JP4993211B2 - 真空搬送機構及びそれを備えたマルチチャンバシステム - Google Patents
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Description
さらに、本発明は、試料搬送機構を備えたマルチチャンバシステムを提供することを第二の目的としている。
さらに、本発明の真空搬送機構において、好ましくは、板ばねは筒状部材内を貫通し、中間部がガイド手段で折り曲げられて先端側がトランスファーチャンバ内で水平状に延びており、調整手段は、コラム内で筒状部材の上端から突出した板ばねの上端部と第2のマグネットカップリングを介して磁気結合されコラムの外側に配設される第2操作部材と、を備え、コラムに対して第2操作部材を上下に移動させると、板ばねの上端部が第2操作部材に従動して、トランスファーチャンバ内でガイド手段から繰り出される板ばねの長さが変わる。
また、本発明の真空搬送機構において、コラムを昇降させる昇降手段を備え、昇降手段が、コラムを支持し前記筒状部材が挿通可能な貫通孔を有する台座部と、この台座部の昇降をガイドする昇降用ガイドと、を備え、台座部の貫通孔を貫通した筒状部材における台座部とトランスファーチャンバとの間で露呈する部分が、台座部とトランスファーチャンバとの間に設けられたシール部材で気密的に覆われていて、昇降手段によってコラムを昇降させると、コラムの外側に配設された第1操作部材に筒状部材が従動して、ガイド手段が上下に移動する。ここで、台座部とトランスファーチャンバとの間がシール部材で連結されることで、コラム内とトランスファーチャンバ内が連通する。
本発明の別の観点は、複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、試料を支持するホルダーと、二つの板ばねを組み合わせて断面V字型又は凹状に形成されており、トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びてホルダーを先端部で支持する支持手段と、支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、ガイド手段が複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるようガイド手段を回転する回転手段と、を備えている。
図1(A)は本発明の実施形態に係るマルチチャンバシステム1の正面図であり、図1(B)はマルチチャンバシステム1の平面図である。
マルチチャンバシステム1は、例えば試料の合成などの処理を行って薄膜を作製し、さらに作製した薄膜の分析をシステム内で連続して行える装置である。このために、マルチチャンバシステム1は、複数のプロセスチャンバ2と、ロードロックチャンバ3と、これらのプロセスチャンバ2及びロードロックチャンバ3を周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバ5と、を備えている。試料はロードロックチャンバ3の搬入口からシステム内に導入され、さらにトランスファーチャンバ5を経由して所望の処理、例えば、パルスレーザー堆積、パルス電子銃堆積等の処理を行う各プロセスチャンバ2へ搬送され、さらに、当該プロセスチャンバ2で作製された薄膜はトランスファーチャンバを経由して所望の分析、例えばCMA/ケルビンプローブ測定等を行う他のプロセスチャンバ2へ搬送される。
このマルチチャンバシステム1は、制御装置を除いて、フレーム4Aの下端にキャスター4Bを備えた台車4に固定されている。
ここで、図2は本システムにおけるトランスファーチャンバ5の概略正面図であり、図3はトランスファーチャンバ5の概略鉛直断面図であり、図4はトランスファーチャンバ5の概略分解図である。
このトランスファーチャンバ5は、鉛直断面形状(図3参照)が横長の楕円型で平面視(図1(B)参照)における輪郭形状が円形を成す容器としてステンレス鋼で形成されていて、その周縁の縦壁51に複数の接続口、図示例では6個の接続口52を有する。これらの接続口52にゲートバルブを介して各プロセスチャンバ2及びロードロックチャンバ3を接続することができる。各接続口52は、図3及び図4に示すように、縦壁51に形成された開口52Aにステンレス鋼製の管フランジ52Bが取り付けられて構成されている。さらに、トランスファーチャンバ5の上面53の各接続口52に近接した位置にも管フランジ54が形成されている。これらの管フランジ54の開口にはアクリル板55が取り付けられて覗き窓が構成されている。なお、図1(B)に示すように、各接続口52に対応して一つの覗き窓、即ち管フランジ54がトランスファーチャンバ5の中心Cから対応する接続口52を結ぶ各仮想直線L(図1(B)参照)上にそれぞれ配置されている。また、トランスファーチャンバ5の下面56にも管フランジ56A,56B,56Cが設けられており、図2に示す例では、管フランジ56Aにガス導入バルブ56Dが、管フランジ56Bに真空ゲージ56Eが、管フランジ56Cに図示省略するターボ分子ポンプ(TMP)が連結される。
このように構成されたベース部材11を基準として、真空搬送機構10の構成部材が上下に動いたり、或いは、上記仮想Z軸周りに回転するように構成されている。
このように構成された支持手段30は、図3における仮想Z軸に沿うように配置され、その下側部分がガイド手段20によって折り曲げられる。
ここで、図6はガイド手段20の側面図であり、ガイド手段20は、ブラケット21と、このブラケット21に回転可能に支持された複数のローラーとから構成されている。具体的には、図7はブラケット21の平面図であり、ブラケット21は、一定の間隔をおいて対向した2枚の同形の矩形型プレート21A,21Aと、2枚の矩形型プレート21A,21Aの上端部に架設された略円環型の取付部21Bと、から構成されている。さらに、図6に示すように、矩形型プレート21Aの中央に第1ローラー22Aと、この第1ローラー22Aに隣接して水平方向へずれた位置に第2ローラー22Bと、第1ローラー22Aに隣接して鉛直下方へずれた位置に第3ローラー22Cと、第1ローラー22Aから距離をおいて第2ローラー22Bとは反対の位置近傍に第4ローラー22Dが、それぞれ2枚の矩形型プレート21A,21Aの間で水平な回転軸(図示省略)まわりを回転可能に支持されている。さらに、第3ローラー22Cから第4ローラー22D側へ水平にずれた位置近傍で、第5ローラー23Aが回転可能にアジャスター23Bを介してブラケット21に連結されている。
ここで、図8(A)及び(B)はホルダー40の側面図であり、ホルダー40は、例えば、支持手段30の先端部に取り付けられる取付部41と、この取付部41に固定され坩堝90等を載せるテーブル部42と、取付部41に対して軸43Aまわりに回動可能に取り付けられテーブル部42に載せた坩堝90を動かないようにロックする可動部43と、可動部43におけるロックを解除するように可動部43をテーブル部42から離れる方向へ付勢するばね部材(図示省略)と、を備えている。
なお、可動部43は、後述するように、制御手段80のワイヤ82によってロックがコントロールされる。
昇降用ガイド15は、図2〜4に示すように、ベース部材11上に立設した案内シャフト15Aを備えている。台座部16は、この案内シャフト15Aにガイドされて上下動する。案内シャフト15Aは例えばねじ軸として構成されており、このねじ軸を挿通させるための貫通孔16A(図4参照)が台座部16に形成されていて、ボールを介してネジ軸と連結するボールねじナットが台座部16の貫通孔16Aに取り付けられている。また、つまみ15Bをまわすとその回転力をねじ軸の回転に変換する駆動部15Cが案内シャフト15Aに連結されている。さらに、台座部16は、後述の筒状部材61を挿通させるための貫通孔16B(図4参照)を備えている。よって、台座部16の一側を貫通するようネジ軸が設けられ、他側を貫通するよう筒状部材61が設けられているため、台座部16は向きを一定にした状態で上下へ移動する。このように、台座部16はベース部材11に対する距離を可変に構成されているが、これらの台座部16とベース部材11とは例えば伸縮可能な蛇腹形状の筒型のシール部材18(図2及び図4参照)で連結されている。即ち、シール部材18は、台座部16とベース部材11との間で後述の筒状部材61を気密的に覆っている。
なお、台座部16を上下動させる機構は、本実施形態例に限られるものではなく、上記の案内シャフト15Aをねじ軸の代わりに表面にねじを切っていない棒材をベース部材11に固定して用い、さらに台座部16を上下へ牽引する部材を駆動部に設けてもよい。
この筒状部材61の基端部61Aに、図3及び図6に示すようにガイド手段20が固定されている。
この構成によって、コラム50周りに第1操作部材62を回転させると、第1の従動マグネット63Bが第1の駆動マグネット63Aの回転に追従するため、筒状部材61が仮想Z軸まわりに回転して、ガイド手段20を回転させることができる。
なお、第1操作部材62がコラム50に対して上下に移動することを規制するために、例えば、図示省略するストッパーをコラム50の表面に設けるとよい。
この調整手段70は、第2操作部材71と、第2のマグネットカップリング72と、を備えている。
以上のように構成された制御手段80によれば、第2操作部材71に対してハンドル部81Cをガイド孔74に沿って移動させることで、ホルダー40の可動部43に回動動作を与えることができる。
図2に示すように、第2操作部材71がコラム50の上端部寄りにあり、ハンドル部81Cがガイド孔74の横孔74Aにあるとき、ホルダー40は図3中の位置POに配置される。この状態から調整手段70の第2操作部材71をコラム50に対して下方へ移動させると、第2のマグネットカップリング72によって支持手段30の上端部30Aが押し下げられ、これにより、トランスファーチャンバ5内ではガイド手段20から支持手段30がさらに延出して長くなる。そして、第2操作部材71を最下点まで押し下げると、チャンバ内での支持手段30の長さLが最長になり、ホルダー40はガイド手段20が対向している開口52A及び管フランジ52Bで成る搬送ポートを通過して隣接するチャンバα内の位置P1まで移動する。
このように周辺機器に設計の自由度をもたらすことが出来るので、本実施形態に係る真空搬送機構10は、真空装置の標準規格であるICF規格に対応することが可能であり、汎用性を持っている。
この真空搬送機構10Aによっても、前述の真空搬送機構10と同様に、一本のトランスファーロッドを成す支持手段30、即ち板ばねで成る部材だけで、試料を隣接するチャンバへ搬送することができる。
上記の真空搬送機構10,10Aにおける調整手段70は、一本の直線状の支持手段30をガイド手段20で折り曲げ、コラム50内における支持手段30の上端部30Aの高さの位置を変えることで、ガイド手段20から繰り出される長さLが変わるように構成されている。このような調整手段70に代えて、例えば、支持手段として弾性の高い素材を渦巻き状にまいて成るぜんまいばねを利用してもよい。このぜんまいばねは、例えば、コラム50の内部の一定の位置で回転可能に配設され、その先端側は筒状部材61及びガイド手段20内を経由するように配索されてホルダー40に連結される。この場合、ガイド手段20から繰り出されるぜんまいばねの長さを調整するために、コラム50の外側にハンドルが設けられ、このハンドルがマグネットカップリングによってぜんまいばねに磁気結合される。例えば、円盤状の駆動側及び従動側の各磁石が平面を対向するようにコラム50を介して並設され、駆動側の磁石にハンドルが取り付けられ、従動側の磁石に渦巻き状態のばね基端部側が固定されて、ハンドルを磁石でなる円盤の中心まわりに回転させることで、ぜんまいばねの基端側の巻き回数を変えることができる。これにより、ガイド手段から繰り出されるばねの長さを調整できる。
このような真空搬送機構では、前述の真空搬送機構10,10Aのように板ばねの上端部30Aを上下にストロークさせるためにコラム50を高く形成しなくてもよいので、さらに、トランスファーチャンバを小型化することができる。
例えば、前述の真空搬送機構10,10Aの支持手段30は、2本の板ばね31,31を組み合わせて構成されているが、ばね定数を考慮した所定の厚みの一本の板ばねだけで構成してもよい。
例えば、ホルダーは可動部43を備えずに、先端部が二股状に分かれたフォーク形状に形成されてもよい。このようなホルダーを利用する場合、前述のワイヤ82が不要となり、制御手段80も省略することができる。
また、ホルダーはその先端部で基板などの試料を摘むことができるように、二つの爪部を備え、一方の爪部が他方の爪部から離れるようにばね部材で付勢されていて、この付勢力に抗して他方の爪部を一方の爪部に当接させるようワイヤ82によって牽引されるように構成されてもよい。
上記構成例では、回転手段60の第1操作部材62を回転させると、支持手段30を成すばね部材の弾力性によって調整手段70を仮想Z軸まわりに回転させているが、第1操作部材62と第2操作部材71を直にリンク部材で連結させて両者を一体で回転させるように構成してもよい。
支持手段は二つの板ばねを組み合わせて断面を凹状に形成されていてもよい。
また、板ばねを除いて真空搬送機構を成す各構成部材はトランスファーチャンバと同様にステンレス鋼で形成されるが、その他の材料で作製されてもよい。
トランスファーチャンバに連結されるプロセスチャンバは、本書で例示した以外の処理を行うためのものでよいことは勿論である。
2 プロセスチャンバ
3 ロードロックチャンバ
4 台車
4A フレーム
4B キャスター
5 トランスファーチャンバ
10,10A 真空搬送機構
11 ベース部材
15 昇降用ガイド
15A 案内シャフト
15C 駆動部
16 台座部
16A,16B,57A,110A,111A 貫通孔
18 シール部材
20 ガイド手段
21 ブラケット
21A 矩形型プレート
21B 取付部
22A 第1ローラー
22B 第2ローラー
22C 第3ローラー
22D 第4ローラー
23A 第5ローラー
23B アジャスター
30 支持手段
31 板ばね
40 ホルダー
41 取付部
42 テーブル部
43 可動部
43A 枢軸
50 コラム
50A 大径部
51 トランスファーチャンバの縦壁
52 接続口
52A,53A 開口
52B,53B,54,56A〜56C 管フランジ
53 トランスファーチャンバの上面
55 アクリル板
56 トランスファーチャンバの下面
56D ガス導入バルブ
56E 真空ゲージ
57 蓋部材
60 回転手段
61 筒状部材
61A 筒状部材の基端部
61B 筒状部材の上端部
62 第1操作部材
63 第1のマグネットカップリング
63A 第1の駆動マグネット
63B 第1の従動マグネット
70 調整手段
71 第2操作部材
72 第2のマグネットカップリング
72A 第2の駆動マグネット
72B 第2の従動マグネット
72C 取付ブラケット
72D 第1摺動部材
74 ガイド孔
74A 横孔
74B 縦孔
80 制御手段
81 第3操作部材
81A 第2摺動部材
81B ピン
81C ハンドル部
82 ワイヤ
82A 基端部
83 第3のマグネットカップリング
83A 駆動マグネット
83B 従動マグネット
84 第3摺動部材
90 坩堝
110 ロアベース部
111 アッパベース部
Z 仮想の鉛直軸
L 仮想の直線
PO,P1 位置
S1 中空領域
S2 間隙
Claims (6)
- 複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、
試料を支持するホルダーと、
長尺の板ばねで成り、上記トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びて上記ホルダーを先端部で支持する支持手段と、
上記支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、
上記ガイド手段が上記複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるよう上記ガイド手段を回転する回転手段と、
上記ガイド手段から繰り出される上記支持手段の長さを調整する調整手段と、を備えていることを特徴とする、真空搬送機構。 - 前記トランスファーチャンバは、上壁の上方へ或いは下壁の下方へ突出し中空の内部がトランスファーチャンバ内と連通し先端が閉塞された筒状のコラムを備え、
前記回転手段は、前記トランスファーチャンバ内に基端部が位置するよう上記コラム内に配設される筒状部材と、上記コラムの外側に配置され第1のマグネットカップリングを介して筒状部材と磁気結合された第1操作部材と、を備え、
前記ガイド手段は、上記筒状部材の基端部に固定されており、
上記第1操作部材を上記コラム周りに回転させると、上記筒状部材が上記第1操作部材に従動して前記ガイド手段が回転することを特徴とする、請求項1に記載の真空搬送機構。 - 前記板ばねは前記筒状部材内を貫通し、中間部が前記ガイド手段で折り曲げられて先端側が前記トランスファーチャンバ内で水平状に延びており、
前記調整手段は、前記コラム内で前記筒状部材の上端から突出した前記板ばねの上端部と第2のマグネットカップリングを介して磁気結合され前記コラムの外側に配設される第2操作部材と、を備え、
前記コラムに対して上記第2操作部材を上下に移動させると、前記板ばねの上端部が上記第2操作部材に従動して、前記トランスファーチャンバ内で前記ガイド手段から繰り出される前記板ばねの長さが変わることを特徴とする、請求項2に記載の真空搬送機構。 - 前記コラムを昇降させる昇降手段を備え、
上記昇降手段が、前記コラムを支持し前記筒状部材が挿通可能な貫通孔を有する台座部と、この台座部の昇降をガイドする昇降用ガイドと、を備え、
上記台座部の貫通孔を貫通した前記筒状部材における上記台座部と前記トランスファーチャンバとの間で露呈する部分が、上記台座部と前記トランスファーチャンバとの間に設けられたシール部材で気密的に覆われていて、
上記昇降手段によって前記コラムを昇降させると、当該コラムの外側に配設された前記第1操作部材に前記筒状部材が従動して、前記ガイド手段が上下に移動することを特徴とする、請求項3に記載の真空搬送機構。 - 複数のプロセスチャンバを周囲に接続した試料搬送用のトランスファーチャンバに設けられる試料搬送用の機構であって、
試料を支持するホルダーと、
二つの板ばねを組み合わせて断面V字型又は凹状に形成されており、上記トランスファーチャンバ内で水平方向へ直線状に延びて上記ホルダーを先端部で支持する支持手段と、
上記支持手段の延出方向をガイドするガイド手段と、
上記ガイド手段が上記複数のプロセスチャンバのそれぞれに臨む方向を変えるよう上記ガイド手段を回転する回転手段と、
を備えていることを特徴とする真空搬送機構。 - 複数のプロセスチャンバと、これらの複数のプロセスチャンバを周囲に接続したトランスファーチャンバと、を備えたマルチチャンバシステムであって、
上記トランスファーチャンバが、請求項1〜5の何れかに記載の真空搬送機構を備えたことを特徴とする、マルチチャンバシステム。
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