JP2014000636A - 主軸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易で小型な構成でびびり振動の発散の抑制効果を十分に得ることができる主軸装置を提供する。
【解決手段】主軸装置1は、回転工具Tを保持して回転駆動される主軸12と、主軸12を回転可能に軸承し、主軸12の軸方向に移動可能な移動軸受2と、主軸12を移動軸受2よりも高い支持剛性で回転可能に軸承し、所定の軸方向位置に位置決め固定された固定軸受131,132と、を備える。そして、移動軸受12を往復移動させることにより主軸12の回転時に発生する振動の発散を抑制する。
【選択図】図2
【解決手段】主軸装置1は、回転工具Tを保持して回転駆動される主軸12と、主軸12を回転可能に軸承し、主軸12の軸方向に移動可能な移動軸受2と、主軸12を移動軸受2よりも高い支持剛性で回転可能に軸承し、所定の軸方向位置に位置決め固定された固定軸受131,132と、を備える。そして、移動軸受12を往復移動させることにより主軸12の回転時に発生する振動の発散を抑制する。
【選択図】図2
Description
本発明は、工作機械に使用される主軸装置に関する。
例えば、特許文献1には、主軸の前側(工具側)に配置された前側転がり軸受と前側ハウジングとの間に中間ハウジングを介装し、減衰性を付加した静圧軸受で中間ハウジングを支承して加工中の主軸のびびり振動を抑制する主軸装置が開示されている。また、特許文献2には、主軸の前側(工具側)に配置された玉軸受に対し空気静圧軸受を併設して加工中の主軸のびびり振動を抑制する主軸装置が開示されている。また、特許文献3には、主軸の前側(工具側)に複数のラジアル磁気軸受および複数のラジアル変位センサを設け、ラジアル変位センサで検出した径方向の変位に基づいてラジアル磁気軸受の電磁石を制御し、主軸の共振を抑制する主軸装置が開示されている。
特許文献1および特許文献2に記載の主軸装置では、1つの静圧軸受のみにより主軸のびびり振動に対応する構成となっているため、工具の種類等により周波数が変化する主軸のびびり振動の抑制効果を十分に得ることができない場合がある。そして、主軸のびびり振動を放置しておくと、当該振動が発散して主軸装置が故障するおそれがある。一方、特許文献3に記載の主軸装置では、複数のラジアル磁気軸受および複数のラジアル変位センサを備えているため上述の主軸のびびり振動を抑制することは可能であるが、構成が複雑で大型となる傾向にある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、簡易で小型な構成で主軸のびびり振動の発散を抑制することができる主軸装置を提供することである。
(請求項1)本発明の主軸装置は、回転工具を保持して回転駆動される主軸と、前記主軸を回転可能に軸承し、前記主軸の軸方向に往復移動可能な移動軸受と、前記主軸を前記移動軸受よりも高い支持剛性で回転可能に軸承し、所定の軸方向位置に位置決め固定された固定軸受と、を備え、前記移動軸受を往復移動させることにより前記主軸の回転時に発生する振動の発散を抑制する。
(請求項2)前記主軸装置は、前記主軸に発生する振動を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置で前記主軸の振動を検出したとき前記移動軸受を往復移動させる制御装置と、を備えるようにしてもよい。
(請求項3)前記移動軸受は、流体の圧力により移動可能な複数の流体軸受でなるようにしてもよい。
(請求項4)前記移動軸受は、軸方向の押圧力により移動可能な転がり軸受でなるようにしてもよい。
(請求項5)前記移動軸受は、前記固定軸受の軸方向位置よりも前記回転工具側に配置されているようにしてもよい。
(請求項1)これにより、簡易で小型な構成で主軸の共振周波数を周期的に変化させることができるので、主軸のびびり振動が発散しかけても当該発散を抑制することができ、高精度な加工が可能となる。
(請求項2)これにより、実際の加工時における主軸のびびり振動の発散の抑制に対応することが可能となり、より高精度な加工が可能となる。
(請求項3)これにより、主軸の支持位置を流体を圧力調整することにより直接的に変化させることができるので、主軸のびびり振動の発散を短時間で抑制することが可能となる。
(請求項4)これにより、主軸のびびり振動を抑制する支持位置を高い支持剛性で支持可能となるので、当該びびり振動の発散の抑制効果を高めることができる。
(請求項5)これにより、回転工具付近で発生する主軸のびびり振動の発散を効果的に抑制することができる。
(1.主軸装置の機械構成)
本実施形態による主軸装置の一例として、マシニングセンタ等の工作機械に備えられた主軸装置を例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、主軸装置1は、内周部に収容空間110を有する略円筒状の主軸ハウジング11と、収容空間110内に配設された主軸12と、この主軸12の前側部を軸承する二対の第1及び第2前側転がり軸受131,132(本発明の「固定軸受」に相当する)及び主軸12の後側部を軸承する後側転がり軸受133と、主軸12における第1前側転がり軸受131よりも前側部を軸承する流体軸受2(本発明の「移動軸受」に相当する)とを備えている。さらに、流体軸受2に油圧を付与する油圧付与装置3と、油圧付与装置3により流体軸受2に付与される油圧(油量)を制御する制御装置4とを備えている。
本実施形態による主軸装置の一例として、マシニングセンタ等の工作機械に備えられた主軸装置を例に挙げ、図1を参照して説明する。つまり、主軸装置1は、内周部に収容空間110を有する略円筒状の主軸ハウジング11と、収容空間110内に配設された主軸12と、この主軸12の前側部を軸承する二対の第1及び第2前側転がり軸受131,132(本発明の「固定軸受」に相当する)及び主軸12の後側部を軸承する後側転がり軸受133と、主軸12における第1前側転がり軸受131よりも前側部を軸承する流体軸受2(本発明の「移動軸受」に相当する)とを備えている。さらに、流体軸受2に油圧を付与する油圧付与装置3と、油圧付与装置3により流体軸受2に付与される油圧(油量)を制御する制御装置4とを備えている。
主軸12の回転軸中心には、軸線方向に延びるロッド孔121が形成されている。ロッド孔121は、主軸12を軸線方向に貫通しており、前端には工具取付用テーパ部121aが形成されている。工具取付用テーパ部121aの後方には、コレット収容部121bが形成され、コレット収容部121bの後方には、コレット収容部121bよりも大径のばね収容孔121cが形成されている。ばね収容孔121cの前端部には、スリーブ122が固定されている。ロッド孔121内には、ロッド15が軸線方向に移動可能に収容されている。ロッド15を構成する長尺状の軸部材151の後端部には、軸部材151よりも大径のストッパ152が固着されている。さらに、ロッド15の前端には、コレット153が装着されている。コレット153は、半径方向に拡縮可能に設けられており、回転工具Tを把持可能に形成されている。
ロッド孔121内にロッド15が収容された状態で、軸部材151の前端部はスリーブ122の内周面と摺動可能であり、ストッパ152はばね収容孔121cと摺動可能である。また、ばね収容孔121c内におけるスリーブ122の後端部とストッパ152の前端面との間には、複数の皿ばね16が介装されており、ロッド15は主軸12に対して後方に常時付勢されている。主軸12の後方には、主軸ハウジング11と一体化されたシリンダハウジング171と、シリンダハウジング171内に軸方向に移動可能に設けられたピストン172とを有する油圧シリンダ17が設けられている。ピストン172が後方に移動してピストン172とロッド15との係合が解除されると、回転工具Tをコレット153で把持したロッド15は皿ばね16の付勢力により主軸12に対し後退する。そして、回転工具Tは主軸12の工具取付用テーパ部121aに嵌着されて主軸12に固定される。ピストン172が前方に移動してピストン172とロッド15とが係合されると、回転工具Tを把持したロッド15は皿ばね16の付勢力に抗して主軸12に対し前進する。そして、コレット153は拡径して回転工具Tの把持を解除する。
第1及び第2前側転がり軸受131,132は、アンギュラーコンタクト軸受であり、前側主軸ハウジング11a(11)の収容空間110内の前方側にて軸線方向に並設され、主軸12の回転工具T側である前側部の所定の軸方向位置に位置決め固定されている。第1及び第2前側転がり軸受131,132は、回転工具Tによるラジアル方向およびアキシャル方向の加工負荷を受けるため、並びに最高回転時の主軸12の負荷を受けるため、流体軸受2よりも高い支持剛性で主軸12の前側部を軸承する。後側転がり軸受133は、円筒ころ軸受であり、収容空間110内の後方側に配設され、回転工具Tに対して主軸12の前側部より後側の後側部の所定の軸方向位置に位置決め固定されて主軸12の後側部を軸承する。
一対の第1前側転がり軸受131の内輪間、一対の第2前側転がり軸受132の内輪間、及び第1前側転がり軸受131と第2前側転がり軸受132の内輪間には、円筒状のスペーサ112a,112b,112cが配設されている。第1及び第2前側転がり軸受131,132並びにスペーサ112a,112b,112cの内周部には、主軸12の外周面が嵌合されている。そして、最前方に位置する第1前側転がり軸受131の内輪は、主軸12の前方端に形成されたフランジ部12aに当接され、最後方に位置する第2前側転がり軸受132の内輪には、主軸12の外周面に螺合される円筒状の内輪押え113が当接されている。これにより、第1及び第2前側転がり軸受131,132並びにスペーサ112a,112b,112cは主軸12の外周面に固定される。
流体軸受2は、静圧軸受であり、前側主軸ハウジング11a(11)より更に前側(工具T側)に配置されている軸受押え20の内周に嵌合されている。つまり、流体軸受2は、第1前側転がり軸受131の軸方向位置よりも回転工具T側に配置され、主軸12の前側部を軸承する。これにより、詳細は後述するが、回転工具T付近で発生する主軸12のびびり振動を効果的に抑制することができる。流体軸受2の内周面には、周方向に延びる矩形状の第1静圧溝21が周方向に所定間隔で複数凹設されているとともに、第1静圧溝21に対し軸方向に所定距離d(図2参照)離間した位置で第1静圧溝21と同一形状、同一個数および同一所定間隔で第2静圧溝22が複数凹設されている。第1、第2静圧溝21,22には、軸受押え20の外周面から穿設された油路31,32がそれぞれ連通されている。油路31,32には、油圧付与装置3と接続された管路33が接続されている。
流体軸受2は、第1、第2静圧溝21,22に流入する油圧を制御することにより、主軸12の支持位置を軸方向に往復移動可能に構成されている。例えば、図2に示すように、第2静圧溝22には油圧を流入せず、第1静圧溝21のみに油圧を流入することにより、主軸12の支持位置を第1静圧溝21の軸方向位置P1に設定することができる。そして、第2静圧溝22に油圧を徐徐に流入し、第1静圧溝21から油圧を徐徐に流出させることにより、主軸12の支持位置を第1静圧溝21の軸方向位置P1から第2静圧溝22の軸方向位置P2に徐徐に移動させることができる。そして、第1静圧溝21には油圧を流入せず、第2静圧溝22のみに油圧を流入することにより、主軸12の支持位置を第2静圧溝22の軸方向位置P2に設定することができる。このように、流体軸受2は、主軸12の支持位置を第1静圧溝21の軸方向位置P1と第2静圧溝22の軸方向位置P2との間で往復移動させることができる。この流体軸受2の作用効果については後述する。
油圧付与装置3は、油圧ポンプ34と、減圧弁35と、リリーフ弁36とから構成されており、制御装置4による制御により、主軸12の回転速度に応じた油圧を流体軸受2の第1、第2静圧溝21,22に供給するようになっている。即ち、油圧ポンプ34からの最高油圧がリリーフ弁36により制御され、最高油圧までの範囲内において任意の油圧が減圧弁35により制御され、管路33及び油路31,32を通して第1、第2静圧溝21,22にそれぞれ供給される。
後側主軸ハウジング11b(11)の内周面には、電動モータ14のステータ141が取り付けられている。ステータ141の半径方向内方には、主軸12の外周面に形成されたロータ142が対向している。ステータ141とロータ142とにより形成された電動モータ14に電力が供給されることによって、主軸12はロータ142とともに回転する。主軸装置1は、先端に回転工具Tを取り付けた状態で主軸12を回転させ、図示しない被削材に加工を施す。主軸12の回転速度は、主軸12の後方に配設されている非接触型の速度センサ123により検出される。
(2.主軸装置における流体軸受の作用効果)
上述したように、流体軸受2は、主軸12の支持位置を第1静圧溝21の軸方向位置P1と第2静圧溝22の軸方向位置P2との間で往復移動させることができる。例えば、図2に示す軸方向位置P1にて主軸12を支持したとき、主軸12の動剛性波形は図3の二点鎖線で示すF1のように変化したとする。そして、流体軸受2を制御して図2に示す軸方向位置P2にて主軸12を支持したとき、主軸12の動剛性波形は図3の実線で示すF2のように、F1よりも図示左方へシフトする。すなわち、共振点(コンプライアンスの極大値)の周波数にずれが生じる。
上述したように、流体軸受2は、主軸12の支持位置を第1静圧溝21の軸方向位置P1と第2静圧溝22の軸方向位置P2との間で往復移動させることができる。例えば、図2に示す軸方向位置P1にて主軸12を支持したとき、主軸12の動剛性波形は図3の二点鎖線で示すF1のように変化したとする。そして、流体軸受2を制御して図2に示す軸方向位置P2にて主軸12を支持したとき、主軸12の動剛性波形は図3の実線で示すF2のように、F1よりも図示左方へシフトする。すなわち、共振点(コンプライアンスの極大値)の周波数にずれが生じる。
一般的に、主軸12の回転速度と工作物に対する回転工具Tの軸方向の切込量との関係を示す安定限界線図の切込量の極大値は、動剛性波形のコンプライアンスの極大値と対応している。よって、図2に示す軸方向位置P1にて主軸12を支持したとき、安定限界線図は図4の二点鎖線で示すG1のように変化したとする。そして、流体軸受2を制御して図2に示す軸方向位置P2にて主軸12を支持したとき、安定限界線図は図4の実線で示すG2のように、G1よりも図示左方へシフトする。
例えば、図4において主軸12の回転速度をV、工作物に対する回転工具Tの軸方向の切込量をCに設定したときの点Qは、GaおよびGbよりも上方に位置している。すなわち、図5に示すように、点Qの条件では主軸12のびびり振動が発生して発散し、不安定な加工となる。しかし、流体軸受2に供給する油圧を制御して主軸12の支持位置を図2に示す軸方向位置P1と軸方向位置P2との間で往復移動させると、点QはGaおよびGbよりも下方に位置するときがあり、図6に示すように、点Qの条件で主軸12のびびり振動の発散を抑制することができ、安定した加工が可能となる。このように、簡易で小型な構成で主軸12の支持位置を油圧調整することにより直接的に変化させ、主軸12の共振周波数をずらすことが可能となる。よって、回転工具の種類等により周波数が変化する主軸のびびり振動の発散を短時間で抑制することが可能となり、高精度な加工が可能となる。また、ハンマリングテストによる動剛性解析を行う必要がないため、手間が掛からなくなる。なお、点Qの条件では、Gaの安定加工領域とGaおよびGbの不安定加工領域とGbの安定加工領域との間を往復移動させる場合であり、振動の発散の抑制効果を最も得ることができるが、GaおよびGbの不安定加工領域で往復移動させる場合も振動の発散の抑制効果を得ることができる。
流体軸受2の第1、第2静圧溝21,22に油圧を供給して主軸12の支持位置を軸方向に移動させる制御は、制御装置4において行われる。その制御方法としては、回転工具Tの種類毎、および工作物の形状や材質等毎に、主軸12のびびり振動の抑制が可能な第1、第2静圧溝21,22に供給する油圧を予め測定してテーブルデータ化しておく。そして、実際の加工時にテーブルデータを参照して第1、第2静圧溝21,22に供給する油圧を制御することにより、安定した加工を行うようにする。
また、例えば、軸受押え20の外周面に振動検出センサ23(本発明の「振動検出センサ」に相当する)を取り付けておく(図1参照)。そして、実際の加工時に振動検出センサ23から振動検出信号を入力して第1、第2静圧溝21,22に供給する油圧を制御することにより、安定した加工を行うようにする。これにより、実際の加工時における主軸12のびびり振動の発散の抑制に対応することが可能となり、より高精度な加工が可能となる。なお、第1、第2静圧溝21,22と同様の静圧溝を複数設けた構成としてもよい。また、流体軸受2として、静圧軸受以外に、動圧軸受や空気軸受等も適用可能である。
(3.主軸装置における流体軸受の変形態様)
上述の実施形態では、主軸12の支持位置を移動させる軸受として流体軸受2を使用したが、流体軸受2の代わりに一対の転がり軸受も使用可能である。図7に示すように、第1及び第2転がり軸受51,52(本発明の「転がり軸受」に相当する)は、アンギュラーコンタクト軸受であり、主軸12の軸線方向に所定間隔をあけて配置されている。第1転がり軸受51と第2転がり軸受52の内輪間には、円筒状のスペーサ53が配設されている。第1及び第2転がり軸受51,52並びにスペーサ53の内周部には、主軸12の外周面が嵌合されている。そして、第1転がり軸受51の内輪の前側は、主軸12の前方端に嵌合されたリング54に当接され、第2転がり軸受52の内輪の後側は、主軸12の外周面に形成された段差12bに当接されている。これにより、第1及び第2転がり軸受51,52並びにスペーサ53は、主軸12の外周面に固定される。
上述の実施形態では、主軸12の支持位置を移動させる軸受として流体軸受2を使用したが、流体軸受2の代わりに一対の転がり軸受も使用可能である。図7に示すように、第1及び第2転がり軸受51,52(本発明の「転がり軸受」に相当する)は、アンギュラーコンタクト軸受であり、主軸12の軸線方向に所定間隔をあけて配置されている。第1転がり軸受51と第2転がり軸受52の内輪間には、円筒状のスペーサ53が配設されている。第1及び第2転がり軸受51,52並びにスペーサ53の内周部には、主軸12の外周面が嵌合されている。そして、第1転がり軸受51の内輪の前側は、主軸12の前方端に嵌合されたリング54に当接され、第2転がり軸受52の内輪の後側は、主軸12の外周面に形成された段差12bに当接されている。これにより、第1及び第2転がり軸受51,52並びにスペーサ53は、主軸12の外周面に固定される。
第1転がり軸受51と第2転がり軸受52の外輪間には、円筒状のピストン55が配設されている。ピストン55は、軸受押え20の内周面において主軸12の軸方向に移動可能に配設されている。そして、ピストン55の軸方向の両側面には、油路31,32がそれぞれ連通されている。第1転がり軸受51の外輪の前側は、軸受押え20の前方端に嵌合されたリング56に当接され、第2転がり軸受52の外輪の後側は、軸受押え20の内周面に形成された段差20aに当接されている。これにより、ピストン55が前方側に押圧されると第1転がり軸受51の外輪を押圧するので、第1転がり軸受51に対し予圧の付与が可能となり、ピストン55が後方側に押圧されると第2転がり軸受52の外輪を押圧するので、第2転がり軸受52に対し予圧の付与が可能となる。この予圧付与を制御することにより、主軸12の支持位置を軸方向に移動させることができる。これにより、主軸12のびびり振動の発散を抑制する支持位置を高い支持剛性で支持可能となるので、当該びびり振動の発散の抑制効果を高めることができる。
また、図8に示すように、第1転がり軸受51の専用のピストン55aおよび第2転がり軸受52の専用のピストン55bを設けた構成としてもよい。これにより、第1転がり軸受51および第2転がり軸受52に対しそれぞれ予圧の付与が可能となるので、主軸12の支持位置の軸方向の移動を高精度に行うことができる。
1…主軸装置、2…流体軸受、3…油圧付与装置、4…制御装置、12…主軸、21…第1静圧溝、22…第2静圧溝、51,52…転がり軸受、131…第1前側転がり軸受、132…第2前側転がり軸受。
Claims (5)
- 回転工具を保持して回転駆動される主軸と、
前記主軸を回転可能に軸承し、前記主軸の軸方向に往復移動可能な移動軸受と、
前記主軸を前記移動軸受よりも高い支持剛性で回転可能に軸承し、所定の軸方向位置に位置決め固定された固定軸受と、を備え、
前記移動軸受を往復移動させることにより前記主軸の回転時に発生する振動の発散を抑制する主軸装置。 - 前記主軸装置は、前記主軸に発生する振動を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置で前記主軸の振動を検出したとき前記移動軸受を往復移動させる制御装置と、を備える請求項1の主軸装置。
- 前記移動軸受は、流体の圧力により移動可能な複数の流体軸受でなる請求項1又は2の主軸装置。
- 前記移動軸受は、軸方向の押圧力により移動可能な転がり軸受でなる請求項1又は2の主軸装置。
- 前記移動軸受は、前記固定軸受の軸方向位置よりも前記回転工具側に配置されている請求項1〜4の何れか一項の主軸装置。
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JP2016112673A (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | 富士重工業株式会社 | 工具駆動装置、工具駆動装置用のアタッチメント及び被穿孔品の製造方法 |
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