以下、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる成分について詳述する。
(A)成分であるベースポリマー(エポキシ変性ポリマー)は、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する変性エポキシ樹脂である。
[式(1)中、R
1はジグリシジルエーテル型エポキシ化合物残基である二価の有機基を示し、R
2は二塩基酸残基である二価の有機基を示し、R
3及びR
4は各々独立に水素原子又は下記一般式(2);
(式(2)中、R
5は酸無水物残基を示す。)で表される基を示す。]
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンによる換算)。GPCの条件は以下の通りである。
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型[(株)日立製作所製]
検出器:日立 L−4000型UV[(株)日立製作所製]
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)[日立化成工業(株)製、商品名]
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶離液:DMF/THF=1/1 + リン酸0.06M + 臭化リチウム0.06M
試料濃度:5mg/1mL
注入量:5μL
圧力:343Pa(35kgf/cm2)
流量:1.0mL/分
この測定方法により求められる(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、塗膜性(べとつき難さ)の観点及び希アルカリ水溶液による現像性の観点から、10000〜70000であることが好ましく、30000〜50000であることがより好ましい。
(A)成分の酸価は、以下の方法により測定することができる。まず(A)成分であるベースポリマー溶液の約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、滴定結果から以下の式(I);
A=(10×Vf×56.1)/(Wp×I) (I)
を用いて酸価を算出する。なお、式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは(A)ベースポリマー溶液質量(g)を示し、Iは(A)成分であるベースポリマー溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
この測定方法により求められる(A)成分の酸価は、希アルカリ水溶液による現像性の観点から、60〜200mgKOH/gであることが好ましく、75〜100mgKOH/gであることがより好ましい。
(A)成分は、以下の方法により合成することができる。
(A)成分の合成方法は、一分子中に二つのグリシジル基を有するジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との重合反応により中間生成物を得る第一工程と、中間生成物に酸無水物を付加することにより(A)成分であるベースポリマーを得る第二工程とを含むものである。
なお、上記一般式(1)中のR1で示されたジグリシジルエーテル型エポキシ化合物残基は、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の構造中、グリシジル基を除いた部分となる。また、上記一般式(1)中のR2で示された二塩基酸残基は、二塩基酸の構造中、二塩基酸官能基を除いた部分となる。
(第一工程)
第一工程において原料として用いられるジグリシジルエーテル型エポキシ化合物として、下記一般式(3)で表される化合物を例示することができる。ここで、R
6は二価の有機基を示す。
ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中で、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、耐熱性、耐薬品性、及び硬化収縮が少ない等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
上述したジグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしては、エピコート828、エピコート1001及びエピコート1002(以上、ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしては、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしてはEBPS−200(日本化薬社製、商品名)及びエピクロンEXA−1514(大日本インキ化学工業社製、商品名)等を挙げることができる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしては、YL−6121(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしては、YX−4000(ジャパンエポキシレジン社製、商品名)等を挙げることができる。さらに、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしては、ST−2004及びST−2007(以上、東都化成社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としてはST−5100及びST−5080(以上、東都化成社製、商品名)等を挙げることができる。
これらのジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、そのエポキシ当量(1当量のエポキシ基を含む化合物のグラム重量)をJIS K 7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」により測定することができる。この測定方法により、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ当量は、希アルカリ水溶液による現像性の観点から、150〜1000であることが好ましく、180〜330であることがより好ましい。上述のジグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第一工程において原料として用いられる二塩基酸としては、ジカルボン酸が好ましい。具体的には、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、1,3−アダマンタンジカルボン酸、9,9−ジメチルサンテン−3,6−ジカルボン酸(東京化成社製)、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(Aldrich社製)などが挙げられる。これらの二塩基酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中で、第一工程において用いられる二塩基酸としては、テトラヒドロフタル酸が好ましい。
第一工程における重合反応は、常法により行うことができる。ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸との配合比は、(A)成分であるベースポリマーの分子量、希アルカリ水溶液による現像性及び貯蔵安定性の観点から、官能基当量比(カルボキシル基/エポキシ基、モル比)で1.03〜1.30であると好ましい。
第一工程における重合反応に用いられる触媒としては、例えば、ホスフィン類、アルカリ金属化合物及びアミン類等が挙げられる。具体的には、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物、ジメチルパラトルイジン、トリエタノールアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムブロマイドなどのアミン類が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中で、第一工程における重合反応に用いられる触媒としては、上記一般式(1)で表される構造を有する樹脂を効率よく合成する観点から、ジメチルパラトルイジンが好ましい。
触媒の使用量は、重合反応速度の観点から、ジグリシジルエーテル型エポキシ化合物と二塩基酸の総量100質量部に対して、1〜10質量部であると好ましい。
第一工程における反応温度は、重合反応速度の観点及び副反応の進行防止の観点から、100〜150℃であることが好ましい。
(第二工程)
第二工程においては、第一工程で合成した中間生成物と酸無水物とを反応させることにより、(A)成分であるベースポリマーを合成する。なお、上記一般式(2)中のR5で示された酸無水物残基は、酸無水物の構造中、酸無水物官能基を除いた部分となる。
第二工程において用いられる酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物、その他これらに付随する例えば5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中で、第二工程において用いられる酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
酸無水物の添加量は、現像性向上及び吸水率低減の観点から、官能基当量比(添加する酸無水物中の酸無水物基/第一工程において生成する中間生成物の水酸基、モル比)で表すと、0.6〜1.3であると好ましい。第二工程における反応温度は、反応速度の観点及び副反応を防止する観点から、80〜130℃であることが好ましい。
また、この(A)成分であるベースポリマーの合成方法において、通常、適当量の溶媒が用いられる。具体的には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン若しくはメチルシクロヘキサノン等のケトン化合物、トルエン、キシレン若しくはテトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル若しくはトリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル化合物、上記グリコールエーテル化合物の酢酸エステル化合物等のエステル化合物、エチレングリコール若しくはプロピレングリコール等のアルコール化合物、又は、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ若しくはソルベントナフサ等の石油系溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、接着力の観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、20〜80質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがより好ましい。
(B)成分である光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマーは、その組成や合成方法に特に制限はなく、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体などを使用することができる。かかるラジカル重合性共重合体は、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等の1個の官能基とを有する化合物を付加反応させて得ることができる。
前述のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル共重合体の製造に用いられる必須のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル単量体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体の製造には、必要に応じて、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有するビニル単量体以外のビニル単量体を共重合させることができる。これらのビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシルマレイミド、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体のエチレン性不飽和基濃度は、1.0×10−4〜6.0×10−3モル/gとすることが好ましく、2.0×10−4〜5.0×10−3モル/gとすることがより好ましく、3×10−4〜4.0×10−3モル/gとすることが更に好ましい。このエチレン性不飽和基濃度が、6.0×10−3モル/gを超えると、側鎖にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性共重合体を製造する際にゲル化を起こす傾向がある。一方、エチレン性不飽和基濃度が1.0×10−4モル/g未満になると、光硬化性が不十分となる傾向がある。
(B)成分である光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン換算した値)は、耐熱性、塗布性、感光性エレメントとした場合のフィルム性(フィルム状の形態を保持する特性)、溶媒への溶解性及び後述する現像工程における現像液への溶解性等の観点から、1,000〜300,000とすることが好ましく、5,000〜150,000とすることがより好ましい。
なお、(B)成分であるアクリル系ポリマーの他に、必要に応じて、光重合性不飽和基を有しない、いわゆるバインダーポリマーを併用することができる。
このバインダーポリマーとしては特に制限はなく、例えばビニル共重合体を使用することができる。ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、前述のものを用いることができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(B)成分であるアクリル系ポリマーと上述のバインダーポリマーは、後述する現像工程で使用する現像液に適した酸価を有することが好ましい。
現像液として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカリ水溶液を用いる場合には、(B)成分の酸価を50〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、50mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が低下する傾向がある。
現像液として、水又はアルカリ水溶液と1種以上の界面活性剤とからなるアルカリ水溶液を用いる場合には、(B)成分の酸価を16〜260mgKOH/gとすることが好ましい。この酸価が、16mgKOH/g未満では、現像が困難となる傾向があり、260mgKOH/gを超えると、耐現像液性が低下する傾向がある。
感光性樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、現像性の観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、20〜80質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがより好ましい。
(C)成分である無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、酸化セリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化鉄、酸化マグネシウム、二酸化珪素、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ホルミウム、酸化ビスマス等が挙げられる。
(C)成分である無機フィラーは、必要に応じてエタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、トルエン、酢酸ブチル等に分散させて配合できる。
本発明の感光性樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、現像性、接着強度及び低吸水率の全ての特性をより高水準で達成する観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、50〜150質量部であることが好ましく、70〜130質量部であることがより好ましく、80〜120質量部であることが特に好ましい。この含有量が、50質量部未満であると、吸水率が上昇する傾向があり、150質量部を超えると、現像性や塗膜性が低下する傾向がある。
(D)成分としては、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシラン及びウレイドアルキルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも2種を含むシランカップリング剤である。グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ウレイドアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(トリエトキシプロピル炭酸ジアミド)等が挙げられる。
また、本発明の特性を損ねない程度に、上記以外のシランカップリング剤を併用させることができる。上記以外のシランカップリング剤としては、有機官能基にビニル基、アミノ基、メルカプト基等があり、加水分解基にアルコキシ基、クロル基、アセトキシ基、オキシム基、イソプロペノキシ基、アミド基等を有するものが挙げられる。工業的には、加水分解反応の制御範囲が広く、ハンドリングが容易であるアルコキシ基を加水分解基に用いる場合が多い。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、解像度、密着性及び接着力の全ての特性をより高水準で達成する観点から、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、1〜40質量部であることが好ましく、5〜35質量部であることがより好ましく、10〜30質量部であることが特に好ましい。この含有量が1質量部未満であると、解像度及び密着性が低下する傾向があり、40質量部を超えると塗膜性が低下する傾向がある。
(E)成分である光重合性モノマーは、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するものである。このような光重合性モノマーとして、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられる。これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸等を用いたものが挙げられる。具体的には、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH2−CH2−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH2−CH(CH3)−O−)のブロック構造を有することを意味する。
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸等を用いたものが挙げられる。具体的には、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。
ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、及び、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。これら(E)成分は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(F)成分である光反応開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;アルキルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体;クマリン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、ベンジルジメチルケタールが特に好ましい。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物中の(F)成分の含有量は、経済性と光感度の観点から、(A)成分と(B)成分の総量100重量部に対し、1〜10重量部であることが好ましく、5〜8重量部であることがより好ましい。(F)成分が10重量部を超えるとコストが上昇する傾向があり、1重量部未満になると十分な光感度が得られなくなる傾向がある。
以上、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる(A)〜(F)成分について詳細に説明したが、必要に応じて、これら以外の成分、例えばビニル化合物、光開始剤、可塑剤、染料、顔料、イメージング剤、充填剤、密着性付与剤等を配合することができる。
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。
本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。感光性樹脂組成物層上には、該感光性樹脂組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解し、固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。感光性樹脂組成物層の厚みは用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが10μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明により奏される上述の効果が小さくなりやすく、特に可撓性及び解像度が低下する傾向にある。
感光性エレメントが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では、現像前に支持体を剥離する際、当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
上述したような支持体と感光性樹脂組成物層との2層からなる感光性エレメント又は支持体と感光性樹脂組成物層と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することもできる。
本発明の感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程と、該感光性エレメントを感光性樹脂組成物層、支持体の順に基板上に積層する積層工程と、活性光線を感光性樹脂組成物層の所定の部分に照射して感光性樹脂組成物層に光硬化部を形成させる露光工程と、光硬化部以外の感光性樹脂組成物層を除去する現像工程とを含むものである。なお、保護フィルムが設けられていない感光性エレメントの場合は、上記除去工程は行わない。ここで、基板としては、絶縁層と、絶縁層上に形成された導電体層(銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金からなる)とを備えた基板や、シリコン基板、ガラス基板等が挙げられ、シリコン基板やガラス基板が好適である。
保護フィルムを除去する除去工程後の積層工程における積層工程としては、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板等に圧着することにより積層する方法等が挙げられる。かかる積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよい。
積層工程では、感光性樹脂組成物層を加熱しながら回路形成用基板に圧着することにより積層する。積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。積層される表面は、通常、回路形成用基板の導電体層の面であるが、当該導電体層以外の面であってもよい。感光性樹脂組成物層の加熱温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa以下とすることが好ましい。なお、これらの条件に特に制限はない。感光性樹脂組成物層を回路形成基板に圧着する際に70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
露光工程では、感光性樹脂組成物層にアートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を照射した後、現像液で現像することによってレジストパターンが得られる。この際、用いられる活性光線としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを用いることができる。
現像工程では、安全かつ安定で、操作性が良好な現像液が用いられる。例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(共に1〜5質量%水溶液)等が用いられる。半導体用途など軽元素を低減する必要がある場合は、水酸化テトラヒドロアンモニウム水溶液等を用いることができる。現像の方法には、ディップ方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が解像度向上に最も適している。
以上の工程によって、レジストパターンが形成された基板は、その後、部品実装(例えば、はんだ付け)がなされ、カメラ等の電子機器に装着される。
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、基材上に形成される永久レジストとして使用されると好ましく、熱圧着により任意の基材との接着剤として用いられるとより好ましい。例えば、接着剤として用いる場合は、上記の現像工程、熱圧着工程終了後、接着性等を向上させる目的で加熱することが好ましい。熱圧着は、圧着温度130〜180℃、圧着圧力0.5〜1.5MPa、圧着時間5〜60s程度の範囲で行われることが好ましい。熱圧着後、レジストパターンを加熱する場合は、150〜180℃程度の範囲で、30〜90分間程度の範囲で行われることが好ましい。
任意の基材同士を接着する本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、十分に高い接着強度が得られるとともに、良好な現像性と十分に低い吸水率を兼ね備えるので、各種センサ用の中空パッケージ構造作製の用途に有効であり、例えば、CCD/CMOSイメージセンサの分野において、イメージセンサチップとそれを保護するガラスとの接着に好適に使用することができる。
また、上述の形成方法により得られたレジストパターンは、基材上に形成される永久レジストとして使用することもできる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
(A)成分のベースポリマー(エポキシ変性ポリマー)を以下の方法により調製した。まず、攪拌機、還流冷却機、温度計及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名:EPOMIK R140Q;三井化学社製、エポキシ当量187g/eq)67.9重量部、シクロヘキサノン15.0重量部及びトルエン10.0重量部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、140℃に加熱した状態で攪拌することにより、エポキシ樹脂に含まれる水分の還流脱水を行った。
引き続き、70℃まで降温し、これにテトラヒドロフタル酸(新日本理化社製)31.8重量部とジメチルパラトルイジン(三星化学社製)1.4重量部を添加した。添加後、直ちに85℃まで昇温し、85℃で1時間保温した。同様に、90℃で1時間、105℃で1時間、120℃で2時間、140℃で10時間と段階的に昇温、保温を繰り返した。そして、テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製)25.5重量部、シクロヘキサノン6.7重量部を添加し、120℃で2.5時間保温させることにより、(A)成分であるベースポリマー(エポキシ変性ポリマー)を得た。その後、該ベースポリマー(エポキシ変性ポリマー)をメチルエチルケトン50.0重量部で希釈した。得られたベースポリマー(エポキシ変性ポリマー)の重量平均分子量は49,000であり、固形分は64.0%であり、酸価は78mgKOH/gであった。これを20重量部配合した。
(B)成分の光重合性不飽和基を有するアクリル系ポリマーとして、メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル(商品名:FA−513M;日立化成工業(株)製、)/メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)共重合体(重量比15/18.6/20/1.4/45、重量平均分子量2万6千)を用い、これを30重量部配合した。
上記成分(A)及び(B)に、ジアリルフタレートプレポリマー(商品名:ダイソーダップK;ダイソー株式会社製)10重量部、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(商品名:EAB;保土ヶ谷化学社製)0.1重量部、ビスフェノールA型マレイミド(商品名:BMI−4000;大和化成社製)15重量部、1,1−ジ−[t−ヘキシルパーオキシ]シクロヘキサン(商品名:パーへキサHC;日本油脂株式会社製)2.3重量部を配合した。
得られた溶液には、(C)成分の無機フィラーとして、無機シリカフィラー(平均粒径:0.54μm、70wt%メチルイソブチルケトン希釈;日立化成工業株式会社製)を50重量部配合した。
次いで、(D)成分のシランカップリング剤として、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:SZ−6030;東レ・ダウコーニング株式会社)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:SILQUEST A−187;GE東芝シリコーン株式会社)、トリエトキシシリルプロピル炭酸ジアミド(商品名:AY43−031;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)を表1に示す分量を配合した。
次いで、(E)成分の光重合性モノマーとして、ウレタンアクリレート(商品名:TMCH−5R;日立化成工業株式会社製)15重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:DPHA;日本化薬株式会社)15重量部、エトキシ化ビスフェノールA型ジメタクリレート(商品名:BPE−200;新中村化学工業株式会社製)15重量部を配合した。
次いで、(F)成分である光反応開始剤として、2、2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名Irg−651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社)8重量部を配合し、感光性樹脂組成物を得た。
次いで、この感光性樹脂組成物溶液を16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性フィルムを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、50μmであった。
次いで、常圧ラミネータ(大成ラミネータ社製)で、シリコンウェハー上に上記感光性樹脂組成物層を80℃/0.4MPa/1.0m/minの条件でラミネートした。
次いで、このようにして得られた基板に、Hitachi41段ステップタブレットスケール(ST=x/41)とHitachiテストパターンG2ネガフィルム(解像度L/S=30〜200/30〜200μm、密着性L/S=30〜200/400μm、抜け解像度L/S=400/30〜200μm)を使用し、5kw高圧水銀灯(オーク製作所社製、HMW−201GX)で300m/cm2の露光を行った。
[感光特性の評価]
作製した基板から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を110秒間スプレーすることにより、未露光部分を完全に除去した。感度は、現像後のパターンが形成される最終残存段数を読み取ることによって評価した。解像度は、テストパターンからラインとラインの間が完全に現像されているライン幅の値で示した。密着性は、テストパターンからラインが膨張したり、欠けたりすることなく完全に残っているラインの幅の値で示した。抜け解像度は、テストパターンからラインとラインの間が完全に現像されているスペースの幅の値で示した。以上を感光特性評価とし、その評価結果を表1に示した。
[吸水率の評価]吸水率測定は、JIS K7209に準拠して測定した。その結果は表1に示した。
[接着力の評価]上記方法でシリコン上に長さ6.2mm×幅100μmの6本のラインを有する格子パターンを形成した後、150℃/0.5MPa/10sの条件でソーダガラス基板と熱圧着した。次いで、160℃/1時間で熱硬化を行い、室温にてシェア強度測定を行い、接着強度を算出した。その結果は表1に示した。
注)表1中の値は、各成分の固形分の配合比を示している。
また、表中記号「−」は、項目に記載のシランカップリング剤が未配合であることを示している。
以上の結果より、グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクロキシアルキルトリアルコキシシラン及びウレイドアルキルトリアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも2種のシランカップリング剤を配合することにより、シリコン上における接着力及び低吸水率を保持しつつも、現像性と密着性の双方の特性が良好である感光性樹脂組成物及び感光性エレメントを提供できることが明らかとなった。