JP4992559B2 - シリアル型インパクトプリンタ - Google Patents

Description

本発明は、インパクトドットヘッドを記録媒体の送り方向に直交する方向に往復移動させながら当該記録媒体に印字を行うシリアル型インパクトプリンタに関し、特に、インパクトドットヘッドを搭載したヘッドキャリッジを駆動するキャリッジ駆動機構の摺動部分に紙粉などの異物が付着しないように改良を図ったシリアル型インパクトプリンタに関する。

シリアル型インパクトプリンタにおいては、インパクトドットヘッドによる印字時に紙粉が発生する。また、記録紙に付着している紙粉が、記録紙の搬送に伴ってインパクトドットヘッドによる印字位置に送り出される。プラテンによって規定される印字位置は開放状態にあり、当該印字位置に搬送されてきた記録紙の部分に、インパクトドットヘッドが往復移動しながら印字を行う。印字位置で発生した紙粉、印字位置に送り出された紙粉は、開放状態の印字位置から落下し、あるいは、インパクトドットヘッドの往復移動に起因して発生する気流に乗って周囲に飛散する。

印字位置の下方近傍には、インパクトドットヘッドが搭載されているヘッドキャリッジを往復移動させるためのヘッド駆動機構の構成部品、例えば、プリンタ幅方向に架け渡したキャリッジガイド軸、これに沿ってヘッドキャリッジを往復移動させるためのリードカムが配置されている。紙粉などの異物が、これらの部品に付着すると、これらの部品の摺動部分が摩耗し、駆動負荷の増加、寿命が短くなるなどの弊害が発生する。

特許文献１には、プリンタ内部に設置されているバリデーションガイドを、キャリッジガイド軸と、印字位置に記録紙を導くための紙経路部分との間に配置することにより、発生した紙粉がキャリッジガイド軸などのヘッド駆動機構の部位に付着することを防止している。
特開平０９−３１４９５５号公報

ここで、シリアル型インパクトプリンタにおいては、リボンカセットから引き出されたインクリボンがインパクトドットヘッドのヘッド先端面に架け渡された状態にセットされ、この状態でインパクトドットヘッドがプリンタ幅方向に往復移動しながら印字動作を行う。このような印字動作時には、インパクトドットヘッドの往復移動に伴ってインクリボンの各部分は、プラテンに接近および離れる方向に繰り返し移動する。

本発明者は、このようなインクリボンのぱたつきが原因となって、紙粉などの異物が印字位置から周囲に飛散して、キャリッジガイド軸、リードカムなどに付着してしまうことを確認した。また、特許文献１に記載されているようなバリデーションガイドを、紙経路とキャリッジガイド軸の間を仕切る状態に配置しても、このようなインクリボンのぱたつきに起因する紙粉などの異物の飛散を効果的に防止できないことを確認した。

特に、近年においては各種の記録紙が使用されており、これらの中には、一般に使用されている記録紙に比べて紙質が劣り、紙粉を発生しやすいものがある。このような記録紙を使用する場合には、紙粉発生量が多いので、発生した紙粉がキャリッジ駆動機構の構成部品に付着しないように効果的な紙粉飛散防止対策を施さないと、プリンタの寿命が大幅に短縮するなどの弊害が顕在化する。

本発明の課題は、主としてインクリボンのぱたつきに起因する紙粉などの異物の飛散を効果的に防止することのできる機構を備えたシリアル型インパクトプリンタを提案することにある。

上記の課題を解決するために、本発明のシリアル型インパクトプリンタは、
インパクトドットヘッドと、
このインパクトドットヘッドをキャリッジガイド軸に沿って往復移動させるためのヘッドキャリッジと、
前記インパクトドットヘッドに対向配置され、当該インパクトドットヘッドによる印字位置を規定しているプラテンと、
これらプラテンおよびインパクトドットヘッドの間に配置されるインクリボンと、前記キャリッジガイド軸との間に位置するように配置されている仕切り部材とを有し、
当該仕切り板は、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、前記キャリッジガイド軸を包含し、前記インクリボンの幅方向の一部を包含する大きさのものであることを特徴としている。

このような状態に仕切り部材を配置しておくことにより、インパクトドットヘッドの移動に起因するインクリボンのぱたつきによる紙粉の飛散を効果的に防止でき、印字位置に対してインクリボンの背面側に配置されているキャリッジガイド軸、リードカムなどのキャリッジ駆動機構の摺動部分への紙粉等の付着量を大幅に低減できることが確認された。

ここで、インパクトプリンタでは、前記インパクトドットヘッドによる印字位置に向けて記録媒体を案内するための媒体ガイドが配置されている。記録媒体に付着していた紙粉などの異物は記録媒体の搬送に伴って印字位置に向けて送り出され、当該媒体ガイドの記録媒体送り出し方向の縁端から紙粉等の異物が開放状態の印字位置に向けて送り出されて周囲に落下あるいは飛散する。このような媒体ガイドの媒体送り出し口から周囲に飛散する紙粉等の異物が、キャリッジ駆動機構の摺動部分に付着することを効果的に防止するためには、前記仕切り部材を、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、前記媒体ガイドにおける記録媒体送り出し方向の縁端部分を包含する状態に配置しておくことが望ましい。

また、インパクトプリンタでは、インクリボンにおける幅方向のほぼ半分の部分に沿って、インパクトドットヘッドが当該部分をプラテン側に押し付けながら移動して印字を行う。したがって、移動が拘束されていない残りの半分の部分がインパクトドットヘッドの移動に伴ってぱたつき易い。そこで、前記仕切り部材を、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、当該インクリボンの幅方向のほぼ半分を包含する状態に配置しておくことにより、紙粉などの飛散を効果的に抑制できる。

さらに、仕切り部材を、このような位置に配置するためには、前記ヘッドキャリッジに仕切り部材を通すためのスリットを形成しておけばよい。

なお、仕切り部材を、インパクトドットヘッドを挟み、記録媒体搬送方向の両側に配置することもできる。この場合には、前記仕切り部材にヘッド移動用の開口部を形成しておき、当該開口部を介して、前記インパクトドットヘッドのヘッド部分を前記プラテンに向かって突出させておけばよい。このようにすれば、紙粉が発生する印字位置の側と、キャリッジ駆動機構が配置されている側とを、仕切り部材によって確実に仕切ることができ、紙粉が仕切り部材の背面側のキャリッジ駆動機構の摺動部分に付着することを効果的に防止できる。

本発明のシリアル型インパクトプリンタでは、プラテンによって規定される印字位置に沿って引き出されているインクリボンの背面側に仕切り部材を配置することにより、インパクトドットヘッドの移動によって生ずる主としてインクリボンのぱたつきに起因する紙粉の飛散を効果的に防止できる。したがって、仕切り板の背面側に配置されているキャリッジ駆動機構の摺動部分に紙粉が付着してプリンタの寿命が短くなる等の弊害を防止あるいは抑制できる。

以下に、図面を参照して、本発明を適用したシリアル型インパクトプリンタの実施の形態を説明する。

図１は本実施の形態に係るシリアル型インパクトプリンタの機構部分を示す概略斜視図であり、図２はリボンカセットを装着した状態の概略部分平面図であり、図３は図２のIII−III線で切断した部分を示す概略縦断面図である。また、図４は紙粉飛散防止用の仕切り板が配置されている部分を説明するための模式図である。

シリアル型インパクトプリンタ１は板金製のプリンタフレーム２を備え、このプリンタフレーム２は矩形形状の底板部分３と、この左右の縁から直角に立ち上がっている左右の側板部分４、５とを備えている。左右の側板部分４、５の間には、キャリッジガイド軸６が架け渡されている。キャリッジガイド軸６に沿って、インパクトドットヘッド７が搭載されたヘッドキャリッジ８がプリンタ幅方向に往復移動するようになっている。

ヘッドキャリッジ８を往復移動させるためのヘッド駆動機構は、図１、図３に示すように、ヘッドキャリッジ８の底面部分に取り付けたキャリッジ駆動ピン９と、キャリッジ駆動ピン９の下側に配置されたリードカム１０と、リードカム１０をその中心軸線回りに回転駆動するためのキャリッジモータ１１を備えている。リードカム１０は、キャリッジガイド軸６と平行となるように、左右の側板部分４、５の間に架け渡されており、その円形外周面には中心軸線方向に沿って一定幅および深さの螺旋状のリード溝１０ａが形成されている。リード溝１０ａにはキャリッジ駆動ピン９の下端部が摺動自在の状態で上側から差し込まれた状態となっている。リードカム１０およびキャリッジ駆動ピン９以外の構成のキャリッジ駆動機構を用いることもできる。例えば、プーリとタイミングベルトからなる機構を用いることもできる。

次に、インパクトドットヘッド７はプリンタ後方に向く姿勢でヘッドキャリッジ８に搭載されている。インパクトドットヘッド７には、左右の側板部分４、５に架け渡したプラテン１２が後方側から一定のギャップで対峙している。プラテン１２のガイド面１２ａによって規定される印字位置には、プリンタ後方から、上ガイド１３および下ガイド１４によって規定される搬送路１５に沿って一点鎖線の矢印で示すように記録紙Ｐが送り込まれ、印字位置（１２ａ）を経由して印字された後の記録紙Ｐがプリンタ上方に排出されるようになっている。

本例では、インクパクトドットヘッド７のヘッド先端面７ａおよびプラテン１２のガイド面１２ａがほぼ垂直な状態で前後方向から対峙しており、印字位置（１２ａ）には下側から記録紙Ｐが送り込まれ、印字位置（１２ａ）を経由した後の記録紙Ｐは上方に送り出されるようになっている。

プラテン１２におけるガイド面１２ａの下端、すなわち、記録紙搬送方向の上流端には傾斜ガイド面１２ｂが連続しており、この傾斜ガイド面１２ｂに対峙させて、記録紙押さえ板１７（媒体ガイド）が配置されている。搬送路１５を経由して搬送されてきた記録紙は、記録紙押さえ板１７によってガイド面１２ａに向かう方向に押し付けられながら、当該記録紙押さえ板１７の記録紙送り出し側の縁端１７ａから印字位置に向けて送り出される。

次に、プリンタフレーム２の前側の部位には左右の側板部分４、５の間にリボンカセット装着部１８が形成されている。リボンカセット装着部１８の右側の端にはインクリボン巻き取り軸１９が突出している。このリボンカセット装着部１８には着脱可能な状態でインクリボンカセット２０が装着される。なお、図１はリボンカセット２０を装着する前の状態を示してあり、図２および図３にはリボンカセット２０を装着した状態を示してある。

リボンカセット２０は、直方体形状のインクリボン収納部２１と、このインクリボン収納部２１の両側から同一方向に突出している左右の腕部２２、２３とを備えている。左右の腕部２２、２３は、プリンタフレーム２の左右の側板部分４、５の外側に沿って延びている。リボンカセット２０は、左右の腕部２２、２３の先端部から引き出されているインクリボン２４が、インパクトドットヘッド７のヘッド先端面７ａに架け渡された状態となるように装着される。

この状態においては、インクリボン２４の幅方向の上半部分が、インパクトドットヘッド７のヘッド先端面７ａに架け渡され、プラテン１２のガイド面１２ａに沿って引き出されている。インクリボン２４の下半部分は、プラテン１２の下側の記録紙押さえ板１７と、これに対峙しているヘッドキャリッジ８の表面部分８ａとの間に垂れ下がっている。インパクトドットヘッド７がヘッドキャリッジ８によってプリンタ幅方向に往復移動すると、それに伴って、リボンカセット２０の左右の腕部２２、２３から引き出されているインクリボン２４は、プラテン１２の側およびインパクトドットヘッド７の側に繰り返し移動させられる。このようなインクリボン２４のプリンタ前後方向のぱたつきに起因して、印字位置で発生した紙粉、搬送路１５に沿って記録紙Ｐと共に送り出されて記録紙押さえ板１７の送り出し側の縁端１７ａに至った紙粉などの異物が、周囲に落下あるいは飛散する。

ここで、本例のシリアル型インパクトプリンタ１においては、インクリボン２４の背面側に、紙粉飛散防止用の仕切り板３０が取り付けられている。

仕切り板３０は、一定の幅および一定厚さの細長い矩形板、例えば金属板から形成されており、左右の側板部分４、５の間に垂直に架け渡されている。仕切り板３０は金属以外の素材のものでもよく、また、平板状のものでなくてもよい。ヘッドキャリッジ８には、図３から分かるように、仕切り板３０を配置するために、下方に開口したスリット８ｂが形成されている。

仕切り板３０は、キャリッジガイド軸６と記録紙押さえ板１７の間に配置されている。また、仕切り板３０の上側縁端３０ａは、記録紙押さえ板１７の縁端１７ａよりも上方に位置しており、その下側縁端３０ｂは、インクリボン２４の下縁２４ｂおよびキャリッジガイド軸６よりも下側に位置している。

すなわち、図３、図４から分かるように、インクリボン２４の面に直交する方向Ａに沿ってプリンタ前側から見た場合に、仕切り板３０は、印字位置（１２ａ）の下側において、記録紙押さえ板１７の縁端１７ａの部分およびインクリボン２４の下半部分を包含する状態に配置されている。また、方向Ａに沿ってプリンタ後側から見た場合に、キャリッジガイド軸６を包含する状態に配置されている。

このように構成したシリアル型インパクトプリンタ１を用いて印字動作を連続して行ったところ、紙粉などの異物がキャリッジ駆動機構の摺動部分に付着する量が大幅に低減され、プリンタ１の寿命が延びることが確認された。

なお、図４において想像線で示すように、仕切り板３０Ａをインパクトドットヘッド７の上側にも配置してもよい。一枚の仕切り板を、インパクトドットヘッド７の上下に配置する場合には、仕切り板３０および３０Ａを包含する大きさの仕切り板に、インパクトドットヘッド７の移動用の開口部を形成しておき、ここからヘッド部分をプラテン１２の側に突出させて当該プラテン１２のガイド面１２ａに対峙させた状態に配置すればよい。このようにすれば、インパクトドットヘッド７の移動に干渉することなく、仕切り板によって、インパクトドットヘッド７の上下の部分において、印字位置の側（紙粉などの異物発生源の側）と、ヘッド駆動機構の側とを仕切ることができる。これにより、インパクトドットヘッド７の上側からキャリッジ駆動機構の摺動部分に紙粉などの異物が回り込むことを効果的に防止できる。

本発明によるインパクトプリンタの機構部分を示す概略斜視図である。 リボンカセットを装着した状態のインパクトプリンタの概略平面図である。 図２のIII−III線で切断した部分の概略縦断面図である。 仕切り板が配置されている部分を示す模式図である。

符号の説明

１ シリアル型インパクトプリンタ、２ プリンタフレーム、３ 底板部分、４，５ 側板部分、６ キャリッジガイド軸、７ インパクトドットヘッド、７ａ ヘッド先端面、８ ヘッドキャリッジ、８ｂ スリット、９ キャリッジ駆動ピン、１０ リードカム、１０ａ リード溝、１１ キャリッジモータ、１２ プラテン、１２ａ ガイド面、１２ｂ 傾斜ガイド面、１３ 上ガイド、１４ 下ガイド、１５ 搬送路、１７ 記録紙押さえ板、１７ａ 上縁端、１８ リボンカセット装着部、１９ インクリボン巻き取り軸、２０ リボンカセット、２４ インクリボン、２４ｂ 下縁、３０ 仕切り板、３０Ａ 仕切り板、３０ａ 上側縁端、３０ｂ 下側縁端、Ｐ 記録紙

Claims (5)

1. インパクトドットヘッドと、
   このインパクトドットヘッドをキャリッジガイド軸に沿って往復移動させるためのヘッドキャリッジと、
   前記インパクトドットヘッドに対向配置され、当該インパクトドットヘッドによる印字位置を規定しているプラテンと、
   これらプラテンおよびインパクトドットヘッドの間に配置されるインクリボンと、前記キャリッジガイド軸との間に位置するように配置されている仕切り部材とを有し、
   当該仕切り板は、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、前記キャリッジガイド軸を包含し、前記インクリボンの幅方向の一部を包含する大きさのものであることを特徴とするシリアル型ドットインパクトプリンタ。
2. 請求項１に記載のシリアル型ドットインパクトプリンタにおいて、
   前記インパクトドットヘッドによる印字位置に向けて記録媒体を案内するための媒体ガイドを有し、
   前記仕切り部材は、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、前記媒体ガイドにおける記録媒体送り出し方向の縁端部分を包含する状態に配置されていることを特徴とするシリアル型ドットインパクトプリンタ。
3. 請求項１または２に記載のシリアル型ドットインパクトプリンタにおいて、
   前記仕切り部材は、前記インクリボンに直交する方向から見た場合に、当該インクリボンの幅方向のほぼ半分を包含する状態に配置されていることを特徴とするシリアル型ドットインパクトプリンタ。
4. 請求項１ないし３のうちのいずれかの項に記載のシリアル型ドットインパクトプリンタにおいて、
   前記ヘッドキャリッジには、前記仕切り部材を通すためのスリットが形成されていることを特徴とするシリアル型ドットインパクトプリンタ。
5. 請求項１ないし４のうちのいずれかの項に記載のシリアル型ドットインパクトプリンタにおいて、
   前記仕切り部材にはヘッド移動用の開口部が形成されており、
   当該開口部を介して、前記インパクトドットヘッドのヘッド部分が前記プラテンに向かって突出していることを特徴とするシリアル型ドットインパクトプリンタ。

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