。
また、低透明層の内側から係合突起を突出させた自動車用バイザーの製造方法は、上記各実施例の如く、係合突起形成用の凹部の開口部を覆う位置から内部へ没入するスライドコアを第一スライドコアに設けた下型を利用する方法等に限定されず、図15の如く、円柱状あるいは角柱状等の第二スライドコア49,49,49を第一スライドコア48に設けた下型を利用する方法に変更することも可能である。そのよう金型を採用して、自動車用バイザーを製造する場合には、図15の如く、第一キャビティに第一樹脂を射出することによってベース部分を形成した後、第一金型をその状態で保持しつつ第一スライドコア48および第二スライドコア49,49,49を没入させて、第二キャビティに第二樹脂を射出する。かかる方法を利用する場合でも、上記各実施例の製造方法により自動車用バイザーを製造する場合と同様に、低透明層の内側に係合突起を形成することができる上、そのように係合突起を形成した場合でも、ベース部分の表面側に“ヒケ”が形成されないので、自動車用バイザーの外観を良好なものとすることができる。また、上型と下型との2つの金型のみによって射出成形することができるので、金型作成の費用を低く抑えることができる。
本発明の自動車用バイザーは、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、自動車の日除けや雨除けとして好適に用いることができる。
自動車用バイザーの正面図である。 自動車用バイザーの断面図(図1におけるA−A線断面図)である。 係合突起の設置部分を示す説明図である。 自動車用バイザーを射出成形するための金型を示す説明図である。 自動車用バイザーを射出成形するための金型を示す説明図(図4におけるB−B線断面図)である。 下型のスライドコアの設置部分を示す説明図である(図5におけるC方向から見た説明図)である。 下型のスライドコアの設置部分を示す斜視図である。 自動車用バイザーを射出成形する様子を示す説明図である。 自動車用バイザーの使用状態を示す説明図である。 自動車用バイザーを自動車に装着するための取付金具を示す斜視図である。 取付金具による自動車用バイザーの取付状態(図9におけるD−D線断面)を示す説明図である。 自動車用バイザーの断面図(鉛直線断面図)である。 下型のスライドコアの設置部分を示す斜視図である。 自動車用バイザーを射出成形する様子を示す説明図である。 自動車用バイザーの射出成形方法の変更例を示す説明図である。 従来の自動車用バイザーを射出成形する様子を示す説明図である。
符号の説明
1・・自動車用バイザー
2・・庇体
3・・当接板
4・・係合突起
7・・第一スライドコア
8・・第三スライドコア
9・・第二スライドコア
10・・低透明層
11・・金型
12・・上型
13・・下型
14・・ベース部分
16・・凹部
31・・取付金具
43・・第一スライドコア
44・・凹部
46・・第二スライドコア
47・・係合突起
48・・第一スライドコア
49・・第二スライドコア
36・・窓枠
B・・自動車。

Claims (2)

  1. 帯状の当接板の下端縁に沿って帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられた長尺状であり、
    前記当接板および前記庇体の少なくとも一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層を積層した積層構造になっているとともに、前記低透明層以外のベース部分が第一樹脂によって形成されており、
    自動車の窓枠と係合する金具を係止させるための係合突起が、前記第二樹脂からなる低透明層の内側に一体的に形成された自動車用バイザーを製造するための製造方法であって、
    庇体の外面および当接板の外面を形成するための第一金型と、庇体の内面および当接板の内面を形成するための第二金型とを用いた射出成形によるものであり、
    第二金型に、第一スライドコアが出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコアに第二スライドコアが出没自在に設けられており、その第二スライドコアを没入させると、第一スライドコアの表面に係合突起形成用の凹部が形成され、かつ、第二スライドコアを突出させると、その第二スライドコアによって前記凹部の開口部が閉塞されるようになっており、
    第一スライドコアおよび第二スライドコアを突出させた第二金型と第一金型とを接合させることによって形成される第一キャビティに第一樹脂を射出することによって、ベース部分を形成した後、
    第一金型をその状態で保持し第一スライドコアおよび第二スライドコアを没入させることによって形成される第二キャビティに第二樹脂を射出することによって、係合突起を有する低透明層を形成することを特徴とする自動車用バイザーの製造方法。
  2. 帯状の当接板の下端縁に沿って帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられた長尺状であり、
    前記当接板および前記庇体の少なくとも一部が、第一樹脂からなる層の内側に第一樹脂より透明度の低い第二樹脂からなる低透明層を積層した積層構造になっているとともに、前記低透明層以外のベース部分が第一樹脂によって形成されており、
    自動車の窓枠と係合する金具を係止させるための係合突起が、前記第二樹脂からなる低透明層の内側に一体的に形成されており、かつ、当接板の下端の少なくとも一部から、庇体の内側において下向きに突出するように形成された自動車用バイザーを製造するための製造方法であって、
    庇体の外面および当接板の外面を形成するための第一金型と、庇体の内面および当接板の内面を形成するための第二金型とを用いた射出成形によるものであり、
    第二金型に、第一スライドコアが出没自在に設けられているとともに、その第一スライドコアに、係合突起の庇体と反対側の面を形成するための第二スライドコアと、庇体の内面の一部および係合突起の庇体側の面を形成するための第三スライドコアとが出没自在に設けられており、
    第二スライドコアを没入させると、第一スライドコアの表面に、係合突起形成用の凹部が形成され、かつ、第二スライドコアおよび第三スライドコアを突出させると、それらの第二スライドコアおよび第三スライドコアによって前記凹部の開口部が閉塞されるようになっており、
    第一スライドコア、第二スライドコアおよび第三スライドコアを突出させた第二金型と第一金型とを接合させることによって形成される第一キャビティに第一樹脂を射出することによって、ベース部分を形成した後、
    第一金型をその状態で保持し第一スライドコア、第二スライドコアを没入させることによって形成される第二キャビティに第二樹脂を射出することによって、係合突起を有する低透明層を形成し、しかる後、第三スライドコアを没入させた後に第一金型と第二金型とを離反させて成形品を取り出すことを特徴とする自動車用バイザーの製造方法。
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