JP4992878B2 - 交通信号制御システム、信号制御装置 - Google Patents
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Description
このFAST制御は、緊急車両が通過できるまで青信号を表示し続けるという通常とは異なる動作をするため、緊急車両の通行する方向と交差する側の交通流において渋滞が発生する確率が高くなってしまうが、交差側の交通流をある程度犠牲にしてでも、緊急車両の社会的使命に配慮して、その走行を優先することを狙った交通信号制御方法である(特許文献1参照)。
すなわち、単に緊急車両が接近してきた交差点でFAST制御を行うだけでは、緊急車両がスムーズに走行できないケースがありうる、という問題がある。
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、緊急車両がより一層スムーズに走行できるように支援する交通信号制御システムを提供することを目的とする。
なお、ここで第三の交通信号制御機において増加させる青信号時間は、第二の交通信号制御機において増加させる前記所定時間と全く同一の時間でなくてもよい。例えば第二の交通信号制御機において増加させる時間が20秒なら、第三の交通信号制御機において増加させる時間は16秒(あるいは22秒)等という風に多少相違していても良く、動作するサイクル長等に応じて道路R2に与えるオフセット値が適切なものであれば良い。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る交通信号制御システムにおけるシステム構成の概要を示す模式図である。
図1のように、道路R1上には連続して4つの交差点A乃至Dが配置されている。
そして、この4つの交差点には、道路R1上を下り方向(交差点Aから交差点Dに向かう方向を下り方向という。)に進行する車両に対して通行権を表示する信号灯器が設置されており、さらにその信号灯器を制御する交通信号制御機1A乃至1Dが設置されている。
また、下り方向の車線には、下り方向に進行する車両との間で路車間通信を行うために、光ビーコン2A乃至2Dが設置されており、それぞれ交差点A乃至Dに流入する車線の上流側に配置されている。
なお、光ビーコン2A乃至2Dからアップリンク情報を受信するのは、信号制御装置5でなくてもよく、信号制御装置5と同一のネットワークに接続されている情報提供装置等(図示せず)であっても良い。この場合、アップリンク情報を受信した前記情報提供装置等が信号制御装置5に当該アップリンク情報を転送等すれば良い。
通常、この信号制御指令情報には1サイクル分の信号表示についての指示が含まれており、具体的には、1サイクルのサイクル長、各方路に割り当てる青信号の時間であるスプリット、1サイクルの開始時刻と基準時刻とのズレであるオフセット、右折感応制御やジレンマ感応制御等の地点感応制御実行可否についての指示等が含まれている。この信号制御指令情報を受信した交通信号制御機は、1サイクルの開始直前の時点で到着している最新の信号制御指令情報に基づいて、当該1サイクルにおける信号制御プランを決定し、当該信号制御プランに含まれる各信号灯色の表示時間に従って各信号灯器を制御する。
例えば、所定期間における交通量(例えば5分間の交通量)や平均走行速度によって各道路における飽和度等の交通需要を把握し、その交通需要に応じて互いに交差する各道路に割り当てる青時間の長さ等を決定する。
なお、1サイクルとは、信号機の表示が一巡する期間のことを指し、通常は主道路側に対して青信号の表示を開始した時から、再び主道路側に対して青信号の表示を開始する直前までの期間をいう。
すなわち、道路R1の車両に対して青信号を表示しているのであれば、その青信号を表示することが許される最大延長秒数(通常は100秒程度)一杯まで延長可能なように制御する。また、道路R1の車両に対して赤信号を表示しているのであれば、その赤信号を最低でも表示しなければいけない最低保証秒数(通常は10秒程度)で早急に打ち切って(既に最低保証秒数以上赤信号を表示していたのであれば直ちに打ち切って)、青信号に切り替えると共に、当該青信号を最大延長秒数一杯まで延長可能なように制御する。
例えば、前記実行指示情報を受信する前に予定していた青信号の表示予定時間が30秒であったのに対し、FAST制御モードに移行したために30秒を超えて青信号を表示し続けていたのであれば、直ちに青信号の表示を打ち切る。また、青信号を表示し始めてから30秒未満の状態で前記停止指示情報を受信したのであれば、FAST制御を実行する前の予定に従って、青信号を表示し始めてから30秒間は青信号を継続するように制御すれば良い。
図1の交通信号制御機1Aでは、その交差点の上流側に位置する光ビーコン2Aからのアップリンク情報に基づいて、FAST制御が実行される。そして、交差点Aを通過した後、光ビーコン2Bからのアップリンク情報に基づいてFAST制御を停止する。これらの手順を以下に説明する。
まず、光ビーコン2Aは、路車間通信によってアップリンク情報を受信するとただちに信号制御装置5に送信する。
信号制御装置5は図4に示すような構成であり、通信インタフェース521を通じて常時これらのアップリンク情報を受信できるようになっており、受信したアップリンク情報は受信時刻と共に、メモリ511やハードディスク512等の記憶部に蓄積していく。
この場合、信号制御装置5のCPU501等の演算部は、受信したアップリンク情報の車両ID情報を参照し、当該車両ID情報の車種に関する情報を取得する。なお、車両IDは数値や文字列によって構成されており、その車両IDに含まれる数値等に基づいてその車両の車種を識別することが可能となっている。
もし、緊急走行中であれば、信号制御装置5は交差点AにおいてFAST制御を実行すべき状況であると判断する。なお、ここで述べた以外の条件(例えば時間帯や交通状況等)を考慮するとFAST制御を実行すべきではないと判断される場合には、FAST制御を実行しない場合があっても良い。例えば、信号制御装置5の記憶部に予めFAST制御を実行すべき時間帯が設定されている場合には、当該時間帯以外の時間帯であればFAST制御を実行しないことがあっても良い。
この情報を受信した交通信号制御機1Aは、前述の通り、実行指示情報受信時に道路R1の車両に対して青信号を表示していたのであれば、当該青信号を最大延長秒数一杯まで延長可能なように制御し、一方、赤信号を表示しているのであれば、その赤信号を最低保証秒数で打ち切って青信号に切り替えた後、当該青信号を最大延長秒数一杯まで延長可能なように制御する。そして、FAST制御の実行を開始した旨の通知情報を信号制御装置5に対して送信する。
交通信号制御機1AがFAST制御を実行している間に、光ビーコン2Bから緊急車両Pのアップリンク情報を受信したら、信号制御装置5は、緊急車両Pが交差点Aを通過し終えたと判断し、交通信号制御機1Aに対してFAST制御を停止するよう指示する停止指示情報を送信する。
交通信号制御機1Aは、前述の通り、停止指示情報を受信するとFAST制御を中止し、通常通りの制御を再開する。
このようにして、緊急車両Pが道路R1を下り方向に進行する間に、交差点A乃至Dにおいて順次FAST制御が実行される。
前述の通り、緊急走行中の緊急車両Pが交差点Aに接近した場合、信号制御装置5は交通信号制御機1Aに対して実行指示情報を送信してFAST制御を実行させるが、本発明の交通信号制御システムでは、交差点B乃至交差点Dに設置された交通信号制御機1B乃至1Dに対しても別途交通信号制御に関する指示を与える。
例えば、交差点B等付近に設置される車両感知器(図示せず)から収集される感知器情報から把握される交通需要に応じて、一旦、交差点B乃至Dにおいて道路R1方向の青時間が40秒、道路R1と交差する方向の青時間が30秒と決定された場合、信号制御装置5は、交差点AでFAST制御を実行しているのであれば、道路R1方向の青時間を50秒、道路R1と交差する方向の青時間を20秒と変更して、信号制御指令情報を作成し、交通信号制御機1B乃至1Dに対して送信する。なお、この場合、道路R1方向の青時間のみを50秒に増加させ、道路R1と交差する方向の青時間を30秒のままとしても良い。この場合のサイクル長は、通常の場合に比べて10秒分長く設定される。
しかし、本発明の交通信号制御システムであれば、道路R1方向の青時間を通常よりも長めに設定するだけであるので、緊急車両Pの進行方向の交通流を円滑なものにして緊急車両Pが先詰まりによって進行を阻まれる確率を低減しつつ、緊急車両Pの予定進路と交差する側の道路の交通流に対する影響を必要限度にとどめることが可能となる。
また、緊急車両Pが交差点Aで左折等してしまった場合、交差点B等の信号制御方法を、緊急車両Pを優先的に通過させるために変更することは無益となってしまうが、本発明の場合には交差点B等における交差側道路の交通流に対する影響を必要限度にとどめることができるという点においても有利である。
例えば、緊急車両の道路R1方向に進行する緊急車両からのアップリンク情報を、光ビーコン2Aで受信したのであれば、FAST制御を実行すべき交差点が交差点Aであり、青信号を増加させる交差点が交差点B乃至Dである、ということを示すパターンテーブルを予め信号制御装置5に記憶させておいても良い。この場合、光ビーコン2Aで緊急車両からアップリンク情報を受信したら、FAST制御を実行する交差点が交差点A(交通信号制御機1A)であり、青信号を増加させる交差点は交差点B、CおよびD(交通信号制御機1B、1Cおよび1D)であることをこのパターンテーブルから読み出して、各種指示情報等を作成するようにすれば良い。
例えば、ある緊急車両が、光ビーコン2A通過後に、光ビーコン2B、2Cおよび2Dの順番にアップリンク情報を受信したのであれば、当該緊急車両の進路は交差点A乃至Dを順番に通過する経路であったとして進路実績テーブルに記憶する。
同様にして複数台の緊急車両の進路実績を進路実績テーブルに格納していき、進路として頻度の高かったものを緊急車両の予想進路として決定する方法でも良い。
例えば、交差点Cで左折して道路R2上を交差点Eに向かって進行する緊急車両の割合が交差点Cを直進して交差点Dに向かう割合と比較して少なくないのであれば、交差点B乃至Dの道路R1方向の青時間と同時に、交差点Eの道路R2方向(緊急車両Pが交差点Eを通過するとした場合の予想進行方向)の青時間を増加させるようにすることが望ましい。
交通信号制御システムでは、信号制御装置5が制御の対象とする複数の交通信号制御機をいくつかのグループ(当該グループのことをサブエリアという。)に分けて、各サブエリアに属する交通信号制御機に対しては、同一のサイクル長で動作するように指示する信号制御指令情報を送信するという交通信号制御方法が用いられることがある。
同一のサイクル長で動作させることで、当該サブエリア内の交通信号制御機が青信号を表示している時間帯にこれらの交通信号制御機の設置された全ての交差点を、できるだけ多くの車両が通過できるように、交通信号制御機間の信号表示開始時刻に適切なオフセットを持たせる系統制御を行うことが可能になる。図2は系統制御の概念を示す図である。
図1において、例えば緊急車両Pが交差点Aに接近したことに応じて交通信号制御機1Aに対してFAST制御を指示すると共に、交差点B乃至Dの交通信号制御機1B乃至1Dに対して道路R1方向の青信号時間(例えば10秒)の増加を指示した場合を考える。
交差点Cに隣接する交差点Eの交通信号制御機1Eとさらにその隣の交差点Fに設置された交通信号制御機1F(図示せず)が交通信号制御機1Cと同一のサブエリアであり、道路R2方向の青信号の表示時間に適切なオフセットを与えているとする(図2(a)参照)。この場合、青信号の開始時刻に与えたオフセットにより、道路R2のスルーバンドが確保されるように交通信号制御が行われている。
具体的には、例えば図3のように、交通信号制御機1Eと1Fの道路R2方向の赤信号時間(道路R2に交差する側の青信号時間)を、交通信号制御機1Cの道路R2方向と同様に増加させることができる。こうすることで道路R2方向のオフセットが適切な値となり、道路R2方向のスルーバンドが狭くなるのを防ぐことができるようになる。
2A乃至2D 光ビーコン
5 信号制御装置
Claims (3)
- 第一の交差点において交通信号制御を行う第一の交通信号制御機と、
当該第一の交通信号制御機に対する指示である第一の指令情報を送信する信号制御装置と、
前記第一の交差点に接続される道路上に設置された第一の路上通信装置とを備え、
前記第一の路上通信装置が緊急車両からアップリンク情報を受信したことに応じて送信される前記第一の指令情報には、当該緊急車両の進行方向の青信号をその緊急車両が前記第一の交差点を通過し終えたと認識するまで延長し続ける制御方法であるFAST制御を実行するように指示する情報が含まれている交通信号制御システムにおいて、
前記信号制御装置は、さらに、
前記緊急車両が前記第一の交差点通過後に通過すると予想される第二の交差点に設置された第二の交通信号制御機に対して前記FAST制御とは異なる制御方法を指示する第二の指令情報を送信可能であり、
前記アップリンク情報の受信に応じて送信される前記第二の指令情報には、前記緊急車両が進行すると予想される方向の青信号の表示期間を交通需要に応じて決定される通常時の表示時間よりも所定時間分増加させるように指示する情報が含まれること
を特徴とする交通信号制御システム。 - 前記信号制御装置は、
制御の対象である複数の交通信号制御機が複数のサブエリアにグループ化されている場合に、一のサブエリアに属する交通信号制御機が複数の場合にこれらの交通信号制御機の所定の方向の青信号の開始時刻に適切なオフセットを与えて系統的に動作するように指示するものであり、
前記アップリンク情報の受信に応じて前記第二の交通信号制御機と同一のサブエリアに属する第三の交通信号制御機に対して送信される第三の指令情報には、前記第二の交通信号制御機において青信号の表示時間が増加する方路に対応した方路の青信号時間を前記所定時間分増加させるように指示する情報が含まれること
を特徴とする請求項1に記載の交通信号制御システム。 - 請求項1又は2のいずれか1つに記載の交通信号制御システムに用いられる信号制御装置。
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