JP4990282B2 - 工具移動アクチュエータ - Google Patents
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Description
この公知のアクチュエータは、回転対称形態または特に回転非対称形態の微細構造表面を作製するための旋盤に使用される。
このために、旋盤は、長手方向軸を中心に回転駆動することができ、かつ被加工物をチャックに固定する固定具を保持するスピンドルを備え、工具の表面に対してほぼ垂直方向に工具を高速移動させるための、例えば圧電駆動装置の形の高速駆動装置が設けられたアクチュエータを有し、その第1の方向に直線送り運動を生ずる第2の駆動装置によって、アクチュエータを機械加工される被加工物表面に沿って位置決めすることができる。アクチュエータの高速駆動装置は、復元力に対して、高速駆動装置の軸方向に工具を送ることを可能にする案内手段を介して工具に連結され、その方向に対して垂直な平面において高剛性を示す。アクチュエータは、通気性があって、アクチュエータの動作中における切削力によるノイズの影響を減ずるために、密閉空気量による減衰要素として作用する焼結板を備える。
同様の種類の別のアクチュエータ、およびアクチュエータを用いて被加工物を機械加工するための装置が、下記非特許文献1から公知である。
このアクチュエータは、高品質の回転対称表面を作製する旋盤と併用される。アクチュエータは、二重のダイヤフラム式のばねを介して軸方向に移動可能に案内されながら、その方向に対して垂直方向に高剛性を示す圧電駆動装置を備える。工具保持具が、圧電駆動装置を密閉するタペットに取り付けられており、タペットと直接接続されている。そのため、圧電駆動装置は、一組のばねによって圧電駆動装置に対して付勢されるベースプレートに接合されている。タペットが懸架された、互いに間隔を置いて配置される2つのダイヤフラム式のばねによって、ラジアル軸受が形成される。
さらに、本発明の目的は、そのようなアクチュエータを用いて、被加工物を機械加工するための装置を提供することである。
本発明の目的は、それによって完全に達成される。
転動体にタペットを据え付けることによって、アクチュエータの加速が極めて速くなり、それによって被加工物を高速の切削速度で機械加工できる。さらに、本発明に用いられるアクチュエータは、その軸方向に対して垂直な平面において極めて高い剛性を示す。
このようにして、ハウジング部間の相対移動を防ぐことができる。これによって、ひいては、転動体が動作中に高荷重で溶接されてしまう危険を防止する。
転動体は、例えば、玉、ころ、または球面ころ要素または他の形状の要素であってもよい。
したがって、本発明において用いられる「高速駆動装置」という用語は、適当な制御信号に応答して高加速での移動を可能にする駆動装置を意味する。従来の機械工具の駆動装置は、最大加速度約1.5g(すなわち、約15m/s2)を達成し、リニアモーターでは最大加速度約8g(80m/s2)が可能である。
かかる高加速度は、高い周波数成分をともなう微細構造体がそれ相応に必要とされる場合、速い切削速度には必要であり、例えば、圧電駆動装置のような補助機器つまり電気機械変換器を用いて達成することができる。
ナノチューブ駆動装置とは、ナノチューブを含む少なくとも1つの層を有し、この層のナノチューブが、ナノチューブ配列の平均をとると、優先的方向を有する電気機械変換器である。
ナノチューブによって、圧電駆動装置よりも強い力を実現できる。同様に、ナノチューブはほとんどオーバーシュート挙動を示さず、作製される微細構造体が極高周波成分を有する場合に有利である。ナノチューブ駆動装置は、例えば、電解液と共にタペットの空洞(キャビティ)に密封されて収容することができ、さらにシールによって密封されてもよい。
これと比較して、圧電駆動装置を用いた一実施形態は、単純構造で低価格という利点がある。
もちろん、加速および十分に高い剛性に関する必要条件を満たしていれば、その範囲において、例えば、油圧式駆動装置などの高速駆動装置の他の構成も同様に想定できる。
原理上、すべての適当な減衰要素をこの点について考慮してもよいが、硬質材からできた被加工物の精密機械加工に用いる場合に、減衰効果をかかるアクチュエータに対する要求に最適に合わせることのできるスクィーズフィルムダンパとして減衰要素が構成される一実施形態において、特に有効に減衰できることがわかった。さらに、スクィーズフィルムダンパを使用すると、アクチュエータを特にコンパクトに設計することができる。
本発明の別の有利な発展によれば、高速駆動装置はタペットの凹部に受け入れられる。
本発明の別の好適な一実施形態によれば、タペットは屈曲部、好ましくは2重ダイヤフラム式のばね上に案内される。
これにより、タペットは大きく軸方向移動可能になると同時に、その方向に対して垂直方向に高剛性となる。
これにより、復元力に対して高速駆動装置に必要な付勢をかけて、特にコンパクトな形に一体化させることができる。
好ましくは、高速駆動装置は、この目的のために、ハウジングと接続された固定端、およびタペットと接続された自由端を含む。
このような特徴によって、特にコンパクトな設計を実現することができる。
スクィーズフィルムダンパは、好ましくは、ハウジングとタペットとの間の空洞に配置され、好ましくは、それらの間に流体が密閉される間隙を形成する2つの同軸表面を含む。
上記発明の特徴および以下にこれから説明する特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ記載の組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせ、または単独で用いることができることが理解されよう。
図1は、全体として参照符号10で示される、アクチュエータを用いて、被加工物を機械加工する装置の極端な概略図を示している。
本発明に係る装置10は、被加工物16に対して工具32の高速圧電制御移動を可能にするためにアクチュエータ30を具備する旋盤である。装置10は、矢印28で示すように、スピンドル軸25を中心に回転駆動することができるスピンドル12を備えている。スピンドル12には、被加工物16を取り付けるチャックの形態の固定具14が設けられている。
旋盤およびアクチュエータを制御するために、参照符号17によって図示する中央制御装置が設けられている。スピンドル12の回転位置は、回転位置用変換器31を用いてモニターすることができる。
図2に示すアクチュエータは、全体として参照符号30で示されるが、好ましくは圧電駆動装置の形態で、ハウジング38上に支持され、第1スプリング式サスペンション40および第2スプリング式サスペンション42を含むたわみ部を介して工具32に作用する高速駆動装置36を本質的に含む。高速駆動装置36は、軸方向にのみ移動可能であるが、その方向に対して垂直な平面においてはいかなる作動力も生成することができない。屈曲部40、42を利用して、アクチュエータ30全体としてその長手方向の軸64に垂直な平面において高剛性を示しながら、高速駆動装置36の軸方向の動作移動を直接工具32に伝達できることが保証される。
タペット36の工具側端部には、第1スプリング式サスペンション40が接続しているが、これは、例えばすきまゲージとして公知である種類の厚みの薄いばね鋼でできた板ばねを含んでもよい。この板ばねは、その端部によってハウジング38にしっかりとクランプ(挟持)され、途中で互いに交差させ、タペット36にしっかりと接続される。例えば、ばねをハウジング38に取付けるために、環状保持具64が設けられてもよい。
例えば、スプリング式サスペンション40、42は皿ばねとして構成されてもよい。
工具保持具34と反対側の端部分において、タペットは、第1スプリング式サスペンション40と同じ構成を有していて、寸法が局部的な幾何学的条件に適合する第2スプリング式サスペンション42上に固定される。その外端では、第2スプリング式サスペンション42は、ハウジング38とハウジング38に接続される後部ハウジング部分52との間にしっかりとクランプされる。
図3に記載するアクチュエータ30aは、軸案内用にタペット36とハウジング38との間にころ軸受を用いる。それによって、動的性能が向上したことにも関連して、極めて高い剛性を達成する。ころ軸受は、例えば、玉78を含んでいてもよく、玉78は、タペット36の外面とハウジング38との間の空洞76内に案内される。この場合、ハウジングは、上半部70と下半部72とを含んでいて、ハウジングの両半部70、72間の相対移動を防ぐように、適当なクランプねじによって強力に締め合う。これによって、玉78部分の摩擦溶接を防ぐことができる。
転動体、つまり玉78は、それぞれハウジング両半部70、72上に設けられた蓋要素74、75によって空洞76から脱落しないようになっている。
また、ころの代わりに、円筒ころ、球面ころ要素などのような他の適当な転動体を用いてもよいことが理解される。
図2に示すアクチュエータと比較して、このようなアクチュエータによって、さらに高い固有振動数を達成でき、その結果、動的性能はさらに向上する。
本願発明に用いられるアクチュエータは、鋼製の被加工物のような硬質の被加工物を機械加工するのに適したものとするべく、オーバーシュート挙動および使用寿命を向上させるような適当な減衰要素を同様に含む。同様に、減衰要素は、スクィーズフィルムダンパとして構成されてもよい。
Claims (14)
- 長手方向軸(25)を中心に回転駆動されるように構成され、被加工物(16)をチャックに固定する固定具が設けられたスピンドル(12)を備え、前記被加工物の表面に対して実質的に垂直方向に工具(32)を高速移動させるための高速駆動装置(36)を備え、第1方向(x)に直線送り運動を生ずるための別の駆動装置(24)によって機械加工される被加工物表面に沿った位置決めが可能なアクチュエータ(30)を有する、被加工物を機械加工する装置であって、
当該装置は、ハウジング(38)を備え、工具を移動させるためのアクチュエータを備え、
前記ハウジング(38)上を、工具保持具(34)を有するタペット(36)が軸方向移動可能に案内され、前記タペット(36)は、復元力に対して付勢され、減衰要素によって減衰される高速駆動装置(46)を用いて移動可能であり、
前記タペット(36)が転動体を介して前記ハウジング上で軸方向移動可能に案内され、
前記高速駆動装置(46)は、前記タペット(36)の凹部(44)に少なくとも部分的に受け入れられ、前記タペットと同軸状に設けられた減衰要素によって減衰されることを特徴とする装置。 - 前記タペットが、一方から他方へクランプされた2つのハウジング要素間を前記転動体によって軸方向移動可能に案内されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
- 前記転動体が、玉、ころ、または球面ころ要素であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の装置。
- 前記高速駆動装置(46)が、ナノチューブ駆動装置として構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
- 前記減衰要素が、スクィーズフィルムダンパ(60)として構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
- 前記タペット(36)が、たわみ部、好ましくは、2つの互いに間隔を置いて配置されたスプリング式サスペンション(40、42)を備えたたわみ部上に案内されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
- 前記高速駆動装置(46)が前記ハウジング(38)上に固定されており、前記タペット(36)が付勢されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記タペット(36)が、前記タペットの第1の工具側端部分における第1スプリング式サスペンション(40)を介して、かつ第2の端部分における第2スプリング式サスペンション(42)を介して、前記ハウジング(38)上で軸方向移動可能に懸架されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
- 前記高速駆動装置(46)が、前記ハウジング(38)に固定された固定端(48)と、前記タペット(36)に堅固に接続された自由端(50)とを含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
- 前記タペット(36)が、その第2の端(48)部分において、好ましくは一組のばね(58)によって、前記高速駆動装置(46)へ付勢されることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
- 前記一組のばね(58)が皿ばねを含むことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
- 前記タペット(36)が、回転に対して保護、好ましくは前記一組のばね(58)によって、回転に対して保護されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
- 前記スクィーズフィルムダンパ(60)が、前記ハウジング(38)と前記タペット(36)との間の空洞に配置されていることを特徴とする、請求項5〜12のいずれか一項に記載の装置。
- 前記スクィーズフィルムダンパ(60)が2つの同軸表面を含み、それらの間に、流体が密閉される間隙(62)が形成されていることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
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