JP4988104B2 - 白蟻防除用粒剤及び白蟻防除方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋などを白蟻の被害から守るのに有用な白蟻防除用粒剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
白蟻は、通常、家屋の外に巣(コロニー)を有しており、土中を潜って家屋の床下に侵入することが多い。そのため、土台、床束、大引などの床周りの木材が食害を受け易い。白蟻の予防のため又は白蟻を駆除する方法として、殺虫剤などを溶剤に溶解させ、この溶液(液剤)を家屋の床下に散布し、前記殺虫剤を土中に含浸させることが行われている。しかし液剤散布は、散布時のミストや、溶剤の揮散による作業者の健康障害、更には居住者に対するシックハウス症候群の原因の一つとして問題視されている。
【0003】
そこで前記液剤に代わるより安全な床下処理として、粒剤を使用する方法(粒剤処理法)が増えている。特公平7−103004号公報には、多孔質粒状担体(バーミキュライト、ベントナイト、カオリナイトなどの焼結生成物、パーライト、天然軽石、シリカジルなど)に殺虫剤を含浸担持させた防蟻性粒剤が開示されており、この粒剤は家屋の床下に散布することが記載されている。
【0004】
なお社団法人日本しろあり対策協会では、新築家屋のしろあり予防処理および既築家屋のしろあり防除処理において、床下土壌への液剤の散布量を規定している。その散布量は、3.0〜5.0L/m2と規定されている。土壌処理における液剤散布で最も重要なのは薬液処理層(バリアー層)の厚みであり、液剤5.0L/m2の散布では、布基礎や束石の側壁土壌表面下部分に形成される処理層の厚みが30mm以上になると言われている。一方、粒剤の散布量は、前記液剤の散布量(3.0〜5.0L/m2)に相当する量とされている。
【0005】
しかし前記特公平7−103004号公報に記載されているような嵩比重の重い鉱物質粒基材を用いた粒剤では、30mm以上の処理層を確保するためには液剤の3〜4倍のボリウム(量)が必要であり、物量的にも経済的にも問題が多い。その為、粒剤処理では、処理層を確保するため、散布時に布基礎周辺や束石の側壁部分に厚く散布する等の工夫が行なわれている。しかし粒剤の散布ムラがある場合などは、処理層の薄い所が生じ、シロアリが侵入する等、十分な効果が発揮されない恐れがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、粒剤であっても白蟻が粒剤層を通過するのをブロックできる白蟻防除用粒剤及び白蟻防除方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねるうち、従来の常識に反して、粒剤として木材片を使用することに考え至った。すなわち白蟻防除剤の散布業界の常識では、木材片が床下に存在すると白蟻の餌となり白蟻を招来させる虞があるため、白蟻防除剤を散布するときに床下に木材片が存在する場合には、木材片は掃除して除去すべきであるとされている。
【0008】
また木材片を床下に散布する技術について特開平11−158020号公報に開示されているが、当該公報でも、単純に木材片を床下に散布しているのではなく、白蟻の招来を防止するために2重、3重の防蟻システムが施されている。すなわち前記特開平11−158020号公報には、床下の土壌部と、大引などの土台木部に薬剤処理を施した上で、パルプなどに含浸させたベイト剤を束石部などに散布してもよいとしている。そして単独では防虫効果が多少落ちても、システムトータル(土壌の薬剤処理、ベイト剤、木部の薬剤処理のトータル)としてはほぼ完全な防虫システムを構成できるとしている。換言すれば、土壌薬剤処理、木部薬剤処理などの他の防蟻処理を施しておくことによって初めてパルプなどを床下に散布できるのに過ぎないのであって、土壌薬剤処理、木部薬剤処理などを施すことなくパルプなどを床下に散布すると白蟻の招来を防止することはできず、木部の食害が発生してしまう。
【0009】
また特公昭60−11001号公報には、白蟻防除有効成分を粒状担体に担持させた後、当該粒状担体を建造物の周辺土面や床下土面に散布した後、散水することによって前記有効成分を土壌中にしみ込ませる方法が開示されている。前記粒状担体としては、軽石、ベントナイト、ゼオライトなどの他に木片も開示されているが、木片はあくまで周辺土面に散布する場合に使用されるのであって、床下土面に使用されるものではない。仮に床下土面に木片担体を散布してもよいと解釈すると、当該公報の方法は粒状担体に散水することによって薬剤を土壌中に移しているため担体には薬剤が残らない方法であるため、結果的に床下に白蟻の餌となる単なる木片を散布していることになってしまう。
【0010】
以上のように、白蟻防除剤の散布業界では、床下の木材片は掃除によって除去する必要があるのであって、木材片を散布することは好ましくないことは常識になっている。
【0011】
一方、本発明者らは、特定の条件下で蒸煮処理した木材片は、白蟻に食べられ易くなることを以前見出しており、この蒸煮木材はベイトシステムに有用であることを発表している[木材工業 Vol.52,No.12,1997;第49回日本木材学会大会研究発表要旨集(1999),第597頁;第50回日本木材学会大会(2000),第691頁]。ベイトシステムとは、家屋の周囲に1〜2m間隔で餌木を埋めておき、この餌木に白蟻がアタックしたところで餌木をベイト用薬剤(遅効性の殺虫剤など)を含む木材に変更し、白蟻に薬剤を巣に持ち帰らせ、白蟻を巣(コロニー)ごと撲滅する方法である。しかし前記蒸煮木材に誘引作用はないため、ベイトシステムに蒸煮木材を利用しても白蟻が家屋の床下に侵入するのはブロックできない。
【0012】
ところが本発明者らは、白蟻の侵入をブロックできないベイトシステム用蒸煮木材を、白蟻の食害が増大するために常識的には使用が忌避されている床下への木片散布に応用すると、意外にも白蟻の侵入をブロックできることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち上記目的を達成し得た本発明の白蟻防除用粒剤は、粒状蒸煮木材、又は粉状蒸煮木材の造粒物に白蟻防除薬剤(速効性又は遅効性の殺虫剤など)を含浸させている点に要旨を有するものである。前記蒸煮は、温度90〜200℃、圧力0.1〜1.5MPaの条件下で木材に加圧水蒸気を作用させることにより行ってもよく、温度80〜99℃、常圧の条件下で木材に水蒸気を作用させた後で温度100〜150℃で乾燥することにより行ってもよい。前記木材は、たとえ辺材であっても有効利用することができる。
【0014】
前記白蟻防除用粒剤によれば、粒状の蒸煮木材(又は鋸屑状蒸煮木材の造粒物などの粉状蒸煮木材の造粒物)を白蟻防除薬剤の担体に使用しているため、担体の見かけ比重(嵩比重、嵩密度などと称する場合もある)を軽くできる。そのため一般的とされる3〜5kg/m2程度の散布量で、粒剤を家屋の床下に散布しても白蟻防除層を厚くでき、白蟻が粒剤層を通過するのをブロックできる。例えば白蟻防除薬剤として速効性殺虫剤を用いた場合、白蟻の侵入を極めて高い確率で防止できる。また白蟻防除薬剤として遅効性殺虫剤を用いた場合でも、白蟻が好んで食べる粒剤層の厚みが厚いため白蟻に粒剤を食べさせる確率(白蟻をトラップする確率)を高めることができ、白蟻が貫通してしまうのを阻止できる。また速効性殺虫剤及び遅効性殺虫剤のいずれの場合においても、万が一白蟻が粒剤層を通過して床下木材(土台、床束、大引など)の存在を知ったとしても、この白蟻は蒸煮木材(粒剤層)の存在を知っているため、蒸煮木材(粒剤)を選択的にアタックする。そのため白蟻が粒剤層を通過して、床下木材を食害するのを実質的に確実にブロックできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明では、蒸煮処理した木材から得られる粒状担体に、白蟻防除薬剤を含浸(又は担持)させることにより白蟻防除用粒剤を製造している。前記蒸煮木材に用いる木材としては、白蟻忌避成分(タキシホリン、クエルセチン、ナリンゲニン、ミリセチン、アロマデンドリン、イソサクラチネンなどのフラボノイド誘導体など)を含有する木材、例えば、マツ科木材(アカマツ、カラマツなど)、その他ブナ科木材(ブナなど)などが使用できる。これら木材に所定の条件下で水蒸気を作用させると(蒸煮処理)、非蒸煮木材よりも蒸煮木材が選択的に白蟻に食べられるようになる(以下、選択的摂食性と称する)。
【0016】
なお前記木材としては、心材などの木材製品(木造家屋、家具など)として利用価値の高い部分を用いてもよいが、辺材(背板など)、端材(木口付近の木材など)、間伐材などの利用価値の低い部分を用いてもよい。利用価値の低い部分(特に辺材)であっても、心材と同様に、蒸煮によって選択的摂食性を高めることができる。
【0017】
また蒸煮処理する木材は、原木を粗加工した程度の木材(丸太材、板材など)あるいは、細かく破砕した木材(チップ状木材など)であってもよく、鋸屑状木材などの粉末状木材などであってもよい。
【0018】
蒸煮温度は、例えば、90℃以上(好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上)、200℃以下(好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下)である。蒸煮は加圧条件で行うのが好ましく、例えば、圧力0.1MPa以上(好ましくは0.5MPa以上)、圧力1.5MPa以下(好ましくは1.1MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下)である。また蒸煮時間は、前記蒸煮温度及び蒸煮圧力に応じて適宜選択できるが、例えば、5分以上(好ましくは10分以上、さらに好ましくは30分以上)、300分以下(好ましくは200分以下、さらに好ましくは100分以下)である。蒸煮条件が弱すぎると(例えば、蒸煮温度が低すぎる場合、及び/又は蒸煮時間が短すぎる場合には)、忌避成分の除去が不十分なため、選択的摂食性を高めることができない。一方、蒸煮条件が強すぎる場合(例えば、蒸煮温度が高すぎる場合、及び/又は蒸煮時間が長すぎる場合)、前記忌避成分のみならず摂食促進物質も分解・除去されるためか、選択的摂食性が低下していく。
【0019】
なお蒸煮の際には必ずしも加圧する必要はなく、常圧程度であっても特定の温度で蒸煮した後、常圧下、特定の条件で乾燥することによって、選択的摂食性を高めることができる。蒸煮温度は、例えば、80℃以上(好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上)、99℃以下(好ましくは98℃以下、さらに好ましくは97℃以下)である。蒸煮時間は、例えば、2時間以上(好ましくは3時間以上、さらに好ましくは4時間以上)、30時間以下(好ましくは20時間以下、さらに好ましくは15時間以下)である。また乾燥温度は、例えば、100℃以上(好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上)、150℃以下(好ましくは145℃以下、さらに好ましくは140℃以下)である。乾燥時間は、例えば、10時間以上(好ましくは20時間以上、さらに好ましくは30時間以上)、100時間以下(好ましくは80時間以下、さらに好ましくは70時間以下)である。常圧程度で操業する場合、加圧装置(オートクレーブなど)が不要となるため、蒸煮装置を簡素化できる。
【0020】
なお蒸煮処理すると、圧力差によって導管(又は仮導管)の蓋(ピット)が開くためか、又は導管(又は仮導管)の細胞壁に微少な破壊・変形が生じるためか、木材に薬剤を浸透させやすくすることもできる。
【0021】
蒸煮処理した木材(鋸屑状木材などの粉状木材、破砕木材、粗加工木材など)は、必要に応じて、粒状化処理する。例えば、鋸屑状木材などの粉状木材は適当な粘着剤と共に造粒処理することによって粒状化する。また破砕木材や粗加工木材は、必要に応じて、さらに破砕することによって粒状化もしくはチップ化してもよく、鋸屑状などの粉状にした後、前記粉末状木材と同様に処理して粒状化してもよい。なお適度な大きさの粒状木材を蒸煮処理した場合には、粒状化処理は必要ではない。
【0022】
また蒸煮処理した木材には、前記粒状化処理に先立って又は粒状化処理の後、白蟻防除薬剤を含浸させる。含浸の方法は特に限定されないが、例えば、白蟻防除薬剤を適当な溶剤(水系溶剤、有機系溶剤など)に溶解させた薬液に木材を浸漬する方法、前記薬液を木材に散布又は塗布する方法、前記薬液を木材に加圧注入する方法、木材内部の空気を排除してから、前記薬液を常圧で吸引することにより薬液を木材に注入する方法(減圧処理)、更には粉状防除剤を混合する方法などによって行うことができる。特に、加圧注入方法は、薬剤を木材内部に均一に含浸させるのに最も適している。なお溶剤を用いる場合、VOCの発生を防ぐために、前記溶剤は乾燥除去しておくことが望ましい。
【0023】
前記白蟻防除薬剤としては、種々の薬剤が使用でき、例えば、速効性の殺虫剤、遅効性の殺虫剤などが使用できる。速効性の殺虫剤としては、有機リン系殺虫剤(ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオンなど)、合成ピレスロイド系殺虫剤(シフェノトリン、ペルメトリン、ビフェントリン、トラロメスリン、アクリナトリンなど)、カーバメート系殺虫剤(カルバリル、フェノブカルブ、プロポクスルなど)、ニトログアニジン系殺虫剤(イミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラムなど)、クロロフェナピル、フィプロニール、シラフルオフェンなどが挙げられる。これら速効性殺虫剤は、単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
【0024】
遅効性の殺虫剤としては、昆虫成長調節剤(メトプレン、フェノキシカルブ、ヒドラメチルノン、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、テルフベンズロン、ヘキサフルムロン、ブプロフェジ、テブフェノサイド、スルファミドなど)、食毒剤としてのホウ素系化合物などが挙げられる。これら遅効性殺虫剤は、単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
【0025】
前記速効性殺虫剤及び遅効性殺虫剤は、片方だけ用いてもよく両方用いてもよい。好ましくは速効性殺虫剤だけを用いる。
【0026】
上記のようにして得られた白蟻防除用粒剤において、白蟻防除薬剤(有効成分)の含有量は薬剤の種類に応じて適宜選択できる。例えば、速効性殺虫剤を使用する場合、白蟻防除薬剤(有効成分)の含有量(g)は、蒸煮処理に使用する原木の体積(m3)を基準にして、例えば、3〜5,000g/m3程度、好ましくは100〜1,000g/m3程度である。速効性殺虫剤の含有量が少なすぎると、白蟻の侵入を防止するのが困難になる。一方、速効性殺虫剤の含有量が多すぎると、粒剤を白蟻が好んで食わなくなる。そのため白蟻が粒剤層を通過してしまった場合、粒剤ではなく床下木材(大引、床束など)を食べてしまうため食害を確実に防止するのが困難になる。
【0027】
一方、遅効性殺虫剤を使用する場合、白蟻防除薬剤(有効成分)の含有量(g)は、蒸煮処理に使用する原木の体積(m3)を基準にして、100〜50,000g/m3程度、好ましくは500〜10,000g/m3程度である。遅効性殺虫剤の含有量が少なすぎると、所定エリア(例えば、基礎コンクリート付近)の粒剤が食べ尽くされても白蟻の巣(コロニー)を撲滅することができず、後発の白蟻が前記エリアを通じて床下に侵入しまう虞がある。すなわちベイトシステムと同様に、蒸煮木材の存在を知ることなく白蟻が床下に侵入してしまうことを許してしまう場合があり、床下木材が食害される虞がある。一方、遅効性殺虫剤の含有量が多すぎると、粒剤を白蟻が好んで食わなくなる場合があるため、白蟻をトラップすることができない。そのため単なる木材を散布した場合と同様に、白蟻が粒剤層を通過するのを許してしまう。
【0028】
粒状剤としては、粒径が50〜20,000μmの範囲のものを使用してもよいが、好ましくは半分以上(質量基準)が粒径100〜5,000μmの範囲に収まるような粒度分布を有する粒状剤を使用する。粒径が小さすぎると、粉状になって散布作業が困難になる。一方、粒剤の径が大きすぎると、白蟻が素通りし易くなってしまう。
【0029】
粒剤の形状は特に限定されず、球状、多面体形状(四面体形状など)、円筒状、楕円状、不定状、チップ状などの他、錠剤と称される物と同様の形状などの種々の形状が採用できる。また複数の粒剤を集めてマット状等の集合物状に加工してもよい。
【0030】
粒剤としては、嵩比重が0.1〜0.8g/cm3程度の範囲のものが使用出来るが、好ましくは、嵩比重が0.2〜0.6g/cm3程度のものを使用する。なお粒剤の嵩比重は、粒径を調節することによって制御できる。
【0031】
上記のようにして得られた粒剤は、適当な場所、例えば、家屋の床下に散布することによって、白蟻からの家屋(特に床下木材)の食害を防止できる。すなわち前記粒剤は蒸煮木材を担体として利用しているため、嵩比重が小さく、粒剤層を厚くできる。そのため速効性殺虫剤を担持させた場合には、高い確率で白蟻の侵入を防止できる。また遅効性殺虫剤を担持させた場合には、担体である蒸煮木材が白蟻に選択的に食べられるため白蟻をトラップすることができ、白蟻が貫通してしまうのを防止できる。さらに万が一白蟻が粒剤層を通過して床下木材に到達したとしても、この白蟻はその前に確実に前記粒剤(蒸煮木材)に接触しておりその存在を知っているため、床下木材よりも粒剤を選択的に摂食する。従って白蟻が粒剤層を通過して、床下木材を摂食するのを実質的に確実にブロックできる。
【0032】
粒剤の散布量は技術的には特に限定されず、例えば、1kg/m2以上(好ましくは2kg/m2以上、さらに好ましくは3kg/m2以上)、8kg/m2以下(好ましくは7kg/m2以下、さらに好ましくは5kg/m2以下)程度であってもよい。現実的には3〜6kg/m2程度である。本発明の粒剤は、嵩比重が小さいため、前記のような散布量でも粒剤層の厚みを厚くでき白蟻を確実にブロックできる。 粒剤層の厚みは、例えば、20mm以上であるのが好ましい。
【0033】
なお粒剤層は、床下全面に亘って均一に散布してもよく、白蟻が侵入しやすい布基礎や束石の側壁部分の散布量が多くなるように不均一に散布してもよい。例えば、家屋の床下を囲う布基礎近傍の土中から白蟻が這い出してくることが多いため、当該部分の散布量を、それ以外の場所の散布量の2〜3倍程度にしてもよい。また前記布基礎内側に溝(例えば、深さ30〜40mm程度の溝)を掘って、当該部分に粒剤を重点的に散布してもよい。
【0034】
なお粒剤の散布後は、必要に応じて適宜床下を監視してもよい。そして前記監視の結果、あるエリアで粒剤が食べ尽くされていることが判明した場合には、当該エリアに粒剤を追加散布してもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0036】
実験例
アカマツの辺材を温度180℃の条件で蒸煮処理(オートクレーブ処理)した後、天日で乾燥した。この蒸煮木材に薬剤液(シラフルオフェン液、シフェノトリン液、アセタミプリド液、又はクロロフェナピル液)を加圧注入によって含浸させた(含浸量:6g/m3又は150g/m3)。室温で2週間風乾した後、直方体(10mm×10mm×20mm)の試験片に調整した。
【0037】
直径9cm、高さ7cmの円筒状飼育器の底部に歯科用石膏を流し込み、乾燥させた。この石膏の中央部に、ナイロン製シートを介して、前記試験を寝かせて静置した。イエシロアリ(職蟻100頭、兵蟻10頭)を放虫し、暗黒下、温度28℃で6日間飼育した。白蟻が前記木材を摂食すると死に至るため、白蟻による食害状況を死亡した職蟻の数としてカウントした。
【0038】
対照として、蒸煮処理しない以外は前記と同様にして薬液を含浸させた木材を、前記と同様にして飼育器に入れて、死亡した白蟻の数をカウントした。
【0039】
結果を表1、表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、蒸煮木材を白蟻防除薬剤の担体として利用して粒剤を形成しているため、粒剤の嵩密度を小さくでき粒剤層の厚みを厚くできると共に、選択的(優先的)に白蟻が粒剤を摂食するようにできる。このため粒剤を床下に散布しても、白蟻が粒剤層を通過するのをブロックできる。
Claims (7)
- 粒状蒸煮木材、又は粉状蒸煮木材の造粒物に白蟻防除薬剤を含浸させていることを特徴とする白蟻防除用粒剤。
- 温度90〜200℃、圧力0.1〜1.5MPaの条件下で木材に加圧水蒸気を作用させることにより得られた蒸煮木材を利用することを特徴とする請求項1記載の白蟻防除用粒剤。
- 温度80〜99℃、常圧の条件下で木材に水蒸気を作用させ、温度100〜150℃で乾燥させることにより得られた蒸煮木材を利用することを特徴とする請求項1記載の白蟻防除用粒剤。
- 前記蒸煮木材が、辺材に由来することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白蟻防除用粒剤。
- 前記白蟻防除薬剤が、速効性の殺虫剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白蟻防除用粒剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の白蟻防除用粒剤を家屋の床下に散布することを特徴とする白蟻防除方法。
- 白蟻防除用粒剤の散布量が1〜8kg/m2であることを特徴とする請求項6記載の白蟻防除方法。
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