[第1実施形態]
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
〔運転支援システム〕
図1に示す運転支援システム1は、車両2(例えば自動車)の運転支援の一例として、車両2の自動運転を実行するシステムである。本実施形態では、車両2として、一般車両3と、緊急車両4とを例示する。緊急車両4とは、人命救助又は火災対応等、何らかの理由により急を要する業務に利用される車両である。一般車両3とは、緊急車両以外の車両であり、緊急車両4の走行を妨げないように走行する車両である。以下では、運転支援システム1は、車両2のうち一般車両3の自動運転を実行するシステムであるとして説明する。運転支援システム1は、一般車両3に搭載される車両制御装置30と、緊急車両4に搭載される車両制御装置40と、ネットワーク回線を介して車両制御装置30,40に接続される運転支援サーバ50(運転支援装置)とを備える。なお、運転支援システム1に係る車両2として、図1には一般車両3及び緊急車両4を1台ずつ記載しているが、これらの車両は複数台であってもよい。以下では、一般車両3が複数台であり緊急車両4が1台であるとして説明する。
一般車両3の車両制御装置30は、位置情報取得部31と、目的地情報取得部32と、車両制御部33と、を備える。位置情報取得部31は、例えば一般車両3が有するGPS受信機(不図示)から一般車両3の現在地情報を取得する。位置情報取得部31は、取得した位置情報を運転支援サーバ50に送信する。目的地情報取得部32は、例えば一般車両3が有するキーパッド等の入力インターフェース(不図示)からユーザによって入力された目的地情報を取得する。目的地情報とは、一般車両3の目的地を示す情報である。目的地情報取得部32は、取得した目的地情報を運転支援サーバ50に送信する。車両制御部33は、運転支援サーバ50によって決定された制御内容に応じて一般車両3の自動運転を制御する。車両制御部33は、例えばアクセルアクチュエータ(不図示)を制御することにより一般車両3のアクセルの開度を調節し、ブレーキアクチュエータ(不図示)を制御することにより一般車両3のブレーキの作動状態を調節し、ステアリングアクチュエータ(不図示)を制御することにより一般車両3の舵角を調節する。
緊急車両4の車両制御装置40は、位置情報取得部41と、目的地情報取得部42とを備える。位置情報取得部41は、例えば緊急車両4が有するGPS受信機(不図示)から緊急車両4の現在地情報を取得する。位置情報取得部41は、取得した位置情報を運転支援サーバ50に送信する。目的地情報取得部42は、例えば緊急車両4が有するキーパッド等の入力インターフェース(不図示)からユーザによって入力された目的地情報を取得する。目的地情報とは、緊急車両4の目的地を示す情報である。目的地情報取得部42は、取得した目的地情報を運転支援サーバ50に送信する。上述したように、本実施形態では、運転支援システム1が一般車両3の自動運転を実行するとして説明するが、運転支援システム1が緊急車両4の自動運転についても実行するものであってもよい。この場合には、緊急車両4の車両制御装置40は、自動運転を制御する構成(上述した車両制御部33に相当する構成)を備えていてもよい。
運転支援サーバ50は、地図データベース51(車線変更情報記憶部)と、経路特定部52(位置特定部)と、車両特定部53と、制御決定部54とを備える。
地図データベース51は、地図データを記憶するデータベースである。地図データベース51は、地図データとして、車線区間情報D1と、車線変更情報D2とを記憶している。図2に示すように、地図データにおいては、道路車線LNが複数の区間(例えば図2に示す「車線区間L009」等)に分割されている。車線区間情報D1は、分割された各車線区間を一意に特定する情報である。車線変更情報D2は、各車線区間の属性を示す情報である。車線変更情報D2には、後述するように車線区間毎に左右の車線への車線変更可否を規定する情報が含まれている。すなわち、地図データベース51は、車線区間毎に隣接する車線への車線変更可否を規定する車線変更情報を記憶している。
図3に示す車線区間情報D1は、一例として図2の車線区間L010の車線区間情報を示している。車線区間情報D1は、レーンID、座標点列、進入側レーンID、退出側レーンID等を含む。レーンIDは、車線区間に固有のID(「L010」)である。座標点列は、車線区間を構成する点の座標データを順に並べたデータ列(「(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)…」)である。進入側レーンIDは、車線区間の始点に連なる他の車線区間のID(「L009」)である。退出側レーンIDは、車線区間の終点に連なる他の車線区間のID(「L011」)である。
図4に示す車線変更情報D2は、一例として図2の車線区間L010の車線変更情報を示している。車線変更情報D2は、レーンID、総レーン数、レーン番号、左側レーンID、左側への車線変更可否、右側レーンID、及び右側への車線変更可否を含む。レーンIDは、当該変更情報の対象となる車線区間のID(「L010」)である。総レーン数は、同一の道路内に含まれる同一の進行方向の道路車線LN(図2参照)の総数(「3」)である。レーン番号は、車線区間が左側から何番目の車線の区間であるかを示す値(「2」)である。左側レーンIDは、当該変更情報の対象となる車線区間の左側に位置する他の車線区間のID(「L002」)である。左側への車線変更可否は、0:左側の車線が存在しない、1:左側への車線変更可、2:左側への車線変更不可のいずれかの値で示される、左側への車線変更の可否を示す情報である。右側レーンIDは、当該変更情報の対象となる車線区間の右側に位置する他の車線区間のID(「L018」)である。右側への車線変更可否は、0:右側の車線が存在しない、1:右側への車線変更可、2:右側への車線変更不可のいずれかの値で示される、右側への車線変更の可否を示す情報である。図2では、車線区間L010の左側(左側の車線区間L002との境界)にポールコーンPが複数配置されているとしている。このため、図4に示すように、車線変更情報D2において、車線区間L010から左側への車線変更可否は「2」(不可)とされている。なお、車線変更可否は、例えば区画線の種類(黄色の実線、白色の破線等)によって決定されるものであってもよい。具体的には、区画線の種類が黄色の実線である場合には、交通法規上車線変更が禁止されているため、黄色の実線の区画線で隔てられる右側車線から左側車線への車線変更可否は「2」(不可)とされる。同様に、黄色の実線の区画線で隔てられる左側車線から右側車線への車線変更可否も「2」(不可)とされる。
図1に戻り、経路特定部52は、緊急車両4及び複数の一般車両3の位置に関する情報を特定する。具体的には、経路特定部52は、緊急車両4の位置情報取得部41から送信される緊急車両4の現在地情報、及び、目的地情報取得部42から送信される緊急車両4の目的地情報を取得する。また、経路特定部52は、複数の一般車両3の位置情報取得部31から送信される各一般車両3の現在地情報、及び、目的地情報取得部32から送信される各一般車両3の目的地情報を取得する。そして、経路特定部52は、緊急車両4の現在地から所定の範囲内に一般車両3が存在するか否かを判定する。当該所定の範囲は、例えば緊急車両4のサイレンが聞こえると想定される範囲(例えば100m)に所定のバッファ(例えば200m)を加えた値とされる。当該バッファは、サイレンの聞こえる範囲が様々な環境因子によって変わるため、余裕を持って車両制御を行うこと、及び、緊急車両4のサイレンが聞こえる範囲+α(バッファ)の範囲を走行する車両を候補車両とすることで、+αの分、余裕を持った車両制御を行うこと(急な車線変更を防ぐこと)等を目的として加えられるものである。経路特定部52は、当該所定の範囲内の一般車両3を、後述する影響車両の候補車両として特定する。そして、経路特定部52は、緊急車両4及び一般車両3(詳細には候補車両)それぞれについて、上述した現在地情報及び目的地情報に基づき、走行予定経路を特定する。経路特定部52は、例えば地図データベース51を参照し、車線区間情報D1に走行予定経路を道路単位で特定する。
車両特定部53は、経路特定部52が特定した緊急車両4及び一般車両3(詳細には候補車両)の位置に関する情報に基づき、候補車両の中から、一又は複数の影響車両(図5に示す車両C3)を特定する。影響車両とは、緊急車両4の走行に影響する可能性がある車両である。具体的には、車両特定部53は、緊急車両4及び候補車両の走行予定経路に基づいて、影響車両を特定する。
経路特定部52及び車両特定部53の処理イメージについて、図5を参照して説明する。上述したように、経路特定部52は、緊急車両4の現在地から所定の範囲内の一般車両3のみを候補車両とする。図5に示す例では、破線の円で囲まれたエリアが、緊急車両4から所定の範囲内のエリアである。この場合、一般車両3のうちエリア外の車両C1は候補車両とされず、エリア内の車両C2及び車両C3が候補車両とされる。経路特定部52は、緊急車両4、並びに、候補車両とされた車両C2及び車両C3について、走行予定経路を特定する。そして、車両特定部53は、緊急車両4の走行予定経路と、候補車両である車両C2及び車両C3の走行予定経路との重なり(経路が交差する場合や経路の一部分が同じ場合)に応じて車両C3を特定する。図5において、車両C3の走行予定経路は、緊急車両4の走行予定経路TRと少なくとも一部が重なっている(例えば、破線矢印で示される車両C3の走行予定経路は、緊急車両4の走行予定経路TRと交差している)。よって、車両C3は、緊急車両4の走行に影響する可能性がある、影響車両とされる。一方で、図5において、車両C2の走行予定経路は、緊急車両4の走行予定経路TRと重なっていない。よって、車両C2は、影響車両とされない。なお、車両特定部53は、走行予定経路間の重なりを判定するに際しては、候補車両の走行予定経路と緊急車両の走行予定経路とが重なる場所へのそれぞれの車両の到達時刻を考慮してもよい。すなわち、互いに同一進行方向に向かう同一の場所を走行する走行予定経路であっても、該同一の場所への到達時刻が互いに大きく異なる場合には、これらの走行予定経路が「重ならない」と判定してもよい。
図1に戻り、制御決定部54は、影響車両の退避制御方法を決定する。制御決定部54は、対向車線走行車両用の決定ルール、複数車線走行車両用の決定ルール、又は、非複数車線走行車両用の決定ルールのいずれかに従い、影響車両の退避制御方法を決定する。制御決定部54は、走行予定経路において、影響車両が緊急車両4の対向車線を走行することとなる場合には、対向車線走行車両用の決定ルールに従い、影響車両の退避制御方法を決定する。また、制御決定部54は、走行予定経路において、影響車両が緊急車両4と同一進行方向に向かう複数車線の区間を走行することとなる場合には、複数車線走行車両用の決定ルールに従い、影響車両の退避制御方法を決定する。また、制御決定部54は、走行予定経路において、影響車両が緊急車両4と同一方向に向かう同じ一車線の区間を走行することとなる場合には、非複数車線走行車両用の決定ルールに従い、影響車両の退避制御方法を決定する。
制御決定部54は、上述した同一進行方向に向かう複数車線走行車両用の決定ルールに従い影響車両の退避制御方法を決定する場合、車線変更情報を含んだ車線変更情報D2に基づいて、影響車両の退避制御方法を決定する。具体的には、制御決定部54は、車線変更情報に基づいて、緊急車両の走行に影響しない退避車線への車線変更が可能である場合に、該退避車線へ車線変更することを、影響車両の退避制御方法に決定する。退避車線とは、例えば追い越し車線以外の車線であり、同一進行方向に向かう3車線以上の道路においては道路の最も右側の車線以外であり、同一進行方向に向かう2車線の道路においては左側の車線である。なお、以下の記載において、「複数車線」とは、同一進行方向に向かう複数車線をいう。
運転支援サーバ50は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば運転支援サーバ50は、図6に示す制御回路170を有する。制御回路170は、一つ又は複数のプロセッサ171と、メモリ172と、ストレージ173と、通信ポート174と、入出力ポート175とを有する。
ストレージ173は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有し、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
より具体的に、ストレージ173は、車線区間毎に隣接する車線への車線変更可否を規定する車線変更情報を地図データベース51から取得することと、車線変更情報に基づいて、緊急車両4の走行に影響する可能性がある一又は複数の影響車両の退避制御方法を決定することと、を運転支援サーバ50に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。
メモリ172は、ストレージ173からロードしたプログラム及びプロセッサ171による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ171は、メモリ172と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。通信ポート174は、プロセッサ171からの指令に従って、ネットワーク回線NWを介して一般車両3の車両制御装置30、及び緊急車両4の車両制御装置40との間でデータ通信を行う。入出力ポート175は、プロセッサ171からの指令に従って、ユーザインタフェース(不図示)等との間で電気信号の入出力を行う。
〔運転支援手順〕
続いて、運転支援方法の一例として、運転支援サーバ50が実行する運転支援手順を説明する。
図7に示すように、運転支援サーバ50は、まずステップS1を実行する。ステップS1では、経路特定部52が、一般車両3の車両制御装置30から送信される一般車両3の現在地情報及び目的地情報、並びに、緊急車両4の車両制御装置40から送信される緊急車両4の現在地情報及び目的地情報に基づき、一般車両3(詳細には候補車両)及び緊急車両4の走行予定経路を特定する。
次に、運転支援サーバ50はステップS2を実行する。ステップS2では、車両特定部53が、経路特定部52によって特定された一般車両3(詳細には候補車両)及び緊急車両4の走行予定経路の重なりに応じて、影響車両を特定する。
次に、運転支援サーバ50はステップS3を実行する。ステップS3では、制御決定部54が、影響車両の退避制御方法を決定する。
次に、運転支援サーバ50はステップS4を実行する。ステップS4では、制御決定部54が、退避制御方法決定後の処理(決定後処理)を行う。
(走行予定経路特定サブルーチン)
続いて、ステップS1の走行予定経路特定サブルーチンの手順を説明する。図8に示すように、運転支援サーバ50は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、経路特定部52が、複数の一般車両3の車両制御装置30から、一般車両3の現在地情報及び目的地情報を受信すると共に、緊急車両4の車両制御装置40から、緊急車両4の現在地情報及び目的地情報を受信する。当該ステップS11が実行される前提として、複数の一般車両3の車両制御装置30から一般車両3の現在地情報及び目的地情報が送信され(ステップS110)、緊急車両4の車両制御装置40から緊急車両4の現在地情報及び目的地情報が送信される(ステップS100)。
次に、運転支援サーバ50はステップS12を実行する。ステップS12では、経路特定部52が、緊急車両4の現在地から所定の範囲内(例えば半径300m以内)に一般車両3が存在するか否かを緊急車両4の現在地と一般車両3の現在地とを比較することにより判定する。ステップS12において所定の範囲内に一般車両3が存在しないと判定された場合には、ステップS1の走行予定経路特定サブルーチンが終了する。
ステップS12において所定の範囲内に一般車両3が存在すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS13を実行する。ステップS13では、経路特定部52が、緊急車両4の現在地から所定の範囲内に存在する一又は複数の一般車両3を、候補車両として特定する。
次に、運転支援サーバ50はステップS14を実行する。ステップS14では、経路特定部52が、緊急車両4、及び、一又は複数の候補車両それぞれの走行予定経路を特定する。経路特定部52は、例えば地図データベース51を参照し、車線区間情報D1に走行予定経路を特定する。以上でステップS1の走行予定経路特定サブルーチンが終了する。
(影響車両特定サブルーチン)
続いて、ステップS2の影響車両特定サブルーチンの手順を説明する。図9に示すように、運転支援サーバ50は、まずステップS21を実行する。ステップS21では、車両特定部53が、判定前(影響車両か否かの判定前)の候補車両が存在しないか否かを判定する。ステップS21において判定前の候補車両が存在しないと判定された場合には、ステップS2の影響車両特定サブルーチンが終了する。
ステップS21において判定前の候補車両が存在すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS22を実行する。ステップS22では、車両特定部53が、判定前の候補車両から一台の候補車両を抽出する。
次に、運転支援サーバ50はステップS23を実行する。ステップS23では、車両特定部53が、抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響するか否かを判定する。車両特定部53は、例えば候補車両の走行予定経路の少なくとも一部が緊急車両4の走行予定経路の少なくとも一部と重なっている場合に、当該候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響すると判定する。例えば図5に示す例において、候補車両である車両C3の走行予定経路の一部は、緊急車両4の走行予定経路TRの一部と重なっている。この場合には、車両特定部53は、車両C3の走行が緊急車両4の走行に影響すると判定する。ステップS23において抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響しないと判定された場合には、運転支援サーバ50は再度ステップS21を実行する。
ステップS23において抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS24を実行する。ステップS24では、車両特定部53が、緊急車両4の走行に影響すると判定した候補車両を影響車両と特定する。ステップS24の実行後、運転支援サーバ50は再度ステップS21を実行する。このように、ステップS2の影響車両特定サブルーチンは、判定前(影響車両か否かの判定前)の候補車両が存在しなくなるまで繰り返し行われる。
(退避制御方法決定サブルーチン)
続いて、ステップS3の退避制御方法決定サブルーチンの手順を説明する。図10に示すように、運転支援サーバ50は、まずステップS31を実行する。ステップS31では、制御決定部54が、退避制御方法決定前の影響車両が存在しないか否かを判定する。ステップS31において退避制御方法決定前の影響車両が存在しないと判定された場合には、ステップS3の退避制御方法決定サブルーチンが終了する。
ステップS31において退避制御方法決定前の影響車両が存在すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS32を実行する。ステップS32では、制御決定部54が、退避制御方法決定前の影響車両から一台の影響車両を抽出する。
次に、運転支援サーバ50はステップS33を実行する。ステップS33では、制御決定部54が、走行予定経路において、抽出した影響車両が緊急車両の対向車線を走行することとなるか否かを判定する。対向車線か否かは、例えば緊急車両及び影響車両それぞれの走行予定経路の重なっている地点における進行方向を比較することから特定することができる。進行方向については、走行予定経路を検索した際に、各車線区間情報D1毎に進行方向情報を取得しておく。
ステップS33において影響車両が緊急車両の対向車線を走行すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS34を実行する。ステップS34では、制御決定部54が、対向車線走行車両用の決定ルールに従い退避制御方法を決定する。
図11に示すように、対向車線走行車両用の退避制御方法決定処理では、運転支援サーバ50は、まずステップS341を実行する。ステップS341では、制御決定部54が、影響車両が複数車線の道路を走行するか否かを判定する。複数車線の道路か否かは、例えば走行予定経路の総レーン数(走行予定経路が重なっている地点における図4に示す車線変更情報D2の総レーン数)から特定することができる。ステップS341において影響車両が複数車線の道路を走行すると判定された場合には、制御決定部54は制御不要である旨を決定する(ステップS342)。当該決定は、対向車線を走行しており且つ対向車線が複数車線に係る車線である場合には特段制御を行わなくても影響車両の走行が緊急車両4の走行の妨げにならない、との考えに基づくものである。
ステップS341において影響車両が複数車線の道路を走行していないと判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS343を実行する。ステップS343では、制御決定部54が、影響車両の進行方向及び対向方向の両方を含む走行車線の幅が車両3台分以上あるか否かを判定する。当該走行車線の幅は、例えば各々の車線区間情報D1に関連付けて設けられている車線幅員を規定する情報である車線幅員情報から算出することができる。
ステップS343において影響車両の進行方向及び対向方向の両方を含む走行車線の幅が車両3台分以上あると判定された場合には、制御決定部54は「左側に避けて停止すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS344)。当該決定は、車線の幅が車両3台分以上ある場合には退避スペース(緊急車両を優先的に走行させるために退避するスペース)を確保できる、との考えに基づくものである。なお、車両を停止させる際には、車両が通行可能な道路と車両が通行不可能な歩道等の場所との境界線である道路境界線(以下「道路境界線」という)を越えないように車両が停止させられる。道路境界線を越えないようにする制御は、例えば各々の車線区間情報D1に関連付けて設けられている道路境界線を規定する情報(道路境界線の座標情報等を含む。)である道路境界線情報を用いる。また、車両を停止させる際には交差点内において車両が停止しないように制御される。一方で、ステップS343において影響車両の進行方向及び対向方向の両方を含む走行車線の幅が車両3台分以上ないと判定された場合には、制御決定部54は「車道をぬける又は左側に避けて停止すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS345)。具体的には、路肩に影響車両が停止させられる。その際には、各々の車線区間情報D1に関連付けて設けられている路肩幅員を規定する情報である路肩幅員情報を用いる。また、空き地がある場合には、空き地に停止させてもよい。そして、影響車両と緊急車両との間に路肩や空き地が存在しない場合は、影響車両を左側に避けて停止させる。当該決定は、車線の幅が車両3台分以上ない場合には退避スペースが狭いため緊急車両4の走行を妨げないためには、可能な限り(路肩や空き地が存在する場合には)、車道から極力早期に影響車両を退避させることが好ましい、との考えに基づくものである。
図10に戻り、ステップS33において影響車両が緊急車両の対向車線を走行しないと判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS35を実行する。ステップS35では、制御決定部54が、抽出した影響車両が複数車線の道路を走行することとなるか否かを判定する。
ステップS35において影響車両が複数車線の道路を走行すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS36を実行する。ステップS36では、制御決定部54が、複数車線走行車両用の決定ルールに従い退避制御方法を決定する。
図12に示すように、複数車線走行車両用の退避制御方法決定処理では、運転支援サーバ50は、まずステップS361を実行する。ステップS361では、制御決定部54が、影響車両が追い越し車線を走行することとなるか否かを判定する。追い越し車線か否かは、例えば走行予定経路のレーン番号(図4に示す車線変更情報D2のレーン番号)から特定することができる。ステップS361において影響車両が追い越し車線を走行しないと判定された場合には、制御決定部54は制御不要である旨を決定する(ステップS362)。当該決定は、緊急車両4が走行する車線である追い越し車線を影響車両が走行することとならない場合には特段制御を行わなくても影響車両の走行が緊急車両4の走行の妨げにならない、との考えに基づくものである。
ステップS361において影響車両が追い越し車線を走行すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS363を実行する。ステップS363では、制御決定部54が、図4に示す車線変更情報D2の車線変更可否に基づいて、緊急車両4の走行に影響しない退避車線への車線変更が可能であるか否かを判定する。
ステップS363において退避車線への車線変更が可能でないと判定された場合には、制御決定部54は「停止せずに車道をぬけること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS364)。具体的には、次の交差点及び車線変更が可能となる地点のうち先に到来する地点までその車線を走行し続け、その地点において、交差点で左側に退避する又は退避車線に車線変更することにより、緊急車両に道を譲る。一方で、ステップS363において退避車線への車線変更が可能であると判定された場合には、制御決定部54は「退避車線へ車線変更すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS365)。
図10に戻り、ステップS35において影響車両が複数車線の道路を走行しないと判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS37を実行する。ステップS37では、制御決定部54が、非複数車線走行車両用の決定ルールに従い退避制御方法を決定する。
図13に示すように、非複数車線走行用の退避制御方法決定処理では、運転支援サーバ50は、まずステップS371を実行する。ステップS371では、制御決定部54が、影響車両が走行する車線の幅が車両3台分以上あるか否かを判定する。
ステップS371において影響車両の走行車線の幅が車両3台分以上ないと判定された場合には、制御決定部54は「停止せずに車道をぬけること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS372)。具体的には、次に交差点及び車線変更が可能となる地点のうち先に到来する地点までその車線を走行し続け、その地点において、交差点で左側に退避する又は退避車線に車線変更することにより、緊急車両に道を譲る。当該決定は、非複数車線において車線の幅が車両3台分以上ない場合には往復の車両の走行を担保した上で影響車両の退避スペースを確保することができないため緊急車両4の走行を妨げないためには車道から極力早期に影響車両をぬけさせることが好ましい、との考えに基づくものである。一方で、ステップS371において影響車両の走行車線の幅が車両3台分以上あると判定された場合には、制御決定部54は「左側に避けて停止すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS373)。なお、車両を停止させる際には、道路境界線を越えないように車両が停止させられる。道路境界線を越えないようにする制御は、例えば各々の車線区間情報D1に関連付けて設けられている道路境界線を規定する情報(道路境界線の座標情報等を含む。)である道路境界線情報を用いる。当該決定は、車線の幅が車両3台分以上ある場合には非複数車線において往復の車両の走行を担保した上で影響車両の退避スペースを確保できる、との考えに基づくものである。
ステップS34,S36,S37のいずれかの処理の実行後、運転支援サーバ50は再度ステップS31を実行する。このように、ステップS3の退避制御方法決定サブルーチンは、退避制御方法決定前の影響車両が存在しなくなるまで繰り返し行われる。
(決定後処理サブルーチン)
続いて、ステップS4の決定後処理サブルーチンの手順を説明する。図14に示すように、運転支援サーバ50は、まずステップS41を実行する。ステップS41では、制御決定部54が、一又は複数の影響車両に対して、ステップS3にて決定した退避制御方法を送信する。影響車両(一般車両3)の車両制御装置30は、運転支援サーバ50によって決定された退避制御方法に従い影響車両の制御(自動運転制御)を行う(ステップS410)。
次に、運転支援サーバ50はステップS42を実行する。ステップS42では、制御決定部54が、一又は複数の影響車両(一般車両3)の車両制御装置30から影響車両の現在地情報を受信すると共に、緊急車両4の車両制御装置40から緊急車両4の現在地情報を受信する。当該ステップS42が実行される前提として、一又は複数の影響車両(一般車両3)の車両制御装置30から一般車両3の現在地情報が送信され(ステップS411)、緊急車両4の車両制御装置40から緊急車両4の現在地情報が送信される(ステップS400)。
次に、運転支援サーバ50はステップS43を実行する。ステップS43では、制御決定部54が、受信した一又は複数の影響車両及び緊急車両4の現在地情報に基づき、すでに緊急車両4が通過した影響車両が存在するか否かを判定する。
ステップS43において緊急車両4が通過した影響車両が存在すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS44を実行する。ステップS44では、制御決定部54が、該当の影響車両(すでに緊急車両4が通過した影響車両)に、緊急車両4が通過したことを示す通過情報を送信する。影響車両(一般車両3)の車両制御装置30は、通過情報を受信すると、退避制御を終了し通常運転に戻る(ステップS412)。
次に、運転支援サーバ50はステップS45を実行する。ステップS45では、制御決定部54が、緊急車両4の車両制御装置40から緊急車両4の現在地情報を受信する。当該ステップS45が実行される前提として、緊急車両4の車両制御装置40から緊急車両4の現在地情報が送信される(ステップS401)。
次に、運転支援サーバ50はステップS46を実行する。ステップS46では、制御決定部54が、受信した緊急車両4の現在地情報に基づき、緊急車両4が目的地(ステップS11において受信した緊急車両4の目的地)に到着しているか否かを判定する。ステップS46において目的地に到着していないと判定された場合、及び、上述したステップS43において緊急車両4が通過した影響車両が存在しないと判定された場合には、運転支援サーバ50は再度ステップS1から実行する(ステップS47)。一方で、ステップS46において目的地に到着していると判定された場合には、ステップS4の決定後処理サブルーチンが終了する。
〔第1実施形態の作用効果〕
続いて、第1実施形態に係る運転支援サーバ50の作用効果について説明する。
本実施形態に係る運転支援サーバ50は、隣接する車線への車線変更可否を規定する車線変更情報を記憶する地図データベース51と、車線変更情報に基づいて、緊急車両4の走行に影響する可能性がある影響車両(一般車両3)の退避制御方法を決定する制御決定部54と、を備える。
このような運転支援サーバ50では、車線変更可否を規定する車線変更情報に基づき、緊急車両4に対する、影響車両の退避制御方法が決定される。このように、車線変更の可否を考慮して、影響車両の退避制御方法が決定されることにより、道路状況に応じて、緊急車両4が走行する車線を適切に確保することができる。また、車線変更可否に応じて退避制御方法を決定することにより、道路交通法規に従って安全に緊急車両回避を行うことができる。さらに、従来は緊急車両が視認されてから回避制御が実施されるところ、本実施形態の運転支援サーバ50では視認されたか否かによらずに退避制御方法が決定されるため、従来と比較して時間的余裕を持って回避制御を行うことができる。以上より、運転支援サーバ50によれば、道路状況に応じて、緊急車両4を適切に回避する車両制御を行うことができる。
運転支援サーバ50では、制御決定部54が、車線変更情報に基づいて、緊急車両4の走行に影響しない退避車線への車線変更が可能である場合に、退避車線へ車線変更することを決定する。これにより、緊急車両4が走行する車線をより確実に確保することができる。
運転支援サーバ50は、緊急車両4、及び緊急車両4以外の一般車両3の位置に関する情報を特定する経路特定部52と、経路特定部52が特定した緊急車両4及び一般車両3の位置に関する情報に基づき、一般車両3の中から影響車両を特定する車両特定部53と、を備える。これにより、緊急車両4及び一般車両3の位置を考慮して、緊急車両4の走行に影響する可能性がある必要最小限の一般車両3(すなわち影響車両)のみを制御の対象とすることができ、運転支援サーバ50における処理量を必要最小限とすることができる。
運転支援サーバ50では、経路特定部52が、緊急車両4及び一般車両3の走行予定経路を特定し、車両特定部53は、緊急車両4及び一般車両3の走行予定経路の重なりに応じて、影響車両を特定する。これにより、現在地だけでなく走行予定経路を考慮し、例えば走行予定経路が緊急車両4と重なる一般車両3を影響車両とすることができる。このように、未来の経路を考慮して影響車両を特定することにより、時間的余裕を持って車両制御を行うことができる。
[第2実施形態]
続いて、図15〜図18を参照して、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
上述した第1実施形態では、制御決定部54が、車線変更情報に基づいて、緊急車両の走行に影響しない退避車線への車線変更が可能である場合に、該退避車線へ車線変更することを、影響車両の退避制御方法に決定するとして説明した。これに対して、第2実施形態では、制御決定部54が、車線変更情報に基づいて、退避車線への車線変更が不可である場合であっても、所定の条件を満たす場合に、退避車線へ車線変更することを影響車両の退避制御方法に決定する。
具体的には、制御決定部54は、例えば現在走行している車線と退避車線との間に走行の障害となる物体(ポールコーン、道路鋲等を含む。以下同じ。)が存在せず、且つ、影響車両の退避制御の緊急性が高い場合に、上記所定の条件を満たすと判定し、退避車線へ車線変更することを影響車両の退避制御方法に決定する。
退避車線へ車線変更する場合に、走行の障害となる物体が存在しないか否かの判定イメージについて、図15を参照して説明する。図15に示すように、車線区間L113及びL105から進行方向前方は、車線と車線との間が黄色の実線で区切られている区間であり、それより後方は、ポールコーンPで区切られている区間である。
車線区間L103、車線区間L111、車線区間L105及び車線区間L113の車線区間情報は、図3に示す車線区間情報D1と同じ構成である。また、図16(a)に示す車線変更情報D4は、一例として図15の車線区間L111の車線変更情報を示しており、図16(b)に示す車線変更情報D5は、一例として図15の車線区間L113の車線変更情報を示している。車線変更情報D4、D5は、レーンID、総レーン数、レーン番号、左側レーンID、左側への車線変更可否、右側レーンID、及び右側への車線変更可否を含み、左側への車線変更可否及び右側への車線変更可否以外の構成については、図4で説明した構成と同じである。左側への車線変更可否は、0:左側の車線が存在しない、1:左側への車線変更可、2:左側への車線変更不可(物理)、3:左側への車線変更不可(規制)、4:左側への車線変更不可(物理かつ規制)のいずれかの値で示される、左側への車線変更の可否を示す情報であり、右側への車線変更可否は、0:右側の車線が存在しない、1:右側への車線変更可、2:右側への車線変更不可(物理)、3:右側への車線変更不可(規制)、4:右側への車線変更不可(物理かつ規制)のいずれかの値で示される、右側への車線変更の可否を示す情報である。なお、車線変更不可(物理)は、車線と車線との間に物理的に走行の障害となる物体が存在している区間に対応しており、車線変更不可(規制)は、車線と車線との間に黄色の実線等の車線変更を法律的に規制する区画線が存在している区間(車線と車線との間に物理的に走行の障害となる物体は存在しない)に対応しており、車線変更不可(物理かつ規制)車線と車線との間に物理的に走行の障害となる物体及び黄色の実線等の車線変更を法律的に規制する区画線が存在している区間に対応している。図15では、車線区間L111の左側にポールコーンPが複数配置されており、車線区間L113の左側に黄色の実線の区画線が存在している。このため、図16(a)に示すように、車線変更情報D4において、車線区間L111から左側への車線変更可否は「2」(不可(物理))とされている。また、図16(b)に示すように、車線変更情報D5において、車線区間L113から左側への車線変更可否は「3」(不可(規制))とされている。
また、制御決定部54は、影響車両の退避制御の緊急性が高いか否かを、車両特定部53が退避制御の緊急性が高い影響車両に付与する緊急フラグに基づき判定する。車両特定部53は、候補車両の中から影響車両を特定する際に、候補車両について退避制御の緊急性を判定し、退避制御の緊急性が高い候補車両について、緊急フラグを付与する。退避制御の緊急性が高い候補車両とは、例えば、緊急車両4の現在地情報及び候補車両(一般車両3)の現在地情報に基づき緊急車両4からの離間距離が所定以下である候補車両であって、まだ退避制御方法が決定されていない候補車両等である。例えば、外部環境の変化等何らかの事情により、はじめて影響車両とされる時点において既に緊急車両4と接近している候補車両等については、上記「退避制御の緊急性が高い候補車両」とされる。
〔運転支援手順〕
続いて、運転支援サーバ50が実行する運転支援手順について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態では、運転支援サーバ50が、影響車両特定サブルーチンの処理として、第1実施形態における図9に示される処理に替えて図17に示す処理を行い、複数車両走行車両用の退避制御方法決定処理として、第1実施形態における図12に示される処理に替えて図18に示す処理を行う。
図17に示すように、第2実施形態に係る影響車両特定サブルーチンにおいて、運転支援サーバ50はまずステップS601を実行する。ステップS601では、車両特定部53が、判定前(影響車両か否かの判定前)の候補車両が存在しないか否かを判定する。ステップS601において判定前の候補車両が存在しないと判定された場合には、影響車両特定サブルーチンが終了する。
ステップS601において判定前の候補車両が存在すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS602を実行する。ステップS602では、車両特定部53が、判定前の候補車両から一台の候補車両を抽出する。
次に、運転支援サーバ50はステップS603を実行する。ステップS603では、車両特定部53が、抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響するか否かを判定する。車両特定部53は、例えば候補車両の走行予定経路の少なくとも一部が緊急車両4の走行予定経路の少なくとも一部と重なっている場合に、当該候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響すると判定する。ステップS603において抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響しないと判定された場合には、運転支援サーバ50は再度ステップS601を実行する。
ステップS603において抽出した候補車両の走行が緊急車両4の走行に影響すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS604を実行する。ステップS604では、車両特定部53が、候補車両についての退避制御の緊急性を判定する。車両特定部53は、例えば、緊急車両4の現在地情報及び候補車両(一般車両3)の現在地情報に基づき緊急車両4からの離間距離が所定以下である候補車両であって、まだ退避制御方法が決定されていない(今回はじめて退避制御方法が決定されることとなる)候補車両等について、退避制御の緊急性が高い候補車両とする。
ステップS604において退避制御の緊急性が高いと判定された場合には、車両特定部53は当該候補車両について緊急フラグを付与した後に(ステップS605)、当該候補車両を影響車両と特定する(ステップS606)。一方で、ステップS604において退避制御の緊急性が高くないと判定された場合には、車両特定部53は、当該候補車両について緊急フラグを付与することなく、当該候補車両を影響車両と特定する(ステップS605)。ステップS605の実行後、運転支援サーバ50は再度ステップS601を実行する。このように、影響車両特定サブルーチンは、判定前(影響車両か否かの判定前)の候補車両が存在しなくなるまで繰り返し行われる。
図18に示すように、第2実施形態に係る複数車線走行車両用の退避制御方法決定処理において、運転支援サーバ50は、まずステップS701を実行する。ステップS701では、制御決定部54が、影響車両が追い越し車線を走行することとなるか否かを判定する。ステップS701において影響車両が追い越し車線を走行しないと判定された場合には、制御決定部54は制御不要である旨を決定する(ステップS702)。
ステップS701において影響車両が追い越し車線を走行すると判定された場合には、運転支援サーバ50はステップS703を実行する。ステップS703では、制御決定部54が、車線変更情報の車線変更可否(車線変更情報)に基づいて、緊急車両4の走行に影響しない退避車線への車線変更が可能であるか否かを判定する。
ステップS703において退避車線への車線変更が可能であると判定された場合には、制御決定部54は「退避車線へ車線変更すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS704)。
一方で、ステップS703において退避車線への車線変更が可能でないと判定された場合には、制御決定部54は当該影響車両に関して上述した緊急フラグが付与されているか否かを判定する(ステップS705)。そして、ステップS705において緊急フラグが付与されていると判定された場合には、制御決定部54は、地図データベース51の車線区間情報D1と車線変更情報D4、D5の車線変更可否とに基づき、現在走行している車線と退避車線との間に走行の障害となる物体が存在するか否かを判定する(ステップS706)。ステップS706において障害となる物体が存在していると判定された場合(車線変更可否:「2」(不可(物理))又は車線変更可否「4」(不可(物理かつ規制)))には、制御決定部54は「停止せずに車道をぬけること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS707)。具体的には、次の交差点及び車線変更が可能となる地点(下記で説明する黄色の実線の区画線は存在するが、障害となる物体が存在しない区間を含む)のうち先に到来する地点までその車線を走行し続け、その地点において、交差点で左側に退避する又は退避車線に車線変更することにより、緊急車両に道を譲る。障害となる物体が存在している区間として、例えば、図15における車線区間L111を走行している区間が該当する。一方で、ステップS706において現在走行している車線と退避車線との間に黄色の実線の区画線は存在するが、走行の障害となる物体が存在しないと判定された場合(車線変更可否:「3」(不可(規制)))には、制御決定部54は「退避車線へ車線変更すること」を当該影響車両の退避制御方法に決定する(ステップS704)。すなわち、制御決定部54は、車線変更情報に基づいて、退避車線への車線変更が不可である場合であっても、車線変更が不可の理由が、走行の障害となる物体が存在する場合に該当しなければ、退避車線へ車線変更することを決定する。走行の障害となる物体が存在しない区間としては、例えば、図15における車線区間L113を走行している区間が該当する。
上述したように、第2実施形態に係る運転支援サーバ50では、制御決定部54が、車線変更情報に基づいて退避車線への車線変更が不可である場合であっても、所定の条件を満たす場合に、退避車線へ車線変更することを、影響車両の退避制御方法に決定する。これにより、車線変更情報により車線変更が不可とされている場合であっても、道路状況等の様々な外部環境に応じて、退避車線への車線変更を柔軟に行うことができる。
具体的には、地図データベース51において、車線変更不可として3種類の違いを示す情報を規定する車線変更情報D4、D5(図16参照)が記憶されており、制御決定部54は、車線変更情報に基づき、退避車線に走行の障害となる物体が存在しない場合に、上述した所定の条件を満たすと判定している。これにより、車線変更情報により車線変更が不可とされている場合であっても、不可とされた車線に走行の障害となる物体が存在しなければ、当該車線への車線変更が行われることとなる。このことで、車線変更情報上は車線変更ができないとされている場合であっても、現実の状況に応じて車線変更が可能である場合には車線変更を行うことができ、より適切に、緊急車両4が走行する車線を確保することができる。
また、制御決定部54は、影響車両の退避制御の緊急性が高い場合に、上述した所定の条件を満たすと判定している。これにより、制御に関する時間的な余裕がない場合において、例外的に、車線変更情報上は車線変更ができないとされている車線への車線変更が可能となる。このことで、制御に関する時間がない場合において緊急車両4の走行車線を確保できない事態を回避することができる。
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記第1実施形態及び第2実施形態に限定されるものではない。
例えば、運転支援サーバが影響車両の退避制御方法を影響車両に送信し、影響車両が当該退避制御方法に従って自動運転制御を行うとして説明したがこれに限定されない。例えば、影響車両は、自動運転を行うものでなく、受信した退避制御方法を単にユーザ(運転者)に報知するものであってもよい。
また、運転支援装置の一例として運転支援サーバを例示したが、運転支援装置の各機能は、運転支援サーバと、車両側の車両制御装置とによって実現されるものであってもよいし、車両制御装置のみによって実現されるものであってもよい。つまり、車線変更情報D2、D4、D5に基づいて、緊急車両の走行に影響する可能性がある影響車両の制御方法を決定する機能は、その一部の機能が車両制御装置に含まれていてもよいし、その全部の機能が車両制御装置に含まれていてもよい。
また、緊急車両と一般車両(詳細には候補車両)の走行予定経路の重なりに応じて影響車両を特定するに際し、運転支援サーバが、緊急車両及び一般車両の現在地及び目的地を取得してそれぞれの走行予定経路を特定するとして説明したがこれに限定されない。例えば、運転支援サーバは、緊急車両及び一般車両の現在地を取得し、現在地に係る車線に対応する車線区間情報に含まれる走行方向情報から導出される走行方向に基づき、緊急車両及び一般車両の走行予定経路を特定するものであってもよい。また、影響車両は、緊急車両及び一般車両の現在地の重なりのみから特定されるものであってもよい。
また、第2実施形態の説明において、影響車両の退避制御の緊急性が高く、且つ、退避車線に走行の障害となる物体が存在しない場合に、退避車線への車線変更が不可である場合であっても退避車線へ車線変更するとして説明したがこれに限定されず、退避制御の緊急性が高いこと又は退避車線に走行の障害となる物体が存在しないことのいずれか一方の条件が満たされれば、退避車線へ車線変更することとしてもよい。
また、実施形態の全部又は一部に記載された態様は、適切に車両制御を行うこと、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。