JP4991984B2 - 縦向きpc緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多階層建物の柱や壁、PC橋の橋脚等、縦向きにプレストレスを導入したPCコンクリート構造体内に設置されたPC緊張材挿通用シース内に、真空圧を利用してグラウトを充填する縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法に関する。
従来、縦向きに長いコンクリート構造体に対し、縦向きにプレストレスを付与させる際には、全長を例えば多階層建物の場合には2〜3階層分の単位長さずつのコンクリート構造体を上方に順次継ぎ足して場所打ちにより構築するか、プレキャスト部材を順次継ぎ足して構築している。
このような縦長のコンクリート構造体にプレストレスを導入させる際には、図6に示すように、上記単位長さ分の短尺コンクリート構造体50,50をコンクリート場所打ちによる造成、又は単位長さのプレキャスト部材の立設によって造成する毎に、その上端にてPC緊張材51の緊張定着作業を行い、その都度、PC緊張材挿通用シース52の下部のグラウト注入路53からグラウトを圧入している。
また、近年において、ポストテンション方式のPC構造において、PC緊張材が挿通されたPC緊張材挿通用シース内にグラウト材を充填する方法として、真空圧を利用した方法が開発されている。この方法は、PC緊張材挿通用シースの一端側に減圧装置を連通させ、他端側からグラウト材を注入することにより、PC緊張材挿通用シース内に空隙や気泡等のグラウト未充填部分の生じるのを防止する方法が開発されている(例えば特許文献1)。
特開2005−264574号公報
上述した従来の縦向きのコンクリート構造体内にPC緊張材を挿通して縦向きにプレストレス導入する方法では、1回のグラウト注入作業を行うPC緊張材挿通用シース長さを長くすることによって、グラウト注入作業を少なくすることができるが、グラウト材をシースの下端側から圧入してシース内を上昇させ、全体を緻密に行き渡らせるものであるため、1回の充填長さを長くすればするほど、高圧にて充填する必要が生じ、グラウト加圧注入装置の加圧力及び流路や周辺機器類耐圧性に限界があるため、1回の充填長さに限界があった。
また、気泡を形成させないようにするために高粘性のグラウト材を使用すると、より高い注入圧が必要となり、更に1回の注入可能長さが短くなるという問題があった。
このため、従来は、高層の多階層建築物であっても2〜3階分程度の長さ毎に、プレストレス導入作業及びシース内グラウト充填作業を行わざるを得ず、作業工程が多く、工費が嵩むとともに工期も長いという問題があった。
更に、高粘性のグラウト材を使用する場合においても、グラウト調整工程における混練作業における気泡の混入を防止できず、気泡が混入されたままで注入すると、グラウト固化前に微細気泡が集まって大きな気泡に成長し、結果として大きな空洞ができることが防止できないという問題があった。
本発明は、上述の如き従来の問題に鑑み、従来に比べて数倍長い縦向きのPC緊張材挿通用シース内に、1度の作業でグラウトの充填ができ、しかも気泡や空隙の生じない高品質のグラウト充填ができ、多階層建築物や長尺の橋脚等において、縦向きのプレストレス導入作業が簡略化され、経済性の高い縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法の提供を目的としてなされたものである。
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、コンクリート構造体内に縦向きのPC緊張材挿通用シースを埋設し、該シース内に挿通したPC緊張材に緊張力を付与した後に、前記シース内にグラウトを注入する縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法において、
前記シースに、その中間高さ位置に1又は上下に互いに間隔を隔てた複数の分岐路を備え、該分岐路の端部を前記コンクリート構造体外に導出させるとともに、該分岐路にその内圧を計測する圧力計を備え、
前記シースの上端側に吸気路を連結し、該吸気路を通して減圧装置によりシース内を減圧させながら前記圧力計によってシース内圧を計測しつつ、前記シースの下端側に連通させたグラウト注入路を通してグラウト材を、グラウト圧送装置により加圧注入することにある。
尚、上記縦向きは、鉛直のみならず斜め向きも適用範囲である。
請求項2に記載の発明の特徴は、前記請求項1の構成に加え、前記分岐路の端部を、開閉可能にして置くとともに、該分岐路の端部からグラウトの加圧注入を可能にしておき、グラウト注入作業時の異常発生時に、シース下端からのグラウト加圧注入に代えて前記分岐路を通してグラウトを加圧注入することにある。
請求項3に記載の発明の特徴は、前記請求項1又は2のいずれか1の請求項の構成に加え、前記注入路又はグラウト圧送装置に流量計測装置を備えるとともに、グラウト注入装置に注入圧計測装置を備え、前記シース内圧を計測する圧力計、流量計測装置及び注入圧計測装置からの各計測データを取り込み、各データの予め定められた適正範囲値内で、前記減圧装置による減圧及びグラウト注入装置によるグラウトの加圧注入をコントロールさせることにある。
本発明に係る縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法においては、PC緊張材挿通用シースの上端側に吸気路を連結し、該吸気路を通して減圧装置によりシース内を減圧させ、しかる後に前記シースの下端側に連通させたグラウト注入路を通してグラウト材を、グラウト圧送装置により加圧注入するようにしたことにより、減圧されたシース内にグラウト材が注入されるため、シース下端側からのグラウト注入であっても少ない注入圧により高い位置までのグラウト注入が可能となり、1回のプレストレスの導入及びシース内へのグラウト注入を、従来に比べてより長い縦向きのコンクリート構造体に対してなすことができるため作業工数が著しく少なくなり、工期が短縮されるとともにコスト減となる。
また、シース内を減圧させることにより、空気漏れの箇所が特定でき、コーキング等により、グラウト漏れ対策が事前にできる。
従来のグラウト工法においては、高粘性グラウトを使用することが一般的であるが、本工法においてはシース内が真空状態に置かれているので、グラウト注入時にグラウト内に巻き込まれて気泡を形成する空気がほとんど存在せず、その結果として、高粘性から超低粘性に至る広範な領域の粘性を持つグラウトを、気泡が全く発生しないか、または、気泡を巻き込まない状態の密実なグラウトとして注入することが可能となる。従って、細かい出隅、入隅のあるシース内にも広く拡散充填することの出来る低粘性または超低粘性グラウトを低圧力で注入できる。
本発明においては、PC緊張材挿通用シースに、その中間高さ位置に1又は上下に互いに間隔を隔てた複数の分岐路を備え、該分岐路の端部を前記コンクリート構造体外に導出させるとともに、該分岐路にその内圧を計測する圧力計を備え、該圧力計によってシース内圧を計測しつつグラウト材を加圧注入するようにしたことにより、グラウト注入作業中において、注入高さ位置を分岐路位置にて確認することができ、また未充填部分の減圧状況を把握できるため、充填に支障が生じた際の把握が迅速にできる。
また、分岐路におけるグラウト材の注入圧力実測値から、本体シース管におけるグラウトの圧力分布と注入の進行に伴う圧力分布の推移を知ることができ、それによってグラウト注入状況と注入されたグラウトの品質をグラウト作業中に確認できるので、完全なグラウト施工ができ、気泡を含まない良品質なグラウト充填ができる。
本発明においては、前記分岐路の端部を、開閉可能にしておくとともに、該分岐路の端部からグラウトの加圧注入を可能にしておき、グラウト注入作業時の異常発生時に、シース下端からのグラウト加圧注入に代えて前記分岐路を通してグラウトを加圧注入することにより、加圧注入装置や注入路において、耐圧不良が生じた場合やその他の何らかの要因によって途中までしかグラウト充填作業を維持することができなかった場合、分岐路からグラウトの加圧注入作業を同様にして行うことにより、グラウト充填を不完全な状態で終了させなければならない事態を回避することができる。
本発明においては、前記注入路又はグラウト圧送装置に流量計測装置を備えるとともに、グラウト注入装置に注入圧計測装置を備え、前記シース内圧を計測する圧力計、流量計測装置及び注入圧計測装置からの各計測データを取り込み、各データの予め定められた適正範囲値内で、前記減圧装置による減圧及びグラウト注入装置によるグラウトの加圧注入をコントロールさせることにより、自動的に安全な状態を維持させつつ、減圧条件下のPC緊張材挿通用シース内へのグラウト充填作業ができる。
また、これらの装置により、シースの閉塞などの異常発生を監視することができ、グラウトホースの破裂やジョイントからのグラウト漏れを事前に防ぐ事が出来る。適正範囲としてグラウトホースの耐圧及びシースジョイントからのグラウト漏れを考慮して注入圧は1.2Mpa以下、流量は、10L/min以下、真空度は、限りなく空気が希薄な状態で、技術的に減圧可能な真空度0.008Mpaに近い真空度まで減圧する等の条件設定が出来る。また、複数個の分岐路における圧力測定値、および、流量計による充填グラウト量測定値から、異常発生箇所を推定することができる。
本発明においては、低粘性又は超低粘性のグラウト材を、シース下端側から、減圧条件下のシース内に加圧注入するため、シース内にグラウトに巻き込まれて気泡を形成する原因となる空気が事実上存在せず、従来のように気泡が成長して空洞ができるという問題が解消され、高品質のグラウト充填ができる。
また、低粘性又は超低粘性のグラウトは、水セメント比が40%以下(通常は30〜38%)のブリージングの極めて少ない(事実上起こらない)グラウトを使用することができ、必要に応じて低粘性混和材を添加して粘性調整を行う。ちなみに、ブリージングの起こらない水セメント比の最大値は40%であり、これ以上の水セメント比の場合には、仮にブリージング低減材または防止材を使用しても、ブリージング発生を防止することは至難の業である。尚、低減材または防止材を使用した時には、グラウト表面に一種の薄膜が形成され、表面的にはあたかもブリージングが発生していないように見えるだけであって、グラウト硬化後には、明らかにブリージング発生を物語る表面沈降跡が見られる。
従来、真空グラウトは高粘性グラウトを使用することが一般的であるが、これは真空グラウトの物理的特性を如何なるものかを検討することなく、従来から慣用の高粘性グラウトをそのまま使用しているだけのものであり、基本が真空状態でのグラウトの特性に基づく本発明のものとは全く異なるものである。
次に本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。図1は本発明方法を実施する部材の全体概略構成を示している。図において、符号1は多階層建築物であり、2,2......は該多階層建築物1の階床、3は上下に連続した柱又は柱である縦向きのコンクリート構造体である。
このコンクリート構造体3内には上下に連続したPC緊張材挿通用シース4が埋設され、該PC緊張材挿通用シース4内にPC鋼棒又はPCストランドからなるPC緊張材5が挿通されている。PC緊張材5は、コンクリート構造体3の上下端部間において緊張力が付与され、両端をコンクリート構造体3に支持させた支圧板6a,6bに定着させることによってコンクリート構造体3全体に縦向きのプレストレスを導入させている。
本発明は、このようにして多階層に亘る柱又は壁等に相当する長尺のコンクリート構造体3の上下に連続して埋設されたPC緊張材挿通用シース4内に、PC緊張材挿通及び緊張定着のプレストレス付与作業工程が終了した後に、グラウト材を充填するものである。
上記PC緊張材挿通用シース4には、その下端部にグラウト注入路10が連通されている。このグラウト注入路10は、図5に示すように、シース4に一体成型した分岐管11の先端に注入パイプ12を、気密性を維持させて連結することによって構成されている。
また、PC緊張材挿通用シース4の上端には、吸気路15が連通されている。この吸気路15は、図4に示すように、PC緊張材5の上端側を緊張状態で定着させている支圧板6aに貫通させて、その下面のPC緊張材挿通用シース4に連通するように開口させた貫通孔16と、該貫通孔16の支圧板上面側に突設した吸気パイプ連結筒17と、該連結筒17に連結した吸気用パイプ18とをもって構成している。
更に、PC緊張材挿通用シース4には、その上下端部及び中間高さ位置に分岐路20,20......が設けられている。この分岐路20は図5に示すようにPC緊張材挿通用シース4の一部を分岐路ユニット21をもって構成させ、この分岐路ユニット21には、シース用筒部21aと、これと連通させてその外周に一体に突設させた分岐路用パイプ連結筒21bとを一体に有し、分岐路用パイプ連結筒21bに分岐路用パイプ22を、気密性を維持させて連結することによって構成させている。
この各分岐路20を構成する分岐路用パイプ22には透明の合成樹脂パイプが使用され、その先端に内部の圧力が計測できる圧力計23が取り外し可能に設置されて先端が閉鎖されている。
尚、本例においては分岐路20,20......を、シース上下端部と中間高さ位置の3箇所に設けているが、中間高さ位置の1箇所のみであってもよく、また、シース4の長さや太さ等の設計上の違いに応じて多数設置してもよい。
次に、上記の如く各種の部材を連結したPC緊張材挿通用シース4内へのグラウト充填作業について説明する。
図1に示すように、多階層建築物1の中間高さ階床2上に、グラウト注入側設備30を設置する。この設置階床高さは、コンクリート構造体1の上下の略中央高さ位置、例えば15階の多階層建築物の場合には6〜8階の何れかの階床に設置することが好ましい。
このグラウト注入側設備30には、図2に示すように、グラウト材を所定の配合で調整するグラウトミキサー31、調整したグラウト材を溜めるホッパー32、ホッパー内のグラウト材をグラウト注入路10へ圧送するグラウト圧送装置33及びグラウト注入路10内の圧力を計測する圧力計34を有している。
また、この設備30には、IT管理装置35が備えられている。このIT管理装置35は、グラウト圧送装置33による単位時間当たりのグラウト送給量及び各圧力計23,34の計測圧力データを記録するとともにディスプレーに表示させるようにしており、各データが、実験によって予め検証された安全値範囲から外れていると、グラウト圧送装置33によるグラウト送給量を制御して、計測データが正常範囲にもどるように自動コントロールするようになっており、また、異常計測データが入力された際には、グラウト圧送装置33によるグラウト送給を停止させるようになっている。
多階層建築物1の屋上7には、シース内減圧用設備40を設置する。尚、この設備40は、必ずしも屋上である必要はなく、それよりも下の階床2に設置してもよい。この設備40は、図3に示すように、吸気路15内の空気を吸引し、PC緊張材挿通用シース4内を減圧する減圧装置である真空ポンプ41を有している。吸気路15には貯留タンク42が備えられ、真空ポンプ41は、貯留タンク42内の空気をその頂部から吸引するようになっており、貯留タンク42の上部内に吸気パイプ18が、開閉弁43を介して連通されている。また、この貯留タンク42は内部を透視できる材料にて全部又は1部を成型しており、吸気パイプ18から貯留タンク42内への可視物の吐出状態を外部から視認できるようになっている。
このように各設備30,40を設置し、先ず、グラウト注入側設備30のグラウトミキサー31により、所望の配合によるグラウト材を調製する。調製されたグラウト材をホッパー32に溜める。このグラウト材は、一例として表−1に示す配合の如き低粘性または超低粘性に調製する。この粘性は、JPロート流下時間により、低粘性グラウトの場合、6〜14sec,超低粘性グラウトの場合、2.5〜6secが好ましい。表−1にグラウト材の配合例を示す。
また、シース内減圧用設備40における真空ポンプ41を作動させて、貯留タンク42及びPC緊張材挿通用シース4内を減圧する。この真空ポンプ41の作動は、該真空ポンプ41に通じる吸気路に備えた圧力計43によって計測される真空圧が、所定の範囲内にあるよう自動的に制御されるようになっている。
このようにしてシース内減圧用設備40によってPC緊張材挿通用シース4内を所望の真空圧に減圧、この例では0.008Mpa以下まで減圧した後、グラウト圧送装置33を作動させてグラウト注入路10を通してPC緊張材挿通用シース4内にグラウト材を圧入する。この時、グラウト圧送装置33は、PC緊張材挿通用シース4の下端部のグラウト注入路連結位置より高い位置に設置されているため、PC緊張材挿通用シース4内のグラウト材の上面がグラウト圧送装置33と同高さに達するまでは、水頭差による自然流下作用が働き、超低粘性グラウト材であることと相俟って、大きい加圧を要することなくグラウト材の充填がなされる。

表−1 グラウト混和材およびプレミックス材の配合例(標準水セメント比)
Figure 0004991984

『出典 「PCグラウト,プレグラウトPC鋼材施工マニュアル」平成18年6月,(社)プレストレスト・コンクリート建設業協会』
また、水頭差が逆、即ちPC緊張材挿通用シース4内のグラウト材の上面がグラウト圧送装置33より高くなると、真空圧による吸い上げ力とグラウト圧送装置33による加圧力によってグラウト材が充填される。
この例では上述のように、グラウト材が低粘性または超低粘性であることと、PC緊張材挿通用シース4内が減圧されていることから、グラウト材内は、その内部に含んでいる微細気泡が減圧によって上方に吸い上げられて脱気されるとともに、PC緊張材挿通用シース4の内面やPC緊張材5の表面に付着していて上昇するグラウト材に巻き込まれる気泡も同様にして除去され、より高い脱気状態のグラウト充填がなされる。
また、グラウト材をPC緊張材挿通用シース4の下端から充填するものであるが、グラウト材が低粘性または超低粘性であることと、PC緊張材挿通用シース4内が減圧されていることから、大きな注入圧を要せずにグラウト充填が可能となり、このため1回の充填作業にて行うことができる縦向きのグラウト充填長さがおおきくなり、多階層建築物等の長いコンクリート構造体に対しても、プレストレス導入作業を多回数に分けることなく、少ない回数で行うことができる。
上述のようにしてグラウト充填作業を行っている途中において、PC緊張材挿通用シース4内のグラウト材の上端が、各分岐路20位置に達すると、各分岐路を構成している分岐路用パイプ22内にもグラウトが充填されることとなり、その分岐路位置までのグラウト材が充填されていることを視認することができる。また、分岐路用パイプ22が透明でなくても、その先端の圧力計23の計測値の変動がそれより上部の圧力計23の計測値と異なることとなるため、これによってその高さまでのグラウト充填を確認することができる。
また、上述したグラウト注入作業に何らかの原因、例えば、PC緊張材挿通用シース4の密閉度が損なわれて、一定以上の加圧注入が不可能となった場合や、グラウト注入側設備30又はシース内減圧用設備40の何れかの耐圧性能が損なわれた場合その他の原因によって、PC緊張材挿通用シース下端からの注入が不可能となった際には、グラウト未充填部の最下端側にある分岐路20を使用して残りの未充填部分に対するグラウトの加圧注入が可能な場合には前記PC緊張材挿通用シース内の減圧と併用して行う。
このようにしてグラウト充填がPC緊張材挿通用シース上端部内まで達したとき、水セメント比30〜38%のグラウト材ではブリージングは極めて発生し難いのであるが、たとえブリージングが発生してグラウト材の上端に遊離水が溜まったとしても、グラウト吸気路15から溜まった遊離水が流出され、貯留タンク42内に吐出され、ついでその下のブリージングが含まない良質のグラウト材が吐出される。これをタンク外から視認することによって、グラウト充填の完了を把握することができる。
尚、上述の例では鉛直方向の柱について示しているが、壁などのコンクリート構造物における斜め方向のシースに対しても同様に適用でき、同様の効果を有する。
本発明に係る縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法に使用する装置の概略を示す説明図である。 図1に示す装置におけるグラウト注入側設備の概略を示す説明図である。 図1に示す装置におけるシース内減圧用設備の概略を示す説明図である。 図1に示す装置におけるPC緊張材挿通用シース上端部の縦断面図である。 図1に示す装置におけるPC緊張材挿通用シースの下端部を示す断面図である。 従来のグラウト充填方法を示す断面図である。
1 多階層建築物
2 階床
3 コンクリート構造体
4 PC緊張材挿通用シース
5 PC緊張材
6a,6b 支圧板
10 グラウト注入路
11 分岐管
12 注入パイプ
15 吸気路
16 貫通孔
17 吸気パイプ連結筒
18 吸気用パイプ
20 分岐路
21 分岐路ユニット
21a シース用筒部
21b 分岐路用パイプ連結筒
22 分岐路用パイプ
23 確認用圧力計
30 グラウト注入側設備
31 グラウトミキサー
32 ホッパー
33 グラウト圧送装置
34 計測装置の圧力計
35 計測装置
40 シース内減圧用設備
41 真空ポンプ
42 内部が透視できる貯留タンク
43 開閉弁
50 コンクリート構造体

Claims (3)

  1. コンクリート構造体内に縦向きのPC緊張材挿通用シースを埋設し、該シース内に挿通したPC緊張材に緊張力を付与した後に、前記シース内にグラウトを注入する縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法において、
    前記シースに、その中間高さ位置に1又は上下に互いに間隔を隔てた複数の分岐路を備え、該分岐路の端部を前記コンクリート構造体外に導出させるとともに、該分岐路にその内圧を計測する圧力計を備え、
    前記シースの上端側に吸気路を連結し、該吸気路を通して減圧装置によりシース内を減圧させながら前記圧力計によってシース内圧を計測しつつ、前記シースの下端側に連通させたグラウト注入路を通してグラウト材を、グラウト圧送装置により加圧注入することを特徴としてなる縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法。
  2. 前記分岐路の端部を、開閉可能にしておくとともに、該分岐路の端部からグラウトの加圧注入を可能にしておき、グラウト注入作業時の異常発生時に、シース下端からのグラウト加圧注入に代えて前記分岐路を通してグラウトを加圧注入する請求項1に記載の縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法。
  3. 前記注入路又はグラウト圧送装置に流量計測装置を備えるとともに、グラウト注入装置に注入圧計測装置を備え、前記シース内圧を計測する圧力計、流量計測装置及び注入圧計測装置からの各計測データを取り込み、各データの予め定められた適正範囲値内で、前記減圧装置による減圧及びグラウト注入装置によるグラウトの加圧注入をコントロールさせる請求項1又は2に記載の縦向きPC緊張材挿通用シース内のグラウト充填方法。
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