JP4991705B2 - 哺乳類宿主細胞における組換え抗体の高レベル発現 - Google Patents

哺乳類宿主細胞における組換え抗体の高レベル発現 Download PDF

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Description

本発明は、抗体の軽鎖および重鎖をコードする遺伝子最適化ヌクレオチド配列を有する二重遺伝子ベクターを含む、組換え抗体を高レベルで発現する哺乳類宿主細胞、二重遺伝子ベクター自体および哺乳類宿主細胞中で組換え抗体の産生を増強する方法に関する。
抗体(免疫グロブリンとも呼ばれる)は、抗原と呼ばれる外因性分子を特異的に認識する糖タンパク質である。外因性抗原が、ヒトまたはその他の動物に侵入すると、Bリンパ球による抗体の産生を含む免疫学的応答が引き起こされる。この免疫学的応答により、微生物、ウイルスおよび細菌毒素は無毒化される。脊椎動物では、免疫系において異なる機能を示す5つの免疫グロブリンクラスが知られている:IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE。これらは、2つの同じ重鎖ポリペプチドおよび2つの同じ軽鎖ポリペプチドの基本構造を有する。重鎖および軽鎖は、ジスルフィド結合および非共有相互作用により1つに結合している。鎖自身は、可変ドメインおよび定常ドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、定常ドメインよりもアミノ酸配列に可変性があり、抗体分子のN末端部分に位置している。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ3つの超可変性のまたは相補性決定領域(CDR)のストレッチを含んでおり、これらがまとまって固有の抗原認識部位を形成している。
例えばパパイン消化、ペプシン消化またはその他の酵素的手法による抗体のタンパク質分解により、幾つかの機能的な抗原結合断片を作製することが可能であり、例えば、Fab、F(ab’)またはFv断片が得られる。組換えDNA技術の開発によって、幾つかの新たな抗体または抗体断片の設計がもたらされた。例えば、これらのタンパク質の機能性が改変され、新規の改善された機能がもたらされた。従って、医学的応用において望ましくない免疫学的特徴を低減することが可能である。また、より小さな組換え抗体断片を発現させてもよく、このことは、組織への浸透および血液からの急速なクリアランスが要求される応用例では抗体全体を用いるよりも利点がある。
人工的(engineered)な抗体分子およびそれらの断片が、科学的ツールとしてならびに疾病の治療および診断のための医療用ツールとしてますます開発されている。
実質的にあらゆる種の抗原を高い親和性で特異的に認識し結合するという抗体の固有の能力のために、抗体は新規のバイオ医薬品および科学研究の出発点として関心を集めている。例えば生活用品への応用といったような、研究および医薬以外への応用も考えることができる。その例として、フケの形成を抑えるためにシャンプー中に、またはう食(caries)を予防しおよびう食による虫歯を抑えるために歯磨き粉中に、それぞれ抗体が使用されている。その他の考えられる応用例は、バイオセンサー、廃水の処理、産業的スケールの分離方法における使用、または、アブザイム(abzymes)(即ち、酵素として人工的に作製した抗体の使用)としての使用を含む。抗体断片の結合能力の完全に異なる使用は、融合タンパク質の設計において行われている。例えば、重鎖定常領域遺伝子の3’末端が、酵素遺伝子の5’末端に融合される。抗体が腫瘍抗原に特異的である場合、例えば、そのような融合を行い、毒素または毒性酵素を腫瘍細胞に送達し選択的にその細胞を死滅させることができる。あるいは、(放射線同位体に結合する能力がある)キレートは、組換え抗腫瘍抗体または抗体断片に化学的に結合させることが可能であり、選択的に腫瘍細胞を殺すことが可能である。ヒトの医薬において、このようなアプローチは、しばしば「マジック・バレット(Magic bullet)」と呼ばれる。
しかしながら、これらの目的のためには大量の抗体が必要となる。原核生物由来および真核生物由来の両方について、幾つかの発現系が利用可能である。系の選択は、発現する分子種および個々の抗体の正確な配列を含む多くの要素に依存する。最も広く使用される、抗体を含む組換えタンパク質のための発現系の1つは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞哺乳類発現系である。これは、単純で効率的な動物細胞の高密度懸濁回分培養が可能な数少ない細胞種の内の1つである。CHO細胞により非常に高い生成物収率が実現でき、この細胞は代謝ストレスに対して比較的強い。CHO細胞における組換えタンパク質の発現により、ヒト細胞で得られる場合に類似するものの同一ではないグリコシル化パターンを達成することが可能である。
近年、CHO細胞による組換え抗体の収率は、培地組成、バイオリアクターの設計および細胞培養のパラメーターの最適化により大きく改善された。それにより、高密度増殖、高度に特異的な生産性および培養細胞の生存性の延長の達成において大きな進展があった。さらに、大部分がウイルス由来である考えられる最強のプロモーターおよびエンハンサー因子を使用することで、転写レベルでの収率の増強は広く最適化された。また、ベクター系および宿主細胞における比較研究から、タンデムベクター(重鎖および軽鎖の両遺伝子転写単位が挿入されている)によって、重鎖ベクターおよび軽鎖ベクターそれぞれの混合物を使用する場合と比較して、より高い抗体産生レベルが達成されることがわかった。
しかしながら、洗練された遺伝子発現技術にも関わらず、抗体発現のみかけのレベルは、200倍までの変化が生じ得る。Bentleyらによると(Hybridoma, 17 (1998), 559−567)、各々の抗体は特徴的な効率で発現し、その特徴的な効率とは、軽鎖合成のレベルならびに軽鎖および重鎖の「適合性」を含む要素の組み合わせによって決定される。Strutzenbergerらによると(J. Biotechnol., 69 (1999), 215−226)、軽鎖の高い発現率は、抗体全体の分泌率の増大に効果的である。CHO細胞に基づく発現系において、軽鎖の発現の減少が、軽鎖の細胞濃度の低下およびシャペロンに保持されたことによる小胞体における重鎖の蓄積をもたらすことが示された。Borthらは、特異的な産生率が低、中および高度の3つのサブクローンにおいて、細胞内の軽鎖および重鎖mRNAおよびそれら各々のポリペプチドの含有量ならびに特異的な分泌率を分析した(J. Biotechnol., 8 (1999), 57−66)。3つのサブクローンにおいて、軽鎖の細胞内含有量と分泌率との間には相関が見られ、一方重鎖の細胞内含有量は、3つ全てのサブクーンで同一であった。筆者らは、小胞体におけるアッセンブリーが抗体産生における主要な律速因子の1つであると結論づけている。Smalesらは、組換えモノクローナル抗体を産生するGS−NSO細胞株において、細胞内軽鎖含有量は、細胞内重鎖含有量よりも有意に過剰であると記述している(Biotechnol. Bioeng.. 88(4) (2004), 474−488)。彼らは、細胞内のモル濃度の割合は、約10:1であると結論している。
従って、抗体産生経路に沿って、軽鎖および重鎖のかなりの部分が、四量体免疫グロブリンに適切にアッセンブルされないことが全く起こりうる。まず第一に、単量体タンパク質鎖のアッセンブリーの問題が存在する;70%の遊離型IgG軽鎖が存在したとしても、かなりの量の単量体IgG重鎖が検出される可能性がある。過剰な軽鎖はまた、機能的で十分アッセンブルされたモノクローナル抗体(mAb)とともに、細胞培養培地に流れ出る可能性がある。単純な化学的質量作用の法則は、細胞中では成り立たないことが証明された。Gassらは、プラズマ細胞(天然の抗体を分泌するB細胞)では、達成できる最高のmAbタイターは、過剰の軽鎖の存在下において成し遂げられることを示している(Trends Immunol. 25(1) (2004), 17−24)。
同様に、非効率的なアッセンブリーおよび/またはプロテオソーム(proteosome)へのターゲッティングによる重鎖の未熟な選択的分解でも説明される;品質管理および分解のタイミングが、炭水化物部位の糖タグ付加に関与することが知られている。タンパク質ドメインのアッセンブリーは、親和性相互作用、ジスルフィド結合の形成(ドメインを近接させる)および/または個々のドメインの表面上の露出した疎水性パッチを埋没させようとする要求性が駆動力となる可能性がある;アッセンブリーおよびフォールディングの初期段階では、そのようなパッチはシャペロンタンパク質によって覆われると考えられている。分泌糖タンパク質は、タンパク質合成のすぐ後に、細胞の小胞体(ER)コンパートメント内でフォールディングおよびアッセンブリーされて高次複合体となることが周知である。ERは、品質管理機構とともに、特異的な補助的アッセンブリー因子を含む唯一のコンパートメントである(Ellgaard et al., Quality control in the scretory pathway, Science. 1999 Dec 3;286:1882−8; Helenius et al., Intracellular functions of N−linked glycans, Science. 2001 Mar 23;291:2364−9)。一旦正しいアッセンブリーのポイントを通過すれば、細胞の分泌経路の進行において、更なるアッセンブリーが起こることはない。実際、CHO細胞といった特定の細胞種は、両タイプのアッセンブリーが起こっていない(unassembled)鎖を分泌し、一方で、NSO細胞といったその他の種は、非アッセンブリー型(non−assembled)のIgG重鎖のみを選択的に保持し、おそらくそれらを分解経路にターゲットしている。
以前の研究では、特異的な組換えモノクローナル抗体の産生と、分泌経路タンパク質の細胞内存在量との間に相関関係があり、これは、細胞の環境(Lambert and Merteins, Biotechnol. Bioeng., 54(2)(1997),165−180)または培養時間(Downham et al., Biotechnol. Bioeng., 51(6)(1996), 691−696)のどちらかの変化の結果として発生する。従って、ERシャペロンおよびフォールダーゼ(foldases)の過剰発現が、真核細胞による組換え抗体分泌の速度を操作するために使用されてきた。例えば、WO03/057897では、シャペロンタンパク質および小さなヒートショックタンパク質の共発現を含む組換えタンパク質の発現の方法が教示されている。これらの付加的なタンパク質は、正しいフォールディングおよびアッセンブリーを促進し、それによって正しくフォールディングされ最も活性のある生成タンパク質をもたらす。
しかしながら、個々のシャペロンおよびフォールダーゼの過剰発現を行っても、哺乳類細胞中でモノクローナル抗体の産生は増大しなかった。例えば、哺乳類細胞中でのBIPの過剰発現は、それが結合するタンパク質の分泌を減少させ(Dorner and Kaufman, Biologicals, 22(2)(1994), 103−112)、CHO細胞中でのPDIの過剰発現は、ジスルフィドに富んだ融合タンパク質の分泌を減少させることがわかった(Davis et al., Biotechnol. Prog., 16(5)(2000), 736−743)。従って、幾つかの補助的な因子の共発現は、タンパク質産生の全発現速度を減少させる可能性があり、およびそのような補助的因子の個々の共発現速度の慎重な最適化が必要となる。様々な生成タンパク質は、個々の部分的にのみ重複するシャペロン機能に異なる程度で依存しており、現在までにそれらが多く発見されている(例えば、GroEL、GroES、DnaK、DnaJ、GrpE、ClpB、IbpA、Ibp)。従って、生成タンパク質の産生速度を唯一の犠牲として、それら全てを同時に共発現させることは望ましくなく、または可能でないようである。
本発明の根底にある技術的問題は、先行技術の短所を回避し、哺乳類宿主細胞中にて抗体産生を増強させるための新規の手段および方法を提供し、Fc受容体活性を有し少なくとも2つの異なるポリペプチド鎖から成る標準的で四量体のIgG抗体全体の高いレベルの産生を可能とすることである。
本発明は、この技術的問題を、第1のポリペプチド鎖をコード化する第1の合成ヌクレオチド配列を含む第1の転写単位および第2のポリペプチド鎖をコード化する第2の合成ヌクレオチド配列を含む第2の転写単位を少なくとも含む哺乳類発現ベクターを提供することによって解決する。ここにおいて、第1および第2の合成ヌクレオチド配列は、天然のヌクレオチド配列に基づいており、および、ここにおいて、第1のおよび第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1コピーまたは複数コピーのそれぞれの第1および第2のポリペプチド鎖を含む分子を形成することが可能であり、第1および第2の両ヌクレオチド配列のコドン組成は、天然のヌクレオチド配列の由来となった宿主種とは異なる所定の哺乳類宿主種の遺伝子のコドンバイアス(codon bias)に適合していることが特徴付けられる。
従って、本発明は、所定の哺乳類宿主細胞のコドンバイアスに適合したヌクレオチド配列(例えば遺伝子最適化ヌクレオチド配列)を有した哺乳類発現ベクターを提供する。本発明の発明者らは、哺乳類CHO細胞発現系において、軽鎖および重鎖の遺伝子最適化遺伝子を含む発明に係る二重遺伝子ベクター(ここにおいて、軽鎖および重鎖のアミノ酸配列は、遺伝子の最適化によって変化しない)を試験した。驚くべきことに、および予期しないことに、重鎖および軽鎖の両遺伝子が遺伝子最適化されたベクターの使用が、抗体産生の中央値レベルを37.8μg/mlから51.3μg/mlへと優位に上昇させることがわかった。対照的に、非最適化軽鎖との組み合わせによる、遺伝子最適化重鎖のみの発現は、抗体発現レベルを増強する効果はなかった。従って、本発明による、重鎖および軽鎖の両方の遺伝子最適化遺伝子を含む哺乳類二重遺伝子発現ベクターの使用によって、1つの遺伝子最適化遺伝子および1つの非最適化遺伝子を含むコントロールベクターまたは重鎖および軽鎖の両遺伝子が遺伝子最適化されていないコントロールベクターと比較して、分泌される抗体の全収量の著しい増大を達成することができる。遺伝子最適化された重鎖および軽鎖の両遺伝子を有するベクターによって得られる、抗体産生レベルの著しい増大は、遺伝子最適化重鎖および軽鎖遺伝子に起因する。
本発明の発明者らによって得られた更なる結果は、コードする遺伝子配列全体を最適化することに利点があり、その特定の一部のみではそうでないことを示している。例えば、軽鎖および重鎖遺伝子のN末端のみを遺伝子最適化した場合、全体の抗体産生は、全く、またはわずかにしか増加しなかった。
本発明の発明者らにより得られた結果は、先行技術に記載された知見とはっきりと対照的である。先行技術によると、軽鎖の細胞内含有量と抗体の特異的分泌速度との間に相関があることが知られており、このことは、高いレベルの抗体産生を達成するためには、重鎖と比較して過剰の軽鎖が発現しなければならず、さもないとシャペロンに保持されて重鎖が小胞体に蓄積するであろうことを示唆する。対照的に、本発明者らの結果はむしろ、哺乳類発現系においても、分泌される抗体の高いレベルでの産生を達成するために、軽鎖の発現と重鎖の発現との間で均衡をとらないといけないことを示唆する。何れかの特定の理論に結び付けられることを望むことなく、高レベルの抗体の産生の達成のために、軽鎖の細胞内プールを増加させるだけでは十分でないと考えられている。重鎖の高度な細胞内プールも必要であるようである。
さらに、本発明の結果は、小胞体におけるアッセンブリーだけでなく、転写の調節およびmRNAの安定性の調節も、抗体産生の主要な律速因子の1つであることを示す。本発明者らに使用される遺伝子最適化が重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を変化させないことから、抗体生産性の増大が、鎖のアッセンブリーの変化、またはミスフォールディングしたもしくはフォールディングしなかったポリペプチド鎖のER関連分解の変化に起因することはありえない。本発明による二重遺伝子ベクター(重鎖および軽鎖の両遺伝子が遺伝子最適化されている)によってもたらされる抗体産生の増大はむしろ、転写効率およびmRNAの安定性が、シス作用性配列モチーフ(例えば、内部TATボックス、chiサイト、反復配列、潜在性スプライスサイト(cryptic splice sites)等)の除去によって最適化され、それぞれの遺伝子の転写効率の増大がもたらされることを示唆している。
従って、本発明は、根底にある技術的問題を、第1のポリペプチド鎖をコード化する第1の合成ヌクレオチド配列を含む第1の転写単位および第2のポリペプチド鎖をコード化する第2の合成ヌクレオチド配列を含む第2の転写単位を少なくとも含む哺乳類発現ベクターを提供することによって解決する。ここにおいて、第1および第2の合成ヌクレオチド配列は、天然のヌクレオチド配列に基づき、およびここにおいて、第1のおよび第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1コピーまたは複数コピーのそれぞれの第1および第2のポリペプチド鎖を含む分子を形成することが可能であり、第1および第2の両ヌクレオチド配列のコドン組成は、それらのmRNAが高効率で転写されるように改変されていることが特徴付けられる。
本発明の状況において、「少なくとも1コピーまたは複数コピーのそれぞれの第1および第2のポリペプチド鎖を含む分子」とは、多サブユニット分子、特に分泌性多サブユニット分子である。当該分子は、1以上のコピー数の2つの異なるポリペプチド鎖のそれぞれから成ることができる。当該分子は2を越える異なるポリペプチド鎖を含み得る。好ましい実施態様において、分子は分泌性抗体である。しかしながら、分泌される分子はまた、異なるポリペプチド鎖またはサブユニットから成るその他のタンパク質とすることができる。そのような多サブユニットタンパク質の例は、多サブユニット酵素、受容体分子およびイオンチャネルを含むが、これらに限定されない。
本発明の状況において、「哺乳類発現ベクター」とは、好ましくは単離されおよび精製された、DNA分子であって、適切な哺乳類宿主細胞への形質移入によって、宿主細胞内で両ポリペプチド鎖の高いレベルの発現を提供するものである。
本発明による哺乳類発現ベクターは、少なくとも2つの独立した転写単位を含む。2つの独立した転写単位を有する発現ベクターはまた、二重遺伝子ベクターと称される。それゆえ、その例は、第1の合成ヌクレオチド配列または第1の転写単位の第1遺伝子が抗体の重鎖またはその断片をコード化し、ならびに、第2の転写単位の第2の合成ヌクレオチド配列が抗体の軽鎖をコード化する二重遺伝子ベクターである。別の例は、2つの合成ヌクレオチド配列が、酵素といったタンパク質の2つの異なるサブユニットをコード化する二重遺伝子ベクターである。
しかしながら、本発明による発現ベクターは、2よりも多い独立した転写単位を含むことが可能であり、例えば、3、4またはそれより多い数の独立した転写単位を含み、それぞれが、異なるポリペプチド鎖をコード化する異なる合成核酸ヌクレオチド配列を含むようにすることが可能である。それゆえ、その例は、4つの独立した転写単位を有し、それぞれが、4つの異なるサブユニットから成る酵素の1つのサブユニットをコード化する異なる合成ヌクレオチド配列を含むベクターである。
本発明の状況において、「遺伝子最適化」という用語は、関心ある遺伝子といった天然のヌクレオチド配列に多数の変化が導入され、新たな合成ヌクレオチド配列が作られる技術のことを意味する。本発明の状況において、「合成ヌクレオチド配列」とは、それゆえ、天然のヌクレオチド配列を由来として遺伝子最適化によって出来たヌクレオチド配列を意味する。天然のヌクレオチド配列は、ゲノム配列とすることが可能であり、また、ゲノム配列から得られイントロン配列を欠くcDNAとすることが可能である。
遺伝子最適化のねらいは、標的生物において、またはこの標的生物の組織もしくは細胞において、遺伝子の転写効率を増大させることおよびその最適な発現を促進することであり、ここにおいて、標的生物は、ヌクレオチド配列の由来となった生物とは異なる。異なる種における、異なる縮重トランスファーRNAの異なる存在量に基づいて、それぞれの生物には、コドン使用の好ましい選択がある。所定の生物または種において最高の発現レベルを示すタンパク質は、高度なコドンバイアス(すなわち、1つの遺伝子において、アミノ酸に対する同一のコドンが利用される傾向の範囲)を有する。
遺伝子の最適化は、それゆえ、天然のヌクレオチド配列における少なくとも1つの既存のコドンを、好ましくは標的生物において使用される同義のコドンに置換することを含む。同義のコドンは、置換されるコドンに対応するiso−tRNAと比較した場合に標的細胞または標的生物中により多く存在するiso−tRNAに対応する。
本発明の好ましい実施態様において、第1のおよび第2のヌクレオチド配列のコドン組成は、特定の標的哺乳類宿主細胞の遺伝子のコドンバイアスに適している。最も好ましくは、第1のおよび第2のヌクレオチド配列のコドン組成は、CHOまたはNSO細胞遺伝子のコドンバイアスに適している。別の実施態様において、第1のおよび第2のヌクレオチド配列のコドン組成は、ホモサピエンス遺伝子のコドンバイアスに適している。
真核生物の遺伝子発現は、転写性の、転写後の、翻訳性のおよび翻訳後のレベルで調節され得る複雑な機構である。酵母における実験から、プロテオームの80%が指数関数的増殖期に発現し、リボソームの85%が翻訳に関与していることが示され、このことから、mRNAは、リボソームをかけて競合していることが示唆される。本発明者らによるキメラ抗体を産生するNSO細胞株の研究は、更に、組換えmRNAが全mRNAの約20%を占めることを明らかにした。このことは、リボソームの需要が細胞の資源を上回り、そのためリボソーム不足が細胞の維持および成長を妨害し得ることを示唆する。
mRNAの安定性の調節は、遺伝子発現の調節の重要な構成要素である。個々のmRNAの構造的特性は、翻訳の工程に影響し得る。高等真核生物において、例えば、リーダーの長さ、開始コドンの上流または下流の一方における二次構造の存在およびポリAテールの長さが、mRNAの翻訳の効率に影響を与え得ることがわかっている。リーダー内の安定した二次構造は、開始コドンを探す際の40Sリボソームサブユニットのスキャニングを妨害し、それゆえ翻訳を阻害し得る。mRNAの安定性の決定に関与する、コンセンサスシス作用性配列および配列モチーフが存在することが既知である。核酸における因子の共同的相互作用はまた、転写後のレベルにおける細胞内遺伝子の発現の制限に関与する。このような阻害配列(INS)は、mRNA内において活性を有する。さらに、幾つかのウイルス性および細胞性mRNAは、進化した調節因子、すなわち、リーダー内における内部リボソームエントリーサイト(IRES)(cap非依存性機構において機能し、mRNAへの40Sリボソームサブユニットの内部的な結合を促進する)を有する。
それゆえ、本発明によると、遺伝子の最適化はまた、合成ヌクレオチド配列の転写効率を改善し、およびmRNAに安定性の増強を提供しおよび/またはmRNAの翻訳効率を増大させる変化を含む。
従って、本発明の好ましい実施態様において、遺伝子の最適化は、天然のヌクレオチド配列と比較して、1つまたは両方の合成ヌクレオチド配列におけるGC含量またはGC分布の変化を含む。従って、本発明は、2つの合成ヌクレオチド配列が、対応する天然のヌクレオチド配列と異なるGC含量および/またはGC分布を有する、哺乳類発現ベクターに関する。「異なる」GC含量とは、合成ヌクレオチド配列が、標的哺乳類宿主細胞に依存して、天然のヌクレオチド配列よりも高いまたは低いGC含量を有し得ることを意味する。特に、1つまたは両方の合成ヌクレオチド配列において、5’UTRのGC含量は、対応する天然ヌクレオチド配列と比較して増大していることが好ましい。更に、1つまたは両方の合成ヌクレオチド配列において、3’UTRのGC含量は、対応する天然ヌクレオチド配列と比較して増大していることが好ましい。
本発明による別の好ましい実施態様において、2つの合成ヌクレオチド配列の1つまたは両方は、対応する天然ヌクレオチド配列と異なるAT含量および/またはAT分布を有する。特に、合成ヌクレオチド配列の1つまたは両方において、3’UTRのAT含量は、対応する天然ヌクレオチド配列と比較して減少していることが好ましい。
本発明による更に別の実施態様において、合成ヌクレオチド配列の1つまたは両方において、3’UTRおよび/または5’UTRの長さは、対応する天然ヌクレオチド配列と比較して変化している。3’UTRの長さが増加していることが特に好ましい。5’UTRの長さは約60bpに調節されていることが更に好ましい。
別の好ましい実施態様において、2つの合成ヌクレオチド配列のうち1つまたは両方は、対応する天然ヌクレオチド配列よりもシス作用性配列モチーフが少ない。「シス作用性配列モチーフが少ない」とは、天然ヌクレオチド配列が、合成ヌクレオチド配列と比較してシス作用性配列モチーフを少なくとも1つ多く有することを意味する。好ましくは、合成ヌクレオチド配列は、天然ヌクレオチド配列に存在する全てのシス作用性配列モチーフの95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満または10%未満を有する。最も好ましくは、合成ヌクレオチド配列は、シス作用性配列モチーフを全く有しない。遺伝子最適化は、特に、5’UTRおよび3’UTRに存在するシス作用性配列モチーフの変化を含むことが好ましい。
本発明によると、「シス作用性配列モチーフ」または「シス作用性配列因子」とは、内部TATAボックス(internal TATA boxes)、chiサイト、リボソーム侵入サイト(ribosomal entry sites)(例えば、IRESサイト)、ATリッチまたはGCリッチ配列ストレッチ、ARE、INSまたはCRS配列因子、RNAの安定性に影響し得る反復配列、潜在性スライスドナーおよびアクセプターサイト(cryptic slice donor and acceptor sites)等を含むが、これらに限定されない。従って、2つの合成ヌクレオチド配列は、好ましくは、天然ヌクレオチド配列と比較して、内部TATAボックス、chiサイトおよび/またはリボソーム侵入サイトの含量が少ない。2つの合成ヌクレオチド配列はまた、天然ヌクレオチド配列と比較して、より少ないARE、INSおよび/またはCRS配列因子を含むようにできる。更に、2つの合成ヌクレオチド配列は、天然ヌクレオチド配列と比較して、より少ない反復配列を有するようにでき、これによって、天然のヌクレオチド配列の場合と比較して、RNAが二次構造を形成することがより少なくなると考えられる。また、2つの合成ヌクレオチド配列は、天然のヌクレオチド配列と比較して、潜在性スプライスドナーおよびアクセプターサイトをより少なく含むようにできる。
本発明による実施態様において、遺伝子最適化には、天然のヌクレオチド配列に存在するARE因子の変化および/または除去といった、特定のタイプのシス作用性配列モチーフの変化のみが含まれる。別の実施態様において、遺伝子最適化には、天然のヌクレオチド配列に存在する2以上のタイプのシス作用性配列モチーフの変化および/または除去が含まれ、例えば、TATAボックスならびにARE配列因子ならびに潜在性スプライスドナーおよびアクセプターサイトの除去が含まれる。更に別の実施態様において、遺伝子最適化には、全ての考えられるタイプのシス作用性配列モチーフの変化および/または除去が含まれる。第1のおよび第2の合成ヌクレオチドモチーフ配列の遺伝子最適化には、異なるシス作用性配列モチーフの変化および/または除去が含まれ得る。
別の好ましい実施態様において、遺伝子最適化には、uCDSおよびuAUGといった選択的開始サイト(alternative initiation sites)の除去という変化が含まれる。それゆえ、本発明はまた、2つの合成ヌクレオチド配列の1つまたは両方が、対応する天然のヌクレオチド配列よりも選択的開始サイトを少なく含む哺乳類発現ベクターに関する。
本発明の一実施態様において、ポリペプチド鎖をコード化するヌクレオチド配列全体が遺伝子最適化されている。更なる実施態様において、ヌクレオチド配列の特定の領域のみが遺伝子最適化されている。この例は、ヌクレオチド配列のN末端の遺伝子最適化である。本発明によると、第1のおよび第2の合成ヌクレオチド配列が、異なる遺伝子最適化によって生じるものとすることは当然可能である。例えば、2つの合成ヌクレオチド配列の1つにおいて配列全体を遺伝子最適化する一方で、別の合成配列において配列の一部のみを遺伝子最適化することができる。しかしながら、合成ヌクレオチド配列において、異なる特徴を変化させることも可能である。例えば、合成ヌクレオチド配列の1つにおいて、GC含量のみを変化させ、一方別の合成ヌクレオチド配列において、特定のシス作用性因子を除去した。
本発明の特に好ましい実施態様において、遺伝子最適化は、アミノ酸配列の変化をもたらさない。即ち、合成ヌクレオチド配列によってコードされる第1のおよび第2のポリペプチド鎖は、天然のヌクレオチド配列によってコードされる対応するポリペプチド鎖と比較して、同一のアミノ酸配列を有する。
しかしながら、本発明によると、遺伝子最適化によって、合成ヌクレオチド配列によってコードされる1つまたは両方のポリペプチド鎖のアミノ酸配列に変化をもたらすことも当然可能である;すなわち、第1の合成ヌクレオチド配列にコードされる第1のポリペプチドもしくは第2の合成ヌクレオチド配列にコードされる第2のポリペプチドの何れか、またはこれらの両方が、天然のヌクレオチド配列にコードされる対応するポリペプチド鎖と比較して異なるアミノ酸配列を有すようにすることも可能である。好ましい例は、天然のヌクレオチド配列にコードされる対応するポリペプチド鎖と比較して、グリコシル化サイトが少ないまたはグリコシル化サイトが修正されたポリペプチド鎖に関する。
本発明の好ましい実施態様は、第1の合成ヌクレオチド配列が、抗体の軽鎖またはその断片をコードし、第2の合成ヌクレオチド配列が、抗体の重鎖またはその断片をコードする哺乳類発現ベクターに関する。好ましくは、発現において、第1のおよび第2のポリペプチド鎖は、抗体または免疫グロブリンまたはそれらの断片を形成し得る。別の好ましい実施態様において、第1のおよび/または第2の合成ヌクレオチド配列は、エフェクタータンパク質の遺伝子に融合している。この場合、発現において、第1のおよび第2のポリペプチド鎖は、エフェクタータンパク質が抗体または免疫グロブリンまたはそれらの断片にカップリングした融合タンパク質を形成し得る。
本発明による免疫グロブリンは、Fcレセプター活性または補体活性化活性(complement activation activity)またはそれらの両方を有することができる。補体活性化とは、(おそらく異なる経路による)補体カスケードの誘導に関するものと当該分野において明確に定義されている一方で、本発明の状況におけるFc受容体活性は、例えば天然IgGまたはIgAによって引き起こされる食作用性または細胞毒性活性の場合における、または、例えば天然のIgEクラス免疫グロブリンによる細胞の受容体の誘引における肥満細胞顆粒(mast cell granules)の放出の場合における、細胞の応答を引き起こす細胞性Fc受容体の活性化として理解されるべきである。同様に、天然の抗体の中で、IgMおよびIgGクラス抗体の両方が補体活性化を引き起こす可能性がある。言うまでも無く、何れかのそのようなエフェクター活性は、抗体の天然のサブクラスおよびそれらの既知のアロタイプの中で異なる可能性があり、そのため本発明による抗体の中で異なる可能性がある。本発明の状況において、しかしながら、Fc受容体活性または補体活性化エフェクタードメインは、ドメインスワッピング(domain swapping)により何れかの所定の免疫グロブリン構造に挿入し、選択的に形質移入し、またはそのように作製された免疫グロブリンにそれぞれのエフェクター特性を付与することが可能である。
免疫グロブリンは、所定の抗原に対する特異的結合を除いて、天然のタイプの免疫グロブリンであってよく、または、操作された、人工的なタイプの免疫グロブリンであってよい。これには、種−キメラ性抗体(species−chimeric antibodies)またはCDRグラフト化抗体、遺伝子シャッフリングもしくは部位特異的操作によって作られた抗体、PEGもしくは放射性同位体キレート化部位にて化学的に修飾された抗体または前述した活性を有する免疫グロブリンが何れかのその他のタンパク質部位(別の酵素活性ドメイン等)に繋がった融合タンパク質を含む。所定の免疫グロブリンによって与えられる全ての活性の範囲は異なってよい。両タイプのエフェクター機能は、免疫グロブリン重鎖の定常部分領域に起因する;例えば、異なるヒトIgGサブクラスは、補体カスケードの工程を活性化しおよび増幅する相対的な効果の点で異なる。一般に、ヒトIgG1およびIgG3は最も効果的に補体を固定(fix)し、IgG2は効果性が少なく、およびIgG4は補体を活性化しない。前述の活性の何れかを試験するアッセイフォーマットは、免疫学者およびその他の者に周知である;標準的な免疫化学ラボマニュアル、例えばHarlowらによるもの(Antibodies−a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press 1988)にて、適したプロトコールを参照してよい。天然の免疫グロブリンにおいて、例えば、軽鎖は1つの定常領域ドメインを有し、重鎖は複数の定常領域ドメインを有す。全てのヒトサブクラスIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4は、定常鎖領域を介した細胞毒性エフェクター機能を仲介し(ADCC:抗体誘導細胞毒性(antibody directed cytotoxicity))、これは、抗体とキラー細胞/細胞障害性Tリンパ球との相互作用によってもたらされる;IgG4はそのような効果を仲介することはないとしばしば言われていたため、このことは非常に注目すべきことである。しかしながら、ヒトIgG4は本質的にADCCを仲介することができるが、その程度は、少なくともヒトにおける異なる(distinc)天然の多形性のために、51Cr−放出といったアッセイに使用されるエフェクター細胞のソースに強く改変を受け/依存することが構成的に(consistingly)わかっている。このことは、Greenwood J、Clark M、Waldmann H.によって示された(Structual motifs involved in human IgG antibody effector functions Eur J Immunol 1993; 5:1098−1104)。
天然の抗体または免疫グロブリンクラスIgGおよびIgAは、天然に3つの定常領域を有し、CH1、CH2およびCH3と名付けられ、IgMおよびIgEクラスは4つの定常領域を有している。対照的に、例えばWO02/056910は、CH1ドメインを欠く、ヒトの治療のための人工的抗体を発明している;そのような抗体もまた、本発明による免疫グロブリンの概念に包含される。
好ましくは、免疫グロブリンまたはIg分子は、少なくともヒンジドメイン、CH2およびCH3ドメインまたはそれらの機能的バリアントを含む。これらのドメインは、例えば天然のIgGにおける本質的なFc部分を形成する。免疫グロブリンのこれらの構造因子の詳細および定義は、以前の刊行物に記載されている(Amzel et al., Three−dimensional structure of immunoglobulins, Ann. Rev. Biochem. 48, 961−997 (1979); Davies et al., Structural basis of antibody function, Ann. Rev. Immunol. 1, 87−117 (1983); Hunkapiller et al., Diversity of immunoglobulin gene superfamily, Adv. Immunol. 44, 1−63 (1989))。当該ドメインは、天然のドメイン、そのようなドメインの人工的に作製したキメラバージョンまたはそのようなドメインのキメラアッセンブリーまたは例えば部位特異的突然変異誘発によって作製したバージョンとすることが可能である。これまで、キメラ性のCDRグラフト化マウスヒトキメラ抗体がしばしば使用された;同様に、しばしば、可変部位またはCH1/CLドメイン部位における潜在的なグリコシル化サイトが、部位特異的突然変異誘発によって除去された。当然、本発明による免疫グロブリンの何れかの部分を操作する程度は、相補性決定領域に固有の天然の多様性とは別に、操作される抗体における拡張され強く免疫原性を示すモチーフの生成を回避する必要性によって制限されてよい。これとは別に、例えばIgGタイプ抗体の日常的に作製されるFv部位(VおよびVドメインを含む)であるヒンジ部分の上流にある抗原結合部分については、そのような部分は、2つの異なるポリペプチド鎖から作られ(分泌される場合)、およびある抗原結合特性を有しているということだけが、本発明による要求である。本発明による免疫グロブリンは、抗原結合Fv型式における「紐状のパール(pearl−on−a−string)」型式に配置された増大した可変性ドメインによって達成することで、抗原結合価を増加させる可能性がある。
本発明の特に好ましい実施態様において、抗体の軽鎖をコードする第1の合成ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.3に示される配列を含み、抗体の重鎖をコードする第2の合成ヌクレオチド配列はSEQ ID NO.1に示される配列を含む。SEQ ID NO.3にコードされる軽鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO.4に示される。SEQ ID NO.1にコードされる重鎖のアミノ酸配列はSEQ ID NO.2に示される。
ポリペプチド鎖をコードする合成ヌクレオチド配列に加えて、哺乳類発現ベクターは、コード配列からのmRNAの効率的な転写および宿主細胞株におけるmRNAの効率的な翻訳に必要な調節DNA配列を含む。調節配列が合成ヌクレオチド配列に実施可能的に繋がっている場合、それらは、このヌクレオチド配列の転写の開始を仲介し、哺乳類細胞の環境において対応するmRNAからの効率的なタンパク質合成を促進するだろう。本発明の好ましい実施態様において、2つの転写単位のそれぞれにおいて、2つの異なるポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列は、同じ調節単位に制御される。
好ましくは、本発明による哺乳類発現ベクターは、更に、動物細胞において選択される少なくとも1つの発現可能なマーカーを含む。それゆえ、好ましい実施態様において、本願の哺乳類発現ベクターは、選択マーカーをコードする第3の転写単位を含む。チミジンキナーゼ(tk)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはグルタミン合成酵素(GS)といった、一般に使用される何れかの選択マーカーを使用してよい。好ましい実施態様において、発現可能なGS選択マーカーが使用される(Bebbington et al., 1992, High−level expression of a recombinant antibody from myeloma cells using a glutamine synthetase gene as an amplifiable selectable marker, Bio/Technology 10:169−175; Cockett et al., 1990, High level expression of tissue inhibitor of metalloproteinases in Chinese Hamster Ovary (CHO) cells using Glutamine synthetase gene amplification, Bio/Technology 8: 662−667)。GSシステムは、治療用タンパク質の製造に特に重要なただ2つのシステムのうちの1つである。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)システムと比較して、GSシステムは、開発(development)の段階で大きな時間的優位性を提供する。というのは、しばしば最初の形質移入体から非常に生産性の高い細胞株が得ることができ、これによって、遺伝子増幅を達成するために選択薬剤の濃度を増大させて複数回選択を行う必要性を回避することができるためである(Brown et al., 1992, Process development for the production of recombinant antibodies using the glutamine synthetase (GS) system, Cytotechnology 9:231−236)。
特に一過的/エピソーム性発現のみに使用する場合、本発明による発現ベクターは、真核生物宿主細胞における自律複製/エピソーム維持のために複製起点(例えば、Epstein Barr Virus(EBV)またはSV40ウイルスの起点)を更に含んでよいが、選択マーカーを欠いてもよい。本発明による発現ベクターは、例えば、直鎖状DNA断片、核ターゲッティング配列を包含するDNA断片とすることができるが、これらに限られず、また、形質移入薬剤、動物性ウイルスまたは適切なプラスミド(シャトルとして機能し、細菌内で生産可能)との相互作用に特別に最適化されてよい。
本発明は、本発明による哺乳類発現ベクターを含む宿主細胞を提供することでも、根底にある技術的問題を解決する。従って、本発明の更なる側面は、好ましくは本発明による哺乳類発現ベクターを含む、脊椎動物宿主細胞に関する。
本発明の実施態様において、本発明による宿主細胞は、最初の(primary)細胞株と比較して、安定して細胞培地で増殖することができる何れかの脊椎動物宿主細胞株であってよい。考えられる細胞株は、例えば、COS細胞、NSO細胞、CHO細胞、HT1080細胞、PER−C6細胞、BHK細胞、Sf−9細胞、293または293−EBNA細胞である。
本発明の好ましい実施態様において、本発明による脊椎動物宿主細胞は哺乳類細胞であり、最も好ましくはヒト細胞、例えばHT1080細胞、293、293−EBNAまたはHBK−11細胞(ATCC−CRL12569;US6,136,599も参照)である。より好ましくは、本発明によるヒト細胞は、HT1080細胞およびPer−C6細胞から成る群から選択される(Crucell B.V., Netherlands; WO97/00326, EP−1161548も参照)。最も好ましくは、細胞は、HT1080細胞である。例えば、HT1080細胞は、Amercian Type Culture Collection(Manassas/VA, U.S.A.)において、ATCC No.CCL−121として要求することができる。HT1080細胞は、グルタミン合成酵素選択マーカーシステムと組み合わせて使用した場合、生成物のグルコシル化を増強できることがわかっている(WO03/064630)。
特に好ましい実施態様において、哺乳類宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくは細胞株(Puck et al., 1958, J. Exp. Med. 108: 945−955)、特にCHO−Kl細胞(ATCC CCL−61)、CHO pro3−、CHO DG44、CHO P12、dhfr−CHO細胞株DUK−BII(Chassin et al., PNAS 77, 1980, 4216−4220)、DUXBl 1 (Simonsen et al., PNAS 80, 1983, 2495−2499)、または無血清懸濁培地での増殖(すなわち、マイクロキャリアー骨格培養法(microcarrier−borne culture)を除く)に順応したCHO細胞である。
本発明による更に別の実施態様において、宿主細胞は、リンパ球、より好ましくは哺乳類リンパ球であり、これらには例えばハイブリドーマ、ミエローマおよびトリオーマ(trioma)細胞株が包含される。その例は、非分泌性ハイブリドーマ、例えば、SP2/0、および非分泌性ミエローマ細胞、例えば、マウス由来のNSO細胞株ECACC No.85110503(European Collection of Cell cultures, Centre for Applied microbiology, Salisbury/Wiltshire SP40JG, United Kingdom)またはラット由来のYB2/3.0 Ag20(GB2070313に記載される)である。NS0細胞といったミエローマ細胞は、正確にBリンパ球細胞種、すなわちプラズマ細胞腫細胞株であるが、当該分野においては日常的に「ミエローマ」と呼ばれる(Barnes et al., Cytotechnology 32:109−123,2000)。
哺乳類宿主細胞のその他の好ましい例は、MRC5ヒト線維芽細胞、983Mヒトメラノーマ細胞、MDCKイヌ腎細胞、Sprague−Dawleyラットから単離されたRF培養ラット肺線維芽細胞、B16BL6マウスメラノーマ細胞、P815マウス肥満細胞腫細胞およびMT1A2マウス乳腺癌細胞であるが、これらに限定されない。
本発明による哺乳類宿主細胞への発現ベクターの導入のために、当該分野において何れかの既知の技術(例えば、電気穿孔法、リン酸カルシウム共沈法、DEAEデキストラン形質移入、リポフェクション)を、所定の宿主細胞種に適している場合に使用することができる。本発明によるベクターが形質移入された哺乳類宿主細胞は、一過的または安定的に形質移入された細胞株と解釈されるべきことに留意すべきである。従って、本発明によると、本願哺乳類発現ベクターは、エピソームによって維持でき、または哺乳類宿主細胞のゲノムに安定的に組み込むことができる。
一過的な形質移入は、ベクター由来の選択マーカーに対して何れの選択圧も適用しないことが特徴付けられる。一過的形質移入による細胞のプール(pool)またはバッチ(batch)は、外因性DNAを取り込み、それを発現する細胞およびそのようなDNAを取り込んでいない細胞を含む、プールされた細胞の集団である。通常形質移入後20−50時間続く一過的形質移入実験において、形質移入されたベクターはエピソーム性因子として維持され、およびゲノムに組み込まれない。形質移入されたDNAは、通常宿主細胞のゲノムに組み込まれない。宿主細胞は、形質移入されたDNAを失い、一過的に形質移入された細胞のプールの培養において、形質移入細胞を圧倒して増殖する傾向がある。それゆえ、発現は、形質移入の直後に期間に最も強く、時間と共に低下する。好ましくは、本発明による一過的形質移入体とは、形質移入後90時間までにおける選択圧のない細胞培養において維持された細胞であると理解される。
本発明の好ましい実施態様において、例えばCHO宿主細胞といった哺乳類宿主細胞は、本発明による哺乳類発現ベクターで安定的に形質移入されている。安定的形質移入とは、ベクターDNAといった新たに導入された外因性DNAが、ゲノムDNA内に、通常ランダムで非相同的組換え現象によって、取り込まれることを意味する。ベクターDNAのコピー数、同時に遺伝子産物の量は、宿主細胞のDNAへの組み込み後にベクター配列が増幅された細胞株を選択することで、増加させることができる。それゆえ、遺伝子増幅のための更なる選択圧に曝すことで、CHO細胞内に微小染色体の倍化を生じさせることが可能である。さらに、ベクター配列の場合、安定した形質移入は、組換え遺伝子産物の発現に直接関係のないベクター配列の一部(例えば、ゲノムへの組み込みには不要な、細菌性コピー数調節領域)の消失が起こる可能性がある。それゆえ、形質移入された宿主細胞は、発現ベクターの少なくとも一部または異なる部分がゲノムに組み込まれている。
本発明は、以下の工程を含む、複数のコピー数の第1および第2のポリペプチド鎖のそれぞれを含む、分泌される分子の産生レベルを改善するための方法を提供することによっても根底にある技術的問題を解決する:
a)少なくとも第1および第2のポリペプチド鎖をコードする本発明による発現ベクターで哺乳類宿主細胞を形質移入する;
b)細胞の増殖を可能とし、細胞内で2つのポリペプチド鎖の発現およびアッセンブリーを行い複数のコピー数の第1および第2のポリペプチド鎖のそれぞれを含む分子を形成させ、および、形成された分子の分泌を可能とする、適切な条件下で宿主細胞を培養する;および
c)形成された分子を回収する。
分泌される分子、特に分泌される抗体の産生レベルを増大させる方法は、発現によって所望の分子を形成する2つの異なるポリペプチド鎖(例えば抗体の重鎖および軽鎖)をコードする2つの異なる遺伝子最適化遺伝子を含む本発明による哺乳類二重遺伝子発現ベクターの使用に基づく。本発明によるベクターの使用によって、1つの遺伝子最適化遺伝子のみを含むコントロールベクターまたは両方の遺伝子が遺伝子最適化されていないコントロールベクターと比較して、分泌される分子の全収量の著しい増大を達成することが可能である。従って、本発明による方法は、好都合に、分泌される分子の産生レベルの相当な増強をもたらす。
好ましくは、本発明の方法において、異なるポリペプチド鎖の両方が、ほぼ1:1の割合で発現する。このことは、所望の分子が複数のコピー数の重鎖および軽鎖から成る抗体である場合に特に有利である。しかしながら、2つのポリペプチド鎖の発現を別の割合に調節することも可能である。これは、ポリペプチド鎖をコードする2つの異なる合成ヌクレオチド鎖に異なる遺伝子最適化戦略を適用することにより、または、2つの合成ヌクレオチド配列と異なるプロモーターとを実施可能的につなげることによって達成することができる。
本発明による方法は、少なくとも2つの異なるポリペプチド鎖から成る何れかの分泌分子の収率を増大させるために使用することができる。好ましくは、分泌される分子は、分泌性の抗体である。しかしながら、分泌される分子は、異なるポリペプチド鎖またはサブユニットから成る別のタンパク質とすることもできる。そのような多サブユニットタンパク質の例は、幾つかの異なるサブユニットを含む酵素、受容体分子およびイオンチャネルを含むがこれらに限定されない。
哺乳類細胞株に適した培地および培養方法は当該分野において周知であり、例えば、US5,633,162に記載されている。実験室用フラスコまたは低密度細胞培養のためのおよび特定の細胞種の要求に適した標準的細胞培養培地の例は、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地(Morre, G., The Journal of the American Medical Association, 199, p.519 f. 1967)、L−15培地(Leibovitz, A. et al., Amer. J. of Hygiene, 78, lp.173 ff, 1963)、Dulbecco’s改変Eagle’s培地(DMEM)、Eagle’s最小必須培地(MEM)、Ham’s F12培地(Ham, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sc.53, p288 ff.1965)またはアルブミン、トランスフェリンおよびレシチンを欠くIscoves’改変DMEM(Iscoves et al., J. Exp. med. 1, p. 923 ff, 1978)を含むが、これらに限定されない。例えば、Ham’s F10またはF12培地は、CHO細胞培養のために特別に設計された。CHO細胞培養のために特別に適応したその他の培地は、EP−481 791に記載されている。そのような培養培地には、ウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS、ウシ胎児血清(fetal calf serum)FCSとも呼ばれる)を添加することが可能であり、後者は、過度のホルモンおよび成長因子の天然の供給源を提供する。哺乳類細胞の細胞培養は、今日、科学的教科書およびマニュアルに十分記述される日常的な操作であり、例えばR. Ian Fresneyによる文献(Culture of Animal cells, a manual, 4th edition, Wiley−Liss/N.Y., 2000)に詳細に記載されている。
本発明による好ましい実施態様において、使用される細胞培養培地はウシ胎児血清(FCSまたはFBS)を欠いており、「無血清」と呼ばれる。無血清培地における細胞は、一般に、最適な増殖のために無血清培地にインスリンまたはトランスフェリンを必要とする。トランスフェリンは、非ペプチドキレート剤またはシデロフォア(例えば、WO94/02592に記載されるトロポロン)で少なくとも部分的に置換してよく、または好都合にビタミンCといった抗酸化剤との組み合わせで有機鉄の供給レベルを増大してよい。大部分の細胞株は、1以上の合成成長因子(組換えペプチドを含む)を要求し、これには、例えば、上皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン様成長因子IおよびII(IGFI、IGFII)等が含まれる。必要としてよい別のクラスの因子は、プロスタグランジン、輸送および結合タンパク質(例えば、セルロプラスミン、高および低密度リポタンパク質、ウシ血清アルブミン(BSA))、ホルモン(ステロイドホルモンを含む)、および脂肪酸を含む。ポリペプチド因子の試験は、新たなポリペプチド因子の存在下で増殖刺激が見られるかどうかを段階的に試験することで最も良好に行われる。これらの増殖因子は、合成されたものまたは組み換え体である。動物細胞培養において周知の幾つかの方法学的アプローチが存在し、その例は、以下に記載される。最初の段階は、細胞が、血清添加培養培地からの移行後3−6日間生存しおよび/またはゆっくりと増殖するであろう条件を得ることである。ほとんどの細胞種において、これは、少なくとも部分的に、接種濃度に相関がある。一度最適なホルモン/成長因子/ポリペプチド添加物を得ることができれば、生存に必要な接種濃度は減少するだろう。
別の好ましい実施態様において、細胞培養培地はタンパク質を含まず、つまり、胎児血清および個々のタンパク質成長因子添加物または組み換えトランスフェリンといったその他のタンパク質の何れも含まない。
別の実施態様において、本発明による方法は、例えば産業的半回分(fed−batch)バイオリアクターでの動物宿主細胞の高密度増殖を含む。従来の下流処理(downstream processing)を、その後適用してよい。従って、高密度増殖培養培地を使用しなければならない。そのような高密度増殖培地は、普通、栄養物を添加することが可能であり、例えば、全アミノ酸、エネルギー源(例えば、前述した範囲におけるグルコース)、無機塩、ビタミン、微量元素(通常、マイクロモルの範囲の終濃度で存在する無機化合物として定義される)、緩衝剤、4つのヌクレオシドまたはそれらに相当するヌクレオチド、グルタチオン(還元型)といった抗酸化物、ビタミンCおよび重要な膜脂質(例えば、コレステロールもしくはホスファチジルコリン)または脂質前駆体(例えば、コリンもしくはイノシトール)といったその他の化合物を添加することが可能である。高密度培地は、ほとんどのまたは全てのこれらの化合物が濃縮されていると考えられ、および、RPMI1640と比較してBG2251 249による前述の標準培地よりも、これら(本質的に等張性の培地の浸透圧を調節する基礎となる無機塩以外)を高い量で含む(強化されている)と考えられる。好ましくは、本発明による高密度培養培地は強化されており、トリプトファン以外の全てのアミノ酸が75mg/ml培養培地を越えている。好ましくは、一般的なアミノ酸要求性とともに、グルタミンおよび/またはアスパラギンは、1g/l高密度培養培地を越えており、より好ましくは2g/l高密度培養培地を越えている。本発明の状況において、高密度細胞培養とは、少なくとも10細胞/mlまたはそれを越える生細胞の密度、好ましくは少なくとも10細胞/mlまたはそれを越える生細胞の密度を一時的に有する動物細胞集団であって、一定のまたは増加性の培養体積の細胞培養培地中において、単一細胞からまたは低生細胞密度の接種原から連続的に増殖した集団であると定義される。
更に好ましい実施態様において、本発明による方法は、半回分培養を含む。半回分培養とは、GB2251249に記載されるように、独立したフィード(separate feed)によるグルコース濃度の調節とは別に、少なくともグルタミンが、任意に1または複数のその他のアミノ酸(好ましくはグリシン)とともに、培地中のそれらの濃度を維持するために細胞培地に投与される培養系である。より好ましくは、グルタミンおよび任意に1または複数のその他のアミノ酸のフィードは、EP−229 809−Aに記載されるように、グルコースといった1以上のエネルギー源の細胞培養への投与と組み合わせられる。フィードは、普通、培養の開始から25−60時間後に開始される;例えば、細胞が約10細胞/mlの密度に達したときにフィードを開始することが有用である。動物細胞の培養において、「グルタミノリシス(glutaminolysis)」(McKeehan et al., 1984, Glutaminolysis in animal cells,in: Carbohydrate Metabolism in Cultured Cells, ed. MJ. Morgan, Plenum Press, New York, pp. 11−150)は、増殖期において、エネルギーの重要な供給源となる可能性があることが、当該分野において周知である。全グルタミンおよび/またはアスパラギンフィード(アスパラギンによるグルタミンの置換のため;Kurano, N. et al., 1990, J. Biotechnology 15, 113−1参照)は、通常、培養体積1l当り0.5から10gの範囲であり、好ましくは1l当り1から2gである;フィード中に存在し得るその他のアミノ酸は、培地1l当り10から300mgの全フィードであり、特にグリシン、リジン、アルギニン、バリン、イソロイシンおよびロイシンは通常、その他のアミノ酸と比較して少なくとも150から200mg高い量で投与される。フィードは、ショット添加(shot−addition)として、または連続的なポンプ供給(pumped)によって添加することができ、好ましくはフィードは、バイオリアクターにほとんど連続的にポンプ供給される。言うまでもなく、バイオリアクターでの半回分培養において、pHは、塩基または緩衝剤の添加により所定の細胞株に最適な、おおよその生理的pHに慎重に調節される。グルコースをエネルギー源として使用する場合、全グルコースフィードは、通常、培地1リッター当り1から10、好ましくは3から6グラムである。アミノ酸の包含とは別に、フィードは、好ましくは、培地1リッター当り5から20mgの範囲で、低い量のコリンを含む。より好ましくは、そのようなコリンのフィードは、本質的にUS6,048,728に記載されるようなエタノールアミンの補充と組み合わせられ、特にグルタミンの投与と組み合わせられる。言うまでもなく、GSマーカーシステムの使用では、非GS発現系と比較してより少ない量のグルタミンが必要とされるだろう。というのは、内因的に産生されるグルタミンに加えて過剰なグルタミンの蓄積は、アンモニアの産生および付随する毒性の発生を生じさせるためである。GSのために、培地またはフィード中のグルタミンは、その等価体および/または前駆体、すなわちアスパラギンおよび/またはグルタミン酸によってほとんど置換される。
細胞、細胞培養または細胞の培養を行った培地からの所定のタンパク質の収集、すなわち単離および/または精製の方法は当該分野において周知である。タンパク質は、例えば塩または有機溶媒による分画沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、HPLC、アフィニティークロマトグラフィー等によって、生物学的物質から単離および/または精製することができる。
好ましい実施態様において、哺乳類宿主細胞はCHO細胞である。
[材料および方法]
使用する細胞
CHO細胞株CHOK1SV:細胞株CHO−K1の変種であり、懸濁性でタンパク質を含まない培地での増殖に適応化されている。
CHOK1SV細胞の増殖
CHOK1SV細胞は、6mM L−グルタミンを添加したCD−CHO培地(Invitrogen)にて、懸濁振盪フラスコ(suspension shaker flasks)を用いて日常的に増殖させた。播種濃度は2x10細胞/mlとし、4日おきに細胞を分割した。フラスコに5%COを供給し、140rpmの円軌道の撹拌により36.5℃(35.5℃から37.0℃の間)でインキュベートした。
一過的形質移入
一過的形質転換を、懸濁増殖細胞を用いて行った。細胞を計測し、10%血清および6mM L−グルタミンを添加したDMEMベースの培地に1ウェル当り2.5x10生細胞となるように、24ウェルプレートのウェルに分配し、36.5℃で一晩インキュベートした。次の日、条件培地(conditioned medium)を、1mMの新鮮な培地(上記)と交換し、細胞を37℃で3時間インキュベートした。
個々の形質転換のために、5μgのそれぞれのSGVs(HCおよびLC−SGVsの混合)または5μgのDGVsを、100μLの形質移入培地(OptiMEM、Invitrogen)に再懸濁した。ポジティブコントロールとして、細胞をベクターpcB72.3でも形質移入した。このベクターは、モデル抗体として役立つIgG/カッパー抗体の重鎖および軽鎖遺伝子をコードする。ネガティブコントロール(水のみ)も含めた。
個々の形質移入のために、5μLのLipofectamine−2000剤(Invitrogen)を100μLの形質移入培地に希釈し、混合し、室温で5分間静置した。DNAと希釈したLipofectamine剤を混合し、更に外界温度で20分間静置した。この200μLの混合液を、次に、細胞を含む24ウェルプレートのウェルに添加し、細胞を37℃で4から10日間インキュベートした。培養上清を回収し、遠心分離により不純物を除去し、アッセンブリーELISA(assembly ELISA)により抗体の存在についてアッセイした。
安定的形質移入
形質移入に使用する細胞は、詳細を上記したとおり、細胞懸濁培養にて増殖させた。増殖している培養液からの細胞を遠心分離し、無血清培地で1度洗浄し、1.43x10細胞/mLの濃度で再懸濁した。0.7mLの細胞懸濁液および40μgのプラスミドDNAを電気穿孔法用キュベットに入れた。キュベットを、次に、電気穿孔法用装置に入れ、250Vおよび400μFのシングルパルスを送達した。形質移入の後、10%dFCSを添加した非選択性DMEMベースの培地を用いて、約2,500宿主細胞/ウェル(5x10/mL)で、96ウェルプレートに分配した。プレートを、10%CO中で36.5℃(35.5℃から37.0℃)でインキュベートした。
形質移入の翌日、10%dFCS/66μM L−メチオニンスルホキシミン(sulphoximine)を添加したDMEMベース培地をそれぞれのウェルに添加し(150μL/ウェル)、L−メチオニンスルホキシミンの終濃度を50μMとした。非形質転換細胞が死んだ時および形質移入した細胞の増殖巣(foci)が現れた時を決定するために、プレートをモニターした。形質移入した細胞の増殖巣は、形質移入後約3から4週間後に現れた。試験しおよび更に進行させた全ての細胞株は、シングルコロニーのみを含むウェル由来であった。
静置培養における細胞株の生産性の評価
96ウェル形質移入プレートを約3週間インキュベートし、コロニーを形成させた。できたコロニーを顕微鏡で観察し、コロニーがアッセイに適したサイズ(ウェルの底面の60%超を覆っている)であること、および各々のウェルに1つのコロニーのみが存在することを確認した。
適したコロニーを、1mLの選択的増殖培地(DMEMベース培地/10%dFCS/25μM L−メチオニンスルホキシミン、37.0℃)を含む24ウェルプレートのウェルに移した。これらの培養液を、10%CO大気中で、36.5℃(35.5℃から37.0℃)で14日間インキュベートした。各々のウェルの上清を回収し、プロテインA HPLC法によって存在する抗体の濃度を分析した。
アッセンブリーELISA
サンプルの抗体濃度は、アッセンブルされたヒトIgGを測定するサンドウィッチELISAを用いて決定した。これは、抗ヒトFc抗体でコートした96ウェルプレート上への、サンプルおよび基準物質の捕獲を含む。結合した抗体は、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼがつながった抗ヒト軽鎖および色素生産性基質TMBで検出した。基準物質と比較すると、発色は、サンプル中に存在する抗体の濃度に比例した。
プロテインA HPLC
IgGの測定のためのプロテインA親和性クロマトグラフィー法を、Aglient1100HPLCで行った。IgG産物は、PorosプロテインA免疫検出カラムに選択的に結合する。非結合物質をカラムから洗浄除去し、残った結合抗体を溶媒のpHを下げることで放出させた。溶出物を280nmの吸光度でモニターし、一般的抗体基準物質によって産物を定量し(Chemstationソフトウェアを使用)、吸光係数の違いについて補正を行った。
[ベクター構築]
a)重鎖cDNA
マニュアルに従ってLipofectamine−2000(Invitrogen)を用いてpcB72.3発現ベクター(図1に図示)をCHOK1SV細胞に一過的に形質移入することで、pcB72.3のHC cDNAバージョンを作製した。翌日、形質移入した細胞をcDNA合成のテンプレートとして使用して、その細胞から全RNAを抽出した。cB72.3 HC配列を、特異的なプライマーを用いてcDNAから増幅した。この配列はmRNA由来であるため、イントロン配列を欠いている。次に、この配列を、ベクターpEE6.4にクローン化し、ベクターpConK+VLと組み合わせて、pcB72.3 HC cDNAベクター(図2に図示)を作製した。
b)遺伝子最適化遺伝子
遺伝子最適化は、cB72.3のHCおよびLCをコードするcDNA配列において行った。最適化は、全ての可能性あるネガティブに作用する配列を除去するため、およびコドンの利用を最適化するために配列に対して行った。そして、遺伝子アッセンブリーアプローチを用いて、最適な配列を合成した。アッセンブリーの後、SEQ ID No.1および3に示されるHCおよびLCをコードする配列を、HindIIIおよびEcoRIサイトによってそれぞれベクターpEE6.4(HCのため)およびベクターpEE12.4(LCのため)にクローン化した。次に、NotIおよびPvuI制限酵素サイトをクローニングし、HCおよびLC発現カセットを組み合わせることで、DGVを作製した。このように作製したベクターpcB72.3 Geneart HCおよびpcB72.3 Geneart HC/LCは図3に図示される。
c)形質移入のためのDNAの調製
cDNAおよびGeneartベクターのために、DNAのバルクの調製物をQiagen Maxiprepキットを用いて作製した。全ての形質移入のために、ベクターDNAはPvuIによる消化によって直線化した。消化したプラスミドを、アガロースゲルで泳動し、完全に直線化していることを確認した。DNAをフェノール:クロロホルム抽出で精製し、40μgに分割した。それぞれの一定分量に含まれるDNAは、0.1倍量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2倍量の冷却100%エタノールを添加し、−20℃±5℃で必要な程度冷却することで沈殿させた。
[形質移入、選択および過増殖(ovewgrow)培養]
標準的電気穿孔法を用いてベクター構築物をCHOK1SV細胞に形質移入した。細胞を96ウェルプレート中に播いた。次の日、選択培地を50μMで添加した。
形質移入から4週間後、プレートにおいて発育しているコロニーをスクリーニングした。それぞれの形質移入プールのために、最適なサイズの約100コロニーを25μM MSXを含む培地に24ウェルプレートに移した。細胞を2週間過増殖させ、その後、それぞれのウェル由来の細胞培養培地を回収し、プロテインA HPLCによって、cB72.3抗体の存在レベルを評価した。
[結果および考察]
ゲノムとcDNAとの間の重鎖配列の比較
pcB72.3のHCをコードする配列からイントロンを除去する効果を、安定的形質移入によって評価した。形質移入のそれぞれのセットの104コロニーを24ウェルプレートで過増殖させ、それぞれの細胞株由来の抗体濃度を決定した。その結果を図4および表1に要約した。データから、pcB72.3 HCコード配列におけるイントロンの存在は、抗体産生レベルに何も影響がないことが示された。プロモーター配列中のイントロンは、最大の遺伝子発現のために必要であり、それゆえこのイントロンだけは遺伝子発現への影響に寄与するらしいことがわかった。
このことの達成に寄与する2つの考えられる機構が存在する。イントロンが存在する場合にプロモーター自身がより効果的になるということ、またはイントロン由来のプロモーターのスプライシングの後に作られるmRNAがより安定的であることの何れかである。このデータから、HCコード配列に存在するイントロンといったイントロンの付加的なスプライシングが、遺伝子発現の増大をもたらさないことが明らかである。
Figure 0004991705
遺伝子最適化遺伝子配列の分析
DNA配列最適化の効果を、安定的形質移入において評価した。形質移入体のそれぞれのセットの104コロニーを24ウェルプレートで過増殖させ、それぞれの細胞株由来の抗体濃度を決定した。この場合、遺伝子最適化配列は、標準的なゲノムの型式ではなくcDNAの型式であるので、データはコントロールのcDNAバージョンと比較した。結果を図5および表2に要約した。
両鎖の遺伝子最適化により、抗体濃度の中央値が35%増大した(p=0.006)ことが実証された。しかしながらHCのみの最適化では、抗体発現における有意な増加はみられなかった。これらのデータは、LCの最適化も、抗体発現の増加に必要であることを示唆する。この理由は、LC配列が最適以下(suboptimal)であり、最適化が、LCのレベルをHCのレベルと調和させたことにあると考えられる。例えば、HC配列に存在しないRNA不安定性モチーフは、LC配列から除去されている。
Figure 0004991705
抗体産生における遺伝子最適化定常領域の影響
ベクターは、IgG1、IgG2およびIgG4の重鎖および軽鎖遺伝子をそれぞれ含むよう作製されており、重鎖および軽鎖遺伝子の定常領域は遺伝子最適化されており、一方で両遺伝子の可変領域は最適化されていない。従って、定常領域が最適化され可変領域が最適化されていないIgG1遺伝子を含むpCnG1GAベクター、定常領域が最適化され可変領域が最適化されていないIgG2遺伝子を含むpCnG2GAベクター、および定常領域が最適化され可変領域が最適化されていないIgG4遺伝子を含むpCnG4GAベクターを作製した。
得られたベクターは抗体産生のための標準的な方法で試験し、非最適化cDNAベクター(特に、非最適化IgG1重鎖および軽鎖遺伝子を含むG1cDNAベクター、非最適化IgG2重鎖および軽鎖遺伝子を含むG2cDNAベクター、および非最適化IgG4配列を含むpcB72.3 HCcDNAベクター)と比較した。完全に最適化したベクターpcB72.3 GAHC/LC(遺伝子最適化定常領域および遺伝子最適化可変領域を有するベクター)を第1の実験におけるコントロールとして含めた。結果を図6に要約した。pConG1GAベクターとG1cDNAベクターとの比較から、IgG1最適化定常領域は発現の増大をもたらすことが示された。pConG2GAベクターとG2cDNAベクターとの比較から、IgG2最適化定常領域は発現の増大をもたらすことが示された。対照的に、pConG4GAベクターとpcB72.3 HCcDNAベクターとの比較によると、IgG4の最適化は発現の増大をもたらさないことが示された。従って、これらの結果は、遺伝子最適化定常領域の使用は、平均した抗体産生の増大をもたらすことを示している。
IgG4のデータは独立した実験から得られたものであり、このことが、2組の形質移入の間で得られたコントロール値の差の理由であることに留意すべきである。
図1は、重鎖のゲノム配列を含むpcB72.3ベクターのマップを示す図である。 図2は、重鎖のcDNAを含むpcB72.3 HC cDNAベクターのマップを示す図である。 図3aおよびbは、hCMV−MIEプロモーターの調節のもと重鎖をコードする遺伝最適化遺伝子を含むpcB72.3 Geneart HCベクター、および、重鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子および軽鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子(それぞれの遺伝子が、hCMV−MIEプロモーターに調節される)を含むpcB72.3 Geneart HC/LCベクターのマップを示す図である。 図3aおよびbは、hCMV−MIEプロモーターの調節のもと重鎖をコードする遺伝最適化遺伝子を含むpcB72.3 Geneart HCベクター、および、重鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子および軽鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子(それぞれの遺伝子が、hCMV−MIEプロモーターに調節される)を含むpcB72.3 Geneart HC/LCベクターのマップを示す図である。 図4は、形質移入したCHO−K1SV細胞における相対的抗体発現レベルを示す図である。重鎖をコードするゲノムDNAを含むpcB72.3ベクターと、重鎖をコードするcDNAを含むpcB72.3 HC cDNAベクターとを比較している。 図5は、形質移入したCHO−K1SV細胞における相対的抗体発現レベルを示す図である。重鎖をコードするcDNAを含むpcB72.3 HC cDNAベクター、重鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子を含むpcB72.3 HCベクター、ならびに重鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子および軽鎖をコードする遺伝子最適化遺伝子を含むpcB72.3 HC/LCベクターを比較している。 図6は、形質移入したCHO−K1SV細胞での抗体産生における、遺伝子最適化定常領域の効果を示す図である。pConG1GAベクターは、最適化定常領域および非最適化可変領域を有するIgG1遺伝子配列を含む。pConG2GAベクターは、最適化定常領域および非最適化可変領域を有するIgG2遺伝子配列を含む。pConG4GAベクターは、最適化定常領域および非最適化可変領域を有するIgG4遺伝子配列を含む。G1cDNAベクターは、非最適化IgG1遺伝子配列を含み、G2cDNAベクターは、非最適化IgG2遺伝子配列を含み、およびpcB72.3 HCcDNAベクターは、非最適化IgG4配列を含む。pcB72.3 GAHC/LCベクター(遺伝子最適化定常領域および遺伝子最適化可変領域を有するベクター)をコントロールとして使用した。pcB72.3(7)およびpConG4GA(8)のデータは独立した実験から得たものであり、このことが、pcB72.3(1)とpcB72.3(7)との間で見られたコントロール値の差を説明する。

Claims (17)

  1. 第1のポリペプチド鎖をコード化する第1の合成ヌクレオチド配列を含む第1の転写単位および第2のポリペプチド鎖をコード化する第2の合成ヌクレオチド配列を含む第2の転写単位を少なくとも含む、チャイニーズハムスター卵巣宿主細胞用の哺乳類発現ベクターであって、ここにおいて、前記第1および第2のポリペプチド鎖は、前記第1および第2のポリペプチド鎖のそれぞれの少なくとも1コピーを含む分子を形成することが可能であり、前記第1および第2の両ヌクレオチド配列のコドン組成は、チャイニーズハムスター卵巣宿主細胞のコドンバイアスに適合していること、および天然のヌクレオチド配列に存在するシス作用性モチーフは、変更および/または除去されていることにより特徴付けられる哺乳類発現ベクター。
  2. 前記2つの合成ヌクレオチド配列が、対応する天然のヌクレオチド配列とは異なるGC含量および/またはGC分布を有する、請求項に記載の哺乳類発現ベクター。
  3. 前記2つの合成ヌクレオチド配列が、対応する天然のヌクレオチド配列とは異なるAT含量および/またはAT分布を有する、請求項1または2に記載の哺乳類発現ベクター。
  4. シス作用性配列モチーフが、内部TATAボックス、chiサイト、リボソームエントリーサイト、ARE、INS、CRS配列エレメント、潜在性スプライスドナーおよびアクセプターサイトを含む、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  5. 前記2つの合成ヌクレオチド配列において、選択的開始サイトが除去されている、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  6. チャイニーズハムスター卵巣細胞のコドンバイアスへの適合が、アミノ酸配列の変化を引き起こさない、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  7. チャイニーズハムスター卵巣細胞のコドンバイアスへの適合が、アミノ酸配列の変化を引き起こす、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  8. 前記合成ヌクレオチド配列にコードされる前記第1および第2のポリペプチド鎖が、修正されたグリコシル化サイトを有する、請求項に記載の哺乳類発現ベクター。
  9. 前記第1の合成ヌクレオチド配列が、抗体の軽鎖またはその断片をコードする、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  10. 前記第2の合成ヌクレオチド配列が、抗体の重鎖またはその断片をコードする、請求項1からの何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  11. 前記第1および第2のポリペプチド鎖が抗体またはその断片を形成し得る、請求項1から10の何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  12. 前記第1および/または第2の合成ヌクレオチド配列がエフェクタータンパク質の遺伝子に融合している、請求項1から11の何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  13. 前記第1および第2のポリペプチド鎖が、エフェクタータンパク質が抗体またはその断片に結合した融合タンパク質を形成し得る、請求項12に記載の哺乳類発現ベクター。
  14. 選択マーカーをコードする第3の転写単位を含む、請求項1から13の何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  15. 前記選択マーカーが、グルタミン合成酵素(GS)マーカーである、請求項1〜14の何れか1項に記載の哺乳類発現ベクター。
  16. 請求項1〜15の何れか1項に記載の哺乳類発現ベクターを含有するチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞。
  17. 第1および第2のポリペプチド鎖のそれぞれの複数コピーを含む分泌分子の産生レベルを改善するための方法であって、
    a)第1および第2のポリペプチド鎖をコードする請求項1〜15の何れか1項に記載の発現ベクターでチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞を形質移入する工程;
    b)細胞の増殖を可能にし、細胞内で前記2つのポリペプチド鎖の発現およびアッセンブリーを行い、第1および第2のポリペプチド鎖のそれぞれの複数コピーを含む分子の形成を可能にし、かつ、形成された分子の分泌を可能にする適切な条件下で宿主細胞を培養する工程;および
    c)形成された分子を回収する工程
    を含む方法。
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