JP5301534B2 - 高効率の分泌性シグナル配列を有する哺乳類発現ベクター - Google Patents

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Description

本発明は、哺乳類細胞ベースの発現系および分泌性シグナルペプチドを用いることによる組換えタンパク質の発現および分泌に関する。また、本発明は、哺乳類細胞(特に、CHO細胞)からの異種性の遺伝子の分泌に有用な発現カセットに関する。また、本発明は、哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)から異種性のタンパク質を分泌する方法および哺乳類の宿主細胞において分泌された組換えタンパク質を生産する方法に関する。
医療, 研究および獣医学の適用に関する組換え型のポリペプチド(例えば、抗体)は、原核生物および真核生物の細胞を含む広範囲の遺伝子改変生物を用いて産生される。しかしながら、多くのこれらのタンパク質は、翻訳後修飾を必要としている糖タンパク質である。従って、原核生物の宿主細胞(例えば、細菌性の細胞)は、適切ではない。この理由のため、他のタンパク質発現系が、高等真核生物(例えば、昆虫細胞または哺乳類細胞)の細胞を用いて開発された。ウイルス性の発現系は昆虫およびマウスの細胞株の両方で組換えタンパク質を産生できるが、幾つかの重大な弱点があり、特にウイルス感染した系からの組換えタンパク質の精製は非常に問題である。
生物工学における主要な問題は、遺伝子改変生物から、容易に分泌されない組換え型ポリペプチド(例えば、細胞内タンパク質またはタンパク質サブユニット)の産生および回収にある。しばしば、これらの細胞内のタンパク質またはタンパク質サブユニットは細胞の内側で僅かに中等度レベルで発現されえる。そして、それらの精製は最初に細胞を溶解するための工程を含まなければならず、続いて幾つかの処置で所望のポリペプチドが他の細胞内タンパク質から単離される。
これらの問題を解決するための一つのアプローチは、周辺腔または培養培地に分泌された組換えタンパク質をえることである。可能な場合、分泌は、好適な戦略である。というのも、細胞外の培地から容易で効率的な精製が許容されるからである。加えて、組換えタンパク質の分泌性の産生は、タンパク分解性のデグラデーションが避けられえる及び正しくタンパク質フォールディングするよりよい機会が存在するとの利点を有する。タンパク質分泌が成功するには、タンパク質の小胞体または原形質膜を横切った効率的なトランスロケーションが必要とされる。細胞から細胞膜を通じて分泌されるタンパク質は、一般に細胞内で「プレタンパク質(preprotein)」と称される前駆体形態(precursor form)で生産される。この「プレタンパク質」形態には、新生ペプチド鎖を小胞体にターゲットするために必要とされるアミノ末端での付加的なペプチド配列が含まれて、分泌経路への進入が可能となる。この付加的なペプチド配列は、シグナル配列と称される。
しかしながら、分泌が所望の度合まで機能しないことがしばしば知られており、例えば、組換えタンパク質のネーティブ(native)のシグナル配列がしばしば宿主細胞において良好に操作されないことが理由である。現在まで、各発現系は各タンパク質産物に対する要求性に合致する特定の仕立て方を必要とし、正しいフォールディング, 活性および所望の収量が保証される。特定の組換えタンパク質の分泌に有用であろうかなり多くのシグナル配列が同定されてきたにもかかわらず、当該技術において特定の免疫グロブリンにおける(哺乳類の宿主細胞における)組換えタンパク質の効率的な分泌を促進できる付加的なシグナル配列に関する必要性がなおも存在する。
従って、本発明の根底にある技術的な問題は、非分泌コンピテントポリペプチド(non-secretion competent polypeptides)(特に、抗体鎖)をチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞などの真核生物の宿主細胞から効率的に分泌させる方法を提供することである。
本発明は、この技術的な問題を異種性のタンパク質を哺乳類の宿主細胞から分泌する発現カセットを提供することによって解決する。この細胞はとくに、異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいるCHO 細胞であり、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は配列番号2, 配列番号4, 配列番号6, 配列番号8, 配列番号10または配列番号1, 配列番号3, 配列番号5, 配列番号7もしくは配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列からなる群から選択される。本発明の発明者は、発現カセットに用いられるシグナル 配列が哺乳類の宿主細胞において作動可能(operably)に連結されたポリペプチド配列の適切なプロセシングおよび効率的な分泌を提供することを見いだした。最初の選抜として、十九の異なるシグナル配列が、組換えタンパク質産生に日常的に使用されるCHO細胞と異なる種の異なる分泌タンパク質から由来することが試験され、そのうちの僅か5つが試験したポリペプチドの分泌に改善を生じた。このように実験によって、一般に一つの種からのシグナル配列が別の種において機能的であるかどうか予測不可能であることが実証された。
五つのシグナル配列のうち二つ〔すなわち V 19 (配列番号 9) および V 17 (配列番号 7)〕によって、対照の細胞株に対して特に平均抗体濃度に強い増加を有する細胞株が生じる。
シグナルペプチド V19のアミノ酸配列の基礎に基づいて、次のシグナルペプチドのコンセンサスアミノ酸配列が導かれた: つまり、MMRP[疎水性アミノ酸]nTSALAである。シグナルペプチド V17のアミノ酸配列の基礎に基づいて、次のシグナルペプチドのコンセンサスアミノ酸配列が導かれた: つまり、MKT[疎水性アミノ酸]nCATVHCである。
このように、本発明は、一般的にアミノ酸配列 MMRP[疎水性アミノ酸]nTSALAを有するシグナル配列および一般的にアミノ酸配列 MKT[疎水性アミノ酸]nCATVHCを有するシグナル配列を提供することによって技術的な問題を解決する。両方のシグナル配列によって、哺乳類の宿主細胞(例えば、CHO細胞)において作動可能に連結されたポリペプチド配列(例えば、抗体鎖)の効率的な分泌が提供される。好ましくは、中心領域における疎水性アミノ酸は、アラニン (Ala または A), イソロイシン (Ile またはI), ロイシン (Leu またはL), フェニルアラニン (Phe またはF), メチオニン (Met またはM) および バリン (Val またはV)からなる群から選択される。Alaは、1.8のハイドロパシー(hydropathy)指標を有する。Ile は、4.5のハイドロパシー指標を有する。Leu は、3.8のハイドロパシー指標を有する。Phe は、2.8のハイドロパシー指標を有する。Met は、1.9のハイドロパシー指標を有する。Val は、4.2のハイドロパシー指標を有する。好ましくは、疎水性アミノ酸の中心ストレッチは、特にLeu (L)と幾つかのVal, Ala, Phe および Ileの出現からなる。好ましくは、中心の疎水性ストレッチは、4から9のアミノ酸残基の長さを有する。好ましくは、中心疎水性領域は、4 - 16 アミノ酸残基, 特に好適には4-9残基を含む。
また、本発明は、異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の宿主細胞からの異種性タンパク質の分泌のための発現カセットに関し、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は、アミノ酸配列 MMRP[疎水性アミノ酸]nTSALAをコード化しているDNA 配列またはアミノ酸 配列 MKT[疎水性アミノ酸]nCATVHCをコード化しているDNA 配列から選択され、ここでnは4〜16の整数であり、前記疎水性アミノ酸はアラニン, イソロイシン, ロイシン, フェニルアラニン, メチオニン および バリンからなる群から選択される。
特に好適な態様において、シグナル 配列をコード化しているDNA 配列は、配列番号8 もしくは 配列番号10または配列番号7 もしくは 配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列から選択される。
また、本発明は、異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の宿主細胞からの異種性タンパク質の分泌のための発現カセットであって、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は配列番号2, 配列番号4, 配列番号6, 配列番号8, 配列番号10または配列番号1, 配列番号3, 配列番号5, 配列番号7もしくは配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列からなる群から選択される発現カセットに関する。
本発明において、「発現カセット(expression cassette)」は、一または二以上の発現される遺伝子および彼等の発現をコントロールする配列、例えば、プロモーター/エンハンサー配列(シス作動性転写調節因子の任意の組み合わせを含む)から構成(made up)される。遺伝子の発現をコントロールする配列(即ち、その転写および転写産物の翻訳)は、一般に調節単位(regulatory unit)と称される。調節単位の多くの部分は、異種性遺伝子のコード配列の上流に局在し、それに作動可能に連結される。また、発現カセットは、ポリアデニル化部位を含んでいる下流の 3' 非翻訳領域を含有してもよい。本発明の調節単位は、直接的に発現される遺伝子(即ち、転写単位)に連結されるか、又は、それから介在性DNA(例えば、異種性遺伝子の5'-非翻訳領域)によって分離される。好ましくは、発現カセットは、ベクターへの発現カセットの挿入および/またはベクターからのその切除を可能にするために、一または二以上の適切な制限部位で挟まれる(flanked)。従って、本発明の発現カセットは、発現ベクター(特に、哺乳類の発現ベクター)の構築に使用できる。
本発明において、「異種性のコード配列(heterologous coding sequence)」, 「異種性の遺伝子配列(heterologous gene sequence)」, 「異種性の遺伝子(heterologous gene)」, 「組換え型の遺伝子(recombinant gene)」または「所望の遺伝子(gene of interest)」の用語は、互換性(interchangeably)に使用される。これらの用語は、哺乳類細胞において発現され、高量で収穫されることが要求される組換え型または異種性のタンパク質産物をコードするDNA 配列を意味する。遺伝子の産物は、タンパク質またはポリペプチドであってもよいが、ペプチドであってもよい。異種性の遺伝子配列は、天然で宿主細胞に存在しなく、異なる種の生物体から由来する。
遺伝子の産物は、任意の所望のタンパク質(例えば、治療上のタンパク質、例えば、インターロイキンまたは酵素または多量体タンパク質のサブユニット、例えば、抗体又はその断片)であってもよい。好ましくは、前記タンパク質は、抗体または操作された抗体又はその断片, 最も好ましくは免疫グロブリン G (IgG)抗体である。
本発明によると、「シグナルペプチド(signal peptide)」または「シグナル配列(signal sequence)」の用語は、互換性に使用され、分泌型および膜結合型のタンパク質のアミノ末端でのアミノ酸残基の短い連続的なストレッチ(stretch)を意味する。シグナルペプチドは、タンパク質を分泌経路にターゲットし、一旦小胞体膜にトランスロケーションしたら新生鎖(nascent chain)から切断される。シグナルペプチドは、三つの領域〔つまり、頻繁に陽性に荷電したアミノ酸残基が観察されるアミノ末端の極性領域(N領域), 7-8のアミノ酸残基の中心疎水性領域(H領域)および切断部位を含むカルボキシル末端領域(C領域)〕からなる。成熟タンパク質からのシグナルペプチドの切断は、この切断部位で生じる。
「プロモーター」は、一般にRNAポリメラーゼをDNAに結合させてRNA合成を開始することにより転写の開始を媒介する遺伝子の上流に局在する調節性のDNA配列と規定される。
「機能的に連結された(functionally linked)」および「作動可能に連結された(operably linked)」の用語は、互換性に使用され、二または三以上のDNAセグメント(特に、発現される遺伝子配列および彼等の発現をコントロールする配列)の間の機能的な関係(functional relationship)を意味する。例えば、適切な宿主細胞または他の発現系におけるコード配列の転写を刺激する又は調節(modulates)する場合、プロモーター/エンハンサー配列(任意のシス作動性転写調節因子の組み合わせを含む)はコード配列に作動可能に連結される。転写された遺伝子配列に作動可能に連結されたプロモーター制御配列は、転写された配列に物理的に隣接する。
本発明の別の側面は、異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の発現ベクターであって、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列はアミノ酸配列 MMRP[疎水性アミノ酸]n TSALAをコード化しているDNA 配列またはアミノ酸配列 MKT[疎水性アミノ酸]n CATVHCをコード化しているDNA 配列から選択され、ここでnは4〜16の整数であり、前記疎水性アミノ酸はA, I, L, M, F または Vである発現ベクターに関する。好ましくは、シグナル 配列をコード化しているDNA 配列は、配列番号8 もしくは 配列番号10または配列番号7 もしくは 配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列から選択される。
また、本発明は、異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の発現ベクターであって、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は配列番号2, 配列番号4, 配列番号6, 配列番号8, 配列番号10または配列番号1, 配列番号3, 配列番号5, 配列番号7もしくは配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列からなる群から選択される発現ベクターに関する。
このように、本発明は、本発明による異種性タンパク質の分泌のための発現カセットを含んでいる哺乳類の発現ベクターに関する。
本発明において、「哺乳類の発現ベクター」は、適切な哺乳類の宿主細胞へのトランスフェクションの際に宿主細胞内で組換え型の遺伝子産物の高レベル発現を提供する(好ましくは単離および精製された)DNA分子である。組換え型または異種性の遺伝子産物をコードするDNA 配列に加えて、発現ベクターは、宿主細胞株におけるDNAコード配列のmRNAへの効率的な転写に及びmRNAsのタンパク質への効率的な翻訳に必要とされる調節性のDNA配列を含む。
本発明の好適な態様において、哺乳類の発現ベクターは、少なくとも二つの別々の転写単位を含む。二つの別々の転写単位を有する発現ベクターは、二重遺伝子ベクター(double-gene vector)とも称される。その例は、第一の最初の転写単位が抗体の重鎖又はその断片をコードし、第二の転写単位が抗体の軽鎖をコードするベクターである。別の例は、二つの転写単位が酵素などのタンパク質の二つの異なるサブユニットをコード化する二重遺伝子ベクターである。しかしながら、本発明の発現ベクターが、二をこえる別々の転写単位、例えば、三, 四 またはそれ以上の別々の転写単位を含み、その各々が異なるポリペプチド鎖をコード化している異なるヌクレオチド配列を含むこともありうる。例は、四つの別々の転写単位を有するベクターであり、その各々は四つの異なるサブユニットからなる酵素の一つのサブユニットをコード化している異なるヌクレオチド配列を含有する。
好ましくは、本発明の哺乳類の発現ベクターは、さらに少なくとも一つの動物細胞において選択可能な発現可能なマーカーを含む。チミジンキナーゼ (tk), ジヒドロ葉酸レダクターゼ (DHFR) またはグルタミン 合成酵素 (GS)などの一般に用いられる任意の選択マーカーを使用してもよい。
特に好適な態様において、哺乳類の発現ベクターは、GS選択マーカー (Bebbington et al., 1992, High-level expression of a recombinant antibody from myeloma cells using a glutamine synthetase gene as an amplifiable selectable marker, Bio/Technology 10:169-175; Cockett et al., 1990, High level expression of tissue inhibitor of metalloproteinases in Chinese Hamster Ovary (CHO) cells using Glutamine synthetase gene amplification, Bio/Technology 8: 662-667)を含む。GS-系は、治療上のタンパク質の産生に特に重要である僅か二つの系の一つである。ジヒドロ葉酸レダクターゼ (DHFR) 系との比較において、GS 系によって、開発において大きな利点が提供される。というのも、高度に増殖性の細胞株をしばしば初期のトランスフェクタントから作出でき、遺伝子増幅を達成するため選択因子の濃度を増加させた複数の選択の必要性が避けられるからである(Brown et al., 1992, Process development for the production of recombinant antibodies using the glutamine synthetase (GS) system, Cytotechnology 9:231-236)。
好ましくは、本発明の発現ベクターは、本発明の異種性タンパク質の分泌のための発現カセットの挿入のための限定数の有用な制限部位も含む。特に一過性の/エピソーム性の発現のみのために使用される場合、本発明の発現ベクターはさらに真核生物の宿主細胞における自律増殖/エピソーム維持のためのエプスタイン バール ウイルス (EBV)またはSV40 ウイルスの起点などの複製開始点を含んでもよく、選択可能なマーカーを欠いていてもよい。ベクターの複製を促進するための関連性のある因子を欠いている細胞における一過性の発現も可能である。
本発明の更なる側面は、本発明による哺乳類の発現ベクターを含んでいる哺乳類の宿主細胞に関する。「宿主細胞」または「宿主細胞株」の用語は、培養において成長する能力があり、所望のタンパク質組換え型産物タンパク質を発現する任意の細胞(特に、哺乳類の細胞)を意味する。
哺乳類の宿主細胞は、ヒトまたは非ヒト細胞であってもよい。哺乳類の宿主細胞の好適な例には、MRC5 ヒト繊維芽細胞, 983M ヒト メラノーマ細胞, MDCK イヌ腎臓細胞, Sprague-Dawley ラットから単離されたRF 培養ラット肺線維芽細胞, B16BL6 マウスメラノーマ細胞, P815 マウス肥満細胞腫細胞および MT1A2 マウス乳房腺癌細胞が含まれるが、これらに限定されない。
特に好適な態様において、哺乳類の宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO) 細胞または細胞株(Puck et al., 1958, J. Exp. Med. 108: 945-955)である。適切な CHO 細胞株には、例えば、CHO K1 (ATCC CCL-61), CHO pro3-, CHO DG44, CHO P12 または dhfr- CHO 細胞株 DUK-BII (Chassin et al., PNAS 77, 1980, 4216-4220) または DUXB 11 (Simonsen et al., PNAS 80, 1983, 2495-2499)が含まれる。
所与の宿主細胞タイプに適切な場合、発現ベクターを本発明による哺乳類の宿主細胞に導入するために、例えば、当該技術分野において周知のエレクトロポレーション, リン酸カルシウム共沈殿(calcium phosphate co-precipitation), DEAE-デキストラントランスフェクション, リポフェクションなどの任意のトランスフェクション技術を使用できる。本発明のベクターでトランスフェクトした哺乳類の宿主細胞は一過性に又は安定にトランスフェクトされた細胞株であると解釈されることが注意される。従って、本発明にしたがって存在する哺乳類の発現ベクターは、エピソームで維持できる又は安定に哺乳類の宿主細胞のゲノムに統合できる。
一過性のトランスフェクションは、ベクター媒介性(vector borne)の選択マーカーに対する任意の淘汰圧の非適用(non-appliance)で特徴付けられる。一過性の発現実験(一般にトランスフェクション後の最後の 20-50 時間)において、トランスフェクトしたベクターは、エピソーム因子として維持され、ゲノムにまだ統合されない。即ち、トランスフェクトしたDNAは、宿主細胞ゲノムに通常統合されない。前記宿主細胞は、トランスフェクトしたDNAを失う傾向があり、一過性にトランスフェクトした細胞プールの培養に際し集団中のトランスフェクトされた細胞を凌駕して成長する。それ故、発現は、トランスフェクションの直後の期間で最強であり、時間とともに減少する。好ましくは、本発明による一過性のトランスフェクタントは、トランスフェクション後の90 時間までの淘汰圧の非存在下で細胞培養で維持される細胞と理解される。
本発明の好適な態様において、CHO宿主細胞などの哺乳類の宿主細胞は、本発明の哺乳類の発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。安定なトランスフェクションは、新しく導入された外来のDNA(例えば、ベクターDNA)がゲノムのDNAに、通常ランダムに、非相同的組換えイベントで導入されることを意味する。ベクターDNAのコピー数および同時に遺伝子産物の量は、ベクター配列が宿主細胞のDNAに統合後に増幅させた細胞株を選択することで増加されえる。従って、このような安定的な統合によって、CHO細胞において二重微小染色体(double minute chromosomes)への遺伝子増幅のために淘汰圧を曝露に際してさらに増加させることが可能である。さらにまた、安定なトランスフェクションは、例えば、ゲノム統合の際に余分とされる細菌性のコピー数制御領域(bacterial copy number control regions)などの組換え型の遺伝子産物の発現に直接的に関連しないベクター配列部分の欠損を生じえる。従って、トランスフェクトした宿主細胞は、少なくとも発現ベクターの部分または異なる部分がゲノムに統合されている。
本発明の更なる側面は、組換え型タンパク質の産生のための方法に関し、該方法は以下の工程を具備する:
a) 哺乳類の宿主細胞または宿主細胞株を発現ベクターでトランスフェクトすること、
b) 細胞の増殖および組換えタンパク質の発現および宿主細胞から培地への組換えタンパク質の分泌を可能にする適切な条件下で前記細胞を培養すること、および
c) 培地に分泌された組換えタンパク質を収穫すること。
また、本発明は組換え型タンパク質の産生のための方法に関し、該方法は以下の工程を具備する、
a) 哺乳類の宿主細胞または宿主細胞株を発現ベクターでトランスフェクトすること、
b) 細胞の増殖および組換えタンパク質の発現および宿主細胞から培地への組換えタンパク質の分泌を可能にする適切な条件下で前記細胞を培養すること、および
c) 培地から産生された組換えタンパク質を収穫すること。
哺乳類細胞株のための適切な培地および培養方法は当該技術分野において周知であり、一例を挙げるとUS 5,633,162に記載される。研究用フラスコまたは低密度細胞培養に関する及び特定の細胞タイプの必要性に適応される標準の細胞培養培地の例には、限定されることなく、Roswell Park Memorial Institute (RPMI) 1640 培地(Morre, G., The Journal of the American Medical Association, 199, p.519 f.1967), L-15 培地(Leibovitz, A. et al., Amer. J. of Hygiene, 78, 1p.173 ff, 1963), ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM; Dulbecco's modified Eagle's medium), イーグルの最小必須培地(MEM; Eagle's minimal essential medium), ハムのF12培地(Ham, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sc.53, p288 ff. 1965) またはアルブミン, トランスフェリン および レシチンを欠いているIscovesの修正DMEM(Iscoves et al., J. Exp. med. 1, p. 923 ff., 1978)が含まれる。一例を挙げると, ハムのF10またはF12培地は、特にCHO細胞培養のため設計された。特にCHO細胞培養に適応された他の培地は、EP-481 791に記載される。係る培養培地がウシ属胎児血清 (FBS, ウシ胎児血清 FCSとも称される)を添加されてもよいことが知られており、後者は多量のホルモン および 成長因子の天然の供給源を提供している。哺乳類細胞の細胞培養は、現在では科学の教科書およびマニュアルに記載されたルーチン作業であり、例えば、R. Ian Fresney(R. Ian Fresney, Culture of Animal cells, a manual, 4th edition, Wiley- Liss/N.Y., 2000)に詳細に記載される。
本発明の好適な態様において、使用された細胞の培養培地は、ウシ胎児血清 (FCS または FBS)を欠いており、それゆえ「無血清(serum-free)」と称される。無血清培地中の細胞は、一般に至適な成長のために無血清培地中にインシュリン および トランスフェリンを必要とする。トランスフェリンは少なくとも部分的に非ペプチドキレート化因子またはシデロホア(例えば、WO 94/02592に記載されるトロポロン)で置換されてもよい又は抗酸化剤(例えば、ビタミンC)と都合良く関連して有機鉄(organic iron)の供給源のレベルを増加させてもよい。大抵の細胞株は、上皮成長因子 (EGF), 線維芽細胞成長因子 (FGF), インシュリン様成長因子 I および II (IGFI, IGFII), などを含んでいる一または二以上の合成の成長因子(組換え型のポリペプチドを含んでいる)を必要とする。必要であろう他のクラスの因子には、プロスタグランジン, 輸送 および 結合タンパク質(例えば、セルロプラスミン, 高および低密度リポタンパク質, ウシ血清アルブミン(BSA)), ホルモン(ステロイド-ホルモンを含む), および脂肪酸が含まれる。ポリペプチド因子試験は、段階的な様式で新しいポリペプチド因子の試験を成長刺激性であることが見出された因子の存在下で最適に行われる。これらの成長因子は、合成または組換え型である。動物の細胞培養において周知の幾つかの方法論的アプローチが存在し、例示は以下に記載される。最初の段階は、細胞が血清を添加した培養培地から移された後3〜6日間生存する及び/又は緩徐に成長する条件を得ることである。大抵の細胞タイプにおいて、これは少なくとも部分的に播種密度(inoculum density)の関数である。一旦至適なホルモン/成長因子/ポリペプチドサプリメントが見いだされたら、生存に必要とされる播種密度は減少する。
別の好適な態様において、細胞の培養培地は無タンパク質であり、即ち、胎児血清および個々のタンパク質成長因子添加物または他のタンパク質(例えば、組換え型のトランスフェリン)の双方がない。
別の態様において、組換え型の産物タンパク質の発現および収穫に関する本発明の方法は、工業的な流加バイオリアクター(fed-batch bioreactor)などにおける動物宿主細胞の高密度成長を含む。次に従来の下流の処理を適用してもよい。結果的に、高密度成長培養培地(high-density growth culture medium)を用いなければならない。通常、係る高密度成長培地は、全てのアミノ酸, エネルギー供給源(例えば、上記の範囲のグルコース), 無機塩, ビタミン, 微量元素(マイクロモル範囲の最終的な濃度で通常存在する無機化合物として規定される), 緩衝剤, 四つのヌクレオシド又はそれらの対応するヌクレオチド, 抗酸化剤〔例えば、グルタチオン(還元)〕, ビタミンCおよび他の成分(例えば、重要な膜脂質, 例えば、コレステロールまたはホスファチジルコリンまたは脂質前駆体, 例えば、コリンまたはイノシトール)などの栄養物を補充してもよい。高密度培地は、大抵の又は全てのこれらの化合物が濃縮され、(基本的に等張性の培地のモル浸透圧濃度を制御する無機塩を除いて)それらをRPMI 1640と比較してGB2251 249からの上記の標準培地よりも高量(強化された)に含む。好ましくは、本発明による高密度培養培地は、トリプトファンを除いた全てのアミノ酸が75 mg/1 培養培地の過剰に強化(fortified)される。好ましくは、一般的なアミノ酸要求性と関連して、グルタミンおよび/またはアスパラギンは、1 g/1, より好ましくは2 g/1の高密度培養培地の過剰である。本発明において、高密度細胞培養は、一時的に少なくとも105細胞s/ml又はそれ以上, 好ましくは少なくとも106細胞s/ml又はそれ以上の生存可能な細胞の密度を有している動物細胞の集団と規定される。その集団は、定常性または増加した培養容量での細胞培養培地中で、単一細胞またはより低い生細胞密度の播種物から連続的に成長させた。
更なる好適な態様において、本発明の方法は、流加培養(fed-batch culture)を含む。流加培養は、少なくともグルタミン(任意で、一つ又は幾つかの他のアミノ酸と, 好ましくはグリシンと共に)が、別の供給でグルコース濃度を制御する以外に培地でそれらの濃度を維持するためのGB2251249に記載されているような細胞培養に供給される培養系である。より好ましくは、グルタミン(および、任意で、一つ又は幾つかの他のアミノ酸)の供給は、EP-229 809-Aに記載の細胞培養に一または二以上のエネルギー供給源(例えば、グルコース)を供給することと組み合わされる。通常、供給(Feed)は、培養の開始の25-60 時間後に開始される; 一例を挙げると、細胞が約 106細胞s/mlの密度に達したとき供給を開始することが有用である。培養した動物細胞において、「グルタミン分解(glutaminolysis)」(McKeehan et al., 1984, Glutaminolysis in animal cells,in: Carbohydrate Metabolism in Cultured Cells, ed. M.J. Morgan, Plenum Press, New York, pp. 11-150)が増殖相(growth phase)の間のエネルギーの重要な源となりえることが当該技術において周知である。通常、全体のグルタミンおよび/またはアスパラギンの供給(グルタミンのアスパラギンでの置換に関して、Kurano, N. et al., 1990, J. Biotechnology 15, 113-128を参照されたい)は、0.5 から10 g /l 培養量(好ましくは、1から2 g /l)の範囲である; 供給中に存在できる他のアミノ酸は、10 から300 mg 全供給/リットル培養物である; 通常、特にグリシン, リジン, アルギニン, バリン, イソロイシン および ロイシンが他のアミノ酸と比較して少なくとも 150 から 200 mgの高量で供給される。供給は注射添加(shot-addition)として又は連続的なポンプ供給として添加できる, 好ましくは前記供給はほとんど連続的にバイオリアクターにポンプされる。pHは、塩基(base)または緩衝剤の添加で所与の細胞株に至適なおよそ生理的なpHに流加培養の間にバイオリアクター中で慎重に制御されることは言うまでもない。グルコースがグルコースとして使用される場合、通常全体のグルコース供給は1 から 10, 好ましくは 3 から6 グラム/リットル培養物(litre of the culture)である。アミノ酸を包含させる以外に、好ましくは供給は、5 から 20 mg /リットル培養物の範囲の低量のコリンを含む。より好ましくは, このようなコリンの供給は、基本的にUS 6,048,728に記載のエタノールアミンの補充と組み合わされる(特に、グルタミンを供給することの組み合わせ)。GS-マーカー系の使用に際して、低量のグルタミンが非GS発現系と比較して必要とされることは言うまでもない。というのも、内因性に産生されたものに加えた過剰なグルタミンの蓄積がアンモニア生産および随伴する毒性を生じるだろうからである。GSに関して、培地または供給中のグルタミンは、大抵はその均等物(equivalents)および/または前駆体(precursors)、つまりアスパラギンおよび/またはグルタミン酸で置換される。
収穫するための方法(即ち、細胞が培養されていた培地からの所与のタンパク質の単離および/または精製)は、当該技術分野において周知である。
本発明の好適な態様は、図面において説明される。
示される事項は以下のものである:
CHOK1SV細胞の一過性(transient)のトランスフェクションに使用される場合の分泌された抗体の濃度における異なるシグナル配列の影響を示す。抗体濃度は、バリアントシグナル配列(variant signal sequences)を使用するベクターを用いてCHOK1SV細胞の一過性トランスフェクションで達成された。(n=6) 静置培養(static culture)において安定な細胞株に使用される場合の分泌された抗体の濃度における異なるシグナル配列の影響を示す。抗体濃度の範囲を示すボックスプロット(Boxplots)は、バリアントシグナル配列を使用するベクターを用いてCHOK1SV細胞の安定(stable)なトランスフェクションで達成された。安定な GS 細胞株を、24ウェルのプレートにおいて14日間過剰成長させた(そのポイントで、抗体濃度は、プロテインA HPLCで決定された)。平均抗体濃度が示され、平均抗体濃度において統計的に有意な増加を示しているもの(ANOVAで計算された p < 0.05)は*で示される。n=100。 浮遊培養(suspension culture)において安定な細胞株に使用される場合の分泌された抗体の濃度におけるシグナル配列 V19の影響を示す。抗体濃度の範囲を示すボックスプロット(Boxplots)は、対照またはV 19シグナル配列の何れかを使用するベクターを用いてCHOK1SV細胞の安定(stable)なトランスフェクションで達成された。安定な GS 細胞株が、産生され、上位60が研究室スケールのバイオリアクターを模倣して設計された流加処理で評価された。
抗体濃度をプロテインA HPLCで決定した。平均抗体濃度が示され、p 値がANOVAで計算された。n=60。
安定な細胞株が10 Lのバイオリアクターにおいて培養された場合の分泌された抗体の濃度におけるシグナル配列 V19の影響を示す。抗体濃度の範囲を示すボックスプロットは、対照またはV 19シグナル配列の何れかを使用するベクターを用いて産生された安定な細胞株を用いる10 Lの研究室スケールのバイオリアクターで達成された。安定な GS 細胞株が、産生され、上位8が流加処理で評価された。抗体濃度をプロテインA HPLCで決定した。平均抗体濃度が示される。n=8。
配列表は、以下を示す:
配列番号 1は、構築物 pV 12に使用されたシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。このシグナルペプチドはSandfly Yellow関連タンパク質から由来したmrfffvflaivlfqgihgである。配列番号 1のシグナルペプチドは、シグナルペプチド V12とも称される。
配列番号2は、配列番号 2で表されるシグナルペプチドのアミノ酸配列をコード化している核酸配列を示し、5'- atgagattctttttcgtgttcctggccatcgtgctgttccagggcatccacg-3'である。
配列番号 3は、構築物 pV 14に使用されたシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。このシグナルペプチドはカイコ フィブロイン LCから由来したmkpiflvllvvtsayaである。配列番号 3のシグナルペプチドは、シグナルペプチド V14とも称される。
配列番号4は、配列番号 3で表されるシグナルペプチドのアミノ酸配列をコード化している核酸配列を示し、5'-atgaagcccatctttctggtgctgctggtcgtgaccagcgcctacgcc-3'である。
配列番号 5は、構築物 pV 16に使用されたシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。このシグナルペプチドはヘビ PLA2から由来したmrtlwimavlllgvegである。配列番号 5のシグナルペプチドは、シグナルペプチド V16とも称される。
配列番号6は、配列番号 5で表されるシグナルペプチドのアミノ酸配列をコード化している核酸配列を示し、5'-atgaggaccctgtggatcatggccgtgctgctgctgggcgtggagggccaggtg-3'である。
配列番号 7は、構築物 pV 17に使用されたシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。このシグナルペプチドはCypridina Noctilucaのルシフェラーゼから由来したmktlilavalvycatvhcである。配列番号 7のシグナルペプチドは、シグナルペプチド V17とも称される。
配列番号8は、配列番号 7で表されるシグナルペプチドのアミノ酸配列をコード化している核酸配列を示し、5'-atgaaaaccctgatcctggccgtggccctggtgtactgcgccaccgtgcactgc-3'である。
配列番号 9は、構築物 pV 19に使用されたシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。このシグナルペプチドはPinemothのフィブロイン LCから由来したmmrpivlvllfatsalaである。配列番号 9のシグナルペプチドは、シグナルペプチド V19とも称される。
配列番号10は、配列番号 9で表されるシグナルペプチドのアミノ酸配列をコード化している対応する核酸配列を示し、5'-atgatgaggcccatcgtgctggtgctgctgttcgccacctccgccctggcccaggtg-3'である。
本発明は、以下の例で詳細に説明される。
[例]
材料および方法
使用した細胞
CHO 細胞株 CHOK1 SVは、細胞株 CHO-K1のバリアントであり、浮遊および無タンパク質培地における成長に適応している。
CHOK1SV細胞の増殖:
CHOK1SV細胞を、6 mMのL-グルタミンを補充されたCD-CHO 培地(インビトロゲン)中で浮遊振盪フラスコでルーチン的に増殖した。種濃度(Seed concentration)は2 x 105細胞/mlであり、細胞は4日毎に分けられた。フラスコは、5% CO2で処理され、36.5゜C (35.5゜C および 37.0゜Cの間)で軌道振盪で140 rpmでインキュベーションされた。
一過性のトランスフェクション:
一過性のトランスフェクションを、浮遊成長細胞(suspension-growing cells)を用いて行なった。細胞を、計数し、24-ウェルプレートのウェルに2.5 x 105 生細胞/ウェルで10% 血清 および 6 mM L-グルタミンを補充されたDMEMベースの培地中に分けられ、一晩+36.5 ゜Cでインキュベーションした。次の日に、馴化培地(conditioned medium)を1 mLの新鮮な培地(上記のとおり)で置換し、細胞を3 時間+37 ゜Cでインキュベーションした。
各トランスフェクションに対し、5 μgの各々のSGVs(HC および LC-SGVs 共に混合)または5 μgのDGVsを、100 μLのトランスフェクション培地(OptiMEM, Invitrogen)に再懸濁した。陽性対照に関して、細胞をベクター pcB72.3でトランスフェクトした。このベクターは、モデル抗体として機能するIgG4/カッパー抗体の重鎖 および 軽鎖遺伝子をコードする。陰性対照(水のみ)も、含まれた。
各トランスフェクションに対し、5μLのLipofectamine-2000 試薬 (インビトロゲン)を、100 μLのトランスフェクション培地に希釈し、混合し、5 分間室温で静置した。DNA および 希釈したLipofectamine 試薬を、組み合わせ、混合し、さらに周囲温度(ambient temperature)で20 分間静置した。この200 μLの混合物を、次に細胞を含んでいる24-ウェルプレートのウェルに添加し、細胞を4 または 10 日間+37 ゜Cでインキュベーションした。培養上清を収集し、抗体の存在に関してアセンブリーELISA(assembly ELISA)でのアッセイの前に遠心分離で清澄化した。
静置培養の産生のための安定なトランスフェクション:
トランスフェクションに使用される細胞を、前に詳細に説明したとおり細胞浮遊培養で成長させた。成長している培養物からの細胞を、1.43 x 107細胞/mLの濃度に再懸濁される前に、遠心分離し、無血清培地で一度洗浄した。0.7 mL 容量の細胞懸濁液および40 μgのプラスミド DNAを、エレクトロポレーションキュベットに添加した。次に、キュベットをエレクトロポレーション装置に配置し、単一パルスの250 V および 400 μFをあたえた。トランスフェクションにつづき、10% dFCSを補充した非選択的なDMEM-ベースの培地を用いて、96ウェルプレートに約 2,500 宿主細胞/ウェル(5 x 104/mL)で細胞を分けた。プレートを、36.5゜C (35.5゜C および 37.0゜Cの間)で空気中に10% CO2の雰囲気でインキュベーションした。
トランスフェクションの次の日、10% dFCS/66 μM L-メチオニン サルフォキシミンを補充したDMEM-ベースの培地を、各ウェルに添加(150 μL/ウェル)して50 μMの最終的な L- メチオニン サルフォキシミン濃度を与えた。プレートを、非トランスフェクト細胞の死亡およびトランスフェクトされた細胞の増殖巣(foci)の出現を決定するためにモニターした。トランスフェクトされた細胞の増殖巣は、トランスフェクションの約 三 から 四 週後に明らかとなった。検査し、さらに進行した全ての細胞株は、僅か単一のコロニーを含んでいるウェルからのものである。
静置培養における細胞株の生産性の評価
96-ウェルのトランスフェクション プレートを、約 三 週間インキュベーションして、コロニー形成を許容させた。生じたコロニーを顕微鏡的に検査して、コロニーがアッセイに適切なサイズ(ウェルの底面の60%をこえて被覆している)であること、ただ一つのコロニーが各ウェルに存在したことを検証した。
適切なコロニーを、1 mLの選択的な成長培地 (DMEM-ベースの培地/10% dFCS/25μMのL-メチオニン サルフォキシミン)を含んでいる24-ウェルプレートのウェルに移した。
これらの培養物を、36.5゜C (35.5゜C および 37.0゜Cの間)で空気中に10% CO2の雰囲気で14日間インキュベーションした。各ウェルの上清を、収穫し、存在する抗体の濃度をプロテイン-A HLPC法で分析した。
アセンブリー ELISA:
サンプルの抗体濃度をサンドイッチ ELISAを用いて決定し、これにより会合したヒト IgGが測定された。これには抗-ヒト Fc 抗体で被覆した96ウェルプレートにサンプル および 標準を捕獲することが含まれる。結合した抗体は、抗ヒト軽鎖と西洋わさびペルオキシダーゼの連結および色素生産性の基質TMBで明らかとされる。色素の発生は、標準と比較した場合のサンプルに存在する抗体の濃度と比例的であった。
プロテインA HPLC:
IgGの測定のためのプロテインA アフィニティークロマトグラフィー法は、Agilent 1100 HPLCで行われた。IgG 産物は、選択的にPoros プロテインA 免疫検出 カラムに結合する。非結合物質をカラムから洗浄し、残っている結合抗体を溶媒のpHを減少させて放出した。溶出を280 nmでの吸光度でモニターした。産物を、一般の抗体標準に対して定量した(Chemstation ソフトウェアを用いて)。補正を吸光係数における差に関して行った。
浮遊培養の産生のための安定なトランスフェクション:
CHOK1SV 宿主細胞を、CHOK1SV 細胞株の貯蔵物から復活させた。続いて成長している培養物からの細胞を、1.43 x 107生細胞/mLの濃度に再懸濁する前に、遠心分離し、CD-CHO培地で一度洗浄した。各トランスフェクションに対して、約 0.7 mL の細胞懸濁液および40 μgのプラスミド DNAを、各エレクトロポレーションキュベットに添加した。四つのトランスフェクションを、二つのエレクトロポレーションキュベットの内容物を用いて調製した。各エレクトロポレーションキュベットをエレクトロポレーション装置に配置し、単一パルスの300 V, 900 μFをあたえた。トランスフェクションにつづき、全ての必要とされたキュベットからの細胞を、プールし、96ウェルプレートに約 2,500 宿主細胞/ウェル(0.50 x 105/mL)から10,000 宿主細胞/ウェル(2.00 x 105/mL)で培地 CD-CHO/フェノールレッドを用いて分けた。フェノールレッドは、細胞成長を示す目的でのみ添加された。プレートを、35.5 から 37.0゜Cで空気中に10% v/v CO2の雰囲気でインキュベーションした。
トランスフェクションの次の日、150 μLの選択培地(CD-CHO/フェノールレッド/66.6 μM MSX)を、各ウェルに添加した。各ウェル中のMSXの終濃度は、50 μMであった。
プレートをモニターして、非トランスフェクト細胞が死亡し、トランスフェクトされた細胞の増殖巣が残ったときを決定した。トランスフェクトされた細胞の増殖巣は、トランスフェクションの 三 から 四 週後に明らかとなった。検査し、さらに進行した全てのトランスフェクタントは、視覚的な評価で決定した僅か単一のコロニーを含んでいるウェルからのものである。
静置培養における評価のための細胞株の選択:
96-ウェルのトランスフェクション プレートを、約 三から四 週間インキュベーションして、コロニー形成を許容させた。生じたコロニーを顕微鏡的に検査して、それらが評価に適切なサイズ(ウェルの底面の60%をこえて被覆している)であること、ただ一つのコロニーが各ウェルに存在したことを検証した。培養上清を、除去し、Lonza's ELISA法を用いて抗体をアッセイした。ウェルのコンフルエンスのパーセンテージ(percentage confluence)を、標本抽出の時間に評価した。コンフルエンスのパーセンテージでのアッセイ結果を除することにより得た値を使用して、細胞株をランクした。
高いランキングの細胞株を、24-ウェルプレートで培地 CD-CHO/フェノールレッド/25μM MSX (この培地は、全静置培養期間で使用された)中で増やした。コンフルエンスに達したら、この培養物を使用してT25 フラスコに播種し、残っている培養物に新鮮な成長培地を再供給し、インキュベーターに戻した。T25 フラスコ中でコンフルエンスに達したとき、この培養物に新鮮な培地を供給して細胞を多層(multilayer)へと助長し、浮遊培養に順応させた。
96ウェルプレートから進行したこれらの細胞株に関して、生産性の第二の評価がなされた。進行し、再供給された24-ウェルプレート培養を、コンフルエンスまたは低い生存度に達する(「過剰成長(overgrown)」)までさらに十四日間インキュベーションした。このポイントで、培養上清を収集し、抗体濃度をプロテインA HPL法を用いて測定した。細胞株を生産性によりランクづけし、高いランキングの細胞株を進行(progressed)させて浮遊培養において評価した。
細胞株のCDACF浮遊培養への拡大:
培地 CD-CHO/25 μM MSXを用いて、浮遊培養をコンフルエントなT25 フラスコ培養から開始した。接種細胞の濃度の選択は、測定したT25 フラスコ中の生細胞濃度に依存的である。生細胞濃度が0.40 x 106 生細胞/mLより多い場合、CD-CHO/25 μM MSX 培地を添加して、125 mLの振盪フラスコにおいて5 から 30 mLの最終容量に0.20 x 106 生細胞/mLの生細胞濃度とした。生細胞濃度が0.25 から 0.40 x 106 生細胞/mLである場合、CD-CHO/25 μM MSX 培地を添加して、125 mLの振盪フラスコにおいて5 から 30 mLの最終容量に0.15 x 106 生細胞/mLの細胞濃度とした。生細胞濃度がT25フラスコ中で最大で十四日後に0.25 x 106/mL未満である場合、10 mLの各培養物を自動的に125 mLの振盪フラスコ中の10 mLのCD-CHO/25 μMのMSX培地に進行させた。
静置から浮遊培養に移した後に、許容され且つ再現性のある成長特性が達成されるまで、細胞株を連続的に四日のサブカルチャー措置でCD-CHO/25 μM MSX 培地にサブカルチャーした。培養物を、30 mLの培養容量を含んでいる125 mLの振盪フラスコに、0.05 から 0.20 x 106 生細胞/mLの初期の接種細胞濃度で調製した。一旦、4日目(サブカルチャーの日)に生存可能な濃度が一貫して0.40 x 106 生細胞/mLをこえたら、培養物をルーチン的に0.20 x 106 生細胞/mLで播種した。
流加振盪フラスコ培養:
各々の選択された細胞株の培養物を、CM42/SPE培地を用いて250 mLの振盪フラスコに30 mLの細胞懸濁液で調製した。培養物を0.20 x 106 生細胞/mLで播種し、各培養の上部空間(headspace)を空気中に5% v/v CO2を含むもので平衡化した。培養物を35.5 から 37.0 ゜Cで140 ± 5 rpmの振盪プラットホームで、生細胞濃度(ポストピーク)が1.00 x 106 生細胞/mL未満もしくはその濃度と等しくなる又は15日に達する(過剰成長)までインキュベーションした。このポイントで、培養物を収穫した。
細胞濃度を、Vi-Cell自動細胞計数器を用いて7 および 14日に決定した。3日目に、2.1 mLのSF40を、大量瞬時投与(bolus)で各々の30 mL 培養に添加した。360 μLの第二の供給のSF41の注射を、8 および 11日目に流加培養に適用した。
培養上清のサンプルを7 および 14日目にとり、会合した抗体をプロテインA HPLCでアッセイするまで-20 ± 5 ゜Cで凍結した。
10Lのバイオリアクター培養:
細胞株を1OLのバイオリアクターで評価した。十六の細胞株の培養の容量を、一つの10リットルのエアリフトバイオリアクターを播種するため十分な容量がえられるまで増加させた。播種物(inoculum)の容量を調整して、約 0.2x 106細胞/mlの種密度(seed density)を達成した。バイオリアクターを、流加を用いて15 日間行った。培養上清のサンプルをとり、会合した抗体に関してプロテインA HPLCでアッセイした。
ベクターの構築
可変領域をコード化している遺伝子至適化DNA配列(cB72.3 抗体)を合成した。合成の一部として、シグナル配列鎖をコード化している核酸配列を付加した。全体で19の異なるシグナル配列(配列 V1-V19)が使用された。軽鎖の配列を、Kappa 定常領域のDNA 配列を含むpEE12.4由来発現ベクター pConPlusKappaにクローン化した。重鎖を、IgG4 定常領域 DNA 配列を含むpEE6.4由来ベクター pConPlusIgG4にクローン化した。次に、二重の遺伝子発現ベクターを、関連するベクターのNot I/Pvu I 断片を共にクローニングすることで産生した。全ての構築物の配列を、DNAシークエンシングにより確認した。
最初の選抜として、ルーチン的に使用されたシグナル配列を使用する適切なコントロールと共に十九の構築物を、Lipofectamine-2000 (インビトロゲン)を用いてCHOK1SV 宿主細胞株に一過性にトランスフェクトした。構築物を、六回トランスフェクトし、培地中の抗体濃度をELISAで決定した。アッセイによって、十九の構築物の五つが対照に対し平均抗体濃度を劇的に増加させ、残りの構築物は均等な又は減少した抗体濃度を生じることが同定された。これらの構築物は、配列番号1のシグナル配列を含んでいるpV 12 (シグナル配列 V 12), 配列番号3のシグナル配列を含んでいるpV 14 (シグナル配列 V 14), 配列番号5のシグナル配列を含んでいるpV 16 (シグナル配列 V 16), 配列番号7のシグナル配列を含んでいるpV 17 (シグナル配列 V 17), および配列番号9のシグナル配列を含んでいるpV 19 (シグナル配列 V 19)であった。
次に、一過性のトランスフェクション系において発現の改善を実証した五つのシグナル配列を使用する構築物を使用して、CHOK1SV細胞において安定な細胞株を作った。構築物ごとに100の細胞株から培地中の抗体濃度を、プロテインA HPLCで決定した。対照の細胞株からの平均抗体濃度は、89 mg/Lであった。五つのシグナル配列のうち二つは、対照の細胞株に対し統計的に有意な平均抗体濃度の増加を有する細胞株を生じ、配列 V17 (配列番号7)は106 mg/Lの平均抗体濃度(19% 増加, p=<0.05)を生じ、配列 V19 (配列番号9)は118 mg/Lの平均抗体濃度(32% 増加, p=<0.05)を生じた。安定な細胞株からのデータは、図 1に示される。
産物の質はSDS-電気泳動法で評価された場合、全体構造上の差が対照または代替のシグナル配列を用いて産生された抗体の間で観察された。質量分析での産物の質の評価によって、代替のシグナル配列を用いて産生された抗体が対照と比較して期待した質量のものであることが実証され、それらが適切に処理されたと思われることを示唆している。
この研究によって様々な効率の異なるシグナル配列の機能が実証され、シグナル配列の選択が至適な抗体発現に対して鍵となる貢献者となる可能性を示している。
この配列によって細胞株の構築プロセスをとおして抗体濃度の増加が導かれるかどうかを決定するために、IgG1/kappa抗体バージョンのcB72.3をコード化している構築物が産生された。構築物は、配列番号 9 (V19)のシグナル配列をコード化しているDNA 配列に融合された遺伝子至適化遺伝子(pcB72.3IgG1 V 19)またはルーチン的に使用された抗体由来シグナル配列(pcB72.3IgG1)の何れかを使用した。
これらの構築物を、CHOK1SV細胞に安定的にトランスフェクトした。トランスフェクタントを96ウェルプレートで選抜し、高いランキングの細胞株を24-ウェルプレートで増やした。コンフルエンスに達した際、上位60の生産者をT25フラスコで進行させ、フラスコ中で懸濁液に適応させた。生産性をバッチおよび流加振盪フラスコ培養で評価し、産物の品質を14日の流加過剰成長培養(14- day fed-batch overgrow cultures)からの培養上清を用いて分析した。
流加培養において、配列番号 9のシグナル配列を使用した構築物は、対照と比較して平均抗体濃度で6%の増加を実証した(p=0.08)。産物の品質の評価は、SDS-電気泳動法, IEF, オリゴ糖分析で分析したときに対照または配列番号 9 のシグナル配列(V 19)を有する構築物でトランスフェクトした培養の間で著しい差は認められなかった。エレクトロスプレー質量分析を使用して、V19 配列を用いて産生された抗体の質量が対照の構築物を用いて産生された場合のものと同じであったことが示され、V 19 配列が抗体分泌の間に正しくプロセスされたことを示唆している。
10Lのlabスケールバイオリアクターを使用する流加バイオリアクター培養において、十六の10リットルの研究室スケールのバイオリアクター培養を行った。細胞株は、広範囲の最大の生細胞濃度に達した。配列番号 9 (V 19)のシグナル配列を含んでいる細胞株は、9.6 および 17.9 x 106細胞/mLの間に達し、対照のシグナル配列細胞株は8.5 および 19.1 x 106細胞/mLの間に達した。「新しいシグナル配列」培養に関して生細胞濃度積算(IVC)平均時間は2395 x 106細胞.h/mLであったが、対照の細胞株に関してIVCは2511 x 106細胞s.h/mLであった。収穫時の平均産物濃度は、シグナル配列V19(配列番号 9)を有する細胞株に関して2870.3 mg/Lであり、対照の細胞株に関して2577.1 mg/Lであった。バイオリアクター培養を、15日目に収穫した。
研究室スケールのバイオリアクター培養に基づいて、V 19含有細胞株が11 %の平均抗体濃度の増加を生じることが結論付けられた。しかしながら、広範囲の生産性が観察されたため差は統計的に有意ではなかった。

Claims (6)

  1. 異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の宿主細胞からの異種性タンパク質の分泌のための発現カセットであって、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は、配列番号10または配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列から選択される発現カセット
  2. 異種性のタンパク質をコード化しているDNA 配列にインフレームに連結されたシグナルペプチドをコード化しているDNA 配列に機能的に連結されたプロモーターを含んでいる哺乳類の発現ベクターであって、前記シグナルペプチドをコード化しているDNA 配列は、配列番号10または配列番号9に示されるアミノ酸配列をコード化しているDNA 配列から選択される発現ベクター
  3. 請求項2に記載の哺乳類の発現ベクターを含んでいる哺乳類の宿主細胞。
  4. 前記細胞はチャイニーズハムスター 卵巣 (CHO) 細胞である、請求項3に記載の哺乳類の宿主細胞。
  5. 組換えタンパク質の産生のための方法であって、以下の工程を含む方法:
    a) 哺乳類の宿主細胞を請求項2に記載の発現ベクターでトランスフェクトすること、
    b) 前記細胞の増殖および前記組換えタンパク質の発現および前記宿主細胞から培地への組換えタンパク質の分泌を可能にする適切な条件下の培地で前記宿主細胞を培養すること、
    c) 前記培地から分泌された組換えタンパク質を収穫すること。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記哺乳類の宿主細胞がCHO 細胞である方法。
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