JP4992708B2 - グラフト共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
最近、リビングラジカル重合法が注目を集めている。この方法では、分子量分布のシャープなポリマーを得ることが可能であり、更に容易にブロック化、グラフト化が可能なことから、機能性高分子としての応用が検討されている。例えば、特開2004−161873号公報には、液状成分を含まず高いイオン伝導性を有し機械的強度に優れた固体電解質の基材高分子となる多分岐高分子を提供することを目的として、主鎖と主鎖に多分岐にグラフト重合した側鎖を有する多分岐高分子であって、主鎖はガラス転移温度が60℃以上の単量体同士の共重合体、ガラス転移温度が60℃以上の単量体と結晶性の単量体との共重合体、又は結晶性の単量体同士の共重合体の何れかから成るハードセグメントで構成され、側鎖は主鎖にガラス転移温度が−20℃以下の単量体をグラフト重合又はグラフト共重合したソフトセグメントで構成されている多分岐高分子が開示されている。その製造方法は、ラジカル共重合により主鎖を合成し、原子移動ラジカル重合法(ATRP:atom transfer radical polymerization)により側鎖を合成するグラフト共重合体の製造方法が開示されている。
特開2004−161873号公報に開示されたような、ラジカル共重合で主鎖を合成し、次いでATRPで側鎖をグラフト重合させる方法では、主鎖を、一般的な開始剤であるAIBN等を用いてラジカル共重合を行っており、分子量分布の広がりの大きいマクロイニシエータが合成される。分子量分布の広がりが大きいと生体膜にはほど遠くなり、生体を模倣した機能膜とはならない。
他方、主鎖をATRPで、側鎖もATRPで合成することが考えられるが、モノマーとして用いられるクロロメチルスチレン自体がATRPのイニシエータとなるため、クロロメチルスチレンを用いてATRPでATRP用のマクロイニシエータを合成することはできない。また、主鎖を有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP:organo Tellurium−mediated Living Radical Polymerization)で、側鎖もTERPで合成する方法も、上記と同じ理由で、モノマーとして用いられるクロロメチルスチレン自体がTERPのイニシエータとなるため、クロロメチルスチレンを用いてTERPでTERP用のマクロイニシエータを合成することはできない。更に、主鎖をATRPで、側鎖をTERPで合成する方法は、ATRPで重合できるモノマーが限られているため、ATRPでTERP用のマクロイニシエータを合成することはできない。なお、理論的にはTERP→TERP、ATRP→TERPでもグラフトポリマーの合成は可能である。しかし、TERP用のイニシエータは酸素雰囲気に弱いために、TERP用マクロイニシエータを合成後、精製、保存、使用するのが困難であり、高コストになると考えられる。
本発明者らは、TERP用のイニシエータは酸素雰囲気に弱いのに対して、ATRP用マクロイニシエータは酸素や湿度などに対して非常に安定であるため容易、かつ低コストにグラフトポリマーが出来るという利点があることに着目し、本発明に到達した。
即ち、第1に、本発明は、分子量分布の狭いグラフト共重合体の製造方法の発明であり、有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて所望の主鎖構成モノマーを重合してマクロイニシエータである主鎖を合成する工程と、該マクロイニシエーターの所定部位を開始点として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により所望の側鎖構成モノマーをグラフト重合する工程とを含むグラフト共重合体の製造方法である。TERP法を用いてマクロイニシエータである主鎖を合成し、ATRP法により側鎖をグラフト重合することにより、分子量分布を狭く制御できた自己組織化によるミクロ相分離高分子を製造することができる。得られたグラフト共重合体は、主鎖部と側鎖部の親和性に差を設けることで、種々の機能性を発揮できる。
ここで、ミクロ相分離構造には、ラメラ構造、海島構造、シリンダー構造、ネットワーク構造等があり、本発明のグラフト共重合体では、これらの構造の1種以上が形成された相分離構造をとる。
本発明では、上記TERP法を用いてマクロイニシエータである主鎖を合成する工程と、ATRP法によりグラフト重合する工程の後に、得られたグラフト共重合体を所定時間以上熱処理する工程を加えることができる。熱処理により、ミクロ相分離の均一化を進めることができる。熱処理を80℃以上で行うことが好ましい。上記各種ミクロ相分離構造は、80℃では5時間以上の熱処理を行うことで均一化を進めることができる。
本発明において製造されたグラフト共重合体の分子量分布は狭く、例えばMw/Mnが1.5以下、好ましくは1.2以下とすることが可能である。グラフト共重合体の主鎖に限ってみると、主鎖のMw/Mnが1.2以下、好ましくは1.1以下とすることが可能である。このように、狭い分子量分布を有するグラフト共重合体であることがミクロ相分離の原因となっている。即ち、製造されたグラフト共重合体が、主として主鎖からなる主鎖部と、主として側鎖からなる側鎖部がミクロ相分離構造であることが可能である。特に、本発明では、主鎖部と側鎖部のミクロ相分離構造の大きさがナノオーダーであることが可能である。
ミクロ相分離構造を効率的に生じさせるには、主鎖と側鎖の親和性に差を設けることが有効である。例えば、主鎖構成モノマーが疎水性モノマーまたは疎水性モノマー混合物であり、側鎖構成モノマーが親水性モノマーまたは親水性モノマー混合物である場合が挙げられる。ただし、主鎖と側鎖の親和性に差があれば良いので、主鎖構成モノマーが親水性モノマーまたは親水性モノマー混合物であり、側鎖構成モノマーが疎水性モノマーまたは疎水性モノマー混合物である場合や、同じ親水性モノマー同士であるが親和性に差がある場合や、同じ疎水性モノマー同士であるが疎水性に差がある場合も、本発明に含まれる。
具体的には、主鎖構成モノマーがクロロメチルスチレン(CMS)を含み、側鎖構成モノマーがメチルメタクリレート(MMA)含む場合が好ましく例示される。
第2に、本発明は、分子量分布の狭いグラフト共重合体の発明であり、有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて重合された主鎖に、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)を用いてグラフト重合された側鎖を有するグラフト共重合体である。
上記のように、本発明のグラフト共重合体の分子量分布は狭く、例えばMw/Mnが1.5以下、好ましくは1.2以下であることが可能である。なお、本発明のグラフト共重合体はMw/Mnが1.5以下に限られるものではない。Mw/Mnが1.5以上のものも含まれ、例えばMw/Mnが1.8のものも製造される。グラフト共重合体の主鎖に限ってみると、主鎖のMw/Mnが1.2以下、好ましくは1.1以下であることが可能である。このように、狭い分子量分布を有するグラフト共重合体であることにより、主として主鎖からなる主鎖部と、主として側鎖からなる側鎖部がミクロ相分離構造であることが可能である。特に、本発明では、主鎖部と側鎖部のミクロ相分離構造の大きさがナノオーダーであることが可能である。
前記主鎖部と側鎖部の重量比は広い範囲で採用でき、その重量比により、ミクロ相分離構造が、ラメラ構造、海島構造、シリンダー構造、又はネットワーク構造等があり、これらの構造の1種以上が形成された相分離構造をとる。具体的には、主鎖部と側鎖部の重量比が5:95〜95:5であることが可能である。
上記のように、グラフト重合後に、熱処理をすることにより主鎖部と側鎖部のミクロ相分離構造を均一化することができ、例えばミクロ相分離構造の面積率が80%以上とすることも可能である。熱処理を十分な時間、例えば80℃で5時間以上、100℃で3時間以上、120℃で1時間以上行うことによりミクロ相分離構造の面積率が80%以上とすることが可能となる。又、120℃で5時間以上、140℃で3時間以上、160℃で1時間以上の熱処理を行うことにより、疎水領域のネットワーク構造(又はネットワーク相と呼ぶこともできる)を得ることが可能となる。
ミクロ相分離構造を効率的に生じさせるには、主鎖と側鎖の親和性に差を設けることが有効である。例えば、主鎖が疎水性モノマーで構成される疎水部であり、前記側鎖が親水性モノマーで構成される親水性部である場合が挙げられる。
本発明のグラフト共重合体では、主鎖と側鎖の機能を分離して発揮させることができる。例えば、主鎖で、機械的強度、寸法安定性、耐熱性等を機能させ、側鎖でイオン伝導性を機能させることが可能である。
第3に、本発明は、分子量分布の狭いグラフト共重合体を用いた高分子電解質の発明であり、その1つは、有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて重合された主鎖と、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)を用いてグラフト重合されイオン交換基を有する側鎖からなるグラフト共重合体からなる高分子電解質である。側鎖のプロトン交換基等のイオン交換基によって電解質として機能する。
その2つは、有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて重合された主鎖と、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)を用いてグラフト重合されたグラフト共重合体を基材とし、電解質塩を含有する高分子電解質である。ここで、前記電解質塩としては限定されないが、後述するように、リチウム電池に用いるためにはリチウム塩であることが好ましい。
第4に、本発明は、分子量分布の狭いグラフト共重合体の用途発明であり、その1つは、上記高分子電解質からなる燃料電池用高分子電解質膜であり、その2つは、上記高分子電解質からなるリチウム電池用高分子電解質であり、その3つは、上記グラフト共重合体からなる生体模倣分離膜である。
TERP法によりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成し、ATRP法によりグラフト鎖(側鎖の部分)を合成したことにより、主鎖、側鎖の分子量分布をそれぞれ狭く制御できた。これにより、自己組織化によるナノオーダーにミクロ相分離した高分子を作製することができた。得られた高分子は、主鎖部と側鎖部が相分離することで、それぞれの機能を効率良く発揮することができる。
互いに相溶しない主鎖部と側鎖部が、自己組織化により、ミクロ相分離構造を形成することから、主鎖部の持つ機能と側鎖部の持つ機能を効率よく発揮することができる。また、分子量分布の広がりが小さいことから、生体を模倣したチャネル構造を有する高分子成形体や高分子膜となりえる。主な応用例としては、燃料電池用電解質、リチウム電池用電解質、生体模倣分離膜などが挙げられる。
第2図は、実施例2で得られたグラフト共重合体のTEM写真である。
第3図は、実施例3で得られたグラフト共重合体のTEM写真である。
第4図は、実施例4で得られたグラフト共重合体のTEM写真である。
第5図は、実施例5において、80℃×3時間の熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真である。第6図は、実施例5において、140℃×3時間の熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真である。第7図は、実施例5において、各熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真より求めた、各相のおおよその面積比を示す組成図である。
主鎖となるマクロイニシエータの第1の形態としては、下記化学式(I)で表される
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示す。)モノマー(A)、及び、下記化学式(II)で表される
(式中、R5〜R7はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示し、R8は炭素数1〜4のα−ハロアルキル基、又はイニファータ基を示す。)モノマー(B)の共重合体が挙げられる。
なお、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。炭素数1〜4のα−ハロアルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、1−クロロエチル基、1−クロロプロピル基、1−クロロ−1−メチルエチル基、1−クロロブチル基、1−クロロ−1−メチルプロピル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられる。式中、nは1〜20、好ましくは2〜15の整数を示す。
また、主鎖となるマクロイニシエータの第2の形態として、下記化学式(I)で表される
(式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示す。)モノマー(A)、及び、下記化学式(III)で表される
(式中、R9〜R11はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示し、R12はアミノ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアナート基、チオール基、又はリン酸基を示す。)モノマー(C)との共重合体に、
下記化学式(IV)で表される
(式中、R13、R14はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示し、R15はモノマー(C)のR12に対応してそれぞれアミノ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアナート基、チオール基、又はリン酸基を示し、R16は炭素数1〜4のα−ハロアルキル基、又はイニファータ基を示す。)化合物(D)を修飾させて得られる直鎖高分子が挙げられる。
これは、前記のモノマー(A)とモノマー(C)を含有してなる混合物を共重合させて得られる直鎖高分子に、化合物(D)を修飾させて得られる直鎖高分子をマクロイニシエータとし、その高分子上の化合物(D)のR16の官能基をグラフト重合開始点として、この高分子上に他のモノマーをグラフト重合させるものである。第1の形態は、グラフト重合用のマクロイニシエータを、一段階の反応、即ち、主鎖を合成する共重合よって得る形態であるのに対し、第2の形態は、主鎖を合成する共重合を行い、しかる後に、その主鎖にグラフト重合開始点となる官能基R16を有する化合物(D)を修飾する二段階の反応によってマクロイニシエータを得る形態である。
本発明は、いずれの形態を用いてもよい。なお、化合物(D)の修飾は、モノマー(C)のR12と化合物(D)のR15とが有する対応する官能基、即ち、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、イソシアナート基、チオール基、又はリン酸基のいずれかを用いて行われる。
上記いずれの形態においても、共重合させる混合物のモノマーの組合せは、それぞれ一種類とした組合せに限定されず、一方を一種類とし他方を複数種類とする組合せでもよく、又、それぞれを共に複数種類とする組合せでもよい。
上記モノマーの具体例としては、スチレン基、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、塩化ビニル、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、フッ化ビニリデン、ビニルアルコール、エチレン、プロピレン、エチレンテレフタレートなどが挙げられる。
本発明のグラフト共重合体の側鎖を構成するモノマーとしては、下記化学式(V)で表される
(式中、R17〜R19はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R20は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1〜20の整数を示す。)モノマー(E)、
下記化学式(VI)で表される
(式中、R21〜R23はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R24は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアシル基を示す。nは1〜20の整数を示す。)モノマー(F)、
及び、下記化学式(VII)で表される
(式中、R25〜R27はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、ニトリル基、ハロゲン原子、又はベンジル基を示し、R28はベンゼンスルホン酸基、カルボン酸基、又はリン酸基を示す。)モノマー(G)、が挙げられる。これらモノマーは、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明のグラフト共重合体の製造において、有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて所望の主鎖構成モノマーを重合してマクロイニシエータである主鎖を合成する工程では、1以上のモノマーと、少なくとも1つのフリーラジカルソースと、制御剤とから成る混合物を重合する。
制御剤としては、例えば下記化学式(VIII)で表される
(式中、R29は、付加−分解反応においてフリーラジカル形態として放出可能な任意の基であり、R30及びR31は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子を含むヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから、それぞれ独立に選択され、R30及びR31は一緒に二重結合を形成してもよく、置換されたアルケニル部を形成してもよい、R32は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから選択され、R32がR30及び/又はR31と結合して環状構造を形成し、当該環状構造は3乃至50の非水素原子を有してもよい、Dは、硫黄、セレン若しくはテルルのいずれかを示す。)制御剤(H)が挙げられる。
本発明のグラフト共重合体の製造において、マクロイニシエータの所定部位を開始点として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により所望の側鎖構成モノマーをグラフト重合する工程では、少なくとも1つのラジカル転移可能な基を含むマクロイニシエータに、少なくとも1種のリガンドに配位している遷移金属ハロゲン化物を含む触媒により、側鎖構成モノマーをグラフト重合する。
ATRP法用の触媒としては、下記一般式
MX(L)
で表される遷移金属錯体が挙げられる。ここで、式中、Mは遷移金属であり、Xはハロゲン原子、(L)はリガンドを表す。特に、式中のMは銅原子、Xは臭素原子または塩素原子である場合が好ましく、式中の(L)は、2,2’−ビピルジル、2,2’−ビ−4−ヘプチルピリジル、2−(N−ペンチルイミノメチル)ピリジン、スパルティン、又はトリス(2−ジメチルアミノエチル)アミンから選ばれる孤立電子対を有する有機化合物が好ましい。その中で、塩化銅(I)と2,2’−ビピリジル誘導体のコンプレックス又は臭化銅(I)と2,2’−ビピリジル誘導体のコンプレックスが好ましく例示される。
[実施例1]
(1)スチレン(St)、クロロメチルスチレン(CMS)を用いて、St/CMS=19.8/0.2(mmol)とし、TERPによりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、AIBN(0.2mmol)を入れ、すぐにセプタムで栓をした。
b)St(19.8mmol)、CMS(0.2mmol)、有機テルル開始剤(0.2mmol)をシリンジで入れた。
c)マグネチックスターラーで攪拌しながら60℃のオイルバスで11h重合した。
d)反応溶液をメタノールで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(2)CMSのClを起点として、メチルメタクリレート(MMA)を用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成した。合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、マクロイニシエータ(0.30g)をNMP(3.0ml)に溶解させた。
b)MMA(2.8mmol)をシリンジで入れ、液体窒素を用いて反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
c)CuCl(0.028mmol)、bpy(0.056mmol)を入れた。
d)b)と同様に反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
e)マグネチックススターラーで攪拌しながら、90℃のオイルバスで20h重合した。
f)反応溶液をメタノールで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(3)得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した結果、Mn=7600、Mw/Mn=1.2であった。
分子量分布測定条件は以下の通り。
ポリマー0.010gをTHF 1mlに溶解させ、10μlをシリンジでGPC装置(カラム Shodex KD−804、検出器:JASCO RI−2031 Plus、流速:0.8ml/min、カラム温度40.0℃)に注入して測定した。
(4)得られた高分子ポリマーの組成をNMRにより調べた結果、Stの含有量は66mol%、MMAの含有量は34mol%であった。
NMRの分析条件は以下の通り。
ポリマー0.010gをCDCl3 1mlに溶解させ、1H NMR(JEOL No.INMG−1DS)を測定した。
(5)得られた高分子ポリマーをアセトンに超音波で溶解、乾燥させた後、熱処理(100℃×3h)を行った。
(6)リンタングステン酸で染色を行い、TEMにより観察した結果、ミクロ相分離構造(海海構造)が確認された(第1図参照)。
染色条件およびTEM観察条件は以下の通り。
染色条件:2%リンタングステン酸+2%ベンジルアルコール+96%水の溶液中に60分浸漬して染色
TEM観察条件:JEM2010(日本電子製)、加速電圧200kV
[実施例2]
(1)MMA、CMSを用いてMMA/CMS=19.8/0.2(mmol)とし、TERPによりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、AIBN(0.2mmol)を入れ、すぐにセプタムで栓をした。
b)MMA(19.8mmol)、CMS(0.2mmol)、ジメチルジテルリド(0.2mmol)有機テルル開始剤(0.2mmol)をシリンジで入れた。
c)マグネチックスターラーで攪拌しながら60℃のオイルバスで2h重合した。
d)反応溶液をヘキサンで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(2)CMSのClを起点として、Stを用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、マクロイニシエータ(0.30g)をNMP(3.0ml)に溶解させた。
b)St(2.9mmol)をシリンジで入れ、液体窒素を用いて反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
c)CuCl(0.029mmol)、bpy(0.056mmol)を入れた。
d)b)と同様に反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
e)マグネチックススターラーで攪拌しながら、90℃のオイルバスで20h重合した。
f)反応溶液をメタノールで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(3)得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した結果、Mn=7400、Mw/Mn=1.2であった。
分子量分布測定条件は実施例1と同じであった。
(4)得られた高分子ポリマーの組成をNMRにより調べた結果、MMAの含有量は71mol%、Stの含有量は29mol%であった。
NMRの分析条件は実施例1と同じであった。
(5)得られた高分子ポリマーをアセトンに超音波で溶解、乾燥させた後、熱処理(100℃×3h)を行った。
(6)リンタングステン酸で染色を行い、TEMにより観察した結果、ミクロ相分離構造(海海構造)が確認された(第2図参照)。
なお、染色条件およびTEM観察条件は実施例1と同じとした。
[実施例3]
(1)St、CMSを用いてSt/CMS=59.4/0.6(mmol)とし、TERPによりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、AIBN(0.2mmol)を入れ、すぐにセプタムで栓をした。
b)St(59.4mmol)、CMS(0.6mmol)、有機テルル開始剤(0.2mmol)をシリンジで入れた。
c)マグネチックスターラーで攪拌しながら60℃のオイルバスで24h重合した。
d)反応溶液をメタノールで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(2)CMSのClを起点として、MMAを用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)窒素ガスをシュレンク管に入れながら、マクロイニシエータ(0.30g)をNMP(3.0ml)に溶解させた。
b)MMA(5.6mmol)をシリンジで入れ、液体窒素を用いて反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
c)CuCl(0.028mmol)、bpy(0.056mmol)を入れた。
d)b)と同様に反応溶液を凍結し、真空ポンプでシュレンク管内を真空にした後、反応溶液を室温で溶解させた。この操作を3回繰り返した。
e)マグネチックススターラーで攪拌しながら、90℃のオイルバスで20h重合した。
f)反応溶液をメタノールで沈殿させ、吸引ろ過後、得られたポリマーを真空乾燥した。
(3)得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した結果、Mn=29000、Mw/Mn=1.4であった。
分子量分布測定条件は実施例1と同じであった。
(4)得られた高分子ポリマーの組成をNMRにより調べた結果、Stの含有量は39mol%、MMAの含有量は61mol%であった。
NMRの分析条件は実施例1と同じであった。
(5)得られた高分子ポリマーをアセトンに溶解、乾燥させた後、熱処理(100℃×3h)を行った。
(6)リンタングステン酸で染色を行い、TEMにより観察した結果、ミクロ相分離構造(海島構造)が確認された(第3図参照)。また、ミクロ相分離構造をとっている領域の面積率は20%以下であった。
なお、染色条件およびTEM観察条件は実施例1と同じとした。
[実施例4]
(1)St、CMSを用いてSt/CMS=59.4/0.6(mmol)とし、TERPによりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成した。
(2)CMSのClを起点として、MMAを用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成した。
(3)得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した結果、Mn=29000、Mw/Mn=1.4であった。
(4)得られた高分子ポリマーの組成をNMRにより調べた結果、Stの含有量は39mol%、MMAの含有量は61mol%であった。((1)から(4)までは実施例3と同じ)
(5)得られた高分子ポリマーをアセトンに溶解、乾燥させた後、熱処理(100℃×5h)を行った。
(6)リンタングステン酸で染色を行い、TEMにより観察した結果、ミクロ相分離構造(ラメラ構造)が確認された(第4図参照)。また、ミクロ相分離構造をとっている領域の面積率は80%以上であった。つまり、より均一にミクロ相分離構造を形成していることが確認された。
なお、染色条件およびTEM観察条件は実施例1と同じとした。
[比較例1]
(1)MMA、CMSを用いてMMA/CMS=39.6/0.4(mmol)とし、ラジカル共重合によりマクロイニシエータ(主鎖の部分)を合成した。
合成条件は以下の通り。
a)MMA39.6mmol、CMS0.4mmolを用いて、その混合物をトルエンに溶解した。
b)この溶液にAIBNを加え、アルゴンでバブリングした後、シールして80℃で30min加熱攪拌し、反応させた。
c)反応液を室温に冷却した後、メタノール中に攪拌しながら入れ、沈殿物を得た。
d)上澄みを除去し、沈殿物をトルエンに溶解させた。
e)メタノール中に入れて攪拌し、上澄みを除去し、残渣を乾燥させてマクロイニシエータを得た。
(2)Stを用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成した。
合成条件は実施例2と同じとした。
(3)得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した。
得られた高分子ポリマーの分子量分布を測定した結果、Mn=31000、Mw/Mn=2.4であった。
分子量分布測定条件は実施例1と同じであった。
各実施例により、組成をいくつか変えて検討を行った結果、ミクロ相分離構造も変化していることを確認した。つまり、組成によりミクロ相分離構造が精密制御されていることを確認した。
又、比較例1により、St、CMSを用いて、通常のラジカル共重合により主鎖となるマクロイニシエータを合成し、MMAを用いて、ATRPにより側鎖の部分を合成して得られた高分子の分子量分布(Mw/Mn=2.4)は、実施例2の分子量分布(Mw/Mn=1.2)に比べて広がっていることを確認した。
[実施例5]
実施例2で得られたMMA/CMS=99/1でSt量が39mol%(MMA/CMS61mol%)の試料を用いた。溶媒をアセトンとし、超音波(20min)で溶解させた後、マイクログリッドをホットプレート上で各熱処理条件で加熱した。熱処理条件は、80℃×3h、100℃×3h、120℃×3h、140℃×3h、100℃×5hとして実施した。その後、リンタンゲステン酸(2%リンタングステン酸(PTA)+2%ベンジルアルコールの水溶液中1h)で染色を行い、TEM(JEM−2010(日本電子製)、加速電圧:200kV)により観察した。
第5図は、実施例5において、80℃×3時間の熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真であり、(1)〜(3)は本発明の相分離構造を特徴付ける各部及びその拡大のTEM写真である。図5において、a部はネットワーク構造または海島構造(黒:MMA、白:St)、b部はMMAリッチ相(黒:MMA、白:St)、c部はStリッチ相(黒:MMA、白:St)である。a部+b部:c部=10〜20:80〜90の面積率であった。
第6図は、実施例5において、140℃×3時間の熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真であり、(1)〜(3)は本発明の相分離構造を特徴付ける各部及びその拡大のTEM写真である。図6において、a部はMMA量の多いネットワーク構造または海島構造(黒:MMA、白:St)、b部はMMAリッチ相(黒:MMA、白:St)、c部はStリッチ相(黒:MMA、白:St)、d部はSt量の多いネットワーク構造または海島構造(黒:MMA、白:St)である。a部+b部:c部+d部=10〜20:80〜90の面積率であった。
実施例5の全ての熱処理条件においてミクロ相分離構造が確認されたが、その結果をまとめると図7のようになった。第7図は、実施例5の各熱処理条件で得られたグラフト共重合体のTEM写真より求めた、各相のおおよその面積比(縦軸)を示す組成図である。
図5〜図7の結果より、全ての熱処理条件においてミクロ相分離構造が確認されたが、特に、120℃以上の熱処理により、d部のStリッチ相においても疎水領域のMMAのネットワーク構造が形成されることが分かる。なお、本実施例の試料はMMAリッチの組成であるが、Stリッチ相の120℃前後の熱処理条件の変化から、120℃以上の熱処理により、Stリッチ相においても疎水領域のMMAのネットワーク構造が形成されることが分かる。
実施例1〜5により、分子量分布を小さく制御することが可能とすることにより、親水性部と疎水性部とを効率的に分離(ミクロ相分離構造)することが可能であることが分かる。これにより、主鎖の耐久性と側鎖のプロトン伝導性を両立することが可能とすることができ、燃料電池の電解質への応用が期待できる。例えば、Stリッチ相に親水性の官能基を付加し、プロトン伝導性を可能とし、Stリッチの疎水領域のMMAのネットワーク構造に耐久性を発揮させることにより、プロトン伝導性と耐久性を兼ね備えた燃料電池用高分子電解質膜とすることができる。
Claims (11)
- 1以上のモノマーと、少なくとも1つのフリーラジカルソースと、制御剤とから成る混合物を重合する有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて所望の主鎖構成モノマーを重合してマクロイニシエータである主鎖を合成する工程と、
該マクロイニシエータの所定部位を開始点として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により主鎖構成モノマーとは異なる所望の側鎖構成モノマーをグラフト重合する工程と
を含むグラフト共重合体の製造方法であって、
前記制御剤は、下記化学式(VIII)で表され、
(式中、R 29 は、付加−分解反応においてフリーラジカル形態として放出可能な任意の基であり、R 30 及びR 31 は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子を含むヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから、それぞれ独立に選択され、R 30 及びR 31 は一緒に二重結合を形成してもよく、置換されたアルケニル部を形成してもよい、R 32 は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから選択され、R 32 がR 30 及び/又はR 31 と結合して環状構造を形成し、当該環状構造は3乃至50の非水素原子を有してもよい、Dは、テルルを示す。)
前記主鎖構成モノマー及び側鎖構成モノマーは、スチレン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びブチルメタクリレートからなる群から選択される、前記製造方法。 - 1以上のモノマーと、少なくとも1つのフリーラジカルソースと、制御剤とから成る混合物を重合する有機テルル制御リビングラジカル重合法(TERP法)を用いて所望の主鎖構成モノマーを重合してマクロイニシエータである主鎖を合成する工程と、
該マクロイニシエータの所定部位を起点として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により主鎖構成モノマーとは異なる所望の側鎖構成モノマーをグラフト重合する工程と、
得られたグラフト共重合体を所定時間以上熱処理する工程と
を含むグラフト共重合体の製造方法であって、
前記制御剤は、下記化学式(VIII)で表され、
(式中、R 29 は、付加−分解反応においてフリーラジカル形態として放出可能な任意の基であり、R 30 及びR 31 は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子を含むヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから、それぞれ独立に選択され、R 30 及びR 31 は一緒に二重結合を形成してもよく、置換されたアルケニル部を形成してもよい、R 32 は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル、置換されたヘテロ原子含有ヒドロカルビル及びこれらの組合せから構成されるグループから選択され、R 32 がR 30 及び/又はR 31 と結合して環状構造を形成し、当該環状構造は3乃至50の非水素原子を有してもよい、Dは、テルルを示す。)
前記主鎖構成モノマー及び側鎖構成モノマーは、スチレン、クロロメチルスチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びブチルメタクリレートからなる群から選択される、前記製造方法。 - 製造されたグラフト共重合体のMw/Mnが1.5以下である分子量分布を有することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 製造されたグラフト共重合体の主鎖のMw/Mnが1.2以下である分子量分布を有することを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 製造されたグラフト共重合体が、主として主鎖からなる主鎖部と、主として側鎖からなる側鎖部がミクロ相分離構造であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第4項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記主鎖部と側鎖部のミクロ相分離構造の大きさがナノオーダーであることを特徴とする請求の範囲第5項に記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記主鎖構成モノマーがクロロメチルスチレン(CMS)を含み、前記側鎖構成モノマーがメチルメタクリレート(MMA)含むことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記熱処理を80℃以上で行うことを特徴とする請求の範囲第2項乃至第6項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記熱処理を120℃以上160℃以下で行うことを特徴とする請求の範囲第2項乃至第6項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記マクロイニシエータの所定部位を開始点として原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により所望の側鎖構成モノマーをグラフト重合する工程が、少なくとも1つのラジカル転移可能な基を含むマクロイニシエータに、少なくとも1種のリガンドに配位している遷移金属ハロゲン化物を含む触媒により、側鎖構成モノマーをグラフト重合するものであることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第9項のいずれかに記載のグラフト共重合体の製造方法。
- 前記触媒が、塩化銅(I)と2,2’−ビピリジル誘導体のコンプレックス又は臭化銅(I)と2,2’−ビピリジル誘導体のコンプレックスであることを特徴とする請求の範囲第10項に記載のグラフト共重合体の製造方法。
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