JP4993789B2 - 間仕切内隠蔽暖冷房システム - Google Patents

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Description

本発明は、建物の間仕切壁内に放熱器を隠蔽配置した暖冷房システムに関するものであり、より詳しくは、木造建物や軽量鉄骨建物の間仕切壁内に、プラスチック樹脂製の放熱器を隠蔽配置し、放熱器に、温水循環による室内暖房と、冷水循環による室内冷房を可能とした、暖冷房システムに関するものである。
従来、居室内の暖房手段として、壁面に放熱体を配置する手法は、各種提案、実施されている。
図5は、従来例1であり、特許文献1として挙げた本出願人の提案にかかる隠蔽温水暖房システムの説明図である。
即ち、図5(従来例1)の隠蔽温水暖房システムは、軽量鉄骨間仕切壁を構成するスタッド間に、アルミ板と嵌合溝を穿設した断熱材とを積層一体とした放熱パネルを配置し、可撓性のプラスチック樹脂性の温水パイプを、アルミ板面に当接形態で嵌合溝内に屈曲延展配置して、天井配置の、往き管を温水パイプの一端に、戻り管を温水パイプの他端に接続し、間仕切壁のアルミ板面の温水加熱によって居室内を暖房するものである。
また、図6は、従来例2であって特許文献2として挙げた壁面暖房システムである。
即ち、従来例2(図6)は、図6に示す如く、調湿機能を有する火山灰シラスを主成分とする壁材に温水パイプを組込み、壁材の外面に、ホットメルト糊で、タイル、石膏ボード等を張着したパネルを、パネルの壁材面を壁内面とし、パネル内の温水パイプに外部の温水器から温水を循環供給して、室内の壁面を温水暖房するものである。
また、図7は、従来例3であって特許文献3として挙げたビルトインタイプ温水暖房システムである。
即ち、図7(従来例3)に示す如く、出窓の窓下コンクリート壁面に凹所を形成して、凹所壁面の前面に、断熱材を介してスペーサーを配置し、スペーサー内には、前面側に輻射板を有し背面側にフィンを有するパネルタイプの放熱器を配置し、且つ放熱器下方には、冷風導入用の斜板を配置し、温水パイプで放熱器に熱供給するものである。
また、従来例4として挙げた図8は、特許文献4として開示した本願出願人の提案に係る放熱器であって、壁内隠蔽は出来ないものであるが、全プラスチック樹脂製放熱器である。
即ち、図8に示す放熱器は、プラスチック樹脂製の縦パイプ群を上下の大径緯パイプで連通した2枚の放熱パネルを重層形態で一体化して放熱部とし、該放熱部の上下、左右の四周に、上枠、側枠、下枠、上接合具及び下接合具で枠組みを付加して、熱効率及びデザイン性に優れた居室内配置タイプの放熱器である。
特開2006−170532号公報 特開2004−163051号公報 特開平11−108379号公報 特開2009−222297号公報
従来例1(図5)の隠蔽温水暖房システムは、間仕切壁内に収納出来、壁のアルミ板面からの放熱暖房が実施出来るが、放熱パネルは、両側の軽量鉄骨間仕切のスタッド(間柱)間(標準:455mm)を2ヵ所使用し、可撓性のプラスチック樹脂パイプを上下屈曲延展配置するもので、プラスチック樹脂パイプのフープストレスでの曲げ半径の限界の制約を受けるため、パイプ間隔は狭く出来ず、開示の8本配置が限度であり、放熱量が少ない。
そして、放熱量の増大を図って放熱パネル面を左右に増加すれば、家具配置の制約が大となる。
また、放熱パネルと壁仕上材とが面当接しているので、放熱パネルは、熱伝導により、軽量鉄骨間仕切及び壁仕上材に熱分散してからの輻射熱伝達となるため、熱効率が悪い。
また、温水パイプ内に冷房用の冷水を循環させれば、温水パイプの結露水は、断熱材及び壁仕上材に吸着し、放熱パネルを収納する間仕切内には、ダニ、カビの発生を来たす。
そして、放熱パネルを収納する間仕切内は、放熱パネルによって上下分断しているため、間仕切内は、ガラリによる室内空気の流入、流出効果が少なく、結露水を吸着した壁仕上材の乾燥効果が期待出来ない。
従って、従来例1(図5)の隠蔽型温水暖房システムは、結露の発生を伴なう冷房運転は実施出来ない。
また、従来例2(図6)の温水暖房は、壁面暖房であるが、温水パイプからの熱伝導によって、隣接する壁材、及びパネルを支持する、例えば、コンクリート壁に熱が分散されるので熱効率が悪い。
また、温水パイプを封入している調湿機能を有する壁材が、温水パイプ内の高温水によってヒビ割れ等の加熱損傷を生ずる。
しかも、温水パイプを封入したパネルは重く、暖房壁面の連続形成は、施工面、コスト面で問題があり、仕上材は輻射波の放射率の大な材料に限定される。
また、従来例3(図7)の温水暖房システムにあっては、放熱器がフィンを有するパネル式であるため、通常の金属製放熱パネルの配管同様に、金属製放熱器の温水に含まれる酸素による腐蝕を抑えるために、温水パイプには酸素を透過させない高価な樹脂管、又は銅管を使用する必要があり、温水ボイラーにも、酸素の混入を防ぐ高価な密閉式の採用が必要となり、コスト面、管理面上の問題がある。
しかも、ビルトイン配置のため、出窓床面の前部のスペースが必要であって、適用居室が制約され、放熱器を隠蔽するために、建物を構成する暖房装置以外の、躯体、外装、断熱等の面でのコストも発生する。
また、従来例4(図8)の放熱器は、放熱パネル自体は、全プラスチック樹脂製で、輻射熱放熱に優れたものであるが、居室内配置用に開発されたものであり、該放熱器は、間仕切内に隠蔽埋設出来ないものである。
本発明は、これら従来例の問題点を、一挙に解決、又は改善するものであって、間仕切壁内への、最適の隠蔽の下に、結露対策をも備えた、且つ熱効率の極めて高い、暖房にも冷房にも適した暖冷房システムであって、従来の隠蔽型暖房システムを一新する新規で、実用性に富んだ暖冷房システムを提供するものである。
本発明は、図1に示す如く、木造又は軽量鉄骨造建物の間仕切WAを構成する柱6A、間柱(スタッド)6B間に、プラスチック樹脂製放熱器Heを配置し、内装材8Aで放熱器Heを隠蔽埋設する温冷水循環暖冷房システムであって、放熱器Heは、上下主管2A間に縦パイプ2C群を並列連通した第1放熱パネル101と第2放熱パネル102とを重層形態で一体化し、一方の放熱パネルの上側主管2Aにはサプライ管(往き管)Sを、他
方の放熱パネルの上側主管2Aにはリターン管(戻り管)Rを天井配管で接続したものであり、放熱器He埋設間仕切WA内の空間Oは、上側では、放熱器Heとサプライ管S及びリターン管Rとの接続金具2Nの上方を受材6Kで閉鎖し、下側では、放熱器Heの下方を受材6Kで閉鎖すると共に、後面を、内装材8Aで閉鎖し、前面を、中央の内装材8Aと、上下のガラリ7Aとで閉鎖し、放熱器Heの上側主管2Aを上方受材6Kに固定した吊金具4で支承し、下方受材6K上にはドレンパン3Aを配置して、ドレンパン3Aから下方受材6Kを貫通するドレンパイプ3B及び排水パイプ3Cを連通配置した間仕切内隠蔽暖冷房システムである。
この場合、図1(A)及び(C)に示す如く、放熱器Heは、間仕切WA内の空間Oの厚さW6(標準:105mm)内の、両側の柱6Aと間柱6Bとの間(標準:380mm)、若しくは間柱6B間(標準:410mm)、及び前後の閉鎖面板(内装材)間に、前後、左右均等の隙間を保持して配置すれば良く、上側受材6Kは、間仕切空間Oと天井内との、空気の流出入を阻止し、下側受材6Kは、間仕切空間Oと床下との、空気の流出入を阻止出来ればよいため、上下受材6Kは、図1(B),(C)に示す如く、柱6A及び間柱6Bと同幅の、断面矩形木板を間仕切空間Oを閉鎖する形態に、上側受材6Kは天井材10のレベルで、下側受材6Kは、放熱器He下部にドレンパン3Aが配置可能な位置で、柱6A及び間柱6Bに取付ければ良い。
従って、本発明の間仕切内隠蔽暖冷房システムは、柱6A、間柱6B間の間仕切空間O内への収納形態であるため、室内への突出が無くて居室内スペース使用に干渉しない。
そして、放熱器Heは、間仕切空間O内で、吊金具4による吊下げ支持であるため、暖冷房作用時のプラスチック樹脂パイプ特有の熱伸縮にも支障なく対応出来る。
また、放熱器He自体の製作も、予め寸法の明確な、柱6A、間柱6B間、及び天井高さ、に対応して量産対応可能であるため、生産性が良い。
また、冷房時に、放熱パネル、特に、縦パイプ2C群に発生する結露も、放熱器下部のドレン排出手段によって除去出来、同時に、上下のガラリ7Aを介した循環空気流により内装材8Aの湿潤作用も抑制出来るため、間仕切WA内でのダニ、カビの発生が抑制出来、衛生的な暖冷房システムを提供する。
そして、暖冷房時には、システム内に温水又は冷水を循環させることにより、プラスチック樹脂製放熱器Heが、熱輻射、熱伝導、熱対流によって間仕切空間Oから居室内を暖冷房する。
この場合、前面の上下のガラリ7Aは、間仕切空間O内の空気を循環流出入させながら、対流熱伝達を助長し、前面の内装材8Aは輻射波の吸収、放射によって室内を暖冷房する。
そのため、本発明の暖冷房システムは、居室内での住人のスペース利用に干渉しない壁内埋設でありながら、居室内全体に輻射熱作用を主とした暖冷房作用により、居室内全体に、輻射熱作用を主とする(標準:輻射7割、対流3割)、人体に心地よい、穏やかな暖冷房を提供する。
また、本発明の隠蔽暖冷房システムは、図1(A)に示す如く、間仕切WA内の空間Oは、後面及び両側内面にはアルミ箔8Dを張設し、前面には、羽根7Bが下方傾斜の上側ガラリ7Aと、羽根7Bが上方傾斜の下側ガラリ7Aとの間を、石膏ボード等の熱輻射波の吸収放射率の大な内装材8Aで閉鎖するのが好ましい。
この場合、放熱器He、前面上下ガラリ7A、及び中間の内装材8Aの関係寸法は、典型例では、放熱器Heの高さh1が2000mm、上下ガラリ7Aの高さh7が200mm、中間の内装材8Aの高さhAが1600mmである。
また、石膏ボードは、輻射波の吸収放射率が0.8〜0.9であり、紙、ビニールクロス、布は吸収放射率が0.95であるため、前面内装材8Aは、ビニールクロス等を貼着
した石膏ボードを採用すれば有効である。
従って、上下のガラリ7Aは、羽根7Bの傾斜によって、間仕切内空間O内で、暖房気流ar1が下方から上方へ、冷房気流ar2が上方から下方へと、スムーズに循環して空間O内の暖冷房熱を居室内に有効放出し、放熱パネル101,102内を循環する温水(標準:80℃)又は冷水(標準:7℃)によって発生する暖冷熱輻射線は、空間O内の後面及び側面ではアルミ箔8Dで全反射されて、熱輻射波の高い吸収放射率を備えた前面の内装材8Aからの室内への輻射熱作用、及びガラリ7Aからの間仕切空間O内の熱の対流放出により、隠蔽埋設放熱器から、輻射熱作用を主とする、穏やかで、人体に優しい暖冷房が得られる。
尚、上記典型例では、繰返し実験の結果、暖冷房は、輻射熱で70%強、対流伝達で30%弱の数値が得られた。
また、本発明の隠蔽暖冷房システムにあっては、図2に示す如く、ドレンパン3A、ドレンパイプ3B及び排水パイプ3Cはプラスチック樹脂製であり、吊金具4の放熱器Heとの当接面には断熱シート4Aを配置し、接続金具2N外周は保温材NCで被覆するのが好ましい。
この場合、吊金具4は、図1に示す如く、上側受材6Kに固定して垂下し、放熱器Heの上側主管2Aの、長手方向左右両側を、且つ主管2A下面を支承する形態に配置すれば良い。
従って、吊金具4は、放熱器Heとの当接面、即ち主管2Aと接触する面が断熱層介在形態であるため、吊金具4の冷房時結露は抑制出来、接続金具2Nも保温材NCで被覆したため、表面への冷房時結露が抑制出来る。
そして、冷房時に、上下主管2A、及び縦パイプ2Cの表面に結露が生じても、ドレンパン3A→ドレンパイプ3B→排水パイプ3Cの経路で屋外に排出出来る。
しかも、ドレンパン3A、ドレンパイプ3B、排水パイプ3Cのドレン放出手段は、全てプラスチック樹脂製であるため、屋外からのドレン放出手段を介した間仕切空間O内への熱橋が抑制出来、ドレンパン3A自体は、間仕切空間O内でも結露が発生しないため、放熱器Heの下側主管2Aに近接配置が可能であり、放熱器Heの、能力増大のための、上下高さの長寸化も可能となる。
また、本発明の隠蔽暖冷房システムでは、放熱器Heは、図4に示す如く、第1放熱パネル101の縦パイプ2C群と第2放熱パネル102の縦パイプ2C群との間隔gpは、暖気流ar1及び冷気流ar2のみの通過を許容する間隔であり、第1放熱パネル101の縦パイプ2C群面と前面内装材8A間、及び第2放熱パネル102の縦パイプ2C群面と後面内装材8A間は、間仕切空間O内での空気流出入を保証する間隔Crを備えているのが好ましい。
この場合、第1放熱パネル101と第2放熱パネル102との対面間隔gpは、暖気流ar1のみの上昇通過、及び冷気流ar2のみの下降通過を保証し、空気流の粘性滞留を抑制すれば良く、放熱器Heの開発過程での実験の結果、間隔gpは40mm以下であれば、暖気流ar1又は冷気流ar2のみの通過となり、間隔gpが10mm以上であれば、空気粘性による空気流滞留が実用可能範囲に抑えられることが判明した。
また、放熱器Heの、前面間隔Cr及び後面間隔Crは、輻射熱利用面からは、寸法に無関係であるが、間仕切空間O内と外部居室との、空気の滞留を抑えた循環空気流を発生させるためには、上下のガラリ7Aの開口比率は、間仕切空間Oの前側面積の1/4以下が好ましいことも判明した。
以上の結果から、間仕切WAの前後厚さW6が標準寸法の105mmの間仕切空間Oに対
して、上下長さh1が2000mmの放熱器Heにあっては、典型的には、第1放熱パネル101と第2放熱パネル102との縦パイプ2C面群間隔gpは18.5mm、放熱器Heの厚さWHは58.5mm、放熱器Heの前後の間隔Crは、共に23mm、上側ガラリ7Aと下側ガラリ7Aとは、共に高さh7が200mm、前面中間内装材8Aの露出高さhAは1600mmである。
従って、本発明の隠蔽暖冷房システムは、放熱器Heが第1放熱パネル101と第2放熱パネル102の、設計値どおりの最大熱効率を発揮し、間仕切空間O内は空気滞留の抑制された空気流循環により、居室内に対して輻射熱作用を主とする、人体に優しい暖冷房を効率良く発揮する。
本発明の隠蔽暖冷房システムは、放熱器Heを柱6A、間柱6B間の間仕切空間O内に収納するため、居室内への突出が無く、居室スペースが有効使用出来る。
そして、放熱器Heの放熱パネルは、2枚重層配置であるため、制約される間仕切WA内でも背丈の長寸化によって放熱量を必要量に出来る。
そして、冷房時に放熱パネルに発生する結露は、ドレン手段で排出し、間仕切空間O内では、冷気流ar2が、上下ガラリ7Aを介して居室内と全域に亘る循環流を発生するので、内装材8A、間仕切WAの湿潤によるカビ、ダニの発生が抑制出来る。
また、暖冷房作用は、放熱器He前面の、上下ガラリ7Aによる空気対流と、上下ガラリ7A間の内装材8Aによる輻射放熱とによる、輻射放熱を主とし、対流放熱を従とする暖冷房作用によって、人体に優しい、穏やかな暖冷房を提供する。
本発明の放熱器配置形態の説明図であって、(A)は横断面、(B)は一部切欠正面図、(C)は縦断側面図である。 (A)は放熱器配置形態の縦断面要部拡大図、(B)は吊金具の斜視図、(C)は振止め金具斜視図である。 本発明のドレン手段説明図であって、(A)はドレンパン斜視図、(B)はドレンパン縦断側面図、(C)はドレンパイプ3Bの斜視図である。 放熱器の説明図であって、(A)は左側面図、(B)は第1放熱パネル側の正面図、(C)は右側面図、(D)は第2放熱パネル側の正面図である。 従来例1の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断側面図、(C)は横断面図である。 従来例2の説明図であって、(A)は正面図、(B)は縦断側面図である。 従来例3の説明図であって、(A)は正面斜視図、(B)は要部縦断側面図である。 従来例4の説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は放熱部の部分拡大正面図、(C)は放熱部の斜視図である。
〔放熱器He(図4)〕
図4は、放熱器Heの説明図であって、(A)は左側面図、(B)は第1放熱パネル101面から見た正面図、(C)は右側面図、(D)は第2放熱パネル102面から見た正面図である。
放熱器Heは、木製で一辺が105mmの断面正方形の柱6Aと、長辺が105mm、短辺が45mmの間柱6Bとの中心間隔L6が455mmの間仕切間隔に配置するものとして準備する。
放熱器Heの全体形状は、図4に示す如く、高さ(上下長さ)h1が2000mm、幅(左右長さ)L1が350mm、前後厚さW1が58.5mmで、上側主管2Aと下側主管2A
との間に、多数の細い縦パイプ2C群を差渡し状に連通した、使用全パイプがプラスチック樹脂パイプから成る第1放熱パネル101と、第1放熱パネルと同一構造の第2放熱パネル102とを、前後に、第1放熱パネル101の主管2Aと第2放熱パネル102の主管2Aとを対向間隔gs(4.5mm)を保って、一体化したものである。
放熱器Heの製作は、ヘッダー1として、ポリプロピレン、ランダム、コポリマー樹脂(PP−R樹脂)を用いて、外径dAが27mm、肉厚5mm、長さL1が350mmの主管2Aに、主管2Aと直交する外径17mm、肉厚2mm、長さ30mmの継手枝管2B群を、中心間距離20mmで突出した形態に射出成形で準備し、縦パイプ2CとしてPP−R樹脂の押出成形で、外径(dC)13mm、肉厚1.6mmの縦パイプ材を成形して定寸に切断準備する。
そして、各縦パイプ2C群を、上側ヘッダー1の継手枝管2Bと下側ヘッダー1の継手枝管2Bに融着接合して、上側ヘッダー1の主管2A上端面から下側ヘッダー1の主管2Aの下端面までの寸法h1、即ち放熱器Heの高さh1が2000mmの、同一構造の第1放熱パネル101及び第2放熱パネル102を準備する。
また、図4(B)に示す如く、上側主管2Aの左右端、下側主管2Aの左右端には閉止板2Fを配置し、上側主管2Aには一端から上方へ、縦パイプ2C材を切断したパイプ片を供給排出口2S又は2Rとして連通突出し、上側主管2Aの他端では、左端の縦パイプ2Cと左から2番目の縦パイプ2Cの連通を遮断する閉止板2Pを配置する。
そして、2枚の放熱パネルを、供給排出口2S(2R)を同一位置に重ねて、上下の主管2A相互の間隔gs(4.5mm)を保って、2枚の放熱パネルを、供給排出口2S,2Rの反対側の上側主管2A間のみを連通パイプ2Dで連結し、他の3隅の主管2A間はスペーサーパイプ2Eで接続すれば、2枚重ねで、第1放熱パネル101の冷温水供給口2Sと第2放熱パネル102の冷温水排出口2Sとが同一位置で前後関係を保つ放熱器Heが得られる。
得られた放熱器Heは、図4に示す如く、各縦パイプ2C間の間隔gcは7mmで、第1放熱パネル101と第2放熱パネル102との縦パイプ2C群間の間隔gpが18.5mm、高さh1が2000mm、幅W1が58.5mmの全プラスチック樹脂製放熱器Heとなる。
そして、第1放熱パネル101の、一端の供給口2Sから下降流f1を注入すれば、第1放熱パネル上側主管2A内横流f2→縦パイプ下降流f3→下側主管2A内横流f4→他端縦パイプ上昇流f5→第1放熱パネル101から第2放熱パネル102への連通パイプ2D内連通流f6→第2放熱パネル102の他端縦パイプ2C内の下降流f7→下側主管2A内横流f8→縦パイプ2C内の上昇流f9→上側主管2A内横流f10→一端の排出口2Rからの上昇流f11、の経路で、第1放熱パネル101の供給口2Sから、2枚のパネル縦パイプ2C群を全て通過して第2放熱パネル102の排出口2Rに流出するものとなり、各縦パイプ2C群によって、第1放熱パネル及び第2放熱パネルから、面均斉な放熱作用を奏する放熱器Heとなる。
〔ドレンパン3A(図3)〕
ドレンパン3Aは、図2(A)の如く、放熱器Heの下側主管2Aの下側に配置して、冷房作用時に、放熱器He各パイプ2A,2C外周面に発生した結露の流下水を受けて排出するものであり、図3(A)はドレンパン3Aの斜視図、図3(B)は縦断側面図、図3(C)はドレンパイプ3Bの斜視図である。
ドレンパン3Aは、厚さ1mmのPP−R樹脂成形品であって、底辺3Dと四周の45°傾斜の斜辺3Eとを備えた長方形の皿であって、長さL3が370mm、総幅W3が60mm、底辺幅W3´が40mmであり、幅中央の長さ方向一端寄りに、直径7.6mmの排水孔H
3を備えたものである。
そして、図3(C)に示す如く、PP−R樹脂製で外径10mm、肉厚1.2mmのドレンパイプ3Bの上端に、切れ目3Gを備えたPP−R樹脂製の、外径16mm、肉厚1.6mm、高さ10mmのソケット3Fを、切れ目3Gの拡開弾撥力で嵌合した状態で、ドレンパン3Aの排水孔H3とドレンパイプ3Bとを整合して、ドレンパイプ3Bをドレンパン3A底面に融着一体化したものである。
この場合、ソケット3Fは、切れ目3Gによってドレンパイプ3B上端と面一に容易に弾性嵌着出来、且つ、ドレンパン3Aの底辺3Dに対する融着面積の増大作用を奏する。
〔放熱器保持具(図2(B),(C))〕
放熱器Heの保持は、図2(A)に示す如く、受材6Kに固定した吊金具4で上側主管2Aの下面を支承して、吊金具4による吊下げ状態とし、放熱器Heの前後揺動は、下部の振止め金具5で抑制するものであり、図2(B)は吊金具4の全体斜視図、図2(C)は振止め金具5の全体斜視図である。
吊金具4は、図3(B)に示す如く、3mm厚の鋼板製で、ねじ孔H4を備えた幅W4が70mm、長さL4が42mmの上辺4Uと、上辺4Uの基端から高さ(h4)136mmの立下り辺4Fとのアングル鋼板で、立下り辺4Fの下端の両側端から、先端に上向き傾斜片4Sを備えた厚さ6mm、幅2mm、長さ52mmの、細長の支持片4Dを前方に突出したものである。
そして、両側の、傾斜片4Sを含む支持片4Dの上面、及び立下り辺4F内面に、3mm厚の断熱シート4Aを貼着したものである。
また、振止め金具5は、図3(C)に示す如く、肉厚2.3mmで、幅W5が20mm、長さL5が40mmの、両側にねじ孔H5を底板5Dに、径が3mmで、高さh5が70mmの立上り棒5Fを中央に立設し、立上り棒5F上端から先端にフック5Rを備えた水平棒5Pを連設し、水平棒5P及びフック5Rの、縦パイプ2Cとの当接面には断熱シート5Aを貼着したものである。
この場合、水平棒5Pの突出長は、図2(A)に示す如く、吊下放熱器Heの、後面の第2放熱パネル102の、縦パイプ2Cの1本をフック5Rで係止した状態で、底板5Dが、ドレンパン3Aに干渉しないで、下側受材6K上に固定出来る寸法であれば良い。
〔放熱器Heの隠蔽埋設(図1、図2)〕
図1は、間仕切内に放熱器Heを隠蔽埋設した状態の説明図であって、(A)は横断面図、(B)は一部切欠正面図、(C)は縦断側面図であり、図2(A)は図1(C)の要部拡大図である。
本発明を、図1(A)に示す如く、柱間の中心間隔L6が455mm、間仕切厚W6、即ち柱の前後幅が105mmの標準木造建物に実施する。
木造建物の構造体の構築は、慣用の手法で、基礎コンクリート6N上に、パッキン材6Gを介して土台6Cを配置し、土台6C上端面に柱6Aを立設し、柱6A上に梁6D等の横架材を配置して、梁6D上方は2階床組み又は小屋組みとするものである。
そして、土台6Cには根太受6Fを取付け、根太受6Fに根太6Eを載置し、柱6A間に、間隔(L6)455mmで、土台6C上面から梁6D下面まで、間柱6Bを立設して建物の骨組とする。
そして、根太6E上に配置した床用合板9B上には、図1(C)及び図2(A)に示す如く、間仕切柱6A及び間柱6Bの前後面に幅木8Bを配置し、ドレンパイプ3B貫通孔H6を備えた木製の下側受材6Kを、幅木8Bとレベルを揃えて、柱6A、間柱6B間に張設して間仕切空間Oの下面を閉鎖する。
また、間仕切上部にあっては、サプライ管S及びリターン管Rの挿通孔H6´を備えた
上側受材6Kを、天井材10レベルで柱6A、間柱6B間に張設して、間仕切空間Oの上面を閉鎖する。
そして、間仕切空間Oの、両側の柱6A又は間柱6Bの内側面、及び後側内装材8Aの、間仕切空間Oを仕切る面上には、アルミ箔8Dを輻射熱反射用に貼着する。
次いで、図2(A)に示す如く、放熱器Heを間仕切空間O内に持ち込み、2個の吊金具4を、上側主管2Aの長手方向左右両側で、支持片4Dが主管2Aの下面を支承する形態で、上辺4Uを受材6K下面に当接してねじ4Nで固定する。
また、下側受材6Kには、ドレンパイプ3Bを貫通してドレンパン3Aを上面に配置した状態の下で、放熱器Heを、上方の吊金具4で支承保持した後、振止め金具5を下側受材6K上にねじ5Nで固定し、フック5Rで第2放熱パネル102の中央部の縦パイプ2Cを係止し、放熱器Heの下端部の後方への揺動を抑制する。
この場合、振止め金具5による放熱器Heの後方への揺動阻止のみで実用に耐えられるが、必要に応じて、第1放熱パネル101の縦パイプ2Cと振止め金具5の係止棒5Pとをテープ止着しても良い。
次いで、慣用の天井内配管の、サプライ管S及びリターン管Rを、上側受材6Kの下部で接続金具2Nを介して、放熱器Heのサプライ管S及びリターン管Rと接続し、接続金具2Nの外周面は、保温材NCで被覆する。
また、下側受材6Kから下方に突出したドレンパイプ3Bには、慣用の手法で排水パイプ3Cを接続する。
次いで、間仕切空間Oの前面には、図1(B),(C)に示す如く、高さh7が200mm、長さL7が400mmのガラリ7Aの2枚を、上側ガラリ7Aは羽根7Bが下方へ傾斜する形態で、下側ガラリ7Aは、羽根7Bが上方へ傾斜する形態に、放熱器Heの上部と下部に対応させ、各ガラリ7Aの上下左右端を、柱6A、間柱6Bに固定したガラリ受材6Mに、ねじ7Nで固定し、上下ガラリ7A間を閉止する形態の前面内装材8Aとして、石膏ボードの表裏面をビニールクロス被覆した、熱輻射線の吸収・放射率が0.95である化粧ボードを張設する。
従って、得られた隠蔽暖冷房システムにあっては、慣用の中央制御流水システムで、暖房時には80℃の温水を、冷房時には7℃の冷水を暖冷房システム内に循環させることにより、放熱器Heの前後2枚の放熱パネル101,102が、高密度配管の縦パイプ2C群での全面均斉な加熱体、又は冷却体となり、間仕切空間O内での、居室内への暖冷房熱放出面以外はアルミ箔による熱輻射波の反射によって、放熱器Heの発生熱の居室内暖冷房への高効率利用が出来る。
しかも、間仕切空間O内で発生する暖房熱又は冷房熱は、放熱器Heが上下サイズ2000mmであって、ガラリ7Aが上下200mmサイズの2枚であり、前面の、熱輻射波の吸収・放射が0.95と高い、内装材8Aの上下露出寸法高さhAが1600mmであるため、間仕切空間O内からの放出熱量は、70%以上が輻射熱形態での放熱となり、吹付け空気流での暖冷房とは異質の、穏やかで、人体に優しい暖冷房作用を提供する。
そして、放熱器Heは、吊下げ形態であるため、プラスチック樹脂パイプ群の熱伸縮にも対応出来、放熱器Heの前後揺動も生じないため、冷房時の放熱パネル101,102の外周面に発生する結露も、小幅(W3:60mm)のドレンパン3Aで漏れ無く回収排出出来る。
また、ドレンパン3A、ドレンパイプ3B、排水パイプ3Cが、全てプラスチックパイプであるため、床下からの、ドレン手段を介した、間仕切空間O内への熱干渉も避けられる。
従って、間仕切WA壁内への埋設暖冷房システムにあるため、居室内への、スペース干渉も無く、暖冷房熱効率も高く、間仕切WA内にカビやダニの発生も無い、衛生的で、人体に優しい暖冷房を提供する。
〔その他〕
放熱器Heの縦パイプ2C群は、細くて長尺物であるため、必要に応じて、図1(B),(C)に示す如く、スペーサー2Wを、第1放熱パネル101と第2放熱パネル102間に配置しても良い。
この場合、両放熱パネル101と102間の間隔gpの、空気の上下流動を許容する形態で配置すれば良く、第1放熱パネル101の縦パイプ2C群と第2放熱パネル102の縦パイプ2C群間に、スペーサー2Wとして、プラスチック板を、図1(C)の如く、弾撥挟着で介在させ、且つプラスチック板の幅中央部には空気貫流用の空気孔群を配置すれば良い。
また、上下ガラリ7Aは、第1、第2放熱パネル周面を上昇又は下降する空気流を振り込めば良く、デザイン上などの要望に応じて上下サイズ(標準:200mm)を変更させても良く、上下サイズ100mmとしても、必要循環空気量は発生する。
1 ヘッダー
2A 主管
2B 枝管(継手枝管)
2C 縦パイプ
2D 連通パイプ
2E スペーサーパイプ
2F,2P 閉止板
2N 接続金具
2R 排出口(リターン接続口)
2S 供給口(サプライ接続口)
2W スペーサー
3A ドレンパン
3B ドレンパイプ
3C 排水パイプ
3D 底辺
3E 斜辺
3F ソケット
3G 切れ目
3S 傾斜辺
4 吊金具
4A,5A 断熱シート
4D 支持片
4F 立下り辺
4N,5N,7N ねじ
4S 傾斜片
4U 上辺
5 振止め金具
5D 底板
5F 立上り棒
5P 水平棒(係止棒)
5R フック
6A 柱
6B 間柱
6C 土台
6D 梁
6E 根太
6F 根太受
6K 受材
6M ガラリ受材
6N 基礎コンクリート
7A ガラリ
7B 羽根
8 放熱器
8A 内装材
8B 幅木
8D アルミ箔
9A 床材
9B 床用合板
10 天井材
101 第1放熱パネル
102 第2放熱パネル
ar1 暖気流(暖房気流)
ar2 冷気流(冷房気流)
gc,gp,gs,Cr 間隔(間隔)
He 放熱器
H3 排水孔
H4 ねじ孔
H6 貫通孔
H6´ 挿通孔
NC 保温材
O 空間
R リターン管(戻り管)
S サプライ管(往き管)
WA 間仕切

Claims (4)

  1. 木造又は軽量鉄骨造建物の間仕切(WA)を構成する柱(6A)、間柱(6B)間に、プラスチック樹脂製放熱器(He)を配置し、内装材(8A)で放熱器(He)を隠蔽埋設する温冷水循環暖冷房システムであって、放熱器(He)は、上下主管(2A)間に縦パイプ(2C)群を並列連通した第1放熱パネル(101)と第2放熱パネル(102)とを重層形態で一体化し、一方の放熱パネルの上側主管(2A)にはサプライ管(S)を、他方の放熱パネルの上側主管(2A)にはリターン管(R)を天井配管で接続したものであり、放熱器(He)埋設間仕切(WA)内の空間(O)は、上側では、放熱器(He)とサプライ管(S)及びリターン管(R)との接続金具(2N)の上方を受材(6K)で閉鎖し、下側では、放熱器(He)の下方を受材(6K)で閉鎖すると共に、後面を、内装材(8A)で閉鎖し、前面を、中央の内装材(8A)と、上下のガラリ(7A)とで閉鎖し、放熱器(He)の上側主管(2A)を上方受材(6K)に固定した吊金具(4)で支承し、下方受材(6K)上にはドレンパン(3A)を配置して、ドレンパン(3A)から下方受材(6K)を貫通するドレンパイプ(3B)及び排水パイプ(3C)を連通配置した間仕切内隠蔽暖冷房システム。
  2. 間仕切(WA)内の空間(O)は、後面及び両側内面にはアルミ箔(8D)を張設し、前面には、羽根(7B)が下方傾斜の上側ガラリ(7A)と、羽根(7B)が上方傾斜の下側ガラリ(7A)との間を、石膏ボード等の熱輻射波の吸収放射率の大な内装材(8A)で閉鎖した、請求項1の隠蔽暖冷房システム。
  3. ドレンパン(3A)、ドレンパイプ(3B)及び排水パイプ(3C)はプラスチック樹脂製であり、吊金具(4)の放熱器(He)との当接面には断熱シート(4A)を配置し、接続金具(2N)外周は保温材(NC)で被覆した、請求項1又は2に記載の隠蔽冷暖房システム。
  4. 放熱器(He)は、第1放熱パネル(101)の縦パイプ(2C)群と第2放熱パネル(102)の縦パイプ(2C)群との間隔(gp)は、暖気流(ar1)及び冷気流(ar2)のみの通過を許容する間隔であり、第1放熱パネル(101)の縦パイプ(2C)群面と前面内装材(8A)間、及び第2放熱パネル(102)の縦パイプ(2C)群面と後面内装材(8A)間は、間仕切空間(O)内での空気流出入を保証する間隔(Cr)を備えている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の隠蔽暖冷房システム。
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